JP5031526B2 - 圧電振動子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子時計や携帯電話などの電子機器に用いられる圧電振動子及びその製造方法に関する。
従来から水晶振動子などに代表される圧電振動子は、Q値が高く安定した周波数を発振することが出来るので、様々な電子機器の基準クロック源として用いられている。特に、腕時計や携帯電話等に搭載される圧電振動子は、小型薄型の要求が強く、表面実装タイプの高精度な圧電振動子が開発されている(例えば特許文献1参照)。
以下、従来例としての特許文献1の圧電振動子を図面に基づいて説明する。図9は、従来例としての圧電振動子の先端部分の断面図である。ここで、圧電振動子60はU型音叉タイプの圧電振動子であり、圧電振動片61の表裏両面及び側面にクロムによる電極膜がスパッタリングによって成膜され、パターニングにより電極膜62a〜62dが形成される。
ここで、電極膜62a、62bは励振用の電極膜である。また、圧電振動片61の上面側の先端付近に形成された電極膜62cには、第2の電極膜63と第3の電極膜64が順次スパッタリングによって成膜され、周波数微調整部65が形成される。また、圧電振動片61の裏面側の先端部に形成された電極膜62dには、銀(Ag)から成る周波数調整重りとしての粗調整膜66が形成される。
次に、圧電振動子60の振動周波数の調整は、まず、レーザ光L2によって粗調整膜66に複数の貫通孔66aを形成することにより圧電振動片61の振動周波数を粗調整し、その後、周波数微調整部65に、レーザ光L3を照射して複数の貫通孔65aを形成することにより、振動周波数の微調整を行う。この構成により、周波数調整範囲が広く、周波数をより細かく調整出来ることが開示されている。
特開2000−223993号公報(第3頁、第4図)
しかしながら、特許文献1の従来の圧電振動子60の粗調整膜66は、レジストを用いたスパッタリングで形成していると想定され、この形成法での調整膜は高精度に形成できる利点はあるが、製造工程が複雑であるために工数がかかって製造コストが高くなる問題がある。また、製造コストを安くするためには、メタルマスクを用いた真空蒸着によって調整膜を形成する方法があるが、この方法では調整膜の端縁の厚みが均一に成らず、端縁は膜の厚みが徐々に変わる厚み変化面が生じる。
図10は従来の圧電振動子60の粗調整膜66を、メタルマスクを用いた真空蒸着によって形成した一例を示している。ここで、67はメタルマスクであり、圧電振動子60をメタルマスク67に密着させて真空蒸着を行うことによって、メタルマスク67の開口部67aによって露出した電極膜62dに銀(Ag)が蒸着される。
しかし、メタルマスクによる真空蒸着は、メタルマスク67と圧電振動子60とに僅かではあるが隙間が生じる。また、メタルマスク67は過熱によって熱膨張し、開口部67
aに僅かではあるが位置的な変化が生じる。これらの要因により、形成される粗調整膜66の端縁の厚みは均一に成らず、図示するように粗調整膜66の端縁は、膜厚が徐々に変わる厚み変化面66bが生じる。
この厚み変化面66bにレーザ光を照射してトリミングを行うと、厚み変化面66bは膜厚が変化しているので、照射位置の違いによってレーザ光による1回のトリミング量(すなわち、飛散する銀の量)が変化する。このため、レーザ光による周波数調整の一定管理が出来ず、作業効率が悪化すると共に正確な周波数調整を行うことが困難となる。
図11は、メタルマスクによる真空蒸着で形成した粗調整膜66に、レーザ光L2によってレーザトリミングを行い、貫通孔66aを形成する一例を示している。ここで図示するように、粗調整膜66の端縁は厚み変化面66bが生じているので、正確な周波数調整を行うためには、端縁の厚み変化面66bの領域はトリミングを避ける必要がある。これにより、実際の粗調整領域は、図示するように粗調整膜66の中央部分だけの狭い領域となる。
このため、レーザトリミングによる周波数の粗調整範囲が狭くなるので、周波数調整作業に制限が生じる。この結果、目標とする周波数に調整できない圧電振動子が発生する割合が高くなり、圧電振動子の歩留まり低下等の問題が生じる。また、周波数調整範囲を広げようとするならば、粗調整膜66の面積を厚み変化面66bを考慮して広げる必要があるので、圧電振動子の形状が大きくなり小型化が困難となって、コストも高くなる。
また、従来例では、周波数微調整部65と粗調整膜66を圧電振動子60の表裏に対向して重なるように形成することも開示されている。しかし、この場合は粗調整のために粗調整膜66をレーザトリミングして貫通孔を形成すると、周波数微調整部65にも貫通孔が形成されてしまう。これでは、周波数を微調整するための周波数微調整部65の調整領域が少なくなり、この結果、微調整範囲が狭くなって、正確な周波数調整が困難となる。
本発明の目的は上記課題を解決し、圧電振動子を小型化する場合においても周波数調整の作業性を向上すると共に、低コストで高精度に周波数調整された圧電振動子及びその製造方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の圧電振動子及びその製造方法は、下記記載の構成と製造方法を採用する。
本発明の圧電振動子は、所定の周波数で振動する圧電振動片の表面に周波数調整用の第1の調整膜を、圧電振動片の裏面に周波数調整用の第2の調整膜を備えた圧電振動子において、
第2の調整膜は、圧電振動片の長手方向の端縁に周波数調整を行わない非調整領域を備えると共に、この非調整領域を除く部分であり厚みが略一定で振動周波数の調整を行う調整領域を有し、圧電振動片の厚さ方向から見て、非調整領域が第1の調整膜に重なることを特徴とする。
