JP2009226862A - 液体吐出記録ヘッドの製造方法、及び液体吐出記録ヘッド - Google Patents

液体吐出記録ヘッドの製造方法、及び液体吐出記録ヘッド Download PDF

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雅彦 久保田
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明彦 岡野
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麻紀 加藤
Kazuhiro Asai
和宏 浅井
Masanori Osumi
正紀 大角
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義則 田川
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Abstract

【課題】流路が、液体吐出効率に対し有効である三次元的形状を有し、且つ、流路及び吐出口が良好な形状で形成可能であり、更に、インク吐出口と発熱抵抗体との距離を均一に形成可能な液体吐出記録ヘッドの製造方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】本発明は、基板上に光カチオン重合開始剤を含有し且つエポキシ樹脂を主成分とする第1のネガ型感光性樹脂層の硬化樹脂層からなる第一の流路パターンの側壁を形成し、その後、第一の流路パターンを少なくとも埋める第1のネガ型感光性樹脂層よりも厚いポジ型感光性樹脂層を形成した後、ポジ型感光性樹脂の表面を流路の側壁の上端面が露出するまで研磨した後、平坦化により得られた平面に、光カチオン重合開始剤を含有し且つエポキシ樹脂を主成分とする第2のネガ型感光性樹脂層を形成する工程を少なくとも有することを特徴とする、液体吐出記録ヘッドの製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット記録方式に用いる液体吐出記録ヘッドの作成方法に関する。特に、サイドシューター型ヘッドにおける吐出性能の向上を目指すものである。
インク吐出圧力発生素子が形成された基板に対し垂直方向にインク液滴が吐出する、いわゆるサイドシューター型記録ヘッドが現在一般に使われている。近年、これらの記録ヘッドは、インク以外の液体、例えば、有機液晶等の塗布に使われることが有るので、液体吐出記録ヘッドと称すことがある。
特許文献1および特許文献2に開示されたインクジェット記録ヘッドは、発熱抵抗体に熱エネルギーを与えインクを膜沸騰させ、生成した気泡を外気と連通させてインク液滴を吐出させるものである。更に、特許文献3に、特許文献1および特許文献2に開示されたインクジェット記録ヘッドを実現するための代表的な製造方法が開示されている。特許文献2に開示された製造方法を図2の模式的工程断面図を用いて説明する。
(1)インク吐出圧力発生素子1が形成された基板2上に、溶解可能な樹脂にてインク流路パターン3を形成する工程(図2(a))と、
(2)常温にて固体上のエポキシ樹脂を含む被覆樹脂を溶媒に溶解して、これを溶解可能な樹脂層上にソルベントコートすることによって、溶解可能な樹脂層上にインク流路壁となるノズル構成樹脂層4を形成する工程(図2(b))と、
(3)インク吐出圧力発生素子上方のノズル構成樹脂層にインクの吐出口6を形成する工程(図2(c))と、
(4)溶解可能な樹脂層を溶出する工程(図2(d))と、を有することを特徴とする製造方法である。
これらのインクジェット記録ヘッドでは、インク流路の形状により、印字品位に大きな影響を与えるインク液滴の吐出量、吐出方向、吐出速度が決定される。
特許文献3に開示された製造方法を用いて製造されたインクジェット記録ヘッドの断面観察を行うと、図2(d)のII部の拡大断面図である図5に示されるように、溶解可能な樹脂層とノズル構成樹脂層の界面付近に微小突起形状物9が観察されることがある。
この微小突起形状物9は、吐出口6の流路側の端部に形成されている。近年、画像品質の向上を図るため、液滴の量を最小化するためて目、吐出口の開口径は10μm程度と小さくなっている。今後、開口径は、更に、狭くなることが予想される。微小突起形状物9の寸法は、1μm程度であるが、このため、吐出口6の流路側の端部に微小突起形状物9が形成された場合、9インク液滴の吐出特性に、少なからず影響を与える場合がある。
