JP6818612B2 - 半導体加工用シートおよび半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体加工用シートおよび半導体装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、半導体加工用シートおよび半導体装置の製造方法に関するものであり、好ましくは、複数の半導体チップを加熱する工程および半導体チップを個々にピックアップする工程を備える半導体装置の製造方法に使用される半導体加工用シート、およびそのような半導体装置の製造方法に関するものである。
半導体装置の製造方法は、一般的に、半導体加工用シート上において半導体ウエハを個片化(ダイシング)して複数の半導体チップを得るダイシング工程と、得られた半導体チップを半導体加工用シートから個々に取り上げる(ピックアップ)ピックアップ工程とを含む。
上記ピックアップ工程では、半導体チップのピックアップを容易にするために、半導体加工用シートにおける半導体チップが積層された面とは反対の面から、半導体チップを個々に突き上げることを行う場合がある。このため、半導体加工用シートには、このような突き上げを良好に行うことができるような柔軟性が求められる。
また、上記ピックアップ工程では、ピックアップの際の半導体チップ同士の衝突を抑制するとともに、ピックアップを容易にするために、半導体加工用シートを延伸(エキスパンド)させて、半導体チップ同士を離間させるエキスパンド工程を行う場合もある。当該エキスパンドを良好に行うためにも、半導体加工用シートには、優れた柔軟性を有することが求められる。
近年、個片化された半導体チップを半導体加工用シートに積層した状態で加熱することが増えている。例えば、半導体加工用シート上の半導体チップに対して、蒸着、スパッタリング、脱湿のためのベーキング等の処理が行われたり、半導体チップが高温環境下で使用される場合には、高温環境下での信頼性を確認するための加熱試験が行われることがある。このような加熱を行う場合、使用される半導体加工用シートには、加熱による変形が生じ難いといった耐熱性が求められる。
耐熱性を有する半導体加工用シートの例として、特許文献1には、ガラス転移温度が70℃以上である基材の少なくとも片面に、昇温速度2℃/minで室温から200℃まで昇温した際の熱重量減少率が2%未満である粘着剤層を設けてなる耐熱ダイシングテープ又はシートであって、当該粘着剤層が、所定の組成を有するエネルギー線硬化型粘着剤で構成されているとともに、加熱を含む処理を行った後の粘着力が所定の値を示す耐熱ダイシングテープ又はシートが開示されている。
また、耐熱性を有する半導体加工用シートの別の例として、特許文献2には、所定の熱収縮率を有する基材と、当該基材上に設けられ、所定の組成を有する粘着剤層とを備える耐熱性粘着シートが開示されており、特許文献3には、所定の熱収縮率および線膨張係数を有する基材と、当該基材上に設けられ、所定の組成を有する粘着剤層とを備える耐熱性粘着シートが開示されている。
特許第4781185号 国際公開第2015/174381号 国際公開第2014/199993号
しかしながら、特許文献1〜3に開示される半導体加工用シートは、所定の耐熱性を有するものの、十分な柔軟性を発揮することはできず、良好なピックアップを行うことができない。このように、従来の半導体加工用シートでは、上述した柔軟性と耐熱性とを両立させることは困難であり、一方の特性を優先させると、他方の特性が損なわれ易い。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、優れた耐熱性と柔軟性とを発揮する半導体加工用シート、および当該半導体加工用シートを使用した半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1に本発明は、複数の半導体チップが積層される粘着面を有する第1の粘着剤層と、前記第1の粘着剤層における前記粘着面とは反対の面側に積層されており、融点が180℃以上、550℃以下の材料からなる第1の基材とを備える耐熱シート、および23℃における引張弾性率が50MPa以上、1000MPa以下である第2の基材を少なくとも備え、前記第1の基材における前記第1の粘着剤層とは反対の面側に積層されているフレキシブルシートを備えることを特徴とする半導体加工用シートを提供する(発明1)。
上記発明(発明1)に係る半導体加工用シートでは、耐熱シートは、上述した範囲の融点を有する材料からなる第1の基材を備えることにより、優れた耐熱性を有する。ここで、耐熱シートにおける半導体ウエハが貼付される領域は、ダイシング工程において半導体ウエハとともにダイシングされ、切断されるか、または切れ込みが入れられる。一方で、耐熱シートの周縁部(半導体ウエハの貼付領域の外側の領域)は、ダイシング工程においてダイシングされない。このように、耐熱シートが優れた耐熱性を示すとともに、耐熱シートの周縁部がダイシングされていないことにより、半導体チップを半導体加工用シート上において加熱する際に、半導体加工用シートの変形が抑制される。すなわち、上記耐熱シートを備える半導体加工用シート自体も、優れた耐熱性を発揮する。
また、上記発明(発明1)に係る半導体加工用シートでは、フレキシブルシートは、上述した範囲の引張弾性率を示す第2の基材を備えることにより、優れた柔軟性を有する。ここで、耐熱シートが、ダイシング工程において上記のように切断され、それにより、耐熱シートの切断片が複数生じている場合、当該耐熱シートをエキスパンドすると、当該切断片が互いに離間する。一方、耐熱シートにおいて、ダイシング工程により上記のような切れ込みが生じている場合、当該切れ込み部分のシートの厚さがその他の部分よりも薄いことにより、耐熱シートが当該切れ込み部分において広がり、あるいは、当該切れ込み部分においてシートが破断することにより、生じた切断片が互いに離間する。これらの結果、半導体加工用シートをエキスパンドする際、耐熱シートによって当該エキスパンドが妨げられることがない。このように、フレキシブルシートが優れた柔軟性を示しつつ、耐熱シートによるエキスパンドの妨げも生じないことにより、半導体加工用シートを十分にエキスパンドすることが可能となり、半導体加工用シートから半導体チップを良好にピックアップすることも可能となる。すなわち、上記フレキシブルシートを備える半導体加工用シート自体も、優れた柔軟性を発揮する。
以上により、上記発明(発明1)に係る半導体加工用シートは、優れた耐熱性と柔軟性とを両立することが可能となる。
第2に本発明は、複数の半導体チップが積層される粘着面を有する第1の粘着剤層と、前記第1の粘着剤層における前記粘着面とは反対の面側に積層されており、熱機械分析装置を用いて荷重0.2gの下、10℃/分の昇温温度で23℃から120℃まで加熱したときの膨張率が−10.0%以上、3.0%以下である材料からなる第1の基材とを備える耐熱シート、および23℃における引張弾性率が50MPa以上、1000MPa以下である第2の基材を少なくとも備え、前記第1の基材における前記第1の粘着剤層とは反対の面側に積層されているフレキシブルシートを備えることを特徴とする半導体加工用シートを提供する(発明2)。
上記発明(発明2)に係る半導体加工用シートでは、耐熱シートは、上述した範囲の膨張率を有する材料からなる第1の基材を備えることにより、優れた耐熱性を有し、それにより、前述した通り、上記耐熱シートを備える半導体加工用シート自体も、優れた耐熱性を発揮する。
また、上記発明(発明2)に係る半導体加工用シートでは、フレキシブルシートは、上述した範囲の引張弾性率を示す第2の基材を備えることにより、優れた柔軟性を有し、それにより、前述した通り、上記フレキシブルシートを備える半導体加工用シート自体も、優れた柔軟性を発揮する。
以上により、上記発明(発明2)に係る半導体加工用シートは、優れた耐熱性と柔軟性とを両立することが可能となる。
上記発明(発明1,2)において、前記第2の基材は、融点が130℃以上、500℃以下の材料からなることが好ましい(発明3)。
上記発明(発明1〜3)において、前記第2の基材は、熱機械分析装置を用いて荷重0.2gの下、10℃/分の昇温温度で23℃から120℃まで加熱したときの膨張率が−10.0%以上、10.0%以下である材料からなることが好ましい(発明4)。
上記発明(発明1〜4)において、前記第1の粘着剤層は、エネルギー線硬化性粘着剤から構成されていることが好ましい(発明5)。
上記発明(発明1〜5)において、前記フレキシブルシートは、前記第1の基材と前記第2の基材との間に位置する第2の粘着剤層をさらに備えることが好ましい(発明6)。
上記発明(発明1〜6)においては、前記半導体加工用シートにおける前記第1の粘着剤層側の面上に半導体ウエハを設けるウエハ準備工程、前記半導体ウエハを前記耐熱シートとともに厚さ方向に切断するか、または、前記半導体ウエハを厚さ方向に切断するとともに、前記耐熱シートに厚さ方向の切れ込みを入れることで、前記半導体ウエハが個片化されてなる複数の半導体チップを得るダイシング工程、前記半導体チップを前記半導体加工用シート上で加熱する加熱工程、前記フレキシブルシートを延伸して、複数の前記半導体チップを互いに離間させるエキスパンド工程、および離間した前記半導体チップを前記半導体加工用シートから個々にピックアップするピックアップ工程を備える半導体装置の製造方法において使用されることが好ましい(発明7)。
第3に本発明は、前記半導体加工用シート(発明1〜7)における前記第1の粘着剤層側の面上に半導体ウエハを設けるウエハ準備工程、前記半導体ウエハを前記耐熱シートとともに厚さ方向に切断するか、または、前記半導体ウエハを厚さ方向に切断するとともに、前記耐熱シートに厚さ方向の切れ込みを入れることで、前記半導体ウエハが個片化されてなる複数の半導体チップを得るダイシング工程、前記半導体チップを前記半導体加工用シート上で加熱する加熱工程、前記フレキシブルシートを延伸して、複数の前記半導体チップを互いに離間させるエキスパンド工程、および離間した前記半導体チップを前記半導体加工用シートから個々にピックアップするピックアップ工程を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する(発明8)。
上記発明(発明8)において、前記加熱工程は、前記半導体加工用シートにおける前記半導体チップが積層されている面とは反対の面を加熱テーブルに載置することを含むことが好ましい(発明9)。
