JP5051538B2 - Mram - Google Patents

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Description

本発明は、MRAM(Magnetic Random Access Memory)に関しており、特に、SAF(synthetic antiferromagnet)を磁化自由層として使用する磁気抵抗素子をメモリセルとして使用するMRAMに関する。
MRAM(Magnetic Random Access Memory)は、高速書き込み/読み出しが可能な不揮発性メモリであり、近年実用化に向けた研究開発が盛んに行われている。
最も典型的には、MRAMは、磁化が反転可能な磁化自由層と、磁化が固定された磁化固定層と、その間に介設された非磁性層とで構成された磁気抵抗素子を、メモリセルとして利用する。データは、磁化自由層の磁化の向きとして記憶される。非磁性層が極めて薄い絶縁体で構成されている場合、磁気抵抗素子はTMR(tunnel magnetoregistance)効果を示し、そのように構成された磁気抵抗素子は、しばしば、MTJ(magnetic tunnel junction)素子と呼ばれる。一方、非磁性層が非磁性の導電体で構成されている場合には、磁気抵抗素子はGMR(giant magnetoregistance)効果を示し、そのように構成された磁気抵抗素子は、CPP−GMR(current perpendicular to-plane giant magnetoresistive)素子と呼ばれる。
データの書き込みは、磁化自由層に外部磁場を印加し、これにより磁化自由層の磁化を所望の方向に反転することによって行われる。
一方、データの読み出しは、磁気抵抗素子が示す磁気抵抗効果を利用する。TMR効果、GMR効果のいずれを利用する場合でも、磁気抵抗素子の抵抗は、磁化自由層の磁化の向きに応じて変化する。磁気抵抗素子の抵抗の変化を利用して、磁化自由層の磁化の向き、即ち、書き込まれたデータが判別される。
MRAMの一つの課題は、書き込み動作におけるメモリセルの選択性である。最もコンベンショナルなMRAMでは、強磁性体がアステロイド特性を示すことを利用して、即ち、強磁性層の困難軸の方向に強い磁場を印加するほど容易軸の方向の磁化の反転磁場が小さくなることを利用して、選択書き込みが行われる。具体的には、各磁気抵抗素子の近傍に互いに直交するワード線、ビット線が設けられ、選択されたメモリセルに交差するワード線、ビット線に電流が流される。対応するワード線、ビット線の両方に電流が流されているメモリセルの磁気抵抗素子の磁化自由層の磁化が、選択的に、所望の向きに反転され、これにより、データの選択書き込みが完了する。対応するワード線、ビット線の一方にしか電流が流されていないメモリセルでは磁化自由層の磁化は反転しない、即ち、データの書き込みは行われない。しかしながら、このような動作による選択書き込みは、容易軸或いは困難軸のみに磁場を印加しても磁化反転を生じるビットが存在し得るため安定性に欠け、メモリセルの選択性が良好でない。
メモリセルの書き込み動作の選択性を向上させるための一つの方法として、トグル書き込み方式が知られている(米国特許6,545,906号公報参照)。トグル書き込み方式とは、磁化自由層にSAFを使用することにより、選択性が高い書き込み動作を行う技術である;ここでSAFとは、複数の強磁性層を構成され、隣接する強磁性層が磁気的に反強磁性的に結合された構造体である。
図1は、トグル書き込み方式を採用するMRAM101の典型的な構成を示す平面図である。MRAM101のメモリアレイには、ワード線103と、ワード線103に直交するビット線102が延設される。メモリセルとして使用されるMTJ素子101が、ワード線103とビット線102が交差する位置のそれぞれに設けられる。図2に示されているように、MTJ素子101は、典型的には、基板100の上方に設けられた下部電極層
111、反強磁性層112、磁化固定層113、バリア層114、磁化自由層115、及び上部電極層116を備えて構成される。図1に示されているように、MTJ素子101は、磁化固定層113と磁化自由層115の容易軸がワード線103及びビット線102に45°の角度をなすように、即ち、MTJ素子101の長手方向がワード線103及びビット線102と45°の角度をなすように配置される。
図2を再度に参照して、磁化自由層115は、SAFで構成される。より具体的には、磁化自由層115は、強磁性層121、122と、その間に介設された非磁性層123とで構成される。非磁性層123は、強磁性層121、122との間に、反強磁性的なRKKY(Rudermann, Kittel, Kasuya, Yoshida)相互作用を作用させるように構成される。磁化自由層115の全体としての全体としての残留磁化(即ち、外部磁場が0である場合
の磁化自由層115の全体としての磁化)は可能な限り0に近づけられる。この条件は、例えば、2つの強磁性層121、122を同一の材料で、同一の膜厚を有するように形成することによって満足され得る。
トグル書き込み方式では、SAFがスピンフロップを発現するという性質を利用して選択的なデータ書き込みが行われる。図3は、スピンフロップを発現するSAFの磁化曲線を示している。SAFの容易軸方向に外部磁場を印加しても、外部磁場が小さい場合にはSAFの磁化はゼロのままである。外部磁場が増加されて磁場Hflopに到達すると、突然、SAFに磁化が現れる。このとき、二つの強磁性層の磁化は、それらが180°よりも小さいある角度をなすように磁気結合し、且つ、その合成磁化が外部磁場の方向になるように配置される。この現象はスピンフロップと呼ばれ、スピンフロップが発現する磁場Hflopはフロップ磁場と呼ばれる。スピンフロップは、全体としてのSAFの残留磁化が充分に小さい場合にのみ現れることに留意されたい。さらに磁場を印加すると、やがて二つの強磁性層の磁化は完全に平行に配置される。この磁場は飽和磁場Hと呼ばれる。フロップ磁場Hflopと飽和磁場Hはそれぞれ式(1b)、(2b)で表される。
flop=2/M・K[(Jsaf/t−K)]0.5 ・・・(1a)
=(H・H0.5, ・・・(1b)
=2Jsaf/(M・t)−2K/M, ・・・(2a)
=2Jsaf/(M・t)−H, ・・・(2b)
式(1)より明らかなように、フロップ磁場Hflopは、飽和磁場Hと異方性磁場Hによって一義的に決まる。
図4は、トグル書き込み方法の手順を説明する概念図であり、図5は、トグル書き込みによるデータ書き込みが行われるときのワード線103、ビット線102に流される電流の波形を示すグラフである。図3において、磁化自由層115の強磁性層121、122の磁化が、それぞれ、記号M、Mによって参照されていることに留意されたい。
トグル書き込み方法によるデータ書き込みは、磁化自由層115に印加される磁場の方向を面内で回転させることにより、磁化自由層115を構成する強磁性層121、122の磁化を所望の向きに向けることによって行われる。具体的には、まず、ワード線103に書き込み電流が流され、これによってワード線103に垂直な方向に磁場HWLが発生される(時刻t)。続いて、ワード線103に書き込み電流が流されたまま、ビット線102に書き込み電流が流される(時刻t)。これにより、ワード線103とビット線102との両方に45°の角度をなす方向に、磁場HWL+HBLが発生される。更に続いて、ビット線に書き込み電流が流されたままワード線への書き込み電流の供給が停止される(時刻t)。これにより、ビット線102に垂直な方向(即ち、ワード線103に平行な方向)に磁場HBLが発生される。このような手順でワード線103及びビット線102に書き込み電流が流されることにより、磁化自由層115に印加される磁場が回転され、これにより、磁化自由層115を構成する強磁性層121、122の磁化を180°回転させることができる。
トグル書き込みの利点は、原理的にメモリセルの選択性が高いことである。ビット線とワード線の書き込み電流磁場に対する磁化反転可能な領域を示すグラフである図6に示されているように、トグル書き込みでは、原理的に、ワード線103又はビット線102の一方にのみ書き込み電流が流されてもSAFの磁化が反転しない。言い換えれば、半選択メモリセルの磁化は、原理的に不所望に反転しない。これは、MRAMの動作の信頼性を有効に向上させる。
トグル書き込み方式では、ワード線103及びビット線102に書き込み電流が流されたときに磁化自由層115に印加される磁場が、上述のフロップ磁場Hflopよりも大きく、飽和磁場Hよりも小さくなければならない。そうでなければ、磁化自由層115の磁場を所望の向きに反転させることができない。
従って、トグル書き込み方式の書き込みマージンは、フロップ磁場Hflopが小さいほど、そして、飽和磁場Hが大きいほど大きい。言い換えれば、フロップ磁場Hflopに対する飽和磁場Hの比H/Hflopが大きいほど書き込みマージンが大きい。書き込みマージンの増大は、MRAMの動作の信頼性を向上させるために重要である。
SAFが示すスピンフロップは、トグル書き込み以外の書き込み方式にも有効である。例えば容易軸方向に外部磁場を印加すると、SAFは、まずは互いの磁場を保ったまま、ある特定の方向へ磁化反転を生じる。これはダイレクト反転と呼ばれる。さらに磁場を増大させると、フロップ磁場HflopにおいてSAFはスピンフロップを発現する。このダイレクト反転はスピンフロップに付随しておりデータ書き込みに利用できる。ダイレクト反転が発現する磁場Hdirは、フロップ磁場Hflopにほぼ比例する。そのためフロップ磁場Hflopを減少させることは磁場Hdirを低減することにつながるため重要である。
残留磁化を増大させることによっても磁場Hdirを減少させることができるが、これは好ましくない。残留磁化が増大すると、SAFは容易軸以外の方向へ磁場を印加してもダイレクト反転を起こすようになり、最終的にはSAFはスピンフロップを起こさなくなる。スピンフロップを発現しないSAFへの書き込み特性は、上述のアステロイド特性を利用したデータ書き込みの書き込み特性と全く同じである。これは書き込み選択性を失うことを意味する。さらに残留磁化の増大により形状磁気異方性が大きく増大し反転磁場を増大させるので問題である。
また、式(1b)に従えば、飽和磁場Hを低減することはフロップ磁場Hflopを低減するために有効と思えるかもしれない。しかしながら、飽和磁場Hが減少するとスピンフロップを起こしづらくなる。飽和磁場Hが異方性磁場Hに近い大きさまで低減されると、SAFは完全にスピンフロップを起こさなくなる。これはスピンフロップを用いた書き込みによるMRAMの動作率の低下を招くため問題である。
