JP5059269B2 - スパッタチャンバならびに真空輸送チャンバおよびこれらのチャンバを備えた真空処理装置 - Google Patents

スパッタチャンバならびに真空輸送チャンバおよびこれらのチャンバを備えた真空処理装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、中心軸に対して少なくともほぼ対称的な新しいスパッタ面を有した少なくとも1つのスパッタ源と、さらに、基板サポート軸を中心に駆動されて回転する1つの基板サポートとを備え、中心軸と基板サポート軸とは相互に傾斜している、請求項1に記載の上位概念に基づくスパッタチャンバに関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明は、さらに、この種のスパッタチャンバを備えた請求項16に記載の上位概念に基づく真空処理装置と、ディスク状加工物を輸送するための請求項17に記載の上位概念に基づく真空輸送チャンバと、最後に、この種の真空輸送チャンバを備えた請求項29に記載の上位概念に基づく真空処理装置に関する。
【0003】
US 4818561ならびにUS 4664935より、冒頭に述べたタイプのスパッタチャンバは公知に属する。前記の明細書においてスパッタ源の中心軸は基板サポートの回転軸に対して傾斜角をなして配置されている。前記の基板サポートは基板サポート軸を中心に駆動されて回転する。このスパッタチャンバにより直径が200mmまでに及ぶウェハに±4%以下のすぐれた膜厚均一性を有した被膜を付することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
メモリディスク、特に光メモリディスクたとえばミニディスクまたはCDの製造、さらにマスターの製造に際しても、同じく圧電ウェハ、半導体製造用ウェハ、特にSAW(表面弾性波)を実現するためのウェハの製造に際しても、前記のスパッタチャンバによって達成される以上ではないにせよ少なくとも同程度に優れた膜厚の均一性を達成することは非常に重要である。これに加えて更に、コーティング時間をできるだけ短くし、それによってできるだけ高い生産率を達成するために、コーティング速度をできるだけ高いものとすることが必要であろう。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、高いコーティング速度で、しかも前記の公知のスパッタチャンバによって達成されるよりもまさしくすぐれた膜厚均一性を達成することのできる冒頭に述べたタイプのスパッタチャンバを提案することである。
【0006】
前記の目的は請求項1に記載の特徴つまりスパッタ源がマグネトロンスパッタ源であることを特徴とした本発明によるスパッタチャンバの実現によって達成される。
【0007】
通例のスパッタ源にあってはターゲットのスパッタ面は基本的に均等に除去されるが、これはマグネトロンスパッタ源にあってはまったく様相が異なっている。ターゲットのスパッタ面上に形成されるマグネトロンスパッタ源に特有の閉じたトンネル形の磁場によりスパッタ面には浸蝕による1本の周回溝が生じ、これは浸蝕時間が増すにつれて蒸発飛散させられるターゲット材料の指向特性を変動させる。複数のトンネル磁場が設けられている場合には、場合により複数の浸蝕周回溝が生ずる。
【0008】
マグネトロンスパッタ源は通例のスパッタ源よりも高い蒸発飛散速度と、それに基づく高いコーティング速度も結果することは確かであるが、達成可能な膜厚さの均一性の点では非常に問題がある。それゆえに、本発明によるスパッタチャンバでの本発明によるマグネトロンスパッタ源の使用によって通例以上の高いコーティング速度を達成し得ると同時に通例以上に短いコーティング時間も達成することができるだけでなく、これに加えて更に、前記の明細書に記載の冒頭で触れたスパッタチャンバで達成し得ると考えられるのと少なくとも同等もしくはまさしくそれをはるかに上回る優れた膜厚均一性が達成されるということは驚くべきことである。
【0009】
本発明によるスパッタチャンバの好ましい実施形態は請求項2から15までにその明細が記載されている。
【0010】
