JP5042202B2 - 変速機のシンクロ機構 - Google Patents

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Description

この発明は、手動変速機(マニュアルトランスミッション)のシンクロ機構に関する。特に、長さの異なる2つの歯からなるスリーブスプラインを有するシンクロスリーブを具えたシンクロ機構に関する。
一般的に、手動変速機(マニュアルトランスミッション)は複数段の変速ギヤ列を有しており、シフトレバーによって変速段を切り替えて各段のギヤを噛み合いさせることにより、エンジンの動力を走行条件に応じて変換して取り出し、車輪を駆動するようにしている。このような手動変速機においては、ギヤの噛み合い状態を切り替えて変速する際に迅速且つ容易に変速を行うためのシンクロ機構を具えている。
従来知られているように、手動変速機のシンクロ機構の一般的な作動原理は、シンクロスリーブがシンクロリング(シンクロナイザーリング)を押すことによって同期荷重を発生させて、差回転を生じていたドグギヤ(クラッチギヤ)の回転とシンクロスリーブ(ハブと一体)の回転とを同期させる。その後、役割を終えたシンクロリングはシンクロスリーブによって掻き分けられる。次に、シンクロスリーブはドグギヤを掻き分けるのであるが、シンクロスリーブがすり抜けた後のシンクロリングは同期荷重を発生しないために、シンクロスリーブ(詳しくはスリーブスプライン)がドグギヤ(詳しくはドグスプライン)に接触するまでに僅かな差回転が生じることがある(所謂同期崩れ)。この同期崩れが発生した場合にはシンクロスリーブとドグギヤとが干渉することとなって、これにより不快な振動が発生する。この現象は一般的に二段入り又は二段モーションと呼ばれ、シフトフィーリングを悪化させる原因となる。そこで、こうした二段入りを低減する技術として、例えば以下に示す特許文献1や特許文献2に記載されている技術が従来から知られている。
特許第2658539号公報 特開2005-155672号公報
上記特許文献1に記載された技術では、ドグスプラインの形状を回転方向の前側と後側とで非対称に形成した所謂片チャンファなどと呼ばれる形状に構成しておき、シンクロスリーブがシンクロリングを掻き分けてからドグギヤに接触するまでのタイミングを短縮することによって、二段入りの発生を低減するようにしている。一方、上記特許文献2に記載された技術では、シンクロスリーブのスリーブスプラインをドグ掻き分け歯(第1スリーブスプライン)と同期作用を有する同期歯(第2スリーブスプライン)といった長さを異ならせた長短2つの歯で構成しておき、シンクロリングに当接してこれを掻き分ける同期歯よりドグスプラインに掻き込むドグ掻き分け歯(先行歯とも呼ぶ)を先行させることによって、シンクロ同期後の同期崩れに起因する二段入りの発生を低減するようにしている。
ところで、上述した特許文献2に記載のシンクロ機構によると、同期崩れによるギヤ鳴きが発生した際には、同期歯に先行するドグ掻き分け歯のみがドグギヤと接触している状態となるので、ドグ掻き分け歯の先端が磨耗・変形する恐れが非常に大きい。そこで、シンクロスリーブの内周に前記ドグ掻き分け歯と同期歯の長短2つの歯からなるスリーブスプラインを鍛造にて形成する際に、例えばドグ掻き分け歯における先端部分の角度(歯先端部において二面のなす角、所謂チャンファ角)を鈍角化して従来に比べて先端部分の肉厚を増すことによって、歯の先端部分の強度をアップすることが考えられる。一例を図5に示す。