トグル書き込み方式は、原理的には、SAFに含まれる強磁性層の数が3以上である場合にも適用可能であり、上記の米国特許6,545,906号には、SAFに含まれる強磁性層の数が3以上であってもよい、ということが開示されている。加えて、米国特許6,714,446号は、SAFに含まれる2層の強磁性層のそれぞれが、非磁性膜によって分離された2枚の強磁性体膜で形成されている構成を開示している。
また、特開2005−86015号には、強磁性層の数が4であって、1層目の強磁性層と2層目の強磁性層との間の反強磁性的な相互作用の強さが、3層目の強磁性層と4層目の強磁性層との間の反強磁性的な相互作用の強さとほぼ等しく、1層目の強磁性層と4層目の強磁性層の磁化量がほぼ等しく、2層目の強磁性層と3層目の強磁性層の磁化量がほぼ等しいことを特徴とする構成が開示されている。
しかしながら、発明者の実験によれば、3以上の強磁性層を含むSAFを磁化自由層とするMRAMは、実際には、トグル書き込み方式では動作しないことが多かった。また、強磁性層が4層である場合に、反強磁性的な相互作用の大きさを等しくするために、第1強磁性層と第2強磁性層の間の非磁性層と、第3強磁性層と第4強磁性層の間の非磁性層の材料、膜厚を等しく設定しても、やはり、トグル書き込み方式で動作することは少なかった。これは、3以上の強磁性層を含むSAFが、何らかの原因でスピンフロップを発現しないことに起因すると考えられた。3層以上の強磁性層を含むSAFをトグル書き込み方式で動作可能にすることが出来れば、書き込みマージンが大きいMRAMを実現できるはずである。
SAFがスピンフロップを示さないことは、トグル書き込み方式に限らずスピンフロップを利用した書き込み方式を採用する全てのMRAM(例えば、ダイレクト反転を利用してデータ書き込みを行うMRAM)にとって致命的である。スピンフロップが発現しないことは、SAFが持つ様々な利点(熱擾乱耐性の向上など)を利用することができないことを意味する。従ってSAFにスピンフロップを発現させるための技術は、スピンフロップを利用した書き込みを用いたMRAMデバイスにおける性能向上の点で重要である。
したがって、本発明の目的は、3層以上の強磁性層を含むSAFにスピンフロップを発現させるための技術を提供することにある。
本発明の他の目的は、3層以上の強磁性層を含むSAFにスピンフロップを発現させることにより、SAFを磁化自由層として使用するMRAMをトグル書き込み方式で動作可能にすることにある。
本発明の更に他の目的は、トグル書き込み方式で動作するMRAMの書き込みマージンを増大させる、言い換えれば、フロップ磁場Hflopに対する飽和磁場Hの比H/Hflopを増大させる技術を提供することにある。
本発明の発明者は、3以上の強磁性層を含むSAFにスピンフロップが発現しない原因が、最も下に位置する非磁性層と最も上に位置する非磁性層とが発現するRKKY相互作用の強さが、結晶性の相違に起因して相違するためであることを見出した。最も上に位置する非磁性層(最後に成膜される非磁性層)は、その下方に成膜される強磁性層及び非磁性層によって結晶化が促進されるために、最も下に位置する非磁性層(即ち、最初に成膜される非磁性層)よりも結晶性(特に、結晶配向性)がよい。このため、最も上に位置する非磁性層と最も下に位置する非磁性層とを同一の材料、膜厚で形成すると、RKKY相互作用の強さが相違してしまう。RKKY相互作用の強さが相違すると、磁化自由層はスピンフロップを発現しなくなる。
結晶性の相違に起因するRKKY相互作用の強さの相違を低減させるために、本発明のMRAMでは、最も上に位置する非磁性層が、最も下に位置する非磁性層よりも高次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有するように構成される。これにより、結晶性の相違に起因するRKKY相互作用の強さの相違がキャンセルされ、3以上の強磁性層を含むSAFにスピンフロップが発現させることが可能になる。
一の観点において、本発明によるMRAMは、基板と、固定された磁化を有する磁化固定層と、反転可能な磁化を有する磁化自由層と、前記磁化固定層と前記磁化自由層との間に介設された非磁性のバリア層とを具備する。前記磁化自由層は、第1〜第(N+1)強磁性層(Nは2以上の整数)と、反強磁性的なRKKY相互作用を発現するように形成された第1〜第N非磁性層とを含む。第k非磁性層(kは、1以上N以下の任意の整数)は、第k強磁性層と第(k+1)強磁性層の間に設けられる。前記第1非磁性層は、前記第1〜第N非磁性層のうちで前記基板に最も近く位置し、且つ、前記第N非磁性層は、前記第1〜第N非磁性層のうちで前記基板から最も離れて位置する。前記第1非磁性層は、RKKY相互作用の第α次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有し、前記第N非磁性層は、RKKY相互作用の第α次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有している。前記αと前記αは、下記関係:
α<α
を満足している。ここで「第k非磁性層が、RKKY相互作用の第k次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有する」とは、第k非磁性層の膜厚tが、下記範囲:
k_min<t<tk_max
にあることを意味している;tk_minは、第α次の反強磁性ピークよりも小さく、且つ、RKKY相互作用の強さが0になるような膜厚のうち、第α次の反強磁性ピークに最も近い膜厚であり、tk_maxは、第α次の反強磁性ピークよりも大きく、且つ、RKKY相互作用の強さが0になるような膜厚のうち、第α次の反強磁性ピークに最も近い膜厚である。
このようなMRAMでは、結晶性の相違に起因するRKKY相互作用の強さの相違を非磁性層の膜厚によるRKKY相互作用の強さの相違によってキャンセルすることができる。これは、3層以上の強磁性層を含むSAFにスピンフロップを発現させることを可能にする。
前記αと前記αは、下記関係:
α=α+1,
を満足することが好適である。
前記第1非磁性層は、1.8nm〜2.5nmの厚さを有するルテニウム層で構成され、前記第N非磁性層は、3.2nm〜3.8nmの厚さを有するルテニウム層で構成されることが好適である。
磁化自由層が発現する飽和磁場Hを増大させるためには、前記第2〜第(N−1)非磁性層のうちの少なくとも一の非磁性層は、前記第N非磁性層よりも低次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有することが好ましい。
前記少なくとも一の非磁性層は、磁化自由層の中央に位置していることが好ましい。具体的には、非磁性層の数Nが奇数である場合には、前記少なくとも一の非磁性層は、前記第1〜第N非磁性層のうちの第([N+1]/2)非磁性層であることが好ましい。一方、前記Nが偶数である場合には、前記少なくとも一の非磁性層は、前記第1〜第N非磁性層のうちの第(N/2)非磁性層と第([N/2]+1)非磁性層であることが好ましい。
この場合、前記第1〜第N非磁性層(31〜35)が発現するRKKY相互作用の強さは、磁化自由層(15)の中央に近いほど強いことが好ましい。具体的には、前記第2〜第(N−1)非磁性層は、それぞれ、RKKY相互作用の第α〜αN−1次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有するとして、前記Nが奇数である場合には、前記α〜αは、下記条件:
α≧α≧α≧・・・≧α[N+1]/2−1≧α[N+1]/2
α[N+1]/2≦α[N+1]/2+1≦・・・≦αN−1≦α
α<α
α=αN−1
α=αN−2
・・・
α=αN−p+1,(pは、2以上(N+1)/2−1以下の整数)
・・・
α[N+1]/2−1=α[N+1]/2+1
を満足することが好ましい。
一方、Nが偶数である場合には、前記α〜αは、下記条件:
α≧α≧α≧・・・≧αN/2−1≧αN/2
αN/2+1≦αN/2+2≦・・・≦αN−1≦α
α<α
α=αN−1
・・・
α=αN−p+1,(pは、2以上(N/2)以下の整数)
・・・
αN/2−1=αN/2+2
αN/2=αN/2+1
を満足することが好ましい。
最も好適には、前記第1非磁性層は、1.8nm〜2.5nmの厚さを有するルテニウム層で構成され、前記第2乃至第(N−1)非磁性層のそれぞれは、0.7nm〜1.2nmの厚さを有するルテニウム層、又は、1.8nm〜2.5nmの厚さを有するルテニウム層のいずれかで形成され、前記第N非磁性層は、3.1nm〜3.9nmの厚さを有するルテニウム層で構成される。
このような磁化自由層の構成は、前記バリア層がアモルファスの層であり、且つ、前記磁化自由層は、前記バリア層の上面の上に形成されている場合に特に有効である。
本発明の磁化自由層は、もっとも広い意味において、前記第1非磁性層、及び、前記第N非磁性層を介したRKKY相互作用の強さがほぼ等しくなるようにするために、前記第1非磁性層と前記第N非磁性層とを同一でない構造を有するようにしたものである。具体的には、前記第1非磁性層と前記第N非磁性層の膜厚が異なるように設計される。また前記第1非磁性層と前記第N非磁性層の結晶配向性が異なっている。例えば、前記第1非磁性層乃至第N非磁性層がルテニウムで形成されている場合、前記第1非磁性層に比べて、前記第N非磁性層のルテニウムのHCP(001)面の膜面直方向への結晶配向性が高い。またそのとき、前記第1非磁性層と前記第N非磁性層の下地である、前記第1強磁性層と前記第N強磁性層の結晶配向性にも差異が見られることが多い。例えば、第1強磁性層乃至第N強磁性層がパーマロイで構成されている場合、前記第1強磁性層に比べて、前記第N強磁性層のFCC(111)面の膜面直方向への結晶配向性が高い。
また、このような結晶性の相違に起因するRKKY相互作用の相違を相殺するためには、第1非磁性層と接する強磁性層と第N非磁性層と接する強磁性層を組成が同一でない構成にすることも有効である(図7D、図7E参照)。例えば、第1非磁性層が有する第1面において第1非磁性層に接する膜の前記第1面における組成が、前記第N非磁性層が有する第2面において前記第N非磁性層に接する膜の前記第2面における組成と異なることにより、RKKY相互作用の相違を相殺することも可能である。この場合、第1強磁性層、第2強磁性層、前記第N強磁性層、及び前記第(N+1)強磁性層のうちの少なくとも一層以上は、組成が異なる複数の膜が積層された積層膜から構成され、前記積層膜を構成する前記複数の膜の実効的な膜厚の比率を変えることによって、前記第1非磁性層を介した相互作用と前記第N非磁性層を介した前記相互作用の実効的な強さがほぼ等しく設定されていることが好適である。前記積層膜はNiFe膜とCoFe膜の積層膜から構成されることが好適である。
RKKY相互作用の強さを第1非磁性層及び第N非磁性層に接する膜の組成で制御する場合には、第1非磁性層と第N非磁性層の膜厚が同一であることも可能である。この場合、第1非磁性層の前記第1面におけるCo組成が、前記第N非磁性層の前記第2面におけるCo組成よりも高いことが好ましい。
