JP5055567B2 - 触媒電極層、膜電極複合体およびその製造方法 - Google Patents

触媒電極層、膜電極複合体およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、所定の粘着性を有する触媒電極層、これを用いた膜電極複合体およびその製造方法、並びにこれらの部材を用いた固体高分子電解質型燃料電池に関するものである。
固体高分子電解質型燃料電池(本発明において、単に燃料電池と称する場合がある。)の最小発電単位である単位セルは、一般に固体電解質膜の両側に触媒電極層が接合されている膜電極複合体を有し、この膜電極複合体の両側にはガス拡散層が配されている。さらに、その外側にはガス流路を備えたセパレータが配されており、ガス拡散層を介して膜電極複合体の触媒電極層へと供給される燃料ガスおよび酸化剤ガスを流通させるとともに、発電により得られた電流を外部に伝える働きをしている。
上記膜電極複合体を製造する方法としては、これまで熱転写法やスプレー法等が知られている。しかしながら、熱転写法は、熱プレス時に数MPaの圧力をかける必要があること、熱処理温度を固体電解質膜のガラス転移温度前後まで上げる必要があること等から、膜電極複合体に対して物理的、化学的なダメージを与えてしまう場合があった。さらに、一定の熱処理温度以上に加熱する必要があるため、固体電解質膜として、ガラス転移温度の高い炭化水素膜や無機系電解質を使用することが困難であるといった問題があった。
また、上記スプレー法は、触媒電極層の材料を含有するスプレーインクを固体電解質膜へ塗布、乾燥することによって、固体電解質膜上に触媒電極層を得る方法であるが、スプレー塗布時にスプレーインクの溶媒が固体電解質膜を膨張させ、また、逆に乾燥時には固体電解質膜を収縮させることから、固体電解質膜の性質の低下を引き起こすといった問題があった。
さらに、熱転写法およびスプレー法のいずれの方法も、高価な装置が必要であり、製造時間が長く、製造時間の短縮が困難であるといった問題があった。
一方、固体電解質膜、触媒電極層、およびガス拡散層の接合界面における結着性を向上させる試みとして、これらに用いられる材料に関する種々の研究がなされている。例えば、特許文献1においては、固体電解質膜として炭化水素系水素陰イオン交換膜を用い、触媒電極層に、分子内に陰イオン交換基を有した炭化水素系高分子エラストマーを含有させた燃料電池が開示されている。
特許文献1における膜電極複合体は、炭化水素系陰イオン交換膜と、炭化水素系陰イオン交換膜と同質の炭化水素系高分子エラストマーとを使用したものであり、同質の材料を用いていることから、良好な結着性を得られると予想されるものの、炭化水素系高分子エラストマーは分子内に陰イオン交換基を有する必要があり、使用可能な材料の種類が著しく少ないという欠点があった。また、上記炭化水素系高分子エラストマーは、主として陰イオン交換機能を発揮するために用いられるものであり、副次的に結着性向上の効果が得られるに過ぎないものであった。さらに、通常、触媒電極層は一方の面を固体電解質膜、他方の面をガス拡散層と接触しているが、上記炭化水素系高分子エラストマーは、固体電解質膜との結着性に優れていたものであっても、固体電解質膜と材質の異なるガス拡散層との結着性に必ずしも優れているとは限らないという問題があった。
また一方で、従来の燃料電池に関して次のような問題があった。すなわち、本来、固体電解質材料に用いられる材料は、ガス透過性が低いものであることが好ましく、逆に電解質材料に用いられる材料はガス透過性の高いものであることが好ましい。そのため、それぞれに求められている特性を有する異なった材料を使用することがより好ましいのであるが、異種材料は一般的に結着性が悪いという問題があり、実際には同一の材料(例えばデュポン社製のNafion)に限られてしまうという実態があり、異種材料を用いても良好な結着性を有する膜電極複合体が望まれていた。
特開2002−367626公報 特開2003−17072公報
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、固体電解質膜およびガス拡散層との結着性に優れた触媒電極層を提供することを主目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明は固体高分子電解質型燃料電池に用いられる触媒電極層であって、プロトン伝導性を有さない結着性樹脂を含有し、かつPETフィルムに対する粘着強度が0.001N/cm以上であることを特徴とする触媒電極層を提供する。
本発明によれば、触媒電極層が、後述するようなプロトン伝導性を有さない結着性樹脂を含有し、かつ所定の粘着強度を有することから、貼着することにより簡便に膜電極複合体を形成できるという利点を有する。
