JP5056655B2 - 自動変速機 - Google Patents

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Description

本発明は、車輌等に搭載される自動変速機に係り、詳しくは、いわゆる横付けバルブボディに設けられてソレノイド・オールオフフェールで用いられるソレノイドバルブを有効に冷却し得るように構成した自動変速機に関する。
従来、特にFR(フロントエンジン・リアドライブ)タイプの車輌では、自動変速機に備えたバルブボディは、変速機構底部に水平状態で装着されるのが一般的であり、その場合、該バルブボディに備えたソレノイドバルブは、コイルを含む電磁部が、バルブボディ下方のオイルパン内に溜められたオイル(ATF:Automatic Transmission Fluid)に浸漬された状態で冷却されるように構成される。このようなバルブボディでは、ソレノイドバルブの電磁部は、オイルに常時浸漬されるため、油温以上に上がることなく、有効に冷却され得る。
一方、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)タイプの車輌では、車輌への自動変速機の搭載性を向上させると共に地上高を確保するために、バルブボディを、変速機構を内蔵するミッションケース(以下、単に「ケース」ともいう)外面に配置するように構成したものが提案されている(特許文献1及び2参照)。このような、いわゆる横付けバルブボディでは、該バルブボディに備えたソレノイドバルブの電磁部(コイル等)がオイルの油面レベルより上方に位置することがあり、その場合、電磁部がオイルに浸漬されずに油温以上に発熱するような虞がある。
このような問題を解消するため、次のような自動変速機が提案されている(特許文献3参照)。該自動変速機は、変速要素間の動力伝達経路を摩擦係合要素の係脱により変更して複数の変速段を達成する変速機構と、摩擦係合要素の係脱を油圧の給排により制御する油圧制御装置とを備え、該油圧制御装置が、変速機構の側部に備えたバルブボディと、制御油圧が供給されないニュートラル時に励磁されるソレノイドバルブと、バルブボディ内にスプールを有し且つ上記ソレノイドバルブの励磁時にオイルを排出しつつ調圧する調圧バルブとを備えている。そして、該ソレノイドバルブは、オイルに浸漬し得ない状態で調圧バルブより下方に配置され、該バルブボディには、調圧バルブの排出口から排出されるオイルがガイド手段によって導かれるように構成されている。
しかし、上記構成を有する特許文献3の自動変速機では、バルブボディをケース外面側部に備えた構成において、油圧回路からオイル供給が得られない状態で励磁するソレノイドバルブの電磁部を、ガイド手段を介して導いたオイルにより冷却することはできるものの、以下のような構成のもの(特許文献4参照)の冷却に適用することはできなかった。
該特許文献4に記載の自動変速機は、通電時(即ち、オン時)に入力ポートと出力ポートとを遮断し、かつ非通電時(即ち、オフ時)に連通するように構成したノーマルオープンタイプのソレノイドバルブを備えており、例えば車輌が前進レンジでの走行中に、何らかの原因でソレノイド・オールオフフェールモードにされると、第2クラッチアプライリレーバルブが、ライン圧に基づくロック圧でスプールをロックされた状態で、全てのソレノイドバルブがオフとなる。このように、全てのソレノイドバルブがオフされることにより、ノーマルオープンである上記ソレノイドバルブだけが信号圧を出力する状態となり、他のソレノイドバルブは信号圧ないし係合圧の出力を停止する等で、走行中にあっては比較的高速段である前進7速段に固定され、2段階以上のダウンシフト変速が生じることを防止しながらも、車輌を一旦停止させた後、エンジンを再始動させることで、比較的低速段である前進3速段にして、車輌の再発進を可能にし得る状態となる。
特開平5−164231号公報 特開2005−240845号公報 特開平6−313470号公報 特開2007−177932号公報
上記特許文献3に開示された構造は、上記特許文献4に記載されるようなソレノイド・オールオフフェール以外において常時通電しているタイプのソレノイドバルブを備えたものは想定していない。つまり、特許文献4に記載の技術は、正常時には常時通電状態となる通電時間の長い発熱量の多いタイプのソレノイドバルブを備えているため、制御油圧が供給されないニュートラル時に励磁されるソレノイドバルブの電磁部を、調圧バルブ排出口から排出されるオイルによって冷却する上記特許文献3のような技術では、発熱量の多いソレノイドバルブを有効に冷却することはできない。
そこで本発明は、いわゆる横付けタイプのためにソレノイドバルブの電磁部が油面レベルよりも上方に位置するものにあって、非使用時に常に通電状態となるタイプのソレノイドバルブに対する冷却を有効に実施し、該ソレノイドバルブの電磁部の早期劣化を回避し得るように構成した自動変速機を提供することを目的とするものである。
請求項1に係る本発明は(例えば図1ないし図8参照)、複数の変速段を形成する変速機構を内蔵するケース(10)と、該ケース(10)の外面側部(10a)に装着されたバルブボディ(1)と、油圧を発生させるオイルポンプと、を備え、該バルブボディ(1)に、ソレノイド・オールオフフェール達成のため正常時には電磁部(4)に常時通電されるソレノイドバルブ(S1)と、走行レンジをその切換え位置に対応して切換えるマニュアルシフトバルブ(81)と、を有する自動変速機において、
前記ケース(10)の外面側部(10a)に装着された前記バルブボディ(1)にて、前記オイルポンプの駆動で発生する油圧に基づくライン圧(P )が直接に常時作用する前記マニュアルシフトバルブ(81)を前記ソレノイドバルブ(S1)より上方に配置し、かつ、
前記マニュアルシフトバルブ(81)のスプール(81p)と該スプール(81p)を摺動自在に挿入したシリンダ部(11)との間の隙間(81f)から、常時作用する前記ライン圧(P )によって漏れ出したオイルを、前記ソレノイドバルブ(S1)の前記電磁部(4)に導く油路(28)を前記バルブボディ(1)の外面(7a)に形成してなる、
ことを特徴とする自動変速機にある。
請求項2に係る本発明は(例えば図1ないし図3参照)、前記油路(28)が、前記バルブボディ(1)のアッパーボディ(7)の外面(7a)に設けられたリブ状の凸部(28a,28b,28c)により形成され、かつ、
該凸部が、前記隙間(81f)から前記ソレノイドバルブ(S1)の前記電磁部(4)に向けて下降するように傾斜する傾斜部(28a)と、該傾斜部(28a)から前記電磁部(4)に向かうように垂下する垂下部(28b,28c)と、からなる、
請求項1記載の自動変速機にある。
請求項3に係る本発明は(例えば図1ないし図5参照)、前記バルブボディ(1)がアルミニューム材からなり、かつ前記マニュアルシフトバルブ(81)の前記スプール(81p)が鉄材からなり、
アルミニューム製の前記シリンダ部(11)と鉄製の前記スプール(81p)との熱膨張率の違いにより、高温時には両者間の前記隙間(81f)が低温時に比して拡大してなる、
請求項1又は2記載の自動変速機にある。
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の記載に何等影響を及ぼすものではない。
請求項1に係る本発明によると、正常時に電磁部に常時通電されているソレノイドバルブが油面レベルより上部に配置されて非潤滑状態になっていても、該ソレノイドバルブより上方に位置決め配置されたマニュアルシフトバルブから特に所定レンジへの切換え時に多く漏れ出したオイルを、油路を介して電磁部に的確に導くことにより、該電磁部を効果的に冷却してその早期劣化を回避することができる。しかも、もともとマニュアルシフトバルブから漏れ出すオイルを利用するため、バルブボディでの消費流量が増大するといった懸念事項がないという利点もある。
請求項2に係る本発明によると、油路が、バルブボディのアッパーボディの外面に設けられたリブ状の凸部によって形成され、該凸部が、隙間からソレノイドバルブに向けて下降するように傾斜する傾斜部と、該傾斜部から電磁部に向かうように垂下する垂下部とからなるので、アッパーボディを鋳造で作製する際に、歩留まり向上のため鋳型の内面を傾斜構造にしていることを利用し、漏れ出したオイルをソレノイドバルブの電磁部に効率良く導く形状の油路を比較的容易に形成することができる。
