JP5048718B2 - 作業車両用運転室 - Google Patents
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Description
ここで、フェイス吹出口は、エアコンからの送風空気を、オペシートに着座した運転者の顔や胸に向けて吹き出す吹出口である。デフロスト吹出口は、エアコンからの送風空気を、キャブフレームの前窓ガラスおよびドアガラスに向けて吹き出す吹出口である。リア吹出口は、エアコンからの送風空気を、オペレータシートに着座した運転者の後頭部および後窓ガラスや上背部に向けて吹き出す吹出口である。
このため、空調ダクトを流れる送風空気がパワートレインからの熱によって温められ、冷房能力の損失が大きくなるという問題点がある。
また、リア吹出口からは設定温度の送風空気が運転者の後頭部や上背部に向けて吹き出されるのに対し、フェイス吹出口からは設定温度よりも高い温度の送風空気が運転者の顔や胸に向けて吹き出される。このように、温度差のある送風空気が運転者に向けて吹き付けられるので、運転者に不快感を与えてしまうという問題点がある。
中空のボックス構造からなる床部を備える作業車両用運転室において、
前記床部は整備用開口を有し、
前記整備用開口に対して着脱可能で上下に間隔を存して配され前記整備用開口を塞ぐ上側点検カバーおよび下側点検カバーを備え、
前記上側点検カバーと前記下側点検カバーとの間の空間に、空気調和装置からの送風空気を流通させる空調ダクトを分解可能に配置することを特徴とするものである(第1発明)。
また、本発明は、前記第2発明において、前記空調ダクトは前記床部の前後方向に配されて前側のダクトと後側のダクトに分割可能とされ、前記床部上に設置されるオペレータシートの前方に前記分割位置が配されることが好ましい(第3発明)。
また、本発明は、前記第1発明において、前記空調ダクトは前記整備用開口の左右方向中央部に配されることが好ましい(第4発明)。
また、上側点検カバーと下側点検カバーとによって形成される二重床の内部に空調ダクトを配置することにより、フロアフレームの下方からの熱を下側点検カバーによって遮ることができるとともに、上側点検カバーと下側点検カバーとの間の空気層を断熱層として機能させることができる。したがって、空調ダクトを流れる送風空気がフロアフレームの下方からの熱によって温められるのを防ぐことができ、冷房能力の損失を抑えることができる。
本発明によれば、遮音性を確保することができるとともに、空調ダクトの断熱性を確保することができるという効果がある。
なお、空調ダクトは上側点検カバーと下側点検カバーとの間の空間に分解可能に配置されている。例えばフロアフレームの下方に配されているパワートレインの整備時には、まず上側点検カバーをフロアフレームから取り外し、次いで空調ダクトを分解し、その後下側点検カバーをフロアフレームから取り外すことにより、整備用開口を出現させることができる。そして、出現させた整備用開口を通してパワートレインにアクセスすることができるので、整備性を損なうようなことはない。
また、空調ダクトは前側のダクトと後側ダクトに分割可能で個別に分解でき、しかも、その分割位置がオペレータシートの前方にあるため、前側の開口だけで整備できる場合、オペレータシートを取り外さずに整備することができる。
また、空調ダクトは整備用開口の左右方向中央部に配すことができるので、整備用開口から見えない得ないように配置する場合と比較し、空気調和に必要なダクトの断面積を容易に確保することができる。
なお、ここで、空調ダクトの分解とは、整備に必要な開口内にあるダクト部分を開口部にないダクト部分から切り離すことを意味し、空調ダクトの分割とは、整備用開口に配されている空調ダクトを、例えば、前側と後側の2つのダクトに分けることを意味する。
なお、パワートレイン7は、主として、図2に示されるように、前側(図の左側)から後側(図の右側)に向けて順に配置されるエンジン7a、ダンパ7b、ユニバーサルジョイント7c、トルクコンバータ7d、トランスミッション7eおよび終減速装置7fによって構成されている。