また発明者らの実験によって初めて、前記第1〜第(N+1)強磁性層と前記第1〜第N非磁性層からなる磁化自由層で、Nが2以上の偶数で構成された場合においても、前記第1非磁性層を介した相互作用と前記第N非磁性層を介した前記相互作用の実効的な強さをほぼ等しくすることによって、良好なトグル動作と書き込みマージンの増大が可能なことが示された。また、前記第1〜第(N+1)強磁性層のうちの第(N/2+1)強磁性層の磁化膜厚積は、他の強磁性層の磁化膜厚積よりも大きいことが好適であり、さらに、前記第1強磁性層と前記第(N+1)強磁性層の磁化膜厚積を、ほぼ等しくすることが好適である。また特にNが2である素子(即ち、3以上の強磁性層を含む素子)は良好な動作が実証された。
図1は、トグル書き込み方式に対応したMRAMの典型的な構成を示す平面図である。 図2は、トグル書き込み方式に対応したMRAMに組み込まれるMTJ素子の典型的な構成を示す断面図である。 図3は、スピンフロップを発現するSAFの典型的な磁化曲線を示すグラフである。 図4は、トグル書き込み方式によるデータ書き込みの手順を示す概念図である。 図5は、トグル書き込み方式によるデータ書き込みが行われるときにビット線、ワード線に流される書き込み電流の波形を示すグラフである。 図6は、トグル書き込み方式が採用されるMRAMの動作領域を示すグラフである。 図7Aは、本発明の第1の実施形態に係るMRAMのMTJ素子の構成を示す断面図である。 図7Bは、本発明の第1の実施形態に係るMRAMのMTJ素子の他の構成を示す断面図である。 図7Cは、本発明の第1の実施形態に係るMRAMのMTJ素子の更に他の構成を示す断面図である。 図7Dは、本発明の第1の実施形態に係るMRAMのMTJ素子の更に他の構成を示す断面図である。 図7Eは、本発明の第1の実施形態に係るMRAMのMTJ素子の更に他の構成を示す断面図である。 図7Fは、本発明の第1の実施形態に係るMRAMのMTJ素子の更に他の構成を示す断面図である。 図7Gは、本発明の第1の実施形態に係るMRAMのMTJ素子の更に他の構成を示す断面図である。 図8は、RKKY相互作用の結合エネルギーの、非磁性層膜厚に対する依存性を示すグラフである。 図9Aは、本発明の第2の実施形態に係るMRAMのMTJ素子の構成を示す断面図である。 図9Bは、本発明の第2の実施形態に係るMRAMのMTJ素子の他の構成を示す断面図である。 図9Cは、本発明の第2の実施形態に係るMRAMのMTJ素子の更に他の構成を示す断面図である。 図9Dは、本発明の第2の実施形態に係るMRAMのMTJ素子の更に他の構成を示す断面図である。 図10は、比較例1〜3と実施例1〜3の試料の磁化自由層の構成を示す表である。 図11は、比較例1の試料の飽和磁場Hとフロップ磁場Hflopを示す度数分布表である。 図12Aは、実施例1の試料の飽和磁場Hとフロップ磁場Hflopを示す度数分布表である。 図12Bは、実施例2の試料の飽和磁場Hとフロップ磁場Hflopを示す度数分布表である。 図12Cは、実施例3の試料の飽和磁場Hとフロップ磁場Hflopを示す度数分布表である。 図13は、反強磁性的結合の強さを評価するためのSAFの構成と、そのSAFの特性を示す表である。 図14は、実施例1、4〜6の試料の飽和磁場H、フロップ磁場Hflop、及びフロップ磁場Hflopのばらつきを示す表である。 図15は、反強磁性的結合の強さを評価するためのSAFの構成と、そのSAFの特性を示す表である。
(第1の実施形態)
図7Aは、本発明の第1の実施形態に係るMRAMのメモリセルに採用されるMTJ素子1の構成を示す断面図である。MTJ素子1は、下部電極層11と、反強磁性層12と、磁化固定層13と、バリア層14と、磁化自由層15と、キャップ層16と、上部電極層17とを備えている。
MTJ素子1は、トグル書き込み方式に対応するように配置される。具体的には、図1に示されている従来のMRAMのMTJ素子101と同様に、MTJ素子1は、その長手方向が、ワード線(及びそれに直交するビット線)に対して45°の角度をなすように配置される。これにより、磁化固定層13及び磁化自由層15を構成する強磁性層の容易軸は、ワード線(及びそれに直交するビット線)に対して45°の角度をなす方向に向けられる。以下では、MTJ素子1の構成について詳細に説明する。
下部電極層11は、MOSトランジスタ(図示されない)が集積化された基板10の上に形成されており、磁化固定層13への電気的接続を提供する経路として機能する。下部電極層11は、例えば、Ta、TaN、Cu、Alで形成される。
反強磁性層12は、例えば、PtMn、IrMn、NiMnのような反強磁性体で形成され、磁化固定層13の磁化を固定する役割を有している。
磁化固定層13は、例えばCoFeのような磁気的にハードな強磁性体で形成される。磁化固定層13の磁化は、反強磁性層12が作用する交換相互作用によって固定される。磁化固定層13は、上述のSAFによって構成されても良い。例えば、磁化固定層13は、2層のCoFe膜と、その間に挿入されたRu膜とで構成され得る。この場合、Ru膜は、反強磁性的なRKKY相互作用を発現するような膜厚を有するように形成される。
バリア層14は、トンネル電流を流す程度に薄い膜厚を有するアモルファスの絶縁体膜であることが多い。バリア層14がアモルファスであることは、後述されるように、磁化自由層15を構成する膜の結晶性に大きな影響を及ぼす。より具体的には、バリア層14は、例えば、アルミナ(AlO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化シリコン(SiO)、窒化アルミニウム(AlN)で形成される。ただし、バリア層14は、アモルファスであると限定されてはならない。バリア層14は、例えば、NaCl構造を有する単結晶MgOであることも可能である。
磁化自由層15は、強磁性層の数が4であるSAFで構成されている。より具体的には、磁化自由層15は、強磁性層21〜24と、その間に介設されている非磁性層31〜33とを備えている。より詳細には、強磁性層21は、バリア層14の上に形成されており、非磁性層31は、強磁性層21の上に形成されている。非磁性層31の上に、強磁性層22、非磁性層32、強磁性層23、非磁性層33、及び強磁性層24が、この順で順次に形成されている。磁化自由層15の全体としての全体としての残留磁化(即ち、外部磁場が0である場合の磁化自由層15の全体としての磁化)は可能な限り0に近づけられる。この条件は、例えば、強磁性層21〜24を同一の材料で、且つ、同一の膜厚を有するように形成することによって満足され得る。
なお、本明細書にいう強磁性層とは、全体として強磁性を発現する層を意味しており、単一の強磁性膜で構成されていると限定して解釈されてはならない。例えば、本明細書にいう強磁性層は、2つの強磁性膜と、その間に介設され、2つの強磁性膜を強磁性的に結合する非磁性膜とで構成される積層体を含むと解釈されなくてはならない。
磁化自由層15の非磁性層31〜33のそれぞれは、その上下に接合される強磁性層に反強磁性的なRKKY相互作用を作用させ、それらを反強磁性的に結合するように構成されている。非磁性層の材料及び膜厚を適切に選択することにより、上下に接合される強磁性層をRKKY相互作用によって反強磁性的に結合することができることは、当業者には周知である。図8は、RKKY相互作用による結合エネルギーの強さの非磁性層の膜厚に対する依存性を示すグラフである。図8のグラフでは、強磁性層を反強磁性的に結合させる場合に結合エネルギーが正であると定義されていることに留意されたい。RKKY相互作用による結合エネルギーJsafは、非磁性層の膜厚の増加と共に減衰振動し、ある範囲においては反強磁性的なRKKY相互作用が発現し、他の範囲においては、強磁性的な強磁性的なRKKY相互作用が発現する。非磁性層31〜33の膜厚は、それらが反強磁性的なRKKY相互作用を発現するように選択される。
キャップ層16は、磁化固定層13、バリア層14、及び磁化自由層15を保護するための層である。キャップ層16は、例えば、Ta、Ruで形成される。キャップ層16は、トンネル電流が流れる程度に極めて薄いAlOで形成されることも可能である。
上部電極層17は、磁化自由層15への電気的接続を提供する経路として機能する。上部電極層17は、例えば、Ta、TaN、Cu、Alで形成される。
本実施形態のMRAMの主たる特徴は、非磁性層31〜31のうち基板10の最も近くに位置する非磁性層31が相対的に低次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有し、基板10から最も離れて位置する非磁性層33が相対的に高次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有している点である。このような構成は、非磁性層31と非磁性層33が発現する反強磁性的なRKKY相互作用の強さをなるべく近づけるために有効である。非磁性層31と非磁性層33が発現する反強磁性的なRKKY相互作用の強さが同一に近くなることは、既述のように、MRAMの書き込みマージンを増大させるために有効である。
図8に示されているように、RKKY相互作用の強さは非磁性層の材料及び膜厚に依存するから、非磁性層31と非磁性層33が発現する反強磁性的なRKKY相互作用の強さを同一にするためには、非磁性層31と非磁性層33を同一の材料で膜厚が同一になるように形成すればよいと考えられるかもしれない。しかし、現実に集積化されたMRAMでは、非磁性層31と非磁性層33を同一の材料、同一の膜厚で形成しても、非磁性層31と非磁性層33が発現するRKKY相互作用の強さは同一にならない。これは、非磁性層31と非磁性層33とで結晶性が異なるからである。磁化自由層15は、バリア層14の上に、強磁性層21、非磁性層31、強磁性層22、非磁性層32、強磁性層23、非磁性層33、及び強磁性層24を順次に形成することによって形成されるから、先に形成される非磁性層31よりも、後に形成される非磁性層33の方が結晶性がよい。RKKY相互作用の強さは結晶性が良好であるほど強いから、同一の材料、同一の膜厚で非磁性層31と非磁性層33を形成すると、非磁性層31よりも非磁性層33の方が強いRKKY相互作用を発現するようになってしまう。
非磁性層31と非磁性層33が発現する反強磁性的なRKKY相互作用の強さをなるべく同一に近づけるためには、むしろ、非磁性層31を相対的に低次のピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成し、非磁性層33を相対的に高次のピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成することが好適である。これにより、非磁性層33が発現するRKKY相互作用の強さが良好な結晶性によって強められる効果と、相対的に高次のピークに対応する膜厚を有していることによって弱められる効果とがキャンセルされ、非磁性層31と非磁性層33が発現する反強磁性的なRKKY相互作用の強さが同一に近くなる。