また、本発明においては、固体高分子電解質型燃料電池に用いられる触媒電極層であって、結着性樹脂として、アクリル酸系樹脂、メタクリル酸系樹脂、アクリルアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、スチレン系樹脂、シリコン系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂、ビニルピリジン系樹脂、アミノフェノール系樹脂、サイクロサーム樹脂、スネークケージ樹脂、N−メチロール系樹脂、ジカルボン酸系樹脂、2−オキサゾリン系樹脂からなる群から選択される少なくとも一つの化合物を含有することを特徴とする触媒電極層を提供する。
本発明によれば、触媒電極層が、上記結着性樹脂を含有することにより、粘着性を備えた触媒電極層とすることができ、貼着することにより簡便に膜電極複合体を形成できるという利点を有する。また、上記発明においては、PETフィルムに対する粘着強度が0.001N/cm以上であることが好ましい。
また、上記発明においては、触媒電極層の少なくとも一方の表面における上記結着性樹脂の濃度が、触媒電極層の膜厚中心における上記結着性樹脂の濃度よりも高いことが好ましい。膜電極複合体を作製する際に、固体電解質膜および/またはガス拡散層と接触する表面の結着性樹脂濃度を高めることにより、良好な結着性を得ることができると同時に結着性樹脂の使用量を減らすことができ、集電性の観点から好ましいからである。
また、上記発明においては、固体電解質膜と結着する固体電解質膜用結着性樹脂と、ガス拡散層と結着するガス拡散層用結着性樹脂とを含有し、触媒電極層の一方の表面における上記固体電解質膜用結着性樹脂の濃度が、触媒電極層の他方の表面おける上記固体電解質膜用結着性樹脂よりも高く、触媒電極層の他方の表面における上記ガス拡散層用結着性樹脂の濃度が、触媒電極層の一方の表面における上記ガス拡散層用結着性樹脂の濃度よりも高いことが好ましい。固体電解質膜およびガス拡散層とそれぞれ接着性の良好な結着性樹脂を選択的に使用することにより、より結着性に優れた燃料電池を得ることができるからである。
また、本発明においては、固体電解質膜が、上記触媒電極層に挟持されてなる膜電極複合体を提供する。
本発明によれば、触媒電極層が粘着性を有することから、膜電極複合体の製造時に、貼着することにより簡便に膜電極複合体を形成でき、上記固体電解質膜と上記触媒電極層との結着性が良好なことから、高い電極活性および低い界面抵抗を有する膜電極複合体とすることができる。
また、上記発明においては、上記固体電解質膜が、フッ素系膜、炭化水素系膜または無機系電解質であることが好ましい。これらの材料は、ガラス転移点が高く、従来の熱転写法等による結着が困難な場合があったが、本発明の触媒電極層を用いることによって、簡便な方法で結着することが可能となるからである。
また、本発明においては、上記膜電極複合体を用いた固体高分子電解質型燃料電池を提供する。
本発明によれば、上記固体高分子型電解質燃料電池は、上述した膜電極複合体を用いたものであることから、上記固体電解質膜と上記触媒電極層との結着性に優れ、高い電極活性および低い界面抵抗を得ることができる。
また、本発明においては、プロトン伝導性を有さない結着性樹脂を含有する触媒電極層形成用材料を用いて基材上に触媒電極層を設ける触媒電極層形成工程と、上記触媒電極層を固体電解質膜に貼着する貼着工程と、を有することを特徴とする膜電極複合体の製造方法を提供する。
本発明によれば、触媒電極層に結着性樹脂を使用することにより、粘着性を有する触媒電極層を形成することができ、上記触媒電極層を基材に貼着することにより、簡便な方法で膜電極複合体を形成することができる。
また、上記発明においては、上記触媒電極層形成工程が、プロトン伝導性を有さない第1結着性樹脂を含有する第1触媒電極層形成用材料を用いて基材上に第1触媒電極層を設ける第1触媒電極層形成工程と、上記第1触媒電極層上に、プロトン伝導性を有さない第2結着性樹脂を含有する第2触媒電極層形成用材料を用いて第2触媒電極層を設ける第2触媒電極層形成工程と、を有することが好ましい。異なる種類の結着性樹脂をそれぞれの表面に有した触媒電極層を得ることができるという利点を有する。
また、上記発明においては、上記基材がガス拡散層であることが好ましい。より簡便な方法で燃料電池を作製することができるからである。
また、上記発明においては、上記固体電解質膜が、対向触媒電極層を備えていることが好ましい。固体電解質膜と触媒電極層との結着性に優れた膜電極複合体を得ることができるからである。
本発明においては、結着性樹脂を用いることにより、固体電解質膜およびガス拡散層との結着性に優れた触媒電極層を得ることができるという効果を奏する。
本発明の触媒電極層、膜電極複合体、固体高分子電解質型燃料電池、および膜電極複合体の製造方法について以下詳細に説明する。
A.触媒電極層
本発明の触媒電極層は固体高分子電解質型燃料電池に用いられるものであり、通常、後述する固体電解質膜の両側に配置され、膜電極複合体を構成する部材である。本発明の触媒電極層は、その特徴により以下の2態様に大別することができる。すなわち、プロトン伝導性を有さない結着性樹脂を含有し、かつPETフィルムに対する粘着強度が0.001N/cm以上である態様、および所定の結着性樹脂を含有する態様である。本発明においては前者を第1態様、後者を第2態様とする。
