JP2012047074A - ベーンポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】ポンプ効率をより向上させることのできるベーンポンプを得る。
【解決手段】ベーンポンプ1は、ベーン8をスライド可能に収容するスリット7が放射状に形成された回転部4と、ベーン8が摺接する内面3aを有するケーシング3を備えている。そして、ベーン8に突状部8bを設けるとともに、ケーシング3に突状部8bが摺動可能に嵌合する溝部3gを設けた。
【選択図】図4

Description

本発明は、ベーンポンプに関する。
従来、ポンプ室が形成されるケーシングと、当該ケーシング内で回転するロータと、当該ロータに回転軸の径方向に出入可能に設けられ、ケーシング内のポンプ室を複数に区画する複数のベーンと、を備えるものが知られている(例えば特許文献1参照)。
この特許文献1では、ケーシングに案内溝を設けるとともに、ベーンに突起部材を形成し、当該突起部材を軟質材料で形成したカラーを介して案内溝に遊嵌させることで、ベーンの径方向への突出を制限して摺動抵抗の低下を図っている。
特開昭52−126510号公報
しかしながら、上記従来のベーンポンプでは、突起部材を案内溝に遊嵌させているため、ポンプ室の圧力が高まった場合に、ベーンが径方向内側に押し戻されてしまいポンプ性能が低下してしまうおそれがあった。
そこで、本発明は、ポンプ効率をより向上させることのできるベーンポンプを得ることを目的とする。
本発明は、ケーシング内で回転する回転部にベーンをスライド可能に収容するベーン収容部を形成するとともに、前記回転部を回転させることで、前記ベーンがベーン収容部をスライドしながら前記ケーシングに形成された内面に摺接するベーンポンプにおいて、前記ベーンに突状部を設けるとともに、前記ケーシングに前記突状部が摺動可能に嵌合する溝部を設けたことを主要な特徴とする。
本発明によれば、ベーンに突状部を設けるとともに、ケーシングに突状部が摺動可能に嵌合する溝部を設けている。そのため、ベーンが径方向内側に押し戻されてしまうのを抑制することができ、ポンプ効率をより向上させることができる。
図1は、本発明の第1実施形態にかかるベーンポンプの回転軸と直交する断面での断面図である。 図2は、本発明の第1実施形態にかかるベーンポンプの回転軸を含む断面での断面図である。 図3は、本発明の第1実施形態にかかるベーンポンプの分解斜視図である。 図4は、図2の一部の拡大図である。 図5は、図3の回転部を拡大した斜視図である。 図6は、本発明の第1実施形態にかかるベーンの斜視図である。 図7は、図6のA−A断面図である。 図8は、本発明の第2実施形態にかかるベーンの斜視図である。 図9は、図8のB−B断面図である。 図10は、本発明の第3実施形態にかかるベーンポンプの回転軸を含む断面での断面図である。 図11は、本発明の第3実施形態にかかるリングの平面図である。 図12は、本発明の第4実施形態にかかるベーンポンプの回転軸を含む断面での断面図である。 図13は、本発明の第4実施形態にかかるベーンの斜視図である。 図14は、図13のC−C断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
図1〜図7は、本発明の第1実施形態にかかるベーンポンプを示した図である。なお、以下では、便宜上、図2〜4の上側を回転軸Axの軸方向一方側、下側を軸方向他方側とする。まずは、図1を参照して、ベーンポンプ1の作動流体の吸入および吐出に関わる構成について説明する。
本実施形態にかかるベーンポンプ1では、図1に示すように、ケーシング2内で、円環状のリング(ケーシング)3の略円筒状の内周面3aと回転軸Axを中心に回転する回転部4の略円柱状の基体部5の外周面5aとの間に、作動流体(液体)を収容する環状室6が形成されている。環状室6の幅wは、回転軸Axの周方向に沿って変化している。本実施形態では、内周面(ケーシングの内面)3aの中心Cを回転軸Axから左側に平行にずらして、リング3の内周面3aと回転部4の基体部5とを偏心させてある。このため、環状室6の幅wは、図1の右端の位置で最小となり、当該右端の位置から時計回り方向に徐々に拡がって左端の位置で最大となり、当該左端の位置から右端の位置に向けて時計回り方向に徐々に狭まって最小となっている。