請求項3に係る本発明によると、車輌走行時に常時通電される電磁部の発熱等によってバルブボディが高温になることにより、熱膨張率が鉄材の約2倍あるアルミニューム製のバルブボディ側のシリンダ部がスプールより大きく膨張するので、特に冷却しなければならない電磁部の発熱時に特にマニュアルシフトバルブからのオイル漏れを多くし、冷却効果を増大させることができる。
以下、本発明に係る実施の形態を図1ないし図8に沿って説明する。図1は本発明を適用し得るバルブボディの、各バルブを装着した状態を示す正面図、図2は図1のバルブボディを同図A−A矢視方向に見た状態を示す側面図、図3はバルブボディの、各バルブを取り外した状態を示す正面図、図4は図3のバルブボディを同図B−B矢視方向に見た状態を示す側面図、図5は本バルブボディに実装される各種バルブをその配置順に並べて示す正面図である。なお、後述する実施の形態中にはソレノイドバルブS1以外にもノーマルオープンタイプのソレノイドバルブは存在するが、本実施の形態では、特に発熱頻度の高い該ソレノイドバルブS1にオイルを導いて冷却する例を、本発明を適用した構成例として説明する。
すなわち、本実施の形態における自動変速機は、図1ないし図4に示すように、複数の変速段を形成する変速機構(図示せず)を内蔵するミッションケース(ケース)10と、該ミッションケース10の外面側部(前側部)10aに装着されて、少なくともオイルに浸されない非浸漬部を有するバルブボディ1と、を備えている。後に詳述するが、該バルブボディ1には、電源がショート等の際にソレノイド・オールオフフェールを機能できるように正常時には電磁部4に常時通電される、ノーマルオープンタイプのソレノイドバルブS1と、走行レンジをその切換え位置に対応して切換えるマニュアルシフトバルブ81と、を有している。
上記バルブボディ1は、ミッションケース10の外面側部10aに装着された状態で、該ミッションケース10の底部に繋がるオイルパン26(図2参照)に覆われており、マニュアルシフトバルブ81の後述する隙間81fから漏れ出すオイルは、ソレノイドバルブS1の電磁部4等を冷却した後、オイルパン26に流れ込むようになっている。バルブボディ1は、ミッションケース10の表面側に突出するアッパーボディ7と、該ミッションケース10内に位置するロワボディ9と、これらアッパーボディ7とロワボディ9の間に挟持されるセパレートプレート8とを有している。
上記バルブボディ1は、図1に示すように、アッパーボディ7の外面7aにおける上側にマニュアルシフトバルブ81を有しており、該マニュアルシフトバルブ81の右側から下方に向かって、リニアソレノイドバルブSLU,ソレノイドバルブS2,リニアソレノイドバルブSLT,ソレノイドバルブS1をこの順に有していると共に、マニュアルシフトバルブ81の左側から下方に向かって、リニアソレノイドバルブSLC1,SLC2,SLC3,SLB1をこの順に有している。図5は、これらバルブ配置の様子を、アッパーボディ7を除去した状態で示している。このように、上記マニュアルシフトバルブ81は、外面側部10aに装着されたバルブボディ1にて、ソレノイドバルブS1より上方に位置するように配置されており、スプール81pは、膨出部81eのシリンダ部11(図2参照)から突出するロッド部81rの先端部が、リンク25を含む連動手段を介して、不図示の運転席に設けられたシフトレバーに連結されている。なお、バルブボディ1には、これら以外にも種々のバルブ(図6参照)が配置されている。図中の符号5は、ソレノイドバルブS2の電磁部である。
上記アッパーボディ7は、図3及び図4に示すように、外面7aの上部に、マニュアルシフトバルブ81のスプール81pを摺動自在に挿入するシリンダ部11を有する膨出部81eを備え、外面7aのおおよそ中央部にて該膨出部81eから下方に向かうように形成された、リニアソレノイドバルブSLUのスプール(図示せず)を摺動自在に挿入するシリンダ部12を有する膨出部66と、ソレノイドバルブS2のスプール(図示せず)を摺動自在に挿入するシリンダ部13を有する膨出部67と、リニアソレノイドバルブSLTのスプール(図示せず)を摺動自在に挿入するシリンダ部14を有する膨出部69と、リニアソレノイドバルブSLC1のスプール(図示せず)を摺動自在に挿入するシリンダ部18を有する膨出部68と、リニアソレノイドバルブSLC2のスプール(図示せず)を摺動自在に挿入するシリンダ部19を有する膨出部70と、リニアソレノイドバルブSLC3のスプール(図示せず)を摺動自在に挿入するシリンダ部16を有する膨出部71と、リニアソレノイドバルブSLB1のスプール(図示せず)を摺動自在に挿入するシリンダ部17を有する膨出部72と、を有している。
図1ないし図3に示すように、上記バルブボディ1の外面7aには油路28が設けられている。該油路28は、前進Dレンジにマニュアルシフトバルブ81が切換えられた際に、スプール81pとシリンダ部11との間の隙間81fから特に多く漏れ出すオイルをソレノイドバルブS1の電磁部4に導くように形成されている。油路28は、バルブボディ1のアッパーボディ7の外面7aに設けられたリブ状の凸部(28a,28b,28c)によって形成されている。該凸部は、上記隙間81fからソレノイドバルブS1の電磁部4に向けて下降するように傾斜する傾斜部28aと、該傾斜部28aから電磁部4に向かうように垂下する垂下部28b,28cとから構成される。
このように傾斜部28a、垂下部28b,28cから成る油路28は、マニュアルシフトバルブ81の特にシリンダ部11とスプール81p間の隙間81fから漏出したオイル(ATF)を、図1及び図3における矢印Ca,Cb,Ccで示すように伝わせて、ソレノイドバルブS1の電磁部4に効率良く導く。上記マニュアルシフトバルブ81は、前述した従来の調圧バルブのようにオイルを排出(ドレーン)しつつ調圧するものではなく、該シフトバルブ81を含む油圧制御装置の回路(図6参照)において比較的高い油圧のライン圧Pを入力する関係上、隙間81fからオイルを漏れ出させるように構成される。
上記バルブボディ1は、全体がアルミニューム材によって鋳造されたものであり、上記マニュアルシフトバルブ81のスプール81pは鉄材によって構成されている。ここで、熱膨張率(線膨張率、体膨張率)は、アルミニューム材が鉄材の2倍程度あるため、アルミニューム製のシリンダ部11と鉄製のスプール81pとの熱膨張率の違いにより、高温時には両者間の隙間81fが低温時に比して拡大するようになる。
ついで、本実施の形態における油圧制御装置について、図6を参照して説明する。同図は、バルブボディ1に備えた各種バルブによって構成される、主に変速制御を行う部分を示す油圧制御装置の回路図であるが、上述したリニアソレノイドバルブSLU,SLTは図示を省略している。
図6に示すように、油圧制御装置6は、図示を省略したオイルポンプ、プライマリレギュレータバルブ、セカンダリレギュレータバルブ、ソレノイドモジュレータバルブ、及び上記リニアソレノイドバルブSLT等を備えており、例えばエンジンが始動されると、不図示のトルクコンバータのポンプインペラに回転駆動連結されたオイルポンプがエンジン(図示せず)の回転に連動して駆動されることにより、オイルパン26(図2参照)からストレーナを介してオイルを吸上げる形で油圧を発生させる。
上記オイルポンプにより発生された油圧は、スロットル開度に応じて調圧出力されるリニアソレノイドバルブSLTの信号圧PSLTに基づき、プライマリレギュレータバルブによって排出調整されつつライン圧Pに調圧される。このライン圧Pは、マニュアルシフトバルブ81、ソレノイドモジュレータバルブ、及びリニアソレノイドバルブSLC3等に供給される。このうちのソレノイドモジュレータバルブに供給されたライン圧Pは、該バルブによって略々一定圧となるモジュレータ圧PMODに調圧され、このモジュレータ圧PMODは、リニアソレノイドバルブSLTや、ソレノイドバルブS1,S2等の元圧として供給される。
なお、上記プライマリレギュレータバルブから排出された圧は、例えばセカンダリレギュレータバルブにより更に排出調整されつつセカンダリ圧PSECに調圧され、このセカンダリ圧PSECが、例えば潤滑油路やオイルクーラ等に供給されると共にトルクコンバータ4にも供給され、かつロックアップクラッチの制御にも用いられる。