図5は、ドグ掻き分け歯のチャンファ角を鈍角化したスリーブスプラインの一例を示す一部拡大図である。図5(A)では、例えば同期歯26のチャンファ角と同じ110°であったドグ掻き分け歯24のチャンファ角を120°に変更した例を示している(つまりは110°から120°へとドグ掻き分け歯24のチャンファ角を寝かせている)。この図から理解できるように、ドグ掻き分け歯24のチャンファ角を同期歯26と同じ110°で形成したときに比べてより大きな角度で(鈍角に)形成すると、先端Tにより近い位置まで先端部分の肉厚(幅)を増すことができることから、ドグ掻き分け歯24の先端部分の強度アップを図ることができることとなる。
しかし、スリーブスプラインを鍛造にて形成している場合、形成するスリーブスプラインのピッチ、つまりは隣り合って形成されるドグ掻き分け歯24と同期歯26との間隔によってはドグ掻き分け歯24に対して上記したようなチャンファ角の角度変更を実施すると、新たな切削工程を追加しなければならなくなり、それに伴いシンクロスリーブの製造コストが高くなってしまうという懸案がある。すなわち、図5(A)に示すようにして、同期歯26に対して隣り合う位置に形成される同期歯26よりも先端が突出したドグ掻き分け歯24においてそのチャンファ角を鈍角化するように形成すると、図5(B)に示すように、同期歯26のチャンファ30におけるドグ掻き分け歯24に対向する面側のエッジ部分Eに余分な「R残り」が発生する(図5(B)において楕円で囲んだうちの黒く塗りつぶした箇所)。
このエッジ部分Eに生じたR残りがそのままであると、同期歯26がシンクロリング(詳しくはリングスプライン)に当接してこれを掻き分ける際に、このR残りが干渉することが生じてしまい同期がし難くなる。したがって、同期歯26に生じたR残りをエッジ部分Eから除去する必要があるが、このR残りを除去するための切削工程が増える分だけ、シンクロスリーブの製造コストとして高く反映されてしまうことから都合が悪い。
そこで、上記不都合を回避するために、ドグ掻き分け歯24と共に同期歯26のチャンファ角も同じように寝かせて(鈍角化して)形成することによって、ドグ掻き分け歯24は勿論のこと同期歯26にもR残りが生じないようにすることが考えられるが、同期歯26の先端部分の形状変更(鈍角化)は同期時の荷重設定を変更することに繋がり、荷重設定が変更されるとシフトフィーリングの悪化を招く可能性もある。したがって、同期歯26のチャンファ角を変更することなくドグ掻き分け歯24のチャンファ角のみを変更するのが望ましい。さらには、単に強度を確保するだけにとどまらず、二段入りを低減することやギヤ抜けしにくいことなどを考慮する必要もある。
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、ドグ掻き分け歯(第1スリーブスプライン)の先端部分の強度アップをコストをかけることなく可能とすると共に、二段入りの低減及びギヤ抜けの防止を達成可能な変速機のシンクロ機構を提供することを目的とする。
本発明に係る変速機のシンクロ機構は、回転軸(4)に固定され外周に複数のハブスプライン(20)が形成されたシンクロハブ(6)と、前記シンクロハブ(6)の外周に軸方向に摺動可能に取り付けられ内周に前記ハブスプライン(20)に嵌合する複数の第1スリーブスプライン(24)からなる第1スリーブスプライン群(24´)と1乃至複数の第2スリーブスプライン(26)からなる第2スリーブスプライン群(26´)とが交互に隣接して形成されたシンクロスリーブ(8)と、前記回転軸(4)に相対回転可能に支持された変速ギヤ(10)と該変速ギヤ(10)の側面に固定され外周に複数のドグスプライン(32)が形成されたドグギヤ(14)と、前記シンクロスリーブ(8)と前記ドグギヤ(14)との間に設けられ外周に複数のリングスプライン(36)が形成されたシンクロリング(16)とを有し、前記シンクロスリーブ(8)の中立状態から軸方向への移動に伴ってシンクロスリーブ(8)の第2スリーブスプライン(26)によってリングスプライン(36)を押動してシンクロリング(16)のテーパコーン面(16a)とドグギヤ(14)のテーパコーン面(14a)との圧接により同期作