本発明のさらにもう一つの目的は、上記の本発明によるスパッタチャンバを真空処理装置に組込み、自動化を利用して、本発明によるスパッタチャンバによって達成可能な迅速なコーティング時間をさらに完璧に活用し得るようにすることである。これは請求項16に記載の真空処理装置を用い、つまり、前記のスパッタチャンバが1つもしくは複数の輸送チャンバを経て少なくとも1つのスルースチャンバと連結され、該スルースチャンバにおいて基板が周囲環境中から真空中にゲートインされもしくは真空中から周囲環境中にゲートアウトされることによって達成される。
【0011】
さらに請求項17に記載したように特に輸送サイクルの短縮をコンセプトとした、それ自体が本発明に基づいた真空輸送チャンバが提案されており、この真空輸送チャンバは請求項29ないし30に記載したように本発明によるスパッタチャンバと組合せて輸送サイクルの極めて短縮された理想的な真空処理装置を形成することができるとともに、さらに、本発明によるこのチャンバの特に好ましい実施形態において、コーティングされるべき基板(単数もしくは複数)のゲートイン・アウト−サイクルを極めて短縮することが可能である。
【0012】
それ自体として見ても本発明に基づく真空輸送チャンバの好ましい実施形態は請求項18から28までにその明細が記載されており、この種の輸送チャンバを具えた本発明による真空処理装置の好ましい実施形態は請求項29から32までにその明細が記載されている。
【0013】
さらに本発明は請求項34の文言に記載のコーティングされたデータメモリディスクまたはウェハを製造するための方法に関する。
【0014】
本発明によるスパッタチャンバ、輸送チャンバならびに本発明による装置は光データメモリ基板のコーティング、さらにこの種の光データメモリ基板の製造用マスター、圧電ウェハまたは半導体製造用ウェハの各コーティングに特に適している。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照例示して本発明を説明する。
【0016】
図1は本発明によるスパッタチャンバを示したものである。該チャンバは1つのマグネトロンスパッタ源1を内蔵している。マグネトロンスパッタ源1の(図示されていない)ターゲットのスパッタ面3の上方にはスパッタ源1の中心軸Zの周りを取巻く閉じたトンネル状のマグネトロン磁場Hが図示されている。上から見て、つまり中心軸Zの方向から見て、マグネトロン源1のスパッタ面3は長方形、正方形、楕円形等に形成されていてよいが、中心軸Zに関して回転対称的であるのが好ましい。ただしいずれにせよ中心軸Zは上から見たスパッタ面3の対称面内にある。さらにスパッタ面は、新しいスパッタ面としての新規状態で、少なくとも基本的に平らであるか凹面を成していてよい。中心軸Zを取巻くトンネル状の閉じた単一の磁場Hが設けられていても、2つもしくはそれ以上の磁場が設けられていてもよい。
【0017】
単一のもしくは複数設けられた、中心軸Zを取巻く閉じたマグネトロン磁場Hはさらに―たとえばターゲットの下側に可動式磁石を設け、永久磁石および/または電磁石によるかまたは時間的に選択的に制御される電磁石によって作り出されるようにして―時間的に定常的にまたは時間的に変化するように形成されていてもよい。
【0018】
図1に立ち戻って言えば、本発明によるスパッタチャンバは基板サポート5を有しており、該サポートは駆動されて―6―基板サポート軸Aを中心にして回転する。基板サポート5は好ましくは基板サポート軸Aにセンタリングされた単一の基板7または同じくサポート軸を中心にして配置された複数の基板7aを収容し得るように形成されていてよい(図2)。この場合、基板7または複数の基板7aは基板サポート5を図示したように覆っていてよく、また図2の7’ないし7a’で表わしたようにして基板サポートを覆っていてもよい。
【0019】
以下において直径φSという場合には、それは以下を意味している:
・図2aに示した基板直径
・図2bに示した外側の基板限界線の直径。
【0020】
本発明によるスパッタチャンバにより別の形の基板たとえば長方形または正方形の基板をスパッタコーティングすることも全く同様に可能である。
【0021】
マグネトロンスパッタプロセスは反応性スパッタリングまたは非反応性スパッタリングとして行なうことができ、マグネトロンスパッタ源はDC、DC+AC、パルスDCまたは純粋なACで用いることができ、その際ACはHF域までのものを選択することが可能である。
【0022】
中心軸Zと基板サポート軸Aとは互いに傾斜している。この場合両者は必ずしも交差しているわけではない。
【0023】
