JP2010192392A - 燃料電池用多孔膜複合体、燃料電池用電解質膜−電極−多孔膜複合体、及びこれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来に比してシール製の高い燃料電池を容易に実現できる、燃料電池用多孔膜複合体、燃料電池用電解質膜−電極−多孔膜複合体、及びこれらの製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】燃料電池用多孔膜複合体10は、導電性多孔膜3と、導電性多孔膜3の外周縁部に環状に設けられ、樹脂から形成されたガスケット2と、を備える。ガスケット2は、導電性多孔膜3中に導電性多孔膜3の厚み方向全体に亘って樹脂が含浸した含浸部2bと、含浸部2bから導電性多孔膜3の厚み方向に突出した突出部2aと、を有する。
【選択図】図1
【解決手段】燃料電池用多孔膜複合体10は、導電性多孔膜3と、導電性多孔膜3の外周縁部に環状に設けられ、樹脂から形成されたガスケット2と、を備える。ガスケット2は、導電性多孔膜3中に導電性多孔膜3の厚み方向全体に亘って樹脂が含浸した含浸部2bと、含浸部2bから導電性多孔膜3の厚み方向に突出した突出部2aと、を有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、燃料電池用多孔膜複合体、燃料電池用電解質膜−電極−多孔膜複合体、及びこれらの製造方法に関する。
固体高分子形燃料電池は、一般に、一対の電極層の両面に、高分子電解質膜と、ガス拡散層とをこの順にそれぞれ積層してなる複合体を備える。
このような複合体は、燃料としての水素や酸化剤としての空気が外部へ漏れるのを防止するため、ガスケットを介して一対のセパレータに挟持される。そして、シール構造の一例として、例えば、特許文献1には、ガス拡散層の外周縁部に熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を含浸し、さらにこの外周縁部にある樹脂を高分子電解質膜と接着する態様が、特許文献2には、ガス拡散層の外周縁部にゴム含浸部よりなる平ガスケット部を形成させ、該平ガスケット部に特定の凹部とリップ部を設ける態様が、記載されている。
しかしながら、従来のシール構造では、シール性が十分ではなかった。また、特許文献2に記載された態様は、平ガスケット部に特定の凹部とリップ部を設けるために複雑な形成方法を必要とするという問題も有していた。そこで、本発明では、従来に比してシール性の高い燃料電池を、より容易に実現できる、燃料電池用多孔膜複合体、燃料電池用電解質膜−電極−多孔膜複合体、及びこれらの製造方法の提供を目的とする。
本発明に係る燃料電池用多孔膜複合体は、導電性多孔膜と、導電性多孔膜の外周縁部に環状に設けられ、樹脂から形成されたガスケットと、を備える。そして、ガスケットは、導電性多孔膜中にこの導電性多孔膜の厚み方向全体に亘って樹脂が含浸した含浸部と、この含浸部から導電性多孔膜の厚み方向に突出した突出部と、を有する。
本発明に係る燃料電池用多孔膜複合体は、ガスケットが含浸部と突出部とを備える。含浸部が導電性多孔膜の側面からのガスのリークを抑制する。また、突出部が、その内部に電解質膜−電極複合体の電極を収容した状態で、電解質膜の外周縁部と容易に密着することができるので、高分子電解質膜とガスケットとの間からのガスリークも効果的に抑制できる。しかも、突出部と含浸部とが一体なので、組み立ても容易である。
ここで、突出部は、導電性多孔膜の一方の主面側のみに突出していることが好ましい。この場合、導電性多孔膜の他方の主面が平坦にされるので、溝が形成された従来からあるセパレータをこの他方の面と密着させる場合に好適であり、この場合でも、セパレータとガスケットとの間からのリークを効果的に抑制できる。また、導電性多孔膜からセパレータへの十分な電子伝導性を確保することもできる。
また、上記の樹脂は熱可塑性樹脂であることが好ましい。
熱可塑性樹脂は熱を加えることによって軟らかくなるので、上述のガスケットの含浸部や突出部を形成しやすく、また、再加熱することにより高分子電解質膜等の他の部材と接着させることも容易である。
本発明にかかる燃料電池用電解質膜−電極−多孔膜複合体は、一対の上述の燃料電池用多孔膜複合体と、高分子電解質膜の両面中央部にそれぞれ電極層が形成された電解質膜−電極接合体と、を備える。そして、各燃料電池用多孔膜複合体の突出部が電解質膜−電極接合体の高分子電解質膜の各面の外周縁部と接触するように、電解質膜−電極接合体が、一対の前記燃料電池用多孔膜複合体に挟持されている。
ここで、ガスケットの突出部の厚みは、電極の厚みと略等しいことが好ましい。ガスケットの突出部の厚みと電解質膜−電極接合体の電極の厚みがほぼ同じ厚みであることにより、導電性多孔質膜を介して外部(例えばセパレータ)と電極との電子の収受が容易に行なえる。
本発明で用いる高分子電解質膜は炭化水素系高分子電解質膜であることが好ましい。炭化水素系高分子電解質膜は、例えばフッ素系電解質膜のようにフッ素を使用しないことから低コストでの製造が可能となる。
