JP5044003B2 - プローブの作製方法およびプローブ、ならびに走査プローブ顕微鏡 - Google Patents

プローブの作製方法およびプローブ、ならびに走査プローブ顕微鏡 Download PDF

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本発明は、機能デバイスおよびその作製方法に関し、特に、微細な間隙(ギャップ)が形成された薄膜構造体を有する機能デバイスおよびその作製方法に関する。
集束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)加工による間隙形成は、微細構造の直接的な加工に多く活用されている。最新の集束イオンビーム装置はGa金属イオン源と静電レンズ系との組み合わせにより10nmを切るような微細なビーム径を実現できること、高電圧加速したGaイオンの運動エネルギーを利用して加工対象の材料を直接的にエッチング(スパッタエッチング)することが可能なことから、広い領域での活用が期待される。
FIB加工により基板上の薄膜に微細な間隙を形成する場合、従来は図16(a)に示すように、薄膜1602の表面側からFIBを照射していた。
このようなFIB加工による間隙形成技術は、例えば走査プローブ顕微鏡用の四探針プローブの作製に用いられる。この走査プローブ顕微鏡は、四探針プローブを試料(物質)の表面に沿って走査し、その試料の電気抵抗等の特性を計測するものである。四探針プローブは、試料と接触する先端部に4つの電極を有する。図17に示すように、4つの電極1702は、基板1701上の金属薄膜を3つの溝1703で分割することにより形成され、これらの3つの溝1703の形成に上述したFIB加工が用いられる(例えば、非特許文献1を参照)。
"Nano-four-point probes on microcantilever system fabricated by focused ion beam": M.Nagase, H.Takahashi, Y.Shirakawabe and H.Namatsu,Jpn.J.Appl.Phys.42(2003)4856-4860.
一般的に、イオンビームの形状(イオンビームの強度プロファイル)は、複数のガウス分布の重ね合せた形式で表現できる。最も強度の強い分布の半値幅は10nm程度であり、通常これがビーム径を表すことになる。しかし、これ以外にも強度は弱いが、より広がりをもった成分が含まれており、一般にフレアと呼ばれている。このフレアは、広がりが数100nm〜数μm、強度が最大の数%程度である。このフレアの影響により、ビーム径が10nm程度の条件で直接加工を行っても、周囲の広い範囲にビームが照射され、フレアの強度によってはエッチングが行われてしまう。その結果、FIB加工により形成される間隙の幅が、ビーム径よりもかなり広くなってしまう。
また、フレア部分のビーム照射部位が改質され、電気的特性が変化してしまう。絶縁物には導電性が付与され、その一方で金属は導電性が低下する。対策としては、形成される間隙の幅を広げるか、改質層を除去する必要がある。
このようなフレアの影響により、従来のFIB加工では、加工膜厚と同程度の幅の間隙しか形成できなかった。例えば100nm程度の膜厚の構造体に間隙を形成する場合には、間隙の幅は100nm程度までが限界であった。現状でもFIBのビーム径は10nm以下となっているが、その性能を生かし切れていないことになる。
したがって、図17に示すように従来のFIB加工による間隙形成技術を用いて四探針プローブを作製しても、やはりフレアの影響により、先端部の電極間隔を狭められない。
また、フレア部分のビーム照射部位が改質される結果、基板1701もなにがしかの導電性を有することになり、電極1702間の絶縁性が低下する。これは、定量的な電気抵抗等の計測には大きな障害となる。また、改質された電極1701はたとえ照射量が小さくてもコンタクト特性が悪くなる。このため、僅かの外乱要因でコンタクト抵抗が変化して電気的ノイズが発生するので、精度の高い計測を行えない。
このようなフレアの影響を防止するために、リソグラフィ技術を用いて加工対象膜の上に予めマスクパターンまたは犠牲層を形成する手法が考えられる。しかし、この場合には、マスクパターンまたは犠牲層の除去の問題、マスクパターンまたは犠牲層のビーム照射による変質の問題、さらにはマスクパターンまたは犠牲層を通したビーム照射による加工対象膜の改質の問題等がある。これらの問題を回避するためには十分にマージンをもった加工を行う必要があり、その結果、最小加工寸法がビーム径に比べてかなり大きくなる、マスクパターンまたは犠牲層が厚くなる等の影響がある。
