A. 第1実施形態(図1〜図12)
第1実施形態に係るナット自動供給装置は、定置式溶接装置用のナット自動供給装置である。
図1において、1及び2は、それぞれ溶接装置の下部電極及び上部電極、3は、溶接装置(図13に図示する溶接装置300に対応する溶接装置)に取付位置が調整可能に取り付けられるナット自動供給装置を表している。
(1)下部電極1
下部電極1は、溶接装置300において固定配置されている。図10に示すように、下部電極1は、その上端部に下部電極チップ11を備え、下部電極チップ11に、上下方向に進退可能な下部電極ガイドピン12を収容する下部電極ガイドピン収容室13が形成されている。下部電極ガイドピン収容室13は、図示しない空気供給源と連通している。空気供給源が停止しているときには、下部電極ガイドピン12は、後退端にあり、下部電極チップ11の上端面11aの下に埋もれた状態に保たれる。また、空気供給源が作動しているときには、下部電極ガイドピン12は空気供給源から空気流を受け、前進端にあり、下部電極チップ11の上端面11aから上方へ突出した状態に保たれる。ワーク100は、突出状態にある下部電極ガイドピン12で位置合せされ下部電極チップ11の上端面11aに載置される。また、ナット200も下部電極ガイドピン12で位置合せされワーク100の上面100aに載置され、上部電極2でナット200を加圧しながら通電することにより、ワーク100に溶接される。
(2)上部電極2
上部電極2は、その軸心が下部電極1の軸心と一致するよう下部電極1の真上に配置される。上部電極2は、駆動手段(図13に図示する駆動手段301に対応する駆動手段)によって上昇、下降する。図10に示すように、上部電極2は、上部電極本体部21と、上部電極本体部21に配設されたスリーブ22と、上部電極本体部21の下端部に固着されたチップホルダー23と、チップホルダー23に固定された上部電極チップ24とを備える。スリーブ22、チップホルダー23及び上部電極チップ24は、上下方向に貫通するガイド孔25を形成しており、このガイド孔25にガイドシャフト26が収容されている。ガイドシャフト26は、上部電極2の上部に配置されたシリンダ(図13に図示するシリンダ302に対応するシリンダ)に連結されており、スリーブ22によって軸心が一定に保たれた状態でシリンダ302によって上下方向に進退する。ガイドシャフト26は、図10に実線で示した前進端(下降位置)、つまりガイドシャフト26の弾性先端部が上部電極チップ24の下端電極面24aから下方へ突出した状態と、図10に二点鎖線で示した後退端(上昇位置)、つまり、ガイドシャフト26がガイド孔25内に格納された状態をとり得る。また、図11に示すように、ガイドシャフト26の弾性先端部には、底面視十字状の切込み26aが形成され、ガイドシャフト26の弾性先端部は弾性を有する。切込み26aを形成する4つの分割片26bは、それぞれ先端に向かって拡径するよう弓なり状に形成されており、4つの分割片26bの先端部全体の外径はガイドシャフト26の外径よりも僅かに大きい。この先端部の外径は、4つの分割片26bをナット200のねじ孔200aに僅かな圧入力で挿入することができ、しかも、挿入後4つの分割片26bがナット200を保持し続ける弾性力を発揮できるように設定される。
ガイドシャフト26、ガイド孔25、スリーブ22、シリンダ302等は、ナット弾性保持手段を構成する。
(3)ナット自動供給装置3
図1〜図6において、ナット自動供給装置3は、溶接装置300に対して取付位置の調整が可能に固定されるシリンダブラケット31を備える。
図3に示すように、シリンダブラケット31の正面視前面には、デュアルロッドシリンダ32が固定される。デュアルロッドシリンダ32の底面には、断面L字状のガイドブラケット33がねじ34で固定される。ガイドブラケット33の垂直前壁部33aは、デュアルロッドシリンダ32の前面から前方へ所定距離だけ離れて位置する。垂直前壁部33aの上部後面には後ガイドプレート35が、また、垂直前壁部33aの前面には前ガイドプレート36が、共通のねじ37でそれぞれ固定される。前ガイドプレート36は、垂直前壁部33aよりも高く位置する。後ガイドプレート35の上部前面には、上ガイドプレート38がねじ39で固定される。後ガイドプレート35、上ガイドプレート38、前ガイドプレート36及び垂直前壁部33aは、後述するような、スライドプレート51の左右方向の往復動をガイドするスライドプレートガイド溝Aを構成する。
ガイドブラケット33の正面視左部底面には、図5に示すように、ローラブラケット40がねじ41で固定される。ローラブラケット40の下面には垂直ピン42が固定され、この垂直ピン42回りにローラ43が回動自在とされる。このローラ43は、後述するような、シュート56内の先頭ナット200Aが上部電極2へ移送されたとき、先頭ナット200Aに後続の後続ナット200Bをシュート56内に留めるナット押え機構Bの一つの構成要素である。
図5に示すように、ローラブラケット40の正面視前部上面には、ボールプランジャーブラケット44が固定され、ボールプランジャーブラケット44の前部にプランジャーヒンジ45が装着される。プランジャーヒンジ45は床部45aを備え、床部45aには、後述するヒンジプレート62の上面を押圧可能なボールプランジャー46が装着される。プランジャーヒンジ45は、水平ピン47回りに正面視前後方向へ回動可能とされ、水平ピン47にはスプリング48が装着される。スプリング48は、図5に実線で示すようにプランジャーヒンジ45を後方へ付勢し、ボールプランジャー46を下端位置に保つ。ボールプランジャー46は、後述するような、シュート56が後退端にあるときにはシュート56内の先頭ナット200Aをシュート56内に確実に保持し、シュート56を前進端から後退させるときには先頭ナット200Aがシュート56の外方へ容易に出ることができるようにするゲート閉鎖機構Cの一つの構成要素である。
図2に示すように、デュアルロッドシリンダ32のシリンダロッド32aの先端部となるロッドブロック32bの正面視前面には、スライドブロック49がねじ50で固定される。スライドブロック49の前面には、上下方向に比べて左右方向に長くしかも前後方向に薄い長尺薄板状のスライドプレート51の正面視左端部がねじ52で固定される。図1、図2及び図3に示すように、スライドプレート51は、ガイドブラケット33の垂直前壁部33a、後ガイドプレート35、上ガイドプレート38及び前ガイドプレート36により形成されるスライドプレートガイド溝A内に収容され、シリンダロッド32aの左右方向への往復動に従って左右方向へ往復動可能とされる。
図1〜図4に示すように、スライドプレート51の正面視右端部後面には、断面L字状のヘッドブラケット53がねじ54で固定される。ヘッドブラケット53は、垂直取付壁部53aの下端から前方へ延びた水平取付板部53bを有している。この水平取付板部53bの前部下面に断面コ字状のヒンジブラケット55がねじ57で固定され、ヒンジブラケット55の天板部55aの下面にシュート56が固定される。
図1及び図2に示すように、シュート56は、ナットフィーダー(図13に図示するナットフィーダー400に対応するナットフィーダー)から送られてくるナット200を一列に整列させるロ字状の断面形状を有する。シュート56の先端部(正面視右端部)の上方及び先端は開口しており、図2に示すように、先端開口部の上方は、先端が開口したU字状開口部58aを有するシュートカバー58で覆われている。U字状開口部58aは、図2に示すように、平面視で、シュート56内の先頭のナット(先頭ナット)200Aのねじ孔200aを見ることができる形状を有している。
図1、図3及び図4に示すように、ヒンジブラケット55の前壁部55bの下端部と後壁部55cの下端部との間には、シャフトピン59が正面視前後方向に水平に掛け渡される。シャフトピン59はシュート56の下方に位置し、シャフトピン59に、ゲートヒンジ60がシャフトピン59を支点として正面視時計方向及び反時計方向へ回動可能に装着される。また、シャフトピン59には弾性部材としてのヒンジスプリング61が装着され、ヒンジスプリング61は、その弾性力により、正面視反時計方向の小さな押圧力(第1の付勢力)でゲートヒンジ60をシュート56の下面に軽く押し付ける作用をする。
図1、図2、図5及び図8〜図10に示すように、ゲートヒンジ60の後端(正面視左端)には、後端部(正面視左端部)62aが下方へ湾曲した略弓状のヒンジプレート62の先端部(正面視右端部)62bが固定される。ヒンジプレート62は、スライドプレート51が後退端(正面視左端位置)にあるときには、図1に示すように、ボールプランジャー46からシャフトピン59を支点とする正面視反時計方向への押圧力(第2の付勢力)を受け、ゲートヒンジ60をシュート56の下面に強く押し付け、ゲートヒンジ60の正面視時計方向への回動を禁止する。また、ヒンジプレート62は、スライドプレート51が前進端(正面視右端位置)にあるときには、図8に示すように、ボールプランジャー46から離れて位置し、ボールプランジャー46から上記押圧力(第2の付勢力)を受けておらず、このためゲートヒンジ60をシュート56の下面に押し付ける作用はしない。したがって、ゲートヒンジ60は、ヒンジスプリング61の小さな正面視反時計方向の押圧力(第1の付勢力)のみによってシュート56の下面に押し付けられている。
図1〜図3及び図7〜図10に示すように、ゲートヒンジ60は、先端(正面視右端)にストッパー受60aを有する。ストッパー受60aには、ストッパープレート63がねじ64(図2)で固定されている。ストッパープレート63は、正面視前後方向における中央上部に、シュート56の横幅寸法に略等しい幅を有する切込み63aが形成されている。切込み63aの深さは、シュート56内の先頭ナット200Aが脱落しないよう、シュート56の先頭ナット200Aの配置される底面(シュート56のナット送給路における先頭ナット200Aの配置される上面)56fよりも僅かに高い位置に設定されている。切込み63aの底面(上面)63bは、先端(正面視右方向)に向かって高くなる、換言すれば、シュート56側の後端からシュート56の外側の前端に向かって高くなる傾斜面で構成されており、後述するようにゲートヒンジ60が正面視時計方向の下方向へ回動するときシュート56の床面56fと略面一となり、先頭ナット200Aがシュート56の内部から円滑に抜け出ることができるよう形成されている。ストッパープレート63は、シュート56の先端開口部56eを開放及び閉鎖する。
