JP5061956B2 - 圧電振動デバイスの周波数調整方法 - Google Patents

圧電振動デバイスの周波数調整方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子機器等に用いられる圧電振動デバイスの周波数調整方法に関する。
時計等のクロック源として広く用いられている音叉型水晶振動子は、図12に示すように、基部3と、当該基部の一端側から一方向に並行して延出された一対の振動腕2,2(以下、腕部と略記)とからなる音叉型水晶振動片1(以下、振動片と略記)の基部が、上部が開口した箱状の筐体(図14参照)内部の搭載電極に、接合材を介して接合され、さらに前記開口部分を、平板状の蓋体で封止材を介して気密封止した表面実装構造のものが一般的である。なお、前記腕部は、腕部の表裏の2つの主面と、腕部の内側と外側の2つの側面とを有している。
前記音叉型水晶振動子の製造工程の中に、周波数調整工程と呼ばれる工程がある。周波数調整工程は、所定の周波数範囲内に振動片の周波数を移行させるために、腕部先端領域に周設される調整用金属膜に対して、レーザービーム等を照射して当該調整用金属膜の質量削減を行う工程である。音叉型水晶振動片の発振周波数は、前記調整用金属膜の質量を削減することで上昇するが、前記調整用金属膜内においても先端部分と、先端部分から腕部の根元方向に離間した部分とでは、質量削減に対する周波数変化量(感度)が異なる。つまり、先端部分では感度が高くなっている(同一の質量では、先端部分の方が、先端部分から離間した部分よりも周波数変化量が大きい)。このことから、図12のように調整用金属膜を、腕部伸長方向に2つの領域に分割し、腕部先端に近い方の領域を粗調整領域、腕部先端から遠い方の領域を微調整領域としている。なお、図12は調整用金属膜に着目して図示しており、腕幅よりも幅広状態で強調して表示しているが、これは後述する側面の金属膜の存在を判りやすくするためであり、実際には薄膜状態で形成されている。このような調整用金属膜の構成は、例えば特許文献1に開示されている。
特開平11−195952号
前記調整用金属膜を、レーザービームを用いて質量削減(以下、レーザートリミングと略記)する場合を、図12を参照して説明する。まず、粗調整領域に対して腕部一主面の上方からレーザービームを照射するとともに、腕幅と平行方向(腕部伸長方向と直交する方向)で一方向(図12では左から右に向う方向となっている)に走査する。そして、レーザートリミングは調整用金属膜の領域内で、腕部先端側から腕部根元に向う方向に走査位置を移動させながら行われていく。このとき、粗調整での目標周波数範囲に到達するまでレーザービームが走査されるが、粗調整の完了後であっても、粗調整領域の金属膜が全て削減されるとは限らず、一部領域だけが削減されて、他の領域は残存した状態となることがある。同様に、微調整領域についても、微調整の完了後であっても、微調整領域の一部領域が残存した状態となることがある(図13参照)。また、前記調整用金属膜は腕部の表裏主面と内外側面の両方に形成(周設)されているが、従来のレーザートリミングは主面側の金属膜に対して行われ、前記調整用金属膜の稜部近傍へのレーザービームの照射時に、レーザービームが腕部側面側の調整用金属膜にも照射されることがある。このとき、腕部側面側の調整用金属膜は、前記稜部に近接する部分だけが削減されるだけであり、実質的にはレーザートリミングは主面側の調整用金属膜に対して行われており、内外側面の金属膜は周波数調整に有効活用されていない。
ところで近年、音叉型水晶振動片の小型化の進行により、従来のようにレーザービームで調整用金属膜の質量削減を行うだけでは充分な調整領域(調整量)を確保することが困難になってきており、レーザートリミングした後に、当該調整用金属膜の上に真空蒸着法によって、さらに金属膜を成膜(厚膜化)し、厚膜化された金属膜に対して再度レーザートリミングを行うといった作業を繰り返し行う必要がある。