それゆえ以下では―一部好ましい―特別なケースとしてのみ両軸Z,Aの「交点」との表現が行なわれ、これに対して両軸の「最小間隔個所」との表現の方がより一般的に行なわれる。
【0024】
さらに軸ZとAとが互いになす角度βと言う場合には、これは、両軸が互いにずれている場合には、一方の軸を平行移動して両軸が一平面内にあるようにして定められる。こうすることにより角度βがこの平面内に生ずる。
【0025】
ただし好ましい実施形態において、図1に点Pで表わしたように、スパッタ源1の中心軸Zと基板サポート軸Aとは少なくともほぼ交差している。
【0026】
前記2本の軸ZとAとが交差しているかまたは互いにずれているかに関わりなく、いずれにせよ両者は好ましくは一つの挟角βを形成し、この角度は
30°≦β≦60°とされ、
好ましくは
40°≦β≦55°とされ、
特に好ましくは
43°≦β≦50°とされ、
なかんずく特に好ましくは、β≒45°とされる。
【0027】
この角度βを正確に遵守することにより被着膜厚さの均一性が最適化される。
図3に示したように、中心軸Zと基板サポート軸Aとの最小間隔個所Lは少なくともほぼ基板サポート5の中心に位置しているのが好ましく、さらに―センタリングされた―基板7,7’のコーティングされるべき表面上にあるのが好ましい。
【0028】
本発明によるスパッタ源は空間内に任意の向きで配置することが可能である。
図3からさらに看取し得るように、中心軸Zに対して垂直な面EZへの基板面の投影面は同面EZへの新しいスパッタ面の投影面よりも小さいのが好ましい。
【0029】
図3にはさらにスパッタリング中にスパッタ面に形成される、中心軸Zを取巻くスパッタ浸蝕溝15ないし、中心軸Zを取巻く閉じたトンネル状の2つの磁場が実現される場合の第二のスパッタ浸蝕溝15aが定性的に表現されている。
【0030】
Trは半径方向において最も外側のスパッタ浸蝕溝15の最大浸蝕深度個所の中心軸Zからの半径を表わしている。
【0031】
本発明によるスパッタチャンバの好ましい実施形態において、この半径rTrと、新しいスパッタ面と個所Lとの間ないし新しいスパッタ面と基板サポート5との間の間隔Dとの間には以下の関係が成立している:
1/4≦rTr/D≦2/3。
【0032】
さらに図3に示したように面EZへの回転対称的な新しいスパッタ面の投影面の直径φTと前記の間隔Dとの関係は
3/4≦φT/D≦2が好ましく、
特に
φT≒1.2Dが好ましい。
【0033】
直径φS(定義については前記を参照のこと)については前記の間隔Dとの関係で
φS/D≦1.8が好ましい。
【0034】
さらに好ましい実施形態において、前記の直径φSと前記のスパッタ面直径ないしスパッタ面投影面直径φTとの関係は
0.5≦φS/φT≦2.4が好ましく、
1≦φS/φT≦2.4が好ましい。
【0035】
特に図3に示したように軸ZとAとが少なくともほぼ交差している場合には前記の寸法規定によってターゲット4からスパッタ蒸発される材料と1枚もしくは複数の基板に被着される材料との間に最適な利用率、すなわち少なくとも10%という最適利用率が得られる。この場合、コーティングされた基板面に沿った膜厚さのぶれについては最高でも±1%という均一性が達成され、しかもその際とくに平らな丸形ターゲットの蒸発浸蝕溝の形成について特別な対策を講ずる必要はない。
【0036】
前記の寸法規定はさらに以下の利点をもたらす:
―Dの変化とともに寿命経過につれて進行するターゲット浸蝕増大に対する膜厚均一性の感度を最小限に抑制し得ること。
―単数もしくは複数の浸蝕溝の変化に対する膜厚均一性の感度を最小限に抑制し得ること。
―基板サポート5への単数もしくは複数の基板のポジションニングの誤りに対する膜厚均一性の感度を最小限に抑制し得ること。
【0037】
特に好ましい実施形態においては
50mm≦φS≦400mm
好ましくは
50mm≦φS≦300mmであり、
特に基板サポート軸Aにセンタリングされた個々の基板についていえば直径φSは64mm(特にミニディスク)、120mm(特にCD)、160〜240mm(CDマスター)が特に好ましい。圧電ウェハへの高精密な膜被着には好ましくは少なくとも75mmの基板直径用の基板ホルダ、半導体製造用ウェハの処理には直径150〜300mmのウェハを収容し得る基板ホルダが設計される。
【0038】