具体的には、本実施形態では、非磁性層31がRKKY相互作用の第2次の反強磁性ピーク(反強磁性2ndピーク)に対応する範囲の膜厚を有しており、非磁性層32、33が第3次の反強磁性ピーク(反強磁性3rdピーク)に対応する範囲の膜厚を有している。より具体的には、非磁性層31〜33がルテニウムで形成される場合には、非磁性層31は、その膜厚が1.8nmを超え、2.5nm未満であるように形成され、非磁性層32、33は、その膜厚が3.1nmを超え、3.9nm未満であるように形成される。最も好適には、非磁性層31は、反強磁性2ndピークに対応する2.1nmの膜厚を有するように形成され、非磁性層32、33は、反強磁性3rdピークに対応する3.5nmの膜厚を有するように形成される。このような膜厚の組み合わせは、非磁性層31と非磁性層33が発現する反強磁性的なRKKY相互作用の強さを、より同一に近づけるために有効である。
また、図7Aに示される積層磁化自由層において、非磁性層31〜33のみでなく、強磁性層21〜24に関しても、上層ほど結晶性が改善される。例えば、パーマロイを強磁性層21〜24に使用し、ルテニウムを非磁性層31〜33に使用した場合、強磁性層21と比較して強磁性層23のパーマロイは、FCC(face center cubic)(111)面の膜面直方向への結晶配向度が高く、それらの直上にそれぞれ成長している非磁性層31と非磁性層33のルテニウムに関しても、非磁性層31よりも非磁性層33のルテニウムの方がHCP(hexagonal close packed)(001)面の膜面直方向への結晶配向度が高くなる。
また、このような技術は、磁化自由層を構成するSAFに含まれる強磁性層の数が図7Aと異なる場合にも適用可能である。例えば、図7Bに示されているように、MTJ素子1Aの磁化自由層15Aが、3層の強磁性層21〜23と、それらの間に挿入された非磁性層31、32で形成されることも可能である。この場合、非磁性層32は、非磁性層31よりも高次のピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成される。例えば、非磁性層31が第2次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成され、非磁性層32が第3次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成される。強磁性層21〜23は、磁化自由層15Aの全体としての残留磁化が0に近くなるように形成される。より具体的には、強磁性層21、23の磁化膜厚積(即ち、強磁性層21、23の磁化と、膜厚の積)が同一にされ、強磁性層22の磁化膜厚積が強磁性層21、23の
磁化膜厚積よりも大きくされる、最も好適には2倍にされる。このような条件は、例えば、強磁性層21〜23を同一の材料で形成し、強磁性層21、23を同一の膜厚になるように形成し、強磁性層22を強磁性層21、23の2倍の膜厚になるように形成することによって達成可能である。
磁化自由層に含まれる強磁性層の数は、3以外の奇数であっても良い。この場合、中央に位置する強磁性層(即ち、非磁性層の数をN、強磁性層の数をN+1として、第(N/2+1)番目に位置する強磁性層)の磁化膜厚積が、他の強磁性層の磁化膜厚積よりも大きくされ、両端に位置する2つの強磁性層の磁化膜厚積が、ほぼ同一にされることが好ましい。なぜならばこのような構成では、積層磁化自由層のもっとも中央の強磁性層の磁化に対して、その上下方向に配置された複数の強磁性層が、それぞれ対称な磁化配置をとりながら、ある磁場において同時にスピンフロップを起こしやすくする。これは良好なトグル動作を実現する上で重要である。
図7Cに示されているように、MTJ素子1Bの磁化自由層15Bが、6層の強磁性層21〜26と、それらの間に挿入された非磁性層31〜35で形成されることも可能である。この場合、非磁性層35は、非磁性層31よりも高次のピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成される。例えば、非磁性層31が第2次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成され、非磁性層32〜35が第3次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成される。強磁性層21〜26は、磁化自由層15Aの全体としての残留磁化が0に近くなるように形成される。このような条件は、例えば、強磁性層21〜26を同一の材料、同一の膜厚で形成することによって達成可能である。
RKKY相互作用の強さをより均一にするためには、非磁性層の膜厚に加え、それらに接する強磁性層の組成によって相互作用の強さを制御しても良い。非磁性層の膜厚によるRKKY相互作用の強さの制御は、非磁性層の膜厚の自由度が小さいため、完全にRKKY相互作用の強さを均一にできない場合がある。このような場合に、強磁性層の組成によって相互作用の強さを制御することが有効である。RKKY相互作用の強さは、非磁性層と接する面における強磁性層の組成に依存するから、非磁性層と接する面における強磁性層の組成を適切に選択することによって各非磁性層が発現するRKKY相互作用の強さを、より同一に近づけることができる。例えば、コバルトは、ニッケルと比較して強いRKKY相互作用を発現させるから、ある非磁性層に接する面におけるコバルトの組成を、他の非磁性層に接する面における増大させれば、当該非磁性層を介するRKKY相互作用の強さを強くすることができる。
図7Dは、非磁性層と接する面における強磁性層の組成により、RKKY相互作用の強さが制御されたMTJ素子1Jの構成の例を示す断面図である。MTJ素子1Jの磁化自由層15Jは、3層の強磁性層21〜23と2層の非磁性層31、32とを備えて構成されている。上側の非磁性層32は、非磁性層31よりも高次のピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成される。例えば、非磁性層31が第2次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成され、非磁性層32が第3次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成される。上述のように、非磁性層31、32の膜厚の最適化により、非磁性層31、32が発現するRKKY相互作用の強さがより均一に近づけられている。
強磁性層21、22は、NiFe膜とCoFe膜との積層膜で構成されている。強磁性層21、22のCoFe膜21b、22bは、その実効的な膜厚(即ち、平均の膜厚)が極めて薄く、したがって島状に形成され、その下に位置するNiFe膜21a、NiFe膜22bは部分的に非磁性層31、32に接触している。一方、強磁性層23は、NiFe膜単層で形成されている。
図7DのMTJ素子1Jは、非磁性層31、32を介するRKKY相互作用の強さの均一化を、非磁性層31、32の膜厚の最適化に加え、CoFe膜21b、22bの実効的な膜厚の最適な制御によって達成している。非磁性層31、32の上面は、いずれも、NiFe膜に接しているのに対し、非磁性層31、32の下面は、実効的な膜厚が異なるCoFe膜21b、22bに接している。CoFe膜21b、21bは、NiFe膜21a、NiFe膜22bを不完全にしか被覆していないから、非磁性層31、32の下面における強磁性層21、22の組成は、CoFe膜21b、22bの実効的な膜厚に依存している。実効的な膜厚が大きいCoFe膜22bに接する非磁性層32の下面の方が、実効的な膜厚が小さいCoFe膜21bに接する非磁性層31の下面よりもCo組成が大きく、非磁性層32を介するRKKY相互作用は相対的に強められる。このように、非磁性層31、32の下面におけるCo組成の制御により、非磁性層31、32の膜厚の最適化によって完全には達成できない相互作用の強さの均一化を達成できる。
CoFe膜の代わりに、他の非磁性膜を薄く形成することにより、非磁性層31、32が発現するRKKY相互作用を弱めることもできる。例えば、CoFe膜21bの代わりに島状に形成される程度に薄いAl膜を形成することにより、非磁性層31が発現するRKKY相互作用は相対的に弱められる。このように、非磁性層31、32が強磁性層に接する面における組成の制御により、非磁性層31、32の膜厚の最適化によって完全には達成できない相互作用の強さの均一化を達成できる。
図7DのMTJ素子1Jでは、非磁性層31、32の下面における強磁性層の組成によってRKKY相互作用の強さが制御されているが、非磁性層31、32の上面における組成も、RKKY相互作用の強さの制御に使用することが可能である。
非磁性層に接する面における強磁性層の組成の制御は、強磁性層を単層の強磁性膜で構成し、且つ、その組成を異ならせることによっても達成可能である。しかし、このような構成は、様々な組成の強磁性層を形成することが必要になるため、製造に係るコストが高くなる。強磁性層に積層膜を使用し、且つ、積層膜を構成する膜の実効的な膜厚によって組成を制御することは、安価に組成を制御することを可能にするため好適である。
非磁性層と接する面における強磁性層の組成によって相互作用の強さが制御される場合には、非磁性層の膜厚が同一であってもよい。既述のように、非磁性層の膜厚が同一であると、それらが発現するRKKY相互作用の強さは、上に位置する非磁性層ほど強くなる。しかし、非磁性層と接する面における強磁性層の組成を最適化することにより、RKKY相互作用の強さを均一化することが可能である。
図7Eはこのような構成のMTJ素子1Kの構成の例を示す断面図である。MTJ素子1Kの磁化自由層15Kは、3層の強磁性層21〜23と2層の非磁性層31、32とを備えて構成されている。非磁性層31、32は、同一の膜厚を有している。同一の膜厚を有していても非磁性層32の方が高い結晶性を有しているから、基本的には、非磁性層31よりも非磁性層32の方が強いRKKY相互作用を発現し得る。
非磁性層31、32が発現するRKKY相互作用の強さを揃えるために、非磁性層31、32と接する面における強磁性層21〜23の組成が制御される。より具体的には、強磁性層21は、NiFe膜とCoFe膜との積層膜で構成される一方、強磁性層22、23は、NiFe膜単層で構成される。強磁性層21のCoFe膜21bは、その実効的な膜厚(即ち、平均の膜厚)が極めて薄く、したがって島状に形成され、その下に位置するNiFe膜21aは部分的に非磁性層31に接触している。
非磁性層31、32の上面は、いずれも、NiFe膜に接しているのに対し、非磁性層31、32の下面における強磁性層のCo組成は、非磁性層31のほうが大きい。非磁性層31の下面におけるCo組成の増大は、非磁性層31に強いRKKY相互作用を発現させる。このように、図7Eの磁化自由層15Kでは、非磁性層31、32の下面におけるCo組成を適切に制御することによって結晶性によるRKKY相互作用の強さの差が相殺され、RKKY相互作用の強さが均一化されている。