これにより、第2の調整膜の端縁が厚み変化面となって膜厚が均一でなくてもその均一でない部分は調整する必要がなく、厚みが略一定である調整領域のみを用いて周波数調整できるので、周波数調整の一定管理ができ、正確に作業性良く周波数調整ができる小型の圧電振動子を提供できる。
また、第1の調整膜は独立した2つの微調整膜で構成され、圧電振動片の厚さ方向から
見て、調整領域は2つの微調整膜の間隙に対向して配置されることを特徴とする。
これにより、2つの微調整膜の間隙から第2の調整膜の調整領域へレーザ光を確実に照射してトリミングを行うことができ、振動周波数の高精度な調整を行うことが出来る。また、レーザ光が二つの微調整膜を照射することがないので、微調整膜が不要なトリミングをされることがなく、調整範囲の広い圧電振動子を提供出来る。
また、第2の調整膜は、圧電振動片の先端から所定距離だけ離して形成することを特徴とする。
これにより、圧電振動片の先端の近くに、支持部や枠部が配置される圧電振動子において、圧電振動片に第2の調整膜を蒸着によって形成するとき、金属が支持部や枠部に付着することによって支持部や枠部をパッケージへ固定する時の平面度の不具合等を排除し、不良品の発生を防いで信頼性に優れた圧電振動子を提供することが出来る。
また、第1の調整膜は一つの微調整膜で構成され、圧電振動片の厚さ方向から見て、第2の調整膜の調整領域は微調整膜の無い無膜領域に対向して配置されることを特徴とする。これにより、微調整膜の無い無膜領域から第2の調整膜の調整領域へレーザ光を確実に照射してトリミングを行うことができ、振動周波数の高精度な調整を行うことが出来る。また、レーザ光が微調整膜を照射することがないので、微調整膜が不要なトリミングをされることがなく、調整範囲の広い圧電振動子を提供出来る。
また、第2の調整膜は、圧電振動片の振動周波数を粗く調整する粗調整膜であり、真空蒸着またはスパッタリングを用いて形成されることを特徴とする。
これにより、レーザ光で粗調整膜をトリミングすることにより、圧電振動子の振動周波数を粗く調整出来るので、圧電振動子の振動周波数が大きくずれていても目標の周波数に調整でき、不良品の発生を防いで高精度な圧電振動子を提供することが出来る。
また、第2の調整膜は、付着用マスクを用いた付着により形成される金属膜であり、更に、レーザ光を照射して振動周波数を調整する金属膜であることを特徴とする。
これにより、第2の調整膜を付着用マスクによる付着によって形成するので、コストの安い圧電振動子を提供出来る。
また、付着用マスクは、その材質を金属とするメタルマスク、その材質をセラミックスとするセラミックスマスク、その材質を水晶とする水晶マスク、その材質をシリコンとするシリコンマスクのいずれかであることを特徴とする。
これにより、付着用マスクに付着した金属をエッチングにより除去することで付着用マスクを再利用することができ、コストの安い圧電振動子を提供出来る。
本発明の圧電振動子の製造方法は、所定の周波数で振動する圧電振動片の表面に周波数調整用の第1の調整膜を、圧電振動片の裏面に付着用マスクを用いた付着により形成する周波数調整用の第2の調整膜を備え、第1の調整膜はイオンビームを照射して振動周波数を調整し、第2の調整膜はレーザ光を照射して振動周波数を調整する圧電振動子の製造方法において、
ウエハ上で、圧電振動片の外形を加工する外形加工工程と、
ウエハ上で、圧電振動片の電極膜と第1の調整膜を形成する電極膜形成工程と、
電極膜形成工程の後に、ウエハ上において第2の調整膜を形成する際に、圧電振動片の長手方向の端縁に周波数調整を行わない非調整領域を、圧電振動片の厚さ方向から見て第1の調整膜と重なるように付着用マスクを用いた付着により形成する第2の調整膜形成工程と、
ウエハ上において、第2の調整膜のうち非調整領域を除く部分であり厚みが略一定で振
動周波数の調整を行う調整領域を粗調整する粗調整工程と、
粗調整工程の後に、圧電振動子をパッケージに組み込むパッケージング工程と、パッケージング工程の後に、第1の調整膜を微調整する微調整工程と、
圧電振動子をパッケージ内に封止する封止工程と、を有することを特徴とする。
これにより、第2の調整膜を付着用マスクによる付着によって形成するので、コストの安い圧電振動子の製造方法を提供出来る。また、第1の調整膜をイオンビームで照射して周波数調整し、第2の調整膜をレーザ光で照射して周波数調整するので、振動周波数の調整範囲を広く、且つ、細かく出来、周波数調整の作業性が向上し、高精度な圧電振動子の製造方法を提供出来る。
また、付着用マスクを用いた付着によって形成される第2の調整膜の端縁が、厚み変化面となって膜厚が均一でなくてもその均一でない部分は調整する必要がなく、厚みが略一定である調整領域のみを用いて周波数調整できるので、周波数調整の一定管理ができ、正確に作業性良く周波数調整ができる圧電振動子の製造方法を提供できる
また、電極膜形成工程において、第1の調整膜は間隙を有する2つの微調整膜として形成され、粗調整工程において、2つの微調整膜の側から間隙を通って第2の調整膜の調整領域にレーザ光を照射することにより振動周波数を粗調整することを特徴とする。
これにより、2つの微調整膜の間隙から第2の調整膜の調整領域へレーザ光を確実に照射してトリミングを行うことができ、振動周波数の高精度な調整を行うことが出来る。また、レーザ光が二つの微調整膜を照射することがないので、微調整膜が不要なトリミングをされることがなく、調整範囲の広い圧電振動子の製造方法を提供出来る。
また、本発明の圧電振動子の製造方法の第2の調整膜は、真空蒸着またはスパッタリングを用いて形成されることを特徴とする。
これにより、製造工程が少なくコストの安い圧電振動子の製造方法を提供出来る。