図4に示したように、2つもしくはそれ以上のスパッタ源10a、10b―そのうち少なくとも1つはマグネトロン源である―を同一の基板サポート5ないし該サポートに載置された基板に同時にまたは交互に作用させることができる。これにより冒頭に挙げた要件の遵守下でたとえば合金膜を被着させまたは反応性スパッタリングの可能性も含めその他の化合物膜を被着させることも可能である。この場合、基板サポート5をZ方向およびX方向に正確にポジショニングすることによりスパッタ源固有のコーティング特性を調整することができる。
【0039】
図5も本発明によるスパッタ源のさらに別途の好ましい実施形態を示したものである。マグネトロン源1と基板サポート5ないし該サポート上に載置された基板とは加工ポジションにおいて―基板サポート5または基板自体がなお自由な回転運動ωが許容される程度に真空チャンバの側壁22に密接することにより―プロセス空間PRを取り囲み、隔離する。このため、図5に示したように、基板サポート5は駆動されて前記の回転運動ωを実施するだけでなく、その加工ポジションが好ましくは直線的に上下動させられる。プロセス空間Pが特に可動部品を有するその他のチャンバ部分から隔離されることによりコーティング中の粒子汚染が減少させられる。
【0040】
図6は本発明による少なくとも1つのスパッタチャンバ20を備えた本発明による真空処理装置の第一の実施形態を示したものである。保守もしくはターゲット交換を目的として鎖線で示したように折り返すことのできるマグネトロン源21を有したスパッタチャンバ20は輸送チャンバ23にフランジ接合されている。輸送チャンバ23内には駆動装置25により回転軸Bを中心にして回転運動させられる輸送装置27が設けられている。回転軸Bからは軸Bに対して半径方向に配置された少なくとも1つの構成部品を有した1本、2本もしくはそれ以上(図10参照)の輸送アーム29が外に突き出ており、各アームはそれぞれ基板サポート31を担持している。基板サポート31は―双方向矢印Fで表わされているように―駆動繰出しされて特に加工ポジションにもたらされ、再び引戻され、さらに―先に述べたように―基板サポート31の軸Aを中心として回転駆動される。
【0041】
図7は複数の処理ステーション―そのうち少なくとも1つは本発明によるスパッタチャンバである―を備えた図6に示した装置と同様な装置の平面図を示したものである。
【0042】
輸送チャンバ29には直接にまたはさらに別の輸送チャンバを介して少なくとも1つのスルースチャンバ33が設けられており、処理されるべき基板はこのスルースチャンバを経て周囲雰囲気から真空中にゲートインされまたは真空中から周囲雰囲気にゲートアウトされる。基板はゲートインした後に1つもしくは複数の輸送装置により、場合によりその他の処理段階を通過した後、本発明によるスパッタコーティングステーション―たとえば図6のステーション21―に供給される。
【0043】
図8は一方で先に述べたタイプの本発明によるマグネトロンスパッタチャンバと組み合わされ、同時に他方で本発明による装置を形成するそれ自体として本発明に基づく輸送チャンバを示したものである。
【0044】
図9は図8に示した装置を線II−IIで切断した断面を示したものである。以下になお説明する輸送チャンバおよびスルースチャンバと本発明による先に述べたマグネトロンスパッタチャンバとの組合せにより、ゲート・輸送サイクルが短くしかも―本発明によるスパッタチャンバにより―コーティングサイクルも短い極めてコンパクトな構造の装置が実現される。
【0045】
本発明による真空輸送チャンバ41は内部空間43を有し、該内部空間は一方でベースプレート45によって規定され、他方で側壁47ならびにベースプレート45に対向したカバー構造49によって規定されている。この場合、カバー構造49の内側面は好ましくはベースプレート45の内側面から一定の間隔dだけ離間していてよく、該離間間隔は最大でもベースプレート45の厚さDと同じであるのが好ましく、好ましくは図示したようにそれより大幅に小さくてよい。
【0046】
本発明による輸送チャンバのカバー構造49には加工物出し入れ穴51が設けられており、図8および9に示した好ましい実施形態では2つの穴が設けられている。前記の穴51はそれ以上設けられていてもよいことは言うまでもない。
【0047】
