JP2008044022A - 自動ネジ締め機 - Google Patents

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Abstract

【課題】比較的サイズの大きなネジを水平方向にネジ締めする場合であってもネジのふらつきを押さえてネジ締め精度を向上させた自動ネジ締付機を提供する。
【解決手段】パチンコ機の外枠製造に使用する自動ネジ締め機1は、チャック爪20に挟持させたネジ3をドライバビット10を前進させることによってチャック爪20を押し開いてワークにネジ締め固定するもので、ネジ3の最大径の部分5が嵌合し得る保持孔41を有する保持部材40を、ドライバビット10の軸部にコイルバネ12とピン13とを介して着脱可能に取り付ける。チャック爪20は、閉じた状態でネジ3の軸部を挿通することができる反面、ネジ頭部5は通過できない大きさの挿通孔22と、保持部材40の先端42と当接し得るテーパ部23とを備える。保持部材40の保持孔41は、後端細孔部、前端太孔部及び中間筒孔部45からなる多段型筒孔となっている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動ネジ締め機に係り、特に、自動供給されたネジをドライバビットの先端に保持してワークに対して正しく位置合わせした状態でネジの締結を実行するための機構に関する。
従来、パチンコ機の外枠製造においては、製品の構造上、側面及び上面にネジ締めポイントが有り、自動機でネジ締めを行うためには反転や回転などの動作が多くなる。このため、装置の大型化を招かず、工程の簡素化を図るために、ワークを寝かせた状態で組立を行うラインが採用されている。その結果、ネジを水平に締めることとなり、ネジ締めの際にポイントズレ等が発生する場合があった。これは、外枠製造に使用するネジは比較的大きいため、ネジの自重によりネジ先端部までを水平に保つことが困難なためと考えられる。
そこで、こうした問題の解決の参考情報として、[IPC=(B25B23/08+ B25B23/10) *要約キーワード= (脱落* 防止)・・・B25B23/08:スパナ,レンチ,ドライバの細部またはそれらの付属具であって、ネジまたはナット取扱い装置における回転前または回転中にねじまたはナットを保持する装置。B25B23/10:特に機械的把持手段使用。]という検索式で特許情報を調査したところ、以下の様な先行技術が提案されていた。
[特許文献1] ネジの頭部を軟質チューブ101で保持する様にしたもの(図9(A)参照)。
[特許文献2] バネ102を組み付けた螺子着脱用ソケットを備えたもの(図9(B)参照)。
[特許文献3] エア吸引によってネジを吸着保持する円筒状のガイド103aを磁石103bによって磁化し、エア吸引力と磁力とによってネジの脱落を防止する様にしたもの(図9(C)参照)。
[特許文献4] シリコーンコーティング層104を形成することにより、ネジの素材、形状、サイズに関係なく把持機能を備えさせたもの(図9(D)参照)。
[特許文献5] ビス頭抱持部105aとワッシャ抱持部105bとを備えた絶縁筒を前後方向にスライド可能に取り付けたもの(図9(E)参照)。
また、[IPC=(B25B23/08+ B25B23/10)* B23P19/06) * 要約キーワード=チャック・・・B25B23/08、B25B23/10:上述。B23P19/06:部品組立または分解用の機械であって、ネジまたはナットの締め付けまたは緩め機。]という検索式で特許情報の検索をすると、以下の様な先行技術が提案されている。
[特許文献6] 中空円筒状のねじ案内管106aの下端を覆う様に回動可能に取り付けた1個のチャック爪106bをばね106cにより閉鎖方向に付勢するもの(図9(F)参照)。
[特許文献7] 一対のチャック爪107aのネジ保持穴に連通するネジ供給パイプ107bの回動状態によって、拡開可能状態と拡開不可能状態との切り替えタイミングを制御するもの(図10(A)参照)。
[特許文献8] ネジ保持穴を分割成形した一対のキャッチャ108aと、キャッチャ108aを開閉する平行チャック108bと、キャッチャ108aの拡開移動路上に突出するストッパ108cとを備え、ストッパ108cの位置を調節することで、様々な種類のネジを保持するのに対応したもの(図10(B)参照)。