また、本発明の圧電振動子の製造方法の付着用マスクは、その材質を金属とするメタルマスク、その材質をセラミックスとするセラミックスマスク、その材質を水晶とする水晶マスク、その材質をシリコンとするシリコンマスクのいずれかであることを特徴とする。
これにより、付着用マスクに付着した金属をエッチングにより簡単に除去して付着用マスクを再利用することができ、コストの安い圧電振動子の製造方法を提供出来る。
上記の如く本発明によれば、圧電振動子を小型化する場合においても周波数調整が確実で作業性が良く、低コストで高精度に周波数調整された小型の圧電振動子を提供することが出来る。
また、本発明の製造方法によれば、低コストで、周波数調整が確実で歩留まりが良く、高精度に周波数調整された小型の圧電振動子を製造することが出来る。
以下図1から図8を用いて本発明の実施の形態を詳述する。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態の圧電振動子を図面に基づいて説明する。ここで第1の実施形態の圧電振動子の特徴は、二つの微調整膜の間に間隙があり、圧電振動片の厚さ方向から見て、この間隙は粗調整膜の調整領域と重なり、粗調整膜の非調整領域は微調整膜と重なっていることである。
まず、図1に基づいて本発明の第1の実施形態である圧電振動子の主要部分の構成を説明する。図1において、1は本発明の第1の実施形態である圧電振動子であり、その振動脚先端付近を示している。この圧電振動子1は、水晶などから成る圧電振動片2によって構成される。ここで、3a、3bは圧電振動片2の先端部2a近傍の表面に形成されるクロム(Cr)による電極膜である。また、3cは圧電振動片2の先端部2a近傍の裏面に形成されるクロム(Cr)による電極膜である。
また、4a、4bはクロム(Cr)による電極膜3a、3bの上に形成される金(Au)による周波数調整用の第1の調整膜としての微調整膜である。この微調整膜4a、4bは、独立した二つの微調整膜として構成され、微調整膜4a、4bの間には、間隙5が形成されている。また、4cはクロムによる電極膜3cの上に形成される金(Au)による電極膜であり、微調整膜4a、4bに対向して形成される。すなわち、微調整膜4a、4bは圧電振動片2の表面に形成され、電極膜4cは圧電振動片2の裏面に形成される。
また、6は第2の調整膜としての粗調整膜であり、メタルマスク等の付着用マスクを用いて蒸着やスパッタリング等で金属膜を付着することによって前述の金(Au)による電極膜4cの上に形成される。尚、以降の説明において、付着用マスクの一例としてメタルマスクを使用した場合を説明し、第2の調整膜である粗調整膜6を付着する手法として蒸着を使用した場合を記載する。
この粗調整膜6は銀(Ag)、金(Au)、パラジウム(Pd)などによって成り、メタルマスク等による蒸着等によって形成するために、前述した如く、圧電振動片2の長手方向の両端縁に膜厚が不均一な厚み変化面6dが生じる。
この厚み変化面6dにレーザ光によるトリミングを行うと正確な周波数調整を行うことが出来ないので、厚み変化面6dの領域をトリミングを行わない非調整領域6a、6bと規定する。また、粗調整膜6は非調整領域6a、6bを除く部分であり、膜厚がほぼ一定な領域を調整領域6cとして規定し、この調整領域6cでトリミングを行い振動周波数の粗調整を行う。尚、粗調整膜6の膜厚は、一例として3μm程度である。
ここで、粗調整膜6の非調整領域6a、6bと微調整膜4a、4bの一部は、圧電振動片2の厚さ方向から見て重なっている。また、粗調整膜6の調整領域6cと微調整膜4a、4bの間隙5は、圧電振動片2の厚さ方向から見て、対向して配置されている。
尚、粗調整膜6は、前述した如く、メタルマスク等による蒸着等によって形成されるが、メタルマスクが圧電振動片2に対して僅かに位置ずれを起こすと、粗調整膜6の位置が圧電振動片2に対してずれることが考えられる。このため、粗調整膜6の厚み変化面6dが移動して非調整領域6a、6bから外れることがないように、粗調整膜6の非調整領域6a、6bは厚み変化面6dに対して余裕を持って広くすることが好ましい。
次に、レーザ光L1を粗調整膜6に照射することによる振動周波数の粗調整の概略を説明する。図1において、レーザ光L1を微調整膜4a、4bの側から微調整膜4a、4bの間隙5を通って粗調整膜6の調整領域6cに照射する。これにより、レーザ光L1は微調整膜4a、4bには照射されないので、微調整膜4a、4bはレーザ光L1によって何等影響を受けない。そして、レーザ光L1が照射された調整領域6cの箇所は、銀(Ag)が飛散してトリミングが行われる。
このように、圧電振動片2の厚さ方向から見て調整領域6cと間隙5が、対向しているので、レーザ光L1が二つの微調整膜4a、4bを照射して不要なトリミングをすること
がなく、粗調整膜6の調整領域6cを確実に照射してトリミングを行い、振動周波数の粗調整を行うことが出来る。
また、メタルマスクを用いた蒸着によって形成される粗調整膜6の端縁は、厚み変化面6dとなって膜厚が均一でないが、その厚み変化面6dを含んだ領域を非調整領域6a、6bとして調整領域6cから除いているので、レーザ光による粗調整を安定して高精度に行うことが出来る。
次に、振動周波数の微調整の概略を説明する。図1において、粗調整後にイオンビームI1を微調整膜4a、4bに照射して振動周波数の微調整が行われる。すなわち、イオンビームI1は、面照射して微調整膜4a、4bの金(Au)を僅かずつ飛散させ、振動周波数の微調整を行う。
ここで、微調整膜4a、4bの一部は、粗調整膜6の非調整領域6a、6bと圧電振動片2の厚さ方向から見て重なっているので、微調整膜4a、4bの面積を最大限に広く確保することが出来る。これにより、周波数調整領域が狭くても振動周波数の微調整範囲を広く確保できるので、周波数調整領域のスペース効率を高めて圧電振動子の小型化を実現出来る。
