JP2005086015A - 磁気記憶素子及び磁気メモリ - Google Patents

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Abstract

【課題】 情報を安定して保持することができると共に、小さい磁場で情報の記録を行うことができる磁気記憶素子及び磁気メモリを提供する。
【解決手段】 情報を磁性体の磁化状態によって保持する記憶層1が4層以上の偶数の磁性層11,12,13,14及びその間の非磁性層15から成り、各磁性層11,12,13,14の磁化M1,M2,M3,M4の大きさが記憶層1の上下にほぼ対称であり、非磁性層15を介して隣接する磁性層の磁化M1及びM2,M2及びM3,M3及びM4の向きが互いに反平行である磁気記憶素子10を構成する。また、この磁気記憶素子10と、それぞれ交差する第1の配線と第2の配線とを有し、第1の配線及び第2の配線とが交差する交点付近に、それぞれ磁気記憶素子10が配置されて成る磁気メモリを構成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、磁気記憶素子及び磁気メモリに関するものであり、特に不揮発性メモリに用いて好適なものである。
コンピュータ等の情報機器においては、ランダム・アクセス・メモリとして、動作が高速で、高密度のDRAMが広く使用されている。
しかし、DRAMは電源を切ると情報が消えてしまう揮発性メモリであるため、情報が消えない不揮発のメモリが望まれている。
そして、不揮発メモリの候補として、磁性体の磁化で情報を記録する磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)が注目され、開発が進められている(例えば非特許文献1参照)。
MRAMは直交する2種類のアドレス線(例えばワード線とビット線)がそれぞれ複数本形成され、これら2種類のアドレス線の各交点に磁気記憶素子が設けられることにより、多数の磁気記憶素子がマトリクス状に配置された磁気メモリ(磁気記憶装置)を構成している。そして、2種類のアドレス線について、それぞれ特定のアドレス線に電流を流すことにより、その電流磁場によって、電流を流したアドレス線の交点に位置する磁気記憶素子のみを選択して、その磁気記憶素子の記憶層の磁化を反転させて、情報の記録を行っている。
今後、MRAMの記憶容量を増加するために、高密度化を図る必要があり、メモリセルを構成する磁気記憶素子の縮小化が求められることから、磁気記憶素子の記憶層の寸法も小さくする必要がある。
しかしながら、記憶層の寸法を小さくすると、磁化の熱揺らぎにより長時間のうちに情報が書き換わってしまう問題がある。
これを解決する方法として、例えば2層の磁性体を反強磁性的に結合させた構造の磁気メモリ素子が提案されている(特許文献1参照)。
日経エレクトロニクス 2001.2.12号(第164頁−171頁) 米国特許出願公開第2003/0072174号明細書
上述した、2層の磁性体(磁性層)を反強磁性的に結合させた構造の磁気メモリ素子において、記録に必要な磁場(動作磁場)を低減するためには、2層の磁性体の磁気的相互作用を小さくして、外部磁場によって2層の磁性体の磁化が平行になりやすくする必要がある。
そして、上述の構造の磁気メモリ素子に記録を行うためには、外部磁場によって、反平行に結合した2層の磁性層の結合角度を180度から傾けなければならない。この傾き角度は、外部磁場の大きさと磁性層間の相互作用の大きさ、磁気異方性に依存する。
磁性層の磁化容易軸方向に磁場をかけていくと、2層の磁性層の合成磁場は増加し、十分に大きな磁場で飽和する。2層の磁性層の合成磁場は、ほぼ外部磁場の大きさに比例するので、比例領域を外挿した飽和磁場をHseasyとすると、記録動作に必要な最小磁場Hrecはおおよそ√(Hk・Hseasy)と書ける。ここでHkは、膜の磁気異方性や形状による磁気異方性を含めた実効的な異方性磁場である。
つまり、記録に必要な磁場(動作磁場)を低減するには、磁気異方性HkあるいはHseasyを減らせばよいことになる。磁気異方性Hkは、記録の情報を保持しておくために、ある程度の大きさが必須であるため、記録磁場を下げるにはHseasyを減らせばよいことになる。
しかしながら、Hseasyを減らすには限界があり、あまり小さくすると問題を生じる。
ここで、上述の2層の磁性層が結合した磁気記憶素子の磁化を反転させる方法の概略を図10に示す。
記録を行う前の状態では、図10Aに示すように、2層の磁性層の磁化Mα,Mβが反平行であり、いずれも磁性層の磁化容易軸方向Eに並んでいる。
この状態から、磁場を印加して、磁性層の磁化Mα,Mβの向きを反転させる。具体的には、図10Aに示すように、磁性層の磁化容易軸方向Eから左回り45°の向き(Y軸方向)に磁場Hを、右回り45°の向き(X軸方向)に磁場Hをそれぞれ印加する。
そして、図10Bに示すように、磁場Hと磁場Hを順次時間差を設けて印加することにより、磁性層の磁化Mα,Mβに回転の力が加わり、適当な大きさの磁場H、Hで磁化Mα,Mβの向きを反転させることができる。