本発明による輸送チャンバには輸送装置57が設けられており、該装置の好ましい構造は特に図9から看取することができる。ベースプレート45の側方ないし側壁47には回転軸ケーシング53が設けられており、該ケーシング内に輸送装置57の駆動回転軸55が軸受支持されている。ベースプレート45の内側面に対して垂直に走る回転軸55は図示した本発明による輸送チャンバの好ましい実施形態において、輸送装置57として、柄60と加工物受け皿61とを備えた輸送板59を担持している。輸送板59は、図9に示したように、加工物受け皿61が2つの穴51の一方に整合されている第一の旋回ポジションから、加工物受け皿61が前記の穴51の第二の穴に整合されている破線で示した第二の旋回ポジションに旋回移動させられる。図から看取し得るように輸送装置57の回転軸55は図9に示した穴中心軸Z51の結合線に対してオフセット配置されている。さらに本発明による輸送チャンバの穴51は互いに非常に近接しているので、両者の間には、特に図8から判明するとおり、以下でなお説明するように2つの穴の一方に加工ステーションをフランジ継ぎないし配置するのにちょうど十分なスペースしか存在していない。
【0048】
回転軸55の前記位置ならびに穴間隙A(図9)の極小化により、旋回角φが最大でも120°、好ましくは最大でも90°という輸送装置57の最適な短い輸送路が実現される。
【0049】
図示した好ましい実施形態において一方の穴51にはスルースチャンバが組込まれている。一方の穴51aは蓋65を備えており、この蓋は図8から看取し得るように動力駆動されて旋回軸67を中心にして旋回することができる。この軸は穴51の間に配置されているのが好ましい。蓋65はシール69によってカバー構造49に設けられた穴51aの外側周縁枠部をシールし、このシール69は蓋が閉じられた状態で場合により以下になお説明する蓋リニア駆動装置によって緊着させられる。
【0050】
図8において加工物受け皿61は穴51aにも、べつの穴51、51bにも整合された状態で図示されている。穴51aの領域にはカバー構造49の内側の穴周縁枠面に好ましくは油圧、ただし好ましくは空気圧作動される膨張式シール71が設けられており、該シールには接続口73を介して圧媒が供給される。膨張式シール71への圧媒供給により該シールは加工物受け皿61の周縁枠部に気密式に圧接される。この周縁シール荷重を速やかに受け止めるため、加工物受け皿61はそのベースプレート側、特にその周縁部が支承されている。図示した好ましい実施形態においてこの支承はさらに別の周回式の、油圧で、ただし好ましくは空気圧で作動ないし膨張させられるシール75によって行なわれ、該シールには1つもしくは複数の接続口77を経て圧媒が供給される。図示したように、それぞれベースプレート内側面とカバー内側面とに設けられた周回式シール71と75とは互いに対向配置されていてよいが、これらを場合により互いにずらして配置することも可能である。いずれにせよこれらのシールは圧媒供給されて加工物受け皿61を互いの間に気密式に緊着挟持する。
【0051】
シール75は加工物受け皿61の下側とベースプレート45の内側面との間に残存しているチャンバスペース79を密閉する。このスペースならびに、閉じられた蓋65と周縁がシールされた加工物受け皿61の上側との間に形成される本来のスルースチャンバは加工物受け皿61のセンタ穴81(図9も参照のこと)と、好ましくは穴中心軸Z51にセンタリングされたベースプレート45のポンプ接続口83とを通じてポンプ吸出しされる。スルースチャンバ容積をさらに減少させるため蓋65は、図8から看取されるように、受け皿61上に保持された加工物85に蓋の内側面がぎりぎり接触しない程度にまで加工物受け皿61に向かって陥没させられている。
【0052】
加工物85が、たとえばメモリディスク、特に光メモリディスクのように、1つのセンタ穴を有している場合には、加工物上方のスルースチャンバスペースとポンプ接続口83との連絡は加工物のこのセンタ穴を通して支障なく行なわれる。ディスク状加工物にセンタ穴を有していない場合には、加工物受け皿61の加工物側表面に設けられた(図示されていない)半径方向連絡路たとえば半径方向溝網によって前記の連絡を実現することができる。
【0053】
図8および9に示した好ましい極めてコンパクトな真空処理装置はちょうど2つの穴51、すなわち穴51aと51bしか有していない本発明による輸送チャンバを使用している。既述したように穴51aには最小容積のスルースチャンバが組込まれているが、第二の穴51bには加工物処理ステーションがフランジ接合されている。図示した、円板状加工物、特にメモリディスク、とりわけ光メモリディスクのスパッタコーティング用の装置実現形態において、穴51bには本発明によるスパッタステーション80が組付けられている。