一方、マニュアルシフトバルブ81は、図5及び図6に示すように、運転席(不図示)のシフトレバーによって機械的に駆動されるスプール81pを有すると共に、入力ポート81a、前進レンジ圧出力ポート81b、前進レンジ圧ドレーンポート81c、後進レンジ圧出力ポート81d、及びドレーンポートEXを有している。スプール81pの位置がシフトレバーにより選択されたシフトレンジ(例えばP,R,N,D)に応じて切換えられることにより、上記入力ポート81aに入力されたライン圧Pの出力状態や非出力状態(ドレーン)を設定する。
すなわち、シフトレバーの操作に基づきDレンジにされると、スプール81pの位置に基づき上記ライン圧Pが入力される入力ポート81aと前進レンジ圧出力ポート81bとが連通し、該前進レンジ圧出力ポート81bよりライン圧Pが前進レンジ圧(Dレンジ圧)Pとして出力される。シフトレバーの操作に基づきR(リバース)レンジにされると、スプール81pの位置に基づき上記入力ポート81aと後進レンジ圧出力ポート81dとが連通し、該後進レンジ圧出力ポート81dよりライン圧Pが後進レンジ圧(Rレンジ圧)PREVとして出力されると共に、前進レンジ圧ドレーンポート81cとドレーンポートEXとが連通し、Dレンジ圧Pがドレーンされる。また、シフトレバーの操作に基づきPレンジ及びNレンジにされた際は、上記入力ポート81aと前進レンジ圧出力ポート81b及び後進レンジ圧出力ポート81dとの間がスプール81pによって遮断されると共に、前進レンジ圧ドレーンポート81c及び後進レンジ圧出力ポート81dがドレーンポートEXに連通され、つまりDレンジ圧P及びRレンジ圧PREVがドレーン(排出)された非出力状態となる。
ここで、図6に沿って、主に変速制御を行う部分について詳細に説明する。なお、本実施の形態においては、スプール位置を説明するため、図6中に示す右半分の位置を「右半位置」、左半分の位置を「左半位置」という。
本油圧制御装置6は、不図示の変速機構に備えたクラッチC−1用の油圧サーボ41、該変速機構に備えたクラッチC−2用の油圧サーボ42、該変速機構に備えたクラッチC−3用の油圧サーボ43、変速機構に備えたブレーキB−1用の油圧サーボ44、変速機構に備えたブレーキB−2用の油圧サーボ45の、計5つの油圧サーボのそれぞれに係合圧として調圧した出力圧を直接的に供給するための4本のリニアソレノイドバルブSLC1,SLC2,SLC3,SLB1を備えている。また、油圧制御装置6は、リンプホーム機能を達成すると共に、リニアソレノイドバルブSLC2の出力圧をクラッチC−2の油圧サーボ42又はブレーキB−2の油圧サーボ45に切換える部分として、ソレノイドバルブS1、ソレノイドバルブS2、第1クラッチアプライリレーバルブ21、第2クラッチアプライリレーバルブ22、C−2リレーバルブ23、B−2リレーバルブ24等を備えている。
油路a1、油路a4、油路a5には、マニュアルシフトバルブ81の前進レンジ圧出力ポート81bが接続されて前進レンジ圧Pが入力し得るように構成されており、また、油路lには、該マニュアルシフトバルブの後進レンジ圧出力ポート81dが接続されて後進レンジ圧PREVを入力し得るように構成されている。また、油路dには、プライマリレギュレータバルブ(不図示)からのライン圧Pが入力されており、更に油路g1には、モジュレータバルブ(不図示)からのモジュレータ圧PMODが入力される。
このうちの油路a1は、油路a2を介して第1クラッチアプライリレーバルブ21のポート21eに接続されていると共に、チェックバルブ50とオリフィス60とが配設されている。また、該油路a1は、油路a3を介してアキュムレータ30に接続されていると共に、リニアソレノイドバルブSLC1に接続されている。該アキュムレータ30は、ケース30cと、該ケース30cの内部に配設されたピストン30bと、該ピストン30bを付勢するスプリング30sと、該ケース30c及びピストン30bの間に形成された油室30aとを有している。
上記リニアソレノイドバルブSLC1は、油路a1を介して前進レンジ圧Pを入力する入力ポートSLC1aと、該前進レンジ圧Pを調圧して油圧サーボ41に制御圧PSLC1を係合圧PC1として出力する出力ポートSLC1bとを有している。即ち、該リニアソレノイドバルブSLC1は、非通電時に入力ポートSLC1aと出力ポートSLC1bとを遮断して非出力状態となり、不図示の制御部からの指令値に基づく通電時には、入力ポートSLC1aと出力ポートSLC1bとの連通する量(開口量)を該指令値に応じて大きくし、つまり指令値に応じた係合圧PC1を出力し得るように構成される。リニアソレノイドバルブSLC1の出力ポートSLC1bは、油路b1を介して後述の第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22cに接続されている。
一方、リニアソレノイドバルブSLC2は、油路a4などを介して前進レンジ圧Pを入力する入力ポートSLC2aと、該前進レンジ圧Pを調圧して油圧サーボ42に制御圧PSLC2を係合圧PC2(又は係合圧PB2)として出力する出力ポートSLC2bとを有している。即ち、該リニアソレノイドバルブSLC2は、非通電時に入力ポートSLC2aと出力ポートSLC2bとを連通した出力状態となり、不図示の制御部からの指令値に基づく通電時には、入力ポートSLC2aと出力ポートSLC2bとの連通する量を該指令値に応じて小さくし(即ち開口量を絞り)、つまり指令値に応じた係合圧PC2(又はPB2)を出力し得るように構成されている。そして、該リニアソレノイドバルブSLC2の出力ポートSLC2bは、油路c1を介して後述の第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22fに接続されている。
リニアソレノイドバルブSLC3は、油路dなどを介してライン圧Pを入力する入力ポートSLC3aと、該ライン圧Pを調圧して油圧サーボ43に制御圧PSLC3を係合圧PC3として出力する出力ポートSLC3bとを有している。即ち、該リニアソレノイドバルブSLC3は、非通電時に入力ポートSLC3aと出力ポートSLC3bとを連通した出力状態となり、不図示の制御部からの指令値に基づく通電時には、入力ポートSLC3aと出力ポートSLC3bとの連通する量を該指令値に応じて小さくし(即ち開口量を絞り)、つまり指令値に応じた係合圧PC3を出力し得るように構成されている。該リニアソレノイドバルブSLC3の出力ポートSLC3bは、油路e1を介してクラッチC−3の油圧サーボ43に接続されている。また、該油路e1には、チェックバルブ53とオリフィス63とが配設されていると共に、油路e2を介してC−3ダンパ33の油室33aが接続されている。なお、該C−3ダンパ33は、アキュムレータ30と同様の構成であって、一般的なダンパ装置である。
リニアソレノイドバルブSLB1は、油路a5などを介して前進レンジ圧Pを入力する入力ポートSLB1aと、該前進レンジ圧Pを調圧して油圧サーボ44に制御圧PSLB1を係合圧PB1として出力する出力ポートSLB1bとを有している。即ち、該リニアソレノイドバルブSLB1は、非通電時に入力ポートSLB1aと出力ポートSLB1bとを遮断して非出力状態となり、不図示の制御部からの指令値に基づく通電時には、入力ポートSLB1aと出力ポートSLB1bとの連通する量(開口量)を該指令値に応じて大きくし、つまり指令値に応じた係合圧PB1を出力し得るように構成されている。そして、該リニアソレノイドバルブSLB1の出力ポートSLB1bは、油路f1を介してブレーキB−1の油圧サーボ44に接続されている。また、該油路f1には、チェックバルブ54とオリフィス64とが配設されていると共に、油路f2を介してB−1ダンパ34の油室34aが接続されている。
本発明に係るマニュアルシフトバルブ81から漏れ出すオイルにより電磁部4を冷却されるソレノイドバルブS1は、非通電時に出力状態となるノーマルオープンタイプからなり、油路g1,g2を介してモジュレータ圧PMODを入力する入力ポートS1aと、非通電時(即ちOFF時)に該モジュレータ圧PMODを略々そのまま信号圧PS1として出力する出力ポートS1bとを有している。該出力ポートS1bは、油路h1,h2を介して第1クラッチアプライリレーバルブ21の油室21aに接続されており、また、油路h1,h3を介して第2クラッチアプライリレーバルブ22の油室22aに接続されていると共に、油路h4を介してB−2リレーバルブ24の入力ポート24cに接続されている。