[特許文献9] 一対のチャック爪109aの対向面にネジ保持穴109bを分割形成し、エアシリンダ109cで作動される押圧部材109dでチャック爪109aに挟んだピン109eを押し退けてチャック爪109aをタイミングよく拡開できる様にしたもの(図10(C)参照)。
[特許文献10] ガイド部材110aとチャック爪110bとを同一の開閉軸110cのまわりに揺動自在にするとともに、開閉軸110cより上部でチャック爪110bに螺合した位置決めボルト110dの先端をガイド部材110bに当接させることにより、スタッドボルト110eの上部にソケット110fを螺合させる際にチャック爪110cが開いてしまわないようにしたもの(図10(D)参照)。
[特許文献11] ドライバビット111aの移動路上に、供給ユニットから送られるネジを一旦保持可能なチャック爪111bを配置し、このチャック爪111bを、「閉じた状態」、「開いた状態」、「ねじが脱落しない程度僅かに開いた状態」に操作する開閉手段としてカム・フォロワーを備えたもの(図10(E)参照)。
さらに、[IPC=B25B23/ *要約キーワード=水平・・・B25B23/:スパナ,レンチ,ドライバの細部またはそれらの付属具。]という検索式で特許情報の検索をすると、以下の様な先行技術が提案されている。
[特許文献12] チャック爪112aに挟持されたネジを水平な吸引保持姿勢に配置されるよう旋回させる旋回手段と、整列シュートを送られてきたネジが進入できるようチャック爪112aを開く拡開ピン112cとを備える自動ねじ締め機(図10(F)参照)。
実開平5−5366(要約、図1,2) 特開平7−256562(要約、図1〜4,8〜10) 特開平8−1533(要約、図1,図2) 特開平10−44055(要約、図1〜3) 特開2001−138257(要約、図1,2) 特開平8−108325(要約、図1,2,4,5) 特開平9−174349(要約、図2,5) 特開平10−328948(要約、図1,4) 特開平11−48050(要約、図1〜3) 特開2000−198031(要約、図1〜4) 特開2000−52164(要約、図1〜4) 特開2001−179551(要約、図1,2,7,8)
特許文献1〜5は、いずれもネジの自動供給を前提としておらず、自動機に適する技術とは言えない。なお、特許文献3は自動機にも適用可能であるが、エア吸引や磁気吸着ではサイズの大きなネジを水平方向に締結する場合には有効な解決手段といえない。
特許文献6〜9,11のチャック爪を用いる技術は自動機に適するが、水平方向にネジを締結する場合、チャック爪を開放するときにネジの先端が下がってしまうという問題の解決手段としては不十分である。
特許文献10は、スタッドボルト頭部がソケットに螺合するまでチャック爪を開放しない様にしていることから、水平方向に植え付ける場合にスタッドボルトの先端が下がるということはない。しかし、パチンコ機の外枠製造工程で用いる様なネジはドライバビットとは係合するだけなので、この技術では最初に述べた問題に対する解決手段とはならない。
特許文献12は、水平方向にネジ締めすることを目的とした自動機の提案であるが、ネジの保持は吸引力によるもので、サイズの大きなネジの水平ネジ締めにおける先端の下がりを防止することはできない。
この様に、特許文献1〜12は、パチンコ機の外枠製造工程における水平ネジ締めに際しての位置決め精度の向上という課題を解決する手段としては不十分である。
そこで、本願は、比較的サイズの大きなネジを水平方向にネジ締めする場合であってもネジのふらつきを押さえてネジ締め精度を向上させることができる様な自動ネジ締め機を提供することを目的とする。併せて、種々の頭部形状のネジにも適用できる様にすることをさらなる目的とする。
上記目的を達成するためになされた本発明の自動ネジ締め機は、ドライバビットと、該ドライバビットの前進方向に配置されるチャック爪と、該チャック爪を閉じ方向に付勢する付勢部材とを備え、前記チャック爪に挟持させたネジの頭部のドライバ係合溝に対して先端を係合させた前記ドライバビットを前進させることによって前記付勢部材の付勢力に抗して前記チャック爪を押し開いてワークにネジ締め固定する機能を備え、さらに以下の構成をも備えることを特徴とする自動ネジ締め機。
(1−1)前記ネジの最大径の部分が嵌合し得る保持孔を有する保持部材を、前記ドライバビットに対して軸方向摺動可能に取り付けたこと。
