JP5050360B2 - 水性導電性樹脂エマルション - Google Patents

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水性導電性樹脂エマルション及びその製造方法に関する。
ポリアニリン、ポリ置換アニリン、ポリチオフェン、ポリ置換チオフェン、ポリピロール、ポリ置換ピロールなど、π電子共役により導電性を有する導電性高分子は近年さまざまな用途、例えば帯電防止、金属防食、電磁波シールド、固体電解質コンデンサー、二次電池電極、透明導電膜等に応用が図られている。
これらの用途では上記のような導電性高分子は膜あるいは塗膜の形態として使用されることが多いが、これら導電性高分子は溶剤への溶解度が極めて低く、また熱可塑性も乏しいため、導電性高分子を重合した後に成型したり、溶剤へ分散、可溶化させたり、他の樹脂と均一に混合させたりすることは困難である。特に導電性高分子の水への分散は、導電性高分子の親水性の乏しさから極めて困難である。導電性高分子の水への分散安定性を高める手法の一つとして、界面活性剤や水溶性高分子、水分散粒子の存在下で導電性高分子を与えるモノマーを酸化重合する方法があり、この方法により得られた導電性高分子を含有する水性導電性樹脂エマルションが種々提案されている(例えば、特許文献1、2、3参照)。しかしながら、導電性樹脂が膜あるいは塗膜の形態として使用される場合は、高い導電性は勿論のこと、膜あるいは塗膜の柔軟性、密着性、強度等の性状も要求されるが、それらを十分に満たす水性導電性樹脂エマルションはいまだ得られていない。
特開2005−194348号 特開2005−183256号 特開2000−109556号
導電性高分子の水への分散安定性を高め、さらに導電性膜としての基材への密着性、膜強度を高める物質として、ポリビニルアルコールはその親水性の高さや乾燥皮膜の特性などから有用である。そのため、ポリビニルアルコールを併用することで高い導電性と高い塗膜強度の両立を達成すべく検討が行われている。
具体的には、ポリアニリンやその誘導体などの導電性高分子とポリビニルアルコールとドーパントであるドデシルベンゼンスルホン酸などの低分子スルホン酸化合物とからなる導電性樹脂組成物(例えば、特許文献4参照)が例示されるが、このような組成物を塗膜とした場合、低分子スルホン酸化合物が膜表面に移動して滲み出し、膜表面のベタツキや膜強度の低下を引き起こす恐れがあった。
また、スルホン酸基を分子内に有する導電性高分子とポリビニルアルコールなどからなる導電性樹脂組成物(例えば、特許文献5、6参照)が例示されるが、このような組成物を塗膜とした場合に十分な導電性と膜の強度を両立させるまでには至っていない。
特開2005−136336号 特開2003−161715号 特開2001−115098号
本発明の課題は、優れた導電性能を有して、十分な膜強度、密着性を保ち均一で柔軟性があってムラのない膜を容易かつ簡便に形成することができ、重合工程においては反応容器の洗浄が容易にできるとともに、保存安定性にも優れる水性導電性樹脂エマルションを得ることである。また、本発明のエマルションを用いることで導電性に優れる膜を得ることである。
本発明により得られる水性導電性エマルションは帯電防止剤、金属防食剤、電磁波シールド剤、導電性塗料、電極材料、導電性接着剤、有機半導体等に用いた場合、優れた導電性を示すことから有用である。
本発明者らは、高い導電性と強度と密着性を兼ね備えた均一な膜および塗膜を与える安定な水性導電性樹脂組成物の作製を目指し、鋭意検討を重ねた結果、ポリビニルアルコール類にスルホン酸基を含む重合性モノマーをグラフト重合により結合させ、導電性樹脂分を水相に分散安定化させ、かつ塗膜としたときの膜強度に寄与するポリビニルアルコール部位と導電性高分子に導電性を付与させるドーパントとして作用する高分子スルホン酸部位とをブロック的に同一分子内に含有させた、スルホン酸基を有するポリビニルアルコールの存在下において、ヘテロ原子を有する芳香族モノマーを重合させて得られる水性導電性樹脂エマルションが優れた効果を発揮することを見出し本発明に至った。
すなわち本発明は
(1)ポリビニルアルコール類に少なくともスルホン酸基含有モノマーを含む1種以上のモノマーをグラフト重合することにより得られるスルホン酸基を有するポリビニルアルコールの存在下において、ヘテロ原子を有する芳香族モノマーを重合させて得られる水性導電性樹脂エマルション、
(2)ポリビニルアルコール類がポリビニルアルコール及び/又はカチオン性基、アニオン性基、疎水基およびチオール基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するポリビニルアルコールである前記(1)の水性導電性樹脂エマルション、
(3)ヘテロ原子を有する芳香族モノマーが窒素原子または硫黄原子を含む芳香族モノマーである前記(1)又は(2)の水性導電性樹脂エマルション、
(4)窒素原子または硫黄原子を含む芳香族モノマーがアニリン類、チオフェン類、ピロール類から選ばれる少なくとも1種の芳香族モノマーである前記(3)の水性導電性樹脂エマルション、
(5)スルホン酸基を有するポリビニルアルコールの固形分に対するスルホン酸基当量が1.0meq/g以上4.0meq/g以下である前記(1)〜(4)の何れかの水性導電性樹脂エマルション、
(6)ポリビニルアルコール類の重合度が1000以上である前記(1)〜(5)の水性導電性樹脂組成物エマルション
に関する。