一方、マスクパターンまたは犠牲層を用いることが可能な構造であれば、むしろ通常のリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いた方が確実であるので、FIBの直接加工という特徴を活かすには、マスクパターンまたは犠牲層を用いない手法が望ましい。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、マスクパターン等を用いることなく、FIB加工で従来よりも幅が狭い間隙を形成するとともに、ビーム照射部位の改質を抑制することにある。
また、他の目的は、従来よりも電極間隔が短く、高精度の計測が可能なプローブを作製することにある。
このような目的を達成するために本発明に係る機能デバイスの作製方法は、基板の主面に薄膜を形成する工程と、集束した粒子線を基板の裏面から照射して、基板の裏面から薄膜の表面まで貫通する間隙を形成する工程とを備えることを特徴とする。
この機能デバイスの作製方法は、基板の一部を裏面から所定の深さまで除去して凹部を形成する工程をさらに備え、間隙を形成する工程は、凹部内に粒子線を照射するようにしてもよい。
ここで、凹部を形成する工程は、深さが異なる複数の領域を有する凹部を形成し、間隙を形成する工程は、凹部の複数の領域に跨って粒子線を照射するようにしてもよい。この際、凹部を形成する工程は、凹部内に凸部を形成する工程を含んでいてもよい。
また、粒子線は、Gaイオンビームであってもよい。
また、本発明に係るプローブの作製方法は、基板の主面に金属薄膜を形成する工程と、金属薄膜を分割して複数の電極を形成する工程とを備え、電極を形成する工程は、集束した粒子線を基板の裏面から照射することにより、基板の端から延在し基板の裏面から金属薄膜の表面まで貫通する間隙を少なくとも1つ形成する工程を含むことを特徴とする。
このプローブの作製方法は、少なくとも間隙が形成される領域およびその周囲を基板の裏面から所定の深さまで除去する工程をさらに備えるようにしてもよい。
また、本発明に係る機能デバイスは、基板と、この基板の主面に形成された薄膜と、基板の裏面から薄膜の表面まで貫通し、薄膜の表面における幅が基板の裏面における幅よりも狭い間隙とを備えることを特徴とする。
ここで、基板は、裏面に形成された凹部を備え、間隙は、凹部内に形成されているものであってもよい。さらに、凹部は、深さが異なる複数の領域を有し、間隙は、凹部の複数の領域に跨って形成され、凹部の深さが浅い領域ほど薄膜の表面における間隙の幅が狭いものであってもよい。
また、本発明に係るプローブは、端から延在し主面から裏面まで貫通する少なくとも1つの間隙により端から所定の長さの領域が複数に分割された基板と、この基板の分割された領域の主面に形成された複数の電極とを備え、間隙の少なくとも1つは、基板の主面における幅が基板の裏面における幅よりも狭いことを特徴とする。
ここで、基板における少なくとも間隙の周囲は、裏面が所定の深さまで除去されているものであってもよい。
また、本発明に係る走査プローブ顕微鏡は、複数の電極を有するプローブを物質の表面を走査させて物質の特性を計測する走査プローブ顕微鏡であって、上述したプローブが用いられることを特徴とする。
本発明では、主面に薄膜が形成された基板の裏面から集束した粒子線(ビーム)を照射して、基板の裏面から薄膜の表面まで貫通する間隙を形成する。これにより、基板の主面側において、ビームの広がり(フレア)の影響を抑制できる。したがって、基板の主面上の薄膜に従来よりも幅が狭い間隙を形成できる。また、薄膜およびその近傍の改質を抑制し、本来の電気的特性を維持できる。
また、基板の裏面からビームを照射して間隙を形成する場合には、たとえオーバーエッチングの量を大きくしても、基板の主面側におけるフレアの影響をほぼ無視できる。したがって、オーバーエッチング量が非常に大きい条件の下で、ビームプロファイルを利用した加工が可能となる。すなわち、オーバーエッチングの時間を変化させることにより、同一のビーム条件(絞り、ビーム電流)でも、ビームプロファイルに依存して、間隙の幅を変化させることが可能となる。加工すべき厚さが違えば、同一条件のビームで同じ時間加工しても、間隙の幅が変わることになる(厚い場合には幅が狭く、薄い場合には広くなる)。さらに、基板の裏面に深さが異なる複数の領域を有する凹部を形成し、これら複数の領域に跨って加工することにより、加工すべき厚さに対応して幅が変化する間隙を形成できる。このようにして形成される間隙の幅はビームプロファイルに依存して正確に制御することが可能であり、加工の精度も高くなる。