(1−2)前記ドライバビットの軸部に、前記保持部材を前進方向に付勢するコイルバネと、前記保持部材の最前進位置を規定するストッパ部材とを取り付けたこと。
(1−3)前記チャック爪は、先端を閉じた状態で前記ネジの軸部を挿通することができる反面、当該ネジの頭部が通過できない大きさの挿通孔と、前記保持部材の先端と当接し得るテーパ部とを備えていること。
(1−4)前記ネジの頭部のドライバ係合溝に前記ドライバビットの先端が係合した後に、前記保持部材の先端が前記チャック爪の前記テーパ部に内側から当接する様に、各部材の寸法、形状及び動作が調整されていること。
本発明の自動ネジ締め機によれば、ドライバビットの前進方向にネジを供給した後にドライバビットを前進させることにより、このネジは、ドライバビットの前進によって保持部材の保持孔に頭部が嵌り込み、閉鎖状態のチャック爪の挿通孔に軸部を挿通した状態に整列される。このとき、コイルバネが縮むことにより、ネジに過大な力が作用するのを防止でき、ネジはスムーズに軸心を合わされる。そして、ドライバビットがさらに前進してネジ頭部のドライバ係合溝にビット先端が係合する。このとき、コイルバネは最も縮んだ状態となる。さらにドライバビットが前進すると、保持部材の先端がチャック爪のテーパ部に内側から当接する。そして、チャック爪が徐々に押し開かれていく。このとき、ネジは、その最大径の部分が保持部材の保持孔に嵌り込み、頭部のドライバ係合溝にビット先端が係合している。この結果、ネジは、チャック爪が開き初めて先端部を支持しなくなってもドライバビットの軸心からほとんどずれることなくワークの予定位置に真っ直ぐにねじ込まれていく。
ここで、皿ネジならば頭部の端面側が「ネジの最大径の部分」となり、ナベネジや平ナベネジならば頭部の軸側に「ネジの最大径の部分」が生じる。また、丸皿ネジでは、軸に向かって先細りとなるテーパ部分の上端が「ネジの最大径の部分」となる。さらに、フランジ付きナベネジではフランジの外周が「ネジの最大径の部分」となる。なお、ワッシャ付きネジでは、ワッシャの外周部分を「ネジの最大径の部分」となる様に保持孔を構成してもよい。
この様な作用は、「(1−5)前記ドライバビットがプラスドライバであること。」という構成を備えるとより効果的であり、加えて、「(1−6)前記ドライバビットの移動軸を水平方向としたこと。」という構成をも備えた自動ネジ締め機において比較的大きなネジを用いて水平方向のネジ締め作業を実行するときに特に有効なものとなる。上述の様に、チャック爪の挿通孔、保持部材の保持孔及びコイルバネの作用によって、ネジは自然に軸心合わせが行われながら、頭部の最大部分(ワッシャ付きの場合はワッシャの外周)が保持孔に嵌り込んだ状態でドライバビットの先端と係合する。この段階ではチャック爪が閉じていることから軸心にずれは生じない。また、チャック爪が開き始めた後も、ネジの頭部はドライバビットの先端により軸心部分を支持され、かつ、保持孔によって外縁部分を保持されているので、頭部をしっかりと掴まれた状態となっており、先端が下がってしまうことなくワークのネジ止め孔にねじ込まれていく。
ここで、上記さらなる目的をも達成する上では、本発明の自動ネジ締め機において、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(2−1)前記保持部材の保持孔は、前記ドライバビットの先端軸部と摺接する程度の後端細孔部と、前記ネジの頭部をほぼ完全に収容可能な前端太孔部と、該前端太孔部と前記後端細孔部の中間径を有する中間筒孔部とからなる多段型筒孔を備えていること。
(2−2)前記保持部材の後端と前記ドライバビットの軸部に形成した太径段部との間に前記コイルバネを嵌め込むと共に、前記後端細孔部の直径よりも長く、かつ、前記中間筒孔部の直径よりも短いピンを両端が飛び出す様に前記ドライバビットの先端軸部に打ち込むことによって、前記保持部材を前記ドライバビットに対して取り付けたこと。
(2−3)前記保持部材の前記中間筒孔部及び前記ドライバビットの先端軸部には、それぞれ中心軸を通り、かつ該中心軸に直交する貫通孔が穿設されていること。
(2−4)前記保持部材と前記ドライバビットとは、前記中心軸の回りに相対的に回転可能に構成されていること。