本発明の水性導電性樹脂エマルションを基体材料に塗工するにあたって、導電性樹脂が固形物の状態のような場合における溶解等の操作を必要とせずそのまま塗工が可能であるため、容易かつ簡便に塗工ができ導電性膜を製造できる。また、本発明の水性導電性樹脂エマルションを用いることにより優れた導電性能を有し、均一で強度が高く基材への密着性の高い膜を形成することができる。加えて、導電性有機物質の重合工程において反応容器の洗浄が容易にできるとともに、保存安定性にも優れる導電性樹脂エマルションの製造方法を提供できる。
また、本発明により得られる導電性樹脂エマルションを使用することによって、導電性に優れる導電性塗料、金属防食剤、導電性接着剤、導電性粘着剤、電極材料、電磁波シールド材料、有機発光材料、アクチュエーター等を提供できる。さらに、導電性に優れる膜を提供できる。
本発明の水性導電性樹脂エマルションは、ポリビニルアルコールおよび/または変性ポリビニルアルコール(本明細書及び特許請求の範囲において、総称してポリビニルアルコール類と略することがある)にスルホン酸基を有する重合性モノマーを含む一種以上の重合性モノマーをグラフト重合したスルホン酸基を有するポリビニルアルコールの存在下でヘテロ原子を有する芳香族モノマーを重合することで得られる水性導電性樹脂エマルションであることが必要である。
なお、「ポリビニルアルコール」は疎水性基やカチオン性基、アニオン性基、チオール基などの官能基を持たないポリビニルアルコールを指し、「変性ポリビニルアルコール」は何らかの方法で疎水性基やカチオン性基、アニオン性基、チオール基などの官能基を含有させたポリビニルアルコールを指すこととする。
前記スルホン酸基を有するポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコール類に少なくとも1種のスルホン酸基含有モノマーを含む1種以上のモノマーをグラフト重合して得られたポリビニルアルコールであり、ポリビニルアルコール類を主鎖とし、少なくとも1種のスルホン酸基含有モノマーを含む1種以上のモノマーの重合物からなる側鎖を有する構造を持つ物質であるが、ポリビニルアルコール類の末端の片側あるいは両側のみに少なくとも1種のスルホン酸基含有モノマーを含む1種以上のモノマーの重合物からなる構造を有する、所謂ブロックポリマーであってもよい。
前記ポリビニルアルコール類はポリマー中に
Figure 0005050360
の構造単位が少なくとも50mol%含有されているものをいい、一般的にポリ酢酸ビニルを加水分解して得られるものを使用できるが、上記の構造単位が少なくとも50mol%以上含有されていればその限りではなく、例えば酢酸ビニル−エチレン共重合物や酢酸ビニル−(N−ビニルホルムアミド)共重合物の加水分解物を使用することも可能である。またポリビニルアルコール類は種々の機能を付与することを目的として疎水基やカチオン性基、スルホン酸基を含むアニオン性基、チオール基、カルボニル基、シラノール基などの官能基を上記構造単位以外に含有しても良い。
ポリビニルアルコール類の重合度は1000以上であることが好ましく、1000以上10000以下がさらに好ましく、1000以上5000以下がより好ましい。ポリビニルアルコール類の重合度が低すぎる場合、本発明で得られる水性導電性樹脂エマルションの保存安定性が低下したり、水性導電性樹脂エマルション塗工膜の柔軟性や密着性、強度が著しく低下する場合がある。逆に重合度が高すぎる場合はポリビニルアルコール類の水溶性が劣ったり、水溶液の粘度が高くなったりするため、取扱いが不便になる場合がある。
ポリビニルアルコール類の市販品としては、株式会社クラレ製「クラレポバール(登録商標)」シリーズ、「Mポリマー」シリーズ、日本合成化学工業株式会社製「ゴーセノール(登録商標)」シリーズ、「ゴーセラン(登録商標)」シリーズ、電気化学工業株式会社製「デンカポバール(登録商標)」、「デンカサイズ」シリーズ、日本酢ビ・ポバール株式会社製「J−ポバール(登録商標)」シリーズ、「JMR(登録商標)」シリーズ等がある。
前記のようにポリビニルアルコール類にスルホン酸基を有するモノマーをグラフト重合してスルホン酸基を有するポリビニルアルコールを得る場合に用いるスルホン酸基を有するモノマーとしては、スルホン酸基と重合性部位を一分子内に有する化合物を用いることができる。例えば、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−メタクリロイルオキシプロパンスルホン酸、4−メタクリロイルオキシブタンスルホン酸、3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−アクリロイルオキシプロパンスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、メタリルオキシベンゼンスルホン酸、イソプレンスルホン酸、p−メタクリルアミドベンゼンスルホン酸、N−スルホメチレンアクリルアミド、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸などのラジカル重合が可能なモノマーが挙げられる。また、スルホン酸基を有する反応性界面活性剤も使用できる。
前記スルホン酸基を有するポリビニルアルコールのスルホン酸基の量としては、スルホン酸基を有するポリビニルアルコールの乾燥重量に対して0.1meq/g以上、9.0meq/g以下であることが好ましく、1.0meq/g以上、4.0meq/g以下であることがさらに好ましい。スルホン酸基の量が少なすぎる場合は導電性有機物質が十分な導電性を得るためのドーパント量が不足するため、導電性が低下するおそれがある。一方、スルホン酸基の量が多すぎる場合はポリビニルアルコール類の割合が相対的に減少し、膜強度や基材への密着性が低下するおそれがある。