基体部5には、回転部4の回転軸Axに対して放射状に伸びて径外方向に開口する複数(本実施形態では4つ)のスリット(ベーン収容部)7が形成されており、各スリット7には略角棒状または略帯板状のベーン8がスライド可能に収容されている。この、ベーン8は内周面3aと摺接しながら回転部4とともに回転することになる。
環状室6は、周方向に一定のピッチで配置された複数のベーン8によって、同数(本実施形態では4つ)のポンプ室9に区画されている。回転部4およびベーン8の回転に伴い、ポンプ室9の容積は、環状室6の幅wの変化に従って変化することになる。すなわち、各ポンプ室9の容積は、図1の右端の位置で最小となっている。そして、回転部4の回転方向RD(図1の時計回り方向)への回転に伴って漸増し、左端の位置で最大となる。その位置からさらに回転部4が時計回り方向に回転すると、ポンプ室9の容積は漸減し、右端の位置で最小となる。つまり、本実施形態では、回転部4の1周回のうち図1の下半分の区間でポンプ室9の容積が拡大し、上半分の区間でポンプ室9の容積が縮小する。このため、リング3の内周面3aおよびケーシング2(第1のケーシング10)に、ポンプ室9の容積が拡大する区間に臨ませて吸入開口11を設けるとともに、ポンプ室9の容積が縮小する区間に臨ませて吐出開口12を設けてある。吸入開口11は、第1のケーシング10の側面上に突設された吸入パイプ13内の吸入通路14と連通し、吐出開口12は、吸入パイプ13と平行に突設された吐出パイプ15内の吐出通路16と連通している。
したがって、図1において、回転部4が回転方向RDに回転すると、隣接する2枚のベーン8によって区画されるポンプ室9は、右端の位置から容積を拡大させながら左端の位置まで移動する。このため、吸入通路14から吸入開口11を介してポンプ室9内に作動流体が流入する。そして、ポンプ室9は、左端の位置から容積を縮小しながら右端の位置まで移動する。このため、当該ポンプ室9から吐出開口12を介して吐出通路16に作動流体が流出する。複数のポンプ室9についてこのような作動流体の流入および流出が順次行われ、以て、ベーンポンプ1による連続的な作動流体の吸入および吐出が実現されている。
次に、図1〜図7を参照して、本実施形態にかかるベーンポンプ1の各部の構成を詳細に説明する。
図2に示すように、回転部4の基体部5に形成されたスリット7は、軸方向他方側で、底壁部17によって塞がれており、ベーン8は、この底壁部17と摺接しながらスリット7内を往復動するようになっている。なお、底壁部17には、スリット7の径内側に連通する連通孔17aが形成されており、この連通孔17aを介してスリット7内に、底壁部17の裏側(軸方向他方側)から作動流体の与圧が導入されるようになっている。
底壁部17は、回転軸Axを中心とし当該回転軸Axと直交する円板状に形成されており、基体部5の外周面5aより外側までフランジ状に張り出している。そして、この底壁部17の外周縁に、略円筒状のスカート部18が突設されている。スカート部18は、回転軸Axと同心となっており、基体部5から離間する側(軸方向他方側)に向けて略一定の厚みで突出している。
このスカート部18は、回転部4を駆動するモータ19の回転子(ロータ)として機能するものであり、コイルの巻回されたステータコア20のティース20aに対応して周方向に沿ってN極S極が交互に着磁された着磁部18aを含んでいる。スカート部18のうち少なくとも着磁部18aとして機能する部分は、磁性材料によって構成される。この場合、スカート部18のうちティース20aに対向する部分のみを磁性材料(例えばフェライト磁石やサマリウムコバルト磁石等の硬磁性材料)によって構成してもよいし、スカート部18全体を磁性材料によって構成しても良いし、回転部4全体を磁性材料によって構成してもよい。この場合、樹脂材料に磁性材料からなる粉状や粒状の磁性フィラーを混合して、回転部4やスカート部18を成形することも可能である。
また、図1,図3に示すように、基体部5の外周面5aは一定のピッチで径内方向に凹設され、これにより羽根部5bが形成されている。この羽根部5bは、基体部5(回転部4)とともに回転し、吸入開口11と対峙するときにはポンプ室9への作動流体の吸入性能を高めるとともに、吐出開口12と対峙するときにはポンプ室9からの作動流体の排出性能を高めている。