なお、本発明にいう強磁性層は、単層の強磁性膜で構成されるものに限定して解釈されてはならない。ある強磁性の構造体が複数の強磁性膜を含んでいても、それらが強磁性的に結合されて一の強磁性体として振舞う限り、当該構造体は、一の強磁性層として定義される。強磁性膜の間には、それらを強磁性的に結合する非磁性膜が設けられていてもよい。
図7Fは、一の強磁性層が、強磁性的に結合された複数の強磁性膜を含んでいるMTJ素子1Mの構造を示す断面図である。MTJ素子1Mの磁化自由層15Mは、3層の強磁性層21〜23と2層の非磁性層31、32とを備えて構成されている。上側の非磁性層32は、非磁性層31よりも高次のピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成される。例えば、非磁性層31が第2次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成され、非磁性層32が第3次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成される。上述のように、非磁性層31、32の膜厚の最適化は、非磁性層31、32が発現するRKKY相互作用の強さを均一に近づけるために有効である。
強磁性層22は、強磁性膜22c、22dと、それらの間に挟まれた非磁性膜22eとを備えている。非磁性膜22eは、強磁性膜22c、22dを強磁性的なRKKY相互作用によって結合し、したがって、強磁性膜22c、22dは、全体として一の強磁性体として振舞う。非磁性膜22eは、1.2〜1.8nmのルテニウム膜で形成されることが好適である。
また、図7Gに示されているMTJ素子1Cのように、磁化固定層13がバリア層14の上面の上に形成され、磁化自由層が、バリア層14の下面に接するように(即ち、基板10に近いように)形成されることも可能である;図7Dには、強磁性層の数が3である磁化自由層15Aが図示されている。下地層に依存して磁化自由層中の各層の結晶成長の度合いは変化するが、このような構成でも、後に形成される非磁性層32の結晶性が、先に形成される非磁性層31の結晶性よりも高くなる。従って、非磁性層32を非磁性層31よりも高次のピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成することにより、非磁性層31と非磁性層32が発現する反強磁性的なRKKY相互作用の強さを、より同一に近づけることができる。
ただし、上記の技術は、磁化自由層がバリア層の上面の上に形成されている場合に特に有効であることに留意されたい。バリア層は、多くの場合にアモルファスであり、従って、その直上に形成される強磁性層は、その結晶性が良好でない。従って、磁化自由層の非磁性層のうち基板に最も近い(即ち、バリア層に最も近い)非磁性層も、その結晶性が良好でない。結晶性によるRKKY相互作用の差を非磁性層の膜厚による効果でキャンセルする上記の技術は、このような場合に最も有効である。
実デバイスでは、磁化自由層と非磁性層が、好適な配向面をもって結晶成長するための下地層の構成が、実デバイスに求められる他の機能により制限されることが多くある。例えば、前述のトンネルバリアにアモルファス材料を使用する場合もそうであるし、トンネルバリアの下側に磁化自由層を配置する場合においても、下地の平坦性を求めて磁化自由層の下地に微結晶またはアモルファス材料を用いることもありうる。また膜厚の制限により、十分な下地層を準備することが制限される場合も想定される。このような場合にも本技術は有効である。
また、磁化自由層の下地層の結晶性が良好な場合にも、その上に成長させるべき磁化自由層が、好適な結晶配向性を有しながら成長するとは限らない。むしろ、格子整合あるいは不整合により、不所望な結晶面への配向や凹凸成長などが生じる場合が一般的である。その場合においても、本技術は、特に有効となる。なぜならば、磁化自由層の最下層の非磁性層は、不所望な結晶面への結晶成長や凹凸成長の影響を避けがたいので、不所望な結晶性を有しRKKY相互作用が弱まる。しかし最上層の非磁性層が成長するまでには、強磁性/非磁性の積層下地により、最上部の非磁性層は所望の結晶性を回復してRKKY相互作用が強まることが期待される。
(第2の実施形態)
図9Aは、本発明の第2の実施形態に係るMTJ素子1Eの構成を示す断面図である。図9Aに示されているMTJ素子1Eは、図7Aに示されているMTJ素子1と同様に、磁化自由層15Eが、4層の強磁性層21〜24と3層の非磁性層31〜33からなるような構成を有している。
相違点は、非磁性層31〜33のうち、中間に位置する非磁性層32が、他の非磁性層31、33よりも強いRKKY相互作用を発現するように構成されている点にある。このような構成は、磁化自由層15Eのフロップ磁場Hflopを低く保ったまま飽和磁場Hを増大する、即ち、書き込みマージンを増大するために有効である。これは、磁化自由層15Eのフロップ磁場Hflopは、非磁性層32よりも非磁性層31、33が発現する反強磁性的なRKKY相互作用の強さに強く依存し、飽和磁場Hは、非磁性層32が発現するRKKY相互作用の強さに強く依存するからである。
具体的には、図9Aに示されているMTJ素子1Eでは、最も基板10から離れて位置する非磁性層33は、最も基板10の近くに位置する非磁性層31よりも高次のピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成され、更に、中央に位置する非磁性層32は、非磁性層33よりも低次のピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成される。これにより、非磁性層32に他の非磁性層31、33よりも強いRKKY相互作用を発現させることができる。
より具体的には、非磁性層31がRKKY相互作用の第2次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成され、非磁性層33が第3次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成される。中央に位置する非磁性層32は、第1次又は第2次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成される。非磁性層31〜33がルテニウムで形成される場合には、非磁性層31は、その膜厚が1.8nmを超え、2.5nm未満であるように形成され、非磁性層33は、その膜厚が3.1nmを超え、3.9nm未満であるように形成される。非磁性層32の膜厚は、0.7nmを超え、1.2nm未満であるように形成されるか、又は、1.8nmを超え、2.5nm未満であるように形成される。最も好適には、非磁性層31は、反強磁性2ndピークに対応する2.1nmの膜厚を有するように形成され、非磁性層33は、反強磁性3ndピークに対応する3.5nmの膜厚を有するように形成される。非磁性層31は、反強磁性1stピークに対応する0.9nmの膜厚、又は、反強磁性2ndピークに対応する2.1nmの膜厚を有するように形成される。このような膜厚の組み合わせは、非磁性層31と非磁性層33が発現する反強磁性的なRKKY相互作用の強さをより同一に近づけ、更に、非磁性層32に他の非磁性層31、33よりも強いRKKY相互作用を発現させるために好適である。
このような技術は、磁化自由層が4層以上の非磁性層を有する場合にも適用可能である。磁化自由層にN層(Nは4以上の整数)の非磁性層が設けられる場合、最も基板から離れて位置する非磁性層は、最も基板の近くに位置する非磁性層よりも高次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成され、更に、中間の(N−2)層の非磁性層のうちの少なくとも1層は、最も基板から離れて位置する非磁性層よりも低次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成される。このような構成によれば、中間に位置する非磁性層が発現するRKKY相互作用を最上層及び最下層の非磁性層が発現するRKKY相互作用よりも強くし、これにより、フロップ磁場Hflopを低く保ったまま飽和磁場Hを増大させることができる。
図9Bは、本実施形態に係るMTJ素子1Fの構成の一例を示す断面図である。MTJ素子1Fは、その磁化自由層15Fが6層の強磁性層21〜26と5層の非磁性層31〜35とで構成されている。図9BのMTJ素子1Fでは、最も基板10から離れて位置する非磁性層35は、最も基板10の近くに位置する非磁性層31よりも高次のピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成され、更に、中央に位置する非磁性層33は、非磁性層35よりも低次のピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成される。残りの非磁性層32、34は、非磁性層35と同一の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚(即ち、同一の膜厚)であってもよく、図9Cに示されているように、非磁性層35よりも低次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成されてもよい。
詳細には、図9Bに図示されたMTJ素子1Fでは、最も下に位置する非磁性層31がRKKY相互作用の第2次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成され、最も上に位置する非磁性層35が第3次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成されることが好適である。中央に位置する非磁性層33は、第2次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成される。残りの非磁性層32、34は、非磁性層35と同じく第3次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成される。
一方、図9Cに図示されたMTJ素子1Gでは、磁化自由層15Gの最も下に位置する非磁性層31は、RKKY相互作用の第2次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成され、最も上に位置する非磁性層35は、第3次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成されることが好適である。中央に位置する非磁性層33は、第2次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成される。残りの非磁性層32、34は、非磁性層33と同じく第2次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成される。