なお、スルホン酸基を有するポリビニルアルコールを得る場合に用いるスルホン酸基を有するモノマー以外に、本発明の効果を妨げない程度に他のモノマーを併用することができる。他のモノマーとしては、例えばスチレン、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミドとそのN−置換体類、(メタ)アクリル酸とそのエステル類、(メタ)アリルエーテル類、(メタ)アリルアミン類、ジアリルアミン、酢酸ビニル、N−ビニルホルムアミド、(無水)マレイン酸とそのエステル類、イタコン酸などが挙げられる。これらのモノマーは官能基として、例えば、カルボン酸基、リン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、イソシアネート基、グリシジル基、アセチル基などを含有しても良く、ポリ(アルキレンオキシド)構造を含有するなどして、界面活性能を有する物でも構わない。さらに架橋性モノマーや、連鎖移動効果を有する物質を併用できる。
前記のようにポリビニルアルコール類にスルホン酸基を有するモノマーをグラフト重合してスルホン酸基を有するポリビニルアルコールを得る場合のグラフト反応の方法としては例えばセリウム(IV)イオンによるラジカル発生を利用する方法、過酸化水素と金属塩を併用する方法、過硫酸塩を使用する方法、過硫酸塩と亜硫酸塩や銀イオンを併用する方法、チオール基を含有するポリビニルアルコールのチオール基を連鎖移動末端とする方法などの公知の反応が利用できるが、ポリビニルアルコール類の水溶液を加熱し、モノマーを混合した後に過硫酸塩水溶液あるいは過硫酸塩と亜硫酸塩の水溶液をそれぞれ滴下する方法やチオール基を含有するポリビニルアルコールの水溶液にモノマーと重合開始剤を添加する方法が最も簡便な方法として挙げられる。
前記のスルホン酸基を有するポリビニルアルコール中のスルホン酸基は、50%以上、好ましくは70%以上、更に好ましくは90%以上、最も好ましくは99%以上が少なくとも塩を形成していないことが本発明の導電性の効果を奏するために好ましい。塩としては、ナトリウム塩、アンモニウム塩等の1価金属塩や、鉄塩、銅塩等の多価金属塩、あるいは、アンモニウム塩、アミン塩等、いずれの形の塩でもよい。
スルホン酸基を含有するポリビニルアルコールの存在下において、ヘテロ原子を有する芳香族モノマーを重合させて得られる導電性樹脂に用いるヘテロ原子を有する芳香族モノマーとしては、ヘテロ原子を有する芳香族モノマーであればよく、例えば、アニリン類、ピロール類、チオフェン類などを挙げることができる。ヘテロ原子を有する芳香族モノマーを導電性有機物質を構成する単量体と称することがある。
上記のアニリン類とは、アニリン及びアニリン誘導体をいい、アニリン誘導体は、アニリンの2位または3位あるいはN位を炭素数1〜18のアルキル基、アルコキシ基、アリール基、スルホン酸基等で置換した化合物であり、例えば、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、2−エチルアニリン、3−エチルアニリン、2−メトキシアニリン、3−メトキシアニリン、2−エトキシアニリン、3−エトキシアニリン、N−メチルアニリン、N−プロピルアニリン、N−フェニル−1−ナフチルアニリン、8−アニリノ−1−ナフタレンスルホン酸、2−アミノベンゼンスルホン酸、7−アニリノ−4−ヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。
また、ピロール類とは、ピロール及びピロール誘導体をいい、ピロール誘導体は、ピロールの1位または3位、4位を炭素数1〜18のアルキル基またはアルコキシ基等で置換した化合物であり、例えば、1−メチルピロール、3−メチルピロール、1−エチルピロール、3−エチルピロール、1−メトキシピロール、3−メトキシピロール、1−エトキシピロール、3−エトキシピロール等が挙げられる。
チオフェン類とは、チオフェン及びチオフェン誘導体をいい、チオフェン誘導体は、チオフェンの3位または4位を炭素数1〜18のアルキル基またはアルコキシ基等で置換した化合物であり、例えば、3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェン、3−メトキシチオフェン、3−エトキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン等が挙げられる。
スルホン酸基を含有するポリビニルアルコール中でヘテロ原子を有する芳香族モノマーを重合する際、各々を使用する割合は、スルホン酸基を有するポリビニルアルコールのスルホン酸基当量に対するヘテロ原子を有する芳香族モノマー量(モル)の比として0.01以上100以下であることが好ましい。ヘテロ原子を有する芳香族モノマーの量が少なすぎる場合は、導電性樹脂エマルション中における導電性高分子の割合が少なすぎて有効な導電性が得られない場合があり、逆にヘテロ原子を有する芳香族モノマーの量が多すぎる場合は、重合時や重合物の安定性が損なわれ、エマルション中に凝集物が生成したり粘度上昇が起きたりする場合がある。
ヘテロ原子を有する芳香族モノマーの重合は、好ましくは、公知の化学酸化重合法を用いることができる。例えばスルホン酸基を含有するポリビニルアルコールの水溶液にヘテロ原子を有する芳香族モノマーを添加し、所定の温度に保持した後、開始剤を添加して重合を開始する方法が挙げられる。
開始剤としては過硫酸アンモニウム塩、過酸化水素等の過酸化物、塩化第二鉄などの遷移金属のハロゲン化物等が挙げられる。
また、過酸化物と、塩化銅、塩化鉄、硫酸鉄、硫酸銅等の遷移金属化合物を併用する方法も挙げられる。
酸化重合の温度は通常酸化重合を行う温度域で反応溶液の凍結温度以上であれば特に限定されないが、副反応等が起こりにくいという点から低温下で行うことが好ましく、具体的には、−5〜30℃が好ましい。
