JP5049485B2 - 粘着剤組成物及び粘着シート - Google Patents

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本発明は、粘着剤層中に熱膨張性微小球を含有する粘着剤組成物を用い、所定の温度以上に加熱した場合に粘着性が低下又は消滅する粘着剤組成物及び粘着シートに関し、特に、加熱した場合に被着体に糊残り等による汚染や被着面全体における部分的な付着を生ずることなく均一に剥離可能である粘着剤組成物及びこれを用いた粘着シートに関するものである。
適度な粘着力で被着体に貼り付けることができるとともに、使用目的を終え不要となった後には簡単に剥離することのできる再剥離性粘着シートは、例えば、封筒や精密機械収納用ケース等のシール部分、壁紙、ラベル、車のバンパーや電線等の取り付け、フレキシブルプリント基板(FPC)製造工程における裏打用シートやメッキ工程でのマスク材、並びに半導体ウェハの切断工程、及び積層セラミックコンデンサーの小片化加工工程における仮止めシート等として、電気・電子業界において広く用いられている。このような再剥離性シートとしては、基材上に熱膨張性微小球を含有する粘着剤層を設けた粘着シート(例えば、特許文献1〜4参照)等が提案され、用いられている。
特許文献1〜4において開示されたタイプの粘着シートは、加熱した場合に被着体と粘着剤層との界面に凹凸を発生させることにより被着体との接触面積が小さくなり、粘着力が低下するものである。従って、他のタイプの粘着シートに比べて、被着体を容易に剥離させることができる。また、再剥離性粘着シートのなかでも、初期剥離力を高くすることができる。従って、被着体を加工する際に、強い力が加わる工程、例えば、積層セラミックコンデンサーの小片化加工工程や処理液等に浸漬させるような工程、例えばメッキ工程等、各種工程で用いられている。
しかしながら、加熱して被着体と粘着剤層との界面に凹凸を発生させ、被着体との接触面積を小さくして被着体を剥離する際に、粘着剤表層の凹凸高さおよび密度合いを均一にコントロールすることは難しく、凸部が少なく凹部が多く存在する部分あるいは、凸部の高さが不均一である部分において接触面積の低下が不足し部分的な付着を引き起こす場合があり、このことにより被着面全体における均一な剥離を妨げたり、また糊残りによる汚染を生じ、作業効率や加工精度の低下を引き起こすという問題があった。この問題は特に、初期剥離力を高く設定した場合や、被着体が微小化した場合に見られるものであった。
特開平11−302614号公報 特開2000−351947号公報 特開2002−69422号公報 特開2003−160765号公報
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、被着体との密着性に優れ、かつ、加工完了後は、被着体に糊残り等による汚染や被着面全体における部分的な付着を生ずることなく均一に剥離可能な粘着剤組成物及びこれを用いた粘着シートを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、熱膨張性微小球と粘着剤とを含有する粘着剤組成物からなる粘着剤層を基材上に設けた粘着シートの熱膨張性微小球を膨張させる前の粘着剤層の面積と熱膨張性微小球を膨張させた後の粘着剤層の特定領域の面積との比、及び熱膨張性微小球を膨張させた後の粘着剤層表面の凹凸の高低差を特定の範囲に調整することにより、被着体から剥離する際、被着体に糊残り等による汚染や被着面全体における部分的な付着を生ずることなく均一に剥離可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の粘着剤組成物及びこれを用いた粘着シートを提供するものである。
[1]下記物性測定試験により測定される粘着剤層の物性が、次の式(1)
H1−H3≦100μm …(1)
及び式(2)
H1−H2/S=0.4〜10 …(2)
を同時に満足することを特徴とする熱膨張性微小球及び粘着剤を含み、前記熱膨張性微小球は、2種以上の組み合わせからなり、前記2種以上の組み合わせは、(I)ガス(内包される物質)が異なる組み合わせ、(II)質量平均粒径が異なる組み合わせ、(III)殻を構成する材質が異なる組み合わせ、(IV)殻の厚さが異なる組み合わせ、(V)前記(I)〜前記(IV)のうちの2つ以上を満たす組み合わせ、のうちのいずれかを満たす粘着剤組成物。
[物性測定試験]
厚さ100μmの透明なポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に粘着剤と熱膨張性微小球を含有する粘着剤組成物からなる粘着剤層を設けた粘着シートを作成し、該粘着剤層表面の面積(S)を測定する。
次いで、該粘着シートを該粘着剤層に含有される熱膨張性微小球の膨張温度の+20〜60℃の温度で1分間加熱し、該S上に形成された粘着剤層表面の凹凸の最高点をH1、最高点から20μm低い位置をH2、最低点をH3を測定し、また、該H1からH2の範囲における表面積(SH1−H2)の値を求めた。