即ち、微小突起形状物9が形成されてしまうと、発熱抵抗体から吐出口面側に向かって壁になる部分ができるため、この部分にたまったインクは正常に吐出されず所望のインク吐出量よりも少なくなる。またこの微小突起形状物9がインク吐出口内で非対称に形成された場合にはインク液滴の吐出方向が所望の方向からのずれが生じる。更に、インク液滴吐出を行った後インク供給口側からインクがノズル内に補給される際に、微小突起形状物9がインク補給の流れの障害となり、リフィル周波数が低下しリフィル周波数がインク吐出周波数に追いつかないいわゆる「ショボ」印字を引き起こす場合があった。
このように、微小突起形状物9の発生は、「スジ」、「ムラ」及び「ショボ」印字を発生する原因となり、印字に悪影響を与え、記録画像の高精細化が進み吐出インク液滴の小液滴化が進むほど、この問題への対処が必須となる。
この微小突起形状物9の発生原因は、溶解可能な樹脂層3とノズル構成樹脂層4といった異なる材料の積層を露光する際に、その界面で反射光が生じることで、形成される。あるいは異なる材料層間の相溶層がそのパターニング特性を低下させてしまうことによるものであると推定されている。
すなわち、マスク上の吐出口パターンをノズル構成樹脂層4上に露光により転写する際、ノズル構成樹脂層4を通過した光は、ノズル構成樹脂層4とは異なる材料組成物からなる溶解可能な樹脂層3との界面にて反射を起こす。また溶解可能な樹脂層3上に、ノズル構成樹脂層4を形成した際、相溶層がこれらの材料層間に形成されてしまう。
しかしながら、上記のような問題は、主成分が同一であるような構成の非常に近い材料層間においては、発生を抑制可能である。
また特許文献3に開示された製造方法では、基板2上に、複数の凸状のインク流路パターン3が離間して形成されている。この状態の基板2に対してノズル構成材料4を塗布した際、この段差の影響によるうねりが発生し、インク吐出口を形成する部分の高さ(OH距離)が不均一になってしまう場合がある。
この結果、インク吐出のための発熱抵抗体からインク吐出口までの距離(=OH距離)が不均一になる場合がある。
OH距離が不均一に形成されると、特に特許文献1及び特許文献2に開示されたインクジェット記録ヘッドは、その吐出されるインク液滴の体積が変化してしまい、結果として印字品位に大きな影響を及ぼす場合があった。更にノズル構成材料4の塗布膜厚が不均一な状態で、インクの吐出口6の形成を行う際、特に特許文献3に開示されている露光による形成を行う際に、露光光の結像面からのずれにより、インクの吐出口6の大きさにもばらつきが生じてしまう場合があった。
更に特許文献4および5に、インク液滴が吐出される方向に対して直交し、且つ発熱抵抗体が形成された基板面と水平面における、インク流路断面積が変化する、インク流路パターンを形成したインクジェット記録ヘッド及びその製造方法が開示されている。
インク流路を三次元的に形成することで、インクリフィル時のオリフィス面におけるメニスカス振動を抑制するとともに、インク液滴の吐出効率を高めることで、インク吐出特性の安定化を達成することが可能となることが開示されている。
図3の模式的断面図を用いて、特許文献4および5に開示されたインクジェット記録ヘッドの製造方法を説明する。
(1)インク吐出圧力発生素子1が形成された基板2上に、光分解可能で且つ溶解可能な第1の樹脂層3を形成する工程(図3(a))と、
(2)第1の樹脂層3上に、第1の樹脂層3と感光性を有する波長域(以下、感光波長域と称する場合がある)、あるいは感度の異なる光分解可能で且つ溶解可能な第2の樹脂層7を形成する工程(図3(b))と、
(3)第2の樹脂層7のみが感光する波長域の光を用い、第2の樹脂層7からなる第2の流路パターンを形成する工程(図3(c))と、
(4)第1の樹脂層3が感光する波長域の光を用い、第1の樹脂層3からなる第1の流路パターンを形成する工程(図3(d))と、
(5)常温にて固体上のエポキシ樹脂を含む被覆樹脂を溶媒に溶解して、これを溶解可能な樹脂層上にソルベントコートすることによって、溶解可能な第1および第2の樹脂層上にインク流路壁となるノズル構成樹脂層4を形成する工程(図3(e))と、
(6)インク吐出圧力発生素子上方のノズル構成樹脂層4にインクの吐出口6を形成する工程(図3(f))と、
