JP5060999B2 - ベーンポンプ - Google Patents

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Description

本発明は、ベーンポンプに関する。
従来のベーンポンプとして、回転部に、径方向と交叉しつつ径外側に向けて直線状に伸びるスリットを複数形成し、各スリットにベーンを突没可能に収容したベーンポンプが知られている(例えば特許文献1)。
特開昭62−291488号公報
しかしながら、この種のベーンポンプでは、ベーンが径方向と交叉する方向に突没するため、ベーンが径方向に沿って突没するタイプに比べて、回転部の回転に伴ってベーンに対して径方向外側に作用する遠心力の突没方向突出側の成分(遠心力の分力)が小さくなってしまう。このため、ベーンの突没方向突出側の端部とベーンが摺接する摺接面との間に隙間が生じやすくなって、吐出効率の低下につながる虞があった。
そこで、本発明は、ベーンが径方向と交叉する方向に突没するタイプで、ベーンに対する径外側への付勢力をより増大させることが可能なベーンポンプを得ることを目的とする。
請求項1の発明にあっては、ケーシング内で回転する回転部の基体部に当該回転部の回転軸の径方向と交叉しつつ径外側に向けて直線状に伸びて径外側に開口する複数のスリットを形成し、各スリットにベーンを突没可能に収容し、ケーシング内で上記基体部の周囲に形成された環状室を上記複数のベーンで区画して複数のポンプ室を形成し、回転部を回転させることで上記ポンプ室の容積を周期的に増減させて当該ポンプ室に吸入した流体を吐出するように構成したベーンポンプにおいて、流体の作用によって上記ベーンに突没方向突出側の付勢力を付加する付勢機構を設け、前記ベーンの突没方向突出側端部の回転方向手前側の部分を回転方向先方側に向けて凹設して先端凹部を設け、当該先端凹部とベーンの突没方向突出側の端部が摺接する摺接面との間にキャビティを形成し、前記キャビティは、前記ベーンが前記スリットに対して突出する状態から没入する状態にわたり形成され、前記付勢機構を、ベーンの内周面に対する相対移動に伴って前記キャビティまたはその近傍に流体渦を生じさせ、当該流体渦の負圧によってベーンを突没方向突出側に付勢するものとして構成したことを特徴とする。
請求項1の発明によれば、流体の作用による付勢機構によってベーンを突没方向突出側に付勢する分、ベーンの突出側の端部と当該ベーンが摺接する摺接面との間に隙間が生じにくくなり、吐出効率の低下を抑制することができる。
また、キャビティまたはその近傍に流体渦を生じさせ、その流体渦の負圧を利用してベーンに突出方向の付勢力を与えることができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施形態および複数の変形例には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素については、重複する説明を省略し、共通の符号を付与することとする。
(第1実施形態)図1は、本発明の第1実施形態にかかるベーンポンプの回転軸と直交する断面での断面図、また、図2は、ベーンポンプの分解斜視図である。なお、以下では、便宜上、図2の上側を回転軸Axの軸方向一方側、下側を軸方向他方側とする。
まずは、図1を参照して、ベーンポンプ1の作動流体の吸入および吐出に関わる構成について説明する。
本実施形態にかかるベーンポンプ1では、図1に示すように、ケーシング2内で、円環状のリング3の略円筒状の内周面3aと回転軸Axを中心に回転する回転部4の略円柱状の基体部5の外周面5aとの間に、作動流体(液体)を収容する環状室6が形成されている。環状室6の幅wは、回転軸Axの周方向に沿って変化している。本実施形態では、内周面3aの中心Cと回転軸Axとを平行にずらして、リング3の内周面3aと回転部4の基体部5とを偏心させてある。このため、環状室6の幅wは、図1の右端の位置で最小となり、当該右端の位置から時計回り方向に徐々に拡がって左端の位置で最大となり、当該左端の位置から右端の位置に向けて時計回り方向に徐々に狭まって最小となっている。