本発明の水性導電性樹脂エマルションの粘度は、10000mPa・s以下であることが水性導電性樹脂エマルションの移送や保管容器からの取り出しの時に必要なエネルギーが少なくて済むために好ましく、1000mPa・s以下であることがさらに好ましい。
水性導電性樹脂エマルションの固形分は、沈殿や凝集、分離が起きない安定なエマルションとして存在し得る程度である1重量%以上70重量%以下であることが好ましい。固形分が1重量%よりも低いと乾燥や輸送などに必要となるエネルギーがより多くなることから、1重量%以上であることが好ましい。
本発明の水性導電性樹脂エマルションには、導電性樹脂としての性質を低下させない範囲で架橋剤、耐水化剤、分散安定化剤、消泡剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、滑剤、防滑剤、難燃剤、無機質充填材等の物質を混合することが可能である。特にポリビニルアルコール類と反応し得るイソシアネート基やシランなどの官能基を有する架橋剤、耐水化剤などはポリビニルアルコール類を架橋し、より強固な構造をポリビニルアルコール類に付与するため、水性導電性樹脂エマルションの塗膜の強度や密着性をより向上させる方法として有効である。混合の方法としては、スルホン酸基を有するポリビニルアルコールに上記物質を混合した後にヘテロ原子を含む芳香族モノマーを重合する方法や、スルホン酸基を有するポリビニルアルコール中でヘテロ原子を含む芳香族モノマーを重合した後に上記物質を混合する方法が挙げられる。
本発明の水性導電性樹脂エマルションは、導電性塗料、金属防食剤、導電性接着剤、導電性粘着剤の成分として用いることができ、水性導電性樹脂エマルションを膜などに加工して電極材料、電磁波シールド材料、有機発光材料、アクチュエーターとして用いることもできる。
本発明の水性導電性樹脂エマルションを導電性膜として加工する方法としては、どのような方式であってもよいが、例えば、基材を水性導電性樹脂エマルションに浸漬して乾燥させる方式や基材に水性導電性樹脂エマルションをスプレーする方法などを挙げることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、以下特に断りが無い限り「%」は「重量%」を、「部」は「重量部」を示すものとする。
<ポリビニルアルコール類に少なくともスルホン酸基含有モノマーを含む1種以上のモノマーをグラフト重合することにより得られるスルホン酸基を有するポリビニルアルコールの水溶液の製造例>
製造例1
攪拌装置、温度計、窒素導入装置を備えた1L容フラスコにイオン交換水710.5部と重合度1500のチオール変性ポリビニルアルコール(製品名:クラレMポリマー M−115、株式会社クラレ製(以下、M−115と略することがある))104.5部を加え、窒素雰囲気下において90℃で90分加熱撹拌してM−115を溶解させた。引き続き反応液を85℃に保持して2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(以下、AMPSと略することがある)44.8部を加え、0.5%過硫酸アンモニウム水溶液140.2部を5時間かけて滴下した。滴下後さらに85℃で1時間保持することで固形分重量あたりのスルホン酸基当量が1.44meq/gであるポリビニルアルコール水溶液1を得た。
製造例2
製造例1において、イオン交換水を618.4部、M−115を74.4部、AMPSを74.4部、0.5%過硫酸アンモニウム水溶液を232.8部とした以外は製造例1と同様にして固形分重量あたりのスルホン酸基当量が2.39meq/gであるポリビニルアルコール水溶液2を得た。
製造例3
製造例1において、イオン交換水を526.5部、M−115を44.5部、AMPSを103.9部、0.5%過硫酸アンモニウム水溶液を325.1部とした以外は製造例1と同様にして固形分重量あたりのスルホン酸基当量が3.34meq/gであるポリビニルアルコール水溶液3を得た。
製造例4
製造例1において、イオン交換水を756.9部、M−115を119.6部、AMPSを29.9部、0.5%過硫酸アンモニウム水溶液を93.6部とした以外は製造例1と同様にして固形分重量あたりのスルホン酸基当量が0.96meq/gであるポリビニルアルコール水溶液4を得た。
製造例5
製造例1において、イオン交換水を435.6部、M−115を14.8部、AMPSを133.1部、0.5%過硫酸アンモニウム水溶液を435.6部とした以外は製造例1と同様にして固形分重量あたりのスルホン酸基当量が4.28meq/gであるポリビニルアルコール水溶液5を得た。
製造例6
製造例1において、イオン交換水を709.8部、M−115を104.5部、AMPS44.8部の代わりにスチレンスルホン酸ナトリウム塩(以下、SSSと略することがある)を44.8部、0.5%過硫酸アンモニウム水溶液を140.9部とした以外は製造例1と同様にして固形分重量あたりのスルホン酸基当量が1.45meq/gであるポリビニルアルコールの水溶液6を得た。
製造例7
製造例1において、イオン交換水を716.3部、M−115を104.5部、AMPS44.8部の代わりに2−メタクリロイルオキシエチル−1−スルホン酸ナトリウム塩(以下、SMESと略することがある)を44.8部、0.5%過硫酸アンモニウム水溶液を134.4部とした以外は製造例1と同様にして固形分重量あたりのスルホン酸基当量が1.38meq/gであるポリビニルアルコールの水溶液7を得た。
製造例8
製造例1において、イオン交換水を664.3部、M−115を96.9部、AMPSを44.7部、スチレンを7.5部、0.5%過硫酸アンモニウム水溶液を186.6部仕込んだ以外は製造例1と同様にして固形分重量あたりのスルホン酸基当量が1.44meq/gであるポリビニルアルコール水溶液8を得た。
製造例9