【0054】
ここでスパッタ源80の中心軸ZSは―傾斜取付けされるスパッタ源80用の組み付けフランジ82に蓋65の旋回運動用リニア駆動装置88を取付けることができるように―他方の穴51aから引き離されて傾けられている。
【0055】
図示したスパッタ装置において加工物受け皿61の中央部84は上下動することが可能である。ベースプレート45には軸Z51bにセンタリングされたせり上げ・回転駆動装置86が取付けられている。加工物受け皿61が穴51b内でセンタリングされていれば、加工物85は駆動装置86により、図8にFで示されているように、中央部84を以ってスパッタ源80に対する加工ポジションにせり上げられると同時に、ωで表わされているように、回転運動させられる。
【0056】
スパッタ源80は好ましい実施形態において軸87を中心に旋回し得るようにして取付けられており、この軸87は穴51bを挟んで蓋65の軸67と対向し、該軸と平行に配置されている。これによってスパッタ源80は、フランジ82に取付けられた蓋駆動装置88に支障をもたらすことなく、保守またはターゲット交換のために図8にΩで示されているように折り返すことができる。
【0057】
本発明による輸送チャンバと本発明による真空処理装置とにより輸送路が最適化された、構造的にシンプル且つ極めてコンパクトな装置ないしチャンバが実現され、該装置ないしチャンバは極めて均一なコーティング膜厚さを実現すると同時に高効率の処理を可能とする。この装置ないしチャンバは円板状加工物、特にメモリディスクの輸送ないし処理、なかんずく光メモリディスクの処理に特に適している。
【0058】
図8ないし9に示した本発明による装置を用い、基板サポート軸にセンタリングされた直径200mmないし240mmの基板がコーティングされた。このコーティングにあたっての条件は以下の通りであった:
マグネトロン源:本出願人によって販売されたNiV7丸形ターゲット式ARQ920Gスパッタ源
ターゲット直径:155mm
スパッタ電力:500Wないし1kW
被着膜厚さ:50〜100nm
ターゲット/基板−間隔(D):100mmないし140mm
スパッタ源中心軸と基板サポート軸との間の傾斜角度β:45°、48°または50°
アルゴン圧力:2×10-3mbar
マスターディスクに使用
図10は前記コーティングの結果をまとめて示したものである。これから被着膜厚さの極めて優れた均一性が看取されるとともにそれを前記傾斜角度βのわずかな変化によって最適化し得ることが看取される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるスパッタチャンバを示した図である。
【図2】 図1に示した本発明によるスパッタチャンバ内に配置された基板サポートおよび該サポート装置に載置された基板の状態を示した平面図である。
【図3】本発明によるスパッタチャンバ内に配置された基板サポートとマグネトロンスパッタターゲットとの相互の幾何学的位置関係を示した図である。
【図4】 二重式マグネトロン源を備えた本発明によるスパッタチャンバを図1と同様にして示した図である。
【図5】 プロセス空間が隔離された本発明によるスパッタチャンバのさらに別途の好ましい実施形態を示した図である。
【図6】 本発明によるスパッタチャンバを備えた本発明による真空処理装置の1実施形態を一部切開して示した側面図である。
【図7】 複数の処理ステーションと1つの出入りゲートとを備えた図6に示した装置と基本的に同様な構造の本発明による真空処理装置の平面図である。
【図8】 本発明による好ましい構造形態の真空処理装置を形成するために本発明によるスパッタチャンバと組み合わされた本発明による輸送チャンバを一部単純化して示した図である。
【図9】 図8の切断線II−IIで見た図8に示した輸送チャンバの平面図である。
【図10】 記載したコーティングテストの結果としての基板半径と相関した膜厚を示したグラフである。

Claims (34)

  1. 基板用の真空輸送チャンバであって、
    内側面を有するベースプレートと、
    前記ベースプレートの内側面と実質的に平行かつ対向する内側面を有するカバープレートと、
    記カバープレートにおける、前記ベースプレートおよび前記カバープレート内側面に実質的に直交する第1の開口軸を有し、少なくとも1つの基板のサイズに適応する、第1の基板穴と、