(7)溶解可能な第1および第2の樹脂層を溶出する工程(図3(g))と、を有することで三次元的インク流路形状を持った、インクジェット記録ヘッドの製造方法である。
この製造方法においても、図3(g)のIII部拡大図である図6に示すように微小突起形状物9が、インクの吐出口6の断面下部に形成されてしまう。この微小突起形状物9の影響は、前述のものと同様である。
これに対し、特許文献6には、インク流路壁パターンをノズル構成材料にて構成した後、除去可能な樹脂層にて被覆、平坦化する提案が記載されている。即ち、ノズル構成材料4を用いてインク流路壁となるパターンを形成した後、基板2及びインク流路壁パターン4を除去可能な樹脂層3を用いて被覆する。次に、ケミカルメカニカルポリッシング法(CMP法)を用いて研磨することでこの面を平坦化する。この平坦化層上に更に、ノズル構成材料4を被覆、インクの吐出口6を形成することで、前述のOH距離をより均一に形成することが可能となる。更に、特許文献6に記載の製造方法によれば、特許文献1、2に記載の製造方法と比較した場合、ノズル構成材料4を溶解可能な樹脂層3よりも先に形成する。このため、その基板2に対するノズル構成材料4の密着信頼性が安定化し、インクジェット記録ヘッドとしての長期にわたる使用に対しても、信頼性が向上することが予想される。
しかしながら特許文献6に開示されたインクジェット記録ヘッドの製造方法においても、前述の微小突起形状物9の発生は避けられず、印字記録への影響は避けられない。また、特許文献4、特許文献5に開示された三次元的なインク流路形状の形成は困難であり、昨今の印字記録の高速化、高精細化の要求に答えることが難しい。
特開平4−10940号公報 特開平4−10941号公報 特開平6−286149号公報 特開2005−25577号公報 特開2005−25595号公報 特開2005−205916号公報
本発明は上記の諸点を鑑み成されたものである。即ち、
(1)インク液滴を効率よく吐出するために、インク流路が三次元的形状を有し、且つ、インク流路及びインク流路形状を安定的に精度良く形成すること、
(2)インク液滴の吐出体積安定化のため、発熱抵抗体とインク吐出口との距離を均一に形成すること、
(3)インク流路断面積が急激に変化することによるインクの流れの妨げを少なくすること、
(4)インク吐出口がその断面形状において持つ微小突起形状物の発生を防止し、良好な印字記録を得ること、
(5)インク流路パターンを溶解可能な樹脂にて形成する際に懸念される、ノズル構成樹脂層と基板との密着信頼性の低下を防止すること、である。
本発明は、基板の記録素子が形成された面の上に、液体と吐出する吐出口と、該吐出口に連通する流路をと有し、該記録素子が形成された基板面に対して垂直方向に液体が吐出される液体吐出記録ヘッドの製造方法であって、
基板上に光カチオン重合開始剤を含有し且つエポキシ樹脂を主成分とする第1のネガ型感光性樹脂層を形成する工程と、
第1のネガ型感光性樹脂層から、硬化樹脂層からなる側壁で規定された流路の一部となる第一の流路パターンを形成する工程と、
基板上に、ポジ型感光性樹脂を用いて、第一の流路パターンを少なくとも埋める第1のネガ型感光性樹脂層よりも厚いポジ型感光性樹脂層を形成する工程と、
ポジ型感光性樹脂の表面を流路の側壁の上端面が露出するまで研磨し、ポジ型レジスト層の表面と流路の側壁の上端面とを含む平面に平坦化する工程と、
平坦化により得られた平面に、光カチオン重合開始剤を含有し且つエポキシ樹脂を主成分とする第2のネガ型感光性樹脂層を形成する工程と、
第2のネガ型感光性樹脂層上に、光カチオン重合開始剤を含有し且つエポキシ樹脂を主成分とする第3のネガ型感光性樹脂層を形成する工程と、
第2のネガ型感光性樹脂層に第1の流路パターンと接続する第2の流路パターンを規定する第1の潜像を形成する工程と、
第3のネガ型感光性樹脂層に吐出口のパターンを規定する第2の潜像を形成する工程と、
第1の潜像及び第2の潜像を現像して未硬化部分を除去し、第2の流路パターン及び吐出口を形成する工程と、
前記ポジ型感光性樹脂層を除去して、第1の流路パターンと第2の流路パターンからなる流路を形成する工程と、
を有し、
第2のネガ型感光性樹脂層、及び、第3のネガ型感光性樹脂層が、異なる感光波長域を有する
ことを特徴とする、液体吐出記録ヘッドの製造方法である。
液体吐出記録ヘッドは、上述の液体吐出記録ヘッドの製造方法で製造されることが好ましい。
本発明によれば、以下のような効果を挙げることができる。