本発明の固体高分子形燃料電池は、上述の燃料電池用電解質膜−電極−多孔膜複合体を含む固体高分子形燃料電池である。このような固体高分子形燃料電池は、高いガス封止機能を有する。
また、本発明に係る燃料電池用多孔膜複合体の製造方法は、導電性多孔膜の外周縁部に、導電性多孔膜中に導電性多孔膜の厚み方向全体に亘って樹脂が含浸した含浸部と、含浸部から導電性多孔膜の厚み方向に突出した突出部と、を有するガスケットを形成する工程を有する。
本製造方法によれば、上述の燃料電池用多孔膜複合体が製造される。
ここで、ガスケット形成工程では、導電性多孔膜の中央部をスペーサで覆うことが好ましい。
導電性多孔膜の中央部をスペーサで覆うと、このスペーサによって、導電性多孔膜の中央部に樹脂が含浸されることが抑制され、導電性多孔膜の外周縁部に選択的に含浸部を形成することが容易である。
ここで、スペーサで覆われた導電性多孔膜の上に熱可塑性樹脂を配置し、その後、スペーサ及び熱可塑性樹脂が配置された導電性多孔膜を、少なくとも一方が環状のプレス面を有する一対のプレス板で熱プレスする工程を備えることが好ましい。熱可塑性樹脂を加熱することにより、容易に導電性多孔膜に樹脂を含浸させて含浸部を形成でき、さらに、突出部を形成することも容易である。また、環状のプレス面を有することにより、導電性多孔膜の中央部を加熱しないようにすることができ、これによって樹脂が導電性多孔膜の中央部に含浸することを抑制できると共に、導電性多孔膜の中央部の劣化も抑制できる。
また、導電性多孔膜の上に配置される熱可塑性樹脂はシート状であることが好ましく、これにより、樹脂を配置する際の取り扱いに優れる。
また、一対のプレス板は両方とも環状のプレス面を有し、スペーサ側に配置されるプレス板の環状のプレス面の内径が、スペーサとは反対側に配置されるプレス板の環状のプレス面の内径よりも小さいことが好ましい。
これにより、スペーサ側のプレス面の内径を小さくしてスペーサと一部接触させ、これによりプレス面が導電性多孔膜と直接接触しないようにしつつ、突出部の形状をプレス面とスペーサにより正確に形成する一方、導電性多孔膜と直接接触せざるを得ない反対側のプレス面の内径を大きくすることによって、含浸部が中央部に向かって広がり難くし、所望の形状のガスケットを極めて好適に形成できる。
本発明にかかる燃料電池用電解質膜−電極−多孔膜複合体の製造方法は、上述の燃料電池用多孔膜複合体と、電解質膜の両面中央部にそれぞれ電極が形成された電解質膜−電極接合体とを、前記各燃料電池用多孔膜複合体の突出部が前記電解質膜の外周縁部と接触するように、重ねる。
本製造方法により、一対の多孔膜複合体と電解質膜−電極接合体とを簡易に密着して配置でき、組み立てが容易となる。
ここで、ガスケットの樹脂が熱可塑性樹脂である場合には、突出部と、電解質膜とを、少なくとも一方が環状のプレス面を有する一対のプレス板で熱プレスすることによりこれらを接着するが好ましい。環状のプレス面を有することによって、電解質膜の中心部に熱が加わらず、電解質膜を収縮させる等の劣化を抑制でき、接着することによりシール性も高い。
本発明により、従来に比してシール性の高い燃料電池を容易に実現できる、燃料電池用多孔膜複合体、燃料電池用電解質膜−電極−多孔膜複合体、及びこれらの製造方法を提供することができる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の参照番号を附し、重複する説明は省略する。なお、各図の寸法は説明のために誇張している部分があり、必ずしも実際の寸法比とは一致しない。
(燃料電池用多孔膜複合体)
図1(a)は、燃料電池用多孔膜複合体10の斜視図、図1(b)は図1(a)のIb−Ib断面図である。燃料電池用多孔膜複合体10は、導電性多孔膜3、及び導電性多孔膜3の外周縁部に環状に設けられたガスケット2を備えている。
図1(a)は、燃料電池用多孔膜複合体10の斜視図、図1(b)は図1(a)のIb−Ib断面図である。燃料電池用多孔膜複合体10は、導電性多孔膜3、及び導電性多孔膜3の外周縁部に環状に設けられたガスケット2を備えている。
(導電性多孔膜)
導電性多孔膜3は、いわゆる「ガス拡散層」であり、燃料電池の電極に供給される燃料である水素や酸化剤である空気や酸素などを、十分に拡散させる役割を有するものである。導電性多孔膜3としては、例えば、カーボンペーパーやカーボンクロスなどが使用できる。導電性多孔膜3のサイズは燃料電池のセルのサイズに依存するが、例えば10cm×15cm、または7cm×7cmとすることができる。また、導電性多孔膜3の厚みは、例えば、60〜400μmとすることができる。好ましくは、100〜350μmである。
導電性多孔膜3は、いわゆる「ガス拡散層」であり、燃料電池の電極に供給される燃料である水素や酸化剤である空気や酸素などを、十分に拡散させる役割を有するものである。導電性多孔膜3としては、例えば、カーボンペーパーやカーボンクロスなどが使用できる。導電性多孔膜3のサイズは燃料電池のセルのサイズに依存するが、例えば10cm×15cm、または7cm×7cmとすることができる。また、導電性多孔膜3の厚みは、例えば、60〜400μmとすることができる。好ましくは、100〜350μmである。