    記カバープレートにおける、前記ベースプレートおよび前記カバープレート内側面に実質的に直交する第2の開口軸を有し、少なくとも1つの基板のサイズに適応する、第2の基板穴と、
    少なくとも1つの基板受入れ領域を有し、前記少なくとも1つの基板受入れ領域を前記第1および第2の基板穴の1つとそれぞれ整合されるようにするために、前記ベースプレートおよび前記カバープレート内側面にもっぱら平行に、かつその間で可動である輸送装置と、
    前記第1および第2の基板穴の1つの境界と、いったん前記1つの穴と整合された前記基板受入れ領域のまわりとに沿って制御可能にシールを確立する、制御可能シール装置と、
    前記制御可能シール装置と動作的に協働するために前記制御可能シール装置と対向し、前記1つの穴と対向する領域において前記1つの穴に向かって、かつ前記輸送装置に対して前記制御可能シール装置によって及ぼされる封止力に反して前記輸送装置を偏位する、制御可能反偏位装置とを含み、前記制御可能シール装置および前記制御可能反偏位装置は、シール効果および偏位効果を確立するために、空気圧および油圧作動式の少なくとも1つで膨張し得る、チャンバ。
  2. 前記基板穴の1つはシールするよう閉じることができる蓋を備える、請求項1に記載のチャンバ。
  3. 前記制御可能反偏位装置は制御可能シール装置であって、前記1つの穴の中心軸に相対して実質的に同軸に配置される、請求項1に記載のチャンバ。
  4. 前記穴の1つはシールするよう閉じることができる蓋を備え、前記制御可能シール装置および前記偏位装置によって前記1つの穴のまわりに限界付けられた空間はポンプ接続口に動作的に接続される、請求項3に記載のチャンバ。
  5. 前記蓋は駆動モータに動作的に結合される、請求項2に記載のチャンバ。
  6. 前記制御可能反偏位装置は制御可能シール装置であって、前記穴の1つの中心軸に相対して実質的に同軸に配置され、
    前記穴の1つはシールするよう閉じることができる蓋を備え、前記シール装置および前記制御可能反偏位装置によって前記穴の1つのまわりに限界付けられた空間はポンプ接続口に動作的に接続される、請求項5に記載のチャンバ。
  7. 前記輸送装置に向いた前記蓋の内側面は、前記基板受入れ領域とともに、基板受入れ間隙を規定する、請求項2に記載のチャンバ。
  8. 前記偏位装置は空気圧および油圧作動式の1つである、請求項1に記載のチャンバ。
  9. 前記制御可能シール装置および前記制御可能反偏位装置の少なくとも1つは、円環状の構成を有し、前記穴の1つの中心軸に対して同心である、請求項1に記載のチャンバ。
  10. 前記輸送装置は、貫通穴を備えたプレート状基板受入れ領域を有する、請求項1に記載のチャンバ。
  11. 前記蓋は、前記蓋が閉じている場合に前記穴の1つの縁部から前記輸送装置へと突出す内側面を有する、請求項2に記載のチャンバ。
  12. 前記制御可能反偏位装置は制御可能シール装置であって、前記穴の1つの中心軸に相対して実質的に同軸に配置され、
    前記穴の1つはシールするよう閉じることができる蓋を備え、前記制御可能シール装置および前記制御可能反偏位装置によって前記穴の1つのまわりに限界付けられた空間はポンプ接続口に動作的に接続される、請求項11に記載のチャンバ。
  13. 前記輸送装置は、前記穴に向かって上部から見た場合に、前記第1および第2の穴の開口軸を接続する想像線からオフセットされた回転軸を中心に回転可能に可動である、請求項1に記載のチャンバ。
  14. 上部図から見た場合に、前記回転軸から前記開口軸への2つの想像線は、前記回転軸において120°以下の角度を規定する、請求項13に記載のチャンバ。
  15. 前記穴の1つおよび前記穴の別の1つは、組み付けフランジが前記穴の1つのまわりに組付可能であるように互いに離間されている、請求項14に記載のチャンバ。
  16. 前記第1および第2の穴の1つに対向する基板せり上げ駆動をさらに含む、請求項1に記載のチャンバ。
  17. 前記少なくとも1つの基板受入れ領域の少なくとも一部は、前記ベースプレートおよびカバープレート内側面に直交して可動である、請求項16に記載のチャンバ。
  18. 前記第1および第2の穴の1つにフランジ接合される真空処理ステーションをさらに含む、請求項1に記載のチャンバ。
  19. 前記真空処理ステーションはマグネトロンスパッタステーションである、請求項18に記載のチャンバ。