次に本発明の第1の実施形態の圧電振動子1の全体構成を図2(a)、図2(b)に基づいて説明する。ここで、図2(a)は圧電振動子1の平面図(表面から見た図)であり、図2(b)は圧電振動子1の下面図(裏面から見た図)である。図2(a)において、圧電振動子1は、U型音叉タイプの圧電振動片2によって構成され、2本の振動脚10a、10bによって成る振動部11と、振動部11を支持する支持部12とを有している。
ここで、振動脚10a、10bには、クロム(Cr)の上に金(Au)が成膜された励振電極膜13a、13bが形成され、支持部12には、同じくクロム(Cr)の上に金(Au)が成膜された端子電極14a、14bが形成されている。そして、励振電極膜13aと端子電極14bは図示するように電気的に接続され、励振電極膜13bと端子電極14aは、図示しないが圧電振動片2の側面に形成される電極膜を介して電気的に接続される。
これにより、外部の発振回路(図示せず)からの発振信号が、端子電極14a、14bを介して励振電極膜13a、13bに供給されると、圧電振動子1は固有の周波数で振動し、発振を継続することが出来る。また、圧電振動片2の先端である先端部2a近傍には、前述した如く、独立した二つの微調整膜4a、4bが形成され、この微調整膜4a、4bの間には、間隙5が備えられている。この微調整膜4a、4bは前述した如く、イオンビームの照射によって僅かに飛散し、圧電振動子1の振動周波数を微調整する。
次に圧電振動子1の裏面を説明する。図2(b)において、励振電極膜13a、13bと端子電極14a、14bは、圧電振動子1の表面と同様な構成であるので説明は省略する。また、圧電振動片2の先端である先端部2a近傍には、前述した如く、クロム(Cr)の上に成膜された金(Au)による電極膜4cが形成され、その上に銀(Ag)等による粗調整膜6が形成されている。
この粗調整膜6は、前述した如く、圧電振動片2の長手方向の両端縁に膜厚が不均一な厚み変化面を含む非調整領域6a、6bを有し、この非調整領域6a、6bを除いて膜厚がほぼ一定な調整領域6cを有している。そして、この調整領域6cは、圧電振動子1の表面にある微調整膜4a、4bの間隙5に対向し、厚み方向で重なっている。尚、圧電振動子1は、実際には、パッケージ内に組み込まれて製品化されるが、そのパッケージ構造
と製造工程は後述する。
以上のように、本発明の圧電振動子1は微調整膜4a、4bと粗調整膜6を圧電振動片2の表裏で対向し、微調整膜4a、4bと粗調整膜6の非調整領域6a、6bが厚み方向で重なっているので、限られたスペースで振動周波数の調整範囲を広く確保出来る。
また、粗調整膜6の調整領域6cと微調整膜4a、4bの間隙5が、圧電振動片2の厚さ方向で重なり対向しているので、レーザ光L1が微調整膜4a、4bを照射して不要なトリミングをすることがなく、振動周波数の粗調整と微調整をそれぞれ個別に調整することによって、高精度な圧電振動子を提供することが出来る。
次に本発明の第1の実施形態の他の例であるT型音叉タイプの圧電振動子の全体構成を図3(a)、図3(b)に基づいて説明する。ここで、図3(a)は圧電振動子の平面図であり、図3(b)は圧電振動子の下面図である。図3(a)において、20は本発明の第1の実施形態の他の例である圧電振動子である。この圧電振動子20は、T型音叉タイプの圧電振動片21によって構成され、2本の振動脚22a、22bによって成る振動部23と、振動部23を支持する略T型形状の支持部24とを有している。
ここで、振動脚22a、22bには、クロム(Cr)の上に金(Au)が成膜された励振電極膜25a、25bが形成され、支持部24には、同じくクロム(Cr)の上に金(Au)が成膜された端子電極26a、26bが形成されている。そして、励振電極膜25aと端子電極26bは図示しないが電気的に接続され、励振電極膜25bと端子電極26aは図示しないが電気的に接続される。
これにより、外部の発振回路(図示せず)からの発振信号が、端子電極26a、26bを介して励振電極膜25a、25bに供給されると、圧電振動子20は固有の周波数で振動し、発振を継続することが出来る。また、圧電振動片21の先端である先端部23a近傍には、前述した如く、独立した2つの微調整膜4a、4bが形成され、この微調整膜4a、4bの間には、間隙5が備えられている。この微調整膜4a、4bは前述した如く、イオンビームの照射によって僅かに飛散し、圧電振動子20の振動周波数を微調整する。
次に圧電振動子20の裏面を説明する。図3(b)において、励振電極膜25a、25bと端子電極26a、26bは、圧電振動子20の表面と同様な構成であるので説明は省略する。また、圧電振動片21の先端である先端部23a近傍には、前述した如く、クロム(Cr)の上に成膜された金(Au)による電極膜4cが形成され、その上に銀(Ag)による粗調整膜6が形成されている。
この粗調整膜6は、前述した如く、圧電振動片21の長手方向の両端縁に膜厚が不均一な厚み変化面を含む非調整領域6a、6bを有し、この非調整領域6a、6bを除いて膜厚がほぼ一定な調整領域6cを有している。そして、この調整領域6cは、圧電振動子20の表面にある微調整膜4a、4bの間隙5に対向し、厚み方向で重なっている。
この調整領域6cにレーザ光が照射されることによってトリミングが行われ、圧電振動子20の振動周波数が粗調整される。尚、圧電振動子20は、実際には、パッケージ内に組み込まれて製品化されるが、ここでの説明は省略する。
また、T型音叉タイプの場合、先端部23aと支持部24が近接しているので、粗調整膜6の形成時に金属が支持部24に付着することが考えられる。この場合には、支持部24をパッケージにマウントするときに、支持部24のマウントする面の平面度が出なくなりマウント時に不具合が出てしまう。
