JP5056882B2 - 脱穀装置の選別制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、脱穀装置の選別制御装置に関する。
従来からコンバインの脱穀装置においては、選別制御装置によって選別作用の精度アップが図られている。下記特許文献1には、公知の技術として、次のような選別制御装置が開示されている。
すなわち、「扱室2から漏下した処理物をチャフシーブで受け止めて揺動移送しながら粗選別を行う粗選別部15と、選別処理物を穀粒と二番物に選別する精選別部16とを設け、両者の上下中間位置に複数本の篩い線25を備える中間選別部17を配設し、唐箕7からの選別風の一部を前記両者の間に導入可能な開口部30を形成し、選別風の開口部30への導入量を増減可能な風向板31と、風向板31の姿勢変更手段Mを設け、処理量検出センサSの検出結果に基づいて、処理物の量が多くなるに伴って、風向板31が選別風の開口部30への導入量を増大させる姿勢になり、処理物の量が少なくなるに伴って、風向板31が導入量を減少させる姿勢になるように姿勢変更手段Mを制御する制御装置28を設けてある。」と記載されている。
そして、その目的として、「唐箕の出力が無駄に消費されることを防止できるから処理物の量の大小にかかわらず選別能力を高く維持できる脱穀装置における揺動選別装置を提供する。」と記載されている。
特開平7−274696号公開特許公報
従来の揺動選別装置の構成は、上記特許文献1に開示されているように、唐箕の選別風の吹き出し口の上下の中間位置に一枚の風向案内板を設け、この風向案内板の姿勢(角度)を調節変更して、唐箕から吹き出す選別風の層の中間部分の流れる方向を変える構成であって、選別風誘導路の上部から吹き出す選別風の方向を変更することにはならず、選別風全体の流れの方向が変わらないために、目的とする風選別の効率が上がらない。
そして、脱穀装置の選別室において、処理物の量を正確に把握するためには、主として、一度、脱穀選別を受けた後、二番処理室から排出される処理物を検出するのが適しており、従来装置のように、扱室からの漏下物の量を検出すると、誤差が大きく実態に合わない場合が生じる。
更に、従来装置は、選別室における処理物の量が減少したときに、選別風を揺動選別装置の終端側に送風すると、排塵作用に伴って機外への三番飛散が増加し、多くのロスが発生する。
この発明は、上記課題を解決するために、次のような技術的手段を講じる。
即ち、請求項1記載の発明は、穀稈を脱穀する扱室(1)に二番物処理用の二番処理室(2)を併設し、該扱室(1)及び二番処理室(2)の下方に備える選別室(3)には、上側に揺動選別装置(4)を設け、該揺動選別装置(4)の下側に、選別方向上手側から圧風唐箕(5)、一番移送螺旋軸(6)、二番移送螺旋軸(7)の順に設け、前記圧風唐箕(5)の選別風の吹き出し側に、該選別風の吹き出し方向を調節する上下一対の風向案内板(8,9)を設け、該上下一対の風向案内板(8,9)の間に選別風誘導路(10)を形成し、該上下一対の風向案内板(8,9)は、夫々の回動の中心となる支点軸(12,13)を、前記選別風誘導路(10)から離れた部位に配置し、該支点軸(12,13)が前記選別風誘導路(10)内を通過する選別風に影響を与えない構成とし、前記二番処理室(2)から選別室(3)に排出される処理物を含む揺動選別装置(4)上の処理物の量を検出するセンサ(11)を設け、該センサ(11)によって検出される処理物の量に基づいて前記上下一対の風向案内板(8,9)の傾斜角度を調節して選別風誘導路(10)からの選別風の吹き出し方向を自動的に変更する構成とした脱穀装置の選別制御装置としたものである。
二番処理室(2)から選別室(3)に排出される処理物を含む揺動選別装置(4)上の処理物の量を検出して、選別風誘導路(10)の選別風吹き出し方向を制御するから、選別風全体が層状に吹き出す方向が調節され、きわめて効果的に選別することができる。
また、選別風誘導路(10)内に障害物をなくし、特に、上下の風向案内板(8,9)の支点軸(12,13)を選別風誘導路(10)内に設けない構成とすることによって、風路の途中で選別風に渦流等の発生をなくするものとしている。