また、図2に示すように、基体部5(回転部4)の中央部には、シャフト21を回転自在に支持する軸受部22が固定されている。この軸受部22は、メタルブッシュ等の滑り軸受としてもよいし、ニードルベアリング等の転がり軸受としてもよい。
そして、回転部4は、ケーシング2によって形成される内部空間2a(図2参照)内で回転軸Ax回りに回転するように構成されている。本実施形態では、ケーシング2は、軸方向一方側(図2および図3の上側)に位置する第1のケーシング10と、軸方向他方側(図2および図3の下側)に位置する第2のケーシング23と、環状室6の外周面(リング3の内周面3a)を形成するリング3とを備えている。
リング3は、図3にも示すように、環状室6の外周面を形成する筒状部3bと、筒状部3bの軸方向他方側から回転軸Axの径外方向に張り出すフランジ部3cとを備え、さらに、吸入通路14および吐出通路16の側壁の一部を成すリブ3dを備えている。円板環状のフランジ部3cから回転軸Axの軸方向に筒状部3bとリブ3dとが略同じ高さで立設された形状となっている。
このリング3は、図2に示すように、第1のケーシング10に形成された凹部10b内に収容される。すなわち、この凹部10bは、リング3の筒状部3bとリブ3dを嵌合する形状に凹設されている。また、リング3のフランジ部3cの外周部3eは、凹部10bの反対側で第2のケーシング23の環状壁部23aと接触しており、この部分が第1のケーシング10と第2のケーシング23とによって挟持されることで、リング3が回転軸Axの軸方向に固定されている。
第2のケーシング23には、回転部4のスカート部18を収容する略円環状の凹部23bと、回転部4の軸受部22のうち第2のケーシング23側(軸方向他方側、図2および図3の下側)に突出する部分を収容する凹部23cとが形成されている。
凹部23bの外周にある環状壁部23aより径外側の領域は、第1のケーシング10との当接面となる。この当接面には、Oリング34用の溝部23dを略円環状に形成し、この溝部23d内に装着したOリング34によって、第1のケーシング10と第2のケーシング23との境界部分でのシールを確保してある。なお、この境界部分以外の部材同士の境界部分(例えばリング3のフランジ部3cと第1のケーシング10との間の境界面等)にも適宜にシール部材(例えばガスケットやOリング等)を介在させ、各境界部分のシール性能を向上させるようにしてもよい。
凹部23cの底壁部23eと、第1のケーシング10の突起部10cとの間にはシャフト21が架設され、このシャフト21の中心が回転軸Axとなっている。シャフト21は、回転部4の中心に設けた軸受部22を貫通し、当該軸受部22に回転自在に支持されている。
また、図2に示すように、凹部23bと凹部23cとの間には、回転部4の反対側(軸方向他方側、図2の下側)から回転部4側に向けて突設された環状の突起部23fが形成されており、この突起部23fの裏側となる環状の凹部23j内にモータ19をなすステータコア20が収容されている。
ステータコア20は、図2,図3に示すように、基板24の表面24aの中央に取り付けられており、回転軸Axと同心で中央に位置する円筒部20bと、円筒部20bから放射状に伸びてコイルが巻回された複数のティース20aとを備えている。
そして、基板24のステータコア20を設けた表面24aに対して反対側(軸方向他方側、図2の下側)となる裏面24bには、各種電子部品(図示せず)が実装され、モータ19の駆動回路やその他の回路が形成されている。本実施形態では、基板24に形成された駆動回路によって各ティース20aに巻回されたコイルの通電状態を適宜に切り替えてティース20aの外周部分における極性を切り替え、これにより、ティース20aに対して径外方向に対向する着磁部18a(スカート部18)に周方向の推力を与え、以て、回転部4を回転させるようになっている。よって、第2のケーシング23のうち、少なくとも、ステータコア20(ティース20a)の外周部とスカート部18との間に介在する隔壁部23gは、透磁性を有するものとする必要がある。このため、隔壁部23gあるいは第2のケーシング23の全体が、透磁性を有する材料(例えばステンレススチールや、樹脂材料等)で形成される。
基板24は、凹部23cを回転部4の反対側(軸方向他方側)から塞ぐようにして取り付けられており、さらに、基板24を、基板カバー25によって、回転部4の反対側(軸方向他方側)から覆ってある。基板カバー25には、基板24との間に電子部品を配置する間隔を確保するため、突条25aを設けてある。