基体部5には、回転部4の回転軸Axの径方向と交叉しつつ径外側に向けて直線状に伸びて径外方向に開口する複数(本実施形態では4つ)のスリット7が形成されており、各スリット7には略角棒状または略帯板状のベーン8が突没可能に収容されている。ベーン8は、回転部4の回転に伴って径外方向に遠心力が作用し、その分力によって、スリット7内で突没方向突出側に付勢される。このため、ベーン8は内周面3aと摺接しながら回転部4とともに回転することになる。
環状室6は、周方向に一定のピッチで配置された複数のベーン8によって、同数(本実施形態では4つ)のポンプ室9に区画されている。回転部4およびベーン8の回転に伴い、ポンプ室9の容積は、環状室6の幅wの変化に従って変化することになる。すなわち、各ポンプ室9の容積は、図1の右端の位置で最小となっている。そして、回転部4の回転方向RD(図1の時計回り方向)への回転に伴って漸増し、左端の位置で最大となる。その位置からさらに回転部4が時計回り方向に回転すると、ポンプ室9の容積は漸減し、右端の位置で最小となる。つまり、本実施形態では、回転部4の1周回のうち図1の下半分の区間でポンプ室9の容積が拡大し、上半分の区間でポンプ室9の容積が縮小する。このため、リング3の内周面3aおよびケーシング2(第1のケーシング10)に、ポンプ室9の容積が拡大する区間に臨ませて吸入開口11を設けるとともに、ポンプ室9の容積が縮小する区間に臨ませて吐出開口12を設けてある。吸入開口11は、第1のケーシング10の側面上に突設された吸入パイプ13内の吸入通路14と連通し、吐出開口12は、吸入パイプ13と平行に突設された吐出パイプ15内の吐出通路16と連通している。
したがって、図1において、回転部4が回転方向RDに回転すると、隣接する2枚のベーン8によって区画されるポンプ室9は、右端の位置から容積を拡大させながら左端の位置まで移動する。このため、吸入通路14から吸入開口11を介してポンプ室9内に作動流体が流入する。そして、ポンプ室9は、左端の位置から容積を縮小しながら右端の位置まで移動する。このため、当該ポンプ室9から吐出開口12を介して吐出通路16に作動流体が流出する。複数のポンプ室9についてこのような作動流体の流入および流出が順次行われ、以て、ベーンポンプ1による連続的な作動流体の吸入および吐出が実現されている。
次に、図1および図2を参照して、本実施形態にかかるベーンポンプ1の各部の構成を詳細に説明する。
図2に示すように、回転部4の基体部5に形成されたスリット7は、軸方向他方側で、底壁部17によって塞がれており、ベーン8は、この底壁部17と摺接しながらスリット7内を往復動するようになっている。なお、底壁部17には、スリット7の径内側に連通する連通孔17a(図1参照)が形成されており、この連通孔17aを介してスリット7内に、底壁部17の裏側(軸方向他方側)から作動流体の与圧が導入されるようになっている。
底壁部17は、回転軸Axを中心とし当該回転軸Axと直交する円板状に形成されており、基体部5の外周面5aより外側までフランジ状に張り出している。そして、この底壁部17の外周縁に、略円筒状のスカート部18が突設されている。スカート部18は、回転軸Axと同心となっており、基体部5から離間する側(軸方向他方側)に向けて略一定の厚みで突出している。
このスカート部18は、回転部4を駆動するモータ19の回転子(ロータ)として機能するものであり、コイルの巻回されたステータコア20の周方向に沿ってN極S極が交互に着磁された着磁部18aを含んでいる。スカート部18のうち少なくとも着磁部18aとして機能する部分は、磁性材料によって構成される。この場合、スカート部18のうちティース20aに対向する部分のみを磁性材料(例えばフェライト磁石やサマリウムコバルト磁石等の硬磁性材料)によって構成してもよいし、スカート部18全体を磁性材料によって構成しても良いし、回転部4全体を磁性材料によって構成してもよい。この場合、樹脂材料に磁性材料からなる粉状や粒状の磁性フィラーを混合して、回転部4やスカート部18を成形することも可能である。