ソレノイドバルブS2は、非通電時に非出力状態となるノーマルクローズタイプからなり、油路g1,g3を介してモジュレータ圧PMODを入力する入力ポートS2aと、通電時(即ちON時)に該モジュレータ圧PMODを略々そのまま信号圧PS2として出力する出力ポートS2bとを有している。該出力ポートS2bは、油路iを介してB−2リレーバルブ24の油室24aに接続されている。
第1クラッチアプライリレーバルブ21は、2つのスプール21p,21qと、該スプール21pを図中上方に付勢するスプリング21sと、該スプール21p,21qを離間する方向に付勢するスプリング21tとを有していると共に、該スプール21qの図中上方に油室21aと、スプール21pの図中下方に油室21dと、両スプール21p,21qの間に油室21cと、スプール21qのランド部の径の差違(受圧面積の差違)により形成された油室21bとを有しており、更に、入力ポート21eと、入力ポート21fと、入力ポート21gと、入力ポート21hと、出力ポート21iと、出力ポート21jと、ドレーンポートEXとを有して構成されている。
該第1クラッチアプライリレーバルブ21は、スプール21p,21qが左半位置にされた際に、入力ポート21eと出力ポート21jとが連通されると共に、入力ポート21eと出力ポート21iとが遮断され、右半位置にされた際には、入力ポート21eと出力ポート21iとが連通されると共に出力ポート21jとドレーンポートEXとが連通されるように構成されている。また、スプール21pが左半位置にされた際には、入力ポート21hが遮断され、スプール21qが右半位置にされた際には、入力ポート21gが遮断されるように構成されている。
上述のように油室21aは、油路h1,h2を介して上記ソレノイドバルブS1の出力ポートS1bに接続されており、上記油室21bは、入力ポート21fより油路b4を介して第2クラッチアプライリレーバルブ22の出力ポート22iに接続されている。上記入力ポート21eには、油路a1,a2を介して前進レンジ圧Pが入力されており、スプール21pが左半位置の際に該入力ポート21eに連通する出力ポート21jは、油路jを介して第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22hに接続されている。また、スプール21pが右半位置の際に該入力ポート21eに連通する出力ポート21iは、油路k1,k2を介して入力ポート21gと、油路k1,k2,k3を介して入力ポート21hとにそれぞれ接続され、つまり該出力ポート21iは、スプール21p,21qの位置に拘らず、油室21cに接続されている。更に、該出力ポート21iは、油路k1を介して第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22eに接続されている。そして、上記油室21dには、油路c5を介してC−2リレーバルブ23の出力ポート23cが接続されており、該油路c5には、チェックバルブ55とオリフィス65とが配設されている。
第2クラッチアプライリレーバルブ22は、スプール22pと、該スプール22pを図中上方に付勢するスプリング22sとを有していると共に、該スプール22pの図中上方に油室22aと、該スプール22pの図中下方に油室22bとを有しており、更に、入力ポート22cと、出力ポート22dと、入力ポート22eと、入力ポート22fと、出力ポート22gと、入力ポート22hと、出力ポート22iとを有して構成されている。該第2クラッチアプライリレーバルブ22は、スプール22pが左半位置にされた際に、入力ポート22cと出力ポート22d及び出力ポート22iとが連通され、かつ入力ポート22fと出力ポート22gとが連通されると共に、入力ポート22eと入力ポート22hとがそれぞれ遮断され、右半位置にされた際には、入力ポート22eと出力ポート22dとが連通され、かつ入力ポート22hと出力ポート22gとが連通されると共に、入力ポート22cと出力ポート22iと入力ポート22fとが遮断される。
油室22aは、油路h1,h3を介して上記ソレノイドバルブS1の出力ポートS1bに接続されていると共に、油路h4を介して後述するB−2リレーバルブ24の入力ポート24cに接続されている。上記入力ポート22cは、油路b1を介して上記リニアソレノイドバルブSLC1の出力ポートSLC1bに接続されており、スプール22pが左半位置の際に該入力ポート22cに連通する出力ポート22dは、油路b2を介してクラッチC−1の油圧サーボ41に接続されている。該油路b2には、チェックバルブ51とオリフィス61とが配設されると共に、油路b3を介してC−1ダンパ31の油室31aが接続されている。また同様にスプール22pが左半位置の際に該入力ポート22cに連通する出力ポート22iは、油路b4を介して上記第1クラッチアプライリレーバルブ21の入力ポート21fに接続されると共に、油路b4,b5を介して油室22bに接続されている。一方、入力ポート22fは、油路c1を介して上記リニアソレノイドバルブSLC2の出力ポートSLC2bに接続されており、また、入力ポート22hは、油路jを介して上記第1クラッチアプライリレーバルブ21の出力ポート21jに接続されている。スプール22pが左半位置の際に該入力ポート22fに連通し、かつスプール22pが右半位置の際に該入力ポート22hに連通する出力ポート22gは、油路c2を介して後述するC−2リレーバルブ23の入力ポート23bに接続されている。該油路c2には、チェックバルブ52とオリフィス62とが配設されていると共に、油路c4を介してC2−B2ダンパ32の油室32aが接続されている。
C−2リレーバルブ23は、スプール23pと、該スプール23pを図中上方に付勢するスプリング23sとを有していると共に、該スプール23pの図中上方に油室23aを有しており、更に、入力ポート23bと、出力ポート23cと、出力ポート23dと、出力ポート23eと、ドレーンポートEXとを有して構成されている。該C−2リレーバルブ23は、スプール23pが左半位置にされた際に、入力ポート23bと出力ポート23c及び出力ポート23eとが連通され、かつ出力ポート23dとドレーンポートEXとが連通され、右半位置にされた際には、入力ポート23bと出力ポート23dとが連通され、かつ出力ポート23c及び出力ポート23eとドレーンポートEXとが連通されるように構成されている。
上記油室23aは、油路h5を介して後述するB−2リレーバルブ24の出力ポート24bに接続されている。入力ポート23bは、油路c2を介して上記第2クラッチアプライリレーバルブ22の出力ポート22gに接続されており、該入力ポート23bにスプール23pが左半位置の際に連通する出力ポート23eが油路c3を介してクラッチC−2の油圧サーボ42に接続されている。また、同様に該入力ポート23bにスプール23pが左半位置の際に連通する出力ポート23cは、油路c5を介して上記第1クラッチアプライリレーバルブ21の油室21dに接続されており、また、該油路c5には、チェックバルブ55とオリフィス65とが配設されている。そして、該入力ポート23bにスプール23pが右半位置の際に連通する出力ポート23dは、油路mを介してB−2リレーバルブ24の入力ポート24eに接続されている。
B−2リレーバルブ24は、スプール24pと、該スプール24pを図中上方に付勢するスプリング24sとを有していると共に、該スプール24pの図中上方に油室24aを有しており、出力ポート24bと、入力ポート24cと、入力ポート24dと、入力ポート24eと、出力ポート24fと、出力ポート24gと、ドレーンポートEXとを有して構成されている。該B−2リレーバルブ24は、スプール24pが左半位置にされた際に、入力ポート24dと出力ポート24f及び出力ポート24gとが連通され、かつ出力ポート24bとドレーンポートEXとが連通されると共に、入力ポート24cが遮断され、右半位置にされた際には、入力ポート24cと出力ポート24bとが連通され、かつ入力ポート24eと出力ポート24gとが連通されると共に、入力ポート24d、ドレーンポートEXとが遮断されるように構成されている。