第1のケーシング10および第2のケーシング23は、いずれも回転軸Axに沿う軸方向視で略正方形状の外形状を呈している。そして、これらケーシング10,23の四隅に、これらを締結するねじ26の貫通孔10a,23kを形成してある。これら貫通孔10a,23kおよび基板カバー25の四隅に形成された貫通孔25bにねじ26を挿通して、ナット27を螺結することで、ベーンポンプ1が組み立てられる。
なお、ベーンポンプ1をなす上記各構成部品の材料や製造方法は、上述した着磁性や透磁性の他、耐摩耗性、耐食性、耐膨潤性、成形性、部品精度等を考慮して適宜に選択される。
また、本実施形態では、回転部4に、その回転に伴って上記回転軸Axの軸方向一方側(図2,図3では上側)への流体力を発生させる流体力発生部28を設け、回転部4を、底壁部17を設けた側と反対側に位置する第1のケーシング10に押し付けるようにしている。流体力発生部28は、スカート部18の軸方向他方側の端面18bに、回転部4の回転方向RDに対して傾斜する傾斜面として設けてある。傾斜面は、回転方向RDの手前側から先方側にかけて軸方向他方側から一方側(図3の下側から上側)に向けて傾斜して設定してある。このため、回転部4の回転に伴ってこの傾斜面に当たった作動流体は、回転部4に流体力を作用させ、軸方向一方側(図3の上側)に押し上げることになる。
そして、かかる軸方向一方側に向けて作用する流体力(推力)を受けながら回転する回転部4を摺動可能に支持するため、第1のケーシング10には、図4に示すように、スラスト支持部29を設けてある。具体的には、第1のケーシング10においてシャフト21を嵌挿して支持する部分を軸方向他方側へ突出させて突起部10cを形成し、この突起部10cの頂面10dに、ワッシャ30を介して、回転部4(基体部5)の中央部に形成した凹部4aの底面4bを突き当てている。本実施形態では、スラスト支持部29にワッシャ30を介在させるとともに、このワッシャ30に回転部4の中央部に設けた軸受部22の軸方向端面22a(凹部4aの底面4bに一部露出させて設けてある)を突き当てることで、耐摩耗性を高め易くしている。すなわち、かかる構成により、この部分の耐摩耗性はワッシャ30と軸受部22との摺接部分のスペック(材質、寸法、硬化処理等)によって調整し、回転部4の本体部分(基体部5、底壁部17等)のスペックは、軽量化や、他の摺動部分の摺動性、耐食性等の観点から選定することができる。
そして、図4に示すように、スラスト支持部29における摺動部分の直径D2を、基体部5の直径D1より小さくしてある。流体力発生部28を設けた場合に、特段スラスト支持する部分を設けないと、基体部5の端面5cが第1のケーシング10と摺接することになって、摺動抵抗が増大してしまう虞がある。この点、本実施形態では、摺動部分の直径D2を基体部5の直径D1より小さくしたため、摺動抵抗をより低減して、フリクションをより低減することができる。
なお、図2に示すように、底壁部17の軸方向一方側の端面17bとリング3の軸方向他方側の端面3fとの間の隙間31は狭く設定し、これら端面17b,3f間の隙間からのリーク流量を可及的に減らしてある。また、軸受部22の軸方向他方側にもワッシャ30を介在させてある。
ベーン8は、本実施形態では、回転部4の基体部5に形成されたスリット7に対応して4つのベーン8が用いられるようになっており、各ベーン8はスリット7の開口に沿った形状、即ち、スリット7の収容状態における回転方向RDの側壁部8sを長辺とした略角棒状(帯板状)に形成されている。
ここで、本実施形態では、図5〜図7に示すように、各ベーン8に突状部8bを設けている。そして、ケーシングには、各ベーン8の突状部8bが摺動可能に嵌合する溝部を設けている。
具体的には、略円弧状の突状部8bをベーン8の摺接面8aよりも径方向外側に突出するように設けるとともに、リング3の軸方向他方側に各ベーン8の突状部8bが摺動可能に嵌合する環状の溝部3gを設けている。
かかる構成とすることで、回転部4を回転させると、ベーン8は、当該ベーン8に設けられた突状部8bをリング3の溝部3gに嵌合させた状態で、摺接面8aをリング3の内周面(ケーシングの内面)3aに摺接させながら回転することとなる。