これら(2−1)〜(2−4)をも備えた自動ネジ締め機によれば、保持部材を取り付ける際には、ドライバビットの先端からコイルバネをセットし、保持部材の後端細孔部にドライバビットの先端を挿入すると共に、保持部材とドライバビットとの相対回転によって互いの貫通孔が一致して一本の貫通孔を形成する様に位置合わせし、この一本の貫通孔からピンを打ち込む。逆に、保持部材を取り外す際には、保持部材とドライバビットとの相対回転によって互いの貫通孔が一致して一本の貫通孔を形成する様に位置合わせし、ピン抜き取り用の長い棒を貫通孔から打ち込んでピンを抜き出せばよい。この様に、(2−1)〜(2−4)をも備えた自動ネジ締め機によれば、保持部材を脱着することができるので、使用するネジの頭部の形状に応じた保持孔を有する保持部材に交換することにより、種々の頭部形状のネジを用いて本発明の有効なる作用を発揮することができる。
また、これら本発明の自動ネジ締め機は、さらに、以下の構成をも備える様にするとよい。
(3−1)前記チャック爪は、前記ドライバビットを軸方向移動可能に支持する案内筒の先端部に回動可能に取り付けられていること。
(3−2)前記案内筒内にネジを供給するネジ供給装置を備えていること。
(3−3)前記案内筒を備える前方プレートと、前記ドライバビットを回転駆動する駆動軸を備える後方プレートとを、前記各プレートに取り付けたスライドブッシュを介して同一軸にてガイドするガイドシャフトを備えていること。
(3−4)前記ガイドシャフトに沿って、前記後方プレートを前記前方プレートに対して接近・離間動作させるアクチュエータを備えていること。
(3−5)前記駆動軸の先端部には、前記ドライバビットを脱着可能なスリーブ継ぎ手が、長孔と係合ピンとを介して取り付けられていること。
(3−6)前記スリーブ継ぎ手と前記後方プレートとの間には、コイルバネがショックアブソーバとして介装されていること。
(3−7)前記ドライバビットの移動量を検出するセンサを備えていること。
この(3−1)〜(3−7)をも備えた自動ネジ締め機によれば、スリーブ継ぎ手を用い、長孔と係合ピンとを介して駆動軸の回転をドライバビットに伝達しつつドライバビットを駆動軸の前進後退動作とは独立した前進後退動作が可能である。そして、ドライバビットをスリーブ軸から取り外せば、他の種類のネジに適する保持部材を取り付けたドライバビットに交換することもできるし、(2−1)〜(2−4)の構成をも備える場合には、保持部材の交換を行って再びスリーブ継ぎ手にドライバビットを取り付けることもできる。また、案内筒と駆動軸が同一軸であるガイドシャフトによってガイドされているので、案内筒とドライバビットの軸心はずれることがない。そして、(3−6)のコイルバネと、(1−2)のコイルバネとにより、保持部材に保持されたネジは、駆動軸の前進動作に対して複数のショックアブソーバによって調整されつつ軸心合わせが行われることになる。これら、「案内筒と駆動軸の移動軸の一致」、「駆動軸とドライバビットの前進後退動作の独立性」及び「複数のショックアブソーバ作用」により、ネジに無理な力が加わったりすることなくスムーズに軸心合わせと頭部の保持とが実行される。そして、駆動軸とドライバビットの前進後退動作とが完全な連動ではなく一部独立した移動量とした結果、ねじ込み量などを駆動軸の移動量だけでは管理できなくなるという問題点に対しては、(3−7)のセンサを備えたことにより、当該センサからの検出信号に基づいて管理することで対応が可能となっている。なお、(3−6)のコイルバネは、ねじ込み終了後の後退動作において、後方プレートの後進のきっかけ作りをするという作用も発揮する。これにより、自動ネジ締め機の全体の動作がスムーズかつ敏捷なものとなる。
本発明の自動ネジ締め機によれば、比較的サイズの大きなネジを水平方向にネジ締めする場合であってもネジのふらつきを押さえてネジ締め精度を向上させることができる。また、(2−1)〜(2−4)の構成をも備えることで、かかる効果を、種々の頭部形状のネジに対して発揮し得る汎用性を与えることができる。さらに、(3−1)〜(3−7)をも備えることで、ネジの軸心合わせ等に無理な力が加わるのを防止すると共に全体の動作をスムーズかつ敏捷なものとし、より一層のネジ締め精度向上とネジ締め作業の効率化を達成することができる。