しかし、本発明の第1の実施形態においては、粗調整膜6は先端部23aから所定の距離だけ離れた位置に形成される。これにより、粗調整膜6が蒸着によって形成されるとき、粗調整膜6の銀(Ag)が飛散して支持部24をマウントするときの平面度がなくなる不具合を排除し、不良品の発生を防いで信頼性に優れた圧電振動子を提供することが出来る。
尚、このようなT型音叉タイプの圧電振動子20は、一般的なU型音叉タイプ(図2(a)参照)と比較して、支持部24の一部が振動部23の間に填め込まれた形状となるので、振動子の長手方向の長さを短く出来、圧電振動子の外形形状を小さくするのに好適である。
次に本発明の第1の実施形態の他の例である枠付き音叉タイプの圧電振動子の全体構成を図4(a)、図4(b)に基づいて説明する。ここで、図4(a)は圧電振動子の平面図であり、図4(b)は圧電振動子の下面図である。図4(a)において、30は本発明の第1の実施形態の他の例である圧電振動子である。この圧電振動子30は、U型音叉の支持部が枠と一体になった枠付き音叉タイプの圧電振動片31によって構成され、2本の振動脚32a、32bによって成る振動部33と、振動部33を支持する枠部34とを有している。
ここで、振動脚32a、32bには、クロム(Cr)の上に金(Au)が成膜された励振電極膜35a、35bが形成され、枠部34には、同じくクロム(Cr)の上に金(Au)が成膜された端子電極36a、36bが形成されている。そして、励振電極膜35aと端子電極36bは図示するように電気的に接続され、励振電極膜35bと端子電極36aは図示しないが電気的に接続される。
これにより、外部の発振回路(図示せず)からの発振信号が、端子電極36a、36bを介して励振電極膜35a、35bに供給されると、圧電振動子30は固有の周波数で振動し、発振を継続することが出来る。また、圧電振動片31の先端である先端部33a近傍には、独立した二つの微調整膜4a、4bが形成され、この微調整膜4a、4bの間には、間隙5が備えられている。この微調整膜4a、4bは前述した如く、イオンビームの照射によって僅かに飛散し、圧電振動子30の振動周波数を微調整する。
次に圧電振動子30の裏面を説明する。図4(b)において、励振電極膜35a、35bと端子電極36a、36bは、圧電振動子30の表面と同様な構成であるので説明は省略する。また、圧電振動片31の先端である先端部33a近傍には、クロム(Cr)の上に成膜された金(Au)による電極膜4cが形成され、その上に銀(Ag)による粗調整膜6が形成されている。
この粗調整膜6は、前述した如く、圧電振動片31の長手方向の両端縁に膜厚が不均一な厚み変化面を含む非調整領域6a、6bを有し、この非調整領域6a、6bを除いて膜厚がほぼ一定な調整領域6cを有している。
そして、この調整領域6cは、圧電振動子30の表面にある微調整膜4a、4bの間隙5に対向し、厚み方向で重なっている。この調整領域6cにレーザ光が照射されることによってトリミングが行われ、圧電振動子30の振動周波数が粗調整される。尚、圧電振動子30は、実際には、パッケージ内に組み込まれて製品化されるが、ここでの説明は省略する。
また、枠付き音叉タイプの場合、先端部33aと枠部34の側面が近接しているので、
粗調整膜6の形成時に金属が枠部34に付着することが考えられ、枠部34の端子電極36aと36bとが電気的にショートする等の危険性がある。
しかし、本発明の第1の実施形態においては、粗調整膜6は先端部33aから所定の距離だけ離れた位置に形成される。これにより、粗調整膜6が蒸着によって形成されるとき、粗調整膜6の銀(Ag)が飛散して粗調整膜6と枠部34の端子電極36a、36bがショートする等の危険性を排除出来る。
また、枠付き音叉タイプである圧電振動子30をパッケージに組み込む場合、枠部34をパッケージで挟み込み封止するが、枠部34に粗調整膜6の銀(Ag)が付着していると、枠部34とパッケージに隙間が出来て封止不良の原因となる。しかし、本発明の第1の実施形態においては、粗調整膜6は先端部33aから所定の距離だけ離れた位置に形成されるので、粗調整膜6の銀(Ag)が枠部34に付着することが無く、この問題も回避出来る。
尚、この枠付き音叉タイプの圧電振動子30は、枠部34が振動部33の支持部として一体化されているので、機械的強度が強く、U型音叉タイプ等と比較して更なる小型化が可能である。
このように、本発明の第1の実施形態は、圧電振動子がU型音叉タイプ、T型音叉タイプ、枠付き音叉タイプ等の様々な形状の圧電振動子に適応し、その特長を生かして大きな効果を発揮することが出来る。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態の圧電振動子の主要部分の構成を図5に基づいて説明する。ここで第2の実施形態の圧電振動子の特徴は、微調整膜は一つであり、圧電振動片の厚さ方向から見て粗調整膜の調整領域は微調整膜と重ならず、粗調整膜の非調整領域は微調整膜と重なっていることである。
図5において、40は本発明の第2の実施形態である圧電振動子であり、その振動脚先端付近を示している。この圧電振動子40は、水晶などから成る圧電振動片41によって構成される。ここで、42aは圧電振動片41の先端部41a近傍の表面に形成されるクロム(Cr)による電極膜であり、42bは圧電振動片41の先端部41a近傍の裏面に形成されるクロム(Cr)による電極膜である。
また、43aはクロム(Cr)による電極膜42aの上に形成される金(Au)による周波数調整用の第1の調整膜としての微調整膜である。また、43bはクロム(Cr)による電極膜42bの上に形成される金(Au)による電極膜であり、微調整43aに対向して形成される。すなわち、微調整膜43aは、圧電振動片41の表面に形成され、電極膜43bは、圧電振動片41の裏面に形成される。