図1〜図4、図6及び図7に示すように、ヘッドブラケット53の水平取付板部53bの正面視前後方向における中央部上面に、ナット押えブラケット65がねじ66で固定される。ナット押えブラケット65には、垂直ピン67が装着される。垂直ピン67は、正面視左右方向に長い棒状のナット押えバー68の垂直貫通孔68aに挿通され、ナット押えバー68は、垂直ピン67を支点として平面視時計方向及び反時計方向へ回動可能とされる。
図2、図5及び図7に示すように、ナット押えバー68において、垂直ピン67よりも正面視左部の後面(後部右側面)68bはローラ43と当接状態にあり、また、垂直ピン67よりも正面視右部の後面(前部右側面)68cは、後述するスプリングプランジャー71により、正面視前方への弾性押圧力を受けている。ナット押えバー68の後部後面68bの後端部68dは、ナット押えバー68が前進するにしたがってナット押えバー68を平面視時計方向へ回動可能にするような傾斜面で構成されている。
図2及び図7に示すように、ナット押えバー68の先端部(正面視右端部)には、シュート56の正面視後壁部56aに形成された作用孔56bに対向するようにナット押えピン68eが設けられている。作用孔56bは、シュート56内の先頭ナット200Aに続くナット(後続ナット)200Bの位置に対応した箇所に穿設されている。ナット押えピン68eは、ナット押えバー68が後退端(正面視左端位置)にあるときには、シュート56の内部に侵入しない後退端(正面視後端位置)に保たれ、ナット押えバー68が前進するに伴いナット押えバー68が平面視時計方向へ回動するにしたがって、作用孔56bからシュート56の内部に侵入可能となり、上記後続ナット200Bの正面視後側面200bを押圧するよう構成されている。
図2〜図4及び図7に示すように、ヘッドブラケット53の水平取付板部53bの正面視前後方向における後部下面に、スプリングプランジャーブラケット69がねじ70で固定される。スプリングプランジャーブラケット69の垂直壁部69aには、正面視前方への付勢力を有するスプリングプランジャー71が、その水平前後方向の位置を調整可能にねじ込まれている。スプリングプランジャー71は、ナット押えバー68の前部右側面68cを正面視前方へ押圧している。
図8及び図10に示すように、ゲートヒンジ60の天板部60b及びシュート56の床部56cには、上下方向に貫通した位置合せピン孔60c、56dが形成されている。位置合せピン孔60c、56dは、ナットの自動供給を開始するに先立って、上部電極2に対するシュート56の前進端を初期設定するための孔であり、図10に示すように、位置合せピン孔60c、56dに下方から挿入された位置合せピン72の先端部が、シュート56の内部及びシュートカバー58のU字状開口部58aを通過して上部電極2のガイド孔25に嵌る位置がシュート56の前進端として初期設定される。なお、図10の左部は、上述したような初期設定を説明するために、上部電極2をシュート56側に移動させたかのように二点鎖線で表している。
ここで、シュート56の前進端の初期設定をするための他の手段として、図10及び図12に示すように、ヒンジブラケット55の正面視右側面(前面)に位置合せガイド73を当て、この位置合せガイド73のU字状切込み73aに上部電極2の上部電極チップ24が正しく収容される位置をシュート56の前進端として決定するようにしてもよい。
(4)ナット自動供給装置3の操作手順及び動作
次に、上記のように構成されたナット自動供給装置3の操作手順及び動作を説明する。
a.上部電極2に対しシュート56の位置合せを行う。
上部電極2のガイドシャフト26が後退(上昇)している状態で、手動で又はエア回路を遮断してナット自動供給装置3を前進させ、位置合せピン72を位置合せピン孔60c、56dの下方から挿入し、位置合せピン72の先端部が上部電極2のガイド孔25に嵌まるよう前進端を調整する。そして、位置合せピン72の先端部がガイド孔25に嵌った位置、つまり上部電極2の軸心とシュート56内の先頭ナット200Aのねじ孔200aの中心とが一致する位置をシュート56の前進端として決定し、溶接装置300にナット自動供給装置3を固定する。
他の位置合せ方法としては、上部電極2のガイドシャフト26が後退(上昇)している状態で、手動で又はエア回路を遮断してナット自動供給装置3を前進させ、位置合せガイド73をヒンジブラケット55の正面視右側面(前面)に当て、この位置合せガイド73のU字状切込み73aに上部電極2の上部電極チップ24が正しく収容されるよう前進端を調整する。そして、位置合せガイド73のU字状切込み73aに上部電極チップ24が正しく収容された位置、つまり、上部電極2の軸心とシュート56内の先頭ナット200Aのねじ孔200aの中心とが一致する位置をシュート56の前進端として決定し、溶接装置300にナット自動供給装置3を固定する。
このように、いずれの方法を採用するにしろ、上部電極2とシュート56の前進端との位置合せを容易かつ正確に行うことが可能となる。
b.シュート56等可動部を手動で後退端まで戻し、シュート56にナットフィーダー(図示せず。)からナット200を送給する送給ホース(図示せず。)を連結し、シュート56内にナット200を数個送給する。
シュート56が後退端にあるときには、図2及び図7(A)に示すように、ナット押え機構Bのローラ43は、ナット押えバー68の後部後面68bの後端部(傾斜面)68dよりも前方の部位と当接しているため、垂直ピン67を支点として、ナット押えバー68のナット押えピン68eはシュート56の内部に侵入しない後退端(正面視後端位置)に保たれており、シュート56内に送給されてくる先頭ナット200Aは、ナット押えピン68eによって移動が規制されずにストッパープレート63の後面(正面視左側面)まで送給され、また、後続ナット200Bは先頭ナット200Aに連続して送給される。
また、シュート56が後退端にあるときには、図1に示すように、ゲート閉鎖機構Cのボールプランジャー46はヒンジプレート62を下方へ押圧しているため、シャフトピン59を支点としてゲートヒンジ60はシュート56の下面に強く押し付けられており、ゲートヒンジ60の正面視時計方向への回動は禁止される。このため、ストッパープレート63の後面まで送給されてきた先頭ナット200Aはシュート56内に確実に保持される。
c.下部電極ガイドピン12にワーク100をセットする。
d.溶接装置300を起動する。
溶接装置300が起動されると、エア回路(図示せず。)からデュアルロッドシリンダ32のシリンダロッド32a側にエアが供給され、シリンダロッド32aが正面視右方向へ動き、シュート56は前進端まで前進する。
この前進時、ナット押えバー68の後部後面68bの後端部(傾斜面)は、ローラ43と当接するようになるため、図7(B)に示すように、ナット押えバー68はスプリングプランジャー71の付勢力により垂直ピン67を支点として平面視時計方向へ回動し、ナット押えピン68eはシュート56の作用孔56bからシュート56内の後続ナット200Bの正面視後側面200bを押圧し、後続ナット200Bは前方への移動が規制される。
また、シュート56が前進端まで達したとき、図8に示すように、ヒンジプレート62はボールプランジャー46から離れて位置し、ボールプランジャー46から下方への押圧力を受けていないため、ゲートヒンジ60は、ヒンジスプリング61による小さな正面視反時計方向の上方向への押圧力(閉弾性付勢力)のみによってシュート56の下面に押し付けられている。そして、シュート56の先端開口部56eは、ゲートヒンジ60のストッパ受け60aに固定されたストッパープレート63により、閉鎖されている。
e.上部電極2のシリンダ302によりガイドシャフト26が前進端(下降位置)まで下降する。
ガイドシャフト26が前進端まで下降するとき、ガイドシャフト26の4つの分割片26bは、シュート56内の先頭ナット200Aのねじ孔200aに弾性変形して挿入され、先頭ナット200Aを保持する。
f.デュアルロッドシリンダ32のエア回路が切り替わり、デュアルロッドシリンダ32のヘッド側にエアが供給され、シリンダロッド32aが正面視左方向へ動き、シュート56は後退端まで後退する。
この後退開始直後において、ゲートヒンジ60は、ヒンジスプリング61による小さな正面視反時計方向の押圧力(第1の付勢力)のみによってシュート56の下面に押し付けられているため、上部電極2のガイドシャフト26の4つの分割片26bによって弾性保持されている先頭ナット200Aは、シュート56の先端開口部56eを開放させるように、ストッパープレート63を正面視時計方向の下方向へ回動させて押し開き、ストッパープレート63の切込み63aの底面(上面)63bを滑りながらシュート56の外に出る。このとき、先頭ナット200Aのねじ孔200aのねじ径が正規のねじ径よりも大きい場合は、4つの分割片26bが先頭ナット200Aを弾性保持することができないため、落下するようになる。また、先頭ナット200Aが正規のねじ径よりも小さなねじ径を有するものである場合、4つの分割片26bがねじ孔200aに嵌らないため、先頭ナット200Aがシュート56の外に出たとき、同様に落下するようになる。このため、ガイドシャフト26の4つの分割片26bは、正規ナットと異種ナットを自動的に選別する作用を発揮することになる。さらに、4つの分割片26bは、先頭ナット200A(この時点では保持ナット200Dとなる。)のねじ孔200aの全周に均等に力を作用して保持ナット200Dを弾性保持するため、保持ナット200Dは一定の姿勢を保ちながら保持されるようになり、個々の保持ナット200Dを常に同一の姿勢でワーク100の上にセットすることができる。
また、シュート56の後退時、ローラ43がナット押えバー68の後部後面68bの後端部(傾斜面)68d上を回動しながら移動する間、ナット押えバー68は、スプリングプランジャー71の付勢力に抗して垂直ピン67を支点として平面視反時計方向へ回動してゆき、図7(A)に示すように、ナット押えピン68eはシュート56の内部から出るようになる。このため、それまでナット押えピン68eによって前方への移動が規制されていた後続ナット200Bは前方へ移動して新たな先頭ナット200Aとなり、また、この後続ナット200Bに後続するナット200Cも前方へ移動して新たな後続ナット200Bとなる。また、新たにナット200が図示しないナットフィーダー400からシュート56内に送給されてくる。