[2]平均粒径が5〜50μmであり、かつ、レーザー回折散乱法による粒度分布の標準偏差が5.0μm以下の熱膨張性微小球を含む前記[1]に記載の粘着剤組成物。
[3]粘着剤100質量部に対して、前記熱膨張性微小球を10〜75質量部含むものである前記[1]又は[2]に記載の粘着剤組成物。
[4]前記粘着剤が、架橋剤と反応し得る活性基をその分子構造中に有するアクリル系粘着剤である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の粘着剤組成物。
[5]少なくとも一方の表面が被着体との接触面である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の粘着剤組成物。
[6]基材上に前記[1]〜[5]のいずれかに記載の粘着剤組成物による粘着剤層を形成したことを特徴とする粘着シート。
本発明の粘着剤組成物から形成した粘着剤層又はこれを基材上に設けた粘着シートは、被着体との密着性に優れ、しかも、所定の温度以上に加熱した場合に、粘着剤層に含有された熱膨張性微小球により表面状態が均一に発泡し、粘着性が低下又は消滅する。これにより、被着体を貼付後、加工完了等、不必要になった時には、被着体から糊残り等による汚染や被着面全体における部分的な付着を生ずることなく均一に剥離可能となり、加工性、生産性等が向上するものである。
以下、本発明の実施の最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
本発明の粘着剤の一実施形態は、以下の通りである。
[1]粘着剤組成物
本発明の粘着剤組成物は、少なくとも熱膨張性微小球と粘着剤を含有するものであって、この粘着剤組成物を用いた粘着剤層の物性が下記物性測定試験により測定され、次の式(1)及び式(2)を満足するものである。
H1−H3≦100μm …(1)
及び
H1-H2/S0=0.4〜10 …(2)
[物性測定試験]
厚さ100μmの透明なポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に粘着剤と熱膨張性微小球を含有する粘着剤組成物からなる粘着剤層を設けた粘着シートを作成し、粘着剤層表面の面積(S0)を測定する。
次いで、該粘着シートを該粘着剤層に含有される熱膨張性微小球の膨張温度の+20〜60℃の温度で加熱し、該S0上に形成された粘着剤層表面の凹凸の最高点をH1、最高点から20μm低い位置をH2、最低点をH3を測定し、また、該H1からH2の範囲における表面積(SH1-H2)の値を求めた。
ここで、各物性の測定は、どのような方法を用いてもよいが、例えば3次元形状測定顕微鏡を用いて測定することができる。3次元形状測定顕微鏡を用いた具体的な測定方法は次のとおりである。
粘着剤表面凹凸の高低差は、観察面積S0上に形成された粘着剤表層凹凸の最高点H1および最低点H3の間の高さH1−H3を測定する。次に粘着剤表面凹凸の密度合いは、観察面積S0上に形成された粘着剤表層凹凸の最高点H1から20μm低い位置のH2の範囲における表面積SH1-H2を測定し、SH1-H2をS0で割った値を求め、凹凸密度合いを求める。
なお、前記物性測定試験において、H2を最高点H1から20μm低い位置とする理由は、20μmよりも低い位置を選択すると、粘着剤組成物に関係なく表面積が著しく増加し、前記パラメータである式(2)の数値に差異が出にくくなり、一方、20μmよりも高い位置の場合、粒径の大きな熱膨張性微小球の影響を受けやすくなるため、前記パラメータの信頼性が低くなるからである。また、H1から20μm低い位置がH3より低い場合は、H3をH2とする。
前記式(1)の値が100μmを超えると、精密加工、例えば細かいパターンのプリント回路形成後の打ち抜きや、MLCCのダイシング加工後に被着体から剥離する際、被着体が粘着剤層からズレたり、揺れ動くことがあり搬送工程中で被着体に傷や破損等が発生する場合があるので好ましくない。均一な剥離性と生産性の面から、式(1)の値は好ましくは80μ以下、特に好ましくは60μm以下である。
前記式(2)の値が、0.4未満になると、凸部がまばら、あるいは凹部が多数存在する状態となり、十分な接触面積の低下が得られないため、剥離性が不均一となる。また値が10を超えると、粘着剤が凝集破壊され易くなり、その結果、被着体に糊残りが発生するので好ましくない。均一な剥離性及び糊残り発生防止の面から、好ましい式(2)の値は0.5〜5.0、より好ましくは0.5〜3.0の範囲である。
本発明の粘着剤組成物は、(a)熱膨張性微小球、(b)粘着剤、所望により用いられる(c)架橋剤、及び(d)粘着付与樹脂等の成分が含有され、これら各成分の種類及び/又は含有割合を適宜調整することにより、前記式(1)及び(2)を同時に満足するように調製されるものである。