しかしながら、この場合、磁化の向きが反転するかどうかは、磁化Mα、Mβの初期状態によって可能かどうか変わる。
次に、図10Aに示した状態に、外部磁場を印加して、記録の書き換えを行った場合の変化を、図11A及び図11Bに示す。
図11Aは、Hseasyが外部磁場に対して大きい場合を示している。
この場合は、2層の磁性層の磁化Mα,Mβが反平行である初期状態から、書き換えを行うと、書き換えの途中では、各磁性層の磁化Mα,Mβの向きが、それぞれ磁化容易軸方向Eに対してある程度の角度をなした状態となる。
そして、書き換え後は、各磁性層の磁化Mα,Mβの向きが、初期状態から反転しており、かつ互いに反平行になっている。
このようにして情報の記録が行われる。
図11Bは、Hseasyが外部磁場に対して小さい場合を示している。
この場合は、書き換え途中で、2層の磁化Mα,Mβの向きが、磁化容易軸方向Eに並んで平行になってしまう。
このため、書き換え後には、各磁性層の磁化Mα,Mβの向きが互いに反平行になるものの、初期状態から反転した右上図の状態と、初期状態と同じ状態である右下図の状態とのいずれの状態にもなり得る。
この構成の素子では、図11Aに示したように、初期状態を基準として、2層の磁化Mα,Mβの向きを反転させることにより記録を行うようにしているため、このように書き換え後にいずれの状態にもなり得ると、書き換え後の磁化状態が目的とする記録を達成するとは限らなくなってしまう。
即ち、書き換えにより、記録された情報が揮発してしまうことにもなる。
また、Hseasyが外部磁場に対して小さい場合には、2層の磁化Mα,Mβの向きが完全に平行にならなくても、熱による揺らぎによって、磁化状態が不安定になる可能性がある。
従って、磁性層の磁気的相互作用を小さくすると、上述の飽和磁場Hseasyが小さくなるため、動作磁場を低減することはできるが、外部磁場に対する情報の安定性が低下してしまう。
上述した問題の解決のために、本発明においては、情報を安定して保持することができると共に、小さい磁場で情報の記録を行うことができる磁気記憶素子及び磁気メモリを提供するものである。
本発明の磁気記憶素子は、情報を磁性体の磁化状態によって保持する記憶層が4層以上の偶数の磁性層及びその間の非磁性層から成り、各磁性層の磁化の大きさが記憶層の上下にほぼ対称であり、非磁性層を介して隣接する磁性層の磁化の向きが互いに反平行であるものである。
本発明の磁気メモリは、情報を磁性体の磁化状態によって保持する記憶層が4層以上の偶数の磁性層及びその間の非磁性層から成り、各磁性層の磁化の大きさが記憶層の上下にほぼ対称であり、非磁性層を介して隣接する磁性層の磁化の向きが互いに反平行である磁気記憶素子と、互いに交差する第1の配線と第2の配線とを有し、第1の配線と上記第2の配線とが交差する交点付近に、それぞれ磁気記憶素子が配置されて成るものである。
上述の本発明の磁気記憶素子の構成によれば、情報を磁性体の磁化状態によって保持する記憶層が4層以上の偶数の磁性層及びその間の非磁性層から成り、各磁性層の磁化の大きさが記憶層の上下にほぼ対称であり、非磁性層を介して隣接する磁性層の磁化の向きが互いに反平行であることにより、4層以上の偶数の磁性層が磁化の向きが互い違いに、かつ磁化の大きさが上下に対称となっている。
これにより、磁場が加わっていない状態では、記憶層を構成する磁性層の磁化の向きが互い違いであり、隣接する磁性層による相互作用によって記憶層の各磁性層の磁化の向きが安定している。
そして、例えば、記憶層の磁化容易軸方向に対して、それぞれ45度の角度をなす向きの外部磁場を時間差を設けて印加すれば、記憶層の各磁性層の磁化の向きを回転させることが可能であり、このように磁化の向きを回転させることによって、比較的小さい磁場で磁性層の磁化の向きを反転させて、記録を行うことが可能である。
さらに、磁性層が4層以上あるため、記憶層に強い磁場が印加された場合に、上下の端部の磁性層の磁化の向きが磁場の向きに揃ってしまっていても、各磁性層間の相互作用により、中間部の2層の磁性層の磁化の向きが磁場の方向に揃わないようにすることができる。即ち、全磁性層の磁化の向きが完全には揃わないようにすることができるため、磁場が印加される前の記憶層の各磁性層の磁化の向きが、中間部の2層の磁性層の磁化の向きに反映される。
即ち、強い磁場に対しても、記憶層に記録された磁化情報が失われないようにすることができ、広い磁場範囲で動作させることが可能になる。
さらに、磁性層が4層以上あり、多くの磁性層により記憶層を構成しているため、磁性層の数を多くして磁性体の体積を増やしても、記録を行うために必要となる磁場の大きさがあまり増大しない。
上述の本発明の磁気メモリの構成によれば、上述の本発明の磁気記憶素子と、互いに交差する第1の配線と第2の配線とを有し、第1の配線と上記第2の配線とが交差する交点付近に、それぞれ磁気記憶素子が配置されて成ることにより、第1の配線や第2の配線に電流を流すことにより磁気記憶素子に磁場(電流磁場)を印加することが可能であり、この磁場により記憶層の各磁性層の磁化の向きを変化させて情報を記録することが可能である。