(1)流路が、液体吐出効率に対し有効である三次元的形状を有し、且つ、流路及び吐出口が良好な形状で形成可能である。更に、インク吐出口と発熱抵抗体との距離を均一に形成可能であることから、吐出液滴の飛翔方向、及び、液滴の吐出体積および吐出速度が安定し、高品位な印字物を得ることが可能となる。
(2)またインクがリフィルする際の流れの妨げが少なく、高い周波数にてリフィルが可能なことから、吐出周波数の速い、即ち高速印字が可能な液体吐出記録ヘッドを提供することが可能となる。
(3)吐出口がその断面形状において、微小突起形状物のない良好な形状に形成可能なため、インク吐出液滴の飛翔方向が安定で、かつ、液滴の吐出体積および吐出速度が安定で、高品位な印字物を得ることが可能となる。
(4)流路壁となるパターンを基板に直接形成することから、長期にわたる使用に対しても信頼性の高い、液体吐出記録ヘッドを提供可能となる。
本発明は、基板の記録素子が形成された面の上に、液体と吐出する吐出口と、該吐出口に連通する流路をと有し、該記録素子が形成された基板面に対して垂直方向に液体が吐出される液体吐出記録ヘッドの製造方法であって、
基板上に光カチオン重合開始剤を含有し且つエポキシ樹脂を主成分とする第1のネガ型感光性樹脂層を形成する工程と、
第1のネガ型感光性樹脂層から、硬化樹脂層からなる側壁で規定された流路の一部となる第一の流路パターンを形成する工程と、
基板上に、ポジ型感光性樹脂を用いて、第一の流路パターンを少なくとも埋める第1のネガ型感光性樹脂層よりも厚いポジ型感光性樹脂層を形成する工程と、
ポジ型感光性樹脂の表面を流路の側壁の上端面が露出するまで研磨し、ポジ型レジスト層の表面と流路の側壁の上端面とを含む平面に平坦化する工程と、
平坦化により得られた平面に、光カチオン重合開始剤を含有し且つエポキシ樹脂を主成分とする第2のネガ型感光性樹脂層を形成する工程と、
第2のネガ型感光性樹脂層上に、光カチオン重合開始剤を含有し且つエポキシ樹脂を主成分とする第3のネガ型感光性樹脂層を形成する工程と、
第2のネガ型感光性樹脂層に第1の流路パターンと接続する第2の流路パターンを規定する第1の潜像を形成する工程と、
第3のネガ型感光性樹脂層に吐出口のパターンを規定する第2の潜像を形成する工程と、
第1の潜像及び第2の潜像を現像して未硬化部分を除去し、第2の流路パターン及び吐出口を形成する工程と、
基板にポジ型感光性樹脂層に達する液体供給口となる貫通孔を形成する工程と、
液体供給口を介してポジ型感光性樹脂層を除去して、第1の流路パターンと第2の流路パターンからなる流路を形成する工程と、
を有し、
第2のネガ型感光性樹脂層、及び、第3のネガ型感光性樹脂層が、異なる感光波長域を有する
ことを特徴とする、液体吐出記録ヘッド製造方法である。
上述の潜像を形成する場合、ノズル構成樹脂層であるネガ型レジストに、流路あるいは吐出口に相当するパターンにより光を遮光した状態で、各レジストの感光波長域の波長の光を照射することで潜像パターンがレジストに形成される。
更に、第2のネガ型感光性樹脂層を形成後、第1の潜像を形成した後、第3のネガ型感光性樹脂層を形成し、第2の潜像を形成することができる。
また、第2のネガ型感光性樹脂層を形成後、第3のネガ型感光性樹脂層を形成し、その後、第1の潜像を形成した後、第2の潜像を形成することができる。
第2、及び、第3のネガ型感光性樹脂層を構成するネガ型感光性樹脂組成物は、主成分のエポキシ樹脂が同じであることが好ましい。第2、及び、第3のノズル構成樹脂層を構成するネガ型レジストの、主成分が同一のエポキシ樹脂であることで、両者の屈折率が非常に近くなり、光学的影響が減らせる。更に、両者が相溶した際の変質層の発生要因を減らせる。そのため、第2及び第3のノズル構成樹脂層の界面に微細突起形状物の発生を防止することが可能となる。
第2及び第3のノズル構成樹脂層を構成するネガ型レジストに対し、異なった感光波長域を付与するために、光カチオン重合開始剤としてそれぞれ異なる材料を用いることが好ましい。
第3のノズル構成樹脂層の感光波長域が、365nmまたは248nmのいずれかの波長であることが好ましい。
平坦化は、ケミカルメカニカルポリッシングによる研磨で行うことができる。
上述の製造方法で製造された液体吐出記録ヘッドは、吐出口の基板側に微細突起微細突起形状物が形成されていないので、良好な印字記録を得ることができる。