(a)熱膨張性微小球としては、加熱により容易にガス化して膨張する物質を、弾性を有する殻内に内包させた微小球を好適例として挙げることができる。加熱により容易にガス化して膨張する物質としては、例えばイソブタン、プロパン、ペンタン等を挙げることができる。また、殻は、熱溶融性物質や熱膨張により破壊する物質等で形成されたものを好適例として挙げることができる。殻を形成する物質としては、例えば、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホン等を挙げることができる。熱膨張性微小球の市販品としては、例えば「マイクロスフェア」(商品名、松本油脂製薬社製)等を挙げることができる。
熱膨張性微小球は、粘着シートの使用温度を考慮して、そのガス化温度(熱膨張温度)が好適なものを適宜選択すればよい。具体的には、その熱膨張温度が、粘着シートに貼付される被着体の切断加工、小片化加工等の際の加工温度よりも、25℃以上であるものを用いることが好ましい。なお、本明細中にいう「熱膨張温度」とは、TMA測定における熱膨張開始温度のことをいう。また、熱膨張性微小球の体積膨張率は、5倍以上であることが好ましく、7倍以上であることが更に好ましく、10倍以上であることが特に好ましい。熱膨張性微小球の体積膨張率が前記数値以上であると、加熱処理することによって粘着層の粘着力を効率よく低下させることができる。なお、熱膨張性微小球の殻は、前記体積膨張率となるまで膨張した場合であっても破裂しない、適度な強度を有するものであることが好ましい。熱膨張性微小球の大きさは、粘着シートの用途により適宜選択すればよい。具体的には、質量平均粒径で5〜50μmであることが好ましい。
また、熱膨張性微小球は、その粒度分布を調整してから使用することが好ましい。粒度分布の調整は、使用する熱膨張性微小球に含まれる比較的大きな粒径のものを、遠心力型風力分級機、乾式分級機、篩過機等で分級して除去すればよい。平均粒径に比して大きな粒径粒子を除去し、粒度分布をシャープにすることにより、形成される粘着剤層の表面の平滑性を向上させ、加熱した場合の表面形状を均一にすることができる。具体的には、熱膨張性微小球の粒度分布の標準偏差が5.0μm以下にすることが望ましく、好ましくは4.5μm以下、更には4.0μm以下にすることが好ましい。標準偏差が5.0μmよりも大きくなると、加熱膨張後の粘着剤表層の高低差が大きくなり、また、それに伴い凹凸の密度合いが不均一な表面形状を形成することになる。その結果、前記式(1)及び式(2)の値を同時に満足することができなくなり、その結果、均一な剥離を得ることができなくなる。
また、熱膨張性微小球を分級することにより、形成される粘着剤層の厚さを調整し易くなる。例えば、粘着剤層の厚さを20μm程度にする場合、質量平均粒径が8μm程度の熱膨張性微小球を使用することの他、質量平均粒径が15μm程度のものから、大粒径(例えば、粒径が20μm以上)のものを分級して除去した熱膨張性微小球を使用することができる。このように熱膨張性微小球を分級する方法によれば、これまで使用していた熱膨張性微小球をそのまま使用することができる。従って、膨張特性、挙動等を新たに把握する必要がなく、開発時間を短縮し、開発効率を向上させることができる。
熱膨張性微小球の配合割合は、加熱後の粘着剤層表面の凹凸を十分に形成できるよう適宜選選択すればよく、通常、(b)粘着剤100質量部に対して10〜75質量部の範囲である。
熱膨張性微小球の配合割合が10質量部未満であると、加熱処理後の粘着剤表層の凸部が少なくなり剥離し難くなる傾向にあり、また、75質量部を超えると熱膨張性微小球を膨張する前から粘着剤層表面に凹凸が形成されてしまうため、加熱処理前の被着体との密着性が低下する傾向にあるので好ましくない。熱膨張性微小球を膨張させる前の被着体との密着性及び膨張後の被着体との剥離性の面から好ましい配合割合は15〜65質量部、より好ましくは18〜60質量部である。
また、式(2)の熱膨張後の表面凹凸の密度の面から、熱膨張性微小球の配合割合を粘着剤100質量部に対し、25質量部以上とするのが好ましい。
この熱膨張性微小球は単独で用いてもよいが、二種以上を組み合わせて用いることもできる。二種以上の組み合わせとしては、(1)ガス(内包される物質)が異なる組み合わせ、(2)質量平均粒径が異なる組み合わせ、(3)殻を構成する材質が異なる組み合わせ、(4)殻の厚さが異なる組み合わせ、(5)(1)〜(4)の組み合わせ、を挙げることができる。ここで、二種以上の熱膨張性微小球を組み合わせると、粘着剤層の萎みを抑制することが可能となるために好ましい。具体的には、第一の熱膨張性微小球と、この第一の熱膨張性微小球に比してその質量平均粒径が大きい第二の熱膨張性微小球を組み合わせて使用することが更に好ましい。