請求項2記載の発明は、前記センサ(11)によって検出される処理物の量が基準値に対して多くなるほど選別風の吹き出し方向を選別方向下手側の部位に向け、前記センサ(11)によって検出される処理物の量が基準値に対して少なくなると、選別風の吹き出し方向を選別方向上手側の部位に向けるように、センサ(11)によって検出される処理物の量に基づいて前記上下一対の風向案内板(8,9)の傾斜角度を自動的に制御する構成とした請求項1記載の脱穀装置の選別制御装置としたものである。
この発明によれば、選別室(3)に排出される二番処理物が多いときには、選別風を下手側の部位に向け、一番移送螺旋軸(6)の上方を通して選別方向の棚先側に送るから、一番物の選別が良好に行われ、排塵物を排塵ファン側に誘導して排塵作用を促進できるものとなっている。
逆に、処理物の量が少なくなると、選別風は、選別方向の上手側の部位に向けられ、揺動棚先方向への選別風を少なくして機外飛散を抑えるものとなる。
請求項記載の発明は、前記上下一対の風向案内板(8,9)は、制御信号に基づいて作動する制御モータ(14)から伝動装置(15)とリンク機構(16)とを介して傾斜調節する構成とし、前記制御モータ(14)、伝動装置(15)、及びリンク機構(16)は、脱穀装置(17)の右側板(19)の伝動装置(18)を避けた部位に装備した請求項1記載の脱穀装置の選別制御装置としたものである。
制御モータ(14)とこれに関連する一連の装置を簡潔にまとめて、脱穀ベルト等のない脱穀装置(17)の右側板(19)に装備して安定した制御を行うものである。
請求項1記載の発明によると、二番処理室(2)から選別室(3)に排出される処理物を含む揺動選別装置(4)上の処理物の量を検出して、選別風誘導路(10)の選別風吹き出し方向を制御するから、圧風唐箕(5)から吹き出す選別風全体の吹き出し方向を変え、選別精度を高めることができる。
そして、二番処理室(2)から選別室(3)へ排出された処理物を含む揺動選別装置(4)上の処理物の量を検出するものであり、この二番処理室(2)から選別室(3)へ排出された処理物は、一度、選別過程を経ており、単なる藁屑等の嵩張る夾雑物が取り除かれた実質の処理物であって、検出誤差が発生しにくいため、選別制御の精度を高めることができる。
また、選別風誘導路(10)内に障害物をなくし、特に、上下の風向案内板(8,9)の支点軸(12,13)を選別風誘導路(10)内に設けない構成とすることによって、風路の途中に障害物がなくして選別風に渦流等の発生がないから、適確な選別作用を発揮できる。
そして、請求項2記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加え、選別室(3)に排出される二番処理物が多いときには、選別風を一番移送螺旋軸(6)の上方を通して下手側の部位に向けて送るから、一番移送螺旋軸(6)上方の風選作用が良好に行われると共に、排塵物を排塵ファン側に誘導して、多量の処理物を選別処理するために排塵処理作用を促進できる。
逆に、処理物の量が少なくなると、選別風は、選別方向上手側の部位に向けて送られて、揺動選別装置終端方向への選別風を少なくして、少量で飛びやすい処理物の機外飛散を抑えることができる。
そして、請求項記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加え、制御モータ(14)とこれに関連する一連の装置を簡潔にまとめて、脱穀ベルト等の脱穀装置の伝動機構がない側に設けることにより、確実に設置ができ、安定した制御を行うことができる。
要部の作用を示す脱穀装置の側断面図 脱穀装置の正断面図 脱穀装置の平断面図 制御モータと風向案内板の作用側面図 実施例の揺動選別装置の平面図 前部シーブとスクレパーの平面図 前図6の切断側面図
以下、この発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、コンバインに搭載する脱穀装置17は、図1、乃至図3に示すように、上部に扱胴21を軸架した扱室1を設け、その背後に前側に二番処理室2を、該二番処理室2の後方に排塵処理室22を併設して構成している。23は二番処理胴、24は排塵処理胴を示している。
そして、選別室3は、図面に示すように、前記扱室1、二番処理室2、及び排塵処理室22の下側に配置して設け、扱室1、以下の各処理室2、22から排塵された処理物を選別処理を行う構成としている。そして、揺動選別装置4は、選別室3の上部に揺動選別が出来るように装置し、選別方向の上手側から移送板26、固定の前部シーブ27、漏下目合を調節可能にしたメインシーブ28、先端部にストローラック29をそれぞれ配置して設けた構成としている。