(ガスケット)
ガスケット2は、燃料電池内に供給される水素や酸素などが燃料電池の外に漏れないようにするための封止部材であり、導電性多孔膜3の外周縁部に環状に形成されている。ガスケット2は、含浸部2bと、突出部2aとを有する。含浸部2bは、導電性多孔膜3の環状の外周縁部に対して、導電性多孔膜3の厚み全体に亘って樹脂を含浸させてなるものである。突出部2aは、含浸部2bから導電性多孔膜3の厚み方向に突出するものであり、好ましくは、含浸部と同じ樹脂により形成されている。導電性多孔膜3の中央部には、樹脂は含浸しておらず、表裏面とも導電性多孔膜3が外部に露出している。
ガスケット2は、燃料電池内に供給される水素や酸素などが燃料電池の外に漏れないようにするための封止部材であり、導電性多孔膜3の外周縁部に環状に形成されている。ガスケット2は、含浸部2bと、突出部2aとを有する。含浸部2bは、導電性多孔膜3の環状の外周縁部に対して、導電性多孔膜3の厚み全体に亘って樹脂を含浸させてなるものである。突出部2aは、含浸部2bから導電性多孔膜3の厚み方向に突出するものであり、好ましくは、含浸部と同じ樹脂により形成されている。導電性多孔膜3の中央部には、樹脂は含浸しておらず、表裏面とも導電性多孔膜3が外部に露出している。
突出部2aが導電性多孔膜3の厚み方向に突出する高さである厚みT2aは、後述する電解質膜−電極接合体の電極層の厚みと略同等とされ、例えば、1μm以上50μm以下とすることができる。
突出部2aは、導電性多孔質膜3の一方(図1では上面側)の主面にのみ形成されており、多孔膜複合体10の他方(図1では下面側)の主面は平坦である。燃料電池セルを構成する際には、多孔膜複合体10の主面のうち、電解質膜−電極接合体(詳しくは後述)と接合しない面(図1では下面)にセパレータと接触させる必要があることから、多孔膜複合体10の主面のうち、電解質膜−電極接合体と接合しない面が平坦であるとより簡易に組み立てることが可能となる。なお、燃料電池の構成等によっては、突出部2aを導電性多孔質膜3の他方の面にも設けても実施は可能である。
本実施形態においてガスケットの材料となる樹脂は、含浸部2b及び突出部2aを形成することができればどのような樹脂でもよい。例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂、嫌気硬化性樹脂及び光硬化性樹脂などがあげられる。
上記の樹脂のうち、本実施形態においては、製造時のハンドリング性が高く、基材へ含浸させやすくまた突出部を形成させやすいものが好ましいことから、熱を加えることによって流動性を付与しうる熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂を用いる場合には、高分子電解質膜との接着も熱により容易に行なえる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ABS樹脂、アクリル樹脂や、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性ポリイミドなどがあげられる。これらの熱可塑性樹脂のうち、アクリル樹脂やポリエステルなどは、ホットメルト接着剤として市販されているので、このような市販ホットメルト接着剤を用いてもよい。この市販ホットメルト接着剤を具体的に例示すると、バイロン(商品名、東洋紡(株)製)、デュロタック(商品名、日本エヌエスシー(株)製)などが挙げられる。
熱可塑性樹脂以外の樹脂としては、アクリル変成シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。
(燃料電池用電解質膜−電極−多孔膜複合体)
続いて、上述の多孔膜複合体10を備える燃料電池用電解質膜−電極−多孔膜複合体100について説明する。図2(a)は、燃料電池用電解質膜−電極−多孔膜複合体100の斜視図であり、図2(b)は図2(a)のIIb−IIb断面図である。燃料電池用電解質膜−電極−多孔膜複合体100は、一対の燃料電池用多孔膜複合体10により、電解質膜−電極接合体30を挟持してなるものである。
続いて、上述の多孔膜複合体10を備える燃料電池用電解質膜−電極−多孔膜複合体100について説明する。図2(a)は、燃料電池用電解質膜−電極−多孔膜複合体100の斜視図であり、図2(b)は図2(a)のIIb−IIb断面図である。燃料電池用電解質膜−電極−多孔膜複合体100は、一対の燃料電池用多孔膜複合体10により、電解質膜−電極接合体30を挟持してなるものである。
(電解質膜−電極接合体)
電解質膜−電極接合体(膜−電極接合体という場合がある)30は、水素イオン(プロトン)を伝導する高分子電解質膜4及びその両面にそれぞれ電極5を有する。
電解質膜−電極接合体(膜−電極接合体という場合がある)30は、水素イオン(プロトン)を伝導する高分子電解質膜4及びその両面にそれぞれ電極5を有する。
(高分子電解質膜)