一般に、粘着シートの剥離に要する時間は、配合される熱膨張性微小球の種類によって定まる。例えば、熱膨張性微小球が、120℃、30分間で膨張のピークに到達する場合、剥離に際しての加熱条件は、通常、120℃、30分となる。但し、作業工程やスケジュール等により、加熱時間が30分を超える場合がある。加熱時間が30分を超えると、膨張した粘着剤層が萎んでくる。例えば、120℃、30分間加熱した場合、粘着剤層の膨張倍率は約3倍であるのに対し、120℃、90分間加熱した場合、粘着剤層の膨張倍率は約1.5倍である。粘着剤層の萎みは、被着体と粘着剤層との再密着性の原因となり、被着体が粘着シートから容易に剥離できなくなる場合がある。
(b)粘着剤としては、従来から熱膨張性微小球を含有させた粘着剤層を形成する際に用いられている粘着剤の中から適宜選択すればよいが、熱膨張性微小球を膨張させたときの粘着剤層表面に形成される凹凸形状や初期粘着力、再剥離性の面からアクリル系粘着剤を用いるのが好ましい。アクリル系粘着剤を用いる場合でも、前記式(1)及び式(2)の物性を同時に満足するよう調整できるものであれば、特に制限はない。但し、その酸価が30以上のアクリル系粘着剤を用いることが好ましい。アクリル系粘着剤の酸価を30以上とすることにより、架橋剤を用いて架橋した場合に十分な架橋密度とすることができる。また、架橋剤と反応しなかった未反応の官能基が基材と反応し易くなるため、基材と粘着剤層との密着性が向上するために好ましい。なお、未反応の官能基は、被着体とも反応し易くなる。従って、高温条件下においても被着体との密着性が十分に発揮されるとともに、熱膨張性微小球の膨張後においては、基材と粘着剤層との密着性が向上する。
基材や被着体との密着性向上の観点からは、アクリル系粘着剤の酸価は、40〜50であることが更に好ましい。なお、本明細書にいう「酸価」とは、試料(アクリル系粘着剤)1g中に含まれる遊離脂肪酸や樹脂酸を中和するのに要する水酸化カリウムの量(mg)をいい、JIS K 0070に準拠して測定され、下記式(3)から中和滴定法により算出することができる。
酸価A=B×F×5.611/S …(3)
〔B:測定に用いた0.1ml/l水酸化カリウムのエタノール溶液の量、F:0.1モル/l水酸化カリウムのエタノール溶液のファクター、S:試料の質量(g)、5.611:水酸化カリウムの式量(56.11×1/10)〕
アクリル系粘着剤の重量平均分子量は、1万〜200万であることが好ましく、10万〜150万であることが更に好ましく、20万〜100万であることが特に好ましい。アクリル系粘着剤の重量平均分子量が上記範囲内であると、高精度の加工を行なうのに十分な剥離力を有し、かつ被着体への粘着剤層の付着もなく、加工後の剥離性も良好である。
アクリル系粘着剤は、架橋剤と反応し得るものであるものが好ましい。このアクリル系粘着剤には、アクリル酸アルキルエステル及び/又はメタクリル酸アルキルエステルと、架橋剤と反応し得る官能基を有する単量体との共重合体が包含される。アクリル酸アルキルエステル、及びメタクリル酸アルキルエステルの「アルキルエステル」としては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、イソオクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、ペンタデシルエステル、オクタデシルエステル、ノナデシルエステル、エイコシルエステル等を挙げることができる。架橋剤と反応し得る官能基としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基を挙げることができる。
架橋剤と反応し得る官能基がカルボキシル基である単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等を挙げることができる。また、官能基がヒドロキシル基である単量体としては、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ヒドロキシヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシヘキシル、アクリル酸ヒドロキシオクチル、メタクリル酸ヒドロキシオクチル、アクリル酸ヒドロキシデシル、メタクリル酸ヒドロキシデシル、アクリル酸ヒドロキシラウリル、メタクリル酸ヒドロキシラウリル等を挙げることができる。
架橋剤と反応し得る官能基を有する単量体は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、架橋剤と反応し得る官能基を有する単量体との比は、質量比で、92:8〜98:2の範囲であることが好ましい。この範囲よりも、架橋剤と反応し得る官能基を有する単量体の配合比が少ないと、熱膨張性微小球が膨張した場合に、被着体と粘着剤層との剥離性が損なわれる傾向にある。一方、この範囲よりも、架橋剤と反応し得る官能基を有する単量体の配合比が多いと、被着体と粘着剤層との粘着力が乏しくなる傾向にある。被着体と粘着剤層との粘着性及び剥離性を向上させるという観点からは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、架橋剤と反応し得る官能基を有する単量体との比は、質量比で、95:5〜93:7であることが更に好ましい。