前述のように、レーザートリミングと蒸着による成膜を繰り返し行うことは生産効率の悪化に繋がるとともに、厚膜化した金属膜に対してレーザービームを照射すると、削減される金属の質量も増大するため、微調整(少量削減)を行うのが困難になってくる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、小型化に対応し、効率良く周波数調整を行うことができる圧電振動デバイスの周波数調整方法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、基部と一対の腕部とからなる音叉型圧電振動片の、前記腕部の先端領域に周設された調整用金属膜の質量を削減することによって周波数の調整を行う、圧電振動子デバイスの周波数調整方法であって、前記調整用金属膜は、主面金属膜と側面金属膜とで構成され、前記側面金属膜の質量を削減することによって周波数調整を行う側面調整工程と、側面調整工程後に、前記主面金属膜の質量を削減することによって周波数調整を行う主面調整工程とからなる圧電振動デバイスの周波数調整方法であるので、前記調整用金属膜の形成領域を有効活用して周波数調整を行うことができる。
このような周波数調整方法によって、音叉型圧電振動片が小型になっても、側面の調整用金属膜も活用した調整が行われるため、充分な調整量を確保することができる。また、前記周波数調整方法によると、調整用金属膜が従来のように区画化されて制限されていないため、従来の微調整領域をも含めた領域を使って調整(金属膜の削減)を行うことができる。したがって、従来のように、調整量を確保するために調整用金属膜の質量削減後に再度、金属膜を成膜する必要がなくなり、生産効率を向上させることができる。
また、上記目的を達成するために、請求項2の発明によると、前記側面金属膜と主面金属膜の質量削減を、レーザービームによって行うので、側面調整工程および主面調整工程において、高効率で少量の金属膜の削減が可能となる。
また、上記目的を達成するために、請求項3の発明によると、レーザービームが、前記腕部の幅方向に横断するように走査されるとともに、前記走査の間、レーザービームが前記調整用金属膜に断続的に照射されて周波数の調整が行われる圧電振動子デバイスの周波数調整方法であって、前記走査時に、前記側面金属膜だけが質量削減される側面調整工程と、前記側面調整工程後の走査時に、前記主面金属膜だけが質量削減される主面調整工程とからなる圧電振動デバイスの周波数調整方法となっている。
以上のように、各調整工程においてレーザービームの断続的な照射によって、対象金属膜(側面金属膜または主面金属膜)だけが質量削減されるので、レーザービームを連続的に照射しながら走査する場合に比べ、無駄な照射を抑制することができる。したがって、よりピンポイントで目的の金属膜にレーザービームを照射することができるので、より効率的な周波数調整を行うことができる。
具体的には、目的の周波数範囲までの調整量の多少に応じて、前記側面金属膜あるいは主面金属膜の質量削減領域を任意に選択してレーザービームを照射することができるので、効率的な周波数調整を行うことができる。例えば、側面調整工程あるいは主面調整工程において、目標の周波数範囲までの調整量が多い場合は、調整感度が高い腕部先端に近い領域に対してレーザートリミングすればよく、逆に目標の周波数範囲までの調整量が少ない場合は、調整感度が低い腕部先端から離間した領域に対してレーザートリミングすればよい。
以上のように、本発明によれば、小型化に対応し、効率良く周波数調整を行うことができる圧電振動デバイスの周波数調整方法を提供することができる。
−第1の実施形態−
以下、音叉型水晶振動子を例に挙げて、本発明による第1の実施形態について、周波数調整工程を中心に説明する。本実施形態で使用される音叉型水晶振動子は、音叉型水晶振動片が、上部が開口した筐体内部の搭載電極上に金属バンプを介して接合され、前記開口部を、封止材を介して板状の蓋体で接合した構成となっている。ここで、本実施形態では音叉型水晶振動子の公称周波数は32.768kHzとなっている。なお、前記公称周波数は一例であり、他の周波数にも適用可能である。