また、シュート56の後退時、ヒンジプレート62はボールプランジャー46と当接を開始してボールプランジャー46から下方への押圧力を受けるようになり、ゲートヒンジ60は、ヒンジスプリング61による小さな正面視反時計方向の押圧力(第1の付勢力)の他に、ボールプランジャー46からシャフトピン59を支点とする正面視反時計方向への押圧力(第2の付勢力)を受け、ゲートヒンジ60をシュート56の下面に強く押し付け、ゲートヒンジ60の正面視時計方向への回動が禁止されるようになる。このため、シュート56内の新たな先頭ナット200Aはシュート56内に確実に保持されるようになる。
g.上部電極2が下降し、ガイドシャフト26に弾性保持された保持ナット200Dが下部電極1の下部電極ガイドピン12に嵌る。ここで、ガイドシャフト26は、保持ナット200Dを下部電極ガイドピン12に受け渡したときに上昇し上部電極2内に後退する。このガイドシャフト26の上昇タイミングは制御回路(図示せず。)のタイマーでコントロールされる。また、ナット受け渡し時にオンするセンサーを設け、このセンサーの検出信号に基づいてガイドシャフト26を上昇させるようにしてもよい。
h.下部電極1と上部電極2との間に加圧通電してワーク100に溶接ナット200E(ワーク100上にセットされた保持ナット200D)を溶接する。
i.溶接完了と同時に上部電極2を上昇させる。
j.上部電極2の上昇後、エア回路(図示せず。)からデュアルロッドシリンダ32のシリンダロッド32a側にエアが供給され、シリンダロッド32aが正面視右方向へ動き、シュート56は前進端まで前進する。次に、上部電極2の図示しない駆動源(シリンダ等)によりガイドシャフト26が前進端(下降位置)まで下降し、ガイドシャフト26の4つの分割片26bにより先頭ナット200Aを保持する。次に、デュアルロッドシリンダ32のエア回路が切り替わり、デュアルロッドシリンダ32のヘッド側にエアが供給され、シリンダロッド32aが正面視左方向へ動き、シュート56は後退端まで後退する。このとき、上部電極2は先頭ナット200Aつまり保持ナット200Dを弾性保持して上昇位置にある。
このように上部電極2にナット200を保持させる作業は、ワーク100を下部電極1に出し入れする作業とは独立して行うことができ、上部電極2にナット200を保持させた状態でワーク100の出し入れ作業ができる。このため、作業時間の短縮を図ることができる。
k.下部電極1上のワーク100を入れ替える。
l.上部電極2を下降し、ワーク100に溶接ナット200Eをセットした上で下部電極1と上部電極2との間に加圧通電し、ワーク100に溶接ナット200Eを溶接する。以後、上記i〜kを繰り返す。
以上説明したように、第1実施形態のナット自動供給装置は、ナット200を一列に整列して収容し、前進及び後退可能なシュート56と、シュート56の先端開口部56eを開放及び閉鎖するストッパープレート63と、ストッパープレート63に対し、シュート先端開口部56eを閉鎖させる方向の第1の付勢力を常に作用する弾性部材としてのヒンジスプリング61と、上部電極2に設けられ、上部電極2の軸心に沿って上昇及び下降するガイドシャフト26と、を備え、シュート56が前進端にあるとき、ガイドシャフト26は下降し、ガイドシャフト26の弾性先端部としての4つの分割片26bがシュート56内の先頭ナット200Aのねじ孔200aに挿入され、その後、シュート56が後退するとき、4つの分割片26bで保持された先頭ナット200Aは、ヒンジスプリング61による第1の付勢力に打ち勝ってストッパープレート63を押し開き、先頭ナット200Aはシュート56の先端開口部56eから外方へ出て4つの分割片26bで弾性保持されるよう構成される。
第1実施形態によると、シュート56内にナット200を一列に収容し、その先頭ナット200Aを上昇位置にある上部電極2に供給すると共にガイドシャフト26の弾性先端部26bでナット200Dを弾性保持するようにしたため、外プロジェクションナット等にも適用可能となり、しかも、上下電極1、2間の作業空間を確保しつつナット200を上部電極2に確実に供給し保持させることができる。
さらに、シュート56内の先頭ナット200Aに続く後続ナット200Bの側面200bを押圧し得るナット押え機構Bであって、シュート56が前進するとき後続ナット200Bの側面200bを押圧して後続ナット200Bの前進を規制し、シュート56が後退するとき後続ナット200Bの側面200bから離れて後続ナット200Bの前進を許容するナット押え機構Bを設けたため、シュート56内の先頭ナット200Aがガイドシャフト26の弾性先端部26bで保持されながらストッパープレート63を押し開いてシュート56の外方へ出るとき、後続ナット200Bはナット押え機構Bによって確実にシュート56内に保持されるようになり、押し開かれたストッパープレート63を越えて後続ナット200Bがシュート56から脱落する不具合を防止できる。
また、第1実施形態のナット自動供給装置は上述したような構成であるため装置の小型化を図ることができ、また、確実性の高い動作を行うことができる。
また、第1実施形態のナット自動供給装置3は、ストッパープレート63に対し、シュート先端開口部56eの閉鎖状態を維持できる第2の付勢力を作用可能なゲート閉鎖機構Cを備え、ゲート閉鎖機構Cは、シュート56が前進端にあるときから、シュート56が後退しシュート56内の先頭ナット200Aがシュート56の外方へ出るまでの期間、ストッパープレート63に対し第2の付勢力を作用しない。このような構成を採用することにより、先頭ナット200Aをシュート先端開口部56eから外方へ取り出す作業を行わない間、ゲート閉鎖機構Cにより、ナット200をシュート56内に確実に係留させることができ、また、ヒンジスプリング61による第1の付勢力の大きさを小さく設定することにより、小さな力で先頭ナット200Aをシュート先端開口部56eから外方へ出すことができる。
また、ガイドシャフト26の弾性先端部26bを、正規のねじ径を有する正規ナットのみを弾性保持し得るよう構成したため、ねじ径が正規のねじ径と異なる異種ナットはガイドシャフト26の弾性先端部26bによって弾性保持されなくなるため、正規ナットと異種ナットを自動的に選別することができる。
また、ゲートヒンジ60及びシュート56の床部にそれぞれ形成された上下方向に貫通した位置合せピン孔60c、56dに下方から挿入され、先端部が上部電極2のガイド孔25に嵌ることによってシュート56の前進端を初期設定するための位置合せピン72を設けたため、シュート56の前進端の初期設定を容易に行うことができる。
また、U字状切込み73aを有しシュート56の前進端を初期設定するための位置合せガイド73を設け、位置合せガイド73をナット自動供給装置3の所定部位に当てた状態で、U字状切込み73aに上部電極2の所定部位が収容されることによってシュート56の前進端を初期設定するようにしても、シュート56の前進端の初期設定を容易に行うことができる。
また、先頭ナット200Aを上部電極2に供給する際、後続ナット200Bを先頭ナット200Aから確実に分離してシュート56内に拘束することができる。また、ガイドシャフト26に弾性保持される保持ナット200Dの姿勢を一定に保つことができるため、ナット200に姿勢の方向性が求められる溶接にも効果的に対応できる。また、上部電極2にナット200を保持させた状態でワーク100の出し入れを行えるため、作業時間の短縮を図ることができる。
B. 第2実施形態(図13〜図28)
第2実施形態に係るナット自動供給装置は、定置式溶接装置用のナット自動供給装置である。
図13に示すように、第2実施形態に係るナット自動供給装置3が組み込まれる溶接システムは、定置式溶接装置300とナットフィーダー400を備える。
溶接装置300は、下部電極1と上部電極2とを備える。上部電極2は、駆動手段301によって昇降可能とされる。上部電極2には、図14等に図示するガイドシャフト26が設けられる。ガイドシャフト26はシリンダ302によって昇降可能とされる。
また、溶接装置300は、上部電極2の下方位置に接近及び離隔可能なナット自動供給装置3を備える。ナット自動供給装置3は、溶接装置300に取付位置が調整可能に取付けられる。ナット自動供給装置3はナットフィーダー400に接続され、ナットフィーダー400からナット自動供給装置3に図14等に図示するナット200がエアーによって送給される。
(1) 下部電極1
下部電極1は、溶接装置300において固定配置されている。下部電極1は、図10に図示した下部電極1と同様に構成される。下部電極1は、図26に示すように、その上端部に下部電極チップ11を備え、下部電極チップ11に、上下方向に進退可能な下部電極ガイドピン12を収容する下部電極ガイドピン収容室13が形成されている。下部電極ガイドピン収容室13は、図示しない空気供給源と連通している。空気供給源が停止しているときには、下部電極ガイドピン12は、後退端にあり、下部電極チップ11の上端面11aの下に埋もれた状態に保たれる。また、空気供給源が作動しているときには、下部電極ガイドピン12は空気供給源から空気流を受け、前進端にあり、下部電極チップ11の上端面11aから上方へ突出した状態に保たれる。ワーク100は、突出状態にある下部電極ガイドピン12で位置合せされ下部電極チップ11の上端面11aに載置される。また、ナット200も下部電極ガイドピン12で位置合せされワーク100の上面100aに載置され、上部電極2でナット200を加圧しながら通電することにより、ワーク100に溶接される。
(2) 上部電極2