また、上述した間隙形成技術を複数の電極を有するプローブの作製に応用することにより、従来よりも電極間隔が短いプローブを作製できる。また、電極およびその近傍の改質が抑制され、本来の電気的特性が維持されるので、従来よりも高精度の計測が可能なプローブを作製できる。
本発明の第1の参考例に係る機能デバイスの作製方法を説明する図である。 本発明の第2の参考例に係る機能デバイスの作製方法を説明する図である。 本発明の第2の参考例に係る機能デバイスの作製方法を説明する図であり、この方法で作製された機能デバイスの構造を示している。 本発明の実施の形態に係る四探針プローブの作製方法を説明する図であり、カンチレバーの全体構造およびカンチレバーの主面側からFIB加工する場合のFIBの照射方向を示している。 本発明の実施の形態に係る四探針プローブの作製方法を説明する図であり、図4に示すカンチレバーの先端領域の平面図である。 本発明の実施の形態に係る四探針プローブの作製方法を説明する図であり、図5に引き続く工程を示す平面図である。 本発明の実施の形態に係る四探針プローブの作製方法を説明する図であり、カンチレバーの裏面側からFIB加工する場合のFIBの照射方向を示している。 本発明の実施の形態に係る四探針プローブの作製方法を説明する図であり、図6に引き続く工程を示す底面図である。 本発明の実施の形態に係る四探針プローブの作製方法を説明する図であり、図8に引き続く工程を示す底面図である。 本発明の実施の形態に係る四探針プローブの作製方法を説明する図であり、図9に引き続く工程を示す底面図である。 本発明の実施の形態に係る四探針プローブの作製方法を説明する図であり、図10に引き続く工程を示す底面図である。 本発明の実施の形態に係る四探針プローブの作製方法を説明する図であり、図11に引き続く工程を示す底面図である。 本発明の実施の形態に係る四探針プローブの作製方法を説明する図であり、図11に引き続く工程を示す平面図である。 作製された四探針プローブが走査プローブ顕微鏡に装着されたときの試料との位置関係を示す斜視図である。 本発明の実施の形態に係る四探針プローブ先端の正面図である。 従来のFIB加工による間隙形成方法を説明する図である。 従来の四探針プローブ先端の正面図である。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[第1の参考例]
図1は、本発明の第1の参考例に係る機能デバイスの作製方法を説明する図である。
本参考例では、図1(a)に示すように、基板101の主面に薄膜102を形成し、基板101の裏面からFIB(集束した粒子線)103を照射する。これにより、図1(b)に示すような基板101の裏面から薄膜102の表面まで貫通する間隙104を形成できる。この間隙104は、薄膜102の表面における幅が、基板101の裏面における幅よりも狭いものとなる。例えば、厚さ1μmまで薄層化したSi基板上の厚さ100nmのPt薄膜に間隙を形成する場合には、ビーム径が10nm、ビーム電流が10pAで30kVのGaイオンビームを基板の裏面から10分間程度照射し続けることにより、Pt薄膜の表面に微細な間隙を形成できる。
このように、FIB加工を基板101の裏面から行うと、薄膜102の加工には、FIB103のビームプロファイルのうち最も強度の強い中心部分のみが使われる。このため、加工条件を調整して、間隙104が形成された直後にFIB103の照射を止めることにより、薄膜102の表面における間隙104の幅をビーム径よりも狭くすることが可能となる。この例の場合には、10nm以下の間隙104を形成できる。
また、FIB加工を基板101の裏面から行うと、FIBのフレア部分が薄膜102に照射されることがないので、薄膜102が改質されその電気的特性が劣化することを防止できる。