前述の筐体(図示せず)はセラミックからなる容器体であり、焼成によって形成されている。前記筐体は、上部が開口した断面視凹形状で、当該筐体の内部には音叉型水晶振動片を搭載するための段差部が形成されている。そして前記段差部の上面には、一対の搭載電極が印刷技術により形成されている。前記搭載電極はタングステンを印刷焼成した後に、表面に金メッキ処理が施されている。搭載電極は、筐体内部に形成された配線導体を介して筐体底面(裏面)に形成されている外部端子と電気的に接続されている。筐体の開口部の周囲には堤状の直立体が環状に形成されており、当該直立体の上面には複数層からなる金属膜が周状に形成されている。前記金属膜は3層から構成されており、下からタングステン、ニッケル、金の順で積層されている。タングステンはメタライズ技術により、セラミック焼成時に一体的に形成され、ニッケル、金の各層はメッキ技術により形成される。なお、前記タングステンの層にモリブデンを使用してもよい。
図1は、本発明の第1の実施形態を示す音叉型水晶振動片の平面図である。なお、図1において音叉型水晶振動片に形成される各種電極の記載は省略している。音叉型水晶振動片1は、一対の腕部2,2と、基部3とからなり、平面視矩形状の1枚の水晶ウエハ(図示省略。以下ウエハと略記)から、多数個の音叉型水晶振動片1,1・・・(以下、振動片1と略記)が形成されている。本実施形態では、1枚のウエハから数千個の振動片が一括形成されている。なお、前記振動片の形成数は一例であり、1枚のウエハから数百個から数千個の振動片の一括形成も可能である。
前記振動片の外形は、フォトリソグラフィ技術を用いて、レジストまたは金属膜をマスクとしてエッチングによって一括的に成形されている。また、図1では図示していないが、振動片1の腕部2,2および基部3には各種電極(金属膜)が、真空蒸着とフォトリソグラフィ技術を用いて所定形状に形成されている。具体的には、振動片を駆動させるための励振電極(図示省略)が一対の腕部の、表裏側面に形成されている。そして、前記各種電極の内、図2(図1のA−A線における断面図)に示すように、腕部2の先端領域には金属膜20が周状に形成されており、当該金属膜20のさらに上層には、表主面金属膜41、裏主面金属膜42および外側面金属膜43、内側面金属膜44から構成される調整用金属膜4が周設されている。前記金属膜20は、金(Au)からなり、下地層としてクロム(Cr)が使用されている(下地層は図2では図示省略)。前記調整用金属膜4は金からなり、電解メッキ法によって成膜されている。なお、調整用金属膜4は電解メッキ法以外の方法によって成膜してもよい。例えば、真空蒸着法を用いて成膜してもよい。一方、基部3の表裏両面には、前記励振電極と接続し、金からなる一対の接合電極(図示省略)が、前記腕部2,2の電極(金属膜20および励振電極等)と同時に形成されている。したがって、前記接合電極もクロムを下地層として、その上層に金が成膜された構成となっている。なお、図1では調整用金属膜4は、腕幅よりも幅広状態で強調して表示しているが、これは前記外側面金属膜43および内側面金属膜44の存在を判りやすくするためであり、実際には薄膜状態で形成されている。
図3は、図1のB−B線における断面図である。なお、図3において前記金属膜20の記載は省略している。調整用金属膜4は振動片1の周波数を調整するために形成される金属膜であり、当該調整用金属膜4の質量を削減することによって、振動片1の周波数調整が行われる。なお、前記質量の削減によって、周波数は削減前よりも高くなる。
本発明の周波数調整工程は、側面調整工程と主面調整工程とに大別される。前記側面調整工程および主面調整工程には、目標周波数範囲(周波数規格)が各々設定されている。