本発明の触媒電極層は、上記いずれの態様においても結着性樹脂を有していることから、貼着することにより簡便に膜電極複合体を形成することができる。また、膜電極複合体を作製する際に、従来の熱転写法においては、熱プレス時に数MPaの圧力および固体電解質膜のガラス転移温度前後までの加熱が必要であったが、本発明の触媒電極層は結着性樹脂を含有していることから、基本的に熱プレスを必要とせず、熱プレスを行う場合であっても従来の方法に比べて、大幅に低い圧力および温度で同等の接合強度を得ることができる。また、従来のスプレー法においては、スプレーインクの溶媒によって固体電解質膜が膨潤、収縮し、固体電解質膜の性質の低下を引き起こす場合があったが、本発明の触媒電極層は、溶媒を用いないため、基本的に上記問題が生じることがないという利点を有する。また、本発明の触媒電極層は、貼着することにより簡便に膜電極複合体を形成することができることから、上記熱転写法、スプレー法に比べて大掛かりな装置を必要としないという利点を有する。さらに、本発明の触媒電極層は、触媒電極層自体が粘着性を有しているため、結着する固体電解質膜の種類を任意に選択することができるという利点を有する。そのため、現在、固体電解質膜、および触媒電極層の電解質材料は結着性の観点から同一の材料(例えばデュポン社製のNafion)に限られてしまうという実態があったが、本発明においては、異種材料を用いても良好な結着性を有する膜電極複合体を得ることができる。
以下、本発明の第1態様、および第2態様について説明する。
1.第1態様
本態様の触媒電極層は、固体高分子電解質型燃料電池に用いられる触媒電極層であって、プロトン伝導性を有さない結着性樹脂を含有し、かつPETフィルムに対する粘着強度が0.001N/cm以上であることを特徴とするものである。
このような本態様の触媒電極層について図を用いて詳細に説明する。本態様の触媒電極層は、例えば図1に示すように、プロトン伝導性を有さない結着性樹脂1と、プロトン伝導を担う電解質材料2と、触媒を担持した導電性材料3とを含有するものである。本態様の触媒電極層は、プロトン伝導性を有さない結着性樹脂1を含有することから、貼着することにより簡便に膜電極複合体を形成できるという利点を有する。
以下、このような触媒電極層の各構成について説明する。
(1)結着性樹脂
本態様に用いられる結着性樹脂は、触媒電極層に粘着性を付与するものであり、プロトン伝導性を有さないことを特徴とするものである。本態様において、「プロトン伝導性を有さない」とは、触媒電極層中で発生したプロトンを固体電解質膜に伝導する能力、および固体電化質膜から供給されるプロトンを触媒電極層に伝導する能力を、実質的に有さないことを意味するものである。具体的には、スルホ基、カルボキシル基、ホスファイト基、ホスホン酸基、ヒドロキシル基等のプロトン伝導基を有さない樹脂、ないしは上記プロトン伝導基を含有する場合であっても、樹脂の構造上、実質的なプロトン伝導性を有さない樹脂をいうものである。本態様の触媒電極層は、プロトン伝導の役割を担う電解質材料を別途含有していることから、様々な種類の結着性樹脂を選択して用いることができる。
本態様に用いられる結着性樹脂は、プロトン伝導性を有さず、所望の粘着強度を付与することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸系樹脂、メタクリル酸系樹脂、アクリルアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、スチレン系樹脂、シリコン系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂、ビニルピリジン系樹脂、アミノフェノール系樹脂、サイクロサーム樹脂、スネークケージ樹脂、N−メチロール系樹脂、ジカルボン酸系樹脂、2−オキサゾリン系樹脂等を使用することができ、中でもアクリル酸系樹脂、メタクリル酸系樹脂、N−メチロール系樹脂、ジカルボン酸系樹脂を使用することが好ましい。触媒電極層に所望の粘着性を付与することができ、貼着することにより簡便に膜電極複合体を形成できるからである。
また、本発明においては、後述する固体電解質膜またはガス拡散層を構成する成分に対する結着性の観点から、上記結着性樹脂の中でも、固体電解質膜を構成する成分との結着性に優れた固体電解質膜用結着性樹脂、またはガス拡散層を構成する成分との結着性に優れたガス拡散層用結着性樹脂であることが好ましい。