そして、磁気記憶素子が、上述したように、比較的小さい磁場で記録を行うことが可能な特性を有するので、情報の記録に必要となる磁場を小さくすることができ、この磁場を発生させるために配線に流す電流を低減することが可能になる。
また、磁気記憶素子が、広い磁場範囲で安定して動作させることが可能な特性を有するので、磁気記憶素子の記憶層に磁化状態として記録された情報を、安定して保持することが可能になる。
また、上述の本発明の磁気記憶素子及び磁気メモリにおいて、記憶層が4層の磁性層から成り、非磁性層を介して隣接する磁性層間に反強磁性的な相互作用が作用し、1層目の磁性層と2層目の磁性層との間の相互作用の強さが、3層目の磁性層と4層目の磁性層との間の相互作用の強さとほぼ等しく、1層目の磁性層と4層目の磁性層の磁化量がほぼ等しく、2層目の磁性層と3層目の磁性層の磁化量がほぼ等しい構成としたときには、隣接する磁性層間に作用する反強磁性的な相互作用によって、より効果的に、記憶層に強い磁場に対しても記憶層に磁化状態として記録された情報を保持することができる。また、1層目の磁性層と2層目の磁性層との間の相互作用の強さが、3層目の磁性層と4層目の磁性層との間の相互作用の強さとほぼ等しいので、磁化の大きさだけでなく、相互作用の強さのバランスも上下に対称になり、磁性層全体のバランスがよくなる。
また、上述の本発明の磁気記憶素子及び磁気メモリにおいて、記憶層とトンネル絶縁膜と磁化の向きが固定された磁化固定層とが積層されている構成としたときには、磁化固定層の磁化の向きを記憶層の磁化の向きの基準として参照することが可能になり、またトンネル絶縁膜を流れるトンネル電流の電流量を検出することによって記憶層の磁化状態を検出することが可能になる。
上述の本発明によれば、広い磁場範囲で安定して情報の記録動作を行うことが可能になり、情報を安定して保持することができると共に、小さい磁場で情報の記録を行うことができる。このため、電流により発生した外部磁場を磁気記憶素子に印加して情報の記録を行う構成において、情報の記録に必要となる電流を低減することができ、消費電流を低減することができる。
従って、本発明により、記録された情報を安定して保持すると共に、少ない記録電流で記録ができ、消費電力の少ない磁気メモリを実現することが可能になる。
また、記憶層を構成する磁性層の数を増やしても記録に必要となる磁場の増大が少ないため、記録の保持特性を高めるために磁性体の体積を増やしても、記録磁場の増加が少ない。
これにより、磁気記憶素子を微細化しても、安定して記録を保持することが可能となるため、磁気記憶素子の微細化により高密度化を図り、磁気メモリの記憶容量の増大や磁気メモリの小型化を図ることが可能になる。
本発明の磁気記憶素子の一実施の形態の概略構成図(斜視図)を、図1に示す。
この磁気記憶素子10は、平面形状が円形状の磁性体から成る4層の磁性層11,12,13,14が、それぞれの間に非磁性層15を介して積層されて構成されている。
各磁性層11,12,13,14は、図中左右方向が磁化容易軸方向になるように配置されている。
そして、4層の磁性層11,12,13,14により、情報が磁化の向きによって記録される記憶層1が構成される。
図1に示す状態では、4層のうち最下層の第1の磁性層11の磁化M1が右向き、その上の第2の磁性層12の磁化M2が左向き、その上の第3の磁性層13の磁化M3が右向き、最上層の第4の磁性層14の磁化M4が左向きになっている。
即ち、隣り合う磁性層の磁化の向きが互いに反平行となっている。
また、第1の磁性層11と第2の磁性層12との間に磁気的相互作用J1が生じ、第2の磁性層12と第3の磁性層13との間に磁気的相互作用J2が生じ、第3の磁性層13と第4の磁性層14との間に磁気的相互作用J3が生じる構成となっている。以下、これら磁気的相互作用J1,J2,J3の極性は、反平行に作用する方を正とする。
さらに、第1の磁性層11の磁化M1の大きさと第4の磁性層14の磁化M4の大きさがほぼ等しく、第2の磁性層12の磁化M2の大きさと第3の磁性層13の磁化M3の大きさがほぼ等しい構成とすることが好ましい。
即ち、磁化の大きさの分布が上下で対称となるように、それぞれの磁性層の磁化の大きさがほぼ等しいことが望ましい。磁化の大きさの差は、10%程度までは許容可能である。
なお、各磁性層11,12,13,14の磁化の大きさ(磁化量)は、飽和磁束密度と磁性層の体積の積で定義される。
さらに、より好ましくは、磁気的相互作用J1,J2,J3として、反強磁性的な相互作用が生じ、第1の磁性層11と第2の磁性層12との間の相互作用J1と、第3の磁性層13と第4の磁性層14との間の相互作用J3とについて、相互作用の強さがほぼ等しい構成とする。
磁場が加わっていない安定状態では、図1に示したと同様に、非磁性層15を介して隣り合う磁性層の磁化の向きが反平行になる。
続いて、上述の構成を有する本実施の形態の磁気記憶素子10において、情報を記録する際の動作を説明する。