上記油室24aは、油路iを介して上記ソレノイドバルブS2の出力ポートS2bに接続されている。上記入力ポート24dは、油路lを介して後進レンジ圧PREVが出力されるマニュアルシフトバルブ81の後進レンジ圧出力ポート81dに接続されており、また、上記入力ポート24eは、油路mを介して上記C−2リレーバルブ23の出力ポート23dに接続されており、該入力ポート24dにスプール24pが左半位置の際に連通し、該入力ポート24eにスプール24pが右半位置の際に連通する上記出力ポート24gは、油路nを介してブレーキB−2の油圧サーボ45に接続され、つまり該ブレーキB−2の油圧サーボ45は、マニュアルシフトバルブ81の後進レンジ圧出力ポート81d、又はリニアソレノイドバルブSLC2の出力ポートSLC2bに接続されている。また、上述のように入力ポート24cは、油路h4、第2クラッチアプライリレーバルブ22の油室22a、油路h1,h3を介してソレノイドバルブS1の出力ポートS1bに接続されており、該入力ポート24cにスプール24pが右半位置の際に連通する出力ポート24bは、油路h5を介してC−2リレーバルブ23の油室23aに接続されている。なお、上記入力ポート24dにスプール24pが左半位置の際に連通する出力ポート24fは、不図示の油路を介してプライマリレギュレータバルブの油室に接続されており、プライマリレギュレータバルブに後進レンジ圧PREVを作用させて後進時にライン圧Pを上昇させるように構成されている。
ここで、上記構成の本油圧制御装置6の作用について説明する。
例えば運転手によりイグニッションがONされると、油圧制御が開始される。まず、シフトレバーの選択位置が、例えばPレンジ又はNレンジである際は、不図示の制御部の電気指令によってリニアソレノイドバルブSLC2、リニアソレノイドバルブSLC3、及びソレノイドバルブS1に通電され、それぞれの入力ポートと出力ポートとを遮断する。ついで、例えばエンジンが始動されると、エンジン回転に基づくオイルポンプ(不図示)の回転により油圧が発生し、該油圧は、上述のようにプライマリレギュレータバルブやソレノイドモジュレータバルブによって、ライン圧Pやモジュレータ圧PMODにそれぞれ調圧出力され、マニュアルシフトバルブ81の入力ポート81aと油路dを介してリニアソレノイドバルブSLC3の入力ポートSLC3aとにライン圧Pが入力されると共に、油路g1,g2,g3を介してソレノイドバルブS1,S2の入力ポートS1a,S2aにモジュレータ圧PMODが入力される。
[N−D時(前進1速段)における動作]
続いて、例えば運転手がシフトレバーをNレンジ位置からDレンジ位置にすると、マニュアルシフトバルブ81の前進レンジ圧出力ポート81bから油路a1,a4,a5に前進レンジ圧Pが出力され、該前進レンジ圧Pは、油路a1を介してリニアソレノイドバルブSLC1に、油路a4を介してリニアソレノイドバルブSLC2に、油路a5を介してリニアソレノイドバルブSLB1、油路a1,a2を介して第1クラッチアプライリレーバルブ21にそれぞれ入力される。
上記油路a1には、チェックバルブ50とオリフィス60とが配設されており、前進レンジ圧Pによりチェックバルブ50が開かれるため、リニアソレノイドバルブSLC1に対する前進レンジ圧Pの供給は、排出時に比して急速となる。また、油路a1に供給された前進レンジ圧Pは、油路a3を介してアキュムレータ30の油室30aに入力され、該アキュムレータ30によって、リニアソレノイドバルブSLC1に供給される前進レンジ圧Pの蓄圧を行う。
また、油路a2より前進レンジ圧Pが入力ポート21eに入力される第1クラッチアプライリレーバルブ21は、ソレノイドバルブS1がONされて信号圧PS1が出力されていないため、Dレンジに切換えた当初(N−Dシフトの当初)は、スプリング21sの付勢力により左半位置にされており、出力ポート21jから油路jに前進レンジ圧Pを出力するが、同様にソレノイドバルブS1がONされて信号圧PS1が出力されていないため、スプリング22sの付勢力により左半位置にされている第2クラッチアプライリレーバルブ22にあって、入力ポート22hが遮断された状態となる。
ついで、例えば制御部により前進1速段が判断されると、該制御部の電気制御によりリニアソレノイドバルブSLC1がONされ、入力ポートSLC1aに入力されている前進レンジ圧Pを調圧制御して、制御圧PSLC1を係合圧PC1として徐々に大きくなるように出力ポートSLC1bから出力し、該制御圧PSLC1(係合圧PC1)が油路b1を介して第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22cに入力される。
すると、左半位置にされている第2クラッチアプライリレーバルブ22は、入力ポート22cに入力された制御圧PSLC1を、出力ポート22iより出力すると共に、出力ポート22dからも出力する。該出力ポート22iより出力した制御圧PSLC1は、油路b4,b5を介して油室22bに入力され、第2クラッチアプライリレーバルブ22を左半位置にロックすると共に、油路b4を介して第1クラッチアプライリレーバルブ21の油室21bに入力され、スプール21p,21qをスプリング21sの付勢力に反して図中下方へ押圧して、該第1クラッチアプライリレーバルブ21を右半位置に切換える。
スプール21p,21qが右半位置に切換えられた第1クラッチアプライリレーバルブ21は、第2クラッチアプライリレーバルブ22の出力ポート22iより出力された制御圧PSLC1により、スプール21qをスプリング21tの付勢力に反して図中下方へ押圧しているが、入力ポート21eより入力された前進レンジ圧Pが、出力ポート21iより出力され、油路k1,k2,k3及び入力ポート21hを介して油室21cに入力されるため、該スプール21qは、該油室21cに作用する油圧とスプリング21tの付勢力とにより、図中上方に切換えられ、つまりスプール21pとスプール21qとが離間した状態でロックされる。なお、油路k1から第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22eに入力される前進レンジ圧Pは、該入力ポート22eにおいて遮断される。
そして、上述のようにリニアソレノイドバルブSLC1から第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22cに入力された制御圧PSLC1は、出力ポート22dから油路b2を介して油圧サーボ41に係合圧PC1として出力され、上記クラッチC−1が係合される。これにより、上記ワンウェイクラッチF−1の係止と相俟って、前進1速段が達成される。
また、上記油路b2には、チェックバルブ51及びオリフィス61が配設されており、係合圧PC1(制御圧PSLC1)を油圧サーボ41に供給する際はチェックバルブ51を閉じて、該オリフィス61だけを介して緩やかに油圧を供給し、かつ油圧サーボ41から係合圧PC1を排出する際はチェックバルブ51を開いて供給する場合に比して急速に排出するようになっている。更に、油路b2に供給された係合圧PC1は、油路b3を介してC−1ダンパ31の油室31aに入力され、該C−1ダンパ31によって、油圧サーボ41に給排される係合圧PC1の脈動の防止、サージ圧(急激な変動圧)の吸収などが行われる。
[前進2速段における動作]
ついで、例えば上記前進1速段の状態から制御部により前進2速段が判断されると、該制御部からの電気指令により、上記前進1速段の際と同様に(エンジンブレーキ時は除く)、ソレノイドバルブS1がONされ、かつソレノイドバルブS2がOFFされた状態で、上記リニアソレノイドバルブSLC1の調圧状態が維持されつつ、リニアソレノイドバルブSLB1の調圧制御が行われる。即ち、リニアソレノイドバルブSLB1が調圧制御されると、制御圧PSLB1が係合圧PB1として出力ポートSLB1bから出力されて、油路f1を介して油圧サーボ44に入力され、ブレーキB−1が係止される。これにより、上記クラッチC−1の係合と相俟って、前進2速段が達成される。
また、上記油路f1には、チェックバルブ54及びオリフィス64が配設されており、係合圧PB1をブレーキB−1の油圧サーボ44に供給する際はチェックバルブ54を閉じて、該オリフィス64だけを介して緩やかに油圧を供給し、かつ該油圧サーボ44から係合圧PB1を排出する際はチェックバルブ54を開いて供給する場合に比して急速に油圧を排出するようになっている。更に、油路f1に供給された係合圧PB1は、油路f2を介してB−1ダンパ34の油室34aに入力され、該B−1ダンパ34によって、油圧サーボ44に給排される係合圧PB1の脈動の防止、サージ圧(急激な変動圧)の吸収などが行われる。