ここで、キャブフレーム11は、前窓枠11a、ドア枠11b、側面窓枠11cおよび後窓枠(図示省略)をそれぞれ有し、前窓枠11aには前窓ガラス12が組み付けられ、ドア枠11bにはドア13が組み付けられ、側面窓枠11cには側面窓ガラス14が組み付けられ、後窓枠には後窓ガラス(図示省略)が組み付けられている。
なお、ウェブプレート17は、フロアベース10aの前部に配される前部ウェブプレート17a(図5参照)と、フロアベース10aの後部に配される後部ウェブプレート17bと、これら前部ウェブプレート17aおよび後部ウェブプレート17bを繋ぐようにフロアベース10aの側部に配される側部ウェブプレート17c(図4参照)とより構成されている。
アッパプレート16には、ロアプレート15に形成されている下側整備用開口18と相似形状で一回り大きな上側整備用開口19が貫通して形成されている。
下側整備用開口18と上側整備用開口19とは、平面視で下側整備用開口18が上側整備用開口19に内包される位置関係とされている。
これら下側整備用開口18および上側整備用開口19により、パワートレイン7を整備する際に使用される整備用開口20が形成されている。
これら下側点検カバー21および上側点検カバー22によって蓋体23が構成され、この蓋体23は、整備用開口20を塞ぐ二重床を形成し、内部に空気層を有する中空のボックス構造を呈するものとされている。下側点検カバー21と上側点検カバー22とは別々に整備用開口20から取り外すことができる。
この下側点検カバー21においては、下側前部点検カバー21aと下側後部点検カバー21cとに大きく前後に二分割することができ、これら下側前部点検カバー21aと下側後部点検カバー21cとの分割位置の隙間を下側中間部点検カバー21bが塞ぐという構成が採用されている。
上側点検カバー22においても、下側点検カバー21と同様に、上側前部点検カバー22aと上側後部点検カバー22cとに大きく前後に二分割することができ、これら上側前部点検カバー22aと上側後部点検カバー22cとの分割位置の隙間を上側中間部点検カバー22bが塞ぐという構成が採用されている。
この第1中間部フロアダクト51は、上側前部点検カバー22aと下側前部点検カバー21aとの間の空間に配置され、下側前部点検カバー21a上に支持金具45を介して締結具46により着脱可能に固定されている。
この後部フロアダクト43は、フロアベース10aの後部において、アッパプレート16の下方に配置され、アッパプレート16に吊り下げ支持金具49を介して固定具50により着脱可能に固定されている。
なお、この後部フロアダクト43を下方側から覆うアンダカバー53がフロアベース10aに着脱可能に装着されている。
また、中間部フロアダクト42は、上側点検カバー22と下側点検カバー21とによって形成される二重床の内部に配置されている。そのため、パワートレイン7からの熱を下側点検カバー21によって遮ることができるとともに、上側点検カバー22と下側点検カバー21との間の空気層を断熱層として機能させることができる。
また、後部フロアダクト43はフロアベース10aの後部においてアッパプレート16の下方に配置され、この後部フロアダクト43を下方側から覆うアンダカバー53がフロアベース10aに装着されている。そのため、パワートレイン7からの熱をアンダカバー53によって遮ることができるとともに、アッパプレート16とアンダカバー53との間の空気層を断熱層として機能させることができる。
したがって、フロアダクト30内を流れるエアコン27からの送風空気がパワートレイン7からの熱によって温められるのを防ぐことができ、冷房能力の損失を抑えることができる。また、フェイス吹出口33およびリア吹出口35からは共に設定温度の送風空気が運転者に向けて吹き出されるので、運転者に不快感を与えるようなことがない。
本実施形態のキャブ8によれば、遮音性を確保することができるとともに、フロアダクト30の断熱性を確保することができるという効果がある。
まず、上側点検カバー22を構成する上側前部点検カバー22a、上側中間部点検カバー22bおよび上側後部点検カバー22cをそれぞれフロアベース10aのアッパプレート16から取り外す。なお、上側点検カバー22は大きく上側前部点検カバー22aと上側後部点検カバー22cとに分割可能な構成とされているので、上側点検カバー22の着脱の際のハンドリングが楽であるという利点がある。