記録を行う前の状態では、図2Aに示すように、第1の磁性層11の磁化M1と第3の磁性層13の磁化M3が平行であり、第2の磁性層12の磁化M2と第4の磁性層14の磁化M4が平行であり、磁化M1,M3と磁化M2,M4とが反平行であり、いずれも磁性層の磁化容易軸方向Eに並んでいる。
この状態から、磁場を印加して、磁性層11,12,13,14の磁化M1,M2,M3,M4の向きを反転させる。具体的には、図2Aに示すように、各磁性層11,12,13,14の磁化容易軸方向Eから左回り45°の向き(Y軸方向)に磁場Hを、右回り45°の向き(X軸方向)に磁場Hをそれぞれ印加する。
そして、図2Bに示すように、磁場Hと磁場Hを順次時間差を設けて印加することにより、各磁性層11,12,13,14の磁化M1,M2,M3,M4に回転の力が加わり、適当な大きさの磁場H、Hで磁化の向きを反転させることができる。
図2に示した向きの磁場として、第1の磁性層11の磁化M1と第4の磁性層14の磁化M4とが平行になる程度の大きさの磁場を印加したときの、磁性層の磁化の変化を、図3Aと図3Bにそれぞれ示す。
図3Aは、磁性層11,12,13,14の磁気的相互作用J1,J2,J3の大きさがJ1=J3<J2の関係を有する場合の動作を示す。
図2Aに示したと同じ状態の初期状態から、y軸方向の磁場Hとx軸方向の磁場Hを順次印加することにより、最下層の第1の磁性層11の磁化M1が右回りに半回転して、最上層の第4の磁性層14の磁化M4と平行に並び、磁化容易軸方向Eの右上向きになる。中間の第3の磁性層13の磁化M3は、右回りに回転するものの、第4の磁性層14との磁気的相互作用J3があるため、第1の磁性層11の磁化M1よりも手前までしか回転しない。また、中間の第2の磁性層12の磁化M2は、第1の磁性層11との磁気的相互作用J1があるため、第1の磁性層11の磁化M1が右上向きになったことにより、これと反発するように右回りに回転している。そして、この場合には、第2の磁性層12と第3の磁性層13との磁気的相互作用J2が比較的強いため、第2の磁性層12の磁化M2と第3第3の磁性層13の磁化M3とが反平行に近くなる。
さらに、印加された磁場がなくなり、書き換え後の状態では、第4の磁性層14の磁化M4が半回転して、磁化容易軸方向Eの左下向きになる。第3の磁性層13の磁化M3は右回りに回転して、磁化容易軸方向Eの右上向きになる。そして、第2の磁性層12の磁化M2は、第1の磁性層11との磁気的相互作用J1及び第3の磁性層13との磁気的相互作用J2等により、右回りに回転して磁化容易軸方向Eの左下向きになる。
これにより、初期状態から、4層の磁性層11,12,13,14の磁化M1,M2,M3,M4の向きが全て反転する。
このようにして、情報の記録(書き換え)が行われる。
また、図3Bは、J1=J3>J2の関係を有する場合の動作を示す。
この場合、最上層の第1の磁性層11の磁化M1と最下層の第4の磁性層14の磁化M4の変化は、図3Aと同様である。中間の第2の磁性層12の磁化M2及び第3の磁性層13の磁化M3は、書き換え途中の状態では、図3Aよりも左下寄りになっている。これは、第1の磁性層11と第2の磁性層12との間の磁気的相互作用J1、並びに第3の磁性層13と第4の磁性層14との間の磁気的相互作用J3が比較的強く、中間の磁性層12,13の磁化M2,M3が上下端の磁性層11,14の磁化M1,M4の向きに近づきにくいからと考えられる。
この場合も、書き換え後には、4層の磁性層11,12,13,14の磁化M1,M2,M3,M4の向きが全て反転している。
いずれの場合も、第2の磁性層12の磁化M2と第3の磁性層13の磁化M3とが平行にならなければ、目的とする情報の記録(書き換え)を行うことができる。
なお、X軸方向の磁場H及びY軸方向の磁場Hを印加する順序は、図2Bに示した順序に限定されるものではない。図2Bとは逆に、X軸方向の磁場Hを先に印加して、時間差を設けてY軸方向の磁場Hを印加することも可能である。
また、記憶層1に印加するX軸方向の磁場H及びY軸方向の磁場Hの向きは、合成磁場が記憶層1の磁化容易軸方向Eとなるようにすればよく、これらをいずれも図2Aとは反対の向き(左向きと下向き)としてもよい。
上述の本実施の形態の磁気記憶素子10の構成によれば、4層の磁性層11,12,13,14がそれぞれ間に非磁性層15を介して積層されて記憶層1が構成され、非磁性層15を介して隣接する磁性層の磁化M1及びM2,M2及びM3,M3及びM4の向きが互いに反平行であり、かつ磁化M1,M2,M3,M4の大きさについてほぼM1=M4,M2=M3となっていて上下に対称となっている。
これにより、磁場が加わっていない状態では、隣接する磁性層による相互作用J1,J2,J3によって記憶層1の各磁性層11,12,13,14の磁化M1,M2,M3,M4の向きが安定している。
従って、記憶層1の各磁性層11,12,13,14の磁化M1,M2,M3,M4の向きとして、即ち記憶層1の磁化状態として記録されている情報を安定して保持することができる。