まず、側面調整工程について図4乃至図6を基に説明する。図4は、本発明の第1の実施形態における側面調整工程を示す平面図であり、図5は本発明の第1の実施形態における側面調整後の状態を示す平面図を、図6は図5の腕部先端領域の側面図を表している。なお、図4乃至図6において腕部に形成される各種電極の記載は省略している。また、図4において、点a,b,c,・・・,h(計8点)は調整用金属膜の、外側面金属膜と表主面金属膜と内側面金属膜の各境界から外側に延出された仮想引き出し線である。
側面調整工程では、まずウエハの多数個の振動片1,1・・・の周波数を測定し、側面調整工程における目標周波数範囲(側面調整周波数規格)までの必要調整量(周波数変化量)を求めておく。そして、レーザービームを調整用金属膜4の外側面金属膜24と内側面金属膜23に対して照射し、当該金属膜の質量を削減する。これにより、振動片の周波数調整が行われる(側面調整工程)。
具体的には、レーザービームは腕部先端領域の一主面側に対して上方から照射されるが、図4に示すように、レーザービームの照射源(以下照射源と略記)は、一方向(左側から右側へ)で直線状に移動する。このとき、図4に示す点aよりも左側の位置から照射源の走査が開始されるが、この段階ではまだレーザービームは照射されていない。照射源が、点a(左側の腕部2の外側面金属膜43の外縁近傍)の上方に到達した時点でレーザービームが照射され始め、点b(左側腕部2の外側面金属膜43の表主面金属膜41との境界近傍)の上方に到るまでレーザービームが外側面金属膜43に照射され続ける。なお、このときレーザービームの焦点は外側面金属膜43の深さ方向の略中央部分に設定されている。照射源が、点bを通過(点bよりも右側に)し、点c(表主面金属膜41と内側面金属膜44との境界近傍)の上方に到達するまでの間は、レーザービームは照射されずに照射源が移動するだけとなっている。そして、照射源が点cの上方に到達すると、再びレーザービームが(内側面金属膜44に対して)照射され始め、点d(左側腕部2の内側面金属膜44の外縁近傍)の上方に到るまでレーザービームが内側面金属膜44に照射され続ける。なお、このときも外側面金属膜43へのレーザービームの照射時と同様に、焦点は内側面金属膜44の深さ方向の略中央部分に設定されている。
しかる後、照射源が点dを通過(点dよりも右側に)し、点e(内側面金属膜44と表主面金属膜41との境界近傍)の上方に到達するまでの間は、レーザービームは照射されずに照射源が移動するだけとなっている。以降は左側の腕部と同様に、点e−f間および点g−h間の各上方に照射源が位置している間にレーザービームが照射され続け、照射源が点f−g間の上方および、点gを通過(点gよりも右側に)するときはレーザービームは照射されない状態となっている。これを図示すると不連続な1本の直線となる。前記側面調整工程では、前記不連続な1本の直線で表される走査を1単位(1本)とし、腕部先端側から離間する方向(基部に近づく方向)に位置移動させながら、ウエハ内の多数個の振動片1,1・・・の各振動片の目標周波数までの調整量に応じて、複数本が走査される。なお、側面調整工程が完了した状態の平面図を図5に、図5を腕部外側面から見た側面図を図6に示す。図6に示すように外側面金属膜43はレーザービームの照射によって、部分的に金属膜が削減され、素地の水晶が露出した状態になっている。なお、水晶素地が露出していない状態であってもよい。つまり、側面金属膜(外側面、内側面)が薄肉状態で残存した状態であってもよい。
外側面および内側面の金属膜に、レーザービームを照射することで、当該金属膜の質量は削減され、振動片1の周波数は上昇するが、前述のように、ウエハ内の多数個の振動片1,1・・・の各振動片の目標周波数までの調整量に基づいて、レーザービームを走査させる本数(走査本数と略記)が決定される。つまり、多くの調整量を要する場合は、側面(外側面および内側面)金属膜の削減量を増加(走査本数を増加させる)させればよく、反対に少量の調整量で済む場合は前記金属膜の削減量を減少(走査本数を減少させる)させればよい。