また、図1および図2に示すように、基体部5の外周面5aは一定のピッチで径内方向に凹設され、これにより羽根部5bが形成されている。この羽根部5bは、基体部5(回転部4)とともに回転し、吐出開口12と対峙するときにポンプ室9からの作動流体の排出性能を高めている。
また、基体部5(回転部4)の中央部には、シャフト21を回転自在に支持する軸受部(図示せず)が固定されている。そして、回転部4は、ケーシング2によって形成される内部空間内で回転軸Ax回りに回転するように構成されている。本実施形態では、ケーシング2は、軸方向一方側(図2の上側)に位置する第1のケーシング10と、軸方向他方側(図2の下側)に位置する第2のケーシング23と、環状室6の外周面(リング3の内周面3a)を形成するリング3と、を備えている。
リング3は、環状室6の外周面を形成する筒状部3bと、筒状部3bの軸方向他方側から回転軸Axの径外方向に張り出すフランジ部3cとを備え、さらに、吸入通路14および吐出通路16の側壁の一部を成すリブ3dを備えている。本実施形態では、円板環状のフランジ部3cから回転軸Axの軸方向に筒状部3bとリブ3dとが略同じ高さで立設された形状となっている。
このリング3は、図2に示すように、第1のケーシング10の下面側に形成された凹部(図示せず)内に収容される。すなわち、この凹部は、リング3の筒状部3bとリブ3dを嵌合する形状に凹設されている。また、リング3のフランジ部3cの外周部3eは、その凹部の反対側で第2のケーシング23の環状壁部23aと接触しており、この部分が第1のケーシング10と第2のケーシング23とによって挟持されることで、リング3が回転軸Axの軸方向に固定されている。
第2のケーシング23には、回転部4のスカート部18を収容する略円環状の凹部23bと、回転部4の軸受部(図示せず)のうち第2のケーシング23側(軸方向他方側、図2の下側)に突出する部分を収容する凹部23cとが形成されている。
凹部23bの外周にある環状壁部23aより径外側の領域は、第1のケーシング10との当接面となる。この当接面には、Oリング34用の溝部23dを略円環状に形成し、この溝部23d内に装着したOリング34によって、第1のケーシング10と第2のケーシング23との境界部分でのシールを確保してある。
凹部23cの底壁部と、第1のケーシング10との間にはシャフト21が架設され、このシャフト21の中心が回転軸Axとなっている。シャフト21は、回転部4の中心に設けた軸受部(図示せず)を貫通し、当該軸受部を回転自在に支持している。
また、図2に示すように、凹部23bと凹部23cとの間には、回転部4の反対側(軸方向他方側、図2の下側)から回転部4側に向けて突設された環状の突起部23fが形成されており、この突起部23fの裏側となる環状の凹部(図示せず)内にモータ19をなすステータコア20が収容されている。
ステータコア20は、図2に示すように、基板24の表面24aの中央に取り付けられており、回転軸Axと同心で中央に位置する円筒部20bと、円筒部20bから放射状に伸びてコイルが巻回された複数のティース20aとを備えている。
そして、基板24のステータコア20を設けた表面24aに、各種電子部品(図示せず)が実装され、モータ19の駆動回路やその他の回路が形成されている。本実施形態では、基板24に形成された駆動回路によって各ティース20aに巻回されたコイルの通電状態を適宜に切り替えてティース20aの外周部分における極性を切り替え、これにより、ティース20aに対して径外方向に対向する着磁部18a(スカート部18)に周方向の推力を与え、以て、回転部4を回転させるようになっている。よって、第2のケーシング23のうち、少なくとも、ステータコア20(ティース20a)の外周部とスカート部18との間に介在する隔壁部23gは、透磁性を有するものとする必要がある。このため、隔壁部23gあるいは第2のケーシング23の全体が、透磁性を有する材料(例えばステンレススチールや、樹脂材料等)で形成される。