なお、所望により、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、及び架橋剤と反応し得る官能基を有する単量体以外のその他の単量体を併用することもできる。その他の単量体としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアミド、ポリエチレングリコールアクリレート、N−ビニルピロリドン、テトラフルフリルアクリレート等を挙げることができる。
アクリル系粘着剤は、単量体成分をラジカル共重合させることによって得ることができる。この場合の共重合法は従来公知であり、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、光重合法等を挙げることができる。また、アクリル系粘着剤のガラス転移温度は、−50〜−20℃であることが好ましい。ガラス転移温度が−20℃超であると、被着体と粘着剤層との粘着力が低下する傾向にある。一方、ガラス転移温度が−50℃未満であると、加熱処理後の剥離時に糊残りを生じ易くなり、剥離性が良好になり難くなる傾向にある。被着体と粘着剤層との粘着性及び剥離性を向上させるという観点からは、アクリル系粘着剤のガラス転移温度は、−40℃〜−25℃であることが更に好ましい。
形成された粘着剤層中において、アクリル系粘着剤は、所望により用いられる(c)架橋剤で架橋されていてもよい。(c)架橋剤は、用いるアクリル系粘着剤に合せて適宜選択すればよく、特に制約はない。架橋剤の具体例としては、イソシアネート系架橋剤、金属キレート架橋剤、エポキシ系架橋剤等を挙げることができる。これらのなかでも、熱膨張性微小球が膨張する温度への加熱後における、被着体からの剥離性を向上させ、被着体への糊残りを防止するといった観点から、エポキシ系架橋剤を用いることが好ましい。エポキシ系架橋剤としては、例えば、ビスフェノール系エポキシ樹脂(例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型)、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
常温における被着体との粘着性、及び熱膨張性微小球の膨張後における被着体からの剥離性の面で、多官能のエポキシ系架橋剤が好ましく、4官能のエポキシ系架橋剤が更に好ましい。具体的には、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンを挙げることができる。但し、これらのエポキシ系架橋剤は、架橋反応速度が遅くなる傾向にある、このため、架橋反応が不十分である場合には、粘着剤層の凝集力が低くなり、被着体表面に糊残り等が発生し易くなる場合がある。従って、架橋反応を促進するために、(1)アミン等の触媒を添加する、(2)粘着剤の構成成分としてアミン系官能基を持つ単量体を用いる、(3)架橋剤にアジリジン系架橋剤を併用する、ことが望ましい。特に、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン等の架橋剤に、触媒効果を有する3級アミンを添加することが好ましい。
架橋剤は、単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。架橋剤の配合割合は、前述の熱膨張性微小球、アクリル系粘着剤、及び所望により用いられる、後述する粘着付与樹脂とともに、粘着剤層が好ましい弾性率となるように適宜選択すればよく、特に制限はない。但し、粘着剤組成物に含有される架橋剤の割合は、アクリル系粘着剤に対する割合で、0.5当量以下とするのが、基材との密着性が向上するために好ましい。架橋剤の割合が、アクリル系粘着剤に対する割合で0.5当量を超えると、被着体との粘着力が低下し易くなり、熱膨張性微小球を加熱膨張させる前に、被着体と粘着剤層とが剥離し易くなる傾向にあるために好ましくない。基材及び被着体との密着性の面から、粘着剤組成物に含有される架橋剤の割合は、アクリル系粘着剤に対する割合で、1×10-3〜0.3当量とすることが更に好ましい。
粘着剤層の20℃における弾性率を、1.0×104Pa以上、1.0×106Pa未満の範囲とすると、初期剥離力が低下する傾向にあるため、被着体との密着性が低下する場合がある。このため、被着体の加工精度や加工歩留りが低下する場合も想定される。従って、粘着剤層を形成する粘着剤組成物に(d)粘着付与樹脂を含有させることが、常温付近における被着体との密着性の調整が容易となるために好ましい。粘着付与樹脂としては、その軟化点が120℃以上であるものが好ましい。粘着付与樹脂の具体例としては、α−ピネン系、β−ピネン系、ジペンテン系、テルペンフェノール系等のテルペン系樹脂;ガム系、ウッド系、トール油系等の天然系ロジン;これらの天然系ロジンに水素化、不均化、重合、マレイン化、エステル化等の処理をしたロジン系誘導体等のロジン系樹脂;石油樹脂;クマロン−インデン樹脂等を挙げることができる。