以下、図1の工程断面図を用いて本発明の液体吐出ヘッドの製造方法を詳細に説明する。尚、感光性樹脂としては、一般的に使用されているフォトレジストが好適に利用できるので、フォトレジストを用いている。以下、ネガ型フォトレジストを、ネガ型レジスト、ポジ型フォトレジストをポジ型レジストと略記している。
(1)まず図1(a)に示すように、発熱抵抗体1を備えた基板2上に、光カチオン重合開始剤を含有し、且つエポキシ樹脂を主成分とするネガ型レジストである第1のノズル構成樹脂層3を塗布する。
(2)次に第1のノズル構成樹脂層3が感光性を有する波長域の光にて露光し、ベーク、現像を行うことで、流路壁パターン30が形成され、流路壁パターン(側壁)30により規定された第1の流路パターンが形成される(図1(b))。ネガ型レジストは、露光された領域のネガ型レジストが、硬化する。この結果、第1のノズル構成樹脂層3の露光された領域が硬化性樹脂層となり、現像後に残り、流路壁パターンとなる。
(3)続いて基板2、及び上記にて形成した流路壁パターン30を、光分解可能な樹脂からなるポジ型レジスト10にて被覆する(図1(c))。
ポジ型レジスト10の膜厚は、後述の平坦化のため、第1のノズル構成樹脂層3の膜厚より厚くすることが好ましい。
(4)ここで図1(d)に示すようにCMPにて研磨を行う。CMPでは第1のノズル構成樹脂層からなる流路壁パターン30、及び光分解可能な樹脂層10を流路壁となる同じ高さまでで研磨し、平坦化層を形成する。
(5)その後、光カチオン重合開始剤を含有し、且つ、エポキシ樹脂を主成分とするネガ型レジストである第2のノズル構成樹脂層4を塗布する(図1(e))。
(6)次に第2のノズル構成樹脂層4が感光性を有する波長域の光にて露光し、ベークを行うことで、第2の流路パターンを規定する潜像パターン40が形成される(図1(f))。上述したようにネガ型レジストは、露光された領域のネガ型レジストが、硬化し、硬化樹脂層からなる潜像パターン40となり、潜像パターン40が現像後に残る領域となる。潜像パターン40により規定された第2の流路パターンが形成される。この結果、第1の流路パターンに接続する第2の流路パターンが形成される。
(7)次に、光カチオン重合開始剤を含有し、且つエポキシ樹脂を主成分とするネガ型レジストである第3のノズル構成樹脂層5を、潜像パターン40が形成された、第2のノズル構成樹脂層4上に塗布する(図1(g))。
(8)続いて第3のノズル構成樹脂層5が感光性を有する波長域の光にて露光し、潜像パターン50を形成し、潜像パターン50により規定された吐出口が形成された後、ベークを行う(図1(h))。
ここで第3のノズル構成樹脂層5に照射する光の波長域は、第1のノズル構成樹脂層3に照射する光、及び、第2のノズル構成樹脂層4に照射する光の波長域とは、異なるものを用いることで、第1及び第2のノズル構成樹脂層のパターン形状には、影響を与えない。
(9)次に、潜像パターン40、及び、潜像パターン50を、一括現像し、吐出口6、及びその下方に相当する部分に流路パターンの一部を形成する第2の流路パターンが形成される。
(10)その後、基板2に基板を貫通し、ポジ型レジスト10に達する、流路に液体を供給のための供給口を形成した後(不図示)、光分解可能な樹脂層からなるポジ型レジスト10を溶出することで、第2の流路パターンに接続する第1の流路パターンが形成され、流路が形成される(図1(j))。
熱硬化のためのベーク工程を行った後、発熱抵抗体1を駆動するための電気的接合(図示せず)を行って、液体吐出記録ヘッドが完成される。
このようにして製造した液体吐出記録ヘッドには、図1(j)のI部の拡大断面図であ
る図4に示すように、第2のノズル構成樹脂層4と第1流路との界面には微小突起形状物9が発生するが、インク吐出口の基板面側には発生していない。インク吐出の特性上より重要である、インク吐出口の基板面側には発生しないので、流路内形状の非対称性によるインク液滴飛翔方向のずれは最小限に抑制され、またインクリフィル時の流れの障害による、リフィル周波数の低下も最小限に防止可能となる。
更に、ノズル構成樹脂層によって三次元的流路構造を形成するため、インクのリフィル特性に重要な流路の高さ、即ち光分解可能な樹脂層の高さを精度良く形成可能である。
更に、ノズル構成樹脂層が、光分解可能な樹脂層よりも先に基板上に形成されるので、光分解可能な樹脂層のパターニング不良、現像残渣などの悪影響を受けることはない。従ってノズル構成材料層と基板との高い密着信頼性が確保される。