また、図2に示したように、X軸方向の磁場H及びY軸方向の磁場Hを時間差を設けて印加することにより、図3に示したように各磁性層11,12,13,14の磁化M1,M2,M3,M4の向きを回転させることができ、最終的に各磁性層11,12,13,14の磁化M1,M2,M3,M4の向きを反転させることができる。
これにより、比較的小さい磁場で磁化の向きを反転させて、記録を行うことが可能である。
特に、4層の磁性層11,12,13,14があるため、記憶層1に強い磁場が印加されて上下の磁性層11,14の磁化M1,M4の向きが磁場の向きに揃っても、各磁性層間の相互作用J1,J2,J3により、これら中間の磁性層12,13の磁化M2,M3の向きが磁場の方向には揃わないようにすることができる。
これにより、磁場が印加される前の記録層1の各磁性層11,12,13,14の磁化M1,M2,M3,M4の向きが、中間の磁性層12,13の磁化M2,M3の向きに反映される。
即ち、強い磁場に対しても、記憶層1に記録された磁化情報が失われないようにすることができ、広い磁場範囲で安定して記録動作させることが可能になる。
従って、本実施の形態の磁気記憶素子10の構成によれば、記憶層1に記録された情報を安定して保持することができ、かつ情報の記録に必要な磁場を小さくすることができる。
これにより、配線に電流を流して磁気記憶素子10に電流磁場を印加する構成の磁気メモリでは、情報の記録に必要となる電流量を小さくすることができるため、消費電力の少ない磁気メモリを実現することができる。
上述の実施の形態では、4層の磁性層11,12,13,14により記憶層を構成していたが、本発明では、さらに記憶層を構成する磁性層を増やして、6層や8層等、さらに多層の層構成とすることも可能である。その場合も、非磁性層を介して隣り合う磁性層が互いに反平行に磁化され、かつ各磁性層の磁化の大きさを積層構造の上下に対して対称に配置した構成とすることにより、同様の効果が得られる。
特に、磁性層の層を多くする場合は、各磁性層の磁化のバランスや製造の容易性等を考慮すると、各磁性層の磁化をほぼ同じにしておいて、偶数層積層するのが好ましい。
また、図1では各磁性層の平面形状が円形状になっているが、平面形状が楕円形状としてもよい。
図1の構成のように各磁性層の磁化容易軸方向が揃うように設定されていれば、平面形状が円形状等の形状異方性の小さい形状であっても構わない。
そして、平面形状を円形や楕円形とすれば、素子の作製が容易になるが、その他の形状であっても、本発明の効果は同様に得られる。
また、本発明において、磁気記憶素子の記憶層を構成するそれぞれの磁性層は、単一の組成からなる構成に限定されるものではなく、複数層の磁性層が積層されたものであってもよく、これら複数の磁性層が強く磁気的に結合したものであれば、一つの磁性層と見なすことができ、さらに上述した条件を満たせば、本発明の効果は有効である。
なお、記憶層の磁化状態の検出(読み出し)を行うための構成としては、記憶層と、それぞれ図示しないが、トンネル絶縁膜と、磁化の向きが固定された磁化固定層とを積層して成る磁気トンネル接合素子(MTJ)を構成することができる。この場合、記憶層と磁化固定層(参照層とも称される)の相対的な磁化方向を検出することにより記憶層に記録された情報の内容を検出することが可能になる。この他にも、例えば巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)やホール素子等を用いることが考えられる。
次に、本発明の磁気メモリの一実施の形態として、上述の実施の形態の磁気記憶素子10を用いて構成した磁気メモリの概略構成図(斜視図)を図4に示す。また、図4に示した磁気メモリの平面図を図5に示す。なお、多数配置された磁気記憶素子10のうち、図4では縦2個・横2個分を図示し、図5では縦4個・横4個分を図示している。
この磁気メモリ(磁気記憶装置)40は、図4及び図5に示すように、マトリクス状に直交配置させたそれぞれ多数の第1の配線(例えばビット線)41及び第2の配線(例えばワード線)42の交点に、平面形状が円形状とされ、図1に示した構造を有する磁気記憶素子10を配置して構成されている。
各磁気記憶素子10は、詳細な図示は省略するが、図1に示した4層の磁性体層11,12,13,14が非磁性層15を挟んで積層された記憶層1を有している。
第1の配線41は、Y軸方向に延びて形成されており、電流を流すことによりX軸方向の磁場を発生させることができる。第2の配線42は、X軸方向に延びて形成されており、電流を流すことによりY軸方向の磁場を発生させることができる。
磁気記憶素子10は、記憶層の磁化容易軸方向が、図2Bに示したと同様に、X軸方向及びY軸方向に対してそれぞれ45度をなすように配置されている。
このように磁気メモリ40を構成した場合、例えば次のようにして磁気記憶素子10に対して記録を行う。
多数ある第1の配線41及び第2の配線42から、記録を行う磁気記憶素子10に対応するそれぞれ1本の第1の配線41及び第2の配線42を選択し、第1の配線41と第2の配線42に電流を流して、記録を行う磁気記憶素子10に対して電流磁場を印加する。