[前進3速段における動作]
続いて、例えば上記前進2速段の状態から制御部により前進3速段が判断されると、該制御部からの電気指令により、同様にソレノイドバルブS1がONされ、かつソレノイドバルブS2がOFFされた状態で、上記リニアソレノイドバルブSLC1の調圧状態が維持されつつ、リニアソレノイドバルブSLB1がOFFされる形で閉じられると共に、リニアソレノイドバルブSLC3の調圧制御が行われる。即ち、まず、リニアソレノイドバルブSLB1の調圧制御によりブレーキB−1の解放制御が行われ、つまりブレーキB−1の油圧サーボ44の係合圧PB1(制御圧PSLB1)が油路f1を介してリニアソレノイドバルブSLB1のドレーンポートEXより排出制御され、該ブレーキB−1が解放される。また、一方のリニアソレノイドバルブSLC3は、ON(通電)されて制御圧PSLC3が0圧となるように閉じられていた状態から調圧制御が行われ、制御圧PSLC3が係合圧PC3として出力ポートSLC3bから出力されて、油路e1を介して油圧サーボ43に入力され、クラッチC−3が係合される。これにより、上記クラッチC−1の係合と相俟って、前進3速段が達成される。
また、上記油路e1には、チェックバルブ53及びオリフィス63が配設されており、係合圧PC3をクラッチC−3の油圧サーボ43に供給する際はチェックバルブ53を閉じて、該オリフィス63だけを介して緩やかに油圧を供給し、かつ該油圧サーボ43から係合圧PC3を排出する際はチェックバルブ53を開いて供給する場合に比して急速に油圧を排出するようになっている。更に、油路e1に供給された係合圧PC3は、油路e2を介してC−3ダンパ33の油室33aに入力され、該C−3ダンパ33によって、油圧サーボ43に給排される係合圧PC3の脈動の防止、サージ圧(急激な変動圧)の吸収などが行われる。
[前進4速段における動作]
次に、例えば上記前進3速段の状態から制御部により前進4速段が判断されると、該制御部からの電気指令により、同様にソレノイドバルブS1がONされ、かつソレノイドバルブS2がOFFされた状態で、上記リニアソレノイドバルブSLC1の調圧状態が維持されつつ、リニアソレノイドバルブSLC3がOFFされる形で閉じられると共に、リニアソレノイドバルブSLC2の調圧制御が行われる。即ち、まず、リニアソレノイドバルブSLC3の調圧制御によりクラッチC−3の解放制御が行われ、つまりクラッチC−3の油圧サーボ43の係合圧PC3(制御圧PSLC3)が油路e1を介してリニアソレノイドバルブSLC3のドレーンポートEXより排出制御され、該クラッチC−3が解放される。また、一方のリニアソレノイドバルブSLC2は、ON(通電)されて制御圧PSLC2が0圧となるように閉じられていた状態から調圧制御が行われ、制御圧PSLC2が係合圧PC2として出力ポートSLC2bから出力されて、油路c1を介して第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22fに入力される。
上述したように第2クラッチアプライリレーバルブ22は、ソレノイドバルブS1がONされて信号圧PS1が油室22aに入力されておらず、かつ油室22bに入力されている係合圧PC1により左半位置にロックされているため、入力ポート22fに入力された制御圧PSLC2(係合圧PC2)は、出力ポート22gより係合圧PC2として出力される。該出力ポート22gより出力した係合圧PC2は、油路c2を介してC−2リレーバルブ23の入力ポート23bに入力される。
更に、C−2リレーバルブ23は、ソレノイドバルブS2がOFFされてB−2リレーバルブ24が左半位置にされ、油室23a及び油路h5がドレーン状態にされており、スプリング23sの付勢力により左半位置にされているため、入力ポート23bに入力された係合圧PC2は、出力ポート23cから出力されると共に、出力ポート23eからも出力される。該出力ポート23cから出力された係合圧PC2は、油路c5を介して第1クラッチアプライリレーバルブ21の油室21dに入力され、該第1クラッチアプライリレーバルブ21のスプール21pを該係合圧PC2によりスプリング21sの付勢力と相俟って左半位置に切換えてロックする。この際、油路k1を介して入力ポート22eに入力されている前進レンジ圧Pは、出力ポート21iから出力ポート21jに切換えられ、油路jに出力されるが、第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22hにより遮断される。また、油路k1に供給されていた前進レンジ圧Pが遮断されるので、油路k2,k3を介した油室21cに対するロック圧としての前進レンジ圧Pの供給は解除される。
なお、油路c5には、チェックバルブ55及びオリフィス65が配設されており、係合圧PC2を第1クラッチアプライリレーバルブ21の油室21dに供給する際はチェックバルブ55を閉じて、該オリフィス65だけを介して緩やかに油圧を供給し、かつ該油室21dから係合圧PC2を排出する際はチェックバルブ55を開いて供給する場合に比して急速に油圧を排出するようになっている。
そして、上記C−2リレーバルブ23の出力ポート23eから出力された係合圧PC2は、油路c3を介して油圧サーボ42に入力され、クラッチC−2が係合される。これにより、上記クラッチC−1の係合と相俟って、前進4速段が達成される。
[前進5速段における動作]
次に、例えば上記前進4速段の状態から制御部により前進5速段が判断されると、該制御部からの電気指令により、同様にソレノイドバルブS1がONされ、かつソレノイドバルブS2がOFFされた状態で、上記リニアソレノイドバルブSLC2の調圧状態が維持されつつ、リニアソレノイドバルブSLC1がOFFされる形で閉じられると共に、リニアソレノイドバルブSLC3の調圧制御が行われる。即ち、まず、リニアソレノイドバルブSLC1の調圧制御によりクラッチC−1の解放制御が行われ、つまりクラッチC−1の油圧サーボ41の係合圧PC1(制御圧PSLC1)が油路b1,b2を介してリニアソレノイドバルブSLC1のドレーンポートEXより排出制御され、該クラッチC−1が解放される。また、一方のリニアソレノイドバルブSLC3は、上記前進3速段の際と同様に、ON(通電)されて制御圧PSLC3が0圧となるように閉じられていた状態から調圧制御が行われ、制御圧PSLC3が係合圧PC3として出力ポートSLC3bから出力されて、油路e1を介して油圧サーボ43に入力され、クラッチC−3が係合される。これにより、上記クラッチC−2の係合と相俟って、前進5速段が達成される。
[前進6速段における動作]
そして、例えば上記前進5速段の状態から制御部により前進6速段が判断されると、該制御部からの電気指令により、同様にソレノイドバルブS1がONされ、かつソレノイドバルブS2がOFFされた状態で、上記リニアソレノイドバルブSLC2の調圧状態が維持されつつ、リニアソレノイドバルブSLC3がON(通電)される形で閉じられると共に、リニアソレノイドバルブSLB1の調圧制御が行われる。即ち、まず、リニアソレノイドバルブSLC3の調圧制御によりクラッチC−3の解放制御が行われ、つまりクラッチC−3の油圧サーボ43の係合圧PC3(制御圧PSLC3)が油路e1を介してリニアソレノイドバルブSLC3のドレーンポートEXより排出制御され、該クラッチC−3が解放される。また、一方のリニアソレノイドバルブSLB1は、上記前進2速段の際と同様に、OFFされて制御圧PSLB1が0圧となるように閉じられていた状態からON(通電)されて調圧制御が行われ、制御圧PSLB1が係合圧PB1として出力ポートSLB1bから出力されて、油路f1を介して油圧サーボ44に入力され、ブレーキB−1が係合される。これにより、上記クラッチC−2の係合と相俟って、前進6速段が達成される。
[ソレノイド・オールオフフェール時における動作]
続いて、本油圧制御装置6におけるソレノイド・オールオフフェール時における動作を説明する。シフトレバー位置がDレンジにされた状態における通常走行時に、例えばバッテリーのショートや断線等に起因して、全てのソレノイドバルブ(リニアソレノイドバルブSLC1,SLC2,SLC3,SLB1、ソレノイドバルブS1、ソレノイドバルブS2)がOFFフェール(以下、「オールオフフェール」という。)した場合、リニアソレノイドバルブSLC1、リニアソレノイドバルブSLB1、及びソレノイドバルブS2は、ノーマルクローズタイプであるため油圧の出力をせず、リニアソレノイドバルブSLC2、リニアソレノイドバルブSLC3、及びソレノイドバルブS1は、ノーマルオープンタイプであるため、それぞれの油圧を出力する。