上記発明(発明8,9)において、前記第1の粘着剤層は、エネルギー線硬化性粘着剤から構成されており、前記半導体装置の製造方法は、前記ピックアップ工程の前に、前記第1の粘着剤層に対してエネルギー線を照射する照射工程をさらに含むことが好ましい(発明10)。
本発明に係る半導体加工用シートは、優れた耐熱性と柔軟性とを発揮することができる。
本実施形態に係る半導体加工用シートの断面図である。 本実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔半導体加工用シート〕
図1には、本実施形態に係る半導体加工用シート1の断面図が示される。本実施形態に係る半導体加工用シート1は、耐熱シート2と、当該耐熱シート2の片面側に積層されたフレキシブルシート3とを備える。耐熱シート2は、第1の粘着剤層21と、当該第1の粘着剤層の片面側に積層された第1の基材22とを備える。フレキシブルシート3は、耐熱シート2における第1の基材22側に積層され、少なくとも第2の基材32を備え、好ましくは、第1の基材22と第2の基材32との間に位置する第2の粘着剤層31をさらに備える。
半導体加工用シート1において、第1の基材22は、融点が180℃以上、550℃以下の材料からなるか、あるいは、熱機械分析装置を用いて荷重0.2gの下、10℃/分の昇温温度で23℃から120℃まで加熱したときの膨張率が−10.0%以上、3.0%以下である材料からなる。さらに、半導体加工用シート1において、第2の基材32は、23℃における引張弾性率が50MPa以上、1000MPa以下である。
本実施形態に係る半導体加工用シート1は、半導体ウエハのダイシングに使用することができる。この場合、第1の粘着剤層21における第1の基材22が積層された側の面とは反対の面(以下、「粘着面」という場合がある。)に半導体ウエハを貼付し、半導体加工用シート1上において当該半導体ウエハをダイシングする。このとき、半導体ウエハと同時に、耐熱シート2における当該半導体ウエハが貼付されている領域もダイシングする。その結果、半導体ウエハは複数の半導体チップに個片化されるとともに、耐熱シート2の上記領域も切断されるか、または切れ込みが入れられる。一方で、耐熱シート2の周縁部(半導体ウエハの貼付領域の外側の領域)はダイシングされない。
また、本実施形態に係る半導体加工用シート1は、上記ダイシングに続いて、その粘着面上に半導体チップが積層された状態でエキスパンドすることができる。ここで、耐熱シート2における半導体ウエハが貼付されていた領域が、上述の通り切断され、それにより、耐熱シートの切断片が複数生じている場合、半導体加工用シート1をエキスパンドした際に、切断片同士が互いに離間する。一方、耐熱シート2における上記領域に、上述したように切れ込みが入れられている場合、その切れ込み部分の耐熱シート2の厚さがその他の部分よりも薄いことにより、半導体加工用シート1をエキスパンドした際に、耐熱シート2が当該切れ込み部分において広がり、あるいは、生じた切断片が互いに離間する。したがって、耐熱シート2によって、半導体加工用シート1のエキスパンドが妨げられることがない。
半導体加工用シート1では、耐熱シート2が、上述した範囲の融点を有する材料からなる第1の基材22、または上述した範囲の膨張率を示す材料からなる第1の基材22を備えることにより、耐熱シート2が優れた耐熱性を有するものとなる。このように、耐熱シートが優れた耐熱性を示すとともに、上述の通り、耐熱シートの周縁部がダイシング工程においてダイシングされないことにより、半導体チップを半導体加工用シート1上に積層した状態で加熱する場合であっても、加熱による半導体加工用シート1の変形が抑制される。それにより、加熱処理を良好に行うことができる。
また、半導体加工用シート1では、フレキシブルシート3が、上述した範囲の引張弾性率を示す第1の基材を備えることで、フレキシブルシート3は優れた柔軟性を有するものとなる。このように、フレキシブルシート3が優れた柔軟性を示しつつ、耐熱シート2によるエキスパンドの妨げも生じないことにより、半導体加工用シート1を十分にエキスパンドすることが可能となり、半導体チップ同士の衝突を抑制しつつ、半導体チップを良好にピックアップすることも可能となる。
以上のように、本実施形態に係る半導体加工用シート1は、優れた耐熱性と柔軟性とを両立することができる。
なお、本実施形態に係る半導体加工用シート1を使用する際のダイシングの対象(被切断物)は、半導体ウエハに限定されず、半導体パッケージ、ガラス板等であってもよく、当該ダイシングによって得られる切断物は、半導体ウエハの個片化により得られる半導体チップだけでなく、半導体パッケージの切断物、ガラス板の個片化により得られるガラスチップ等であってもよい。本明細書において「半導体ウエハ」および「半導体チップ」とは、それぞれ上述した被切断物および切断物を含むものとする。
1.耐熱シート
(1)第1の基材
半導体加工用シート1において、第1の基材22は、融点が180℃以上の材料からなることが好ましく、特に融点が200℃以上の材料からなることが好ましく、さらには融点が230℃以上の材料からなることが好ましい。第1の基材22を構成する材料の融点が180℃以上であることで、半導体加工用シート1を加熱する工程において、加熱による半導体加工用シート1の変形が効果的に抑制されるため、半導体加工用シート1上に設けられた半導体チップを所望の温度、時間で加熱することができる。なお、第1の基材22を構成する材料の融点の上限については特に制限はないものの、通常、当該融点は550℃以下であることが好ましく、特に450℃以下であることが好ましく、さらには350℃以下であることが好ましい。なお、上記融点の測定方法は、後述する実施例の欄に記載する通りである。
半導体加工用シート1において、第1の基材22は、膨張率が3.0%以下である材料からなることが好ましく、特に膨張率が2.0%以下の材料からなることが好ましく、さらには膨張率が1.0%以下の材料からなることが好ましい。ここにいう第1の基材22における膨張率とは、熱機械分析装置を用いて、荷重0.2gの下、10℃/分の昇温温度で、第1の基材22を23℃から120℃まで加熱したときのMD方向およびCD方向のそれぞれについての膨張率のうち、数値の大きい方をいい、その測定方法は後述する実施例の欄に示す通りである。第1の基材22を構成する材料の膨張率が3.0%以下であることで、半導体加工用シート1を加熱する工程において、加熱による半導体加工用シート1の変形が効果的に抑制されるため、半導体加工用シート1上に設けられた半導体チップを所望の温度、時間で加熱することができる。なお、第1の基材22を構成する材料の膨張率の下限について特に制限はないものの、通常、当該膨張率は、−10.0%以上であることが好ましく、特に−7.0%以上であることが好ましく、さらには−5.0%以上であることが好ましい。
半導体加工用シート1では、第1の基材22の120℃における引張弾性率が、100MPa以上であることが好ましく、特に500MPa以上であることが好ましく、さらには1000MPa以上であることが好ましい。また、当該引張弾性率は、100000MPa以下であることが好ましく、特に10000MPa以下であることが好ましく、さらには8000MPa以下であることが好ましい。当該引張弾性率が上記範囲であることで、半導体加工用シート1を加熱する工程において、加熱による半導体加工用シート1の変形が効果的に抑制され、その結果、半導体加工用シート1上に設けられた半導体チップを効果的に加熱することができる。上記引張弾性率の測定方法は、後述する実施例の欄に記載する通りである。
第1の基材22としては、上記範囲の融点を有する材料からなるか、上記範囲の膨張率を有する材料からなるか、または、120℃における引張弾性率が上記範囲を満たすものであれば、その構成材料は特に限定されない。通常、第1の基材22は、樹脂系の材料を主材とするフィルム(以下「樹脂フィルム」という。)から構成される。
第1の基材22のための樹脂フィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルムまたはポリイミドフィルムが挙げられる。また、その他の耐熱性に優れる樹脂フィルムとして、ポリエーテルイミドフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム等が挙げられる。上記の第1の基材22はこれらの1種からなるフィルムでもよいし、さらにこれらを2種類以上組み合わせた積層フィルムであってもよい。これらの中でも、耐熱性に優れるという観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用することが好ましい。また、第1の粘着剤層21がエネルギー線硬化性粘着剤から構成される場合には、エネルギー線の透過性に優れるという観点からも、ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用することが好ましい。
第1の基材22の一方の面には、第1の粘着剤層21との密着性を向上させる目的で、酸化法や凹凸化法などによる表面処理、あるいはプライマー処理を施してもよい。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸化処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン、紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶射処理法などが挙げられる。
第1の基材22は、上記樹脂フィルム中に、着色剤、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、フィラー等の各種添加剤を含有してもよい。
第1の粘着剤層21が、活性エネルギー線により硬化する材料を含む場合、第1の基材22は活性エネルギー線に対する透過性を有することが好ましい。
第1の基材22の厚さは、10μm以上であることが好ましく、特に25μm以上であることが好ましく、さらには30μm以上であることが好ましい。また、当該厚さは、200μm以下であることが好ましく、特に150μm以下であることが好ましく、さらには100μm以下であることが好ましい。当該厚さが10μm以上であることで、加熱工程において、半導体加工用シート1の加熱による変形を抑制する効果を十分に得ることができる。当該厚さが200μm以下であることで、半導体加工用シート1を半導体ウエハや半導体チップ等に対して良好に貼付し易くなるとともに、半導体加工用シート1をロール状に巻き取った際に、耐熱シート2とフレキシブルシート3との界面における剥離を抑制することができる。
(2)第1の粘着剤層