FIB加工により現実的な時間で貫通できる基板の厚さは100μm程度であるので、この程度の厚さの基板101まで本参考例は対応可能である。ただし、本参考例で本来対象とするようなビームのフレアが問題となる微細な間隙104を作製する場合に用いられるビーム径の小さいFIB103の場合には、ビーム電流が小さいために、現実的な時間では数μm程度の厚さの構造しか貫通できない。このような場合には、よりビーム径が大きくビーム電流も大きいFIBを用いて、基板101の目的の部位を裏面から所定の深さまで除去して薄層化しておけばよい。薄層化後に、所望のビーム径で加工を行うことにより、現実的な時間で微細な幅の間隙104を形成できるようになる。もちろん、FIB直接加工以外の手法、例えばドライエッチング等の他の加工法で薄層化を行ってもよい。要は、最終的な間隙形成を基板101の裏面からFIB加工により行えれる構造が得られればよい。
なお、基板101の裏面からFIB103を照射する場合には、FIB103の照射方向を変更するのではなく、基板101の配置を上下逆にすればよい。
[第2の参考例]
裏面からのFIB加工で、特にビーム径程度の幅の間隙を形成する場合には、FIBのビームプロファイル(ビーム強度の面内分布)を利用した特徴的な加工が可能である。ある膜厚の構造を裏面からFIB加工した場合、表面側に形成される間隙の幅は、ビームプロファイルにしたがって、加工時間の増加と共に大きくなる。したがって、厚さの異なる領域を含む構造を同一のビーム条件で裏面からFIB加工して間隙形成を行うと、上述した性質を反映し、表面側に形成される間隙の幅が厚さに対応して変化することになる。すなわち、厚さが厚い部分では幅が狭く、薄い部分では広くなる。このような機能デバイスの作製方法を本発明の第2の参考例として説明する。
図2および図3は、本発明の第2の参考例に係る機能デバイスの作製方法を説明する図である。
まず、主面が酸化膜202で被われた基板201の表面にパターン203を形成する。例えば幅1μm厚さ100nmのPt薄膜からなるラインパターンを外部との接続電極とともに形成する。なお、図2には、Ptラインのうち間隙206が形成される領域付近のみが描かれている。
その後、基板201の間隙206が形成される領域付近を裏面から所定の深さまで除去して、FIB加工が可能な程度にまで薄層化する。例えば、5μm厚の上部Si層を有するボンディングウエハに対して、裏面から水酸化カリウム溶液等でエッチングして薄層化する。
続いて、図2に示すように、薄層化された領域のさらに所望の領域を裏面から除去して、中央部に凸部205を有する凹部204を形成する。したがって、凹部204の内部には、凸部205がある比較的浅い領域と、凸部205の周囲の比較的深い領域とがある。例えば、前者の領域の残膜厚を2μm、後者の領域の残膜厚を1μmとする。このような凸部205を有する凹部204の構造は、裏面から3μmFIBエッチングし、さらに周縁部分のみをさらに1μmFIBエッチングすることにより形成できる。または、裏面から4μmFIBエッチングし、さらに中央部にFIB堆積機能を用いて1μm膜堆積を行っても形成できる。要は、間隙206が形成される凹部204の内部に、同一条件のビームに対するエッチング量が異なる領域を設ければよい。
そして、凹部204の2つの領域に跨って、2μm厚を加工できるビーム条件、例えばビーム電流が10pAで30kVのGaイオンビームを20分程度照射し続ける。これにより、図3(c)に示すように、基板201裏面の凹部204からPtライン203の表面まで貫通する間隙206が形成される。この間隙206のPtライン203表面における幅は、図3(a)に示すように、凹部204の深い領域(凸部205の周囲の領域)で広く、凹部204の浅い領域(凸部205がある領域)で狭くなる。
後者の間隙206の幅を精密に制御することにより、ナノギャップを形成できる。ナノギャップは、ナノ材料の導電性等の計測に用いることができる。
従来のように、Ptラインの表面側からFIBを照射して間隙を形成する方法では、Ptラインの表面から離れるほど間隙の幅が狭くなるので、間隙の間に試料を置いてその導電性等を計測する場合には、間隙の深い方へ試料を入れる必要があった。
しかし、本参考例により得られる間隙206は、Ptラインの表面における幅が最も狭いので、従来のような処置は必要ない。例えば、このような構造を走査プローブ顕微鏡のプローブに形成することにより、平坦な表面上に展開したナノ材料、例えば単分子の導電性を計測することが可能となる。
[実施の形態]
本発明の実施の形態は、上述した機能デバイスの作製方法を走査プローブ顕微鏡用の四探針プローブの作製に応用したものである。
図4〜図14は、本発明の実施の形態に係る四探針プローブの作製方法を説明する図である。