具体的には、例えば、まず第2の配線42に電流を流してY軸方向の電流磁場Hを印加して、さらに時間差を設けて、第1の配線41に電流を流してX軸方向の電流磁場Hを印加する。これにより、図3A又は図3Bの書き込み途中の状態に示したように、磁気記憶素子10の各磁性層11,12,13,14の磁化M1,M2,M3,M4の向きが変化する。
その後、第1の配線41及び第2の配線42に流していた電流を、時間差を設けて順次停止すれば、さらに磁気記憶素子10の各磁性層11,12,13,14の磁化M1,M2,M3,M4の向きが変化して、図3A又は図3Bの書き込み後の状態に示したように、元の状態から磁化の向きが反転する。
この状態では、非磁性層15を介して隣接する磁性層の磁化が反平行となっており、相互作用J1,J2,J3により磁化の向きが安定しているため、記録された情報を安定して保持することができる。
また、情報の記録を行う際には、前述した磁気トンネル接合のトンネル電流等により、既に磁気記憶素子10に記憶されている情報の内容を検出するように構成することが望ましい。
そして、磁気記憶素子10にこれから新たに記録しようとする情報の内容と、既に磁気記憶素子10に記憶されている情報の内容が異なる場合には、これから記録する情報の内容に対応して、第1の配線41及び第2配線42に流す電流の向きを設定して、第1の配線41及び第2の配線42に時間差を設けて順次電流を流して、記憶層にX軸方向及びY軸方向の電流磁場を順次印加することにより、磁気記憶素子10の記憶層の各磁性層の磁化の向きを、新たに記録する情報の内容に対応した向きとすることができる。このようにして、磁気記憶素子10に記録を行うことができる。
一方、磁気記憶素子10にこれから新たに記録しようとする情報の内容と、既に磁気記憶素子10に記憶されている情報の内容とが同一である場合には、情報の書き換えの必要がないため、第1の配線41及び第2配線42に電流を流さない。これにより、記録の度に電流磁場を発生させる構成と比較して、消費電力を節約することができる。
これらの過程を、情報の記録が必要な磁気記憶素子10に対して行うことにより、情報の記録が必要な全ての磁気記憶素子10に情報の記録を行うことができる。
上述したように記録を行うことにより、選択された磁気記憶素子10では、対応する第1の配線41及び第2の配線42から磁気記憶素子10に電流磁場を印加することにより、記憶層の各磁性層の磁化の向きを反転させて、情報の書き換えを行うことができる。
一方、選択されていない磁気記憶素子10では、対応する第1の配線41及び第2の配線42の両方から磁気記憶素子10に電流磁場が印加されることがない。
一方の配線41或いは42が選択された磁気記憶素子10と共通であっても、他方の配線が共通でなければ磁気記憶素子10には一方の電流磁場しか印加されない。第1の配線41を流れる電流からの電流磁場(X軸方向の磁場)だけでは、電流磁場の印加によって、記憶層1の磁性層11,12,13,14の磁化M1,M2,M3,M4の向きが回転するが、特に中間の磁性層12,13の磁化M2,M3は反転するまでに至らないため、電流磁場を停止したときに、記憶層1の各磁性層11,12,13,14の磁化M1,M2,M3,M4の向きが反転せずに元の状態に戻る。第2の配線42を流れる電流からの電流磁場(Y軸方向の磁場)だけでも、同様に、記憶層1の各磁性層11,12,13,14の磁化M1,M2,M3,M4の向きが反転しない。
即ち、いずれの場合も、記憶層1に記録された磁化状態を保持することができる。
上述の本実施の形態の磁気メモリ40の構成によれば、記録する際には、第1の配線41及び第2の配線42からのそれぞれの電流磁場の印加により、磁気記憶素子10の記憶層1の各磁性層11,12,13,14の磁化M1,M2,M3,M4の向きを回転させて、最終的に磁化M1,M2,M3,M4の向きを反転させることができるため、容易に記録を行うことができる。一方、いったん記録された磁化状態は、改めて記録を行うまで安定して保持することができる。
そして、記録容量を大きくするために磁気記憶素子を微小化するほど、保磁力が増大して記録を行うことが難しくなり、また磁化を安定して保持することが難しくなる傾向があるため、本実施の形態の磁気メモリ40は、記憶容量を増大させるために好適である。
(実施例)
ここで、本発明の磁気記憶素子の構成において、具体的に各磁性層の寸法や磁化量を設定して、特性がどのようになるか検討を行った。
まず、比較対照として、従来提案されている、2層の磁性層から成る記憶層を有する構成の磁気記憶素子の特性を調べた。
図12Aに平面図を示すように、平面形状が直径1μmの円形状である磁気記憶素子50を構成し、磁気記憶素子50の各層を図12Bの断面図に示すように構成した。
磁気記憶素子50の上部では、2層の磁性層53,54が非磁性層58を介して積層されることにより、記憶層60が構成されている。磁気記憶素子50の下部では、2層の磁性層51,52が非磁性層56を介して積層されることにより、磁化固定層61が構成されている。磁化固定層61の下には、反強磁性層55が設けられ、磁化固定層61の磁性層51,52の磁化の向きを固定している。記憶層60と磁化固定層61の間には、トンネル絶縁膜57が形成されている。