上記固体電解質膜用結着性樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、固体電解質膜を構成する成分が、パーフルオロスルホン酸ポリマー等のフッ素系ポリマー、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリパラフェニレン(PPBP)、ポリイミド(PI)、ポリベンズイミダゾール(PBI)等の芳香族系ポリマー、ヘテロポリ酸、リン酸ガラス、リン酸ジルコニウム等の無機系物質である場合、アクリル酸系樹脂、ジカルボン酸系樹脂等を挙げることができる。また、上記ガス拡散層用結着性樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ガス拡散層を構成する成分がカーボン繊維である場合、アクリル酸系樹脂、メタクリル酸系樹脂等を挙げることができる。
また、本態様においては、触媒電極層が、上記結着性樹脂を1種類のみ含有するものであっても良く、2種類以上を含有するものであっても良い。
また、本態様に用いられる結着性樹脂の含有量としては、所望の粘着強度を有した触媒電極層を得ることができれば特に限定されるものではないが、具体的には0.1〜50質量%の範囲内にあることが好ましく、中でも0.1〜10質量%の範囲内にあることがより好ましい。上記結着性樹脂の含有量が上記範囲に満たない場合は、充分な粘着強度を有した触媒電極層を得ることができない可能性があり、逆に上記結着性樹脂の含有量が上記範囲を超える場合は、電気取り出し等の観点から好ましくないからである。
(2)電解質材料
本態様に用いられる電解質材料は、主にプロトン伝導に寄与するものである。このような電解質材料としては、一般的な燃料電池の触媒電極層に用いられる電解質材料を使用することができ、例えば、Nafion(商品名、デュポン株式会社製)に代表されるパーフルオロスルホン酸系ポリマー等のフッ素系樹脂、あるいはスルホ基、カルボキシル基、ホスファイト基、ホスホン酸基、ヒドロキシル基等のプロトン伝導基を有するポリイミド等の炭化水素系樹脂等を挙げることができる。また、本態様においては、上記電解質材料として、ヘテロポリ酸、リン酸ジルコニウム、リン酸ガラス、リン酸ホウ素、硫酸水素セシウム等の無機電解質粉末を使用することができる。上記無機電解質粉末の粒径としては、特に限定されるものではないが、ガス透過性向上の観点から10nm〜1μmの範囲内であることが好ましい。
(3)触媒を担持した導電性材料
本態様に用いられる、触媒を担持した導電性材料は、一般的な燃料電池の触媒電極層に用いられるものを使用することができ、例えば、白金等の触媒を、カーボンブラック等の多孔質材料に担持させたもの等を挙げることができる。
(4)その他
本態様の触媒電極層においては、上記材料の他に、必要に応じて架橋剤を含有していても良い。架橋剤を用いることで、上記材料の混合物をゲル化することができるからである。このような架橋剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、イソシアネート、シリコーン樹脂等を挙げることができる。また、このような架橋剤の添加量は、使用する材料にあわせて適宜選択することが好ましい。
(5)触媒電極層
次に、本態様の触媒電極層について説明する。本態様の触媒電極層は、上述した結着性樹脂、電解質材料、および触媒を担持した導電性材料等を有するものであって、PETフィルムに対する粘着強度が0.001N/cm以上であることを特徴とするものである。本態様においては、中でも粘着強度が、中でも0.002N/cm以上であることが好ましい。
なお、本発明における「PETフィルムに対する粘着強度」は、日本工業規格(JIS)T型剥離試験により接着強度を求める。具体的には、2枚の疎水性フィルム間に結着性樹脂を塗布し、水平方向(反対側)に引っ張ることにより求める。
また、本態様の触媒電極層に含有される結着性樹脂は、触媒電極層中に均一に含有されていても良く、触媒電極層中に偏在していても良い。
上記結着性樹脂が触媒電極層中に均一に含有されている場合は、例えば、図1に示すように、結着性樹脂1が触媒電極層中に均一に含有されているものを挙げることができる。後述する結着性樹脂が偏在する場合に比べて簡便な工程で触媒電極層を得ることができるという利点を有する。また、本態様においては、2種類以上の上記結着性樹脂が触媒電極層中に均一に含有されている場合であっても良い。
また、上記結着性樹脂が触媒電極層中に偏在している場合は、所望の粘着強度を有する触媒電極層を得ることができれば特に限定されるものではないが、中でも、触媒電極層の少なくとも一方の表面における上記結着性樹脂の濃度が、触媒電極層の膜厚中心における上記結着性樹脂の濃度よりも高いことが好ましい。膜電極複合体を作製する際に、固体電解質膜および/またはガス拡散層と接触する表面の結着性樹脂濃度を高めることにより、良好な結着性を得ることができると同時に結着性樹脂の使用量を減らすことができ、集電性の観点から好ましいからである。なお、膜厚中心とは、触媒電極層の断面測定により得られる断面において、触媒電極層の膜厚の中心部分を意味するものである。