第1の粘着剤層21を構成する粘着剤は、その第1の基材22とは反対の面(粘着面)が、半導体ウエハや半導体チップを固定できるとともに、リングフレームに貼付できるものであれば、特に限定されない。ただし、半導体加工用シート1の加熱工程の際に、第1の粘着剤層21が溶融して、リングフレーム、半導体ウエハ、半導体チップ等に固着してしまうことを防ぐため、第1の粘着剤層21は、加熱工程において完全に溶融しない程度の耐熱性を有することが好ましい。
第1の粘着剤層21は、非エネルギー線硬化性粘着剤から構成されてもよいし、エネルギー線硬化性粘着剤から構成されてもよい。非エネルギー線硬化性粘着剤としては、所望の粘着力および再剥離性を有するものが好ましく、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリビニルエーテル系粘着剤等を使用することができる。これらの中でも、半導体加工用シート1をエキスパンド等した際に半導体チップの脱落を効果的に抑制することのできるアクリル系粘着剤が好ましい。
一方、エネルギー線硬化性粘着剤は、エネルギー線照射により硬化して粘着力が低下するため、半導体チップと第1の粘着剤層21とを分離させたいときに、エネルギー線照射することにより、容易に分離させることができる。
第1の粘着剤層21を構成するエネルギー線硬化性粘着剤は、エネルギー線硬化性を有するポリマーを主成分とするものであってもよいし、非エネルギー線硬化性ポリマー(エネルギー線硬化性を有しないポリマー)と少なくとも1つ以上のエネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとの混合物を主成分とするものであってもよい。また、エネルギー線硬化性を有するポリマーと非エネルギー線硬化性ポリマーとの混合物であってもよいし、エネルギー線硬化性を有するポリマーと少なくとも1つ以上のエネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとの混合物であってもよいし、それら3種の混合物であってもよい。
最初に、エネルギー線硬化性粘着剤が、エネルギー線硬化性を有するポリマーを主成分とする場合について、以下説明する。
エネルギー線硬化性を有するポリマーは、側鎖にエネルギー線硬化性を有する官能基(エネルギー線硬化性基)が導入された(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)(以下「エネルギー線硬化型重合体(A)」という場合がある。)であることが好ましい。このエネルギー線硬化型重合体(A)は、官能基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体(a1)と、その官能基に結合する官能基を有する不飽和基含有化合物(a2)とを反応させて得られるものであることが好ましい。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの両方を意味する。他の類似用語も同様である。
アクリル系共重合体(a1)は、官能基含有モノマーから導かれる構成単位と、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体から導かれる構成単位とを含むことが好ましい。
アクリル系共重合体(a1)の構成単位としての官能基含有モノマーは、重合性の二重結合と、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、置換アミノ基、エポキシ基等の官能基とを分子内に有するモノマーであることが好ましい。
ヒドロキシ基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アミノ基含有モノマーまたは置換アミノ基含有モノマーとしては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、n−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリル系共重合体(a1)を構成する(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、アルキル基の炭素数が1〜20であるアルキル(メタ)アクリレートの他、例えば、分子内に脂環式構造を有するモノマー(脂環式構造含有モノマー)が好ましく用いられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、特にアルキル基の炭素数が1〜18であるアルキル(メタ)アクリレート、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が好ましく用いられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
脂環式構造含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル等が好ましく用いられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリル系共重合体(a1)は、上記官能基含有モノマーから導かれる構成単位を、好ましくは1質量%以上、特に好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上の割合で含有する。また、アクリル系共重合体(a1)は、上記官能基含有モノマーから導かれる構成単位を、好ましくは35質量%以下、特に好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下の割合で含有する。
さらに、アクリル系共重合体(a1)は、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体から導かれる構成単位を、好ましくは50質量%以上、特に好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上の割合で含有する。また、アクリル系共重合体(a1)は、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体から導かれる構成単位を、好ましくは99質量%以下、特に好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下の割合で含有する。
アクリル系共重合体(a1)は、上記のような官能基含有モノマーと、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体とを常法で共重合することにより得られるが、これらモノマーの他にもジメチルアクリルアミド、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、スチレン等が共重合されてもよい。
上記官能基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体(a1)を、その官能基に結合する官能基を有する不飽和基含有化合物(a2)と反応させることにより、エネルギー線硬化型重合体(A)が得られる。
不飽和基含有化合物(a2)が有する官能基は、アクリル系共重合体(a1)が有する官能基含有モノマー単位の官能基の種類に応じて、適宜選択することができる。例えば、アクリル系共重合体(a1)が有する官能基がヒドロキシ基、アミノ基または置換アミノ基の場合、不飽和基含有化合物(a2)が有する官能基としてはイソシアネート基またはエポキシ基が好ましく、アクリル系共重合体(a1)が有する官能基がエポキシ基の場合、不飽和基含有化合物(a2)が有する官能基としてはアミノ基、カルボキシ基またはアジリジニル基が好ましい。
また上記不飽和基含有化合物(a2)には、エネルギー線重合性の炭素−炭素二重結合が、1分子中に少なくとも1個、好ましくは1〜6個、さらに好ましくは1〜4個含まれている。このような不飽和基含有化合物(a2)の具体例としては、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート、アリルイソシアネート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、2−(1−アジリジニル)エチル(メタ)アクリレート、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等が挙げられる。
上記不飽和基含有化合物(a2)は、上記アクリル系共重合体(a1)の官能基含有モノマーモル数に対して、好ましくは50モル%以上、特に好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上の割合で用いられる。また、上記不飽和基含有化合物(a2)は、上記アクリル系共重合体(a1)の官能基含有モノマーモル数に対して、好ましくは95モル%以下、特に好ましくは93モル%以下、さらに好ましくは90モル%以下の割合で用いられる。
アクリル系共重合体(a1)と不飽和基含有化合物(a2)との反応においては、アクリル系共重合体(a1)が有する官能基と不飽和基含有化合物(a2)が有する官能基との組合せに応じて、反応の温度、圧力、溶媒、時間、触媒の有無、触媒の種類を適宜選択することができる。これにより、アクリル系共重合体(a1)中に存在する官能基と、不飽和基含有化合物(a2)中の官能基とが反応し、不飽和基がアクリル系共重合体(a1)中の側鎖に導入され、エネルギー線硬化型重合体(A)が得られる。
このようにして得られるエネルギー線硬化型重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、1万以上であるのが好ましく、特に15万以上であるのが好ましく、さらには20万以上であるのが好ましい。また、当該重量平均分子量(Mw)は、150万以下であるのが好ましく、特に100万以下であるのが好ましい。なお、本明細書における重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
エネルギー線硬化性粘着剤が、エネルギー線硬化型重合体(A)といったエネルギー線硬化性を有するポリマーを主成分とする場合であっても、エネルギー線硬化性粘着剤は、エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)をさらに含有してもよい。
エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)としては、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル等を使用することができる。
かかるエネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の単官能性アクリル酸エステル類、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等の多官能性アクリル酸エステル類、ポリエステルオリゴ(メタ)アクリレート、ポリウレタンオリゴ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エネルギー線硬化型重合体(A)に対し、エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)を配合する場合、エネルギー線硬化性粘着剤中におけるエネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)の含有量は、エネルギー線硬化型重合体(A)100質量部に対して、0質量部超であることが好ましく、特に60質量部以上であることが好ましい。また、当該含有量は、エネルギー線硬化型重合体(A)100質量部に対して、250質量部以下であることが好ましく、特に200質量部以下であることが好ましい。
ここで、エネルギー線硬化性粘着剤を硬化させるためのエネルギー線として紫外線を用いる場合には、光重合開始剤(C)を添加することが好ましく、この光重合開始剤(C)の使用により、重合硬化時間および光線照射量を少なくすることができる。
光重合開始剤(C)としては、具体的には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサンソン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノン、(2,4,6−トリメチルベンジルジフェニル)フォスフィンオキサイド、2−ベンゾチアゾール−N,N−ジエチルジチオカルバメート、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−プロペニル)フェニル]プロパノン}、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤(C)は、エネルギー線硬化型共重合体(A)(エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)を配合する場合には、エネルギー線硬化型共重合体(A)およびエネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)の合計量100質量部)100質量部に対して0.1質量部以上、特に0.5質量部以上の量で用いられることが好ましい。また、光重合開始剤(C)は、エネルギー線硬化型共重合体(A)(エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)を配合する場合には、エネルギー線硬化型共重合体(A)およびエネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)の合計量100質量部)100質量部に対して10質量部以下、特に6質量部以下の量で用いられることが好ましい。
エネルギー線硬化性粘着剤においては、上記成分以外にも、適宜他の成分を配合してもよい。他の成分としては、例えば、非エネルギー線硬化性ポリマー成分またはオリゴマー成分(D)、架橋剤(E)等が挙げられる。
非エネルギー線硬化性ポリマー成分またはオリゴマー成分(D)としては、例えば、ポリアクリル酸エステル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリオレフィン等が挙げられ、重量平均分子量(Mw)が3000〜250万のポリマーまたはオリゴマーが好ましい。当該成分(D)をエネルギー線硬化性粘着剤に配合することにより、硬化前における粘着性および剥離性、硬化後の強度、他の層との接着性、保存安定性などを改善し得る。当該成分(D)の配合量は特に限定されず、エネルギー線硬化型共重合体(A)100質量部に対して0質量部超、50質量部以下の範囲で適宜決定される。
架橋剤(E)としては、エネルギー線硬化型共重合体(A)等が有する官能基との反応性を有する多官能性化合物を用いることができる。このような多官能性化合物の例としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アミン化合物、メラミン化合物、アジリジン化合物、ヒドラジン化合物、アルデヒド化合物、オキサゾリン化合物、金属アルコキシド化合物、金属キレート化合物、金属塩、アンモニウム塩、反応性フェノール樹脂等を挙げることができる。
架橋剤(E)の配合量は、エネルギー線硬化型共重合体(A)100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、特に0.03質量部以上であることが好ましく、さらには0.04質量部以上であることが好ましい。また、架橋剤(E)の配合量は、エネルギー線硬化型共重合体(A)100質量部に対して、8質量部以下であることが好ましく、特に5質量部以下であることが好ましく、さらには3.5質量部以下であることが好ましい。
次に、エネルギー線硬化性粘着剤が、非エネルギー線硬化性ポリマー成分と少なくとも1つ以上のエネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとの混合物を主成分とする場合について、以下説明する。
非エネルギー線硬化性ポリマー成分としては、例えば、前述したアクリル系共重合体(a1)と同様の成分が使用できる。
少なくとも1つ以上のエネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとしては、前述の成分(B)と同じものが選択できる。非エネルギー線硬化性ポリマー成分と少なくとも1つ以上のエネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとの配合比は、非エネルギー線硬化性ポリマー成分100質量部に対して、少なくとも1つ以上のエネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーが1質量部以上であるのが好ましく、特に60質量部以上であるのが好ましい。また、当該配合比は、非エネルギー線硬化性ポリマー成分100質量部に対して、少なくとも1つ以上のエネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーが200質量部以下であるのが好ましく、特に160質量部以下であるのが好ましい。
この場合においても、上記と同様に、光重合開始剤(C)や架橋剤(E)を適宜配合することができる。
第1の粘着剤層21では、後述する粘着力比が、0.5以上であることが好ましく、特に0.7以上であることが好ましく、さらには0.9以上であることが好ましい。また、当該粘着力比は、10以下であることが好ましく、特に5以下であることが好ましく、さらには3以下であることが好ましい。
ここで、第1の粘着剤層21の粘着力比とは、半導体加工用シート1の耐熱シート2におけるフレキシブルシート3とは反対の面にシリコンミラーウエハを貼付してなる積層体を用意し、当該積層体に対して第1の粘着剤層21に対してエネルギー線を照射した後、さらに当該積層体を120℃で1時間加熱する前における、半導体加工用シート1のシリコンミラーウエハに対する粘着力をFaとし、当該積層体における第1の粘着剤層21に対してエネルギー線を照射した後、さらに当該積層体を120℃で1時間加熱した後における、半導体加工用シート1のシリコンミラーウエハに対する粘着力をFbとしたときに、下記式(2)
粘着力比=Fb/Fa … (2)
から算出される粘着力比をいう。
上記粘着力比が0.5以上であることで、紫外線照射および加熱の処理後においても、半導体加工用シート1からの半導体チップの脱離を効果的に抑制することができる。また、上記粘着力比が10以下であることで、紫外線照射および加熱の処理後の第1の粘着剤21と半導体チップとが過度に密着することがなく、ピックアップ工程において、半導体チップの良好なピックアップが可能となる。
なお、上記粘着力Faは、半導体加工用シート1の粘着面と、シリコンミラーウエハ(直径8インチ,厚さ50μm)のミラー面とを、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、2kgゴムローラーを用いて貼り合わせ、20分静置した後、得られた上記シリコンミラーウエハと半導体加工用シート1との積層体について、万能型引張試験機(島津製作所社製,製品名「オートグラフAG−IS」)を用いて、JIS Z0237に準じて、剥離角度180°および剥離速度300mm/minで、半導体加工用シート1をシリコンミラーウエハから剥がすときの粘着力(N/25mm)として測定されるものである。
また、上記粘着力Fbは、次の通りに測定されたものである。まず、半導体加工用シート1の粘着面と、シリコンミラーウエハ(直径8インチ,厚さ50μm)のミラー面とを、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、2kgゴムローラーを用いて貼り合わせ、20分静置する。次に、得られた上記シリコンミラーウエハと半導体加工用シート1との積層体について、紫外線照射装置(リンテック社製,製品名「RAD−2000」)を用いて、当該積層体における半導体加工用シート1側から第1の粘着剤層21に対して紫外線(UV)を照射し(照度:230mW/cm,光量:190mJ/cm)、その後、当該積層体を、オーブンを用いて120℃で1時間加熱する。さらに、23℃まで冷却させた積層体について、万能型引張試験機(島津製作所社製,製品名「オートグラフAG−IS」)を用いて、JIS Z0237に準じて、剥離角度180°および剥離速度300mm/minで、半導体加工用シート1をシリコンミラーウエハから剥がし、そのときに測定される粘着力(N/25mm)として、粘着力Fbが得られる。
第1の粘着剤層21の厚さは、特に限定されず、例えば、3μm以上であることが好ましく、特に5μm以上であることが好ましい。また、当該厚さは、50μm以下であることが好ましく、特に40μm以下であることが好ましい。
2.フレキシブルシート
(1)第2の基材