以下、本発明を具体化した実施形態として、パチンコ機の外枠製造に使用する自動ネジ締め機について説明する。この自動ネジ締め機1は、図1に示す様に、ドライバビット10と、ドライバビット10の前進方向に配置されるチャック爪20と、チャック爪20を閉じ方向に付勢するコイルバネ(付勢部材)30とを備え、チャック爪20に挟持させたネジ3の頭部4のドライバ係合溝に対して先端を係合させたドライバビット10を前進させることによってコイルバネ30の付勢力に抗してチャック爪20を押し開いてワークにネジ締め固定する機能を備えるものである。
ここで、図1〜図3に示す様に、本実施形態の自動ネジ締め機1は、以下の構成を、従来にない特徴として備えている。
本実施形態の特徴として、まず、ネジ3の最大径の部分5が嵌合し得る保持孔41を有する保持部材40を、ドライバビット10に対して軸方向摺動可能に取り付けてある。また、ドライバビット10の軸部11に、保持部材40を前進方向に付勢するコイルバネ12と、保持部材40の最前進位置を規定するストッパ部材としてのピン13とを取り付けてある。そして、チャック爪20は、先端21を閉じた状態でネジ3の軸部6を挿通することができる反面、当該ネジ3の頭部5が通過できない大きさの挿通孔22と、保持部材40の先端42と当接し得るテーパ部23とを備えている。さらに、ネジ3の頭部4のドライバ係合溝にドライバビット10の先端14が係合した後に、保持部材40の先端42がチャック爪20のテーパ部23に内側から当接する様に、各部材の寸法、形状及び動作が調整されている。
なお、図1に示したネジ3は、フランジ付きナベネジであるから、フランジの外周が「ネジの最大径の部分5」となっている。また、本実施形態で使用するドライバビット10は、プラスドライバである。そして、本実施形態の自動ネジ締め機1は、ドライバビット10の移動軸を水平方向とした構成となっている。
また、本実施形態の自動ネジ締め機1は、図2,図3に拡大して示す様に、さらに、以下の構成をも備えている。
ドライバビット10の軸部11は、先端側の細径軸部15と、後端側の太径軸部16とから構成され、細径軸部15と太径軸部16との連続する部分に太径段部17が形成されている。
保持部材40の保持孔41は、ドライバビット10の細径軸部15と摺接する程度の後端細孔部43と、ネジ3の頭部4(フランジを含む)をほぼ完全に収容可能な前端太孔部44と、前端太孔部44と後端細孔部43の中間径を有する中間筒孔部45とからなる多段型筒孔となっている。
そして、保持部材40は、その後端46とドライバビット10の軸部11に形成した太径段部17との間にコイルバネ12を嵌め込むと共に、後端細孔部43の直径よりも長く、かつ、中間筒孔部45の直径よりも短いピン13を両端が飛び出す様にドライバビット10の細径軸部15に打ち込むことによって、ドライバビット10に対して取り付けられる。
このため、保持部材40の中間筒孔部45及びドライバビット10の細径軸部15には、それぞれ中心軸を通り、かつ当該中心軸に直交する貫通孔48,18が穿設されている。また、保持部材40とドライバビット10とは、中心軸の回りに相対的に回転可能に構成されている。
また、本実施形態の自動ネジ締め機1は、さらに、以下の構成をも備えている。
チャック爪20は、図1,図4,図5に示す様に、ドライバビット10を軸方向移動可能に支持する案内筒51の先端部に回動可能に取り付けられている。また、自動ネジ締め機1は、図4に示す様に、この案内筒51内にネジを供給するネジ供給装置52を備えている。そして、案内筒51を備える前方プレート53と、ドライバビット10を回転駆動する駆動軸54を備える後方プレート55とを、各プレート53,55に取り付けたスライドブッシュ56,57を介して同一軸にてガイドするガイドシャフト58を備えている。さらに、ガイドシャフト58に沿って、後方プレート55を前方プレート53に対して接近・離間動作させるアクチュエータ59を備えている。また、駆動軸54の先端部には、ドライバビット10を脱着可能なスリーブ継ぎ手61が、スリーブ継ぎ手61に形成した長孔62と駆動軸54に嵌合されている係合ピン63とを介して取り付けられている。さらに、スリーブ継ぎ手61と後方プレート55との間には、コイルバネ64がショックアブソーバとして介装されている。加えて、ドライバビット10の移動量を検出するセンサ65も備えられている。なお、図1の符号66は、ドライバビット10を回転駆動するためのドライバである。