基板24は、第2のケーシング23の下面側に形成された凹部(図示せず)を塞ぐようにして取り付けられており、さらに、基板24を、基板カバー25によって、回転部4の反対側(軸方向他方側)から覆ってある。基板カバー25には、基板24との間に電子部品を配置する間隔を確保するため、突条25aを設けてある。
第1のケーシング10および第2のケーシング23は、いずれも回転軸Axに沿う軸方向視で略正方形状の外形状を呈している。そして、これらケーシング10,23の四隅に、これらを締結するねじ26の貫通孔10a,23kを形成してある。これら貫通孔10a,23kにねじ26を挿通してナット27を螺結し、基板カバー25を貼り付けることで、ベーンポンプ1が組み立てられる。
なお、ベーンポンプ1をなす上記各構成部品の材料や製造方法は、上述した着磁性や透磁性の他、耐摩耗性、耐食性、耐膨潤性、成形性、部品精度等を考慮して適宜に選択される。
また、本実施形態では、回転部4に、その回転に伴って上記回転軸Axの軸方向一方側(図2では上側)への流体力を発生させる流体力発生部28としての傾斜面28Aを設け、回転部4を、底壁部17を設けた側と反対側に位置する第1のケーシング10に押し付けるようにしている。傾斜面28Aは、回転方向RDの手前側から先方側にかけて軸方向他方側(図2で下側)から一方側(同上側)に向けて傾斜して設定してある。このため、回転部4の回転に伴ってこの傾斜面28Aに当たった作動流体は、回転部4に上方向に向かう流体力を作用させ、軸方向一方側(図2の上側)に押し上げることになる。
そして、かかる軸方向一方側に向けて作用する流体力(推力)を受けながら回転する回転部4を摺動可能に支持するため、第1のケーシング10には、スラスト支持部(図示せず)を設けてある。また、軸受部の軸方向他方側にもワッシャ30を介在させてある。
上記構成のベーンポンプ1において、ベーン8には、回転部4の回転方向RDへの回転に伴って径方向外側(半径方向外側)に向けて遠心力が作用する。しかし、図1に示すように、本実施形態では、各スリット7は回転部4の回転軸Axの径方向と交叉しつつ径外側に向けて直線状に伸びており、ベーン8の突没方向も径方向に対して交叉する方向となっている。したがって、ベーン8には、回転部4の回転に伴って、遠心力の突没方向(径方向と交叉する方向)の分力が作用することになり、当該ベーン8に作用する突没方向突出側への力は、スリットが径方向に沿って伸びている場合に比べて小さくなってしまう。
そこで、本実施形態では、流体の作用によってベーン8に突没方向突出側の付勢力を付加する付勢機構35を設けてある。すなわち、ベーン8の突没方向突出側の端部の回転方向手前側の部分を回転方向先方側に向けて凹設して先端凹部8bを形成し、当該先端凹部8bとベーン8の突没方向突出側の端部8aに摺接するリング3の内周面(摺接面)3aとの間にキャビティCvを形成してある。かかる構成では、回転部4とともにベーン8が回転方向RDに回転すると、キャビティCvまたはその近傍に流体渦が生じ、この流体渦の負圧によって、ベーン8が突没方向突出側に付勢されることになる。
したがって、本実施形態によれば、流体の作用による付勢機構35によってベーン8を突没方向突出側に付勢する分、ベーン8の突出側の端部8aと当該ベーン8が摺接する摺接面としての内周面3aとの間に隙間が生じにくくなり、吐出効率の低下を抑制することができる。また、本実施形態では、流体の作用によって付勢する付勢機構としたため、スプリング等を設けて付勢力を増大させる場合に比べて、部品点数を減らすことができる上、質量の増大を抑制することができる。
(第2実施形態)図3は、本発明の第2実施形態にかかるベーンポンプの回転軸と直交する断面での断面図である。
本実施形態では、一端がベーン8Aの回転方向先方側に位置するポンプ室9に開口し、かつ他端が当該ベーン8Aの挿入されたスリット7の径内側の領域に開口する連通路35Aを設け、付勢機構35を、回転部4A(基体部5A)の回転に伴うポンプ室9の容積の減少に伴ってスリット7の径内側の領域の圧力(背圧)を高めることによりベーン8Aを突没方向突出側に付勢するものとして構成した点が、上記第1実施形態と相違している。