このような触媒電極層としては、例えば図2に示すように、固体電解質膜4と接合する表面側に結着性樹脂1が偏在している触媒電極層を挙げることができる。図2における触媒電極層は、触媒電極層の一方の表面における結着性樹脂1の濃度が、触媒電極層の膜厚中心における結着性樹脂1の濃度よりも高いものである。また、例えば図3に示すように、固体電解質膜4と接合する表面側に結着性樹脂1が偏在し、かつガス拡散層5と接合する表面側に結着性樹脂1が偏在している触媒電極層であっても良い。
また、本態様においては、上記結着性樹脂が偏在している触媒電極層として、複数層を有する触媒電極層を挙げることができる。複数層を有する触媒電極層としては、特に限定されるものではないが、例えば2層構造または3層構造を有する触媒電極層を挙げることができる。
上記2層構造を有する触媒電極層としては、例えば、図4に示すように、結着性樹脂1を含む触媒電極層形成用材料と、結着性樹脂1を含まない触媒電極層形成用材料とを用いることにより、固体電解質4と接合する表面側に結着性樹脂1を有する層と、結着樹脂1を含まない層とを備えた2層構造を有する触媒電極層を挙げることができる。なお、この際、固体電解質膜4と接する部分のみ結着性樹脂1が存在していれば良いので、結着性樹脂1を含有する層の膜厚は、結着性樹脂1を含有しない層の膜厚よりも小さくすることができる。
上記3層構造を有する触媒電極層としては、例えば、図5に示すように、結着性樹脂1を含む触媒電極層により、結着性樹脂1を含まない触媒電極層を挟持することにより、固体電解質膜4と接合する表面側に結着性樹脂1を有する層と、結着樹脂1を含まない層と、ガス拡散層5と接合する表面側に結着性樹脂1を有する層とを備えた3層構造を有する触媒電極層を挙げることができる。また、この際、結着樹脂1を含まない層として、優れた発電効率を有する層を設けることによって、発電効率および結着性に優れた3層構造の触媒電極層を得ることができる。
また、本態様においては、2種類以上の上記結着性樹脂が触媒電極層中に偏在している場合であっても良く、中でも、固体電解質膜と結着する固体電解質膜用結着性樹脂と、ガス拡散層と結着するガス拡散層用結着性樹脂とを含有し、触媒電極層の一方の表面における上記固体電解質膜用結着性樹脂の濃度が、触媒電極層の他方の表面おける上記固体電解質膜用結着性樹脂よりも高く、触媒電極層の他方の表面における上記ガス拡散層用結着性樹脂の濃度が、触媒電極層の一方の表面における上記ガス拡散層用結着性樹脂の濃度よりも高いことが好ましい。固体電解質膜およびガス拡散層とそれぞれ接着性の良好な結着性樹脂を選択的に使用することにより、より結着性に優れた燃料電池を得ることができるからである。
このような触媒電極層としては、例えば図6に示すように、固体電解質膜4と接合する表面側に固体電解質膜用結着性樹脂6が偏在し、ガス拡散層5と接合する表面側にガス拡散層用結着性樹脂7が偏在している触媒電極層を挙げることができる。
さらに、本態様においては、2種類以上の上記結着性樹脂が偏在している触媒電極層として、複数層を有する触媒電極層を挙げることができる。例えば、2層構造を有する触媒電極層としては、固体電解質膜と接合する表面側から順に、固体電解質膜用結着性樹脂を有する層と、ガス拡散層用結着性樹脂を有する層とを備えたものを挙げることができ、さらに、上記3層構造を有する触媒電極層としては、例えば、固体電解質膜と接合する表面側から順に、固体電解質膜用結着性樹脂を有する層と、結着樹脂を含まない層と、ガス拡散層用結着性樹脂を有する層とを備えたものを挙げることができる。
2.第2態様
本態様の触媒電極層は、固体高分子電解質型燃料電池に用いられる触媒電極層であって、結着性樹脂として、アクリル酸系樹脂、メタクリル酸系樹脂、アクリルアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、スチレン系樹脂、シリコン系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂、ビニルピリジン系樹脂、アミノフェノール系樹脂、サイクロサーム樹脂、スネークケージ樹脂、N−メチロール系樹脂、ジカルボン酸系樹脂、2−オキサゾリン系樹脂からなる群から選択される少なくとも一つの化合物を含有することを特徴とするものである。本態様においては、上記結着性樹脂の中でもアクリル酸系樹脂、メタクリル酸系樹脂、N−メチロール系樹脂、ジカルボン酸系樹脂を使用することが好ましい。
本態様においては、触媒電極層が、上記結着性樹脂を含有することにより、粘着性を備えた触媒電極層とすることができ、貼着することにより簡便に膜電極複合体を形成できるという利点を有する。
また、本態様の触媒電極層は、PETフィルムに対する粘着強度が0.001N/cm以上であることが好ましく、0.002N/cm以上であることがより好ましい。
本態様における上記結着性樹脂の含有量、触媒電極層中における分布、粘着強度の測定方法等は上述した第1態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。また、本態様の触媒電極層は、上記結着性樹脂の他に、通常、電解質材料、触媒を担持した導電性材料を含有するものであるが、これらの材料の種類や含有量についても、上述した第1態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