最も好適な実施形態では、磁化自由層は、その中央に位置する非磁性層が最も強くRKKY相互作用を発現し、磁化自由層の中央から離れるほどRKKY相互作用が弱くなり、且つ、RKKY相互作用の強さが磁化自由層の中央に対して上下対称であるように構成される。「中央に位置する非磁性層」とは、磁化自由層に含まれている非磁性層の数Nが奇数である場合には、基板から([N+1]/2)番目に位置する非磁性層である。一方、強磁性層の数Nが偶数である場合には、基板から(N/2)番目、([N/2]+1)番目に位置する2層の強磁性層を意味する。
より厳密には、磁化自由層が第1〜第(N+1)強磁性層と第1〜第N非磁性層とを備える場合には、第j非磁性層が、それぞれ、RKKY相互作用のα次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有しているとして、磁化自由層が下記条件を満足するように形成されることが好適である。ただし、第k強磁性層とは、第1〜第(N+1)強磁性層のうちで第k番目に基板に近い強磁性層を意味しており、第j非磁性層とは、第1〜第N非磁性層のうちで第j番目に基板に近い非磁性層を意味していることに留意されたい:
(1)非磁性層の数Nが奇数の場合
α≧α≧α≧・・・≧α[N+1]/2−1≧α[N+1]/2, ・・・(1a)
α[N+1]/2≦α[N+1]/2+1≦・・・≦αN−1≦α, ・・・(1b)
α<α, ・・・(1c)
α=αN−1
α=αN−2
・・・
α=αN−p+1, (pは、2以上(N+1)/2−1以下の整数) ・・・(1d)
・・・
α[N+1]/2−1=α[N+1]/2+1
(2)非磁性層の数Nが偶数の場合
α≧α≧α≧・・・≧αN/2−1≧αN/2, ・・・(2a)
αN/2+1≦αN/2+2≦・・・≦αN−1≦α, ・・・(2b)
α<α, ・・・(2c)
α=αN−1
・・・
α=αN−p+1,(pは、2以上N/2以下の整数) ・・・(2d)
・・・
αN/2−1=αN/2+2
αN/2=αN/2+1。
このような構成では、非磁性層が発現するRKKY相互作用の強さが徐々に変化するため、磁化自由層の強磁性層の一部が残りの強磁性層と独立した挙動を示すことが一層に有効に防がれる。これは、磁化自由層に安定して書き込みを行うようにするために有効である。
図9Dは、磁化自由層に集積化されている非磁性層の数Nが5であるMTJ素子1Hの構成の例を示す断面図である。磁化自由層15Hは、6層の強磁性層21〜26と5層の非磁性層31〜35とを備えている。最も下に位置する非磁性層31は、RKKY相互作用の第2次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成され、最も上に位置する非磁性層35は、第3次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成される。非磁性層32、34は、いずれも、第2次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成される。中央に位置する非磁性層33は、第1次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成される。このように構成された磁化自由層15Hが、上記の式(1a)〜(1d)を満足させることは、容易に理解されよう。
なお、上述の実施形態には、トグル書き込み方式を採用するMRAMが記載されているが、上述の磁化自由層の構成は、スピンフロップを利用するMRAM全般に適用可能であることに留意されたい。
1.フロップ磁場、飽和磁場、及び書き込みマージンの評価
最も上に位置する非磁性層を、最も下に位置する非磁性層よりも高次のピークに対応する範囲の膜厚を有するように形成することによる書き込みマージンの増大の効果が、様々な構造のSAFで形成された磁化自由層を有するMTJ素子を作成し、その特性を測定することによって確認された。具体的には、図10に示されている比較例1〜3、実施例1〜3のそれぞれに対して200〜224個のMTJ素子が用意された。MTJ素子の平面形状は、0.4×0.8μmの長円形である。また、MTJ素子の全体としての積層構造は、下記のとおりである:
基板/Ta(20nm)/PtMn(20nm)/CoFe(2.5nm)/Ru(0
.9nm)/CoFe(2.5nm)/Al(0.9nm)O/磁化自由層/Al(0
.7nm)O/Ta(100nm)
ここで、Al(αnm)Oとは、α(nm)のAl膜を酸化することによって形成されたAlO膜を意味している。また、基板の上に順次に形成されたTa膜、PtMn膜、CoFe/Ru/CoFe積層体、Al(0.9nm)O膜が、それぞれ、下部電極層11、反強磁性層12、磁化固定層13、バリア層14に相当しており、磁化自由層の上に形成されたAl(0.7nm)O膜、Ta膜が、キャップ層16、上部電極層17に相当していることに留意されたい。
図10は、各試料の磁化自由層の構成を示す表である。磁化自由層に含まれる強磁性層の数は、2〜4であり、強磁性層の材料、膜厚は、磁化自由層の全体としての残留磁化が0であるように選択されている。磁化自由層の非磁性層は、いずれも、ルテニウムで形成されている。以下では、各試料の特徴が概略的に説明される。
比較例1のMTJ素子の磁化自由層は、2層の強磁性層と1層の非磁性層を含むSAFで形成されている。非磁性層の膜厚は、反強磁性2ndピークに対応する2.1nmである。
比較例2のMTJ素子の磁化自由層は、3層の強磁性層と2層の非磁性層を含むSAFで形成され、比較例3のMTJ素子の磁化自由層は、4層の強磁性層と3層の非磁性層を含むSAFで形成されている。比較例2、3は、いずれも、磁化自由層に含まれている全ての非磁性層の膜厚が3.5nmで同一である。
実施例1の試料は、3層の強磁性層と2層の非磁性層を含むSAFで磁化自由層が形成されているMTJ素子である。基板から離れて位置する非磁性層は、基板の近くに位置する非磁性層よりも高次の反強磁性ピークに対応する膜厚を有している。具体的には、基板の近くに位置する非磁性層の膜厚は、反強磁性2ndピークに対応する2.1nmであり、基板から離れて位置する非磁性層の膜厚は、反強磁性3rdピークに対応する3.5nmである。
実施例2、3の試料は、いずれも、4層の強磁性層と3層の非磁性層を含むSAFで磁化自由層が形成されているMTJ素子である。基板から最も離れて位置する非磁性層は、基板の最も近くに位置する非磁性層よりも高次の反強磁性ピークに対応する膜厚を有している。具体的には、基板の近くに位置する非磁性層の膜厚は、反強磁性2ndピークに対応する2.1nmであり、基板から離れて位置する非磁性層の膜厚は、反強磁性3rdピークに対応する3.5nmである。
実施例2、3の試料の相違点は、中間に位置する非磁性層の膜厚である。実施例2の試料は、中間に位置する非磁性層の膜厚が反強磁性3rdピークに対応する3.5nmであり、実施例3の試料は、中間に位置する非磁性層の膜厚が反強磁性2ndピークに対応する2.1nmである。実施例3の試料は、中間に位置する非磁性層が、その上下に位置する非磁性層よりも強いRKKY相互作用を発現するように形成されていることに留意されたい。
3層、4層の強磁性層が磁化自由層に集積化されている比較例2、3の試料は、スピンフロップを示さず、従って、トグル書き込み方式による書き込みを行うことができなかった。これは、非磁性層が同一の膜厚であると、かえってRKKY相互作用の強さが揃わず、磁化自由層に含まれている強磁性層の磁化が独立して反転してしまうからであると推定される。
一方、比較例1と実施例1〜3のMTJ素子は、いずれもスピンフロップを発現し、トグル書き込み方式による書き込みを行うことができた。しかしながら、比較例1と実施例1〜3とでは、書き込みマージンの大きさに差が現れた。以下では、比較例1と実施例1〜3のMTJ素子の特性が詳細に説明される。
図11は、比較例1のMTJ素子のフロップ磁場Hflopと飽和磁場Hを示す度数グラフであり、図12A〜12Cは、それぞれ、実施例1〜3のフロップ磁場Hflopと飽和磁場Hを示す度数グラフである。図11、図12A〜12Cに示されているように、比較例1、実施例1〜3のMTJ素子のフロップ磁場Hflopは、それぞれ、50(Oe)、55(Oe)、51.5(Oe)、51.5(Oe)の周囲に分布しており、比較例1、実施例1〜3のMTJ素子には、フロップ磁場Hflopに有意な差が見られなかった。
一方、飽和磁場Hには、比較例1と実施例1〜3とで有意な差が現れた。具体的には、比較例1のMTJ素子の飽和磁場Hは、147(Oe)の周囲に分布しているのに対し、実施例1〜3のMTJ素子の飽和磁場Hは、それぞれ、246(Oe)、326(Oe)、535(Oe)の周囲に分布していた。
その結果、比較例1と実施例1〜3とでは、書き込みマージンの大きさを表す比H/Hflopにも有意な差が現れた。比較例1のMTJ素子では、比H/Hflopが2.9であったのに対し、実施例1〜3のMTJ素子では、比H/Hflopが、それぞれ、4.5、6.3、10.4であった。これは、実施例1〜3のMTJ素子が、書き込みマージンについて比較例1に対して優位であることを示している。
実施例1と実施例2とを比較すると、実施例2が実施例1よりも大きな飽和磁場H、即ち、大きな書き込みマージンを示した。これは、磁化自由層の強磁性層の数を増加させることが、書き込みマージンを大きくするために有効であることを示している。
更に、実施例2と実施例3とを比較すると、実施例3が実施例2よりも大きな飽和磁場H、即ち、大きな書き込みマージンを示した。これは、中間に位置する非磁性層を相対的に強いRKKY相互作用を発現するように形成することにより、飽和磁場H、即ち、書き込みマージンを増大させることが出来ることを示している。
2.RKKY相互作用による反強磁性的結合の評価
基板に最も近い非磁性層(最下層の非磁性層)と基板から最も離れた非磁性層(最上層の非磁性層)とが発現する反強磁性的な結合の強さが、図13に示されている構成のSAFを用いて評価された。非磁性層を構成する材料は、ルテニウムである。最下層の非磁性層については、反強磁性3rdピークに対応する3.5nmの膜厚を有する非磁性層と、反強磁性2ndピークに対応する2.1nmの膜厚を有する非磁性層とが評価された。一方、最上層の非磁性層については、反強磁性3rdピークに対応する3.5nmの膜厚を有する非磁性層が評価された。