以上、説明したように、本実施形態では、ベーン8に突状部8bを設けるとともに、リング(ケーシング)3に、ベーン8の突状部8bが摺動可能に嵌合する溝部3gを設けている。したがって、環状室6の圧力が高まった際に、ベーン8が径方向内側に押し戻されてしまうのを抑制することができる。その結果、回転部4の回転時、すなわち、ベーンポンプ1の運転時に、ベーン8の摺接面8aとリング3の内周面(ケーシングの内面)3aとの摺接を維持することが可能となり、ポンプ効率をより向上させることができるようになる。
また、本実施形態では、ケーシングのうち、ベーン8が摺接する内周面(ケーシングの内面)3aが形成されたリング3に、ベーン8の突状部8bが摺動可能に嵌合する溝部3gを設けている。そのため、ベーンポンプ1の組付誤差等によって、ベーン8の摺接面8aとリング3の内周面(ケーシングの内面)3aとの間に隙間が形成されてしまうのを抑制することができ、ポンプ効率が低下してしまうのを抑制することができる。
また、ベーン8に形成した突状部8bを直接溝部3gに摺動可能に嵌合させているため、部品点数が増加してしまうのを抑制することができ、コスト削減を図ることが可能となる。
(第2実施形態)
本実施形態にかかるベーンポンプ1は、基本的に上記第1実施形態とほぼ同様の構成をしており、ベーン8Aに突状部8bを設けるとともに、リング(ケーシング)3に、ベーン8Aの突状部8bが摺動可能に嵌合する溝部3gを設けている。
ここで、本実施形態が上記第1実施形態と主に異なる点は、図8および図9に示すように、ベーン8Aのリング3の内周面(ケーシングの内面)3aに摺接する摺接面8aを含む部位8cを、当該ベーン8の他の部位8fよりも摩耗しやすい摩耗材料で形成したことにある。
この摩耗材料として、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)やポリフェニレンエーテル(PPE)等を用いることができる。このとき、流体に対する耐薬品性や、ベーンポンプの使用環境に対する耐熱性等を考慮して摩耗材料を適宜選択するのが好ましい。
本実施形態では、図8および図9に示すように、軸方向一方側から他方側にかけて径方向内側(他の部位8f側)に突出する突出部8dを摺接面8aを含む部位8cの幅方向中央部に形成している。そして、他の部位8fには、突出部8dが嵌合する凹部8eが形成されており、突出部8dを凹部8eに嵌合させることで、摺接面8aを含む部位8cと他の部位8fとを一体に結合させている。
なお、摺接面8aを含む部位8cと他の部位8fとを接着剤等によって一体に結合させてもよいし、2色成形によって一体に結合させてもよい。
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
また、本実施形態によれば、ベーン8Aのリング3の内周面(ケーシングの内面)3aに摺接する摺接面8aを含む部位8cを、当該ベーン8の他の部位8fよりも摩耗しやすい摩耗材料で形成しているため、摺接面8aを含む部位8cを選択的に摩耗させることができる。したがって、製造時や組付時の誤差等により、ベーン8Aの摺接面8aとリング3の内周面(ケーシングの内面)3aとの角度が異なっていたとしても、摺接面8aを含む部位8cを摩耗させることで、ベーン8Aの摺接面8aとリング3の内周面(ケーシングの内面)3aとの角度を合致させることができる。
このように、ベーン8Aの摺接面8aとリング3の内周面(ケーシングの内面)3aとの角度を合致させることで、ベーン8Aの摺接面8aとリング3の内周面(ケーシングの内面)3aとの間に隙間が形成されてしまうのを抑制することができ、ポンプ効率が低下してしまうのを抑制することができる。
(第3実施形態)
本実施形態にかかるベーンポンプ1は、本実施形態にかかるベーンポンプ1は、基本的に上記第1実施形態とほぼ同様の構成をしており、ベーン8Aに突状部8bを設けるとともに、リング(ケーシング)3Bに、ベーン8Aの突状部8bが摺動可能に嵌合する溝部3gを設けている。
ここで、本実施形態が上記第1実施形態と主に異なる点は、図10および図11に示すように、リング(ケーシング)3Bの内周面(ケーシングの内面)3aを含む部位を、ベーン8よりも摩耗しやすい摩耗材料で形成したことにある。