これらのなかでも、軟化点が120〜160℃の範囲内であるものが更に好ましく、150〜160℃の範囲であるものが特に好ましい。軟化点が上記の範囲内である粘着付与樹脂を用いると、被着体への汚染、糊残りが少ないばかりでなく、作業環境下における被着体との密着性をさらに向上させることが可能となる。また、粘着剤層の弾性率を、所望とする所定の範囲内に調整し易く、しかも粘着剤層の弾性率が1.0×106Pa未満であっても初期剥離力を高くすることができるので好ましい。更に、粘着付与樹脂としてテルペンフェノール系の粘着付与樹脂を用いると、被着体への汚染、糊残りが少ないばかりか、50〜90℃の環境下での被着体との粘着性が向上するとともに、熱膨張性微小球の膨張後は、被着体から更に容易に剥離可能となる。
粘着付与樹脂の配合割合は、粘着剤層の弾性率を所望とする所定の数値範囲内に調整することができるように適宜選択すればよく、特に制限はない。但し、粘着剤層の弾性率と初期剥離力の面から、アクリル系粘着剤100質量部に対して、10〜100質量部とすることが好ましい。粘着付与樹脂の配合割合が、アクリル系粘着剤100質量部に対して、10質量部未満であると、作業時の被着体の密着性が低下する傾向にある。一方、100質量部超であると、常温における被着体との貼り付け性が低下する。被着体との密着性、及び常温における貼り付け性の面から、粘着付与樹脂の配合割合を、アクリル系粘着剤100質量部に対して、15〜50質量部とすることが更に好ましい。また、粘着付与樹脂の水酸基価は、30以上であることが好ましい。粘着付与樹脂の水酸基価が30未満であると、剥離時に被着体に糊残りが生じ易くなる場合がある。
[粘着シート]
本実施形態の粘着シートを得るには、先ず、前述の各成分を含有する粘着剤組成物を適当な溶剤に溶解又は分散させ、その固形分濃度が20〜50質量%の粘着剤層形成塗工液を調製する。次いで、調製した粘着剤層形成塗工液を、基材の少なくとも一方の面上に直接、又は適当な中間層を介して、常法に従って塗布及び乾燥することにより、15〜100μmの厚みの粘着剤層を形成することが望ましく、好ましくは、15〜70μm、更には20〜60μmとすることが好ましい。なお、粘着剤層の厚みが100μm超であると、加熱処理後の剥離時に凝集破壊が起こり易くなり、良好な剥離性が得られなくなる場合がある。また、熱膨張性微小球を十分に膨張させるためのエネルギーが再剥離性粘着剤の全体にいきわたらず、剥離に必要な均一な表面形状を形成できない場合がある。このため、加熱処理後であっても、余分な力を加えなければ被着体から剥離させることが困難となる。一方、粘着剤層の厚みが15μm未満であると、被着体との十分な粘着力を得難くなる場合がある。また、実質的に入手可能な熱膨張性微小球の平均粒径を考慮すると、15μm未満の厚みとすることは困難な場合がある。
本実施形態の粘着剤を基材上に形成する場合、基材の材質は特に制約されず、粘着シートの利用分野に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、セロハン、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、芳香族ポリアミド、ポリスルホン等の合成樹脂によって基材を構成することができる。基材は、透明であっても、各種顔料や染料を配合して着色したものであってもよい。また、その表面がマット状に加工された基材を用いることもできる。
粘着シートを50〜90℃程度の環境で長時間さらす分野で使用する場合には、寸法変化やカール発生等を回避すべく、JIS C 2318で定義される加熱収縮率が0.5%以下の基材を用いることが好ましく、0.2%以下の基材を用いることが更に好ましい。具体的には、ポリエチレンテレフタレートフィルム、及びポリエチレンナフタレートフィルムのうちから、加熱収縮率が0.2%以下であるのものを選択するとよい。
基材の厚さは、粘着シートの利用分野に応じて適宜選択することができる。基材の厚さは、具体的には、25〜250μmであることが好ましい。粘着シートの用途が、切断及び小片化加工時の被着体保持用途である場合、基材の厚さは25〜250μmであることが好ましい。但し、被着体がセラミック系シートであり、粘着シートを、このセラミック系シートを小片化加工する際の保持に用いる場合には、基材の厚さは100〜188μmであることが好ましい。