本実施形態に係る半導体加工用シート1では、第2の基材32の23℃における引張弾性率が、50MPa以上であり、70MPa以上であることが好ましく、特に80MPa以上であることが好ましい。また、当該引張弾性率は、1000MPa以下であり、700MPa以下であることが好ましく、特に550MPa以下であることが好ましい。当該引張弾性率が50MPa未満であると、半導体加工用シート1上に半導体ウエハや半導体チップを積層した場合に、それらを十分に支持することができなくなる。また、当該引張弾性率が1000MPaを超えると、フレキシブルシート3の柔軟性が低下し、半導体加工用シート1を介して半導体チップを突き上げることが困難となったり、フレキシブルシート3をエキスパンドする場合に十分に延伸できなくなる。上記引張弾性率の測定方法は、後述する実施例の欄に記載する通りである。
第2の基材32は、融点が130℃以上の材料からなることが好ましく、特に融点が150℃以上の材料からなることが好ましく、さらには融点が180℃以上の材料からなることが好ましい。第2の基材32を構成する材料の融点が130℃以上であることで、半導体加工用シート1を加熱する工程において第2の基材32が加熱されたとしても、溶融して加熱テーブル等に固着してしまうことが抑制される。なお、第2の基材32を構成する材料の融点の上限について特に制限はないものの、通常、第2の基材32は、融点が500℃以下の材料からなることが好ましく、特に融点が400℃以下の材料からなることが好ましく、さらには融点が300℃以下の材料からなることが好ましい。
第2の基材32を構成する材料について、熱機械分析装置を用いて荷重0.2gの下、10℃/分の昇温温度で23℃から120℃まで加熱したときの膨張率は、10.0%以下であることが好ましく、特に7.0%以下であることが好ましく、さらには3.0%以下であることが好ましい。ここにいう第2の基材32における膨張率とは、熱機械分析装置を用いて、荷重0.2gの下、10℃/分の昇温温度で、第2の基材32を23℃から120℃まで加熱したときのMD方向およびCD方向のそれぞれについての膨張率のうち、数値の大きい方をいい、その測定方法は後述する実施例の欄に示す通りである。当該膨張率が10.0%以下であることで、半導体加工用シート1を加熱する際に、半導体加工用シート1の変形が効果的に抑制され、半導体加工用シート1上に設けられた半導体チップを所望の温度および時間で加熱することが可能となる。なお、上記膨張率の下限については特に制限はないものの、通常、上記膨張率は、−10.0%以上であることが好ましく、特に−7.0%以上であることが好ましく、さらには−3.0%以上であることが好ましい。
第2の基材32としては、23℃における引張弾性率が上記範囲を満たし、好ましくは上記範囲の融点および熱機械分析装置の少なくとも一方を有するものであれば、その構成材料は特に限定されず、通常は樹脂系の材料を主材とするフィルム(以下「樹脂フィルム」という。)から構成される。
第2の基材32のための樹脂フィルムの具体例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)フィルム、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム、高密度ポリエチレン(HDPE)フィルム等のポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、エチレン−ノルボルネン共重合体フィルム、ノルボルネン樹脂フィルム等のポリオレフィン系フィルム;軟質ポリブチレンテレフタレートフィルム;エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム等のエチレン系共重合フィルム;ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム等のポリ塩化ビニル系フィルム;ポリスチレンフィルム;フッ素樹脂フィルムなどが挙げられる。またこれらの架橋フィルム、アイオノマーフィルムのような変性フィルムも用いられる。上記第2の基材32はこれらの1種からなるフィルムでもよいし、さらにこれらを2種類以上組み合わせた積層フィルムであってもよい。上記の中でも、優れた柔軟性を示すという観点から、ポリプロピレンフィルムまたは軟質ポリブチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
また、第2の基材32として、自己粘着性または自己接着性を有する樹脂フィルムを使用してもよい。このような樹脂フィルムを第2の基材32として使用する場合、フレキシブルシート3は第2の粘着剤層31を含まないものとすることができ、本実施形態に係る半導体加工用シート1の製造工程を簡素化することができる。このような樹脂フィルムとしては、ガラス転移温度(Tg)が20℃以下である樹脂からなるフィルムを使用することが好ましく、特にTgが0℃以下である樹脂からなるフィルムを使用することが好ましく、さらにはTgが−20℃以下である樹脂からなるフィルムを使用することが好ましい。
第2の基材32に対して後述する第2の粘着剤層31を積層する場合、第2の粘着剤層31との密着性を向上させる目的で、第2の基材32における第2の粘着剤層31を積層する面には、第1の基材22と同様に、酸化法や凹凸化法などによる表面処理、あるいはプライマー処理を施してもよい。
第2の基材32は、上記樹脂フィルム中に、着色剤、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、フィラー等の各種添加剤を含有してもよい。
第1の粘着剤層21が、活性エネルギー線により硬化する材料を含む場合、第2の基材32は活性エネルギー線に対する透過性を有することが好ましい。
第2の基材32の厚さは、20μm以上であることが好ましく、特に25μm以上であることが好ましく、さらには50μm以上であることが好ましい。また、当該厚さは、450μm以下であることが好ましく、特に400μm以下であることが好ましく、さらには350μm以下であることが好ましい。当該厚さが20μm以上であることで、半導体加工用シート1上に半導体ウエハや半導体チップ等を良好に支持することができる。また、当該厚さが450μm以下であることで、半導体加工用シート1をロール状に巻き取った際に、フレキシブルシート2と耐熱シート3との界面における剥離を抑制することができる。
(2)第2の粘着剤層
本実施形態に係る半導体加工用シート1では、フレキシブルシート3が第2の粘着剤層31を備えていてもよい。これにより、耐熱シート2とフレキシブルシート3との密着性を向上させることができる。
第2の粘着剤層31を構成する粘着剤としては、特に限定されないものの、耐熱性を有するものであることが好ましい。第2の粘着剤層31は、非エネルギー線硬化性粘着剤から構成されることが好ましい。非エネルギー線硬化性粘着剤としては、所望の粘着力を有するものが好ましく、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリビニルエーテル系粘着剤等を使用することができる。
第2の粘着剤層31の厚さは、特に限定されず、例えば、3μm以上であることが好ましく、特に5μm以上であることが好ましい。また、当該厚さは、50μm以下であることが好ましく、特に40μm以下であることが好ましい。
3.剥離シート
本実施形態に係る半導体加工用シート1では、耐熱シート2におけるフレキシブルシート3とは反対の面を半導体ウエハや半導体チップ等に貼付するまでの間、当該面を保護する目的で、当該面に剥離シートが積層されていてもよい。剥離シートの構成は任意であり、プラスチックフィルムを剥離剤等により剥離処理したものが例示される。プラスチックフィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、およびポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルムが挙げられる。剥離剤としては、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系等を用いることができ、これらの中で、安価で安定した性能が得られるシリコーン系が好ましい。剥離シートの厚さについては特に制限はないが、通常20μm以上、250μm以下である。
4.物性等
本実施形態に係る半導体加工用シート1では、耐熱シート2におけるフレキシブルシート3とは反対の面にシリコンミラーウエハを貼付してなる積層体を用意し、その第1の粘着剤層21に対してエネルギー線を照射し、120℃で1時間加熱した積層体について、半導体加工用シート1の当該シリコンミラーウエハに対する粘着力をF1とし、フレキシブルシート3の耐熱シート2に対する粘着力をF2としたときに、下記式(1)
F1<F2 … (1)
の関係を満たすことが好ましい。これにより、半導体加工用シート1から半導体チップをピックアップする際に、耐熱シート2からのフレキシブルシート3の剥がれが発生することがなく、良好なピックアップが可能となる。特に、ダイシング工程における耐熱シート2の切断により、耐熱シート2の断片が生じている場合があるが、当該断片が付着した半導体チップがピックアップされることが抑制され、その後の半導体チップを備える半導体装置の製造に支障が生じることがない。
なお、上記粘着力F1は、次の通りに測定されたものである。まず、半導体加工用シート1における粘着面と、シリコンミラーウエハ(直径8インチ,厚さ50μm)のミラー面とを、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、2kgゴムローラーを用いて貼り合わせ、20分静置し、続いて、紫外線照射装置(リンテック社製,製品名「RAD−2000」)を用いて、上記シリコンミラーウエハと半導体加工用シート1との積層体における半導体加工用シート1側から第1の粘着剤層21に対して紫外線を照射し(照度:230mW/cm,光量:190mJ/cm)、さらに、当該積層体をオーブンを用いて120℃で1時間加熱することで、測定用サンプルを得る。得られた測定用サンプルについて、万能型引張試験機(島津製作所社製,製品名「オートグラフAG−IS」)を用いて、JIS Z0237に準じて、剥離角度180°および剥離速度300mm/minで、シリコンミラーウエハから半導体加工用シート1を剥がし、そのとき測定される粘着力(N/25mm)として、粘着力F1が得られる。
また、上記粘着力F2は、次の通りに測定されたものである。粘着力F1の測定のために作製する上記試験サンプルと同様に作製した試験サンプルについて、万能型引張試験機(島津製作所社製,製品名「オートグラフAG−IS」)を用いて、JIS Z0237に準じて、剥離角度180°および剥離速度300mm/minで、フレキシブルシート3のみを耐熱シート2から剥がし、そのとき測定される粘着力(N/25mm)として、粘着力F2が得られる。