本実施形態では、図5のように側面調整工程が終了した状態では、腕部の外側面と内側面の金属膜は1本の腕部および、左右の腕部において平面視で略左右対称となっている。このように略左右対称にすることで、屈曲振動する一対の腕部のバランスが良好となって好ましいが、平面視で略左右対称の形状に限定されるものではなく、外側面と内側面の金属膜は、1本の腕部あるいは左右の腕部において左右非対称であってもよい。なお、本実施形態では周波数を測定した後にレーザービームを照射しているが、周波数測定とレーザービームの照射を同時に行ってもよい。以上のようにして、ウエハ内の全ての振動片1,1・・・の各側面金属膜に対してレーザービームを照射し、当該側面金属膜の質量を削減することで振動片の周波数調整が行われる。
前述の側面調整工程が終了すると、主面調整工程に移行する。当該工程は、側面調整工程で側面調整周波数規格内に周波数調整された,各振動片1,1・・・の主面金属膜に対してレーザービームを照射し、目標周波数範囲(主面調整周波数規格)まで、前記主面金属膜の質量を削減することによって周波数を上昇させる工程である(主面調整工程)。
前記主面調整工程では、図7に示すように、調整用金属膜4の内、表主面金属膜41に対してのみ、レーザービームが左から右に向って照射される。具体的にはレーザービームは、まず表主面金属膜41の腕部先端に対して左から右方向に照射(1本の走査)され始め、腕部先端から遠ざかる方向に走査位置を移動させながらレーザービームを照射して主面金属膜21の質量を削減することによって周波数の調整を行う。つまり複数回の走査によって、主面金属膜21の質量を削減する。ここで、前記走査回数は各振動片の目標周波数規格までの調整量の多少に応じて調整される。なお、主面調整工程時にはレーザービームの焦点は、主面金属膜21に設定されている。
前記主面調整工程が完了した状態は、図8に示すように一対の腕部2,2の先端から主面金属膜21の一部分が削減されて、水晶素地が露出した状態となっている。なお、図8では水晶素地が露出しているが主面調整工程後において、水晶素地が露出していない状態であってもよい。つまり、主面金属膜が薄肉状態で残存した状態であってもよい。次に図8を腕部外側面から見た側面図を図9に示す。図9に示すように、表主面金属膜41へのレーザービームの照射時には、レーザービームが表主面金属膜41および振動片1(水晶)を貫通して裏主面金属膜42に到達し、当該裏主面金属膜42の質量も削減されることもある。
図9に示すように、本実施形態における主面調整工程では、側面調整工程で削減された側面金属膜23,24よりも上(腕部先端に近い方向)の位置にある表主面金属膜41に対して、レーザービームが左から右に照射されているが、このような照射位置に限定されるものではなく、前記照射位置は表主面金属膜41に対して任意の位置に設定可能である。例えば、一方(左側)の腕部で、残存している外側面金属膜43の上方を照射源が通過するときはレーザービームが照射されず、当該腕部の隣接する表主面金属膜41上方を通過するときはレーザービームが照射され続ける。そして、当該腕部の隣接する内側面金属膜44上の上方を照射源が通過するときはレーザービームが照射されない(他方(右側)の腕部2についても同様)ようにして周波数調整を行うことも可能である。つまり、図7でいえば、側面調整工程で残存した側面金属膜23,24の上部を横断するように、照射源を左から右に移動させながら、表主面金属膜41の上方を通過するときのみ、レーザービームを照射して、表主面金属膜41の質量を削減することによって、周波数の調整を行うようにしてもよい。以上のように本発明の周波数調整方法によれば、調整用金属膜の形成領域を有効活用して周波数調整を行うことができるため、効率的な周波数調整を行うことが可能となる。