まず、図4に示すように、Si基板を用いて、基部401に片持ち支持されたカンチレバー402を作製する。図4および図5に示すように、カンチレバー402の主面には、先端領域(走査プローブ顕微鏡に装着したときに試料と接触する部分)に厚さ100nmのPt薄膜403と、このPt薄膜403に接続される4つのAl電極404が形成されている。Al電極404はカンチレバー402の基部401上にまで延伸されており、外部との接続が可能になっている。なお、カンチレバー402の主面には熱酸化膜(図示せず)が形成されており、Pt薄膜403およびAl電極404がカンチレバー402のSi部分と絶縁される構造になっている。
このカンチレバー402の先端領域において、図4に示すように主面側からFIB405を照射することにより、図6に示すような2本の溝601A,601Bを形成して、Pt薄膜403を3つの電極602A,602B,603Cに分割する。電極602Aは左側のAl電極に、電極602Bは右側のAl電極に、電極602Cは中央の2つのAl電極にそれぞれ接続される。ここでは、ビーム径が6nmのFIB405を用い、溝601A,601Bの幅を50nmとし、フレアの影響を防ぐために、中央の電極602Cの先端部の幅を200nm程度とする。また、溝601A,601Bの深さは、Pt薄膜403を分離するに十分な深さとする。概ねPt膜厚の1.5倍程度であり、この例の場合には150nm程度である。
ここで、図7に示すようにSi基板を裏返して、カンチレバー402の裏面からFIB405を照射し、図8に示すようなカンチレバー402の裏面から電極602Cの表面まで貫通する幅1μmの間隙801を形成する。この間隙801は、電極602Cを途中まで2分割する位置に形成される。走査プローブ顕微鏡用のSi製カンチレバーは、その厚さが10μm程度であるので、FIBによる直接加工により容易に貫通構造を作製できる。
続いて、図9に示すように、間隙801の先端部側に隣接する幅2μm奥行き4μmの領域に裏面からFIB405を照射し、厚さが2μm程度になるまで薄層化する。薄層化される領域901は、少なくともこの後に間隙(1101)が形成される領域およびその周囲の領域である。また、薄層化に用いられるFIB405は、特にビーム径が小さいものでなくてもよい。例えば、ビーム電流1nA、ビーム径50nmのFIB405を用いれば、数分で薄層化を行える。
さらに、図10に示すように、薄層化された領域901を除く電極602A,602Bの先端部の不要な部分1001A,1001Bを除去する。
次いで、図11に示すように、電極分割用の2つの溝601A,601Bの中央部に裏面側からFIB405を照射し、カンチレバー402の裏面から電極602Cの表面まで貫通する間隙1101を形成する。この間隙1101は電極602Cの先端から間隙801まで延在し、電極602Cをさらに2つの電極602C1,602C2に分割する。電極602C1は中央左のAl電極に、電極602C2は中央右のAl電極にそれぞれ接続される。
間隙1101は、貫通後の加工時間に応じて幅が増大していくので、予め所望の幅になる条件を設定しておけばよい。また、貫通後、速やかにFIB405の照射を止めることにより、電極602C1と602C2との間隔をビーム径程度にすることができる。条件によっては、電極間隔をビーム径以下にすることも可能である。すなわち、ビーム径が10nmのFIB405を用いることにより、10nm程度またはそれ以下の電極間隔を実現できる。
最後に、図12および図13に示すように、電極602A,602B,602C1,602C2の最先端部の不要な部分1201を除去して、各電極602A,602B,602C1,602C2が同時に試料に接触できるように形状を整える。
以上のような加工工程を行うことにより、中央の2つの電極602C1と602C2との間隔が10nm程度、電極ピッチが100〜150nm程度の微細な四探針プローブを作製できる。作製されたプローブは、図14に示す試料1403との位置関係となるように、走査プローブ顕微鏡の装置内に装着される。
図14からも判るように、四探針プローブの計測機能の主要部分は試料1403に接触する側にあり、本実施の形態ではその反対側からFIB加工を行う。これにより、ビームプロファイルの頂上付近を用いた電極602C1,602C2の加工が可能であり、電極間隔を100nmから10nm以下まで短縮できる。その結果、各種導電材料の結晶粒内外の導電特性、分子の導電特性等、これまで不可能であった領域の導電特性の評価を行えるようになる。