製造例1において、イオン交換水を620.7部、M−115を96.8部、AMPSを44.7部、アクリロニトリルを7.4部、0.5%過硫酸アンモニウム水溶液を230.4部仕込んだ以外は製造例1と同様にして固形分重量あたりのスルホン酸基当量が1.44meq/gであるポリビニルアルコール水溶液9を得た。
製造例10
製造例1において、イオン交換水を642.3部、M−115を96.8部、AMPSを44.7部、アクリル酸の80%水溶液を9.3部、0.5%過硫酸アンモニウム水溶液を206.9部仕込んだ以外は製造例1と同様にして固形分重量あたりのスルホン酸基当量が1.44meq/gであるポリビニルアルコール水溶液10を得た。
製造例11
攪拌装置、温度計、窒素導入装置を備えた1L容フラスコにイオン交換水624.0部と重合度1700の無変性ポリビニルアルコール(製品名:クラレポバール PVA−117、株式会社クラレ製(以下、PVA117と略することがある))104.5部を加え、窒素雰囲気下において90℃で90分加熱撹拌してPVA117を溶解させた。引き続き反応液を85℃に保持してAMPS 44.8部を加え、0.02%亜硫酸水素ナトリウム水溶液78.7部および0.5%過硫酸アンモニウム水溶液148.0部を5時間かけて滴下した。滴下後さらに85℃で1時間保持することで固形分重量あたりのスルホン酸基当量が1.44meq/gであるポリビニルアルコール水溶液11を得た。
製造例12
製造例11において、PVA117 104.5部の代わり重合度1000の無変性ポリビニルアルコール(製品名:クラレポバール PVA−110、株式会社クラレ製(以下、PVA110と略することがある))104.5部を加えた以外は製造例11と同様にして固形分重量あたりのスルホン酸基当量が1.44meq/gであるポリビニルアルコール水溶液12を得た。
製造例13
製造例11において、PVA117 104.5部の代わり重合度500の無変性ポリビニルアルコール(製品名:クラレポバール PVA−105、株式会社クラレ製(以下、PVA105と略することがある))104.5部を加えた以外は製造例11と同様にして固形分重量あたりのスルホン酸基当量が1.44meq/gであるポリビニルアルコール水溶液13を得た。
製造例14
製造例1において、M−115 104.5部の代わりに重合度1800のカチオン変性ポリビニルアルコール(製品名:クラレCポリマーCM−318、株式会社クラレ製(以下、CM318と略することがある))を104.5部加えた以外は製造例1と同様にして固形分重量あたりのスルホン酸基当量が1.44meq/gであるポリビニルアルコール水溶液14を得た。
製造例15
製造例1において、M−115 104.5部の代わりに重合度1800のアニオン変性ポリビニルアルコール(製品名:クラレKポリマー KL−318、株式会社クラレ製(以下、KL318と略することがある))を104.5部加えた以外は製造例1と同様にして固形分重量あたりのスルホン酸基当量が1.44meq/gであるポリビニルアルコール水溶液15を得た。
製造例16
製造例1において、M−115 104.5部の代わりに重合度300の疎水化変性ポリビニルアルコール(製品名:クラレMPポリマー MP−203、株式会社クラレ製(以下、MP203と略することがある))を104.5部加えた以外は製造例1と同様にして固形分重量あたりのスルホン酸基当量が1.44meq/gであるポリビニルアルコール水溶液16を得た。
製造例17
製造例1において、M−115 104.5部の代わりにスルホン化変性ポリビニルアルコール(製品名:ゴーセラン(登録商標) L−3266、日本合成化学工業株式会社製)を104.5部加えた以外は製造例1と同様にして固形分重量あたりのスルホン酸基当量が1.77meq/gであるポリビニルアルコール水溶液17を得た。
<ポリビニルアルコール類の構造を有しないスルホン酸ポリマーの製造例>
比較例用製造例1
攪拌装置、温度計、窒素導入装置を備えた1L容フラスコに、イオン交換水を840.0部、AMPSを150.0部加えて撹拌し、AMPSが溶解した後に窒素雰囲気下で75℃に昇温して10%過硫酸アンモニウム水溶液10.0部を加え、85℃で3時間保持した。得られたポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)の水溶液を比較例用スルホン酸ポリマー水溶液とした。
<スルホン酸基を有しないポリビニルアルコールの水溶液の製造例>
比較例用製造例2
攪拌装置、温度計、窒素導入装置を備えた1L容フラスコにイオン交換水900.0部とM−115を100.0部加え、窒素雰囲気下において90℃で90分加熱撹拌して比較例用ポリビニルアルコール水溶液1を得た。
比較例用製造例3
攪拌装置、温度計、窒素導入装置を備えた1L容フラスコにイオン交換水900.0部とPVA117を100.0部加え、窒素雰囲気下において90℃で90分加熱撹拌して比較例用ポリビニルアルコール水溶液2を得た。
<ポリビニルアルコール類に少なくともスルホン酸基含有モノマーを含む1種以上のモノマーをグラフト重合することなく、スルホン酸基を有するポリビニルアルコールの水溶液の製造例>
比較例用製造例4
攪拌装置、温度計、窒素導入装置を備えた1L容フラスコにイオン交換水880.0部とスルホン化変性ポリビニルアルコール(製品名:ゴーセラン(登録商標) L−3266、日本合成化学工業株式会社製)を120.0部加え、窒素雰囲気下において90℃で90分加熱撹拌して比較例用ポリビニルアルコール水溶液3を得た。
実施例1