5.半導体加工用シートの製造方法
本実施形態に係る半導体加工用シート1の製造方法としては、特に限定されず、例えば、最初に耐熱シート2およびフレキシブルシート3をそれぞれ作製した後、それらを積層することで半導体加工用シート1を得ることができる。あるいは、半導体加工用シート1を構成する各層を順に積層することで、半導体加工用シート1を得てもよい。
以下に、耐熱シート2およびフレキシブルシート3をそれぞれ作製した後、それらを積層することで半導体加工用シート1を製造する方法を説明する。
耐熱シート2は、例えば、第1の粘着剤層21のための粘着性組成物を使用して、第1の基材22の片面に第1の粘着剤層21を積層することで得ることができ、その具体的な方法は特に限定されない。
耐熱シート2の製造方法の一例を挙げれば、上記粘着性組成物、および所望によりさらに溶媒または分散媒を含有する塗工液を調製し、前述した剥離シートにおける剥離処理した面(以下「剥離面」という場合がある。)上に、ダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、スリットコーター、ナイフコーター、アプリケータ等によりその塗工液を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥させることにより、第1の粘着剤層21と剥離シートとからなる積層体を形成することができる。塗工液は、塗布を行うことが可能であればその性状は特に限定されず、第1の粘着剤層21を形成するための成分を溶質として含有する場合もあれば、分散質として含有する場合もある。上記積層体を得た後、その第1の粘着剤層21における剥離シート側の面と反対側の面を、第1の基材22に貼付することで、剥離シートが積層された耐熱シート2を得ることができる。
耐熱シート2の製造方法の別の例としては、上記塗工液を、第1の基材22の片面上に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥させることにより、耐熱シート2を得てもよい。
塗工液が架橋剤を含有する場合には、上記の乾燥の条件(温度、時間など)を変えることにより、または加熱処理を別途設けることにより、塗膜内の非エネルギー線硬化性ポリマーまたはエネルギー線硬化型重合体(A)と架橋剤(E)との架橋反応を進行させ、第1の粘着剤層21内に所望の存在密度で架橋構造を形成させればよい。この架橋反応を十分に進行させるために、上記の方法などによって第1の基材22に第1の粘着剤層21を積層させた後、得られた耐熱シート2を、例えば23℃、相対湿度50%の環境に数日間静置するといった養生を行ってもよい。
フレキシブルシート3が第2の粘着剤層31と第2の基材32とを備える場合、当該フレキシブルシート3も耐熱シート2と同様に製造することができる。すなわち、第2の粘着剤層31のための粘着性組成物を用いて、剥離シート上に第2の粘着剤層31を形成した後、第2の粘着剤層31における剥離シート側の面と反対側の面を第2の基材32に貼付することで、剥離シートが積層されたフレキシブルシート3を得ることができる。あるいは、上記粘着性組成物を用いて、第2の基材32上に第2の粘着剤層31を形成することで、フレキシブルシート3を得ることができる。
得られた耐熱シート2およびフレキシブルシート3を積層する方法は特に限定されず、例えば、耐熱シート2における第1の基材22側の面と、フレキシブルシート3における第2の粘着剤層31側の面とを、温度23℃において、ロールラミネータ等を用いて貼り合せることで、半導体加工用シート1を得ることができる。
6.半導体加工用シートの使用方法
本実施形態に係る半導体加工用シート1は、半導体装置を製造する方法に使用することができる。特に、半導体加工用シート1は、半導体装置を半導体加工用シート1上で加熱する工程および半導体装置を半導体加工用シート1からピックアップする工程の少なくとも一方を含む半導体装置の製造方法に使用することが好ましい。このような、半導体装置の製造方法の詳細については後述する。
〔半導体装置の製造方法〕
本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法は、前述した半導体加工用シート1を使用して、半導体装置を製造する方法である。本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、半導体加工用シート1における第1の粘着剤層21側の面上に半導体ウエハを設けるウエハ準備工程、半導体ウエハを耐熱シート2とともに厚さ方向に切断するか、または、半導体ウエハを厚さ方向に切断するとともに、耐熱シート2に厚さ方向の切れ込みを入れることで、半導体ウエハが個片化されてなる複数の半導体チップを得るダイシング工程、半導体チップを半導体加工用シート1上で加熱する加熱工程、フレキシブルシート3を延伸して、複数の半導体チップを互いに離間させるエキスパンド工程、および離間した半導体チップを半導体加工用シート1から個々にピックアップするピックアップ工程を備える。
図2は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を説明する断面図である。図2を参照して、上述した各工程について、以下に説明する。
(1)ウエハ準備工程
最初に、図2(b)に示されるように、ウエハ準備工程として、半導体加工用シート1における第1の粘着剤層21側の面上(図2では、耐熱シート2におけるフレキシブルシート3とは反対の面上)に半導体ウエハ4を設ける。なお、図2(b)では省略されているものの、耐熱シート2におけるフレキシブルシート3とは反対の面の周縁部に、さらにリングフレームを貼付してもよい。
(2)ダイシング工程
次に、図2(c)に示されるように、ダイシング工程として、半導体加工用シート1上において半導体ウエハ4をダイシングし、半導体ウエハが個片化されてなる複数の半導体チップ4’を得る。このとき、耐熱シート2における半導体ウエハ4が貼付されている領域は、半導体ウエハ4とともに厚さ方向に切断され、耐熱シート2における当該領域が切断されてなる切断片2’も形成される。一方、耐熱シート2の周縁部、具体的には耐熱シート2における半導体ウエハ4が貼付されていない領域はダイシングされない。なお、半導体ウエハ4のダイシングの際、耐熱シート2を厚さ方向に完全に切断する必要はなく、耐熱シート2に厚さ方向の切れ込みが入った状態にとどめてもよい。
上記ダイシングの方法は特に限定されず、一般的な方法で行うことができる。例えば、ダイシングブレードを用いることで、またはレーザ光を照射することで、半導体ウエハを完全に分断し、複数の半導体チップ4’に個片化するとともに、耐熱シート2を切断するか、または耐熱シート2に切れ込みを入れてもよい。
(3)加熱工程
次に、加熱工程として、半導体加工用シート1上の半導体チップ4’を加熱する。当該加熱の目的は特に限定されず、例えば、半導体チップ4’への蒸着やスパッタリング等に伴う副次的な加熱であってもよく、脱湿のために半導体チップ4’をベーキングする際の加熱であってもよく、または、高温環境に対する耐久試験のための半導体チップ4’の加熱であってもよい。
加熱する方法は特に限定されず、加熱の目的に応じて決定される。特に、高温環境に対する耐久試験を行う場合には、半導体加工用シート1における半導体チップ4’が積層されている面とは反対の面を加熱テーブルに載置することで加熱することが好ましい。当該加熱テーブルを用いた加熱の具体的方法は、後述する試験例に示す通りである。
加熱の温度は、加熱の目的に応じて設定することができるが、例えば、80℃以上であることが好ましく、特に100℃以上であることが好ましい。また、当該温度は、300℃以下であることが好ましく、特に270℃以下であることが好ましい。加熱時間も、加熱の目的に応じて設定することができるものの、例えば、10分以上であることが好ましく、特に30分以上であることが好ましく。また、加熱時間は、25時間以下であることが好ましく、特に10時間以下であることが好ましい。
本実施形態に係る半導体装置の製造方法に用いる半導体加工用シート1では、耐熱シート2が、前述した範囲の融点を有する材料からなる第1の基材22、または前述した範囲の膨張率を示す材料からなる第1の基材22を備えることにより、耐熱シート2が優れた耐熱性を有するものとなる。そして、前述の通り、当該耐熱シート2の周縁部は上記ダイシング工程においてダイシングされていない。そのため、加熱工程において、半導体加工用シート1の加熱による変形が抑制され、加熱処理を良好に行うことができる。
(4)エキスパンド工程
次に、図2(d)に示されるように、エキスパンド工程として、半導体加工用シート1を延伸して、複数の半導体チップ4’を互いに離間させる。エキスパンドの方法は特に限定されず、一般的な方法により行うことができる。
半導体加工用シート1の延伸の際には、優れた柔軟性を有するフレキシブルシート3が良好に延伸するとともに、ダイシング工程を経た耐熱シート2がフレキシブルシート3の延伸を妨げない。具体的には、耐熱シート2が、半導体チップ4’が貼付されている領域において厚さ方向に完全に切断されている場合には、耐熱シート2の切断片2’同士が離間することで、フレキシブルシート3の延伸に追従し、耐熱シート2が完全に切断されず、厚さ方向に切れ込みが入った状態にとどめられていた場合には、当該切れ込み部分において耐熱シート2が広がるか、または、当該切れ込み部分において耐熱シート2が破断することで、フレキシブルシート3の追従に対応する。
したがって、本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、半導体加工用シート1全体として効果的にエキスパンドすることができ、半導体チップ4’を十分に離間することが可能となる。
(5)ピックアップ工程
最後に、図2(e)に示されるように、ピックアップ工程として、離間した半導体チップ4’を半導体加工用シート1から個々にピックアップする。このとき、半導体チップ4’と耐熱シート2との界面において剥離させ、半導体チップ4’のみをピックアップする。ピックアップの方法は特に限定されず、一般的な方法により行うことができる。
耐熱シート2の第1の粘着剤層21が、エネルギー線硬化性粘着剤から構成されている場合、ピックアップを行う前に、第2の粘着剤層31に対してエネルギー線を照射することが好ましい。これにより、耐熱シート2の半導体チップ4’に対する粘着力が低下し、半導体チップ4’を耐熱シート2から良好に剥離させることが可能となる。