よってヨレ、ムラ、ショボなどのない、高品位で且つ安定的にインク吐出が可能となる、液体吐出記録ヘッドを提供することができる。
(実施例1)
以下実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
(1)まず図1(a)のように、発熱抵抗体1を有する基板2上に、表1の組成のネガレジストからなる第1のノズル構成樹脂層3を膜厚が10μmになる様にスピンコートし、ホットプレートにて90℃3分プリベークした。
(表1)
商品名
エポキシ樹脂 ダイセル化学工業(株) EHPE 100重量部
セントラル硝子(株) 1、4HFAB 20重量部
旭電化工業(株) SP−170 2重量部
日本ユニカー(株) A−187 5重量部
メチルイソブチルケトン 100重量部
ジグライム 100重量部
(2)次にキヤノン製アライナーMPA−600を使用し、290〜400nmの波長の光を用いて、500mJ/cm2の露光を行い、PEB(Post Exposure Bake)を90℃4分行った後、メチルイソブチルケトン/キシレン=2/3の混合液により現像した。現像により、露光された領域が残り、流路壁パターン30が形成され、流路壁パターン(側壁)30により規定された第1の流路パターンが形成される(図1(b))。
(3)そして図1(c)に示すように、基板2及び流路パターン30を被覆するよう、膜厚15μmの光分解可能な樹脂であるポジ型レジスト10として、東京応化工業社製ODUR−1010をスピンコートにて塗布、ホットプレートにて120℃3分プリベークする。
(4)ここで図1(d)のようにCMPにて研磨を行う。研磨は、第1のノズル構成樹脂層3からなる流路壁30、及び光分解可能な樹脂層10を流路高さまで行い、平坦化層を形成する。
(5)次に第2のノズル構成樹脂層4として、上述の表1と同組成からなるネガレジストを膜厚が5μmになる様にスピンコートし、ホットプレートにて90℃3分プリベークした(図1(e))。
(6)ついで図1(f)に示すように、キヤノン製アライナーMPA−600を使用し、290〜400nmの波長の光を用いて、500mJ/cm2の露光を行い、PEBを90℃4分行った。露光された領域のネガ型レジストが、硬化し、硬化樹脂層からなる潜像パターン40となり、潜像パターン40が現像後に残る領域となり潜像パターン40により規定された第2の流路パターンが形成され、第1の流路パターンに接続する第2の流路パターンが形成された。
(7)引き続き図1(g)のように、第3のノズル構成樹脂層5として、表2の組成からなるネガレジストを膜厚が10μmになる様にドライフィルム化したものをラミネートした。ラミネートは圧力0.5MPa、温度50℃、速度0.1m/minで行った。
(表2)
商品名
ダイセル化学工業(株) EHPE 100重量部
セントラル硝子(株) 1、4HFAB 20重量部
旭電化工業(株) SP−172 6重量部
日本ユニカー(株) A−187 5重量部
キシレン 200重量部
(8)続いて図1(f)に示すように、キヤノン製アライナーFPA−3000iWを使用し365nmの波長の光を用いて2500J/m2の露光を行い、PEBを90℃4分行い、潜像パターン50を形成し、潜像パターン50により規定された口径10μmの吐出口が形成された。
(9)次にメチルイソブチルケトン/キシレン=2/3の混合液により現像、キシレンにてリンスすることにより、吐出口6と、第2の流路と、を形成した。
(10)次いで、基板を貫通し、ポジ型レジスト10に達する、液体供給のための供給口を形成(不図示)した後、光分解可能な樹脂3に対しウシオ電機製アライナーUX−3000にて30000mJ/cm2露光した。その後、乳酸メチルに超音波を付与することにより供給口を介して光分解可能な樹脂3を溶出させ、第2の流路パターンに接続する第1の流路パターンが形成され、流路が形成された。そして最後に発熱抵抗体1を駆動するための電気的接合(図示せず)を行って、液体吐出記録ヘッドが完成した。
尚、以下の実施例においても、膜厚等の寸法は実施例1と同様にして製造を行った。
(実施例2)