なお、本実施形態では、レーザービーム照射源が移動しながら対象金属膜に対して、レーザービームが断続的に照射される形態となっているが、本形態に限定されるものではなく、例えばレーザービーム照射源が固定で、レーザービームの照射角度を可変させることによって、多数の振動片の調整用金属膜に対して断続的な照射を行ってもよい。
また、本発明の周波数調整方法によると、音叉型圧電振動片が小型になっても、側面の調整用金属膜も活用した調整が行われるため、充分な調整量を確保することができる。さらに、前記周波数調整方法によると、調整用金属膜が従来のように区画化されて制限されていないため、従来の微調整領域をも含めた領域を使って調整(金属膜の削減)を行うことができる。したがって、従来のように、調整量を確保するために調整用金属膜の質量削減後に再度、金属膜を成膜する必要がなくなり、生産効率を向上させることができる。
以上のようにして、以上のようにして、ウエハ内の全ての振動片1,1・・・の各主面金属膜に対してレーザービームを照射し、当該主面金属膜の質量を削減することで振動片の周波数の調整が行われる。ウエハ内の全ての振動片1,1・・・に対する周波数調整(主面調整工程)が完了すると、所定の工程を経た後に、ウエハから個片状態の振動片1,1に分割される。
分割された振動片1は、当該振動片の基部3に形成されている一対の接合電極が、筐体内部の,一対の搭載電極上に、金属バンプを介して接合される。
個片の振動片1が筐体内部に接合され、所定の工程を経た後、平板状で金属からなる蓋体の外周が、筐体の直立体の上面と略一致するようにして載置される。なお、前記蓋体の筐体との接合面と、筐体の直立体の上面には周状に封止材が形成されている。そして、レーザーを蓋体上方から照射して、前記封止材を溶融させることによって、蓋体と筐体とを気密接合する。以上で音叉型水晶振動子が完成となる。なお、本実施形態では振動片と筐体との接合材として金属バンプを用いているが、金属バンプ以外に、ペースト状の導電性接着材を使用してもよい。
−第2の実施形態−
なお、本発明の第2の実施形態を、図10乃至11を用いて説明する。図10は本発明の第2の実施形態を示す側面調整工程後の腕部先端の側面図であり、図11は本発明の第2の実施形態を示す主面調整工程後の腕部先端の側面図である。なお、図10乃至11において、簡略化のために一対の腕部2、2の内、1本の腕部2についてのみ表示しているとともに、振動片に形成される各種電極の記載は省略している。また、第1の実施形態と同様の構成については、同番号を付して説明を割愛するとともに、前述の実施形態と同様の効果を有する。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
図10は、図4で示す一対の腕部の内、右側の腕部の外側面方向から見た腕部先端領域の側面図である。本実施形態では、側面調整工程においてレーザービームが外側面金属膜43の腕部先端側の位置から連続走査されておらず、走査位置が離間した状態となっている。つまり、外側面金属膜43の腕部先端側から腕部根元に向かう方向にレーザービームの走査位置を移動させながら、ある領域までの外側面金属膜43の削減を行った後、当該削減領域から腕部根元に向かう方向に離間した位置の外側面金属膜43に再びレーザービームを照射して質量削減を行っている。このようにして、不連続なレーザービームの走査位置によって、図10に示すように外側面金属膜43が2つの領域に分断された状態となっている。本実施形態では、腕部先端に近い外側面金属膜の削減量が多く、腕部先端から遠い位置の外側面金属膜の削減量が少なくなっている。
このような構成によると、調整感度が高い,腕部先端付近で多くの調整量を稼いでおき、あと少量の調整量で足りる場合は、前記腕部先端側から外側面金属膜を連続して削減せず、調整感度が低い,腕部先端から腕部根元に向かう方向に離間した位置の外側面金属膜の質量を削減することによって、小刻みな調整が行うことができ、側面調整周波数規格への効率的な調整を行うことが可能となる。なお、前述の不連続なレーザービームの走査位置による外側面金属膜の領域分断は、外側面金属膜だけに限定されるものではなく、内側面金属膜だけ、あるいは外側面金属膜と内側面金属膜の両方に対しても適用可能である。