最下層の非磁性層が発現する反強磁性的な結合の強さを評価するための試料(図13の試料1、2)は、アモルファスであるAlOx層の上に形成された、2層の強磁性層を有するSAFである。当該2層の強磁性層の間には、3.5nm(試料1)又は2.1nm(試料2)の膜厚を有するルテニウム層が介設されている。このSAFの飽和磁場Hが測定され、更に、測定された飽和磁場Hから最下層の非磁性層が発現するRKKY相互作用の結合エネルギーJが算出された。算出された結合エネルギーJは、最下層の非磁性層が発現するRKKY相互作用の強さを表している。
一方、最上層の非磁性層が発現する反強磁性的な結合の強さを評価するための試料(試料3)は、アモルファスであるAlOx層の上に形成された、4層の強磁性層と、その間に介設された3層の非磁性層を有するSAFである。この試料では、最下層の非磁性層と2番目の非磁性層が3.1nmの膜厚を有するルテニウム層で形成され、最上層の非磁性層が3.5nmの膜厚を有するルテニウム層で形成された。3.1nmの膜厚を有するルテニウム層は、発現するRKKY相互作用の強さがほぼ0であるから、この試料では、実質的に、最上層の非磁性層と、それを挟む強磁性層とがSAFとして機能する。このSAFの飽和磁場Hが測定され、更に、測定された飽和磁場Hから最下層の非磁性層が発現するRKKY相互作用の結合エネルギーJが算出された。算出された結合エネルギーJは、最上層の非磁性層が発現するRKKY相互作用の強さを表している。
図13から理解されるように、最上層の非磁性層が反強磁性3rdピークに対応する3.5nmの膜厚を有するルテニウム層である場合、最下層の非磁性層は、反強磁性3rdピークに対応する膜厚を有する場合ではなく、反強磁性2ndピークに対応する膜厚を有する場合に、最上層の非磁性層に近い結合エネルギーJを発現した。これは、最下層の非磁性層と最上層の非磁性層とが発現する反強磁性的な結合の強さを同一に近づけるためには、最上層の非磁性層を、最下層の非磁性層よりも高次の反強磁性ピークに対応する膜厚を有するように形成することが有効であることを示している。
この実験結果は、3層以上の強磁性層を有するSAFが、最上層の非磁性層を最下層の非磁性層よりも高次の反強磁性ピークに対応する膜厚を有するように形成することによってスピンフロップを発現するようになったという現象が、最下層の非磁性層と最上層の非磁性層とが発現する反強磁性的な結合の強さが同一に近づいたことに起因していることを示唆している。
3.強磁性層の組成による反強磁性的な結合の強さの制御
強磁性層の組成による反強磁性的な結合の強さの制御の効果を検証するために、実施例4乃至実施例6の試料が作成された。実施例4、5の試料は、3層の強磁性膜と2層の非磁性膜が交互に積層され、残留磁化状態で各々の強磁性膜は非磁性膜を介して反平行に結合した磁化自由層を有している。実施例6の試料は、4層の強磁性膜と3層の非磁性膜が交互に積層され、そのうち最中央部の非磁性膜のみが強磁性結合を発現するように設定されており、残留磁化状態において、最下部と最上部の強磁性膜が、それらの間に存在する2層の強磁性膜に対して反平行に結合し、内側の2層の強磁性膜同士は平行に結合した磁化自由層を有している。実施例6は4層の強磁性膜を含んでいるが、中間の2層の強磁性膜と、それらの間の非磁性膜は、一層の強磁性層として機能する。したがって、実施例4乃至実施例6の磁化自由層は、いずれも、残留磁化状態で3層の強磁性層が互いに反平行結合したSAFとして機能することに留意されたい。
MTJ素子の全体としての積層構造は、下記のとおりである:
基板/Ta(20nm)/PtMn(20nm)/CoFe(2.5nm)/Ru(0.9nm)/CoFe(2.5nm)/Al(0.9nm)Ox/磁化自由層/Al(0.7nm)Ox/Ta(100nm)
また実施例4乃至6の試料の磁化自由層の構成は以下のとおりである。
実施例4:
トンネルバリア/Ni81Fe19(3nm)/CoFe(0.35nm)/Ru(2.1nm)/Ni81Fe19(6.nm)/CoFe(0.5nm)/Ru(3.5nm)/Ni81Fe19(3.7nm)
実施例5:
トンネルバリア/Ni81Fe19(3nm)/CoFe(0.35nm)/Ru(2.1nm)/Ni81Fe19(7.3nm)/ Ru(2.1nm)/ Ni81Fe19(3.7nm)
実施例6:
トンネルバリア/Ni81Fe19(3nm)/CoFe(0.35nm)/Ru(2.1nm)/Ni81Fe19(3nm)/CoFe(0.35nm)/ Ru(1.4nm)/ Ni81Fe19(3nm)/CoFe(0.35nm)/Ru(3.5nm)/ Ni81Fe19(3.7nm)
実施例1、4、5、6は、いずれも、第1強磁性層(最下層の強磁性層)と第3強磁性層(最上層の強磁性層)の磁化膜厚積が3.15T・nmと等しく、第2強磁性層(中間の強磁性層)の磁化膜厚積は6.3T・nmとそれらの二倍である。実施例4の構成は、第2強磁性層以外は、実施例3と共通であり、また、実施例5の構成は、第2強磁性層と第3強磁性層以外は実施例1と共通である。実施例1、4、5は、各強磁性層が持つ磁化膜厚積を一定とし、また第1非磁性層(下側の非磁性層)の反平行結合力も一定としたまま、第2非磁性層(上側の非磁性層)の反平行結合力のみがこの順番で増大している。第2非磁性層の反平行結合力を強める手段として、実施例4では、第2強磁性層を構成するNiFe比率を調整し、第2非磁性層側界面に存在するCoFe膜の実効的な膜厚(平均の膜厚)を増大させることにより実現している。CoFe膜の膜厚が0.35〜0.5nmと極めて薄く。NiFe膜がRu膜(2.1nm)に部分的に接していることに留意されたい。このような場合には、CoFe膜の実効的な膜厚は、Ru膜に接する面におけるCo組成と等価である。即ち、CoFe膜の実効的な膜厚が大きいほど、Ru膜に接する面におけるCo組成が大きい。実施例5では、逆に第2非磁性層側界面に存在するCoFe膜の厚さをゼロとして、強磁性膜材料に依存する反平行結合力を弱め、しかし第2非磁性層をRu膜(2.1nm)の2nd反強磁性ピークを用いて非磁性層に依存する反平行結合力を強めることにより、第2非磁性層の反平行結合力としては、本実施例の3層SAF中で最も強い結合力を実現している。
これらの磁化自由層を有する0.4×0.8μmの長円形のMTJデバイスが、8インチ基板上に200〜220個作製され、それらのトグル書き込み特性が調べられた。
図14は実施例1と実施例4〜6の3層SAF磁化自由層から構成された0.4×0.8μmのMTJのフロップ磁場Hflopとそのばらつき(標準偏差)、飽和磁場Hsを比較したものである。実施例1と実施例4〜6に係るデバイスは、その全てが良好なトグル動作を示した。
実施例1、4、5、6のMTJ素子のフロップ磁場Hflopは、それぞれ、55(Oe)、56(Oe)、49(Oe)、54(Oe)の周囲に分布していた。僅かに実施例5がもっとも小さいフロップ磁場を示した。一方、飽和磁場Hは、それぞれ、246(Oe)、271(Oe)、268(Oe)、238(Oe)の周囲に分布していた。書き込みマージンは、それぞれ、比較例1の典型的な2層SAFと比較すると、本実施例の3層SAFはいずれフロップ磁場をほぼ一定としたまま、飽和磁場の大きな増大、書き込みマージン増大効果を達成している。さらに実施例1、4、5、6のフロップ磁界のばらつき(標準偏差)に関して、それぞれ、8.7(Oe)、4.0(Oe)、3.3(Oe)、6.6(Oe)であった。実施例1と比較して実施例4及び5のフロップ磁場のばらつきは半分以下であり、より優れたトグル書き込み特性が得られている。また実施例6のような第2強磁性層を強磁性膜/非磁性膜/強磁性膜とし、非磁性膜を強磁性結合を有するように設定した構成であっても、実施例1と同等のトグル書き込み特性が得られている。
さらに実施例1、4、5の素子の第1非磁性層と第2非磁性層の反平行結合力を、図15に示した試料の磁化曲線評価によって調べられた。試料は以下の構成であり、磁化自由層以外は、実施例1、4、5の素子とほぼ同じである。
基板/Ta(20nm)/PtMn(20nm)/CoFe(2.5nm)/Ru(0.9nm)/CoFe(2.5nm)/Al(0.9nm)Ox/磁化自由層/Al(0.7nm)Ox/Ta(10nm)
図15において、それぞれ評価した試料の試料名とその磁化自由層の構成、反平行結合力が評価された非磁性層、その非磁性層とそれを介した2つの強磁性層からなるSAFが示した飽和磁場、飽和磁場から得られた非磁性層の反平行結合エネルギーJを示している。
図13の4層SAF内の非磁性層の反平行結合力を評価したときと同様に、第1非磁性層(下側の非磁性層)を評価する場合は第2非磁性層まで形成した試料(試料4)を、第2非磁性層(上側の非磁性層)を評価する場合は第3強磁性層まで形成し、且つ第1非磁性層のルテニウムの厚さを2.5nmとすることで第1非磁性層の結合力をゼロに設定した試料(試料5〜7)を用意した。得られた試料の飽和磁場から反平行結合エネルギーが算出された。この場合磁化膜厚積に差があるSAFの反平行結合エネルギーを評価するので、次式(2c)を用いた。
=Jsaf[1/(M・t)+1/(M・t)], ・・・(2c)
図15から理解されるように、実施例1、4、5共通である第1非磁性層の反平行結合エネルギーは0.0121erg/cmであり、実施例1、4、5の第2非磁性層の反平行結合エネルギーはそれぞれ0.0097erg/cm、0.011erg/cm、0.0138erg/cmである。図15の試料5、6からNiFe膜とCoFe膜の積層膜で構成された第2強磁性層について、界面のCoFe膜が厚くなるほどそれに接する第2非磁性層の反平行結合力が増加することがわかる。また試料7では、第2非磁性層は、第1非磁性層と同じ材料、膜厚で構成される。しかし、第2非磁性層と接する強磁性層の界面材料がNiFeのみであり、一方、第1非磁性層に接する強磁性層界面材料には実効的な膜厚が0.35nmのCoFe膜が存在する。第1非磁性層と第2非磁性層とが同じ膜質であれば、当然第2非磁性層の反平行結合力が下がるはずであるが、ここでは第2非磁性層の結晶配向性が高い効果により、より高い反平行結合力が発現し、結果として第1非磁性層と第2非磁性層の反平行結合エネルギーはほぼ等しく設定されている。
実施例1、4、5では、第2強磁性層と第2非磁性層の構成の差に依存して、実施例1、4、5の順番にその第2非磁性層の反平行結合力が増大している。そして実施例1に比べて実施例4、5は、第2非磁性層と第1非磁性層の反平行結合力がより近づいている。図14において、実施例1に比べて実施例4、5のフロップ磁場のばらつきが小さかったことは第2非磁性層と第1非磁性層の反平行結合力が近づき、強磁性層1及び強磁性層3が同時にフロップするようになった効果と考えられる。多層SAF中において、最下部の強磁性層と最上部の強磁性層の磁化膜厚積を等しく設定された下で、最下部の非磁性層と最上部の非磁性層の反平行結合力をより厳密に揃えることで、トグル書き込み動作率が向上し、さらにフロップ磁場のばらつきまでも改善されることが本実験により示された。

Claims (28)

  1. 基板と、
    固定された磁化を有する磁化固定層と、
    反転可能な磁化を有する磁化自由層と、