上部電極2は、図10に図示した上部電極2と同様に構成される。上部電極2は、図26に示すように、その軸心が下部電極1の軸心と一致するよう下部電極1の真上に配置される。上部電極2は、駆動手段301によって上昇、下降する。上部電極2は、チップホルダー23と、チップホルダー23に固定された上部電極チップ24とを備える。チップホルダー23及び上部電極チップ24は、上下方向に貫通するガイド孔25を形成しており、このガイド孔25にガイドシャフト26が収容されている。ガイドシャフト26は、上部電極2の上部に配置されたシリンダ302に連結されており、軸心が一定に保たれた状態でシリンダ302によって上下方向に進退する。ガイドシャフト26は、前進端(下降位置)、つまりガイドシャフト26の弾性先端部が上部電極チップ24の下端電極面24aから下方へ突出した状態と、図26に実線で示した後退端(上昇位置)、つまり、ガイドシャフト26がガイド孔25内に格納された状態をとり得る。また、図28に示すように、ガイドシャフト26の弾性先端部には、底面視十字状の切込み26aが形成され、ガイドシャフト26の弾性先端部は弾性を有する。切込み26aを形成する4つの分割片26bは、それぞれ先端に向かって拡径するよう弓なり状に形成されており、4つの分割片26bの先端部全体の外径はガイドシャフト26の外径よりも僅かに大きい。この先端部の外径は、4つの分割片26bをナット200のねじ孔200aに僅かな圧入力で挿入することができ、しかも、挿入後4つの分割片26bがナット200を保持し続ける弾性力を発揮できるように設定される。
ガイドシャフト26、ガイド孔25、シリンダ302等は、ナット弾性保持手段を構成する。
(3) ナット自動供給装置3
図13〜図28において、ナット自動供給装置3は、供給ヘッド部3Aとナット供給部3Bとを有する。
[3a] 供給ヘッド部3A
供給ヘッド部3Aは、ヘッド取付板101を有し、ヘッド取付板101に円柱状の装置保持具101aが溶接されている。装置保持具101aは、溶接装置300に取付位置の調整が可能に固定される。
ヘッド取付板101の正面(ナット供給部3B側の面)には、ベースプレート102がネジ103によって固定される。
ベースプレート102の正面には、リニア軸受104が固定される。また、ベースプレート102の後面には、ナット供給部3Bの前進端を調整可能に規制するストローク規制バー106がねじ込まれている。また、ベースプレート102の前面には、ナット押え機構Bのリンクバー107を保持する保持プレート108がネジ109で固定されている。また、ベースプレート102の正面には、エアーシリンダ110を片持ち保持するシリンダブラケット111が固定されている。また、図17及び図18に示すように、ベースプレート102の下面には、ヘッド取付板101に対して供給ヘッド部3Aを位置合わせするヘッド位置決め板112がネジ113で固定されている。また、ベースプレート102の正面には、ゲート閉鎖機構Cのローラ114を回動自在に保持するローラ保持ロッド115が固定されている。
エアーシリンダ110はシリンダロッド116を有し、シリンダロッド116は、エアーシリンダ110内部に流入、流出するエアーによって前後方向へ移動される。エアーは、図示しないエアー源に接続される2つのシリンダ継手117、118からエアーシリンダ110内部に流入、流出される。エアーシリンダ110には、シリンダロッド116の後退端、換言するとナット供給部3Bの前進端を検出する前進端センサ119と、シリンダロッド116の前進端、換言するとナット供給部3Bの後退端を検出する後退端センサ120とが配設される。
シリンダロッド116の先端部は、ロッド継手121を介してストッパーブラケット122に固定され、ストッパーブラケット122は、スライドプレート105の背面後端部に固定される。スライドプレート105は、背面に前後方向に沿ったスライドレール123を有し、スライドレール123は、リニア軸受104によって前後方向へ移動可能に保持されている。
スライドプレート105の背面前端部には、ナット押え機構Bが設けられる。
ナット押え機構Bは、スライドプレート105の背面に固定されるハウジング124を備える。ハウジング124の背面側端面には、エンドプレート125が固定される。ハウジング124の内部には、ナット押えピン126が収容される。ナット押えピン126の先端部126aは、スライドプレート105及びシュート127にそれぞれ形成された押え孔105a、127a内に位置する。ナット押えピン126の後端部126bは、エンドプレート125の孔を通り、エンドプレート125の外方に位置する。ナット押えピン126の後端部126bには、リンク受板128が固定される。ナット押えピン126の中央部126cは、ハウジング124の内部に、ナット押えピン126の軸方向へ移動可能に収容される。ナット押えピン126の中央部126cとエンドプレート125との間には、スプリング129が収容される。スプリング129は、ナット押えピン126の中央部126cに対しナット供給部3Bに接近させる方向の付勢力を加えている。ハウジング124及びエンドプレート125は、板状リンク130を収容するリンク収容溝131を有している。板状リンク130は、リンク収容溝131内のリンクピン132回りに回動自在とされる。板状リンク130の先端部130aは、リンク受板128と係合可能とされる。板状リンク130の後端部130bは、リンクパー107と係合可能とされる。
[3b] ナット供給部3B
ナット供給部3Bは、スライドプレート105の正面に固定されたシュート127を備える。シュート127の上部は、断面略U字状のナット送給路127bを構成する。ナット送給路127bの通路幅は、ナット200の幅よりも僅かに大きく設定されている。ナット送給路127bの上端面には、一対のシュートカバー145、145が所定間隔を置いて固定される。一対のシュートカバー145、145間の間隔は、ガイドシャフト26の先端部の外径よりも大きく設定され、ガイドシャフト26の先端部がナット送給路127b内に下降可能とされる。シュート127の前端部には、位置合せピン孔127cが形成されている。
ナット送給路127bの後端面には、前端部にフランジ133aを有する定置式溶接装置用供給パイプ133がネジ134で固定される。供給パイプ133には、ナットフィーダー400側のエスケープメント401に接続されるフレキシブルな送給ホース402が接続される。エスケープメント401は、ナットフィーダー400から連続して送り出されるナット200を一個ごとに切り離し送給ホース402へ送る。
シュート127の前部下面には、ゲートヒンジ135が配される。ゲートヒンジ135は、上下方向に貫通した角孔部135aを有する。ゲートヒンジ135の前端部には、上下方向に貫通した位置合せピン孔135bが形成されている。また、ゲートヒンジ135の前端部には、ストッパープレート136がネジ137で固定される。ストッパープレート136の上面136aは、後端がナット送給路127bにおける先頭ナット200Aの配置される床面127fよりも高く、かつ、後端から前端に向かって高くなる傾斜面で構成されている。
ゲートヒンジ135の角孔部135aには、ヒンジスプリング138が収容される。スライドプレート105と定置式溶接装置用正面プレート139との間に、ヒンジピン140が掛渡される。ヒンジスプリング138のコイル部138aはヒンジピン140に装着され、ヒンジスプリング138の前端部138bはゲートヒンジ135の下面に、後端部138cはシュート127の下面にそれぞれ係止される。ヒンジスプリング138は、ゲートヒンジ135に対し、ゲートヒンジ135をシュート127の下面に軽く押し付ける第1の付勢力を常に加える。
ゲートヒンジ135の後端部下面には、ヒンジプレート141がネジ142で固定される。ヒンジプレート141の前部141aは、シュート127の移動方向と平行に構成され、後部141bは、後方へ向かって下方へ傾斜するよう構成される。ヒンジプレート141の上面141c側には、ローラ114が配される。
シュート127の正面には、定置式溶接装置用正面プレート139が固定される。正面プレート139には、シュート127内の先頭ナット200Aを検出する先頭ナットセンサ143、及び、シュート127内の後端ナット200Eつまり第n番目のナット200Eを検出する第n番目ナットセンサ144が配設される。
(4)ナット自動供給装置の操作手順及び動作
次に、上記のように構成されたナット自動供給装置3の操作手順及び動作を説明する。
a.上部電極2に対しシュート127の位置合せを行う。
溶接装置300の所定位置にヘッド取付板101の装置保持具101aを固定する。ヘッド位置決め板112をヘッド取付板101の下面に下方から当てた状態で仮締めする。上部電極2のガイドシャフト26を後退(上昇)させる。手動で又はエア回路を遮断してナット自動供給装置3を前進させる。位置合せピン72を位置合せピン孔135b、127cの下方から挿入し、位置合せピン72の先端部が上部電極2のガイド孔25に嵌まるよう前進端を調整する。そして、位置合せピン72の先端部がガイド孔25に嵌った位置、つまり上部電極2の軸心とシュート127内の先頭ナット200Aのねじ孔200aの中心とが一致する位置をシュート127の前進端として決定し、供給ヘッド部3Aをヘッド取付板101に本締めする。
b.シュート127等可動部を手動で後退端まで戻し、供給パイプ133に送給ホース402を接続し、ナットフィーダー400からシュート127内にナット200を複数個送給する。
シュート127が後退端にあるときには、図21に示すように、ナット押え機構Bの板状リンク130はリンクバー107と係合しており、板状リンク130の先端部130aが、スプリング129の付勢力に打ち勝ってリンク受板128を押上げ、ナット押えピン126の先端部126aは、シュート127の内部に侵入しない後退端に保たれる。このため、シュート127内に送給されてくる先頭ナット200Aは、ナット押えピン68eによって移動が規制されずにストッパープレート136の後面まで送給され、また、先頭ナット200Aの後方に後続ナット200Bなどその他のナット200が連続して送給される。
シュート127が後退端にあるときには、図14に示すように、ゲート閉鎖機構Cのローラ114がヒンジプレート141を下方へ押圧している。このため、ゲートヒンジ135の前端部はヒンジピン140を支点としてシュート127の下面に強く押し付けられている。このローラ114による力は、ヒンジスプリング136による小さな付勢力と比べて十分に大きな第2の付勢力である。このため、ストッパープレート136は、ヒンジスプリング138による小さな第1の付勢力とローラ114による大きな第2の付勢力を受け、シュート127の先端開口部127dを閉鎖状態に維持する。したがって、シュート127内に送給されてきた複数個のナット200は、シュート127内に確実に保持される。
c.下部電極ガイドピン12にワーク100をセットする。
d.溶接装置300を起動する。
溶接装置300が起動されると、シリンダ110のエア回路が切替わり、シリンダロッド116が後退し、スライドプレート105がスライドレール123にガイドされながら前進する。