高分子電解質膜4は、水素イオン(プロトン)が伝導するイオン伝導体の膜であり、フッ素系高分子膜でも炭化水素系高分子電解質膜でもよい。本実施形態においては、炭化水素系高分子電解質膜が好ましく、具体的には、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリパラフェニレン、ポリベンズイミダゾール、ポリスルフィド、ポリスチレン、ポリフェニレンスルフィドにイオン交換基を導入したものなどがあげられる。また、イオン交換基は酸性基であることが好ましく、例えば、スルホン酸基(−SO3H)、カルボキシル基(−COOH)、ホスホン酸基(−PO3H2)、リン酸基(−OPO3H2)、スルホニルイミド基(−SO2NHSO2−)及びフェノール性水酸基からなる群より選ばれるカチオン交換基(酸性基)があげられる。これらの中でも、酸性基としては、スルホン酸基及びホスホン酸基がより好ましく、スルホン酸基が特に好ましい。高分子電解質膜4の厚みは特に限定されないが、例えば、数〜50μmとすることができる。
高分子電解質膜4は、水素イオン(プロトン)が伝導するイオン伝導体の膜であり、フッ素系高分子膜でも炭化水素系高分子電解質膜でもよい。本実施形態においては、炭化水素系高分子電解質膜が好ましく、具体的には、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリパラフェニレン、ポリベンズイミダゾール、ポリスルフィド、ポリスチレン、ポリフェニレンスルフィドにイオン交換基を導入したものなどがあげられる。また、イオン交換基は酸性基であることが好ましく、例えば、スルホン酸基(−SO3H)、カルボキシル基(−COOH)、ホスホン酸基(−PO3H2)、リン酸基(−OPO3H2)、スルホニルイミド基(−SO2NHSO2−)及びフェノール性水酸基からなる群より選ばれるカチオン交換基(酸性基)があげられる。これらの中でも、酸性基としては、スルホン酸基及びホスホン酸基がより好ましく、スルホン酸基が特に好ましい。高分子電解質膜4の厚みは特に限定されないが、例えば、数〜50μmとすることができる。
(電極)
電極5は、高分子電解質膜4の両面中央部にそれぞれ形成されており、それぞれアノード触媒層及びカソード触媒層として機能する。電極5は、カーボンなどの導電性物質からなる電極基材と、当該基材上に担持された白金などの触媒と、を有し、電子を取り出す役割も担う。このような触媒を担持してなる基材は、例えば、高分子電解質をバインダーとして固着してなることで電極5を形成し、該電極5は高分子電解質4に固定されている。電極5の厚みは特に制限されないが、例えば、数〜50μm程度とすることができる。電極の厚みが1μm未満では、触媒機能を発揮することが困難であり、50μmより厚いと担持する触媒量が増加することから、コストが高くなってしまう傾向がある。上述したように、ガスケット2の突出部2aの厚みは、電解質膜−電極接合体30における電極の厚みと同等となるように調整すればよい。電極5は、高分子電解質膜4の環状の外周縁部には形成されず、高分子電解質膜4の外周縁部は露出している。
電極5は、高分子電解質膜4の両面中央部にそれぞれ形成されており、それぞれアノード触媒層及びカソード触媒層として機能する。電極5は、カーボンなどの導電性物質からなる電極基材と、当該基材上に担持された白金などの触媒と、を有し、電子を取り出す役割も担う。このような触媒を担持してなる基材は、例えば、高分子電解質をバインダーとして固着してなることで電極5を形成し、該電極5は高分子電解質4に固定されている。電極5の厚みは特に制限されないが、例えば、数〜50μm程度とすることができる。電極の厚みが1μm未満では、触媒機能を発揮することが困難であり、50μmより厚いと担持する触媒量が増加することから、コストが高くなってしまう傾向がある。上述したように、ガスケット2の突出部2aの厚みは、電解質膜−電極接合体30における電極の厚みと同等となるように調整すればよい。電極5は、高分子電解質膜4の環状の外周縁部には形成されず、高分子電解質膜4の外周縁部は露出している。
そして、図2(b)に示すように、各燃料電池用多孔膜複合体10の突出部2aが、電解質膜−電極接合体30の露出する外周縁部と接触するように、一対の燃料電池用多孔膜複合体10が電解質膜−電極接合体30を挟持している。そして、ガスケット2の突出部2a内の窪みに電極5が入りこんでおり、電極5は導電性多孔膜3と接触している。
なお、このような燃料電池用電解質膜−電極−多孔膜複合体100を両側からセパレータ90で挟みこむことにより燃料電池セルが構成される。また、このセルを複数、例えば、数十〜数百積層することにより燃料電池スタックが構成される。
セパレータは、その材質に特に制限はなく、カーボン系材料のものも金属系材料のものも用いることができ、電子伝導性が高く、電気化学反応で生じる電圧のロスが極力抑制されるものが望ましい。また、燃料電池の運転開始から定常運転までの起動性を高める観点から、高い熱伝導率を有する材質が好ましく、燃料ガスの散逸を防止するため、ガスバリア性の高い材質が好ましい。
(燃料電池用多孔膜複合体の製造方法)