また、44は第2の調整膜としての粗調整膜であり、メタルマスクによる蒸着によって前述の金(Au)による電極膜43bの上に先端部41aに接して形成される。この粗調整膜44は、銀(Ag)などによって成り、第1の実施形態と同様に、メタルマスクによる蒸着によって形成するために、圧電振動片41の長手方向の端縁(先端部41aから遠い位置)に膜厚が不均一な厚み変化面44cが生じる。
この厚み変化面44cにレーザ光によるトリミングを行うと正確な周波数調整を行うことが出来ないので、厚み変化面44cの領域をトリミングを行わない非調整領域44aと規定する。また、粗調整膜44は非調整領域44aを除く部分であり、膜厚がほぼ一定な
領域を調整領域44bとして規定し、この調整領域44bでトリミングを行い振動周波数の粗調整を行う。
ここで、粗調整膜44の非調整領域44aと微調整膜43aの一部は、圧電振動片41の厚さ方向から見て重なっている。また、粗調整膜44の調整領域44bは、圧電振動片41の厚さ方向から見て微調整膜43aの無い無膜領域45に対向して配置される。尚、図示しないが、粗調整膜44が先端部41aと接している部分に膜厚が不均一な厚み変化面が生じている場合は、その厚み変化面の領域も調整領域44bから除いて非調整領域と規定すると良い。
次に、レーザ光L1を粗調整膜44に照射することによる振動周波数の粗調整の概略を説明する。図5において、レーザ光L1を微調整膜43aの側から無膜領域45を通って粗調整膜44の調整領域44bに照射する。これにより、レーザ光L1は微調整膜43aに照射されないので、微調整膜43aはレーザ光L1によって何等影響を受けない。そして、レーザ光L1が照射された調整領域44bの箇所は、銀(Ag)が飛散してトリミングが行われる。
このように、粗調整膜44の調整領域44bは、圧電振動片41の厚さ方向から見て微調整膜43aの無い無膜領域45に対向して配置されているので、粗調整において、レーザ光L1が微調整膜43aを照射して不要なトリミングをすることがなく、粗調整膜44の調整領域44bを確実に照射してトリミングを行い、振動周波数の粗調整を行うことが出来る。
また、メタルマスクを用いた蒸着によって形成される粗調整膜44の端縁は、厚み変化面44cとなって膜厚が均一でないが、その厚み変化面44cを含んだ領域を非調整領域44aとして調整領域44bから除いているので、レーザ光による粗調整を安定して高精度に行うことが出来る。
次に、振動周波数の微調整の概略を説明する。図5において、粗調整後にイオンビームI1を微調整膜43aに照射して振動周波数の微調整が行われる。すなわち、イオンビームI1は、面照射して微調整膜43aの金(Au)を僅かずつ飛散させ、振動周波数の微調整を行う。
ここで、微調整膜43aの一部は、粗調整膜44の非調整領域44aと圧電振動片41の厚さ方向から見て重なっているので、微調整膜43aの面積を最大限に広く確保することが出来る。これにより、周波数調整領域が狭くても振動周波数の微調整範囲を広く確保できるので、周波数調整領域のスペース効率を高めて圧電振動子の小型化を実現出来る。
(製造方法の説明)
次に、図6〜図8に基づいて、本発明の第1の実施形態である圧電振動子1の製造工程の一例を説明する。まず、図6(a)において、外形加工工程は圧電材料である水晶等のウエハをエッチング等によって加工し、圧電振動片2を形成する。尚、図6(a)は、加工された圧電振動片2の振動脚先端付近の断面図である。
次に図6(b)に基づいて電極膜形成工程を説明する。この電極膜形成工程は、水晶等のウエハ上で、圧電振動片2の表面全体に対してスパッタリングによってクロム(Cr)の電極膜3を最初に成膜し、その次に、クロム(Cr)の電極膜3の表面に金(Au)の電極膜4を重ねて成膜する。これにより、圧電振動片2は、クロム(Cr)の電極膜3の上に金(Au)の電極膜4が積層されて表面全体が覆われる。
次に図6(c)に基づいて電極膜をパターニングするエッチング工程を説明する。このエッチング工程は、水晶等のウエハ上で、レジスト塗布、露光、現像、エッチング、レジスト剥離の各工程によって金(Au)の電極膜4とクロム(Cr)の電極膜3をパターニングし、微調整膜4a、4b及び電極膜4cが形成される。また、二つの微調整膜4a、4bの間には、電極膜の無い間隙5が形成される。尚、このエッチング工程によって、励振電極膜13a、13b(図2(a)参照)等も形成されるが、ここでは図示していない。
次に図7(d)に基づいて第2の調整膜形成工程としての粗調整膜形成工程を説明する。この粗調整膜形成工程において、水晶等のウエハ上で、メタルマスク47を圧電振動片2の裏面に位置決めして密着させる。ここで、メタルマスク47の開口部47aが粗調整膜を形成する電極膜4cの予め決められた位置に固定されるようにメタルマスク47は位置決めされる。
次に、このメタルマスク47が密着された圧電振動片2を真空中に置き、蒸着物質である銀(Ag)を過熱して蒸発させ、開口部47aによって露出している電極膜4c上に蒸着を行い、銀(Ag)による粗調整膜6が形成される。
このメタルマスクによる真空蒸着は、メタルマスク47と圧電振動片2との間に僅かではあるが隙間が生じる。また、メタルマスク47は過熱によって熱膨張し、開口部47aは僅かではあるが位置的な変化が生じる。これらの要因により、形成される粗調整膜6の端縁の膜厚は均一に成らず、膜厚が徐々に変わる厚み変化面6dが生じる。しかし、メタルマスクによる蒸着は、スパッタリング等と比較して工程が簡単で安いコストで実現できるメリットがある。
次に図7(e)に基づいて粗調整膜をレーザ光によって粗調整する粗調整工程を説明する。この粗調整工程は、水晶等のウエハ上で、レーザ光L1を微調整膜4a、4bの側から微調整膜4a、4bの間隙5を通って粗調整膜6の調整領域6cに照射する。すなわち、レーザ光L1は、圧電振動片2を通過して粗調整膜6に照射される。