撹拌装置、温度計を備えた1L容フラスコにポリビニルアルコール水溶液1を152.7部(スルホン酸基当量33.0meq)、イオン交換水を543.2部仕込み、さらにアニリンを3.1部(33.3mmol)添加し、氷水浴中で撹拌し約5℃に冷却した。この混合液に3%過硫酸アンモニウム水溶液301.1部(過硫酸アンモニウム分39.6mmol)を1時間かけて滴下した。滴下後さらに温度を5℃に保ったまま6時間撹拌し、濃緑色のエマルションを得た。
実施例2
実施例1においてポリビニルアルコール水溶液1の代わりにポリビニルアルコール水溶液2を124.3部(スルホン酸基当量44.6meq)使用し、イオン交換水を406.9部、アニリンを4.2部(45.1mmol)、3%過硫酸アンモニウム水溶液を406.9部(過硫酸アンモニウム分53.5mmol)使用した以外は実施例1と同様にして、濃緑色のエマルションを得た。
実施例3
実施例1においてポリビニルアルコール水溶液1の代わりにポリビニルアルコール水溶液3を104.9部(スルホン酸基当量52.6meq)使用し、イオン交換水を410.6部、アニリンを4.9部(52.6mmol)、3%過硫酸アンモニウム水溶液を479.6部(過硫酸アンモニウム分63.0mmol)使用した以外は実施例1と同様にして、濃緑色のエマルションを得た。
実施例4
実施例1においてポリビニルアルコール水溶液1の代わりにポリビニルアルコール水溶液4を172.6部(スルホン酸基当量24.9meq)使用し、イオン交換水を598.3部、アニリンを2.3部(24.7mmol)、3%過硫酸アンモニウム水溶液を226.8部(過硫酸アンモニウム分29.8mmol)使用した以外は実施例1と同様にして、濃緑色のエマルションを得た。
実施例5
実施例1においてポリビニルアルコール水溶液1の代わりにポリビニルアルコール水溶液5を90.8部(スルホン酸基当量58.3meq)使用し、イオン交換水を371.6部、アニリンを5.4部(58.0mmol)、3%過硫酸アンモニウム水溶液を532.1部(過硫酸アンモニウム分70.0mmol)使用した以外は実施例1と同様にして、濃緑色のエマルションを得た。
実施例6
撹拌装置、温度計を備えた1L容フラスコにポリビニルアルコール水溶液6を147.2部(スルホン酸基当量32.0meq)、イオン交換水を545.8部、10%塩酸水溶液を11.7部(32.1mmol)仕込み、さらにアニリンを3.0部(32.2mmol)添加し、氷水浴中で撹拌し約5℃に冷却した。この混合液に3%過硫酸アンモニウム水溶液292.3部(過硫酸アンモニウム分38.4mmol)を1時間かけて滴下した。滴下後さらに温度を5℃に保ったまま6時間撹拌し、濃緑色のエマルションを得た。
実施例7
実施例6において、ポリビニルアルコール水溶液6の代わりにポリビニルアルコール水溶液7を149.9部(スルホン酸基当量31.0meq)使用し、イオン交換水を552.6部、10%塩酸水溶液を11.3部(31.0mmol)、アニリンを2.9部(31.1mmol)、3%過硫酸アンモニウム水溶液を283.3部(過硫酸アンモニウム分37.2mmol)使用した以外は実施例6と同様にして、濃緑色のエマルションを得た。
実施例8〜17
実施例1においてポリビニルアルコール水溶液1の代わりにそれぞれポリビニルアルコール水溶液8〜17を152.7部(スルホン酸基当量33.0meq)使用した以外は実施例1と同様にして、それぞれ濃緑色のエマルションを得た。
実施例18
撹拌装置、温度計を備えた1L容フラスコにポリビニルアルコール水溶液1を208.1部(スルホン酸基当量44.9meq)、イオン交換水を545.3部、0.1%硫酸第二鉄水溶液を13.5部仕込み、さらにチオフェンを3.8部(45.2mmol)添加し、氷水浴中で撹拌し約5℃に冷却した。この混合液に1%過酸化水素水229.3部(過酸化水素分67.4mmol)を1時間かけて滴下した。滴下後さらに温度を5℃に保ったまま6時間撹拌し、淡黄色のエマルションを得た。
実施例19
実施例1においてポリビニルアルコール水溶液1を156.5部(スルホン酸基当量33.8meq)、イオン交換水を532.6部仕込み、アニリン3.1部の代わりにピロールを2.3部(33.8mmol)、3%過硫酸アンモニウム水溶液を308.6部(過硫酸アンモニウム分40.6mmol)使用した以外は実施例1と同様にして、黒青色のエマルションを得た。
実施例20
実施例1においてポリビニルアルコール水溶液1を142.0部(スルホン酸基当量30.7meq)、イオン交換水を572.8部仕込み、アニリン3.1部の代わりに2−アミノベンゼンスルホン酸を5.3部(30.6mmol)、3%過硫酸アンモニウム水溶液を279.9部(過硫酸アンモニウム分36.8mmol)使用した以外は実施例1と同様にして、赤褐色のエマルションを得た。
実施例21
実施例1においてポリビニルアルコール水溶液1を150.7部(スルホン酸基当量32.6meq)、イオン交換水を548.7部仕込み、アニリン3.1部の代わりにN−メチルアニリンを3.5部(32.7mmol)、3%過硫酸アンモニウム水溶液を297.1部(過硫酸アンモニウム分39.1mmol)使用した以外は実施例1と同様にして、濃緑色のエマルションを得た。
実施例22
実施例1においてポリビニルアルコール水溶液1を152.0部(スルホン酸基当量32.8meq)、イオン交換水を545.2部仕込み、アニリン3.1部の代わりに3−メチルチオフェンを3.2部(32.6mmol)、3%過硫酸アンモニウム水溶液を299.6部(過硫酸アンモニウム分39.4mmol)使用した以外は実施例1と同様にして、淡黄色のエマルションを得た。
実施例23
実施例1においてポリビニルアルコール水溶液1を145.9部(スルホン酸基当量31.5meq)、イオン交換水を561.8部仕込み、アニリン3.1部の代わりに3,4−エチレンジオキシチオフェンを4.5部(31.7mmol)、3%過硫酸アンモニウム水溶液を287.8部(過硫酸アンモニウム分37.8mmol)使用した以外は実施例1と同様にして、黒青色のエマルションを得た。