続いて、燃料電池用多孔質膜複合体10の製造方法について説明する。図3(a)〜(e)は、燃料電池用多孔膜複合体10の製造方法の一実施形態を示す斜視図である。まず、図3(a)に示すように導電性多孔膜3を用意する。次に、図3(b)に示すように、スペーサSPで導電性多孔膜3の中央部を覆う。スペーサSPの材質は、樹脂の流れを妨げるものであれば特に限定されないが、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)板が挙げられる。スペーサSPの厚みは、形成すべき突出部2aの厚みと同程度としておくことが好ましい。
続いて、燃料電池用多孔質膜複合体10の製造方法について説明する。図3(a)〜(e)は、燃料電池用多孔膜複合体10の製造方法の一実施形態を示す斜視図である。まず、図3(a)に示すように導電性多孔膜3を用意する。次に、図3(b)に示すように、スペーサSPで導電性多孔膜3の中央部を覆う。スペーサSPの材質は、樹脂の流れを妨げるものであれば特に限定されないが、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)板が挙げられる。スペーサSPの厚みは、形成すべき突出部2aの厚みと同程度としておくことが好ましい。
次に、図3(c)に示すように、導電性多孔膜3におけるスペーサSPに覆われていない外周縁部の上に、熱可塑性樹脂シート2Cを載置する。このとき、熱可塑性樹脂シート2Cの一部が、スペーサSP上に一部乗り上げるように熱可塑性樹脂シート2Cを載置することが好ましい。
次に、図3(d)に示すように、導電性多孔膜3及びスペーサSP及び熱可塑性樹脂シート2Cを、積層方向から、熱可塑性樹脂を溶融できる温度にされた一対のプレス板8、8により熱プレスする。これにより、図4(a)、図4(b)に順に示すように、熱可塑性樹脂シート2Cが溶融し、導電性多孔膜3の外周縁部に含浸して含浸部2bが形成されると共に、スペーサSPの厚みに対応して突出部2aが形成される。
プレス板8は、熱プレスするときの熱及び圧力に耐えられる板であれば、特に材質を問わないが、熱伝導性を有することが好ましく、例えば、鏡面出ししたSUS板が好ましい。このとき、一対のプレス板8、8の少なくとも一方が、導電性多孔膜3の中央部分に対向する部分が導電性多孔膜3を加熱しないようにすべく、環状のプレス面8bを有することが好ましい。このようなプレス面8bは、例えば、図3、4に示すように、プレス板8における導電性多孔膜3の中央部と対向する部分に空孔8aを形成することや、図示は省略するがプレス板8の導電性多孔膜の中央部と対向する部分に窪みを形成すること等により容易に実現できる。これにより、熱プレス時に導電性多孔膜3の中央部を加熱させないようにすることができ、これにより導電性多孔膜3の中央部に樹脂が含浸することを効果的に抑制できる。両方のプレス板8のプレス面8bをそれぞれ環状とすることが好ましく、特に、スペーサSP側(図3(d)及び図4(a)における上方)に配置されるプレス板8の前記環状のプレス面の内径を、スペーサSPとは反対側に配置されるプレス板8の環状のプレス面8bの内径よりも小さくすることが好ましく、これにより、スペーサ側のプレス面8bの内径を小さくしてスペーサSPと一部接触させ、これによりプレス面8bが導電性多孔膜3と直接接触しないようにしつつ突出部2aの形状をプレス面8bとスペーサSPによりきわめて正確に形成する一方、導電性多孔膜3と直接接触せざるを得ない反対側のプレス面8bの内径を大きくすることによって、含浸部2bが中央部に向かって広がり難くし、所望の形状のガスケットを極めて好適に形成できる。
プレスする条件としては、使用する樹脂によって異なるが、例えば、好適な樹脂である熱可塑性樹脂を用いる場合には、50〜200℃、0.1〜30kgf/cm2、5秒間〜10分間でプレスすればよい。なお、プレスする条件の温度は、使用する熱可塑性樹脂の種類により適宜調整することができる。
なお、熱可塑性樹脂シート2cは、予め、図4(a)に示すように、スペーサSPと嵌合する段差が形成されたものであってもよい。
プレス後、ガスケット2を冷却し、その後、図3(e)及び図4(c)に示すように、スペーサSPを除去することにより、燃料電池用多孔質膜複合体10が完成する。
なお、上述の実施形態では、樹脂のハンドリング性を高めるべく、熱可塑性樹脂のシートを用いたが、熱可塑性樹脂のパウダーやペレットなどを用いても実施は可能である。
また、ガスケットの材料として、熱硬化性樹脂を用いる場合には、例えば、スペーサSPを載せた状態で導電性多孔膜3の外周縁部に硬化前の熱硬化性樹脂を塗布し、その後、上述と同様にしてスペーサSPを存在させた状態で硬化温度未満の温度でプレスして樹脂を含浸させ、その後、プレス板を加熱して樹脂を硬化させてもよい。また、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂以外の樹脂の場合には、含浸後、硬化することにより製造できる。
(燃料電池用電解質膜−電極−多孔膜複合体の製造方法)