本実施例においては、上記実施例1と同様な方法により液体吐出記録ヘッドを作製する。但し上記実施例1(2)で行う第1のノズル構成樹脂層3の露光、及び(6)で行う第2のノズル構成樹脂層4の露光に、キヤノン製ステッパーFPA−3000EX6を使用し、248nmの波長の光を用いて400J/m2の露光を行った。インク吐出口のパターン露光と同様、本工程の露光にもステッパーを用いることで、より精度の高いパターンを形成することが可能となる。
(実施例3)
(1)まず発熱抵抗体1を有する基板2上に、第1のノズル構成樹脂層3として、上述の表2の組成からなるネガレジストをスピンコートし、ホットプレートにて90℃3分プリベークした。
(2)次にキヤノン製アライナーMPA−600を使用し、290〜400nmの波長の光を用いて、300mJ/cm2の露光を行い、PEBを90℃4分行った後、メチルイソブチルケトン/キシレン=2/3の混合液により現像し、流路壁パターン30を形成し、流路壁パターン30に規定された第1の流路パターンが構成された。
(3)そして基板2及び流路壁パターン30を被覆するよう、光分解可能な樹脂であるポジ型レジスト10として、東京応化工業社製ODUR−1010をスピンコートにて塗布、ホットプレートにて120℃3分プリベークする。
(4)ここでCMPにて研磨を行う。研磨は、第1のノズル構成樹脂層3からなる流路壁30、及び光分解可能な樹脂層10を流路高さまで行い、平坦化層を形成する。
(5)次に第2のノズル構成樹脂層4として、上述の表1と同組成からなるネガレジストをスピンコートし、ホットプレートにて90℃3分プリベークした。
(6)ついでキヤノン製アライナーMPA−600を使用し、290〜400nmの波長の光を用いて、300mJ/cm2の露光を行った後、PEBを90℃4分行い、潜像パターン40が形成され、潜像パターン40により規定された、第2の流路パターンが形成された。
(7)引き続き第3のノズル構成樹脂層5として、上述の表1の組成からなるネガレジストをドライフィルム化したものをラミネートした。ラミネートは圧力0.5MPa、温度50℃、速度0.1m/minで行った。
(8)続いてキヤノン製ステッパーFPA−3000EX6を使用し、248nmの波長の光を用いて400J/m2の露光を行った後、PEBを90℃4分行い、潜像パターン50を形成し、潜像パターン50により規定された吐出口が形成された。
(9)次にメチルイソブチルケトン/キシレン=2/3の混合液により現像、キシレンにてリンスすることにより、潜像パターン40及び潜像パターン50により規定された、吐出口6と、第2の流路と、を形成した。
(10)次いで、基板を貫通し、ポジ型レジスト10に達する、液体供給のための供給口を形成(不図示)した。その後、乳酸メチルに超音波を付与することにより供給口を介して光分解可能な樹脂3を溶出させ、流路を形成した。
(実施例4)
本実施例においては、上記実施例3と同様な方法により液体吐出記録ヘッドを作製する。但し上記実施例3(2)で行う第1のノズル構成樹脂層3の露光、及び(6)で行う第2のノズル構成樹脂層4の露光に、キヤノン製ステッパーFPA−3000iWを使用し365nmの波長の光を用いて2500J/m2の露光を行った。インク吐出口のパターン露光と同様、本工程の露光にもステッパーを用いることで、より精度の高いパターンを形成することが可能となる。
(実施例5)
実施例3では、第2のノズル構成樹脂層5を塗布後、露光し潜像パターン40を形成した後、第3のノズル構成樹脂層を塗布した後、第3のノズル構成樹脂層を露光し、潜像パターン50を形成した。
これに対し、実施例5では、第2のノズル構成材料4をスピンコート、プリベークした後、引き続き第3のノズル構成材料5をスピンコート、プリベークを行う。次に、290〜400nmの波長の光を用いて第2のノズル構成樹脂層4に露光とPEBを行い、第2の流路となる潜像パターン40を形成する。その後、更に、365nmの波長の光を用いて、第3のノズル構成樹脂層5に露光とPEBを続けて行い、吐出口となる潜像パターン50を形成し、その後、現像、リンスを行う。更にまた、第2の流路となる潜像パターン40を形成するための露光は、上記実施例4と同様、ステッパーにて行うことも可能である。
このようにして作製した液体吐出記録ヘッドを用いて印字記録を行った結果、ヨレ、ムラ、ショボなどのない、高品位な印字記録が可能であった。よってヨレ、ムラ、ショボなどのない、高品位で且つ安定的にインク吐出が可能となった。