次いで、下側中間部点検カバー21bからダクト突合部保持金具56を取り外した後、下側前部点検カバー21aから第1中間部フロアダクト51を取り外すとともに、下側後部点検カバー21cから第2中間部フロアダクト52を取り外す。
次いで、下側点検カバー21を構成する下側前部点検カバー21a、下側中間部点検カバー21bおよび下側後部点検カバー21cをそれぞれフロアベース10aのロアプレート15から取り外す。なお、下側点検カバー21は大きく下側前部点検カバー21aと下側後部点検カバー21cとに分割可能な構成とされているので、下側点検カバー21の着脱の際のハンドリングが楽であるという利点がある。
こうして、空調ダクトの中間部フロアダクト42を分解して取り外すことにより、整備用開口20の全体を出現させることができ、出現させた整備用開口20の全体を通してパワートレイン7にアクセスすることができる。
まず、フロアベース10aのアッパプレート16から上側前部点検カバー22aおよび上側中間部点検カバー22bをそれぞれ取り外す。
次いで、下側中間部点検カバー21bからダクト突合部保持金具56を取り外した後、下側前部点検カバー21aから第1中間部フロアダクト51を取り外す。
次いで、フロアベース10aのロアプレート15から下側前部点検カバー21aを取り外す。
このように分割された第1中間部フロアダクト51を分解して、整備用開口20の前半部分を出現させる。
まず、フロアベース10aのアッパプレート16から上側後部点検カバー22cおよび上側中間部点検カバー22bをそれぞれ取り外す。
次いで、下側中間部点検カバー21bからダクト突合部保持金具56を取り外した後、下側後部点検カバー21cから第2中間部フロアダクト52を取り外す。
次いで、フロアベース10aのロアプレート15から下側後部点検カバー21cを取り外す。
このように分割された第2中間部フロアダクト52を分解して、整備用開口20の後半部分を出現させる。
同様に、上側後部点検カバー22c、第2中間部フロアダクト52および下側後部点検カバー21cを取り外すことにより、整備用開口20の後半部分だけを出現させることができ、出現させた整備用開口20の後半部分を通してパワートレイン7にアクセスすることができる。
こうして、整備作業の内容に応じて、整備用開口20の前半部分または後半部分のみを出現させることができ、整備作業の労力を軽減することができる。
以上、本発明の作業車両用運転室について、一実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
8 運転室(作業車両用運転室)
10 フロアフレーム
10a フロアベース(床部)
20 整備用開口
21 下側点検カバー
22 上側点検カバー
23 蓋体
26 オペレータシート
27 エアコン(空気調和装置)
30 フロアダクト(空調ダクト)
42 中間部フロアダクト
51 第1中間部フロアダクト(前側のダクト)
52 第2中間部フロアダクト(後側のダクト)
Claims (4)
- 中空のボックス構造からなる床部を備える作業車両用運転室において、
前記床部は整備用開口を有し、
前記整備用開口に対して着脱可能で上下に間隔を存して配され前記整備用開口を塞ぐ上側点検カバーおよび下側点検カバーを備え、
前記上側点検カバーと前記下側点検カバーとの間の空間に、空気調和装置からの送風空気を流通させる空調ダクトを分解可能に配置することを特徴とする作業車両用運転室。 - 前記空調ダクトはその空調ダクト内を流れる送風空気の流れ経路途中で分割可能とされ、この空調ダクトの分割位置と同じ分割位置にて前記上側点検カバーおよび下側点検カバーが分割可能とされる請求項1に記載の作業車両用運転室。
- 前記空調ダクトは前記床部の前後方向に配されて前側のダクトと後側のダクトに分割可能とされ、前記床部上に設置されるオペレータシートの前方に前記分割位置が配される請求項2に記載の作業車両用運転室。
- 前記空調ダクトは前記整備用開口の左右方向中央部に配される請求項1に記載の作業車両用運転室。
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