  20. 前記マグネトロンスパッタステーションのスパッタ面に直交する中心軸は前記穴の1つの開口軸に対して傾斜している、請求項19に記載のチャンバ。
  21. 前記蓋は前記穴の間にヒンジ結合され、前記穴の1つに組付けられるフランジはフランジ穴を有し、フランジ穴の軸は前記穴の軸に対して傾斜し、前記蓋のための駆動は前記フランジに組付けられる、請求項2に記載のチャンバ。
  22. 前記制御可能反偏位装置は制御可能シール装置であって、前記穴の1つの中心軸に相対して実質的に同軸に配置され、
    前記穴の1つはシールするよう閉じることができる蓋を備え、前記制御可能シール装置および前記制御可能反偏位装置によって前記穴の1つのまわりに限界付けられた空間はポンプ接続口に動作的に接続される、請求項21に記載のチャンバ。
  23. 前記内側面に実質的に平行な軸を中心に回転可能に、前記穴の1つに組付けられる基板処理源をさらに含む、請求項1に記載のチャンバ。
  24. 請求項1に記載のチャンバを用いて、コーティングされた円環状の基板を製造するための方法であって、
    (a)スパッタチャンバにおいて半径を有する円環状領域を与えるステップと、
    (b)前記半径の1つの基板または前記半径の領域を組合せにおいて規定する1つを超える基板を前記スパッタチャンバに導入するステップと、
    (c)前記少なくとも1つの基板を前記円環状領域の第1の中心軸のまわりに回転するステップと、
    (d)円環状スパッタ面を備え、前記第1の中心軸に対して傾斜してこれと交差する第2の中心軸を有する、単一のマグネトロンスパッタ源を与えるステップと、
    (e)前記円環状領域の直径を前記円環状スパッタ面の直径よりも大きく選択するステップと、
    (f)前記第1および第2の中心軸の交差角を
    43°≦β≦50°
    として選択するステップと、さらに
    (g)前記単一のマグネトロンスパッタ源によって前記少なくとも1つの基板をマグネトロンスパッタコーティングするステップとを含む、方法。
  25. 前記交差角βを約45°として選択するステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
  26. 前記スパッタ面において、前記単一のマグネトロンスパッタ源を用いて少なくとも1つの円環状の浸食溝を生成するステップをさらに含み、前記浸食溝は円環状の個所rTrを含み、前記第2の中心軸は、前記スパッタ面から距離Dにある前記少なくとも1つの基板と交差し、rTrを、
    1/4≦rTr/D≦2/3
    として選択する、請求項24に記載の方法。
  27. 前記円環状のスパッタ面は直径φTを有し、前記第2の中心軸は、
    前記スパッタ面から距離Dにある前記少なくとも1つの基板と交差し、φTを、
    3/4≦φT/D≦2
    として選択するステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
  28. φT≒1.2Dとして選択するステップをさらに含む、請求項27に記載の方法。
  29. 前記円環状の領域は直径φSを有し、前記第2の中心軸は、前記スパッタ面から距離Dにある前記少なくとも1つの基板と交差し、φSを、
    φS/4D≦1.8
    として選択するステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
  30. 前記円環状の領域は直径φSを有し、前記円環状のスパッタ面は直径φTを有し、φTを、
    1<φS/φT≦2.4
    として選択するステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
  31. 前記円環状の領域は、
    50mm≦φS≦400mm
    として選択される直径φSを有する、請求項24に記載の方法。
  32. φSは、
    50mm≦φS≦300mm
    として選択される、請求項31に記載の方法。
  33. 前記少なくとも1つの基板はデータ記憶ディスクおよびウェハの1つである、請求項24に記載の方法。
  34. 前記少なくとも1つの基板の直径は、64mm、120mm、160mm、240mmの1つである、請求項24に記載の方法。
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