これにより、レーザ光L1の1回の照射によって調整領域6cは、銀(Ag)が飛散して小さな貫通孔6eが形成され、圧電振動子1の脚部の質量が減少するので、振動周波数が変化して周波数調整を行うことが出来る。
ここでメタルマスクを用いた蒸着によって形成される粗調整膜6の端縁は、前述した如く、厚み変化面6dとなって膜厚が均一でないが、その厚み変化面6dを含んだ領域を非調整領域6a、6bとして調整領域6cから除いているので、レーザ光L1による粗調整を高い精度で安定して行うことが出来る。尚、この粗調整工程においては、圧電振動子の振動周波数を測定しながらレーザ光L1を複数回照射し、周波数の目標値に対して、例えば、数百ppm程度まで近づける調整を行う。
次に図8(f)に基づいて圧電振動子のパッケージング工程と、微調整膜をイオンビームによって微調整する微調整工程を説明する。ここでパッケージング工程は、レーザ光によって粗調整された圧電振動子1を個別に切断分離し、パッケージ50の内部にマウントする。すなわち、パッケージ50の内部にある支持台51に圧電振動子1の支持部12を導電性接着剤等(図示せず)によって固着し、圧電振動子1をマウントする。
次に微調整工程は、パッケージ50の上面に前述した粗調整膜形成工程で使用したメタルマスク47とは異なるメタルマスク48を被せ、イオンビームI1をメタルマスク48の開口部48a、48bを通して微調整膜4a、4bに照射する。これにより、イオンビ
ームI1は微調整膜4a、4bの金(Au)を僅かずつ飛散させ、圧電振動子1の脚部の質量が僅かずつ減少するので、振動周波数を微調整することが出来る。
ここで、微調整膜4a、4bは、前述した如く、粗調整膜6の非調整領域6a、6bと厚さ方向から見て重なっているので、スペース効率が良く、微調整膜4a、4bの面積は最大限に広く確保される。これにより、振動周波数の微調整範囲を十分広く確保できるので、周波数の粗調整が多少ずれていても、微調整工程によって目標とする振動周波数に精度良く調整することが出来る。また、周波数調整領域のスペース効率が優れているので、必要な周波数調整範囲を確保しつつ、圧電振動子の小型化を実現出来る。
次に図8(g)に基づいて圧電振動子をパッケージ内に真空封止する封止工程を説明する。この封止工程は、真空状態でパッケージ50に蓋体52を蓋体52に配されたロウ材を溶融すること(図示せず)によって固着し、圧電振動子1を真空封止して製品として完成する。
尚、図示しないが、圧電振動子1の端子電極14a、14bは、支持台51を介してパッケージ50の裏面に形成される電極に電気的に接続され、パッケージ50が実装されることによって、圧電振動子1は、外部の発振回路等に接続されて動作する。尚、この製造方法の説明で用いたU型音叉タイプ以外の圧電振動子の製造工程も、基本的には同様であるので説明は省略する。
以上のように本発明によれば、周波数調整が確実で作業性が良く、低コストで高精度に周波数調整された小型の圧電振動子を提供することが出来る。また、本発明の製造方法は、粗調整膜をメタルマスクによる蒸着で形成しているので、製造工程が簡単であり、低コストで高精度に周波数調整された小型の圧電振動子を製造することが出来る。
尚、本発明の実施形態では、粗調整膜(Ag)と電極膜(Au)とを接合するように示したが、粗調整膜(Ag)と電極膜(Au)との間にクロム(Cr)膜を形成してもよい。この場合には、粗調整膜(Ag)の密着性が向上する。また、本発明の実施形態で示した図において、振動脚先端部の側面には電極膜が存在しないように描いてあるが、省略して描いたものであり、実際には振動脚先端部の側面にも電極膜が存在する。
また、本発明の実施形態では、付着用マスクはその材質を金属とするメタルマスクとして記載したが、付着用マスクはこれに限定されず、付着用マスクはその材質をセラミックスとするセラミックスマスク、その材質を水晶とする水晶マスク、その材質をシリコンとするシリコンマスク等を用いることが出来る。これにより、付着用マスクに付着した金属をエッチングにより除去することで、付着用マスクを再利用することができるので、コストダウンができる。
上述した付着用マスクであれば、本発明は適応し、その効果を十分に発揮することが出来る。また、付着用マスクを用いた付着を真空蒸着として記載したが、これについても限定されず、付着は、スパッタリング等でも良い。
また、本発明の実施形態で示した断面図や工程図等は限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更することが出来る。
本発明の第1の実施形態の圧電振動子の振動脚先端付近の拡大断面図である。 (a)は本発明の第1の実施形態のU型音叉タイプの圧電振動子の平面図であり、(b)は下面図である。 (a)は本発明の第1の実施形態のT型音叉タイプの圧電振動子の平面図であり、(b)は下面図である。 (a)は本発明の第1の実施形態の枠付き音叉タイプの圧電振動子の平面図であり、(b)は下面図である。 本発明の第2の実施形態の圧電振動子の振動脚先端付近の拡大断面図である。 (a)は本発明の圧電振動子の外形加工工程を示す圧電振動子先端付近の断面図である。(b)は圧電振動子の電極膜を形成する電極膜形成工程を示す圧電振動子先端付近の断面図である。(c)は圧電振動子の電極膜をパターンニングするためのエッチング工程を示す圧電振動子先端付近の断面図である。 (d)は本発明の圧電振動子の粗調整膜をメタルマスクを用いた蒸着により形成する粗調整膜形成工程を示す圧電振動子先端付近の断面図である。(e)は圧電振動子の粗調整膜をレーザ光によって粗調整する粗調整工程を示す圧電振動子先端付近の断面図である。 (f)は圧電振動子をパッケージに組み込むパッケージング工程の後に圧電振動子の微調整膜をイオンビームによって微調整する微調整工程を示す圧電振動子の断面図である。(g)は圧電振動子をパッケージ内に真空封止する封止工程を示す圧電振動子の断面図である。 従来の圧電振動子の先端部分の断面図である。 従来の圧電振動子の粗調整膜をメタルマスクを用いた真空蒸着によって形成する説明図である。 従来の圧電振動子をレーザ光によって粗調整する説明図である。