基材には、公知の添加剤、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等を含有させることができる。また、基材と粘着剤層との密着性を向上させるために、基材の粘着剤層が配設される面に表面処理を施すこと、及び/又は、基材と粘着層との間に接着性を有する中間層を介在させることが好ましい。表面処理としては、例えば(1)コロナ放電処理やグロー放電処理等の放電処理、(2)プラズマ処理、(3)火炎処理、(4)オゾン処理、(5)紫外線処理や電子線、放射線処理等の電離活性線処理、(6)サンドマット処理やヘアライン処理等の粗面化処理、(7)化学薬品処理等を挙げることができる。また、中間層としては、例えば、粘着剤層から熱膨張性微小球を含有しない粘着剤層等の基材との密着性が、膨張性微小球含有粘着層よりも高いものが用いることができる。なお、中間層の厚さは、1〜100μmであることが好ましく、基材との密着性、生産性の観点からは、10〜50μmであることが更に好ましい。
また、粘着剤層中に残存する揮発分の量(残存揮発分量)によっては、粘着剤層と基材との粘着性や、加熱後における被着体からの剥離性、糊残り性に影響を及ぼす場合がある。従って、粘着剤層中の残存揮発分量を4質量%以下とすることが好ましく、2質量%以下とすることが更に好ましい。なお、粘着剤層形成塗工液には、従来慣用されている各種添加剤、例えば、界面活性剤、潤滑剤、安定剤、粘度調整剤等を添加することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例の粘着剤組成物及び粘着シートについては、熱膨張性微小球の標準偏差、粘着剤層の厚さ、粘着剤層に形成される凹凸の高低差、粘着剤層の表面積、180°剥離力及び剥離性の6項目について評価した。これらの項目については、以下の方法により評価した。
[標準偏差]
マイクロトラック(MICROTRAC HRA MODEL No.9320−X100、日機装社製)を用いてレーザー回折散乱法により測定した。
[粘着剤層の厚さ]
マイクロメーターを使用して、2枚のPETシートを含めた厚みを測定し、測定値から2枚のPETシートの厚みを減ずることにより算出した。
[高低差(μm)]
粘着シートを120℃のホットプレート上で1分間加熱した。放冷後、3次元表面形状測定顕微鏡(VK−9500、キーエンス社製)を用いて、特定面積S0上に形成された粘着剤表層凹凸の最高点H1および最低点H3の間の高さH1−H3を測定する。
[表面積]
粘着シートを120℃のホットプレート上で1分間加熱した。放冷後、3次元表面形状測定顕微鏡(VK−9500、キーエンス社製)を用いて、特定面積S0上に形成された粘着剤表層凹凸の最高点H1から20μm低い位置のH2の範囲における表面積SH1-H2を測定する。このSH1-H2をS0で割ったときの値を求めた。
[180°剥離力(N/25mm)]
グリーンシートの表面に、23℃、65%RHの条件下、10mm幅の粘着シートを貼付し、0.5時間放置して測定用サンプルを用意した。23℃、65%RHの条件下で180°剥離力を測定した。測定した180°剥離力の値を、25mm幅の粘着シートを用いた場合の値(N/25mm)に換算した。
[剥離性]
被着体として5cm×5cmのグリーンシートを使用し、その表面に5cm×5cmの粘着シートを貼付した後、120℃のホットプレート上で1分間加熱した。放冷後、室温(23℃)にて、粘着シートの粘着層が被着体から剥離しているか否かを目視により評価した。
(実施例1)
熱膨張性微小球A(平均粒径:15μm、標準偏差:4.8μm)6質量部、熱膨張性微小球B(平均粒径:7.7μm、標準偏差:3.6μm)3質量部、アクリル系粘着剤(アクリル酸−アクリル酸ブチル共重合体、質量平均分子量:51万、ガラス転移温度:−32℃、酸価:46)27質量部、テルペンフェノール系粘着付与樹脂(軟化点:150℃)5質量部、エポキシ系架橋剤(N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン)0.15質量部、及びトルエン61.85質量部を均一に混合、溶解し、粘着剤層形成塗工液を調製した。この粘着剤層形成塗工液を、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートシート上にベーカー式アプリケーターにて塗布し、80℃にて十分乾燥することにより、厚さ41μmの粘着剤層を形成した後、この粘着層の表面に、その一方の表面がシリコーン離型処理された厚み38μmのPETシートを配設することにより、再剥離性の粘着シート(実施例1)を作製した。この粘着シートの物性値の測定結果、及び各種特性の評価結果を表1に示す。
(実施例2)
熱膨張性微小球として、熱膨張性微小球A(平均粒径:15μm、標準偏差:3.5μm)4質量部、熱膨張性微小球B(平均粒径:7.7μm、標準偏差:3.6μm)2質量部を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして粘着シートを作製した。この粘着シートの物性値の測定結果、及び各種特性の評価結果を表1に示す。