B.膜電極複合体
次に、本発明の膜電極複合体について説明する。本発明の膜電極複合体は、固体電解質膜が、上記触媒電極層に挟持されてなるものである。
本発明の膜電極複合体は、触媒電極層が粘着性を有することから、膜電極複合体の製造時に、貼着することにより簡便に膜電極複合体を形成でき、上記固体電解質膜と上記触媒電極層との結着性が良好なことから、高い電極活性および低い界面抵抗を有する膜電極複合体とすることができる。
1.固体電解質膜
本発明の膜電極複合体に用いられる固体電解質膜としては、一般的な固体高分子電解質型燃料電池の固体電解質膜に用いられる電解質材料を用いることができ、例えば、Nafion(商品名、デュポン株式会社製)に代表されるパーフルオロスルホン酸系ポリマー等のフッ素系膜、あるいはスルホ基、カルボキシル基、ホスファイト基、ホスホン酸基、ヒドロキシル基等のプロトン伝導基を有するポリイミド等の炭化水素系樹脂、ヘテロポリ酸、リン酸ジルコニウム、リン酸ガラス、リン酸ホウ素、硫酸水素セシウム等の無機電解質粉末等を挙げることができる。中でも、本発明においては、上記炭化水素系樹脂および上記無機系電解質を用いることが好ましい。これらの材料は、一般的にガラス転移点が高く、従来の熱転写法等による結着が困難であったが、本発明の触媒電極層を用いることによって、簡便な方法で結着することが可能となるからである。
2.触媒電極層
本発明の膜電極複合体に用いられる触媒電極層は、「A.触媒電極層」と同様であるので、ここでの説明は省略する。
3.膜電極複合体の製造方法
本発明の膜電極複合体の製造方法については、上述した触媒電極層を備えた膜電極複合体を製造することができる方法であれば、特に限定されるものではないが、例えば、後述する「D.膜電極複合体の製造方法」に記載した方法等を挙げることができる。
C.固体高分子型電解質燃料電池
次に、本発明の固体高分子型電解質燃料電池について説明する。本発明の固体高分子型電解質燃料電池は、上述した膜電極複合体を用いたものである。本発明の固体高分子型電解質燃料電池は、通常上記膜電極複合体の両側にガス拡散層が設置され、さらに、その外側にはガス流路を備えたセパレータが設置されてなるものである。
本発明の固体高分子型電解質燃料電池は、上述した膜電極複合体を用いたものであることから、上記固体電解質膜と上記触媒電極層との結着性に優れ、高い電極活性および低い界面抵抗を得ることができる。
1.膜電極複合体
本発明の固体高分子型電解質燃料電池に用いられる膜電極複合体は、「B.膜電極複合体」と同様であるので、ここでの説明は省略する。
2.ガス拡散層
本発明の固体高分子型電解質燃料電池に用いられるガス拡散層は、一般的な燃料電池に用いられるものを使用することができる。通常は、カーボン繊維等を成形したガス拡散層が好適に用いられる。
3.セパレータ
本発明の固体高分子型電解質燃料電池に用いられるセパレータは、上記ガス拡散層を介して膜電極複合体の触媒電極層へと供給される燃料ガスおよび酸化剤ガスを流通させるとともに、発電により得られた電流を外部に伝える働きを有するものである。このようなセパレータとしては、一般的な燃料電池に用いられるものを使用することができ、例えば、カーボンタイプのもの、金属タイプのもの等を用いることができる。
D.膜電極複合体の製造方法
本発明の膜電極複合体の製造方法は、プロトン伝導性を有さない結着性樹脂を含有する触媒電極層形成用材料を用いて基材上に触媒電極層を設ける触媒電極層形成工程と、上記触媒電極層を固体電解質膜に貼着する貼着工程と、を有することを特徴とするものである。
本発明によれば、触媒電極層に結着性樹脂を使用することにより、粘着性を有する触媒電極層を形成することができ、上記触媒電極層を基材に貼着することにより、簡便な方法で膜電極複合体を形成することができる。また、本発明の膜電極複合体の製造方法は、基本的に熱プレスを必要とせず、熱プレスを行う場合であっても従来の方法に比べて、大幅に低い圧力および温度で同等の接合強度を得ることができる。
次に、本発明の膜電極複合体の製造方法について、図を用いて詳細に説明する。本発明の膜電極複合体の製造方法は、例えば図7(a)に示されるように、プロトン伝導性を有さない結着性樹脂1と、電解質材料2と、触媒を担持した導電性材料3とを含有する触媒電極層形成用材料を用いて基材8上に触媒電極層を設ける触媒電極層形成工程と、図7(b)に示されるように、上記触媒電極層を固体電解質膜4に貼着する貼着工程とを有するものである。
以下、本発明の膜電極複合体の製造方法について、各工程毎に説明する。
1.触媒電極層形成工程
本発明の膜電極複合体の製造方法における触媒電極層形成工程は、プロトン伝導性を有さない結着性樹脂と、電解質材料と、触媒を担持した導電性材料と、を含有する触媒電極層形成用材料を用いて基材上に触媒電極層を設ける工程である。
(1)触媒電極層形成用材料