この前進時、板状リンク130はリンクバー107から離れるため、スプリング129の付勢力によりナット押えピン126は前進し、図22に示すように、ナット押えピン126は後続ナット200Bの側面200bを押圧するようになる。このため、後続ナット200Bは前方への移動が規制される。
また、シュート127が前進端まで達したとき、換言すると、ストッパーブラケット122がストローク規制バー106に当たるようになったとき、図25に示すように、ヒンジプレート141はローラ114から離れて位置し、ローラ114から下方への押圧力を受けていない。このため、ゲートヒンジ135は、ヒンジスプリング138による小さな第1の付勢力のみによってシュート56の下面に押し付けられている。したがって、ストッパープレート136は、小さな第1の付勢力によりシュート127の先端開口部127dを閉鎖状態に維持している。
e.シュートが前進端まで達したことが前進端センサ119により検出されると、上部電極2の駆動手段301によりガイドシャフト26が前進端(下降位置)まで下降する。
ガイドシャフト26が前進端まで下降するとき、ガイドシャフト26の4つの分割片26bは、シュート127内の先頭ナット200Aのねじ孔200aに弾性変形して挿入され、先頭ナット200Aを保持する。
f.所定時間経過後、シリンダ110のエア回路が切り替わり、シリンダロッド116が前進し、シュート127は後退端まで後退する。
このシュート127の後退に伴い、上部電極2が下降し、ガイドシャフト26に弾性保持された保持ナット200Dが下部電極1の下部電極ガイドピン12に嵌る。ここで、ガイドシャフト26は、保持ナット200Dを下部電極ガイドピン12に受け渡したときに上昇し上部電極2内に後退する。このガイドシャフト26の上昇タイミングは制御回路(図示せず。)のタイマーでコントロールされる。また、ナット受け渡し時にオンするセンサーを設け、このセンサーの検出信号に基づいてガイドシャフト26を上昇させるようにしてもよい。下部電極1と上部電極2との間に加圧通電してワーク100に溶接ナット200E(ワーク100上にセットされた保持ナット200D)を溶接する。溶接完了と同時に上部電極2を上昇させる。
シュート127の後退開始直後において、ゲートヒンジ135は、ヒンジスプリング138による小さな第1の付勢力のみによってシュート127の下面に押し付けられているため、上部電極2のガイドシャフト26の4つの分割片26bによって弾性保持されている先頭ナット200Aは、ストッパープレート136を押し開け、ストッパープレート136の上面136aを滑りながらシュート127の先端開口部127dから外部に出る。このとき、先頭ナット200Aのねじ孔200aのねじ径が正規のねじ径よりも大きい場合は、4つの分割片26bが先頭ナット200Aを弾性保持することができないため、落下するようになる。また、先頭ナット200Aが正規のねじ径よりも小さなねじ径を有するものである場合、4つの分割片26bがねじ孔200aに嵌らないため、先頭ナット200Aがシュート127の外に出たとき、同様に落下するようになる。このため、ガイドシャフト26の4つの分割片26bは、正規ナットと異種ナットを自動的に選別する作用を発揮することになる。さらに、4つの分割片26bは、先頭ナット200A(この時点では保持ナット200Dとなる。)のねじ孔200aの全周に均等に力を作用して保持ナット200Dを弾性保持するため、保持ナット200Dは一定の姿勢を保ちながら保持されるようになり、個々の保持ナット200Dを常に同一の姿勢でワーク100の上にセットすることができる。
また、シュート127が後退端付近まで後退するまでの間、ナット押えピン126は後続ナット200Bの側面200bを押圧し続け、後続ナット200Bは前方への移動が規制される。そして、シュート127が後退端付近まで後退すると、板状リンク130はリンクバー107に当たり、リンクピン132を支点として回動し、スプリング129の付勢力に打ち勝って板状リンク130の先端部130aがリンク受板128を押し上げる。このため、ナット押えピン126は後退し、後続ナット200Bの側面200bから離れ、後続ナット200Bは前進可能になる。
また、シュート127の後退時、ヒンジプレート141はローラ114と当接を開始してローラ114から下方への押圧力を受けるようになり、ゲートヒンジ135は、ヒンジスプリング138による小さな第1の付勢力の他に、ローラ114からヒンジピン140を支点とする大きな第2の付勢力を受け、ゲートヒンジ135をシュート127の下面に強く押し付ける。このため、シュート127内の後続ナット200B及びその他のナット200はシュート127内に確実に保持されるようになる。
g.シリンダロッド116が前進端まで達したこと、換言すると、シュート127が後退端まで達したことが、後退端センサ120によって検出されると、1ストロークが完了する。
h.ナットフィーダー400のエスケープメント401からシュート127内に新たなナット200が補給され、先頭ナットセンサ143及び第n番目ナットセンサ144が各々新たな先頭ナット200A及び後端ナット200Fつまり第n番目ナット200Fを検出するまで次の起動を待機させる。
このように上部電極2にナット200を保持させる作業は、ワーク100を下部電極1に出し入れする作業とは独立して行うことができ、上部電極2にナット200を保持させた状態でワーク100の出し入れ作業ができる。このため、作業時間の短縮を図ることができる。
以上説明したように、第2実施形態のナット自動供給装置3は、ナット200を一列に整列して収容し、前進及び後退可能なシュート127と、シュート127の先端開口部127dを開放及び閉鎖するストッパープレート136と、ストッパープレート136に対し、シュート先端開口部127dを閉鎖させる方向の第1の付勢力を常に作用する弾性部材としてのヒンジスプリング138と、上部電極2に設けられ、上部電極2の軸心に沿って上昇及び下降するガイドシャフト26と、を備え、シュート127が前進端にあるとき、ガイドシャフト26は下降し、ガイドシャフト26の弾性先端部としての4つの分割片26bがシュート127内の先頭ナット200Aのねじ孔200aに挿入され、その後、シュート127が後退するとき、4つの分割片26bで保持された先頭ナット200Aは、ヒンジスプリング138による第1の付勢力に打ち勝ってストッパープレート136を押し開き、先頭ナット200Aはシュート127の先端開口部127dから外方へ出て4つの分割片26bで弾性保持されるよう構成される。
第2実施形態によると、シュート127内にナット200を一列に収容し、その先頭ナット200Aを上昇位置にある上部電極2に供給すると共にガイドシャフト26の弾性先端部26bでナット200Dを弾性保持するようにしたため、外プロジェクションナット等にも適用可能となり、しかも、上下電極1、2間の作業空間を確保しつつナット200を上部電極2に確実に供給し保持させることができる。
また、第2実施形態に係るナット自動供給装置3は、シュート127内の先頭ナット200Aに続く後続ナット200Bの側面200bを押圧し、後続ナット200Bの前進を規制するナット押え機構Bを備え、ナット押え機構Bは、シュート127が後退端にあるとき、後続ナット200Bの側面200bから離れて後続ナット200Bの前進を許容するよう制御される。このような構成を採用したため、シュート127内の先頭ナット200Aがガイドシャフト26の弾性先端部26bで保持されながらストッパープレート136を押し開いてシュート127の外方へ出るとき、後続ナット200Bはナット押え機構Bによって確実にシュート127内に保持されるようになり、押し開かれたストッパープレート136を越えて後続ナット200Bがシュート127から脱落する不具合を防止できる。
また、第2実施形態のナット自動供給装置3は上述したような構成であるため装置の小型化を図ることができ、また、確実性の高い動作を行うことができる。
また、第2実施形態に係るナット自動供給装置3は、ストッパープレート136に対し、シュート先端開口部127dの閉鎖状態を維持できる第2の付勢力を作用可能なゲート閉鎖機構Cを備え、ゲート閉鎖機構Cは、シュート127が前進端にあるときから、シュート127が後退しシュート127内の先頭ナット200Aがシュート127の外方へ出るまでの期間、ストッパープレート136に対し第2の付勢力を作用しない。このような構成を採用したため、先頭ナット200Aをシュート先端開口部127dから外方へ取り出す作業を行わない間、ゲート閉鎖機構Cにより、ナット200をシュート127内に確実に係留させることができ、また、ヒンジスプリング138による第1の付勢力の大きさを小さく設定することにより、小さな力で先頭ナット200Aをシュート先端開口部127dから外方へ出すことができる。
また、ヒンジスプリング138は、ストッパープレート136が先端部に設けられたゲートヒンジ135を介してストッパープレート136に第1の付勢力を作用し、また、ゲート閉鎖機構Cは、ローラ114と、ゲートヒンジ135の後端部に設けられたヒンジプレート141とを備え、ゲート閉鎖機構Cは、ヒンジプレート141がローラ114から押圧力を受けることにより、ゲートヒンジ135を介してストッパープレート136に対し第2の付勢力を作用し、また、ゲート閉鎖機構Cは、ヒンジプレート136がローラ114と非接触状態のとき、ストッパープレート136に対し第2の付勢力を作用しない。このような構成を採用したため、第1の付勢力と第2の付勢力をストッパープレート136に作用させる機構の簡素化を図ることができる。
また、ガイドシャフト26の弾性先端部26bを、正規のねじ径を有する正規ナットのみを弾性保持し得るよう構成したため、ねじ径が正規のねじ径と異なる異種ナットはガイドシャフトの弾性先端部によって弾性保持されなくなるため、正規ナットと異種ナットを自動的に選別することができる。
また、ゲートヒンジ135及びシュート127の床部にそれぞれ形成された上下方向に貫通した位置合せピン孔135b、127cに下方から挿入され、先端部が上部電極2のガイド孔25に嵌ることによってシュート127の前進端を初期設定するための位置合せピン72を設けたため、シュート127の前進端の初期設定を容易に行うことができる。