(実施例3)
熱膨張性微小球として、熱膨張性微小球A(平均粒径:15μm、標準偏差:3.5μm)6質量部、熱膨張性微小球B(平均粒径:7.7μm、標準偏差:3.6μm)3質量部を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして粘着シートを作製した。この粘着シートの物性値の測定結果、及び各種特性の評価結果を表1に示す。
(実施例4)
熱膨張性微小球として、熱膨張性微小球A(平均粒径:9.9μm、標準偏差:2.3μm)4質量部、熱膨張性微小球B(平均粒径:6.7μm、標準偏差:2.3μm)2質量部を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして粘着シートを作製した。この粘着シートの物性値の測定結果、及び各種特性の評価結果を表1に示す。
(比較例1)
熱膨張性微小球として、熱膨張性微小球A(平均粒径:15μm、標準偏差:4.8μm)4質量部、熱膨張性微小球B(平均粒径:7.7μm、標準偏差:3.6μm)2質量部を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして粘着シートを作製した。この粘着シートの物性値の測定結果、及び各種特性の評価結果を表1に示す。
(比較例2)
熱膨張性微小球として、熱膨張性微小球A(平均粒径:15μm、標準偏差:6.2μm)4質量部、熱膨張性微小球B(平均粒径:7.7μm、標準偏差:3.6μm)2質量部を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして粘着シートを作製した。この粘着シートの物性値の測定結果、及び各種特性の評価結果を表1に示す。
Figure 0005049485
表1の結果から、実施例1〜4の粘着シートは、比較例1及び2の粘着シートに比べ、被着体から剥離させたときに均一な凹凸が形成されているので、均一な剥離が得られていることが分かる。比較例1は、凹凸の高低差が100μmを超えているため、凹凸を形成したにもかかわらず、その凸部だけで被着体を支えることができずに凸部に折れ等が発生したため、被着体との接触面積が多くなった結果、剥離性が低下し、比較例2のものは、式(2)の値が0.4未満であるため、凸部にムラできているため被着体と間に十分な接触面積の低下が得られないため、剥離性が低下している。
本発明の粘着剤組成物及び粘着シートは、熱膨張性微小球を膨張させたときの粘着剤層表面の凹凸形状をコントロールすることにより、均一で確実に被着体から粘着シートを剥離できるので、精度の高い被着体加工を行なうことができる。

Claims (6)

  1. 下記物性測定試験により測定される粘着剤層の物性が、次の式(1)
    H1−H3≦100μm …(1)
    及び式(2)
    H1−H2/S=0.4〜10 …(2)
    を同時に満足することを特徴とする熱膨張性微小球及び粘着剤を含み、
    前記熱膨張性微小球は、2種以上の組み合わせからなり、
    前記2種以上の組み合わせは、(I)ガス(内包される物質)が異なる組み合わせ、(II)質量平均粒径が異なる組み合わせ、(III)殻を構成する材質が異なる組み合わせ、(IV)殻の厚さが異なる組み合わせ、(V)前記(I)〜前記(IV)のうちの2つ以上を満たす組み合わせ、のうちのいずれかを満たす粘着剤組成物。
    [物性測定試験]
    厚さ100μmの透明なポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に粘着剤と熱膨張性微小球を含有する粘着剤組成物からなる粘着剤層を設けた粘着シートを作成し、該粘着剤層表面の面積(S)を測定する。
    次いで、該粘着シートを該粘着剤層に含有される熱膨張性微小球の膨張温度の+20〜60℃の温度で1分間加熱し、該S上に形成された粘着剤層表面の凹凸の最高点をH1、最高点から20μm低い位置をH2、最低点をH3を測定し、また、該H1からH2の範囲における表面積(SH1−H2)の値を求めた。
  2. 平均粒径が5〜50μmであり、かつ、レーザー回折散乱法による粒度分布の標準偏差が5.0μm以下の熱膨張性微小球を含む請求項1に記載の粘着剤組成物。
  3. 粘着剤100質量部に対して、前記熱膨張性微小球を10〜75質量部含むものである請求項1又は2に記載の粘着剤組成物。
  4. 前記粘着剤が、架橋剤と反応し得る活性基をその分子構造中に有するアクリル系粘着剤である請求項1〜3のいずれかに記載の粘着剤組成物。
  5. 少なくとも一方の表面が被着体との接触面である請求項1〜4のいずれかに記載の粘着剤組成物。
  6. 基材上に請求項1〜5のいずれかに記載の粘着剤組成物による粘着剤層を形成したことを特徴とする粘着シート。
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