そして、前記側面調整工程の後に、表主面金属膜41の内、腕部先端側からレーザービームを走査し始め、腕部先端から腕部根元に向かう方向にレーザービームの走査位置を移動させて、表主面金属膜41の質量削減を行う(主面調整工程)。なお、図示していないが、前記主面調整工程においても前述のようにレーザービームの走査位置を不連続にすることで、主面金属膜の形成領域を分断してもよい。
本発明の実施形態では、側面調整工程では、側面金属膜(外側面,内側面)だけに、主面調整工程では、主面金属膜だけに、レーザービームを照射しているが、各工程におけるレーザービームの照射時に、照射対象となる金属膜に隣接する金属膜の一部分にもレーザービームが照射されることがあってもよい。つまり、各調整工程において、照射対象金属膜(側面調整工程では側面金属膜、主面調整工程では主面金属膜)に主としてレーザービームが照射されていればよく、隣接する非対象金属膜に僅かに照射されていても構わない。
本発明の実施形態では表面実装型の音叉型水晶振動子を例にしているが、音叉型水晶振動子以外にATカット水晶振動子や、水晶フィルタ、水晶発振器などの電子機器等に用いられる他の表面実装型の圧電振動デバイスの周波数調整方法にも適用可能である。
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
圧電振動デバイスの量産に適用できる。
本発明の第1の実施形態を示す音叉型水晶振動片の平面図。 図1のA−A線における断面図。 図1のB−B線における断面図。 本発明の第1の実施形態における側面調整工程を示す平面図。 本発明の第1の実施形態における側面調整後の状態を示す平面図。 図5の腕部先端領域の側面図。 本発明の第1の実施形態における主面調整工程を示す平面図。 本発明の第1の実施形態における主面調整後の状態を示す平面図。 図8の腕部先端領域の側面図。 本発明の第2の実施形態における側面調整後の状態を示す側面図。 本発明の第2の実施形態における主面調整後の状態を示す側面図。 従来の一例を示す、音叉型水晶振動片の周波数調整工程を示す平面図。 従来の一例を示す、音叉型水晶振動片の周波数調整後の平面図。 従来の一例を示す、音叉型水晶振動子の長辺方向断面図。
符号の説明
1 音叉型水晶振動片
2 腕部
3 基部
4 調整用金属膜
41 表主面金属膜
42 裏主面金属膜
43 外側面金属膜
44 内側面金属膜

Claims (3)

  1. 基部と一対の腕部とからなる音叉型圧電振動片の、前記腕部の先端領域に周設された調整用金属膜の質量を削減することによって周波数の調整を行う、圧電振動子デバイスの周波数調整方法であって、
    前記調整用金属膜は、主面金属膜と側面金属膜とで構成され、
    前記側面金属膜の質量を削減することによって周波数調整を行う、側面調整工程と、
    側面調整工程後に、前記主面金属膜の質量を削減することによって周波数調整を行う、主面調整工程と、
    からなる圧電振動デバイスの周波数調整方法。
  2. 前記側面金属膜と主面金属膜の質量削減を、レーザービームによって行うことを特徴とする、請求項1に記載の圧電振動デバイスの周波数調整方法。
  3. レーザービームが、前記腕部の幅方向に横断するように走査されるとともに、前記走査の間、レーザービームが前記調整用金属膜に断続的に照射されて周波数の調整が行われる圧電振動子デバイスの周波数調整方法であって、
    前記走査時に、前記側面金属膜だけが質量削減される側面調整工程と、
    前記側面調整工程後の走査時に、前記主面金属膜だけが質量削減される主面調整工程とからなる請求項1乃至2に記載の圧電振動デバイスの周波数調整方法。
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