動が開始され、同期作用完了後にドグギヤ(14)のドグスプライン(32)とシンクロスリーブ(8)の第1スリーブスプライン(24)が係合する変速機のシンクロ機構において、前記第1スリーブスプライン(24)の軸方向先端部に形成される前記ドグスプライン(32)掻き分けのための第1スリーブチャンファ(28)は、先端が前記第2スリーブスプライン(26)の軸方向先端部に形成される前記シンクロリング(16)と同期させるためのチャンファ角の小さい第2スリーブチャンファ(30)の先端よりも前記シンクロリング(16)方向に向けて軸方向に所定距離(S)突出するようにして形成されると共に、前記第1スリーブスプライン群(24´)は、前記第2スリーブスプライン(26)に隣接する第1スリーブスプライン(24)の第1スリーブチャンファ(28)を、第1スリーブスプライン(24)の中心線となす角度のうち隣接する第2スリーブスプライン(26)側の角度が隣接する第2スリーブスプライン(26)の中心線となす角度(α)と同じ角度に設定される一方で、反対側の角度が隣接する左右対称形状に形成された一対のチャンファ面からなる第1スリーブスプライン(24)の中心線となす角度(β)と同じ角度に設定された非対称形状の一対のチャンファ面に形成することにより、前記非対称形状に形成された一対のチャンファ面からなる第1スリーブスプライン(24)が、前記左右対称形状に形成された一対のチャンファ面からなる第1スリーブスプライン(24)の両端に配置されてなることを特徴とする。
この発明によると、シンクロスリーブ(8)内周に複数の第1スリーブスプライン(24)からなる第1スリーブスプライン群(24´)と1乃至複数の第2スリーブスプライン(26)からなる第2スリーブスプライン群(26´)とを交互に隣接させるようにして、また各スリーブスプラインの軸方向先端部に形成されるチャンファの先端位置を第1スリーブスプライン(24)と第2スリーブスプライン(26)とで異ならせて形成する。また、その場合に、第2スリーブスプライン(26)に隣接していない第1スリーブスプライン(24)の第1スリーブチャンファ(28)については、左右対称の一対のチャンファ面からなる対称形状に形成する。一方、第2スリーブスプライン(26)に隣接する第1スリーブスプライン(24)の第1スリーブチャンファ(28)については、第2スリーブスプライン(26)に隣接していない他の第1スリーブスプライン(24)とは異なる形状のチャンファ角(α+β)からなる非対称形状に形成する。この非対称形状は、第1スリーブスプライン(24)の中心線となす角度のうち隣接する第2スリーブスプライン(26)側の角度が隣接する第2スリーブスプライン(26)の中心線となす角度(α)と同じ角度に設定される一方で、反対側の角度が隣接する第1スリーブスプライン(24)の中心線となす角度(β)と同じ角度に設定されることにより実現される。こうした、非対称形状に形成された一対のチャンファ面からなる第1スリーブスプライン(24)が、左右対称形状に形成された一対のチャンファ面からなる第1スリーブスプライン(24)の両端に配置されるようにして、これら先端形状の異なるチャンファからなる第1スリーブスプライン(24)が混在する第1スリーブスプライン群(24´)を形成することによれば、ドグスプライン(32)掻き分けのための第1スリーブチャンファ(28)のチャンファ角が鈍角化(α+β:α<β)され、R残りが発生しないチャンファ角(2α)で形成する従来の場合に比べて第1スリーブスプライン(24)の先端部分の肉厚が増すことから、第1スリーブスプライン(24)の先端部分の強度をアップすることができる。また、第1スリーブチャンファ(28)のチャンファ角を従来(2α)に比べて鈍角化(α+β)したにもかかわらず、第2スリーブスプライン(26)側にはR残りが発生しないので、シンクロスリーブ(8)製造に係るコストがアップすることがない。さらに、第1スリーブスプライン(24)の先端部分の肉厚が増すことに伴い、同期作用完了後からドグスプライン(32)に係合するまでの時間を短縮することができて同期崩れによる不快な二段入りの発生を抑えることができると共に、ドグスプライン(32)との係合時における噛み合い範囲を大きく確保することができてギヤ抜けがしにくくなる。