上記エネルギー線照射におけるエネルギー線としては、例えば、電磁波または荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを使用でき、具体的には、紫外線や電子線などを使用することができる。特に、取扱いが容易な紫外線が好ましい。紫外線の照射は、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、LED等によって行うことができ、紫外線の照射量は、照度が50mW/cm以上、1000mW/cm以下であることが好ましい。また、光量は、50mJ/cm以上であることが好ましく、特に80mJ/cm以上であることが好ましく、さらには200mJ/cm以上であることが好ましい。また、光量は、10000mJ/cm以下であることが好ましく、特に5000mJ/cm以下であることが好ましく、さらには2000mJ/cm以下であることが好ましい。一方、電子線の照射は、電子線加速器等によって行うことができ、電子線の照射量は、10krad以上、1000krad以下が好ましい。
本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、上記エキスパンド工程において、半導体チップ4’同士が良好に離間しているため、ピックアップ工程においては、半導体チップ4’の衝突等を抑制して良好にピックアップすることが可能となる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、耐熱シート2における第1の粘着剤層21と第1の基材22との間、フレキシブルシート3における第2の粘着剤層31と第2の基材32との間、耐熱シート2とフレキシブルシート3との間、またはフレキシブルシート3における耐熱シート2とは反対の面には、その他の層が設けられてもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
(1)耐熱シート用の粘着性組成物の調製
2−エチルヘキシルアクリレート50質量部(固形分換算,以下同じ)と、メチルアクリレート40質量部と、アクリル酸10質量部とを共重合させて、重量平均分子量が70万のアクリル系共重合体を得た。
得られたアクリル系共重合体35質量部と、エネルギー線硬化性のオリゴマーとしての多官能型UV硬化性樹脂(日本合成化学工業社製,製品名「紫光UV−5806」)40質量部と、架橋剤としてのトリメチロールプロパン変性トルエンジイソシアネート(TDI−TMP)(東ソー社製,製品名「コロネートL」)3質量部と、光重合開始剤としての2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(BASF社製,製品名「イルガキュア127」)1質量部とを混合し、酢酸エチルにて希釈して、固形分の含有量が24質量%である、耐熱シート用の粘着剤組成物の塗布液を得た。
(2)フレキシブルシート用の粘着性組成物の調製
イソブチルアクリレート65質量部と、2−エチルヘキシルアクリレート20質量部と、メチルメタクリレート10質量部と、2−ヒドロキシエチルアクリレート5質量部とを共重合させて、重量平均分子量が70万のアクリル系共重合体を得た。
得られたアクリル系共重合体35質量部と、架橋剤としてのトリメチロールプロパン変性キシレンジイソシアネート(三井化学ポリウレタン社製,製品名「タケネートD−110N」)4質量部とを混合し、酢酸エチルにて希釈して、固形分の含有量が24質量%である、フレキシブルシート用の粘着剤組成物の塗布液を得た。
(3)耐熱シートの作製
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の主面がシリコーン系剥離剤によって剥離処理されてなる剥離フィルム(リンテック社製,製品名「SP−PET381031」)の剥離処理面上に、アプリケータを用いてギャップを調整しながら、上記工程(1)において調製した耐熱シート用の粘着剤組成物の塗布液を塗布し、100℃で2分間乾燥させることで、厚さが10μmである第1の粘着剤層を形成し、剥離フィルムと第1の粘着剤層とからなる積層体を得た。
次に、第1の基材としての、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製,製品名「ルミラー50T60」,厚さ:50μm)の一方の面上に、剥離フィルムと第1の粘着剤層とからなる積層体における第1の粘着剤層側の面を貼付した。これにより、第1の基材と第1の粘着剤層とからなる耐熱シートを、第1の粘着剤層における第1の基材と反対側の面に剥離フィルムが積層された状態で得た。
なお、上記第1の基材の融点を、熱重量測定装置(パーキンエルマー社製,製品名「Pyris1」)を用いて測定したところ、260℃であった。具体的な測定方法としては、第1の基材を50℃から300℃まで毎分10℃で加熱し、DSC(示差走査熱量分析)測定を行い、吸熱ピークが観測される温度を融点とした。
また、上記第1の基材のMD方向およびCD方向のそれぞれについて、熱機械分析装置(Thermomechanical Analyzer,TMA)(ブルカーエーエックスエス社製,製品名「TMA4000SA」)を用いて、荷重0.2gの下、10℃/分の昇温温度で23℃から120℃まで加熱したときの、初期寸法L(mm)および120℃到達時寸法L(mm)を測定し、以下式(3)
膨張率(%)=(L−L)/L×100 … (3)
から膨張率を算出したところ、MD方向については−0.5%であり、CD方向については−0.3%であった。
(4)フレキシブルシートの作製
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の主面がシリコーン系剥離剤によって剥離処理されてなる剥離フィルム(リンテック社製,製品名「SP−PET381031」)の剥離処理面上に、アプリケータを用いてギャップを調整しながら、上記工程(2)において調製したフレキシブルシート用の粘着剤組成物の塗布液を塗布し、100℃で2分間乾燥させることで、厚さが10μmである第2の粘着剤層を形成し、剥離フィルムと第2の粘着剤層とからなる積層体を得た。
次に、第2の基材としての、ポリプロピレンフィルム(ダイヤプラスフィルム社製,製品名「PL105」,厚さ:140μm)の一方の面上に、剥離フィルムと第2の粘着剤層とからなる積層体における第2の粘着剤層側の面を貼付した。これにより、第2の基材と第2の粘着剤層とからなるフレキシブルシートを、第2の粘着剤層における第2の基材と反対側の面に剥離フィルムが積層された状態で得た。
なお、第2の基材の融点、MD方向についての膨張率およびCD方向についての膨張率を、それぞれ第1の基材の融点および膨張率と同様の測定方法で測定したところ、それぞれ130℃、0.7%および4.0%であった。
また、第2の基材を15mm×140mmの試験片に裁断し、JIS K7127:1999に準拠して、MD方向の23℃における引張弾性率を測定したところ、670MPaであった。具体的な測定方法としては、上記試験片を、引張試験機(島津製作所製,製品名「オートグラフAG−IS 500N」等)にて、チャック間距離100mmに設定した後、200mm/分の速度で引張試験を行うことで、引張弾性率を得た。
(5)半導体加工用シートの作製
上記工程(3)で得られた剥離フィルムが積層された耐熱シートにおける第1の基材側の面と、上記工程(4)で得られた剥離フィルムが積層されたフレキシブルシートから剥離フィルムを剥離し、露出した第2の粘着剤層側の面とを、温度23℃でロールラミネータを用いて貼り合せることで、半導体加工用シートを得た。
〔実施例2〕
第2の基材として、軟質ポリブチレンテレフタレートフィルム(オージーフィルム社製,製品名「BS−140」,厚さ:140μm)を使用した以外、実施例1と同様にして半導体加工用シートを製造した。
なお、上記軟質ポリブチレンテレフタレートフィルムの融点、MD方向についての膨張率およびCD方向についての膨張率を、それぞれ、実施例1における第1の基材の融点および膨張率と同様の測定方法で測定したところ、それぞれ210℃、1.3%および1.9%であった。また、上記軟質ポリブチレンテレフタレートフィルムにおけるMD方向の23℃における引張弾性率を、実施例1と同様の測定方法にて測定したところ、500MPaであった。
〔比較例1〕
実施例1の製造方法における上記工程(5)において耐熱シートとフレキシブルシートとを積層せず、剥離フィルムと第1の基材と第1の粘着剤層とがこの順に積層されてなる耐熱シートを比較例1の半導体加工用シートとする以外、実施例1と同様にして半導体加工用シートを製造した。
〔比較例2〕
第1の基材として、ポリプロピレンフィルム(ダイヤプラスフィルム社製,製品名「PL105」,厚さ:140μm,)を使用した以外、実施例1と同様にして半導体加工用シートを製造した。
なお、上記ポリプロピレンフィルムの融点、MD方向についての膨張率、CD方向についての膨張率は、実施例1に記載の通り、130℃、0.7%および4.0%である。
〔比較例3〕
第1の基材として、エチレン−メタクリル酸共重合体フィルム(アキレス社製,製品名「EANU80―AL―ND」,厚さ:80μm)を使用した以外、実施例1と同様にして半導体加工用シートを製造した。
なお、上記エチレン−メタクリル酸共重合体フィルムの融点、MD方向についての膨張率、およびCD方向についての膨張率を、それぞれ、実施例1における第1の基材の融点、および膨張率と同様の測定方法で測定したところ、それぞれ90℃、−20%、および10.6%であった。
〔比較例4〕
第1の基材および第2の基材として、それぞれポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製,製品名「ルミラー50T60」,厚さ:50μm)を使用した以外、実施例1と同様にして半導体加工用シートを製造した。
なお、上記ポリエチレンテレフタレートフィルムの融点、MD方向についての膨張率およびCD方向についての膨張率は、実施例1に記載したと通り、それぞれ260℃、−0.5%および−0.3%である。また、上記ポリエチレンテレフタレートフィルムのMD方向の23℃における引張弾性率を、実施例1における第1の基材の引張弾性率と同様の測定方法にて測定したところ、4000MPaであった。
〔試験例1〕(耐熱性の評価)
(1)半導体パッケージの作製