正常時の前進1速段から前進3速段での走行時において、上記第1クラッチアプライリレーバルブ21は、上述のように油室21cに入力された前進レンジ圧Pによってスプール21pが右半位置にロックされており、このため出力ポート21iより出力した前進レンジ圧Pは、油路k1を介して、第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22eに入力され、左半位置にされた第2クラッチアプライリレーバルブ22により遮断された状態とされている。
この状態からオールオフフェールとなると、第2クラッチアプライリレーバルブ22は、ソレノイドバルブS1から出力された信号圧PS1が油路h1,h3を介して油室22aに入力されることにより右半位置に切換えられ、該入力ポート22eに入力された前進レンジ圧Pは、出力ポート22dより出力され、油路b2を介して油圧サーボ41に入力されて、クラッチC−1が係合される。また、リニアソレノイドバルブSLC2から出力された制御圧PSLC2(係合圧PC2)は、右半位置に切換えられた第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22fによって遮断される。更に、リニアソレノイドバルブSLC3は、入力ポートSLC3aに入力されたライン圧Pが略々そのまま係合圧PC3として、出力ポートSLC3bより出力され、油路e1を介して油圧サーボ43に入力されて、クラッチC−3が係合される。これにより、上記クラッチC−1と上記クラッチC−3とが係合されて前進3速段が達成され、つまり前進1速段から前進3速段での走行時にオールオフフェールとなった際は、前進3速段による走行状態が確保される。
また、正常時の前進4速段から前進6速段での走行時において、上述のようにクラッチC−2の係合圧PC2が油路c1、第2クラッチアプライリレーバルブ22、油路c2、C−2リレーバルブ23、油路c5を介して第1クラッチアプライリレーバルブ21の油室21dに入力されており、スプール21p,21qが左半位置にロックされているため、出力ポート21jより出力した前進レンジ圧Pは、油路jを介して、第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22hに入力され、左半位置にされた第2クラッチアプライリレーバルブ22により遮断された状態とされている。
この状態からオールオフフェールとなると、第2クラッチアプライリレーバルブ22は、ソレノイドバルブS1から出力された信号圧PS1が油路h1,h3を介して油室22aに入力されることにより右半位置に切換えられ、また、ソレノイドバルブS2がOFFとなってB−2リレーバルブ24は切換えられずに左半位置に維持されることで、油路h4が遮断されて油路h5にソレノイドバルブS1の信号圧PS1が出力されないため、C−2リレーバルブ23も切換えられずに左半位置に維持される。このため、第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22hに入力された前進レンジ圧Pは、出力ポート22gより出力され、油路c2、C−2リレーバルブ23、油路c3を介して油圧サーボ42に入力されて、クラッチC−2が係合される。また、リニアソレノイドバルブSLC2から出力された制御圧PSLC2(係合圧PC2)は、右半位置に切換えられた第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22fによって遮断されるが、上記油路c2に出力された前進レンジ圧PがC−2リレーバルブ23を介して油路c5にも出力され、第1クラッチアプライリレーバルブ21の油室21dに入力されるので、該第1クラッチアプライリレーバルブ21は、引き続き左半位置にロックされる。そして、リニアソレノイドバルブSLC3は、入力ポートSLC3aに入力されたライン圧Pが略々そのまま係合圧PC3として、出力ポートSLC3bより出力され、油路e1を介して油圧サーボ43に入力されて、クラッチC−3が係合される。これにより、上記クラッチC−2と上記クラッチC−3とが係合されて前進5速段が達成され、つまり前進4速段から前進6速段での走行時にオールオフフェールとなった際は、前進5速段による走行状態が確保される。
また、上記前進4速段から前進6速段での正常走行時にオールオフフェールとなった場合において、車輌を停止させ、一旦、シフトレバーをNレンジ位置にすると、マニュアルシフトバルブ81は、前進レンジ圧Pを出力停止すると共にドレーンし、特にノーマルオープンであるリニアソレノイドバルブSLC2と第1クラッチアプライリレーバルブ21の入力ポート21eとに対する前進レンジ圧Pがドレーンされる。すると、油路j,c2,c5を介して入力されていた油室21dへの前進レンジ圧Pがドレーンされ、該前進レンジ圧Pによるロックが解除される。また、ソレノイドバルブS1からは信号圧PS1が引き続き出力されるため、第1クラッチアプライリレーバルブ21は、油室21aに入力される信号圧PS1によってスプール21p,21qが右半位置に切換えられる。
なお、このオールオフフェール時におけるNレンジの状態では、ライン圧Pを元圧とし、かつリニアソレノイドバルブSLC3から略々ライン圧Pと同圧の制御圧PSLC3(係合圧PC3)が出力されるので、クラッチC−3は係合状態にある。また、クラッチC−3が係合されていても、クラッチC−1,C−2及びブレーキB−1,B−2は解放状態にあり、サンギヤS2に減速回転が入力されても、サンギヤS3及びキャリヤCR2が空転されるため、不図示の入力軸とカウンタギヤとの間は略々ニュートラル状態である。
そして、例えば運転手により再びシフトレバーがDレンジ位置にされると、マニュアルシフトバルブ81から前進レンジ圧Pが出力され、該前進レンジ圧Pは、右半位置に切換えられた第1クラッチアプライリレーバルブ21の入力ポート21eに入力されると共に、出力ポート21iから油路k1に出力され、右半位置にある第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22e、出力ポート22d、油路b2を介してクラッチC−1の油圧サーボ41に入力されて、該クラッチC−1が係合し、つまり上記前進1速段から前進3速段での走行時におけるオールオフフェール時と同様の状態となり、前進3速段が確保される。これにより、オールオフフェール後にあって一旦車輌を停車した後でも車輌の再発進が可能となり、例えば安全な場所への移動や整備工場までの移動等が可能となるリンプホーム機能が確保される。
以上の油圧制御装置6を備えた本自動変速機にあって、不図示のオイルポンプから送出されたオイルは、ライン圧Pとしてマニュアルシフトバルブ81の入力ポート81aに入力されるが、スプール81pがDレンジにシフトされると(図5参照)、該マニュアルシフトバルブ81に入力されるライン圧Pは油圧回路中で最も高い油圧であるため、スプール81pとシリンダ部11間の僅かな隙間81fからオイルが多く漏れ出す。しかも、このオイル漏れは、バルブボディ1がアルミニューム製でかつスプール81pが鉄製であることから、高温時には両者間の熱膨張率の違いに起因して上記隙間81fが大きくなるため、より多くの漏れ量となる。このため、隙間81fから漏れ出したオイルは、図1ないし図3に示すように、連続する傾斜部28a及び垂下部28b,28cを矢印Ca,Cb,Ccのように伝って円滑に流下し、ソレノイドバルブS1の電磁部4が位置する部分に流れ込み、特に該電磁部4を有効に冷却しながらオイルパン26に流下する。
このように、正常時(つまり、非使用時)に電磁部4に常時通電されているソレノイドバルブS1が、いわゆる横付けタイプのために油面レベルより上部に配置されて非潤滑状態になっていても、該ソレノイドバルブS1より上方に位置決め配置されたマニュアルシフトバルブ81から特に前進Dレンジへの切換え時に多く漏れ出したオイルを、油路28を介して電磁部4に導くことで、該電磁部4を効果的に冷却して、そのコイルやコネクタ等における樹脂部の早期劣化等の不都合の発生を防止することができる。しかも、もともと特に前進Dレンジへの切換え時に漏れ出すオイルを利用するため、バルブボディ1での消費流量が増大するといった懸念事項がないという利点もある。