なお、上記で括弧内に記した図面参照符号は、後述する実施形態において対応する構成要素等を参考のために例示したものである。
この発明によれば、シンクロスリーブ内周に長さの異なる(チャンファの先端位置が異なる)第1及び第2スリーブスプラインを形成する際に、第1スリーブチャンファのチャンファ角を隣接する第2スリーブスプラインのチャンファ角に応じて鈍角化した非対称形状に形成することにより、ドグスプラインと係合する第1スリーブスプラインの先端部分の強度アップをコストをかけることなく可能としただけでなく、簡単な構成でシンクロ同期後の同期崩れに起因する二段入りの低減及びドグギヤからのギヤ抜けの防止を達成することができる、という効果を奏する。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に従って詳細に説明する。
図1は、この発明に係る変速機のシンクロ機構の一実施例を示した断面図である。本実施例に示す変速機のシンクロ機構2は、回転軸4にシンクロハブ6がスプライン嵌合され、このシンクロハブ6を挟んだ両側にニードルベヤリング12を介して回転軸4に被同期ギヤ10(片側の図示を省略)が回転自在に配置されている。これら被同期ギヤ10のシンクロハブ6側には、外周にドグスプライン32が形成されたドグギヤ14がスプライン嵌合されている。
さらに、これらドグギヤ14のシンクロハブ6側に延びたボス部の外周にはテーパコーン面14aが形成されている。テーパコーン面14aにテーパコーン面16aを具えたシンクロリング(シンクロナイザリング)16が軸方向に嵌合され、シンクロリング16の外周にはリングスプライン36が形成されている。そして、シンクロハブ6の外周に、内周にスリーブスプライン(24,26)が形成されたシンクロスリーブ8が軸方向に移動可能にスプライン嵌合している。こうした構成によって、従来知られているように、シンクロスリーブ8のスライド駆動に応じてシンクロスリーブ8と一体回転するシンクロリング16が、シンクロスリーブ8とドグギヤ14の同期を仲介するようになっている。
次に、シンクロスリーブ8の内周に形成されるスリーブスプライン(24,26)について、図2及び図3を用いて説明する。図2は、シンクロスリーブの内周に形成されるスリーブスプラインの配列の一例を示す概念図である。
シンクロスリーブ8の内周には、複数のドグ掻き分け歯24(第1スリーブスプライン)と複数の同期歯26(第2スリーブスプライン)とからなるスリーブスプラインが形成される。これらのドグ掻き分け歯24と同期歯26の1個1個は、シンクロスリーブ8の円周方向に等間隔に形成される。また、同じ種類のスプライン同士を複数個組み合わしてなるスプライン群24´,26´が交互に配置されるようにして、ドグ掻き分け歯24と同期歯26のそれぞれが複数個ずつ隣接される。
図2に示した例では、ドグ掻き分け歯24を3個ずつ、同期歯26を8個ずつ隣接し、さらにこれらの隣接する3個のドグ掻き分け歯24からなる第1スプライン群24´と、隣接する8個の同期歯26からなる第2スプライン群26´とを交互に配置するようにして、ドグ掻き分け歯24と同期歯26とが形成されている。
なお、シンクロスリーブ8の内周に形成するドグ掻き分け歯24,同期歯26それぞれの個数、及び/又はスプライン群24´,26´として組み合わされるドグ掻き分け歯24,同期歯26それぞれの個数は、上記したものに限らず任意の数であってよい。