銅箔張り積層板(三菱ガス化学社製,製品名「CCL-HL830」,銅箔の厚さ:18μm)における銅箔に回路パターンを形成した後、当該パターン上にソルダーレジスト(太陽インキ社製,製品名「PSR-4000 AUS303」)を積層してなる基板(ちの技研社製,製品名「LN001E−001 PCB(Au)AUS303」)を用意した。
上記基板に対して、チップを搭載することなく、封止装置(アピックヤマダ社製,製品名「MPC-06M TriAl Press」)を用いて、モールド樹脂(京セラケミカル社製,製品名「KE-1100AS3」)で、封止厚さ400μm、封止サイズ45mm×137mmとなるように矩形状に封止した。その後、モールド樹脂を、175℃で5時間加熱することで硬化させて、半導体パッケージを得た。
(2)ダイシング
実施例および比較例において作製した半導体加工用シートから剥離フィルムを剥離し、露出した第1の粘着剤層側の粘着面に対して、マルチウエハマウンター(リンテック社製,製品名「Adwill RAD−2700F/12」)を用いて、上記工程(1)で得た半導体パッケージ1枚を、半導体加工用シートの流れ方向と半導体パッケージの長辺方向とが平行となり且つ半導体パッケージが半導体加工用シートの中心に位置するように、温度23℃の環境下で貼り合わせた。
さらに、半導体加工用シートにおける第1の粘着剤層側の面の周縁部(半導体パッケージとは重ならない位置)に、ダイシング用リングフレーム(ディスコ社製,製品名「2−8−1」)を付着させた。
次いで、下記の条件で、半導体パッケージをダイシングした。このとき、半導体加工用シートが耐熱シートのみからなる比較例1以外については、半導体パッケージと同時に、耐熱シートにおける当該半導体パッケージが貼付されている領域もダイシングした。
<ダイシング条件>
・ダイシング装置:DISCO社製,製品名「DFD−651」
・ブレード:DISCO社製,製品名「NBC−ZH2050−27HECC」
・ブレード回転数:30000rpm
・切削速度:50mm/分
・切り込み深さ:実施例1〜2および比較例2〜4については、半導体加工用シートに対する切り込み量:100μm,比較例1については、半導体加工用シートに対する切り込み量:50μm
・ダイシングサイズ:3mm×3mm
(3)加熱テーブル試験
次に、予め120℃に加熱され且つバキュームがONとなっている状態のマルチウエハマウンター(リンテック社製,「Adwill RAD−2700F/12」)のマウントテーブルに対し、上記ダイシング後の半導体パッケージおよびリングフレームが貼付された状態の半導体加工用シートを、当該貼付された面とは反対の面がマウントテーブルに接するように、搬送アームを用いて静置した。そして、半導体加工用シートの様子を確認した後、半導体加工用シートをマウントテーブルから離した。この操作を、上記工程(2)で得られた、ダイシング後の半導体パッケージおよびリングフレームが貼付された状態の半導体加工用シート10セットについて行った。
マウントテーブルに静置したときの半導体加工用シートの状態について、以下の基準に基づいて、半導体加工用シートの耐熱性を評価した。結果を表1に示す。
○:10セット全てにおいてマウントテーブルに真空吸着され、マウントテーブル外周部の位置において、シワ等の変形が一切ないか、一部分で認められる程度であった。
△:マウントテーブルに完全に真空吸着されたセット数が、9セット以下、8セット以上であった。
×:マウントテーブルに完全に真空吸着されたセット数が、7セット以下であった。
〔試験例2〕(柔軟性の評価)
上記試験例1の加熱テーブル試験を行った後における、ダイシング後の半導体パッケージおよびリングフレームが貼付された状態の半導体加工用シートの1セットを、エキスパンド装置(JCM社製,製品名「SE−100」)に設置し、リングフレームを5mm/sの速さで、7mmおよび10mmの2種類の引き落とし量で、それぞれ引き落としを行った。そして、以下に基準に基づいて、フレキシブルシートの柔軟性を評価した。結果を表1に示す。
○:引き落とし量7mmおよび10mmの両方の場合において、良好に引き落としができた。
△:引き落とし量10mmの場合については、リングフレームからフレキシブルシートが剥がれたり、設定した速度で引き落としできないといった問題が生じたものの、引き落とし量7mmの場合については、良好に引き落としができた。
×:引き落とし量7mmおよび10mmの両方の場合において、リングフレームからフレキシブルシートが剥がれたり、設定した速度で引き落としできないといった問題が生じた。
なお、表1に記載の略号等の詳細は以下の通りである。
PET:ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製,製品名「ルミラー50T60」,厚さ:50μm)
PP:ポリプロピレンフィルム(ダイヤプラスフィルム社製,製品名「PL105」,厚さ:140μm,)
PBT:軟質ポリブチレンテレフタレートフィルム(オージーフィルム社製,製品名「BS−140」,厚さ:140μm)
EMAA:エチレン−メタクリル酸共重合体フィルム(アキレス社製,製品名「EANU80―AL―ND」,厚さ:80μm)
Figure 0006818612
表1から分かるように、実施例で得られた半導体加工用シートは、柔軟性および耐熱性に優れていた。
本発明の半導体加工用シートは、加熱工程およびピックアップ工程を含む半導体装置の製造方法に好適に使用することができる。
1…半導体加工用シート
2…耐熱シート
21…第1の粘着剤層
22…第1の基材
2’…切断片
3…フレキシブルシート
31…第2の粘着剤層
32…第2の基材
4…半導体ウエハ
4’…半導体チップ

Claims (10)

  1. 複数の半導体チップが積層される粘着面を有する第1の粘着剤層と、前記第1の粘着剤層における前記粘着面とは反対の面側に積層されており、融点が180℃以上、550℃以下の材料からなる第1の基材とを備える耐熱シート、および
    23℃における引張弾性率が50MPa以上、1000MPa以下である第2の基材を少なくとも備え、前記第1の基材における前記第1の粘着剤層とは反対の面側に積層されているフレキシブルシート
    を備え
    前記第2の基材は、熱機械分析装置を用いて荷重0.2gの下、10℃/分の昇温温度で23℃から120℃まで加熱したときの膨張率が−10.0%以上、10.0%以下である材料からなる
    ことを特徴とする半導体加工用シート。
  2. 複数の半導体チップが積層される粘着面を有する第1の粘着剤層と、前記第1の粘着剤層における前記粘着面とは反対の面側に積層されており、熱機械分析装置を用いて荷重0.2gの下、10℃/分の昇温温度で23℃から120℃まで加熱したときの膨張率が−10.0%以上、3.0%以下である材料からなる第1の基材とを備える耐熱シート、および
    23℃における引張弾性率が50MPa以上、1000MPa以下である第2の基材を少なくとも備え、前記第1の基材における前記第1の粘着剤層とは反対の面側に積層されているフレキシブルシート
    を備えることを特徴とする半導体加工用シート。
  3. 前記第2の基材は、熱機械分析装置を用いて荷重0.2gの下、10℃/分の昇温温度で23℃から120℃まで加熱したときの膨張率が−10.0%以上、10.0%以下である材料からなることを特徴とする請求項2に記載の半導体加工用シート。
  4. 前記第2の基材は、融点が130℃以上、500℃以下の材料からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体加工用シート。
  5. 前記第1の粘着剤層は、エネルギー線硬化性粘着剤から構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体加工用シート。
  6. 前記フレキシブルシートは、前記第1の基材と前記第2の基材との間に位置する第2の粘着剤層をさらに備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の半導体加工用シート。
  7. 前記半導体加工用シートにおける前記第1の粘着剤層側の面上に半導体ウエハを設けるウエハ準備工程、
    前記半導体ウエハを前記耐熱シートとともに厚さ方向に切断するか、または、前記半導体ウエハを厚さ方向に切断するとともに、前記耐熱シートに厚さ方向の切れ込みを入れることで、前記半導体ウエハが個片化されてなる複数の半導体チップを得るダイシング工程、
    前記半導体チップを前記半導体加工用シート上で加熱する加熱工程、
    前記フレキシブルシートを延伸して、複数の前記半導体チップを互いに離間させるエキスパンド工程、および
    離間した前記半導体チップを前記半導体加工用シートから個々にピックアップするピックアップ工程
    を備える半導体装置の製造方法において使用されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の半導体加工用シート。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の半導体加工用シートにおける前記第1の粘着剤層側の面上に半導体ウエハを設けるウエハ準備工程、
    前記半導体ウエハを前記耐熱シートとともに厚さ方向に切断するか、または、前記半導体ウエハを厚さ方向に切断するとともに、前記耐熱シートに厚さ方向の切れ込みを入れることで、前記半導体ウエハが個片化されてなる複数の半導体チップを得るダイシング工程、
    前記半導体チップを前記半導体加工用シート上で加熱する加熱工程、
    前記フレキシブルシートを延伸して、複数の前記半導体チップを互いに離間させるエキスパンド工程、および
    離間した前記半導体チップを前記半導体加工用シートから個々にピックアップするピックアップ工程
    を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  9. 前記加熱工程は、前記半導体加工用シートにおける前記半導体チップが積層されている面とは反対の面を加熱テーブルに載置することを含むことを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
  10. 前記第1の粘着剤層は、エネルギー線硬化性粘着剤から構成されており、
    前記半導体装置の製造方法は、前記ピックアップ工程の前に、前記第1の粘着剤層に対してエネルギー線を照射する照射工程をさらに含む
    ことを特徴とする請求項8または9に記載の半導体装置の製造方法。
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