また、試料1403と接触する電極602C1,602C2にはFIBが照射されず、電極602C1,602C2が改質されない。したがって、電極602C1,602C2のコンタクト特性を良好に保つことができ、精度の高い計測を行えるようになる。
また、図15に示すように、基板の裏面から電極602C1,602C2の表面まで貫通する間隙1101により電極602C1,602C2間が電気的に完全に分離される。これにより、電極602C1,602C2間の絶縁性が向上し、電極602C1,602C2間のリーク電流が小さくなるので、正確で定量的な計測が行えるようになる。
さらに、本実施の形態では、間隙601A,601B,1101により電極602A,602B,602C1,602C2間が機械的にも分離されている。したがって、各電極が独立した小カンチレバーとなっている。図9に示した薄層化工程において、各電極の下のSi基板の厚さを減じて小カンチレバーのバネ定数を調節することにより、適切なコンタクトフォースをもつ複数電極になる。その結果、従来のような一体構造の複数電極では対応できない数nm以上の凹凸のある試料表面にも確実にコンタクトできるプローブを実現でき、計測可能な試料の範囲が拡大する。
なお、本実施の形態では、電極を分割するプロセスとして、カンチレバー402の主面からの加工と裏面からの加工との両方を用いたが、すべての電極分割を裏面からの加工で行ってもよい。
また、本実施の形態に係る四探針プローブの作製方法は、2以上の電極を有するプローブの作製に応用可能である。
また、図9に示した薄層化工程において、本実施の形態では平坦な薄層化領域としたが、第2の参考例と同様に薄層化領域に厚さの異なる複数の領域を設け、電極間の間隔を制御してもよい。
本発明は、微細間隙を試料の磁気および電気抵抗等の特性の計測に用いる機能デバイスおよびその作製に利用できる。例えば、走査プローブ顕微鏡用のプローブや磁気ヘッド等およびその作製に利用できる。
101,201…基板、102…薄膜、103,405…集束イオンビーム(FIB)、104,206,801,1101…間隙、202…酸化膜、203…Ptライン、204…凹部、205…凸部、401…基部、402…カンチレバー、403…Pt薄膜、404…Al電極、601A,601B…溝、602A,602B,602C,602C1,602C2…電極、901…薄層化領域、1001A,1001B,1201…除去部分。

Claims (3)

  1. 基板の主面に金属薄膜を形成する工程と、
    前記金属薄膜を分割して複数の電極を形成する工程とを備え、
    前記電極を形成する工程は、
    集束した粒子線を前記基板の主面に照射することにより、前記基板の端から延在し前記金属薄膜を複数の領域に分割する複数の溝を形成する第1の工程と、
    少なくとも前記基板の端から前記複数の溝の間に延在し前記基板の裏面から前記金属薄膜の表面まで貫通する間隙が形成される領域およびその周囲を前記基板の前記裏面から所定の深さまで除去して薄層化する第2の工程と、
    前記薄層化した領域を除く前記基板の端の不要な部分を除去する第3の工程と、
    集束した粒子線を前記基板の薄層化した領域の裏面から照射することにより前記間隙を少なくとも1つ形成する第4の工程と、
    前記複数の溝と前記間隙とによって前記金属薄膜が分割されて形成された複数の電極の最先端部の不要な部分を除去して、前記複数の電極が同時に試料に接触できるように形状を整える第5の工程と
    を含むことを特徴とするプローブの作製方法。
  2. 端から延在し主面から裏面まで貫通する少なくとも1つの間隙により前記端から所定の長さの領域が複数に分割された基板と、
    前記基板の主面に形成され、前記間隙と前記基板の主面に形成された端から延在する溝とによって分割された複数の電極とを備え、
    前記間隙の少なくとも1つは、前記基板の前記主面における幅が前記基板の前記裏面における幅よりも狭く、
    前記基板における少なくとも前記間隙の周囲は、裏面が所定の深さまで除去されて薄層化され、
    前記複数の電極の最先端部が、同時に試料に接触できるように成形されていることを特徴とするプローブ。
  3. 複数の電極を有するプローブを物質の表面を走査させて前記物質の特性を計測する走査プローブ顕微鏡において、
    前記プローブは、請求項2に記載されたプローブであることを特徴とする走査プローブ顕微鏡。
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