以上の様な構成を備えた本実施形態の自動ネジ締め機1によれば、図4(B)に示す様に、ドライバビット10の前進方向にネジ3を供給した後に、図5(A),(B)に示す様に、ドライバビット10を前進させることにより、このネジ3は、ドライバビット10の前進によって保持部材40の保持孔41に頭部4が嵌り込み、閉鎖状態のチャック爪20の挿通孔22に軸部6を挿通した状態に整列される。このとき、コイルバネ12が縮むことにより、ネジ3に過大な力が作用するのを防止でき、ネジ3はスムーズに軸心を合わされる。そして、ドライバビット10がさらに前進してネジ頭部4のドライバ係合溝にビット先端14が係合し、コイルバネ12は最も縮んだ状態となる。さらにドライバビット10が前進すると、保持部材40の先端42がチャック爪20のテーパ部23に内側から当接する。そして、図5(C)に示す様に、チャック爪20が徐々に押し開かれていく。このとき、ネジ3は、その最大径の部分5が保持部材40の保持孔41の前端太孔部44に嵌り込み、頭部4のドライバ係合溝にビット先端14が係合している。この結果、ネジ3は、チャック爪20が開き初めて先端部を支持しなくなってもドライバビット10の軸心からほとんどずれることなくワークの予定位置に真っ直ぐにねじ込まれていく。
また、本実施形態の自動ネジ締め機1によれば、保持部材40を取り付ける際には、ドライバビット10の先端からコイルバネ12をセットし、保持部材40の後端細孔部43にドライバビット10の細径軸部15を挿入すると共に、保持部材40とドライバビット11との相対回転によって互いの貫通孔48,18が一致して一本の貫通孔を形成する様に位置合わせし、この一本の貫通孔からピン13を打ち込む。逆に、保持部材40を取り外す際には、保持部材40とドライバビット10との相対回転によって互いの貫通孔48,18が一致して一本の貫通孔を形成する様に位置合わせし、ピン抜き取り用の長い棒を貫通孔48から打ち込んでピン12を抜き出せばよい。この様に、本実施形態の自動ネジ締め機1によれば、保持部材40を脱着することができるので、使用するネジ3の頭部4の形状に応じた保持孔41を有する保持部材40に交換することにより、種々の頭部形状のネジを用いて本発明の有効なる作用を発揮することができる。
さらに、本実施形態の自動ネジ締め機1によれば、スリーブ継ぎ手61を用い、長孔62と係合ピン63とを介して駆動軸54の回転をドライバビット10に伝達する構成を採用したので、長孔62の長さ分に相当する空走距離が確保され、ドライバビット10に駆動軸54の前進後退動作とは独立した前進後退動作をさせることが可能である。また、ドライバビット10をスリーブ継ぎ手61から取り外せば、他の種類のネジに適する保持部材40を取り付けたドライバビット10に交換し、再びスリーブ継ぎ手61にドライバビット10を取り付けることによって、異なる種類のネジを用いたネジ締め作業を本発明の作用・効果を発揮させつつ実施することができる。さらに、案内筒51と駆動軸54が、ガイドシャフト58によって同一軸に沿ってガイドされているので、案内筒51とドライバビット10の軸心はずれることがない。そして、コイルバネ64と、コイルバネ12とにより、保持部材40に保持されたネジ3は、駆動軸54の前進動作に対して複数のショックアブソーバによって調整されつつ軸心合わせが行われることになる。これら、「案内筒51と駆動軸54の移動軸の一致」、「駆動軸54とドライバビット10の前進後退動作の独立性」及び「複数のショックアブソーバ作用」により、ネジ3に無理な力が加わったりすることなくスムーズに軸心合わせと頭部4の保持とが実行される。そして、駆動軸54とドライバビット10の前進後退動作とが完全な連動ではなく一部独立した移動量とした結果、ねじ込み量などを駆動軸54の移動量だけでは管理できなくなるという問題点に対しては、センサ65を備えたことにより、当該センサ65からの検出信号に基づいて管理することで対応が可能となっている。なお、コイルバネ64は、ねじ込み終了後の後退動作において、後方プレート55の後進のきっかけ作りをするという作用も発揮する。これにより、自動ネジ締め機1の全体の動作がスムーズかつ敏捷なものとなっている。