記憶層60の各磁性層53,54は、いずれも厚さを5nm、飽和磁化量Msを800emu/cm、材料の異方性磁場Hkを20Oeとした。
記憶層60の非磁性層58は、厚さを1nmとし、相互作用Jの大きさを0.02erg/cmとした。
磁化固定層61の磁性層51,52は、いずれも厚さが2nm、飽和磁化量Msが1200emu/cmとなっている。
磁化固定層61の非磁性層56は、厚さが1nmで、相互作用Jが1erg/cmになっている。
トンネル絶縁膜57は、厚さが1nmで、相互作用Jがゼロになっている。
この図12A及び図12Bに示す構成の磁気記憶素子50において、図10及び図11に示したと同様に記録を行った場合の動作を、マイクロマグネティックにより計算した。この計算結果から、動作状態を磁場強度に対してマッピングして、図13に示す。
図13の縦軸はY軸方向の磁場Hを示し、横軸はX軸方向の磁場Hを示している。
また、この磁気記憶素子50の記憶層60の磁化の向きの反転が可能であるかどうかは、磁化の向きの初期状態にも依存するため、図13では、初期状態に依存せず変化がない場合を×印で示し、一方の初期状態からしか磁化の向きの反転が起こらない場合を△印で示し、どちらの状態からでも反転する場合を○印で示している。
図13より、この磁気記憶素子50においては、H、Hともに50Oe以上のときに磁化反転が起こるが、磁場が大きすぎると、磁化反転が制限され任意の情報が記録できなくなることがわかる。
続いて、本発明の磁気記憶素子の特性を調べた。
図6Aに平面図を示すように、平面形状が直径1μmの円形状である磁気記憶素子10を構成し、磁気記憶素子10の各層を図6Bの断面図に示すように構成した。
磁気記憶素子10の上部では、4層の磁性層11,12,13,14が非磁性層15を介して積層されることにより、記憶層1が構成されている。磁気記憶素子10の下部では、2層の磁性層21,23が非磁性層22を介して積層されることにより、磁化固定層16が構成されている。磁化固定層16の下には、反強磁性層18が設けられ、磁化固定層16の磁性層21,22の磁化の向きを固定している。記憶層20と磁化固定層16の間には、トンネル絶縁膜17が形成されている。
記憶層20の磁性層のうち、第1の磁性層11及び第4の磁性層14は、いずれも厚さを5nm、飽和磁化量Msを800emu/cm、材料の異方性磁場Hkを20Oeとした。第2の磁性層12及び第3の磁性層13は、いずれも厚さを2nm、飽和磁化量Msを800emu/cm、材料の異方性磁場Hkを20Oeとした。
記憶層20の非磁性層15は、厚さを1nmとし、相互作用Jの大きさを0.02erg/cmとした。ただし、記憶層20の真ん中の非磁性層15は、相互作用Jの大きさを0.1erg/cmとした。
磁化固定層16の磁性層21,22は、いずれも厚さが2nm、飽和磁化量Msが1200emu/cmとなっている。
磁化固定層16の非磁性層22は、厚さが1nmで、相互作用Jが1erg/cmになっている。
トンネル絶縁膜17は、厚さが1nmで、相互作用Jがゼロになっている。
反強磁性層18は、厚さ20nmとした。
この図6A及び図6Bに示す構成の磁気記憶素子10において、図2及び図3に示したと同様に記録を行った場合の動作を、マイクロマグネティックにより計算した。この計算結果から、動作状態を磁場強度に対してマッピングして、図7に示す。図7中の印は、それぞれ図13の印と同じである。
図7より、この磁気記憶素子10においては、最小の動作磁場は図13と同じ50Oeであるが、従来の磁気記憶素子50と比較して、磁場の強い領域での動作制限が見られず、広い磁場範囲で動作が可能であることがわかる。
また、磁気メモリを構成する磁気記憶素子が微細化すると、記録の保持特性を高めるために磁気記憶素子の異方性と磁性膜厚の積を増やす必要がある。
そこで、次に、磁性層の総膜厚を増やしたときの影響について、計算して調べた。
計算に用いた磁気記憶素子の記憶層の構成を、それぞれ図8A及び図8Bに示す。
図8Aは、従来の2層の磁性層から成り、磁性層の膜厚を変化させた構成である。
記憶層60の各磁性層53,54は、いずれも飽和磁化量Msを800emu/cm、材料の異方性磁場Hkを20Oeとして、厚さをt(nm)としている。記憶層60の非磁性層58は、厚さを2nm、相互作用Jの大きさを0.01erg/cmとしている。
一方、図8Bは、本発明の磁気記憶素子において、1層の磁性層31の膜厚を固定して、磁性層31の積層数を増やした構成である。
磁性層31は、厚さを2nm、飽和磁化量Msを800emu/cm、材料の異方性磁場Hkを20Oeとしている。磁性層31の間の非磁性層32は、厚さを2nm、相互作用Jの大きさを0.01erg/cmとしている。
また、図8A及び図8Bのいずれの構成も、平面形状が直径100nmの円形状の磁気記憶素子とした。
図8A及び図8Bにそれぞれ示した磁気記憶素子の構成について、記録用の磁場H,Hが同一である条件のもと、反転動作が可能な最小の磁場Hminと、積算磁性層厚との関係を調べた。