符号の説明
1、20、30、40 圧電振動子
2、21、31、41 圧電振動片
2a、23a、33a、41a 先端部
3a、3b、4c、42a、42b 電極膜
4a、4b、43a 微調整膜
5 間隙
6、44 粗調整膜
6a、6b、44a 非調整領域
6c、44b 調整領域
6d、44c 厚み変化面
6e 貫通孔
10a、10b、22a、22b、32a、32b 振動脚
11、23、33 振動部
12、24 支持部
13a、13b、25a、25b,35a、35b 励振電極膜
14a、14b、26a、26b、36a、36b 端子電極
34 枠部
45 無膜領域
47、48 メタルマスク
47a、48a、48b 開口部
50 パッケージ
51 支持台
52 蓋体
L1 レーザ光
I1 イオンビーム

Claims (11)

  1. 所定の周波数で振動する圧電振動片の表面に周波数調整用の第1の調整膜を、前記圧電振動片の裏面に周波数調整用の第2の調整膜を備えた圧電振動子において、
    前記第2の調整膜は、前記圧電振動片の長手方向の端縁に周波数調整を行わない非調整領域を備えると共に、この非調整領域を除く部分であり厚みが略一定で振動周波数の調整を行う調整領域を有し、
    前記圧電振動片の厚さ方向から見て、前記非調整領域が前記第1の調整膜に重なることを特徴とする圧電振動子。
  2. 前記第1の調整膜は独立した2つの微調整膜で構成され、前記圧電振動片の厚さ方向から見て、前記調整領域は前記2つの微調整膜の間隙に対向して配置されることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動子。
  3. 前記第2の調整膜は、前記圧電振動片の先端から所定距離だけ離して形成することを特徴とする請求項1または2に記載の圧電振動子。
  4. 前記第1の調整膜は一つの微調整膜で構成され、前記圧電振動片の厚さ方向から見て、前記第2の調整膜の調整領域は前記微調整膜が無い無膜領域に対向して配置されることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動子。
  5. 前記第2の調整膜は、前記圧電振動片の振動周波数を粗く調整する粗調整膜であり、真空蒸着またはスパッタリングを用いて形成される金属膜であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の圧電振動子。
  6. 前記第2の調整膜は、付着用マスクを用いた付着により形成される金属膜であり、更に、レーザ光を照射して振動周波数を調整する金属膜であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の圧電振動子。
  7. 前記付着用マスクは、その材質を金属とするメタルマスク、その材質をセラミックスとするセラミックスマスク、その材質を水晶とする水晶マスク、その材質をシリコンとするシリコンマスクのいずれかであることを特徴とする請求項6に記載の圧電振動子。
  8. 所定の周波数で振動する圧電振動片の表面に周波数調整用の第1の調整膜を、前記圧電振動片の裏面に付着用マスクを用いた付着により形成する周波数調整用の第2の調整膜を備え、前記第1の調整膜はイオンビームを照射して振動周波数を調整し、前記第2の調整膜はレーザ光を照射して振動周波数を調整する圧電振動子の製造方法において、
    ウエハ上で、前記圧電振動片の外形を加工する外形加工工程と、
    前記ウエハ上で、前記圧電振動片の電極膜と前記第1の調整膜を形成する電極膜形成工程と、
    前記電極膜形成工程の後に、前記ウエハ上において前記第2の調整膜を形成する際に、前記圧電振動片の長手方向の端縁に周波数調整を行わない非調整領域を、前記圧電振動片の厚さ方向から見て前記第1の調整膜と重なるように前記付着用マスクを用いた付着により形成する第2の調整膜形成工程と、
    前記ウエハ上において、前記第2の調整膜のうち前記非調整領域を除く部分であり厚みが略一定で前記振動周波数の調整を行う調整領域を粗調整する粗調整工程と、
    前記粗調整工程の後に、前記圧電振動子をパッケージに組み込むパッケージング工程と、

    前記パッケージング工程の後に、前記第1の調整膜を微調整する微調整工程と、
    前記圧電振動子を前記パッケージ内に封止する封止工程と、を有することを特徴とする圧電振動子の製造方法。
  9. 前記電極膜形成工程において、前記第1の調整膜は間隙を有する2つの微調整膜として形成され、前記粗調整工程において、前記2つの微調整膜の側から前記間隙を通って前記調整領域に前記レーザ光を照射することにより前記振動周波数を粗調整することを特徴とする請求項8に記載の圧電振動子の製造方法。
  10. 前記第2の調整膜は、真空蒸着またはスパッタリングを用いて形成されることを特徴とする請求項8または9に記載の圧電振動子の製造方法。
  11. 前記付着用マスクは、その材質を金属とするメタルマスク、その材質をセラミックスとするセラミックスマスク、その材質を水晶とする水晶マスク、その材質をシリコンとするシリコンマスクのいずれかであることを特徴とする請求項8から10のいずれか一項に記載の圧電振動子の製造方法。
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