    前記磁化固定層と前記磁化自由層との間に介設された非磁性のバリア層
    とを具備し、
    前記磁化自由層は、
    第1〜第(N+1)強磁性層と(Nは2以上の整数)、
    反強磁性的なRKKY相互作用を発現するように形成された第1〜第N非磁性層
    とを含み、
    前記第1〜第N非磁性層のうちの第k非磁性層(kは、1以上N以下の任意の整数)は、前記第1〜第(N+1)強磁性層のうちの第k強磁性層と第(k+1)強磁性層の間に設けられ、
    前記第1非磁性層は、前記第1〜第N非磁性層のうちで前記基板に最も近く位置し、且つ、前記第N非磁性層は、前記第1〜第N非磁性層のうちで前記基板から最も離れて位置し、
    前記第1非磁性層は、RKKY相互作用の第α次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有し、
    前記第N非磁性層は、RKKY相互作用の第α次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有し、
    前記αと前記αは、下記関係:
    α<α
    を満足する
    MRAM。
  2. 請求項1に記載のMRAMであって、
    前記αと前記αは、下記関係:
    α=α+1,
    を満足する
    MRAM。
  3. 請求項2に記載のMRAMであって、
    前記第1非磁性層は、1.8nm〜2.5nmの厚さを有するルテニウム層で構成され、
    前記第N非磁性層は、3.1nm〜3.9nmの厚さを有するルテニウム層で構成される
    MRAM。
  4. 請求項2に記載のMRAMであって、
    前記第2〜第(N−1)非磁性層のうちの少なくとも一の非磁性層は、前記第N非磁性層よりも低次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有する
    MRAM。
  5. 請求項4に記載のMRAMであって、
    前記Nは奇数であり、
    前記少なくとも一の非磁性層は、前記第1〜第N非磁性層のうちの第([N+1]/2)非磁性層である
    MRAM。
  6. 請求項5に記載のMRAMであって、
    前記第2〜第(N−1)非磁性層は、それぞれ、RKKY相互作用の第α〜αN−1次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有し、
    前記α〜αは、下記条件:
    α≧α≧α≧・・・≧α[N+1]/2−1≧α[N+1]/2
    α[N+1]/2≦α[N+1]/2+1≦・・・≦αN−1≦α
    α<α
    α=αN−1
    α=αN−2
    ・・・
    α=αN−p+1,(pは、2以上(N+1)/2−1以下の整数)
    ・・・
    α[N+1]/2−1=α[N+1]/2+1
    を満足する
    MRAM。
  7. 請求項4に記載のMRAMであって、
    前記Nは偶数であり、
    前記少なくとも一の非磁性層は、前記第1〜第N非磁性層のうちの第(N/2)非磁性層と第([N/2]+1)非磁性層である
    MRAM。
  8. 請求項7に記載のMRAMであって、
    前記第2〜第(N−1)非磁性層は、それぞれ、RKKY相互作用の第α〜αN−1次の反強磁性ピークに対応する範囲の膜厚を有し、
    前記α〜αは、下記条件:
    α≧α≧α≧・・・≧αN/2−1≧αN/2
    αN/2+1≦αN/2+2≦・・・≦αN−1≦α
    α<α
    α=αN−1
    ・・・
    α=αN−p+1,(pは、2以上(N/2)以下の整数)
    ・・・
    αN/2−1=αN/2+2
    αN/2=αN/2+1
    を満足する
    MRAM。
  9. 請求項4に記載のMRAMであって、
    前記第1非磁性層は、1.8nm〜2.5nmの厚さを有するルテニウム層で構成され、
    前記第2乃至第(N−1)非磁性層のそれぞれは、0.7nm〜1.2nmの厚さを有するルテニウム層、又は、1.8nm〜2.5nmの厚さを有するルテニウム層のいずれかで形成され、
    前記第N非磁性層は、3.1nm〜3.9nmの厚さを有するルテニウム層で構成される
    MRAM。
  10. 請求項1に記載のMRAMであって、
    前記第1強磁性層と前記第(N+1)強磁性層の磁化膜厚積がほぼ等しいことを特徴とするMRAM。
  11. 請求項1に記載のMRAMであって、
    前記バリア層は、アモルファスの層であり、
    前記磁化自由層は、前記バリア層の上面の上に形成されている
    MRAM。
  12. 請求項1に記載のMRAMであって、
    前記第1乃至第N非磁性層がルテニウムで構成され、
    前記第1非磁性層に比べて、前記第N非磁性層のルテニウムのHCP(001)面の膜面直方向への結晶配向性が高い
    MRAM。
  13. 請求項1に記載のMRAMであって、
    前記第1乃至第N強磁性層がFCC構造を有するNiを主成分とする強磁性合金、或いは、積層膜で構成され、
    前記第1強磁性層に比べて、前記第N強磁性層のFCC(111)面の膜面直方向への結晶配向性が高い
    MRAM。
  14. 固定された磁化を有する磁化固定層と、
    反転可能な磁化を有する磁化自由層と、
    前記磁化固定層と前記磁化自由層との間に介設された非磁性のバリア層
    とを具備し、
    前記磁化自由層は、
    第1〜第(N+1)強磁性層と(Nは2以上の整数)、
    反強磁性的な相互作用を発現するように形成された第1〜第N非磁性層
    とを含み、
    前記第1〜第N非磁性層のうちの第k非磁性層(kは、1以上N以下の任意の整数)は、前記第1〜第(N+1)強磁性層のうちの第k強磁性層と第(k+1)強磁性層の間に設けられ、
    前記第1非磁性層と前記第N非磁性層とが同一でない構造を有し、且つ、前記第1非磁性層を介した相互作用と前記第N非磁性層を介した前記相互作用の実効的な強さがほぼ等しい
    MRAM。
  15. 請求項14に記載のMRAMであって、
    前記第1非磁性層と前記第N非磁性層の膜厚が異なる
    MRAM。
  16. 請求項14に記載のMRAMであって、
    前記第1非磁性層と前記第N非磁性層の結晶配向性が異なる
    MRAM。
  17. 請求項16に記載のMRAMであって、
    前記第1非磁性層に比べて前記第N非磁性層の結晶配向性が高い
    MRAM。
  18. 請求項16に記載のMRAMであって、
    前記第1乃至第N非磁性層がルテニウムで構成され、
    前記第1非磁性層に比べて、前記第N非磁性層のルテニウムのHCP(001)面の膜面直方向への結晶配向性が高い
    MRAM。
  19. 請求項14に記載のMRAMであって、
    前記第1強磁性層と前記第N強磁性層の結晶配向性が異なる
    MRAM。
  20. 請求項19に記載のMRAMであって、
    前記第1強磁性層に比べて前記第N強磁性層の結晶配向性が高い
    MRAM。
  21. 請求項19に記載のMRAMであって、
    前記第1乃至第N強磁性層がFCC構造を有するNiを主成分とする強磁性合金、或いは、積層膜で構成され、
    前記第1強磁性層に比べて、前記第N強磁性層のFCC(111)面の膜面直方向への結晶配向性が高い
    MRAM。
  22. 請求項14に記載のMRAMであって、
    前記第1非磁性層は、第1面において前記第1及び前記第2強磁性層の一方の強磁性層に接しており、前記第N非磁性層は、第2面において前記第N及び前記第(N+1)強磁性層の一方の強磁性層に接しており、
    前記第1面において前記第1非磁性層に接する膜の組成が、前記第2面において前記第N非磁性層に接する面の膜の組成と異なる
    MRAM。
  23. 請求項22に記載のMRAMであって、
    前記第1強磁性層、前記第2強磁性層、前記第N強磁性層、及び前記第(N+1)強磁性層のうちの少なくとも一層以上は、組成が異なる複数の膜が積層された積層膜から構成され、前記積層膜を構成する前記複数の膜の実効的な膜厚の比率を変えることによって、前記第1非磁性層を介した相互作用と前記第N非磁性層を介した前記相互作用の実効的な強さがほぼ等しく設定されている
    MRAM。
  24. 請求項23に記載のMRAMであって、
    前記積層膜はNiFe膜とCoFe膜の積層膜から構成された
    MRAM。
  25. 請求項14に記載のMRAMであって、
    前記第1強磁性乃至第N強磁性層の少なくとも一の強磁性層は、少なくとも2層の強磁性膜が、非磁性膜を介した強磁性的なRKKY結合によって強磁性結合された多層構造を有する
    MRAM。
  26. 請求項25記載のMRAMであって、
    前記多層構造に含まれる前記非磁性膜は、1.2nm〜1.8nmの厚さを有するルテニウム層で構成される
    MRAM。
  27. 固定された磁化を有する磁化固定層と、
    反転可能な磁化を有する磁化自由層と、
    前記磁化固定層と前記磁化自由層との間に介設された非磁性のバリア層
    とを具備し、
    前記磁化自由層は、
    第1〜第(N+1)強磁性層と(Nは2以上の偶数)、
    反強磁性的な相互作用を発現するように形成された第1〜第N非磁性層
    とを含み、
    前記第1〜第N非磁性層のうちの第k非磁性層(kは、1以上N以下の任意の整数)は、前記第1〜第(N+1)強磁性層のうちの第k強磁性層と第(k+1)強磁性層の間に設けられ、
    前記第1非磁性層を介した相互作用と前記第N非磁性層を介した前記相互作用の実効的な強さがほぼ等しく、
    前記第1非磁性層は、第1面において前記第1及び前記第2強磁性層の一方の強磁性層に接しており、前記第N非磁性層は、第2面において前記第N及び前記第(N+1)強磁性層の一方の強磁性層に接しており、
    前記第1面において前記第1非磁性層に接する膜の組成が、前記第2面において前記第N非磁性層に接する面の膜の組成と異なり、
    前記第1強磁性層、前記第2強磁性層、前記第N強磁性層、及び前記第(N+1)強磁性層のうちの少なくとも一層以上は、組成が異なる複数の膜が積層された積層膜から構成され、前記積層膜を構成する前記複数の膜の実効的な膜厚の比率を変えることによって、前記第1非磁性層を介した相互作用と前記第N非磁性層を介した前記相互作用の実効的な強さがほぼ等しく設定されている
    MRAM。
  28. 請求項27に記載のMRAMであって、
    前記積層膜はNiFe膜とCoFe膜の積層膜から構成された
    MRAM。
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