本実施形態においても、上記第2実施形態と同様に、摩耗材料として、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)やポリフェニレンエーテル(PPE)等を用いることができる。また、本実施形態においても、流体に対する耐薬品性や、ベーンポンプの使用環境に対する耐熱性等を考慮して摩耗材料を適宜選択するのが好ましい。
本実施形態では、リング(ケーシング)3Bは、図10および図11に示すように、本体部3hと内周面(ケーシングの内面)3aを構成する摩耗材料部(ケーシングの内面3aを含む部位)3iとを一体に成形している。なお、本体部3hと摩耗材料部3iとを接着剤等によって一体に結合させてもよいし、2色成形によって一体に結合させてもよい。
また、本実施形態では、上記第1実施形態で示したベーン8を用いている。
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
また、本実施形態によれば、リング(ケーシング)3Bの摩耗材料部(ケーシングの内面3aを含む部位)3iを、ベーン8よりも摩耗しやすい摩耗材料で形成しているため、リング(ケーシング)3Bの内周面(ケーシングの内面)3a側を選択的に摩耗させることができる。したがって、製造時や組付時の誤差等により、ベーン8の摺接面8aとリング3Bの内周面(ケーシングの内面)3aとの角度が異なっていたとしても、リング3Bの内周面3a側を摩耗させることで、ベーン8の摺接面8aとリング3Bの内周面3aとの角度を合致させることができる。
このように、ベーン8の摺接面8aとリング3Bの内周面(ケーシングの内面)3aとの角度を合致させることで、ベーン8の摺接面8aとリング3Bの内周面(ケーシングの内面)3aとの間に隙間が形成されてしまうのを抑制することができ、ポンプ効率が低下してしまうのを抑制することができる。
(第4実施形態)
本実施形態にかかるベーンポンプ1は、基本的に上記第1実施形態とほぼ同様の構成をしており、ベーン8Cに突状部を設けるとともに、ケーシングに、ベーン8Cの突状部が摺動可能に嵌合する溝部を設けている。
ここで、本実施形態が上記第1実施形態と主に異なる点は、図12〜図14に示すように、ベーン8Cの径方向外側に、軸方向一方側に突出する突状部8gを設けるとともに、第1のケーシング10の軸方向他方側に、突状部8gが摺動可能に嵌合する溝部10eを設けたことにある。
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、上記第4実施形態では、ベーンおよびリングとして、摩耗しやすい摩耗材料で形成されていないものを例示したが、上記第2実施形態で示したように、ベーンの摺接面を含む部位を、当該ベーンの他の部位よりも摩耗しやすい摩耗材料で形成することも可能である。また、上記第3実施形態で示したように、リングの内周面(ケーシングの内面)を含む部位を、ベーンよりも摩耗しやすい摩耗材料で形成することも可能である。
また、回転部やケーシング、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
1 ベーンポンプ
2 ケーシング
3,3B リング(ケーシング)
3g 溝部
3i 摩耗材料部
4 回転部
7 スリット(ベーン収容部)
8,8A,8C ベーン
8b,8g 突状部
10 第1のケーシング(ケーシング)
10e 溝部
Ax 回転軸
RD 回転方向(周方向)

Claims (3)

  1. ケーシング内で回転する回転部にベーンをスライド可能に収容するベーン収容部を形成するとともに、前記回転部を回転させることで、前記ベーンがベーン収容部をスライドしながら前記ケーシングに形成された内面に摺接するベーンポンプにおいて、
    前記ベーンに突状部を設けるとともに、前記ケーシングに前記突状部が摺動可能に嵌合する溝部を設けたことを特徴とするベーンポンプ。
  2. 前記ベーンの前記内面に摺接する摺接面を含む部位を、当該ベーンの他の部位よりも摩耗しやすい摩耗材料で形成したことを特徴とする請求項1に記載のベーンポンプ。
  3. 前記ケーシングの前記内面を含む部位を、前記ベーンよりも摩耗しやすい摩耗材料で形成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のベーンポンプ。
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