図5は、本実施形態の燃料電池用電解質膜−電極−導電性多孔膜−ガスケット複合体100の製造方法を示しており、大きく分けて以下の(a)〜(c)の工程を有する。まず、図5(a)に示すように、一対の多孔膜複合体10の間に、電解質膜4の両面に電極5が形成された電解質膜−電極接合体30を配置し、これらを重ね合わせて図5(b)のような積層体100aを形成する。このとき、多孔膜複合体10のガスケット2の突出部2aを有する面が電解質膜−電極接合体30と接触するようにこれらを配置する。
図5は、本実施形態の燃料電池用電解質膜−電極−導電性多孔膜−ガスケット複合体100の製造方法を示しており、大きく分けて以下の(a)〜(c)の工程を有する。まず、図5(a)に示すように、一対の多孔膜複合体10の間に、電解質膜4の両面に電極5が形成された電解質膜−電極接合体30を配置し、これらを重ね合わせて図5(b)のような積層体100aを形成する。このとき、多孔膜複合体10のガスケット2の突出部2aを有する面が電解質膜−電極接合体30と接触するようにこれらを配置する。
続いて、図5(b)に示すように、この積層体100aを、プレス板11a、11bで熱プレスする。プレス板は、少なくとも一方、好ましくは両方のプレス面が環状であることが好ましい。これにより、高分子電解質膜4が加熱されて収縮することによる皺の発生等の熱劣化を抑制できる。発電に大きく寄与する高分子電解質膜4の中央部が熱劣化すると、燃料電池の特性が低下する。そして、ガスケット2の形成時と同様の条件で積層体100aを熱プレスすることにより、ガスケット2と高分子電解質膜4とが接着され、燃料電池用電解質膜−電極−多孔膜複合体100が完成する。
なお、ガスケット2の材質によっては、積層体を重ねただけで熱プレス工程を経なくても燃料電池用電解質膜−電極−多孔膜複合体100として使用することはでき、また、燃料電池用多孔膜複合体10のガスケット2の樹脂が熱可塑性樹脂でない場合には、例えば、ガスケット2と高分子電解質膜4とを接着剤により接着しても実施は可能である。
以下に、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
まず、導電性多孔膜として7cm×7cmのカーボンペーパー((株)東レ製、製品名:TGP−H−060)を、スペーサとして大きさが5cm×5cm、厚さが100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)を、用意した。続いて、カーボンペーパーにおける中央部をスペーサで覆った。
まず、導電性多孔膜として7cm×7cmのカーボンペーパー((株)東レ製、製品名:TGP−H−060)を、スペーサとして大きさが5cm×5cm、厚さが100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)を、用意した。続いて、カーボンペーパーにおける中央部をスペーサで覆った。
次に、熱可塑性樹脂であるバイロン/グレードGM400(商品名、東洋紡(株)製)のペレットをSUS板にのせ、200℃、5kgf/cm2、1分間プレスして、ガスケットの材料としての樹脂シートを得た。
そして、導電性多孔膜の外周縁部であるスペーサのない部分に、大きさが1cm×5cmの樹脂シートを、スペーサ上に一部重なるようにして、スペーサを取り囲むように4つ設置した。その後、140℃に加熱された一対の鏡面出ししたSUS板からなるプレス板(該プレス板における突出部側のプレス面のサイズは、9cm角の中央に3.2cm角の空洞、平坦部側は、10cm角の中央に5cm角の空洞)、を用意し、樹脂シートが設置された導電性多孔膜をその間に挟みこんで、20kgf/cm2の力を加えて1分間熱プレスし、樹脂を導電性多孔膜の中に充分に含浸させると共に突出部を形成し、その後、冷却して燃料電池用多孔膜複合体を完成した。
(高分子電解質の合成)
末端にクロロ基を有するポリエーテルスルホン(住友化学製、製品名:住化エクセルPES5200P、Mn=5.2×104、Mw=8.8×104)2.10重量部、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム5.70重量部、2,2−ビピリジル9.32重量部、ジメチルスルホキシド(DMSO)142.23重量部、及びトルエン55.60重量部を、窒素雰囲気下、反応容器内に入れて撹拌した。次いで、容器内を10kPa程度まで減圧し、内温を60〜70℃に昇温して、8時間還流脱水した。脱水後、トルエンを留去し、内温を65℃に保持した状態でビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)15.407重量部を添加した。添加後、内温70℃で5時間撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、メタノールにポリマーを析出させ、析出したポリマーを6N塩酸及び水で洗浄し、さらに90℃以上の熱水で2時間洗浄して濾別、乾燥し、ブロック共重合体である高分子電解質を得た。