また、先頭ナット200Aを上部電極2に供給する際、後続ナット200Bを先頭ナット200Aから確実に分離してシュート127内に拘束することができる。また、ガイドシャフト26に弾性保持される保持ナット200Dの姿勢を一定に保つことができるため、ナット200に姿勢の方向性が求められる溶接にも効果的に対応できる。また、上部電極2にナット200を保持させた状態でワーク100の出し入れを行えるため、作業時間の短縮を図ることができる。
C. 第3実施形態(図29〜図50)
第3実施形態に係るナット自動供給装置は、可搬式溶接装置用のナット自動供給装置である。
図29に示すように、第3実施形態に係るナット自動供給装置3が組み込まれる溶接システムは、可搬式溶接装置500とナットスタンド600を備える。
溶接装置500は、X,Y,Z軸方向の三次元移動、及び、垂直軸θ1、水平軸θ2で表した任意の回転軸回りの回転が可能な多関節ロボットのアーム700に取付けられる。
溶接装置500は、溶接ガン501を備える。また、溶接装置500は、下部電極1と上部電極2とを備える。上部電極2は、駆動手段301によって昇降可能とされる。上部電極2には、図30等に図示するガイドシャフト26が設けられる。ガイドシャフト26はシリンダ302によって昇降可能とされる。
ナット自動供給装置3は、溶接ガン501に取付位置が調整可能に取付けられる。ナット自動供給装置3は、上部電極2の下方位置に接近及び離隔可能とされる。ナット自動供給装置3は、上部電極2に供給される所定個数(n個)のナットを貯留可能で、貯留ナットが無くなるたびに、必要に応じてナットスタンド600から所定個数のナットの補給を受ける。ナットスタンド600は、エスケープメント601を固定位置に保持する。エスケープメント601の後端部には、フレキシブルな送給ホース602の先端部が接続され、送給ホース602の後端部は、図示しないナットフィーダーに接続される。エスケープメント601の先端部には、供給パイプ603が接続される。エスケープメント601は、送給ホース602内を連続して送られてくるナット200を一個ごとに切り離し供給パイプ603に送る動作を行う。
ナット自動供給装置3は、第2実施形態に係るナット自動供給装置3と同様、供給ヘッド部3Aとナット供給部3Bとを備え、基本的構成は第2実施形態と共通している。ただし、供給ヘッド部3Aにおいて、溶接ガン501への取付構造が第2実施形態とは相違している。また、シュート127の後端面127eに取着される部材が第2実施形態とは相違している。また、シュート127の正面に取着される正面プレートの構成が第2実施形態とは相違している。また、正面プレートに取着される部材が第2実施形態とは相違している。
(1) 下部電極1
下部電極1は、溶接装置300において固定配置されている。下部電極1は、図10及び図26に図示した下部電極1と同様に構成される。下部電極1は、図44に示すように、その上端部に下部電極チップ11を備え、下部電極チップ11に、上下方向に進退可能な下部電極ガイドピン12を収容する下部電極ガイドピン収容室13が形成されている。下部電極ガイドピン収容室13は、図示しない空気供給源と連通している。空気供給源が停止しているときには、下部電極ガイドピン12は、後退端にあり、下部電極チップ11の上端面11aの下に埋もれた状態に保たれる。また、空気供給源が作動しているときには、下部電極ガイドピン12は空気供給源から空気流を受け、前進端にあり、下部電極チップ11の上端面11aから上方へ突出した状態に保たれる。ワーク100は、突出状態にある下部電極ガイドピン12で位置合せされ下部電極チップ11の上端面11aに載置される。また、ナット200も下部電極ガイドピン12で位置合せされワーク100の上面100aに載置され、上部電極2でナット200を加圧しながら通電することにより、ワーク100に溶接される。
(2) 上部電極2
上部電極2は、図10及び図26に図示した上部電極2と同様に構成される。上部電極2は、図44に示すように、その軸心が下部電極1の軸心と一致するよう下部電極1の真上に配置される。上部電極2は、駆動手段301によって上昇、下降する。上部電極2は、チップホルダー23と、チップホルダー23に固定された上部電極チップ24とを備える。チップホルダー23及び上部電極チップ24は、上下方向に貫通するガイド孔25を形成しており、このガイド孔25にガイドシャフト26が収容されている。ガイドシャフト26は、上部電極2の上部に配置されたシリンダ302に連結されており、軸心が一定に保たれた状態でシリンダ302によって上下方向に進退する。ガイドシャフト26は、前進端(下降位置)、つまりガイドシャフト26の弾性先端部26bが上部電極チップ24の下端電極面24aから下方へ突出した状態と、図44に実線で示した後退端(上昇位置)、つまり、ガイドシャフト26の弾性先端部26bがガイド孔25内に格納された状態をとり得る。また、図49及び図50に示すように、ガイドシャフト26の弾性先端部26bには、底面視十字状の切込み26aが形成され、ガイドシャフト26の弾性先端部26bすなわち4つの分割片26bは、それぞれ先端に向かって拡径するよう弓なり状に形成されており、4つの分割片26bの先端部全体の外径はガイドシャフト26の外径よりも僅かに大きい。この先端部の外径は、4つの分割片26bをナット200のねじ孔200aに僅かな圧入力で挿入することができ、しかも、挿入後4つの分割片26bがナット200を保持し続ける弾性力を発揮できるように設定される。
ガイドシャフト26、ガイド孔25、シリンダ302等は、ナット弾性保持手段を構成する。
(3) ナット自動供給装置3
図29〜図50において、ナット自動供給装置3は、供給ヘッド部3Aとナット供給部3Bとを有する。
[3a] 供給ヘッド部3A
供給ヘッド部3Aは、ヘッド取付板201を有し、ヘッド取付板201は、溶接ガン501に取付位置の調整が可能に固定される。
ヘッド取付板201の正面(ナット供給部3B側の面)には、ベースプレート102がネジ103によって固定される。
ベースプレート102の正面には、リニア軸受104が固定される。また、ベースプレート102の後面には、ナット供給部3Bの前進端を調整可能に規制するストローク規制バー106がねじ込まれている。また、ベースプレート102の前面には、ナット押え機構Bのリンクバー107を保持する保持プレート108がネジ109で固定されている。また、ベースプレート102の正面には、エアーシリンダ110を片持ち保持するシリンダブラケット111が固定されている。また、図33及び図35に示すように、ベースプレート102の下面には、ヘッド取付板201に対して供給ヘッド部3Aを位置合わせするヘッド位置決め板112がネジ113で固定されている。また、ベースプレート102の正面には、ゲート閉鎖機構Cのローラ114を回動自在に保持するローラ保持ロッド115が固定されている。
エアーシリンダ110はシリンダロッド116を有し、シリンダロッド116は、エアーシリンダ110内部に流入、流出するエアーによって前後方向へ移動される。エアーは、図示しないエアー源に接続される2つのシリンダ継手117、118からエアーシリンダ110内部に流入、流出される。エアーシリンダ110には、シリンダロッド116の後退端、換言するとナット供給部3Bの前進端を検出する前進端センサ119と、シリンダロッド116の前進端、換言するとナット供給部3Bの後退端を検出する後退端センサ120とが配設される。
シリンダロッド116の先端部は、ロッド継手121を介してストッパーブラケット122に固定され、ストッパーブラケット122は、スライドプレート105の背面後端部に固定される。スライドプレート105は、背面に前後方向に沿ったスライドレール123を有し、スライドレール123は、リニア軸受104によって前後方向へ移動可能に保持されている。
スライドプレート105の背面前端部には、ナット押え機構Bが設けられる。
ナット押え機構Bは、スライドプレート105の背面に固定されるハウジング124を備える。ハウジング124の背面側端面には、エンドプレート125が固定される。ハウジング124の内部には、ナット押えピン126が収容される。ナット押えピン126の先端部126aは、スライドプレート105及びシュート127にそれぞれ形成された押え孔105a、127a内に位置する。ナット押えピン126の後端部126bは、エンドプレート125の孔を通り、エンドプレート125の外方に位置する。ナット押えピン126の後端部126bには、リンク受板128が固定される。ナット押えピン126の中央部126cは、ハウジング124の内部に、ナット押えピン126の軸方向へ移動可能に収容される。ナット押えピン126の中央部126cとエンドプレート125との間には、スプリング129が収容される。スプリング129は、ナット押えピン126の中央部126cに対しナット供給部3Bに接近させる方向の付勢力を加えている。ハウジング124及びエンドプレート125は、板状リンク130を収容するリンク収容溝131を有している。板状リンク130は、リンク収容溝131内のリンクピン132回りに回動自在とされる。板状リンク130の先端部130aは、リンク受板128と係合可能とされる。板状リンク130の後端部130bは、リンクパー107と係合可能とされる。
[3b] ナット供給部3B
ナット供給部3Bは、スライドプレート105の正面に固定されたシュート127を備える。シュート127の上部は、断面略U字状のナット送給路127bを構成する。ナット送給路127bの通路幅は、ナット200の幅よりも僅かに大きく設定されている。ナット送給路127bの上端面には、一対のシュートカバー145、145が所定間隔を置いて固定される。一対のシュートカバー145、145間の間隔は、ガイドシャフト26の先端部26bの外径よりも大きく設定され、ガイドシャフト26の先端部がナット送給路127b内に下降可能とされる。シュート127の前端部には、位置合せピン孔127cが形成されている。
ナット送給路127bの後端面127eには、可搬式溶接装置用供給パイプガイド202のフランジ部202cがネジ134で固定される。
供給パイプガイド202は、第2実施形態に係る定置式溶接装置用供給パイプ133をシュート127から取り外し、その代わりとしてシュート127の後端面127eに容易に取付けることができる。
供給パイプガイド202は、図38に示すように、底面ガイド片202aと一対の側面ガイド片202b、202bとを有し、ナットスタンド600の供給パイプ603をナット送給路127bの後端面127eに案内可能に構成される。