本実施形態の自動ネジ締め機1は、最初に述べた通り、パチンコ機の外枠製造に用いるものである。パチンコ機の外枠71は、図6(A)に示す様に、縦長で、その側面及び底面に対して、外側からネジ止めする必要がある。このため、縦に置いた状態では製造工程において上下反転等が必要となる。そこで、本実施形態では、自動ネジ締め機1を水平方向にドライバビット移動軸を有するものとし、図6(B)に示す様に、外枠71を横倒しした状態でネジ止めすることとしている。
このため、図7に示す様に、ネジ3を水平に保持してネジ締め作業を行うことになるのであるが、上述の様に、チャック爪20の挿通孔22、保持部材40の保持孔41及びコイルバネ12の作用によって、ネジ3は自然に軸心合わせが行われながら、頭部4の最大部分5が保持孔41に嵌り込んだ状態で、その係合溝に対してドライバビット10の先端14が係合される。この段階ではチャック爪20が閉じていることから軸心にずれは生じない。また、チャック爪20が開き始めた後も、ネジ3の頭部4はドライバビット10の先端14により軸心部分を支持され、かつ、保持孔41によって外縁部分を保持されているので、頭部をしっかりと掴まれた状態となっており、先端が下がってしまうことなくワーク72のネジ止め孔73にねじ込まれていく。
以上、発明を実施するための最良の形態としての一実施形態を説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内における種々の変更が可能である。
例えば、図8(A)〜(C)に示す様に、皿ネジ81用の保持部材91、ナベネジ82用の保持部材92、丸皿ネジ83用の保持部材93とすることなどは本発明の要旨を逸脱しないものである。図8(A)の皿ネジ81用の保持部材91は、前端太孔部91aの径を皿ネジ81の頭部81aの端面の径とほぼ同一とし、中間筒孔部91bとの間に形成される段部91cをフラットな段部として皿ネジ81の頭部端面81aを受け止める様な形状の筒孔に構成すればよい。また、図8(B)のナベネジ82用の保持部材92は、前端太孔部92aの径を、ナベネジ82の頭部82aの軸側の円筒部分の外径とほぼ同一とし、中間筒孔部92bとの間に形成される段部92cの形状を、ナベネジ82の頭部82aの曲面を抱え込む様な湾曲形状となった筒孔に構成すればよい。さらに、図8(C)の丸皿ネジ83用の保持部材93は、前端太孔部93aの径を、丸皿ネジ83の頭部83aのテーパー部の最大径とほぼ同一とし、中間筒孔部93bとの間に形成される段部93cの形状を、丸皿ネジ83の頭部83aの曲面を抱え込む様な湾曲形状となった筒孔に構成すればよい。もちろん、これら以外の種類のネジを用いることもできることはいうまでもない。
実施形態の自動ネジ締め機の全体構成を示す平面図である。 実施形態において用いる部品を拡大して示し、(A)は保持部材の平面図、(B)は保持部材の断面図、(C)はドライバビットの平面図、(D)はドライバビットの断面図、(E)はピン及びコイルバネの平面図である。 図2に示した部品の組立状体を示す一部断面の平面図である。 実施形態の自動ネジ締め機のネジ供給装置の配置状態を示し、(A)は側面図、(B)は平面図である。 実施形態の自動ネジ締め機によるネジの保持状態を示す平面図である。 実施形態の自動ネジ締め機を用いてパチンコ機の外枠製造を行う際のネジ締め位置を示し、(A)は平面図、(B)は正面図である。 実施形態の自動ネジ締め機によるネジ締めの様子を示す平面図である。 他の種類のネジを用いる場合の保持部材を例示する断面図である。 従来技術を示す説明図である。 従来技術を示す説明図である。
符号の説明
1・・・自動ネジ締め機
3・・・ネジ
4・・・ネジの頭部
5・・・ネジの最大径の部分
6・・・ネジの軸部
10・・・ドライバビット
11・・・軸部
12・・・コイルバネ
13・・・ピン
14・・・ドライバビットの先端
15・・・細径軸部
16・・・太径軸部
17・・・太径段部
18・・・貫通孔
20・・・チャック爪
21・・・先端
22・・・挿通孔
23・・・テーパ部
30・・・コイルバネ
40・・・保持部材
41・・・保持孔
42・・・保持部材の先端
43・・・後端細孔部
44・・・前端太孔部
45・・・中間筒孔部
46・・・保持部材の後端
48・・・貫通孔
51・・・案内筒
52・・・ネジ供給装置
53・・・前方プレート
54・・・駆動軸
55・・・後方プレート
56,57・・・スライドブッシュ
58・・・ガイドシャフト