この連通路35Aは、スリット7(すなわちベーン8A)毎に設定されており、基体部5Aに、ベーン8Aの回転方向先方側に隣接するポンプ室9と当該ベーン8Aとを連通する貫通孔として形成してある。なお、ベーン8Aの突出側の端部8aは、略円柱状に形成してある。
本実施形態でも、上記第1実施形態と同様、流体の作用による付勢機構35によってベーン8Aを突没方向突出側に付勢する分、ベーン8Aの突出側の端部8aと当該ベーン8Aが摺接する摺接面としての内周面3aとの間に隙間が生じにくくなり、吐出効率の低下を抑制することができる。また、スプリング等を設けて付勢力を増大させる場合に比べて、部品点数を減らすことができる上、質量の増大を抑制することができるという効果もある。
さらに、本実施形態では、基体部5Aに貫通孔としての連通路35Aを形成することで、付勢機構35を比較的簡素な構成として得ることができる。
(第3実施形態)図4は、本発明の第3実施形態にかかるベーンポンプの回転軸と直交する断面での断面図、図5は、本実施形態にかかるベーンポンプの基体部およびベーンの一部を示す側面図である。
本実施形態でも、上記第2実施形態と同様、ポンプ室9とスリット7の径内側の領域とを連通する連通路35Bを設け、付勢機構35を、回転部4B(基体部5B)の回転に伴うポンプ室9の容積の減少に伴ってスリット7の径内側の領域の圧力(背圧)を高めることによりベーン8Aを突没方向突出側に付勢するものとして構成してある。
ただし、本実施形態では、連通路35Bを、ベーン8Aが収容された各スリット7の当該ベーン8Aに対して回転方向先方側となる側面7aに突没方向に沿って伸びる凹溝(35B)として形成した点が、上記第2実施形態と相違している。
本実施形態によれば、上記実施形態と同様の効果を得ることができる上、スリット7の側面7aに凹溝としての連通路35Bを形成することで、付勢機構35を比較的簡素な構成として得ることができる。
(第4実施形態)図6は、本発明の第4実施形態にかかるベーンポンプの回転軸と直交する断面での断面図、図7は、ベーンの斜視図である。
本実施形態でも、上記第2,第3実施形態と同様、ポンプ室9とスリット7の径内側の領域とを連通する連通路35Cを設け、付勢機構35を、回転部4C(基体部5C)の回転に伴うポンプ室9の容積の減少に伴ってスリット7の径内側の領域の圧力(背圧)を高めることによりベーン8Cを突没方向突出側に付勢するものとして構成してある。
ただし、本実施形態では、連通路35Cを、各ベーン8Cの回転方向先方側となる側面8cに突没方向に沿って伸びる凹溝(35C)として形成した点が、上記第2実施形態および第3実施形態と相違している。
さらに、この凹溝としての連通路35Cの突没方向突出側の端部8d(図7参照)を、ベーン8Cの突没方向突出側の端部8aより突没方向没入側に設定してある。かかる構成とすることで、回転部4C(基体部5C)ならびにベーン8Cの回転方向先方側への移動に伴って凹溝(35C)の突没方向突出側の端部8dに流体圧を作用させ、ベーン8Cに突没方向突出側に向かう付勢力を高めることができる。
以上の本実施形態によれば、上記実施形態と同様の効果を得ることができる上、ベーン8Cの側面8cに凹溝としての連通路35Cを形成することで、付勢機構35を比較的簡素な構成として得ることができる。また、突没方向突出側の端部8d(図7参照)を端部8aより突没方向没入側に設定したため、回転部4C(基体部5C)の回転方向RDへの回転に伴って端部8dに相対的に流体圧を作用させることができ、かかる流体圧によって、ベーン8Cに作用する突没方向突出側に向かう付勢力をより一層高めることができる。
(第5実施形態)図8は、本発明の第5実施形態にかかるベーンポンプの回転軸と直交する断面での断面図である。
本実施形態では、付勢機構35として、ベーン8Dの突没方向突出側の端部8aに回転方向先方側に向けて突出する突起8eを設けた点が、上記第1〜第4実施形態と相違している。