シュート127の前部下面には、ゲートヒンジ135が配される。ゲートヒンジ135は、上下方向に貫通した角孔部135aを有する。ゲートヒンジ135の前端部には、上下方向に貫通した位置合せピン孔135bが形成されている。また、ゲートヒンジ135の前端部には、ストッパープレート136がネジ137(図32、34)で固定される。ストッパープレート136の上面136aは、後端がナット送給路127bにおける先頭ナット200Aの配置される床面127fよりも高く、かつ、後端から前端に向かって高くなる傾斜面で構成されている。
ゲートヒンジ135の角孔部135aには、ヒンジスプリング138が収容される。スライドプレート105と可搬式溶接装置用正面プレート203との間に、ヒンジピン140が掛渡される。ヒンジスプリング138のコイル部138aはヒンジピン140に外嵌され、ヒンジスプリング138の前端部138bはゲートヒンジ135の下面に、後端部138cはシュート127の下面にそれぞれ係止される。ヒンジスプリング138は、ゲートヒンジ135に対し、ゲートヒンジ135をシュート127の下面に軽く押し付ける第1の付勢力を常に作用する。
ゲートヒンジ135の後端部下面には、ヒンジプレート141がネジ142で固定される。ヒンジプレート141の前部141aは、シュート127の移動方向と平行に構成され、後部141bは、後方へ向かって下方へ傾斜するよう構成される。ヒンジプレート141の上面141c側には、ローラ114が配される。
シュート127の正面には、可搬式溶接装置用正面プレート203が固定される。シュート127の正面は、上述した第2実施形態の定置式溶接装置用正面プレート139と可搬式溶接装置用正面プレート203のいずれの正面プレートも固定可能に構成されている。正面プレート203には、シュート127内の第n番目のナット200Fを検出する第n番目ナットセンサ144が配設される。一方、シュート127の正面には、シュート127内の先頭ナット200Aを検出する先頭ナットセンサ143が配設される。
スライドプレート105と可搬式溶接装置用正面プレート203との間の空間に、ナットプッシュ機構Dが設けられる。
ナットプッシュ機構Dは、シュート127内に充填された所定個数のナット200のうちの後端ナット200Fに対し、溶接作業に同期して間欠的に前方への押圧力を加え、先頭ナット200Aをストッパープレート136の手前まで前進させる。
ナットプッシュ機構Dは、断面U字状のホルダー204を備える。ホルダー204の前端部は、スライドプレート105と正面プレート203との間に掛渡されたホルダーピン205を支点として回動自在とされる。ホルダー204の下面の前端部及び後端部には、それぞれシリンダ保持板206、207が固定され、シリンダ保持板206及びシリンダ保持板207によってマグネットシリンダ208が保持されている。マグネットシリンダ208の前端部及び後端部には、それぞれエアー継手209、210が取付けられる。マグネットシリンダ208には、シリンダブロック211がマグネットシリンダ208の軸方向へ移動可能に外嵌されている。シリンダブロック211の下面には、プッシャー212が固定される。プッシャー212の先端部212aは、少なくとも一対のシュートカバー145、145間の間隔よりも小さな幅を有し、シュート127のナット送給路127b内に進入可能に構成されている。ホルダー204の正面に設けられたスプリングブラケット213と、シュート127の正面に設けられたスプリングブラケット214との間に、スプリング215が掛渡される。スプリング215は、ホルダー204の後部をシュート127側に接近させる第3の付勢力、換言すると、プッシャー212の先端部212aをシュート127の内部に保持する方向の第3の付勢力をプッシャー212に対し作用する。後端側のシリンダ保持板207は、スプリング215の第3の付勢力により、ストッパーブラケット122の上面と当接状態に保たれる。この状態のとき、プッシャー212の先端部212aは、ナット送給路127b内に位置する。ホルダー204の正面には、V字状凹部204aが形成されている。正面プレート203には、ホルダー204の定位置(図30図示の状態)を検出する定位置センサ216が配設されている。定位置センサ216がV字状凹部204aに嵌ることによってホルダー204が定位置にあることを検出できる。ホルダー204には、マグネットシリンダ208のシリンダブロック211の後退端を検出する後退端センサ217が配設される。
(4)ナット自動供給装置の操作手順及び動作
次に、上記のように構成されたナット自動供給装置3の操作手順及び動作を説明する。
a.上部電極2に対しシュート127の位置合せを行う。
溶接ガン501の所定位置にヘッド取付板201を固定する。ヘッド位置決め板112をヘッド取付板201の下面に下方から当てた状態で仮締めする。上昇位置にある上部電極2のガイドシャフト26を後退(上昇)させる。手動で又はエア回路を遮断してナット自動供給装置3を前進させる。位置合せピン72を位置合せピン孔135b、127cの下方から挿入し、位置合せピン72の先端部が上部電極2のガイド孔25に嵌まるよう前進端を調整する。そして、位置合せピン72の先端部がガイド孔25に嵌った位置、つまり上部電極2の軸心とシュート127内の先頭ナット200Aのねじ孔200aの中心とが一致する位置をシュート127の前進端として決定し、供給ヘッド部3Aをヘッド取付板201に本締めする。
b.上記位置決め後、上部電極2を上昇位置に保つとともに、下部電極1のガイドピン12は上昇させ、先端部を下部電極チップ11の上端面11aから突出させておく。また、シュート127のナット送給路127bに所定個数(n個)のナット200を貯留させ、シュート127を後退端に位置させる。
シュート127が後退端にあるときには、図30に示すように、ゲート閉鎖機構Cのローラ114がヒンジプレート141を下方へ押圧している。このため、ゲートヒンジ135の前端部はヒンジピン140を支点としてシュート127の下面に強く押し付けられている。このローラ114による力は、ヒンジスプリング136による小さな付勢力と比べて十分に大きな第2の付勢力である。このため、ストッパープレート136は、ヒンジスプリング138による小さな第1の付勢力とローラ114による大きな第2の付勢力を受け、シュート127の先端開口部127dを閉鎖状態に維持する。したがって、シュート127内の所定個数のナット200は、シュート127内に確実に保持される。
c.溶接装置500を起動する。
溶接装置500が起動されると、多関節ロボットは溶接ガン501を、予め所定位置にセットされたワーク100の溶接位置へ移動させる。
また、溶接装置500が起動されると、シリンダ110のエア回路が切替わり、シリンダロッド116が後退し、スライドプレート105がスライドレール123にガイドされながら前進する。
この前進時、板状リンク130はリンクバー107から離れるため、スプリング129の付勢力によりナット押えピン126は前進し、図40に示すように、ナット押えピン126は後続ナット200Bの側面200bを押圧するようになる。このため、後続ナット200Bは前方への移動が規制される。
また、シュート127が前進端まで達したとき、換言すると、ストッパーブラケット122がストローク規制バー106に当たるようになったとき、図43に示すように、ヒンジプレート141はローラ114から離れて位置し、ローラ114から下方への押圧力を受けていない。このため、ゲートヒンジ135は、ヒンジスプリング138による小さな第1の付勢力のみによってシュート56の下面に押し付けられている。したがって、ストッパープレート136は、小さな第1の付勢力によりシュート127の先端開口部127dを閉鎖状態に維持している。
d.シュートが前進端まで達したことが前進端センサ119により検出されると、上部電極2の駆動手段301によりガイドシャフト26が前進端(下降位置)まで下降する。
ガイドシャフト26が前進端まで下降するとき、ガイドシャフト26の4つの分割片26bは、シュート127内の先頭ナット200Aのねじ孔200aに弾性変形して挿入され、先頭ナット200Aを保持する。
e.所定時間経過後、シリンダ110のエア回路が切り替わり、シリンダロッド116が前進し、シュート127は後退端まで後退する。
このシュート127の後退に伴い、上部電極2が下降し、ガイドシャフト26に弾性保持された保持ナット200Dが下部電極1の下部電極ガイドピン12に嵌る。ここで、ガイドシャフト26は、保持ナット200Dを下部電極ガイドピン12に受け渡したときに上昇し上部電極2内に後退する。このガイドシャフト26の上昇タイミングは制御回路(図示せず。)のタイマーでコントロールされる。また、ナット受け渡し時にオンするセンサを設け、このセンサーの検出信号に基づいてガイドシャフト26を上昇させるようにしてもよい。下部電極1と上部電極2との間に加圧通電してワーク100に溶接ナット200E(ワーク100上にセットされた保持ナット200D)を溶接する。溶接完了と同時に上部電極2を上昇させる。
シュート127の後退開始時、ゲートヒンジ135は、ヒンジスプリング138による小さな第1の付勢力のみによってシュート127の下面に押し付けられているため、上部電極2のガイドシャフト26の4つの分割片26bによって弾性保持されている先頭ナット200Aは、ストッパープレート136を押し開け、ストッパープレート136の上面136aを滑りながらシュート127の先端開口部127dから外部に出る。このとき、先頭ナット200Aのねじ孔200aのねじ径が正規のねじ径よりも大きい場合は、4つの分割片26bが先頭ナット200Aを弾性保持することができないため、落下するようになる。また、先頭ナット200Aが正規のねじ径よりも小さなねじ径を有するものである場合、4つの分割片26bがねじ孔200aに嵌らないため、先頭ナット200Aがシュート127の外に出たとき、同様に落下するようになる。このため、ガイドシャフト26の4つの分割片26bは、正規ナットと異種ナットを自動的に選別する作用を発揮することになる。さらに、4つの分割片26bは、先頭ナット200A(この時点では保持ナット200Dとなる。)のねじ孔200aの全周に均等に力を作用して保持ナット200Dを弾性保持するため、保持ナット200Dは一定の姿勢を保ちながら保持されるようになり、個々の保持ナット200Dを常に同一の姿勢でワーク100の上にセットすることができる。