実施例24
撹拌装置を備えた1L容フラスコに実施例1で得られたエマルションを990.0部、変性ポリアミド樹脂系耐水化剤(製品名:耐水化剤SI6400(星光PMC株式会社製))10.0部を仕込み、均一になるまで撹拌して、濃緑色のエマルションを得た。
比較例1
撹拌装置を備えた1L容フラスコにポリビニルアルコール水溶液1を152.7部(スルホン酸基当量33.0meq)、イオン交換水832.3部、10%塩酸12.0部(33.0mmol)を仕込み、ポリアニリン粉末(Aldrich製)3.0部(アニリンユニット32.6mmol相当)を加えて激しく撹拌し、さらに超音波発生装置にて室温で6時間超音波を照射して分散させ、濃緑色のエマルションを得た。
比較例2
撹拌装置、温度計を備えた1L容フラスコに比較例用ポリビニルアルコール水溶液1を159.0部、イオン交換水を534.0部、10%塩酸11.7部(32.1mmol)を仕込み、さらにアニリンを3.0部(32.2mmol)添加し、氷水浴中で撹拌し約5℃に冷却した。この反応液に3%過硫酸アンモニウム水溶液292.3部(過硫酸アンモニウム分38.4mmol)を1時間かけて滴下した。滴下後さらに温度を5℃に保ったまま6時間撹拌し、濃緑色のエマルションを得た。
比較例3
撹拌装置、温度計を備えた1L容フラスコに比較例用ポリビニルアルコール水溶液1を159.0部、イオン交換水を500.4部仕込み、さらにアニリンを3.0部(32.2mmol)添加し、氷水浴中で撹拌し約5℃に冷却した。この反応液に3%過硫酸アンモニウム水溶液292.3部(過硫酸アンモニウム分38.4mmol)を1時間かけて滴下した。滴下後さらに温度を5℃に保ったまま6時間撹拌した。その後、比較例用スルホン酸ポリマー水溶液を45.3部(スルホン酸基当量32.8meq)添加して混合し、濃緑色のエマルションを得た。
比較例4
撹拌装置、温度計を備えた1L容フラスコに比較例用スルホン酸ポリマー水溶液を45.3部(スルホン酸基当量32.8meq)、イオン交換水を659.4部仕込み、さらにアニリンを3.0部(32.2mmol)添加し、氷水浴中で撹拌し約5℃に冷却した。この反応液に3%過硫酸アンモニウム水溶液292.3部(過硫酸アンモニウム分38.4mmol)を1時間かけて滴下した。滴下後さらに温度を5℃に保ったまま6時間撹拌し、濃緑色のエマルションを得た。
比較例5
撹拌装置、温度計を備えた1L容フラスコに比較例用スルホン酸ポリマー水溶液を45.3部(スルホン酸基当量32.8meq)、イオン交換水を500.4部仕込み、さらにアニリンを3.0部(32.2mmol)添加し、氷水浴中で撹拌し約5℃に冷却した。この反応液に3%過硫酸アンモニウム水溶液292.3部(過硫酸アンモニウム分38.4mmol)を1時間かけて滴下した。滴下後さらに温度を5℃に保ったまま6時間撹拌した。その後、比較例用ポリビニルアルコール水溶液1を159.0部添加して混合し、濃緑色のエマルションを得た。
比較例6
撹拌装置、温度計を備えた1L容フラスコに比較例用スルホン酸ポリマー水溶液を45.3部(スルホン酸基当量32.8meq)、比較例用ポリビニルアルコール水溶液2を159.0部、イオン交換水を500.4部仕込み、さらにアニリンを3.0部(32.2mmol)添加し、氷水浴中で撹拌し約5℃に冷却した。この反応液に3%過硫酸アンモニウム水溶液292.3部(過硫酸アンモニウム分38.4mmol)を1時間かけて滴下した。滴下後さらに温度を5℃に保ったまま6時間撹拌し、濃緑色のエマルションを得た。
比較例7
撹拌装置、温度計を備えた1L容フラスコに比較例用スルホン酸ポリマー水溶液を45.3部(スルホン酸基当量32.8meq)、比較例用ポリビニルアルコール水溶液2を159.0部、イオン交換水を500.7部仕込み、さらにチオフェンを2.7部(32.1mmol)添加し、氷水浴中で撹拌し約5℃に冷却した。この反応液に3%過硫酸アンモニウム水溶液292.3部(過硫酸アンモニウム分38.4mmol)を1時間かけて滴下した。滴下後さらに温度を5℃に保ったまま6時間撹拌し、淡黄色のエマルションを得た。
比較例8
撹拌装置を備えた1L容フラスコに比較例用スルホン酸ポリマー水溶液を45.3部(スルホン酸基当量32.8meq)、比較例用ポリビニルアルコール水溶液2を159.0部、イオン交換水792.7部を仕込み、ポリアニリン粉末(Aldrich製)3.0部(アニリンユニット32.6mmol相当)を加えて激しく撹拌し、さらに超音波発生装置にて室温で6時間超音波を照射して分散させ、濃緑色のエマルションを得た。
比較例9
撹拌装置を備えた1L容フラスコに比較例用ポリビニルアルコール水溶液3を711.9部(スルホン酸基当量40.2meq)、10%塩酸水溶液を14.8部(40.6mmol)、イオン交換水を269.6部仕込み、ポリアニリン粉末(Aldrich製)を3.7部(アニリンユニット40.2mmol相当)を加えて激しく撹拌し、さらに超音波発生装置にて室温で6時間超音波を照射して分散させ、濃緑色のエマルションを得た。
比較例10
撹拌装置、温度計を備えた1L容フラスコに比較例用ポリビニルアルコール水溶液3を711.9部(スルホン酸基当量40.2meq)、10%塩酸水溶液を14.8部(40.6mmol)仕込み、さらにアニリンを3.7部(39.7mmol)添加し、氷水浴中で撹拌し約5℃に冷却した。この混合液に4.1%過硫酸アンモニウム水溶液269.4部(過硫酸アンモニウム分48.4mmol)を1時間かけて滴下した。滴下後さらに温度を5℃に保ったまま6時間撹拌し、濃緑色のエマルションを得た。
比較例11