実施例の場合、揺動選別装置4は、下側の選別板25より前側部分を藁屑や穀粒が漏らない程度の大きさの孔を形成し、選別風が通過できる構成にしている。
そして、選別室3は、前記揺動選別装置4の下側に、選別方向の上手側から圧風唐箕5、一番移送螺旋軸6、二番移送螺旋軸7の順に軸装して設け、選別作用ができる構成としている。
そして、排塵装置30は、図1、及び図3に示すように、吸塵ファンから構成され、前記選別室3の後部において、揺動選別装置4の上方で、前記した排塵処理室22に対向する側の側板に装備し、伝動ベルト31によって伝動される構成としている。そして、排塵装置30は、吸塵口32を、前記排塵処理室22の排塵口に対向させ、メインシーブ28の後部からストローラック29の側部上方に設けて構成している。
33は排塵口であって、機体の後部外側に排塵できるように開口した構成としている。
そして、二番揚穀装置35は、図1、及び図2に示すように、搬送始端部である下部を前記二番移送螺旋軸7の一側部(右側)に連通させ、上方に延長して搬送終端部である上部を、前記二番処理室2の始端部に開口させて連通し、選別室3で収集された二番物を揚穀して還元する構成としている。
36はフィードチェンである。
そして、脱穀装置17の伝動装置15は、図3に示すように、機体の左側の側板37側にまとめて、伝動ベルト、31、38を設けて伝動する構成としている。
つぎに、選別風誘導路10は、図1、及び図2に示すように、圧風唐箕5と一番移送螺旋軸6との間における選別風の吹き出し口において、上側の風向案内板8と下側の風向案内板9との上下一対によって選別風を案内する風路を構成している。そして、上の風向案内板8は、基部側(圧風唐箕5側)で風路の外側に軸装した支点軸12に回動自在に取り付け、下の風向案内板9は、断面中空状に形成して風路の邪魔をしない内空部に支点軸13を取り付けて設け、両者を一体回動ができるように連杆40で連結した構成としている。このように、実施例は、両方の支点軸12,13は、前記選別風誘導路10から外して流動する選別風に影響を与えない位置に軸架した構成としている。
この場合、上側の風向案内板8は、支点軸12が上手側に設けているから下手側(風下側)の回動角が大きく取れるものとなって効果が大きく、更に、下手側の端部41を上側に折り曲げて唐箕ケーシング42の内側に配置して、後述の制御調節により移動する全範囲で内側に位置する構成としている。したがって、上側の風向案内板8は、選別風を乱すことはなく、風路の方向が変更できる。
そして、前述のとおり、上側の風向案内板8は、板状であるのに対して、下側の風向案内板9は、断面中空状に形成して外側を膨出させて下側の唐箕ケーシング42との間が平行風路になる構成として、選別風の乱れをなくする工夫をしている。
このように構成した上下一対の風向案内板8,9は、図4に示すように、制御モータ14側から、伝動装置15、すなわち、ピニオン43と半円ギヤ44とを噛合させ、更に、該半円ギヤ44からロッド45を、前記連杆40に連結してリンク機構16を構成している。
したがって、上下一対の風向案内板8,9は、図4において、制御信号に基づいて制御モータ14が、正転、又は逆転方向に駆動されると、ピニオン43から半円ギヤ44、ロッド45、連杆40を介して支点軸12,13を回動支点にして同じ方向に回動調節される。そのため、選別風誘導路10は、揺動選別装置4の基部側から棚先に向かう選別方向に対して、上手側から下手側の範囲に角度が変わり選別風の流れを制御できるものとなっている。尚、前記半円ギヤ44の回動位置を検出するポテンショメータ44aを設ける。
以上述べた上記構成は、前記制御モータ14、伝動装置15、及びリンク機構16を、脱穀装置17の右側板19の伝動装置18を避けた部位に装備している。したがって、制御モータ14とこれに関連する一連の装置は、全体がコンパクトにまとめられ、脱穀装置17の伝動装置18に何ら影響を与えることなく構成できた。
つぎに、センサ11は、図1、乃至図3に示すように、前記二番処理室2から選別室3に排出される処理物を含む揺動選別装置4上の処理物の量を検出するために、前記揺動選別装置4の上側に設けている。すなわち、センサ11は、図面に示すように、二番処理室2から排出される処理物の流れを揺動選別装置4の中央側に寄せる寄せ板47に沿わせて取り付けた構成としている。このように構成すると、センサ11は、二番処理室2から選別室3側に排出されて揺動選別装置4の中心方向に送られる状態の初期の処理物量が適確に検出できるものとなり、検出誤差がほとんど発生しない。尚、このセンサ11は樹脂製のフロート形状に形成し、該センサ11の上下回動量をポテンショメータ11aで検出する構成である。