また、シュート127が後退端付近まで後退するまでの間、ナット押えピン126は後続ナット200Bの側面200bを押圧し続け、後続ナット200Bは前方への移動が規制される。そして、シュート127が後退端付近まで後退すると、板状リンク130はリンクバー107に当たり、リンクピン132を支点として回動し、スプリング129の付勢力に打ち勝って板状リンク130の先端部130aがリンク受板128を押し上げる。このため、ナット押えピン126は後退し、後続ナット200Bの側面200bから離れ、後続ナット200Bは前進可能になる。
また、シュート127の後退途中で、ヒンジプレート141はローラ114と当接を開始してローラ114から下方への押圧力を受けるようになり、ゲートヒンジ135は、ヒンジスプリング138による小さな第1の付勢力の他に、ローラ114からヒンジピン140を支点とする大きな第2の付勢力を受け、ゲートヒンジ135をシュート127の下面に強く押し付ける。このため、シュート127内の後続ナット200B及びその他のナット200はシュート127内に確実に保持されるようになる。
f.シリンダロッド116が前進端まで達したこと、換言すると、シュート127が後退端まで達したことが、後退端センサ120によって検出されると、1ストロークが完了する。この1ストロークの完了時、プッシャー212の先端部212aは後端ナット200Fを押圧しており、次に溶接されるべき先頭ナット200Aはストッパープレート136の手前まで前進している。以後、新たな溶接を行う必要がある場合は、溶接ガン501がワーク100の次の溶接位置まで移動し、上記と同様な動作が行われる。
g.シュート127のナット送給路127b内に貯留されていた所定個数のナット200が全て溶接に使用され、その後も溶接を行う必要がある場合は、先頭ナットセンサ143の信号に基づいて、多関節ロボットは溶接ガン501をナットスタンド600のナット補給位置付近まで移動させる。
そして、図45、図47及び図48に示すように、プッシャー212の先端部212aが供給パイプ603に当たるようにする。供給パイプ603に当たった先端部212は、スプリング215の第3の付勢力に打ち勝って押し上げられる。この先端部212の上昇は、定位置センサ216の信号により検知できる。そして、供給パイプ603を図45、図47及び図48に実線で示すように、供給パイプガイド202に挿入させ、シュート127のナット送給路127b内に所定個数(n個)分のナット200の補給を行う。このナット200の補給は、エアパイプ218からのエアーによって1個ずつ補給される。第n番目ナットセンサ144が第n番目のナット200Fを検出し、ナット200の補給が完了すると、エスケープメント601の作動を停止する。
その後、ナット自動供給装置3を上記の動作とは逆に動作させ、スプリング215の第3の付勢力によってホルダー204を元の低位置に戻し、プッシャー212の先端部212をナット送給路127b内に保つ。そして、溶接ガン501をワーク100の溶接位置まで戻す。
以上説明したように、第3実施形態のナット自動供給装置は、ナット200を一列に整列して収容し、前進及び後退可能なシュート127と、シュート127の先端開口部127dを開放及び閉鎖するストッパープレート136と、ストッパープレート136に対し、シュート先端開口部127dを閉鎖させる方向の第1の付勢力を常に作用する弾性部材としてのヒンジスプリング138と、上部電極2に設けられ、上部電極2の軸心に沿って上昇及び下降するガイドシャフト26と、を備え、シュート127が前進端にあるとき、ガイドシャフト26は下降し、ガイドシャフト26の弾性先端部としての4つの分割片26bがシュート127内の先頭ナット200Aのねじ孔200aに挿入され、その後、シュート127が後退するとき、4つの分割片26bで保持された先頭ナット200Aは、ヒンジスプリング138による第1の付勢力に打ち勝ってストッパープレート136を押し開き、先頭ナット200Aはシュート127の先端開口部127dから外方へ出て4つの分割片26bで弾性保持されるよう構成される。
第3実施形態によると、シュート127内にナット200を一列に収容し、その先頭ナット200Aを上昇位置にある上部電極2に供給すると共にガイドシャフト26の弾性先端部26bでナット200Dを弾性保持するようにしたため、外プロジェクションナット等にも適用可能となり、しかも、上下電極1、2間の作業空間を確保しつつナット200を上部電極2に確実に供給し保持させることができる。
また、第3実施形態に係るナット自動供給装置3は、シュート127内の先頭ナット200Aに続く後続ナット200Bの側面200bを押圧し、後続ナット200Bの前進を規制するナット押え機構Bを備え、ナット押え機構Bは、シュート127が後退端にあるとき、後続ナット200Bの側面200bから離れて後続ナット200Bの前進を許容するよう制御される。このような構成を採用したため、シュート127内の先頭ナット200Aがガイドシャフト26の弾性先端部26bで保持されながらストッパープレート136を押し開いてシュート127の外方へ出るとき、後続ナット200Bはナット押え機構Bによって確実にシュート127内に保持されるようになり、押し開かれたストッパープレート136を越えて後続ナット200Bがシュート127から脱落する不具合を防止できる。
また、第3実施形態のナット自動供給装置3は上述したような構成であるため装置の小型化を図ることができ、また、確実性の高い動作を行うことができる。
また、第3実施形態に係るナット自動供給装置3は、ストッパープレート136に対し、シュート先端開口部127dの閉鎖状態を維持できる第2の付勢力を作用可能なゲート閉鎖機構Cを備え、ゲート閉鎖機構Cは、シュート127が前進端にあるときから、シュート127が後退しシュート127内の先頭ナット200Aがシュート127の外方へ出るまでの期間、ストッパープレート136に対し第2の付勢力を作用しない。このような構成を採用したため、先頭ナット200Aをシュート先端開口部127dから外方へ取り出す作業を行わない間、ゲート閉鎖機構Cにより、ナット200をシュート127内に確実に係留させることができ、また、ヒンジスプリング138による第1の付勢力の大きさを小さく設定することにより、小さな力で先頭ナット200Aをシュート先端開口部127dから外方へ出すことができる。
また、ヒンジスプリング138は、ストッパープレート136が先端部に設けられたゲートヒンジ135を介してストッパープレート136に第1の付勢力を作用し、また、ゲート閉鎖機構Cは、ローラ114と、ゲートヒンジ135の後端部に設けられたヒンジプレート141とを備え、ゲート閉鎖機構Cは、ヒンジプレート141がローラ114から押圧力を受けることにより、ゲートヒンジ135を介してストッパープレート136に対し第2の付勢力を作用し、また、ゲート閉鎖機構Cは、ヒンジプレート136がローラ114と非接触状態のとき、ストッパープレート136に対し第2の付勢力を作用しない。このような構成を採用したため、第1の付勢力と第2の付勢力をストッパープレート136に作用させる機構の簡素化を図ることができる。
また、第3実施形態のナット自動供給装置3は、シュート127に連結されるスライドプレート105を備え、スライドプレート105と可搬式溶接装置用正面プレート203との間の空間に、シュート127内に充填された複数個数のナット200のうちの後端ナット200Fに対し、前方への押圧力を加え、先頭ナット200Aをストッパープレート136まで前進させるナットプッシュ機構Dを備える。このような構成を採用したことにより、空スペースを有効に利用してナットプッシュ機構Dを配置させることができ、装置の小型化を図ることが可能となる。
ここで、ナットプッシュ機構Dは、後端ナット200Fを後方から押圧するプッシャー212と、プッシャー212を前進及び後退させるプッシャー移動機構としてのホルダー204、マグネットシリンダ208、シリンダブロック211と、プッシャー212に対しプッシャー212がシュート127の内部に保持される方向の第3の付勢力を作用するスプリング215とを備え、下方からの外力により、スプリング215の第3の付勢力に抗してプッシャー212を上昇させ、当該ナット自動供給装置3とは別体の供給パイプ603からシュート127内への複数個数のナット200の充填作業が可能になる。このような構成を採用したことにより、ナットプッシュ機構Dを比較的簡素な構成で実現可能となる。また、供給パイプ603を、ナット自動供給装置3とは別体にしたため、ロボットの作動範囲や移動速度などが制限されず、ロボット本来の機能を十分に発揮させることが可能になる。
また、ガイドシャフト26の弾性先端部26bを、正規のねじ径を有する正規ナットのみを弾性保持し得るよう構成したため、ねじ径が正規のねじ径と異なる異種ナットはガイドシャフトの弾性先端部によって弾性保持されなくなるため、正規ナットと異種ナットを自動的に選別することができる。
また、ゲートヒンジ135及びシュート127の床部にそれぞれ形成された上下方向に貫通した位置合せピン孔135b、127cに下方から挿入され、先端部が上部電極2のガイド孔25に嵌ることによってシュート127の前進端を初期設定するための位置合せピン72を設けたため、シュート127の前進端の初期設定を容易に行うことができる。
また、先頭ナット200Aを上部電極2に供給する際、後続ナット200Bを先頭ナット200Aから確実に分離してシュート127内に拘束することができる。また、ガイドシャフト26に弾性保持される保持ナット200Dの姿勢を一定に保つことができるため、ナット200に姿勢の方向性が求められる溶接にも効果的に対応できる。また、上部電極2にナット200を保持させた状態でワーク100の出し入れを行えるため、作業時間の短縮を図ることができる。
また、第2実施形態及び第3実施形態についての説明から明らかなように、第2実施形態に係るナット自動供給装置3と第3実施形態に係るナット自動供給装置3は、基本的構成を同一としており、シュート127の正面に定置式溶接装置用正面プレート139又は可搬式溶接装置用正面プレート203のいずれかの正面プレートを取り付けることなど比較的簡単な作業を行うことによって定置式溶接装置、可搬式溶接装置のいずれにも使用可能となる。