末端にクロロ基を有するポリエーテルスルホン(住友化学製、製品名:住化エクセルPES5200P、Mn=5.2×104、Mw=8.8×104)2.10重量部、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム5.70重量部、2,2−ビピリジル9.32重量部、ジメチルスルホキシド(DMSO)142.23重量部、及びトルエン55.60重量部を、窒素雰囲気下、反応容器内に入れて撹拌した。次いで、容器内を10kPa程度まで減圧し、内温を60〜70℃に昇温して、8時間還流脱水した。脱水後、トルエンを留去し、内温を65℃に保持した状態でビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)15.407重量部を添加した。添加後、内温70℃で5時間撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、メタノールにポリマーを析出させ、析出したポリマーを6N塩酸及び水で洗浄し、さらに90℃以上の熱水で2時間洗浄して濾別、乾燥し、ブロック共重合体である高分子電解質を得た。
(高分子電解質膜の作製)
上記で得られた高分子電解質をDMSOに約15質量%の濃度となるように溶解させて、高分子電解質溶液を得た。この高分子電解質溶液をガラス板上に滴下し、ガラス基板上の高分子電解質溶液を、ワイヤーコーターを用いて均一に塗り広げた。この際、ワイヤーコーターのクリアランスを変えることで、塗工厚みをコントロールした。塗布後、高分子電解質溶液を80℃で常圧乾燥して膜を形成させた。これを1mol/Lの塩酸に浸漬した後、イオン交換水で洗浄し、さらに常温で乾燥して、厚さ20μmの高分子電解質膜を得た。
上記で得られた高分子電解質をDMSOに約15質量%の濃度となるように溶解させて、高分子電解質溶液を得た。この高分子電解質溶液をガラス板上に滴下し、ガラス基板上の高分子電解質溶液を、ワイヤーコーターを用いて均一に塗り広げた。この際、ワイヤーコーターのクリアランスを変えることで、塗工厚みをコントロールした。塗布後、高分子電解質溶液を80℃で常圧乾燥して膜を形成させた。これを1mol/Lの塩酸に浸漬した後、イオン交換水で洗浄し、さらに常温で乾燥して、厚さ20μmの高分子電解質膜を得た。
(電解質膜−電極接合体の作製)
まず、電解質膜−電極接合体を製造するために必要な触媒インクを作製した。すなわち、市販の5重量%ナフィオン溶液(高分子電解質の溶液、溶媒:水と低級アルコールの混合物)6mLに、50重量%白金が担持された白金担持カーボンを1.00g投入した後、さらにエタノールを13.2mL加えた。これにより得られた混合物を1時間超音波処理した後、スターラーで5時間攪拌して触媒インクを得た。次に、上述した製造方法で得られた高分子電解質膜の片面の中央部における5.2cm角の領域に、スプレー法により上記の触媒インクを塗布した。この際、吐出口から膜までの距離は6cmとし、ステージ温度は75℃に設定した。同様の方法で8回の重ね塗りを行った後、塗布物をステージ上に15分間放置し、これにより溶媒を除去してアノード触媒層を形成させた。得られたアノード触媒層は、その組成と塗布重量から算出して0.6mg/cm2の白金を含有する。続いて、高分子電解質膜のアノード触媒層と反対側の面にも同様に触媒インクを塗布して、0.6mg/cm2の白金を含むカソード触媒層を形成した。これにより、電解質膜−電極接合体を得た。
まず、電解質膜−電極接合体を製造するために必要な触媒インクを作製した。すなわち、市販の5重量%ナフィオン溶液(高分子電解質の溶液、溶媒:水と低級アルコールの混合物)6mLに、50重量%白金が担持された白金担持カーボンを1.00g投入した後、さらにエタノールを13.2mL加えた。これにより得られた混合物を1時間超音波処理した後、スターラーで5時間攪拌して触媒インクを得た。次に、上述した製造方法で得られた高分子電解質膜の片面の中央部における5.2cm角の領域に、スプレー法により上記の触媒インクを塗布した。この際、吐出口から膜までの距離は6cmとし、ステージ温度は75℃に設定した。同様の方法で8回の重ね塗りを行った後、塗布物をステージ上に15分間放置し、これにより溶媒を除去してアノード触媒層を形成させた。得られたアノード触媒層は、その組成と塗布重量から算出して0.6mg/cm2の白金を含有する。続いて、高分子電解質膜のアノード触媒層と反対側の面にも同様に触媒インクを塗布して、0.6mg/cm2の白金を含むカソード触媒層を形成した。これにより、電解質膜−電極接合体を得た。
(燃料電池用電解質膜−電極−多孔膜複合体の作製)
次に、上記で作製した電解質膜−電極接合体を用意した。そして、この電解質膜−電極接合体を、上記で得られた一対の燃料電池用多孔膜複合体で挟み込み、140℃に加熱されたSUS製のプレス板で、10kgf/cm2の力を加えて5分間プレスし、燃料電池用電解質膜−電極−多孔膜複合体を得た。得られた燃料電池用電解質膜−電極−多孔膜複合体を市販のJARI標準セルを用いて評価用セルとし、評価装置(東陽テクニカ社製、製品名:GFT)に評価用セルを取り付けて、発電試験を実施した。フル加湿条件でも低加湿条件(アノード側20%加湿、カソード側33%加湿、セル運転温度80℃)でもガスリークなく発電可能であった。図6は、フル加湿条件(100%加湿、セル運転温度80℃)での発電試験結果であり、Aは、セル抵抗値の変化を示し、Bは電流電圧曲線である。