59・・・アクチュエータ
61・・・スリーブ継ぎ手
62・・・長孔
63・・・係合ピン
64・・・コイルバネ
65・・・センサ
66・・・ドライバ
71・・・パチンコ機の外枠
72・・・ワーク
73・・・ネジ止め孔
81・・・皿ネジ
81a・・・頭部
82・・・ナベネジ
82a・・・頭部
83・・・丸皿ネジ
83a・・・頭部
91・・・皿ネジ用の保持部材
91a・・・前端太孔部
91b・・・中間筒孔部
91c・・・段部
92・・・ナベネジ用の保持部材
92a・・・前端太孔部
92b・・・中間筒孔部
92c・・・段部
93・・・丸皿ネジ用の保持部材
93a・・・前端太孔部
93b・・・中間筒孔部
93c・・・段部

Claims (3)

  1. ドライバビットと、該ドライバビットの前進方向に配置されるチャック爪と、該チャック爪を閉じ方向に付勢する付勢部材とを備え、前記チャック爪に挟持させたネジの頭部のドライバ係合溝に対して先端を係合させた前記ドライバビットを前進させることによって前記付勢部材の付勢力に抗して前記チャック爪を押し開いてワークにネジ締め固定する機能を備え、さらに以下の構成をも備えることを特徴とする自動ネジ締め機。
    (1−1)前記ネジの最大径の部分が嵌合し得る保持孔を有する保持部材を、前記ドライバビットに対して軸方向摺動可能に取り付けたこと。
    (1−2)前記ドライバビットの軸部に、前記保持部材を前進方向に付勢するコイルバネと、前記保持部材の最前進位置を規定するストッパ部材とを取り付けたこと。
    (1−3)前記チャック爪は、先端を閉じた状態で前記ネジの軸部を挿通することができる反面、当該ネジの頭部が通過できない大きさの挿通孔と、前記保持部材の先端と当接し得るテーパ部とを備えていること。
    (1−4)前記ネジの頭部のドライバ係合溝に前記ドライバビットの先端が係合した後に、前記保持部材の先端が前記チャック爪の前記テーパ部に内側から当接する様に、各部材の寸法、形状及び動作が調整されていること。
  2. さらに、以下の構成をも備えることを特徴とする請求項1記載の自動ネジ締め機。
    (2−1)前記保持部材の保持孔は、前記ドライバビットの先端軸部と摺接する程度の後端細孔部と、前記ネジの頭部をほぼ完全に収容可能な前端太孔部と、該前端太孔部と前記後端細孔部の中間径を有する中間筒孔部とからなる多段型筒孔を備えていること。
    (2−2)前記保持部材の後端と前記ドライバビットの軸部に形成した太径段部との間に前記コイルバネを嵌め込むと共に、前記後端細孔部の直径よりも長く、かつ、前記中間筒孔部の直径よりも短いピンを両端が飛び出す様に前記ドライバビットの先端軸部に打ち込むことによって、前記保持部材を前記ドライバビットに対して取り付けたこと。
    (2−3)前記保持部材の前記中間筒孔部及び前記ドライバビットの先端軸部には、それぞれ中心軸を通り、かつ該中心軸に直交する貫通孔が穿設されていること。
    (2−4)前記保持部材と前記ドライバビットとは、前記中心軸の回りに相対的に回転可能に構成されていること。
  3. さらに、以下の構成をも備えることを特徴とする請求項1又は2記載の自動ネジ締め機。
    (3−1)前記チャック爪は、前記ドライバビットを軸方向移動可能に支持する案内筒の先端部に回動可能に取り付けられていること。
    (3−2)前記案内筒内にネジを供給するネジ供給装置を備えていること。
    (3−3)前記案内筒を備える前方プレートと、前記ドライバビットを回転駆動する駆動軸を備える後方プレートとを、前記各プレートに取り付けたスライドブッシュを介して同一軸にてガイドするガイドシャフトを備えていること。
    (3−4)前記ガイドシャフトに沿って、前記後方プレートを前記前方プレートに対して接近・離間動作させるアクチュエータを備えていること。
    (3−5)前記駆動軸の先端部には、前記ドライバビットを脱着可能なスリーブ継ぎ手が、長孔と係合ピンとを介して取り付けられていること。
    (3−6)前記スリーブ継ぎ手と前記後方プレートとの間には、コイルバネがショックアブソーバとして介装されていること。
    (3−7)前記ドライバビットの移動量を検出するセンサを備えていること。
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