実施例の液体吐出記録ヘッドの製造方法を示す模式的工程断面図。 従来例のインクジェット記録ヘッドの製造方法を示す模式的工程断面図。 従来例のインクジェット記録ヘッドの製造方法を示す模式的工程断面図。 図1のI部の拡大断面図。 図2のII部の拡大断面図である。 図3のIII部の拡大断面図である。
符号の説明
1 発熱抵抗体
2 基板
3 第1のノズル構成樹脂層(ネガ型レジスト)
4 第2のノズル構成樹脂層(ネガ型レジスト)
5 第3のノズル構成樹脂層(ネガ型レジスト)
6 吐出口
8 吐出口端部
9 微小突起形状物
10 光分解可能な樹脂(ポジ型レジスト)

Claims (8)

  1. 基板の記録素子が形成された面の上に、液体と吐出する吐出口と、該吐出口に連通する流路をと有し、該記録素子が形成された基板面に対して垂直方向に液体が吐出される液体吐出記録ヘッドの製造方法であって、
    前記基板上に光カチオン重合開始剤を含有し且つエポキシ樹脂を主成分とする第1のネガ型感光性樹脂層を形成する工程と、
    前記第1のネガ型感光性樹脂層から、硬化樹脂層からなる側壁で規定された前記流路の一部となる第一の流路パターンを形成する工程と、
    基板上に、ポジ型感光性樹脂を用いて、前記第一の流路パターンを少なくとも埋める第1のネガ型感光性樹脂層よりも厚いポジ型感光性樹脂層を形成する工程と、
    前記ポジ型感光性樹脂の表面を前記流路の側壁の上端面が露出するまで研磨し、前記ポジ型レジスト層の表面と前記流路の側壁の上端面とを含む平面に平坦化する工程と、
    前記平坦化により得られた平面に、光カチオン重合開始剤を含有し且つエポキシ樹脂を主成分とする第2のネガ型感光性樹脂層を形成する工程と、
    前記第2のネガ型感光性樹脂層上に、光カチオン重合開始剤を含有し且つエポキシ樹脂を主成分とする第3のネガ型感光性樹脂層を形成する工程と、
    前記第2のネガ型感光性樹脂層に前記第1の流路パターンと接続する第2の流路パターンを規定する第1の潜像を形成する工程と、
    前記第3のネガ型感光性樹脂層に吐出口のパターンを規定する第2の潜像を形成する工程と、
    前記第1の潜像及び前記第2の潜像を現像して未硬化部分を除去し、前記第2の流路パターン及び前記吐出口を形成する工程と、
    前記ポジ型感光性樹脂層を除去して、前記第1の流路パターンと前記第2の流路パターンからなる流路を形成する工程と、
    を有し、
    前記第2のネガ型感光性樹脂層、及び、前記第3のネガ型感光性樹脂層が、異なる感光波長域を有する
    ことを特徴とする、液体吐出記録ヘッドの製造方法。
  2. 前記第2のネガ型感光性樹脂層を形成後、前記第1の潜像を形成した後、前記第3のネガ型感光性樹脂層を形成し、前記第2の潜像を形成することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出記録ヘッドの製造方法。
  3. 前記第2のネガ型感光性樹脂層を形成後、前記第3のネガ型感光性樹脂層を形成し、その後、前記第1の潜像を形成した後、前記第2の潜像を形成することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出記録ヘッドの製造方法。
  4. 前記第2、及び、第3のネガ型感光性樹脂層を構成するネガ型感光性樹脂組成物は、主成分のエポキシ樹脂が同じであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の液体吐出記録ヘッドの製造方法。
  5. 前記第2及び第3のネガ型感光性樹脂層を構成するネガ型感光性樹脂組成物において、光カチオン重合開始剤としてそれぞれ異なる材料を用いることを特徴とする、請求項3に記載の液体吐出記録ヘッドの製造方法。
  6. 前記第3のネガ型感光性樹脂層の感光波長域が、365nmまたは248nmのいずれかの波長であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の液体吐出記録ヘッドの製造方法。
  7. 前記平坦化が、ケミカルメカニカルポリッシングによる研磨であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の液体吐出記録ヘッド製造方法。
  8. 請求項1から7に記載の液体吐出記録ヘッドの製造方法で製造されたことを特徴とする、液体吐出記録ヘッド。
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