次に、上記で作製した電解質膜−電極接合体を用意した。そして、この電解質膜−電極接合体を、上記で得られた一対の燃料電池用多孔膜複合体で挟み込み、140℃に加熱されたSUS製のプレス板で、10kgf/cm2の力を加えて5分間プレスし、燃料電池用電解質膜−電極−多孔膜複合体を得た。得られた燃料電池用電解質膜−電極−多孔膜複合体を市販のJARI標準セルを用いて評価用セルとし、評価装置(東陽テクニカ社製、製品名:GFT)に評価用セルを取り付けて、発電試験を実施した。フル加湿条件でも低加湿条件(アノード側20%加湿、カソード側33%加湿、セル運転温度80℃)でもガスリークなく発電可能であった。図6は、フル加湿条件(100%加湿、セル運転温度80℃)での発電試験結果であり、Aは、セル抵抗値の変化を示し、Bは電流電圧曲線である。
3・・・導電性多孔膜、2・・・ガスケット、2a…突出部、2b…含浸部、2c・・・樹脂シート材、4・・・高分子電解質膜、5・・・電極、SP・・・スペーサ、8、11・・・プレス板、8a・・・空孔、8b・・・プレス面、10・・・燃料電池用多孔膜複合体、30・・・電解質膜−電極接合体、90・・・セパレータ、100・・・燃料電池用電解質膜−電極−多孔膜複合体。
Claims (14)
- 導電性多孔膜と、
前記導電性多孔膜の外周縁部に環状に設けられ、樹脂から形成されたガスケットと、を備え、
前記ガスケットは、前記導電性多孔膜中に前記導電性多孔膜の厚み方向全体に亘って前記樹脂が含浸した含浸部と、
前記含浸部から前記導電性多孔膜の厚み方向に突出した突出部と、を有する、燃料電池用多孔膜複合体。 - 前記突出部は、前記導電性多孔膜の一方の主面側のみに突出している、請求項1に記載の燃料電池用多孔膜複合体。
- 前記樹脂が熱可塑性樹脂である、請求項1又は2に記載の燃料電池用多孔膜複合体。
- 一対の請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池用多孔膜複合体と、
高分子電解質膜の両面中央部にそれぞれ電極層が形成された電解質膜−電極接合体と、を備え、
前記各燃料電池用多孔膜複合体の突出部が前記電解質膜−電極接合体の高分子電解質膜の各面の外周縁部と接触するように、前記電解質膜−電極接合体が、一対の前記燃料電池用多孔膜複合体に挟持された、燃料電池用電解質膜−電極−多孔膜複合体。 - 前記ガスケットの突出部の厚みが前記電極の厚みと略等しい、請求項4に記載の燃料電池用電解質膜−電極−多孔膜複合体。
- 前記電解質膜が炭化水素系高分子電解質膜である、請求項4又は5に記載の燃料電池用電解質膜−電極−多孔膜複合体。
- 請求項4〜6のいずれか一項に記載の燃料電池用電解質膜−電極−多孔膜複合体を含む、固体高分子形燃料電池。
- 導電性多孔膜の外周縁部に対して、前記導電性多孔膜中に前記導電性多孔膜の厚み方向全体に亘って前記樹脂が含浸した含浸部と、前記含浸部から前記導電性多孔膜の厚み方向に突出した突出部と、を有するガスケットを形成する工程を備える、燃料電池用多孔膜複合体の製造方法。
- 前記含浸部を形成する前に、前記導電性多孔膜の中央部をスペーサで覆う工程をさらに備える、請求項8に記載の燃料電池用多孔膜複合体の製造方法。
- 前記スペーサで覆われた導電性多孔膜の上に熱可塑性樹脂を配置し、その後、前記スペーサ及び前記熱可塑性樹脂が配置された導電性多孔膜を、少なくとも一方が環状のプレス面を有する一対のプレス板で熱プレスする工程を備える、請求項9に記載の燃料電池用多孔膜複合体の製造方法。
- 導電性多孔膜の上に配置される熱可塑性樹脂がシート状である、請求項10に記載の燃料電池用多孔膜複合体の製造方法。
- 前記一対のプレス板は両方とも環状のプレス面を有し、前記スペーサ側に配置されるプレス板の前記環状のプレス面の内径が、前記スペーサとは反対側に配置されるプレス板の環状のプレス面の内径よりも小さい、請求項10又は11に記載の燃料電池用多孔膜複合体の製造方法。
- 一対の請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料電池用多孔膜複合体と、電解質膜の両面中央部にそれぞれ電極が形成された電解質膜−電極接合体とを、前記各燃料電池用多孔膜複合体の突出部が前記電解質膜の外周縁部と接触するように重ねる、燃料電池用電解質膜−電極−多孔膜複合体の製造方法。
- 前記ガスケットの樹脂が熱可塑性樹脂であり、前記突出部と、前記電解質膜とを、少なくとも一方が環状のプレス面を有する一対のプレス板で熱プレスすることにより接着する、請求項13に記載の燃料電池用電解質膜−電極−多孔膜複合体の製造方法。
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-
2009
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