撹拌装置、温度計を備えた1L容フラスコに18%ポリスチレンスルホン酸水溶液(Aldrich製)を33.2部(スルホン酸基当量32.4meq)、イオン交換水を671.5部仕込み、さらにアニリンを3.0部(32.2mmol)添加し、氷水浴中で撹拌し約5℃に冷却した。この反応液に3%過硫酸アンモニウム水溶液292.3部(過硫酸アンモニウム分38.4mmol)を1時間かけて滴下した。滴下後さらに温度を5℃に保ったまま6時間撹拌し、濃緑色のエマルションを得た。
比較例12
撹拌装置、温度計を備えた1L容フラスコに比較例用ポリビニルアルコール水溶液1を159.0部、イオン交換水を540.3部仕込み、さらに2−アミノベンゼンスルホン酸を5.6部(32.3mmol)添加し、氷水浴中で撹拌し約5℃に冷却した。この反応液に3%過硫酸アンモニウム水溶液295.1部(過硫酸アンモニウム分38.8mmol)を1時間かけて滴下した。滴下後さらに温度を5℃に保ったまま6時間撹拌し、赤褐色のエマルションを得た。
比較例13
撹拌装置を備えた1L容フラスコにポリビニルアルコール水溶液1を152.7部(スルホン酸基当量33.0meq)、イオン交換水847.3部仕込み、撹拌して無色透明の水溶液を得た。
比較例14
撹拌装置、温度計を備えた1L容フラスコにポリビニルアルコール水溶液1を206.0部(スルホン酸基当量44.8meq)、イオン交換水を789.9部仕込み、さらにアニリンを4.1部(44.0mmol)添加し、室温で撹拌した。この混合液中に2本のステンレススチール製電極を2cm離して設置し、直流電源により6Vの電位を4時間与え、アニリンの電解重合を行った。その間、電流密度は10mA・cm−2であった。陽極上に沈積した濃緑色フィルムを除去し、室温で減圧乾燥後乳鉢ですりつぶして濃緑色の粉末を得た。得られた粉末1.0部にイオン交換水28.3部を加えて激しく攪拌し、さらに90℃に加熱しながら超音波発生装置にて6時間超音波を照射して分散させ、濃緑色のエマルションを得た。
エマルションの安定性の評価
実施例1〜24及び比較例1〜14で得られたエマルションを25℃で5日間放置後の安定性を以下の基準で三段階評価した。評価結果を表1に示す。
○:エマルションの凝集、沈殿がない、△:エマルションの凝集、沈殿が認められるが攪拌することで分散可能、×: エマルションの凝集、沈殿が認められ、攪拌によっても分散不可能な沈殿が大量に認められる。
導電性の測定方法
実施例1〜24及び比較例1〜14で得られたエマルションをコロナ放電処理済PETフィルムにNo.8のバーで塗工し、熱風乾燥器にて110℃で2分間加熱乾燥した。表面抵抗率の測定結果を表1に示す。なお、表面抵抗率の測定は東亜電波工業株式会社製SM−10E型 極超絶縁計を用い、10Ω/□未満の抵抗値を示したサンプルは株式会社ダイアインスツルメンツ製抵抗率計ロレスタGP MCP−T610を用いて行った。
乾燥皮膜の密着性の評価
前記の導電性の測定に用いたPETフィルムへの塗工膜について、その乾燥皮膜表面に粘着テープ(商品名:セロテープ(登録商標)(ニチバン株式会社))を接着し、はがしたときの膜のはがれ方を以下の基準で三段階評価した。評価結果を表1に示す。
○:剥離が認められない、△:剥離が認められる、×:簡単に剥離する
乾燥皮膜の強度の評価
前記の導電性の測定に用いたPETフィルムへの塗工膜について、その乾燥皮膜表面に対し、三菱uni(登録商標)鉛筆(鉛筆硬度6H〜6B)を使用して200gの荷重で擦過したときの、塗膜が剥がれない最も硬い鉛筆硬度を評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 0005050360
Figure 0005050360
表2中の略号の説明
注:比較例4はPETフィルムに対する塗工液の水弾きが強すぎ、均一な塗工膜が得られなかったため、皮膜の評価が行えなかった。
以上より、本発明により得られる水性導電性樹脂エマルションは、それにより得られる皮膜に高い導電性と強度、密着性を同時に付与することが可能であることが示された。

Claims (6)

  1. ポリビニルアルコール類に少なくともスルホン酸基含有モノマーを含む1種以上のモノマーをグラフト重合することにより得られるスルホン酸基を有するポリビニルアルコールの存在下において、ヘテロ原子を有する芳香族モノマーを化学酸化重合法を用いて重合させて得られる水性導電性樹脂エマルション。
  2. ポリビニルアルコール類がポリビニルアルコール及び/又はカチオン性基、アニオン性基、疎水基およびチオール基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1に記載の水性導電性樹脂エマルション。
  3. ヘテロ原子を有する芳香族モノマーが窒素原子または硫黄原子を含む芳香族モノマーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の水性導電性樹脂エマルション。
  4. 窒素原子または硫黄原子を含む芳香族モノマーがアニリン類、チオフェン類、ピロール類から選ばれる少なくとも1種の芳香族モノマーであることを特徴とする請求項3に記載の水性導電性樹脂エマルション。
  5. スルホン酸基を有するポリビニルアルコールの固形分に対するスルホン酸基当量が1.0meq/g以上4.0meq/g以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の水性導電性樹脂エマルション。
  6. ポリビニルアルコール類の重合度が1000以上10000以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の水性導電性樹脂組成物エマルション。
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