かかる構成では、回転部4D(基体部5D)ならびにベーン8Dの回転方向先方側への移動に伴って突起8eに流体圧を作用させ、ベーン8Dに突没方向突出側に向かう付勢力を高めることができる。
よって、本実施形態によれば、上記各実施形態と同様の効果を得ることができる上、ベーン8Dの端部8aに突起8eを設けることで、付勢機構35を比較的簡素な構成として得ることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。例えば、貫通孔として基体部に穿設される連通路は、ベーンが収容されるスリットの径内側の領域と当該ベーンの回転方向先方側に配置されるポンプ室とを連通するものとして構成すればよく、当該ベーンに隣接したポンプ室であることは必須ではない。ただし、ベーンに隣接するポンプ室が縮小される行程にあるときに、同じく縮小される行程にあるポンプ室に開口させておくのが好適である。すなわち、ポンプ室が縮小される行程で圧力が高まるのを効果的に利用して、ポンプ室が縮小される行程におけるリークを少なくすることができる。
また、スリットまたはベーンの側面に形成される連通路は軸方向の中央位置に形成することは必須ではなく、軸方向一端側や他端側など、適宜に変更可能である。
また、上記構成は適宜に組み合わせて実施することができるのは勿論である。例えば、ベーンに上記第1実施形態にかかる先端凹部(およびキャビティ)と第5実施形態にかかる突起とを設け、さらに第2〜第4実施形態にかかるいずれかの連通路を設けた構成として実施することが可能である。
本発明の第1実施形態にかかるベーンポンプの回転軸と直交する断面での断面図である。 本発明の第1実施形態にかかるベーンポンプの分解斜視図である。 本発明の第2実施形態にかかるベーンポンプの回転軸と直交する断面での断面図である。 本発明の第3実施形態にかかるベーンポンプの回転軸と直交する断面での断面図である。 本発明の第3実施形態にかかるベーンポンプの基体部およびベーンの一部を示す側面図である。 本発明の第4実施形態にかかるベーンポンプの回転軸と直交する断面での断面図である。 本発明の第4実施形態にかかるベーンポンプに用いられるベーンの斜視図である。 本発明の第5実施形態にかかるベーンポンプの回転軸と直交する断面での断面図である。
符号の説明
Ax 回転軸
Cv キャビティ
RD 回転方向
1 ベーンポンプ
2 ケーシング
3 リング(ケーシング)
3a 内周面(摺接面)
4,4A,4B,4C,4D 回転部
5,5A,5B,5C,5D 基体部
6 環状室
7 スリット
7a 側面
8,8A,8C,8D ベーン
8a (突出側の)端部
8b 先端凹部
8c 側面
8d 端部
8e 突起
9 ポンプ室
35 付勢機構
35A 連通路(貫通孔)
35B 連通路(凹溝)
35C 連通路(凹溝)

Claims (1)

  1. ケーシング内で回転する回転部の基体部に当該回転部の回転軸の径方向と交叉しつつ径外側に向けて直線状に伸びて径外側に開口する複数のスリットを形成し、各スリットにベーンを突没可能に収容し、ケーシング内で前記基体部の周囲に形成された環状室を前記複数のベーンで区画して複数のポンプ室を形成し、回転部を回転させることで前記ポンプ室の容積を周期的に増減させて当該ポンプ室に吸入した流体を吐出するように構成したベーンポンプにおいて、
    流体の作用によって前記ベーンに突没方向突出側の付勢力を付加する付勢機構を設け
    前記ベーンの突没方向突出側端部の回転方向手前側の部分を回転方向先方側に向けて凹設して先端凹部を設け、当該先端凹部とベーンの突没方向突出側の端部が摺接する摺接面との間にキャビティを形成し、
    前記キャビティは、前記ベーンが前記スリットに対して突出する状態から没入する状態にわたり形成され、
    前記付勢機構を、ベーンの内周面に対する相対移動に伴って前記キャビティまたはその近傍に流体渦を生じさせ、当該流体渦の負圧によってベーンを突没方向突出側に付勢するものとして構成したことを特徴とするベーンポンプ。
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