本工程で用いられる触媒電極層形成用材料は、結着性樹脂と、電解質材料と、触媒を担持した導電性材料とを含有するものである。これらの材料は「A.触媒電極層」に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。さらに、本工程で用いられる触媒電極層は、上述した架橋剤を有していても良い。
また、上記触媒電極層形成用材料の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、上記材料を、水、エタノール、イソプロパノール等のアルコール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン等の極性溶媒等に溶解または分散させた混合物を用意し、その後、この混合物を加熱し溶媒を除去することによって得る方法を挙げることができる。
(2)基材
本工程で用いられる基材は、上記触媒電極層形成用材料を用いて、基材上に触媒電極層を設けることができるものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、上記ガス拡散層、金属板、PTFE、ETFE等のフッ素系樹脂、PET、PEEK、PES等の炭化水素系樹脂等を挙げることができ、中でも、上記基材がガス拡散層であることが好ましい。より簡便な方法で燃料電池を作製することができるからである。また、上記基材は、触媒電極層の剥離を容易にする剥離層を備えたものであっても良い
(3)触媒電極層形成工程
本発明における触媒電極層形成工程は、上述した触媒電極層形成用材料を用いて基材上に触媒電極層を得ることができる工程であれば、特に限定されるものではなく、例えば、上記触媒電極層形成用材料を塗布することにより触媒電極層を形成する方法等を挙げることができる。具体的には、ドクターブレード法、スプレー法、スクリーン印刷法等を挙げることができ、中でも、本工程においては、ドクターブレード法を用いることが好ましい。
また、本発明における触媒電極層形成工程としては、良好な結着性を有する触媒電極層を得ることができる工程であれば、特に限定されるものではないが、例えば、1種類の触媒電極層形成用材料を用いる工程、2種類以上の触媒電極形成用材料を用いる工程、結着性樹脂を含む触媒電極層形成用材料と結着性樹脂を含まない触媒電極層形成用材料とを組み合わせて用いる工程等を挙げることができる。
上記2種類以上の触媒電極形成用材料を用いる工程としては、特に限定されるものではないが、例えば上記触媒電極層形成工程が、プロトン伝導性を有さない第1結着性樹脂を含有する第1触媒電極層形成用材料を用いて基材上に第1触媒電極層を設ける第1触媒電極層形成工程と、上記第1触媒電極層上に、プロトン伝導性を有さない第2結着性樹脂を含有する第2触媒電極層形成用材料を用いて第2触媒電極層を設ける第2触媒電極層形成工程と、を有する工程が挙げられる。第1および第2触媒電極層形成工程を行うことによって、異なる種類の結着性樹脂をそれぞれの表面に有した触媒電極層を得ることができるという利点を有する。さらに、上記第1結着性樹脂および上記第2結着性樹脂としては、上記第1結着性樹脂として、上述したガス拡散層用結着性樹脂を用い、上記第2結着性樹脂として、上述した固体電解質膜用結着性樹脂を用いることが好ましい。これらの結着性樹脂を用いることにより、良好な結着性を有した燃料電池を得ることができるからである。
このような2種類以上の触媒電極形成用材料を用いる触媒電極層形成工程として、例えば、第1結着性樹脂としてガス拡散層用結着性樹脂、第2結着性樹脂として固体電解質膜用結着性樹脂を用い、さらに基材としてガス拡散層を用いた場合について説明する。上記触媒電極層形成工程は、例えば、図8(a)に示すように、ガス拡散層用結着性樹脂7を含有する第1触媒電極層形成用材料を用いて、ガス拡散層5上に第1触媒電極層を設ける第1触媒電極層形成工程と、図8(b)に示されるように、上記第1触媒電極層上に、固体電解質膜用結着性樹脂6を含有する第2触媒電極層形成用材料を用いて第2触媒電極層を設ける第2触媒電極層形成工程とを有する工程を挙げることができる。
一方、上記結着性樹脂を含む触媒電極層形成用材料と結着性樹脂を含まない触媒電極層形成用材料とを組み合わせて用いる工程としては、特に限定されるものではないが、例えば、基材上に上記結着性樹脂を含む触媒電極層形成用材料を塗布し、次いで結着性樹脂を含まない触媒電極層形成用材料を塗布し、最後に上記結着性樹脂を含む触媒電極層形成用材料を再び塗布することによって、基材上に3層構造を有する触媒電極層を得ることができる。
2.貼着工程
次に、本発明の膜電極複合体の製造方法における貼着工程について説明する。本発明における貼着方法は、上述した触媒電極層形成工程によって形成された触媒電極層を、上述した固体電解質膜に貼着することにより、膜電極複合体を得る工程である。
本発明における貼着工程としては、所望の膜電極複合体を得ることができる工程であれば特に限定されるものではないが、通常、上記触媒電極層と上記固体電解質膜をプレスすることにより接合する工程である。