このように構成された脱穀装置17の選別制御機構は、センサ11によって、二番処理室2から選別室2に排出された処理物と扱室1から漏下した処理物とによる揺動選別装置4上の処理物の量を検出すると、予め記憶させている基準値に比較しながら選別制御が行われる。その場合、上下一対の風向案内板8,9は、基準値に対比して多量になるほど選別方向下手側に選別風誘導路10を向けるように制御調節し、逆に、処理物の量が少量になると、選別方向の上手側に選別風を送る角度に、上下一対の風向案内板8,9を制御調節するのである。
そして、実施例に係る上下一対の風向案内板8,9は、処理物量の検出値が予め設定している基準値をオーバーした場合には、最大の位置を維持する制御が出来る構成としている。これは、処理物量が最大の場合でも、逆に、最小の場合でも同様に制御するもので、位置を維持する制御をすることによって、ハンチングの防止を図る特徴がある。
つぎに、図5、乃至図7に示した実施例は、前部シーブ27のシーブ作用面(上面)を清掃するシーブスクレパー50に関するものである。そして、シーブスクレパー50は、図6、及び図7に示すように、前部シーブ27の上面に嵌合させて左右に往復移動させてスクレパー作用が出来る構成としている。実施例の場合、シーブスクレパー50は、図5に示すように、左右2本のワイヤー51と揺動リンク機構52とを組み合わせて、ワイヤー51の操作で揺動リンク機構52を左右に揺動させて前部シーブ27の上面を左右移動してスクレパー作用によって清掃するものである。
1 扱室
2 二番処理室
3 選別室
4 揺動選別装置
5 圧風唐箕
6 一番移送螺旋軸
7 二番移送螺旋軸
8 風向案内板
9 風向案内板
10 選別風誘導路
11 センサ
12 支点軸
13 支点軸
14 制御モータ
15 伝動装置
16 リンク機構
17 脱穀装置
18 伝動装置
19 機体右側板

Claims (3)

  1. 穀稈を脱穀する扱室(1)に二番物処理用の二番処理室(2)を併設し、該扱室(1)及び二番処理室(2)の下方に備える選別室(3)には、上側に揺動選別装置(4)を設け、該揺動選別装置(4)の下側に、選別方向上手側から圧風唐箕(5)、一番移送螺旋軸(6)、二番移送螺旋軸(7)の順に設け、前記圧風唐箕(5)の選別風の吹き出し側に、該選別風の吹き出し方向を調節する上下一対の風向案内板(8,9)を設け、該上下一対の風向案内板(8,9)の間に選別風誘導路(10)を形成し、該上下一対の風向案内板(8,9)は、夫々の回動の中心となる支点軸(12,13)を、前記選別風誘導路(10)から離れた部位に配置し、該支点軸(12,13)が前記選別風誘導路(10)内を通過する選別風に影響を与えない構成とし、前記二番処理室(2)から選別室(3)に排出される処理物を含む揺動選別装置(4)上の処理物の量を検出するセンサ(11)を設け、該センサ(11)によって検出される処理物の量に基づいて前記上下一対の風向案内板(8,9)の傾斜角度を調節して選別風誘導路(10)からの選別風の吹き出し方向を自動的に変更する構成とした脱穀装置の選別制御装置。
  2. 前記センサ(11)によって検出される処理物の量が基準値に対して多くなるほど選別風の吹き出し方向を選別方向下手側の部位に向け、前記センサ(11)によって検出される処理物の量が基準値に対して少なくなると、選別風の吹き出し方向を選別方向上手側の部位に向けるように、センサ(11)によって検出される処理物の量に基づいて前記上下一対の風向案内板(8,9)の傾斜角度を自動的に制御する構成とした請求項1記載の脱穀装置の選別制御装置。
  3. 前記上下一対の風向案内板(8,9)は、制御信号に基づいて作動する制御モータ(14)から伝動装置(15)とリンク機構(16)とを介して傾斜調節する構成とし、前記制御モータ(14)、伝動装置(15)、及びリンク機構(16)は、脱穀装置(17)の右側板(19)の伝動装置(18)を避けた部位に装備した請求項1記載の脱穀装置の選別制御装置。
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