図8Aの構成では、厚さt(nm)の磁性層を2層有するので、積算磁性層厚は2t(nm)となる。図8Bの構成では、厚さ2nmの磁性層をn層(nは偶数とする)積層するので、積算磁性層厚は2n(nm)となる。いずれの構成についても、積算磁性層厚が4nm〜20nmの範囲で4nm刻みになるように設定した。結果を図9に示す。
図9より、従来の磁気記憶素子の構成(線A)においては、積算磁性層厚が増加するに従い、記録に必要な最小磁場も増加していくのに対して、本発明の磁気記憶素子の構成(線B)においては、積算磁性層厚が増加しても動作に必要な最小磁場がほとんど変化しないことがわかる。
即ち、本発明の磁気記憶素子は、記録磁場を低く保ったままで、積算磁性層厚を大きくして記録保持特性を向上することが可能であることがわかる。
従って、本発明の構成では、磁気記憶素子を微細化しても、安定して記録を保持することが可能となるため、磁気記憶素子の微細化により高密度化を図り、磁気メモリの記憶容量の増大や磁気メモリの小型化を図ることが可能になることがわかる。
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
本発明の一実施の形態の磁気記憶素子の概略構成図(斜視図)である。 A、B 図1の磁気記憶素子の磁化を反転させる方法を説明する図である。 A、B 図2Aに示した状態に、外部磁場を印加して、記録の書き換えを行った場合の変化を示す図である。 図1の磁気記憶素子を用いた磁気メモリの概略構成図(斜視図)である。 図4の磁気メモリの平面図である。 A、B 本発明の磁気記憶素子の一形態のモデルを示す図である。 図6のモデルにおいて、動作状態を磁場強度に対してマッピングした図である。 A 従来提案されている磁気記憶素子の概略構成図である。B 本発明の磁気記憶素子の他の形態のモデルを示す図である。 図8A及び図8Bの各磁気記憶素子において、積算磁性層厚を変えたときの最小記録磁場の変化を示した図である。 A、B 2層の磁性層が結合した磁気記憶素子の磁化を反転させる方法を説明する図である。 A、B 図10Aに示した状態に、外部磁場を印加して、記録の書き換えを行った場合の変化を示す図である。 A、B 従来提案されている磁気記憶素子の一形態のモデルを示す図である。 図12のモデルにおいて、動作状態を磁場強度に対してマッピングした図である。
符号の説明
1 記憶層、10 磁気記憶素子、11 第1の磁性層、12 第2の磁性層、13 第3の磁性層、14 第4の磁性層、15,32 非磁性層、20 記憶層、31 磁性層、40 磁気メモリ、41 第1の配線、42 第2の配線

Claims (6)

  1. 情報を磁性体の磁化状態によって保持する記憶層が、4層以上の偶数の磁性層及びその間の非磁性層から成り、
    各前記磁性層の磁化の大きさが、前記記憶層の上下にほぼ対称であり、
    前記非磁性層を介して隣接する前記磁性層の磁化の向きが互いに反平行である
    ことを特徴とする磁気記憶素子。
  2. 前記記憶層が4層の前記磁性層から成り、前記非磁性層を介して隣接する前記磁性層間に反強磁性的な相互作用が作用し、1層目の磁性層と2層目の磁性層との間の前記相互作用の強さが、3層目の磁性層と4層目の磁性層との間の前記相互作用の強さとほぼ等しく、1層目の磁性層と4層目の磁性層の磁化量がほぼ等しく、2層目の磁性層と3層目の磁性層の磁化量がほぼ等しいことを特徴とする請求項1に記載の磁気記憶素子。
  3. 前記記憶層とトンネル絶縁膜と、磁化の向きが固定された磁化固定層とが積層されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気記憶素子。
  4. 情報を磁性体の磁化状態によって保持する記憶層が、4層以上の偶数の磁性層及びその間の非磁性層から成り、
    各前記磁性層の磁化の大きさが、前記記憶層の上下にほぼ対称であり、
    前記非磁性層を介して隣接する前記磁性層の磁化の向きが互いに反平行である磁気記憶素子と、
    互いに交差する第1の配線と第2の配線とを備え、
    前記第1の配線と前記第2の配線とが交差する交点付近に、それぞれ前記磁気記憶素子が配置されて成る
    ことを特徴とする磁気メモリ。
  5. 前記磁気記憶素子は、前記記憶層が4層の前記磁性層から成り、前記非磁性層を介して隣接する前記磁性層間に反強磁性的な相互作用が作用し、1層目の磁性層と2層目の磁性層との間の前記相互作用の強さが、3層目の磁性層と4層目の磁性層との間の前記相互作用の強さとほぼ等しく、1層目の磁性層と4層目の磁性層の磁化量がほぼ等しく、2層目の磁性層と3層目の磁性層の磁化量がほぼ等しいことを特徴とする請求項4に記載の磁気メモリ。
  6. 前記磁気記憶素子は、前記記憶層とトンネル絶縁膜と、磁化の向きが固定された磁化固定層とが積層されていることを特徴とする請求項4に記載の磁気メモリ。
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