また、本実施の形態によれば、油路28が、バルブボディ1のアッパーボディ7の外面7aに設けられたリブ状の凸部(28a,28b,28c)によって形成され、該凸部が、隙間81fからソレノイドバルブS1に向けて下降するように傾斜する傾斜部28aと、該傾斜部28aから電磁部4に向かうように垂下する垂下部28b,28cとからなるので、アッパーボディ7を鋳造で作製する際に、歩留まり向上のため鋳型の内面を傾斜構造にしていることを利用し、漏れ出したオイルをソレノイドバルブS1の電磁部4に効率良く導く形状の油路28を、比較的容易に形成することができる。
そして、本実施の形態によれば、車輌走行時に常時通電される電磁部4の発熱等によってバルブボディ1が高温になることにより、熱膨張率が鉄材の約2倍あるアルミニューム製のバルブボディ1側のシリンダ部11が鉄製のスプール81pより大きく膨張するので、特に冷却しなければならない電磁部4の発熱時にマニュアルシフトバルブ81からのオイル漏れを特に多くし、冷却効果をより一層増大させることができる。
ここで、本実施の形態におけるソレノイドバルブS1として3WAYソレノイドを用い、通電時のコイル温度確認の様子を表した図7のグラフを参照して説明する。なお、図7は、雰囲気温度とコイル温度の比較状況を示すグラフである。
図7では、横軸に雰囲気温度[℃]を、左側の縦軸にコイル温度[℃]を、右側の縦軸にコイル寿命時間[Hr]をとっている。図7において、a)の◆は気中X[V]での変化を示し、b)の●は気中X[V]でY[kPa]の油圧を印加した状態での変化を示し、c-1)の●は気中X[V]でY[kPa]の油圧を印加した油滴下大での変化を示し、c-2)の○は気中X[V]かつY[kPa]の油圧を印加した油滴下小での変化を示し、d)の■は油中X[V]での変化を示し、e)の▲は実機評価での変化を示している。また、図8の(a),(b),(c),(d),(e)は、それぞれ図7のa),b),c-1),c-2),d),e)にそれぞれ対応する模式図である。ここで、Y[kPa]の圧力とは、実機を想定して、図8における治具57とソレノイドバルブ56のプランジャ56aとの間の隙間からのオイル漏れを発生させる、ソレノイドモジュレータ圧に相当する値の油圧を意味している。
図7に示すように、気中X[V]での変化◆では、雰囲気温度A[℃]でB[℃]、雰囲気温度A[℃]でB[℃]、雰囲気温度A[℃]でB[℃]、雰囲気温度A[℃]でB[℃]を近似したラインが得られた。また、気中X[V]でY[kPa]を印加した状態での変化●では、雰囲気温度A[℃]でB[℃]、雰囲気温度A[℃]でB[℃]、雰囲気温度A[℃]でB[℃]を近似したラインが得られた。そして、気中X[V]でY[kPa]かつ油滴下大での変化●では、雰囲気温度A[℃]でB[℃]、雰囲気温度A[℃]でB10[℃]、雰囲気温度A[℃]でB11[℃]を近似したラインが得られた。更に、気中X[V]でY[kPa]かつ油滴下小での変化○では、雰囲気温度A[℃]でB[℃]、雰囲気温度A[℃]でB10[℃]、雰囲気温度A[℃]でB11[℃]を近似したラインが得られた。そして、油中X[V]での変化■では、雰囲気温度A[℃]でB12[℃]、雰囲気温度A[℃]でB13[℃]、雰囲気温度A[℃]でB[℃]、雰囲気温度A[℃]でB14[℃]を近似したラインが得られた。また、実機評価での変化▲では、雰囲気温度A[℃]でB15[℃]、雰囲気温度A[℃]でB16[℃]、雰囲気温度A[℃]でB17[℃]を近似したラインが得られた。
コイル寿命時間[Hr]は、気中X[V]での変化◆、気中X[V]でY[kPa]での変化●、気中X[V]でY[kPa]かつ油滴下大での変化●、気中X[V]でY[kPa]かつ油滴下小での変化○、油中X[V]での変化■、実機評価での変化▲の順に長くなった。
上記により、図8(a)のように、ソレノイドバルブ56のプランジャ56aに治具57を取り付けて空気中に置いた状態で通電状態にして電磁部を発熱させた場合、空気中に置いただけでは冷却は良好には機能しないことが確認できた。また、図8(b)のように、プランジャ56aに治具57を取り付けた状態で、治具57の流路57aにY[kPa]の油圧を印加しつつ通電して電磁部を発熱させた場合には、流路57aとプランジャ56a間の隙間58から漏れ出すオイルで冷却されることにより、図8(a)の場合に比して冷却が良好に機能したことが確認できた。図8(c)のように、プランジャ56aに治具57を取り付けた状態で、治具57の流路57aにY[kPa]の油圧を印加しつつ通電して電磁部を発熱させると共に、治具57に設けた別の流路57bからオイルを多く滴下(油滴下大)した場合には、隙間58から漏れ出すオイルと、流路57bから滴下するオイルとが相俟って冷却効果が高まり、図8(b)の場合に比して冷却がより良好に機能したことが確認できた。
更に、図8(d)のように、プランジャ56aに治具57を取り付けてオイルに浸漬した状態で通電状態にして電磁部を発熱させた場合、これら図8(a)〜(d)の中で最も良好な冷却効果を得られることが確認できた。そして、図8(e)のように、プランジャ56aに治具57を取り付けた状態でバルブボディ59に装着し、治具57の流路にY[kPa]の油圧を印加しつつ通電して電磁部を発熱させた場合、これら図8(a)〜(e)の中で最も良好な冷却効果を得られることが確認できた。また、ミッションケース10内の各種ギヤ等の回転要素が高回転になった際には、図8(f)のように、流れるオイルがオイルミストになって、冷却効果が一層高まることが考えられる。
本発明を適用し得るバルブボディの、各バルブを装着した状態を示す正面図。 図1のバルブボディを同図A−A矢視方向に見た状態を示す側面図。 バルブボディの、各バルブを取り外した状態を示す正面図。 図3のバルブボディを同図B−B矢視方向に見た状態を示す側面図。 バルブボディに実装される各種バルブをその配置順に並べて示す正面図。 バルブボディに備えた各種バルブによって構成される油圧制御装置の回路図。 雰囲気温度とコイル温度の比較状況を示すグラフ。 (a),(b),(c),(d),(e)は、それぞれ図7のグラフの各ラインに対応する模式図、(f)はオイルミストの状態を模式的に示す図。
符号の説明
1 バルブボディ
4 電磁部
7a バルブボディ外面(アッパーボディ外面)
10 ケース(ミッションケース)
10a 外面側部
11 シリンダ部
28a,28b,28c リブ状の凸部(傾斜部、垂下部)
81 マニュアルシフトバルブ
81f 隙間
81p スプール
S1 ソレノイドバルブ

Claims (3)

  1. 複数の変速段を形成する変速機構を内蔵するケースと、該ケースの外面側部に装着されたバルブボディと、油圧を発生させるオイルポンプと、を備え、該バルブボディに、ソレノイド・オールオフフェール達成のため正常時には電磁部に常時通電されるソレノイドバルブと、走行レンジをその切換え位置に対応して切換えるマニュアルシフトバルブと、を有する自動変速機において、
    前記ケースの外面側部に装着された前記バルブボディにて、前記オイルポンプの駆動で発生する油圧に基づくライン圧が直接に常時作用する前記マニュアルシフトバルブを前記ソレノイドバルブより上方に配置し、かつ、
    前記マニュアルシフトバルブのスプールと該スプールを摺動自在に挿入したシリンダ部との間の隙間から、常時作用する前記ライン圧によって漏れ出したオイルを、前記ソレノイドバルブの前記電磁部に導く油路を前記バルブボディの外面に形成してなる、
    ことを特徴とする自動変速機。
  2. 前記油路が、前記バルブボディのアッパーボディの外面に設けられたリブ状の凸部により形成され、かつ、
    該凸部が、前記隙間から前記ソレノイドバルブの前記電磁部に向けて下降するように傾斜する傾斜部と、該傾斜部から前記電磁部に向かうように垂下する垂下部と、からなる、
    請求項1記載の自動変速機。
  3. 前記バルブボディがアルミニューム材からなり、かつ前記マニュアルシフトバルブの前記スプールが鉄材からなり、
    アルミニューム製の前記シリンダ部と鉄製の前記スプールとの熱膨張率の違いにより、高温時には両者間の前記隙間が低温時に比して拡大してなる、
    請求項1又は2記載の自動変速機。
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