また、本工程においては、上記固体電解質膜が、対向触媒電極層を備えていても良い。固体電解質膜と触媒電極層との結着性に優れた膜電極複合体を得ることができるからである。例えば、対向触媒電極層が上述した固体電解質膜用結着性樹脂を含有する場合、固体電解質膜と良好な結着性を有する対向触媒電極層が、上記触媒電極層と貼着することによって、固体電解質膜と触媒電極層との結着性に優れた膜電極複合体を得ることができる。
このような固体電解質膜を用いた場合の貼着工程としては、特に限定されるものではないが、例えば、上述した固体電解質膜用結着性樹脂を含有する対向触媒電極層と、上述したガス拡散層用結着性樹脂を含有する触媒電極層とを貼着する方法を挙げることができる。例えば図9に示すように、固体電解質膜用結着性樹脂6を含有する対向触媒電極層を備えた固体電解質膜4と、上記貼着工程によって得られた、ガス拡散層用結着性樹脂7を含有する触媒電極層を備えたガス拡散層5とを接合する方法を挙げることができる。また、例えば、上記対向触媒電極層上または上記触媒電極層上に、優れた発電効率を有する層を設けることによって、発電効率および結着性に優れた3層構造の触媒電極層を有した膜電極複合体を得ることができる。
また、本工程において、上記触媒電極層形成工程で用いられた基材がガス拡散層である場合は、固体電解質膜と触媒電極層とを貼着することによって、ガス拡散層を備えた膜電極複合体を簡便な方法で得ることができる。また、上記基材がガス拡散層ではなく、例えばフィルム等である場合は、本工程により膜電極複合体を形成し、その後フィルム等を剥離することによって、触媒電極層を露出させ、ガス拡散層と接合することにより、膜電極複合体にガス拡散層を設置する。
また、本発明の貼着工程においては、貼着の際に熱プレスを行っても良い。熱プレスを行うことによって、固体電解質膜と触媒電極層とがより強固に結着するからである。本工程においては、触媒電極層が粘着性を有しているため、従来の熱転写法に比べて大幅に低い圧力および温度で同等の接合強度を得ることができる。本発明における貼着工程において熱プレスを行う際の圧力としては、具体的には、0.05〜10MPaの範囲内であり、中でも0.05〜1MPaの範囲内であることが好ましい。また、熱処理温度としては、具体的には、20〜100℃の範囲内であり、中でも20〜50℃の範囲内であることが好ましい。
また、上記結着性樹脂が硬化性樹脂である場合は、貼着時に加熱や紫外線の照射を行うことによって、より結着性の良好な触媒電極層を得ることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例]
結着性樹脂としてオレフィン系エラストマーゲル、電解質材料としてNafion(商品名、デュポン株式会社製)、導電性材料としてPt担持カーボンを、溶媒中に分散させ、その後、溶媒を除去することにより触媒電極層形成用材料を得た。
上記触媒電極層形成用材料を、ガス拡散層上にドクターブレード法で塗布することにより、ガス拡散層上に触媒電極層を形成し、触媒電極層付ガス拡散層を得た。
次に、固体電解質膜としてNafion(商品名、デュポン株式会社製)を用意し、この固体電解質膜と、上記触媒電極層付ガス拡散層の触媒電極層と、を5kgw/cmの圧力で貼着し、固体電解質膜、触媒電極層およびガス拡散層が積層された積層体を得た。
この積層体における固体電解質膜と触媒電極層との剥離強度を、常温常圧で測定した結果、1.45MPaであった。
[比較例]
結着性樹脂としてオレフィン系エラストマーゲルを用いなかったこと以外は、実施例と同様にして積層体を得た。しかしながら、この積層体の固体電解質膜と触媒電極層とは容易に剥離し、接着しなかった。
本発明の触媒電極層の一例を示す断面概略図である。 本発明の触媒電極層の他の例を示す断面概略図である。 本発明の触媒電極層の他の例を示す断面概略図である。 本発明の触媒電極層の他の例を示す断面概略図である。 本発明の触媒電極層の他の例を示す断面概略図である。 本発明の触媒電極層の他の例を示す断面概略図である。 本発明の膜電極複合体の製造方法を説明するための工程説明図である。 本発明の膜電極複合体の製造方法を説明するための工程説明図である。 本発明の膜電極複合体の製造方法を説明するための工程説明図である。
符号の説明
1 … 結着性樹脂
2 … 電解質材料
3 … 触媒を担持した導電性材料
4 … 固体電解質膜
5 … ガス拡散層
6 … 固体電解質膜用結着性樹脂
7 … ガス拡散層用結着性樹脂
8 … 基板

Claims (1)

  1. 結着性樹脂として、オレフィン系エラストマーゲルを含有する触媒電極層形成用材料を用いて基材上に触媒電極層を設ける触媒電極層形成工程と、
    0.05〜10MPaの範囲内の圧力で、温度をかけることなく前記触媒電極層を固体電解質膜に貼着する貼着工程と、を有することを特徴とする膜電極複合体の製造方法。
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