図3は、スリーブスプラインの先端部分を模式的に示す一部拡大図である。シンクロスリーブ8は冷間鍛造による成形によって、任意の個数・配置からなるドグ掻き分け歯24及び同期歯26からなるスリーブスプラインを有するものとして製作することができるようになっており、上述したようにドグ掻き分け歯24と同期歯26とは等間隔に形成される。また、ドグ掻き分け歯24の軸方向先端部にはドグスプライン32を掻き分けるための第1スリーブチャンファ28a,28bが形成される一方で、同期歯26の軸方向先端部にはシンクロリング16と同期させるための第2スリーブチャンファ30が形成される。さらに、第1スリーブチャンファ28a,28bの先端が第2スリーブチャンファ30の先端よりもシンクロリング16方向(図3において矢印X方向)に向けて所定距離Sだけ突出するように、ドグ掻き分け歯24と同期歯26それぞれの長さは決められている。前記突出量Sは、例えば約0.5mm程度である。
本実施例において、ドグ掻き分け歯24の第1スリーブチャンファ28a,28bと同期歯26の第2スリーブチャンファ30は共に、オフセットされていない一対の傾斜面(所謂チャンファ面)からなる両面チャンファである。ただし、同期歯26の第2スリーブチャンファ30は左右対称の一対のチャンファ面からなるものであるが、ドグ掻き分け歯24の第1スリーブチャンファ28a,28bについては少なくとも、左右対称の一対のチャンファ面からなるものと、非対称の一対のチャンファ面からなるものとがある。これは、1組のスプライン群24´を構成する複数個(ここでは3個)の隣接するドグ掻き分け歯24のうち、同期歯26に隣接しているドグ掻き分け歯24の第1スリーブチャンファ28a,28bのチャンファ角については、隣接する同期歯26の第2スリーブチャンファ30のチャンファ角によって決めることに起因している。
一般的に、ドグ掻き分け歯24の先端部分である第1スリーブチャンファ28a,28bの強度を確保するにはチャンファ角を大きくするとよいが、その際に同期歯26に「R残り」が発生しないことが重要であることは既に述べたとおりである。そこで、図3に示す例では、同期歯26に隣接していないドグ掻き分け歯24(ここでは3個のうちの中央に位置するもの)のチャンファ角を同期歯26のチャンファ角110°よりも大きい120°にする一方で、同期歯26に隣接するドグ掻き分け歯24(ここでは3個のうちの左右両端に位置するもの)のチャンファ角を115°(=55+60)にしている。すなわち、同期歯26に隣接するドグ掻き分け歯24のチャンファ角と、同期歯26に隣接しないドグ掻き分け歯24のチャンファ角とを異ならせている。
図3から理解できるように、同期歯26に隣接するドグ掻き分け歯24の第1スリーブチャンファ28a,28bのうち、同期歯26に対向する側のチャンファ面(28a)の傾斜を同期歯26の第2スリーブチャンファ30の向かい合うチャンファ面の傾斜と少なくとも等しくなる(又はそれ以上に急となる)ようにしている。具体的には、ドグ掻き分け歯24の中心線から前記チャンファ面28aまでの角度αを同期歯26のチャンファ角の半分の角度(55°=110÷2)とする一方で、ドグ掻き分け歯24の中心線から他方のチャンファ面28bまでの角度βについては、同期歯26に隣接していない隣り合うドグ掻き分け歯24のチャンファ角の半分(60°=120÷2)とする。このようにして、同期歯26に隣接するドグ掻き分け歯24については、左右非対称の一対のチャンファ面からなる両面チャンファとする。
以上のようにすると、同期歯26に対して隣り合う位置に形成されるドグ掻き分け歯24(先端位置が異なるもの)においてそのチャンファ角を鈍角化したとしても、図5(B)に示したような同期歯26のチャンファ面30のドグ掻き分け歯24に対向する側のエッジ部分Eに「R残り」を発生させることなくスリーブスプラインを形成することができる。すなわち、「R残り」を削るといった追加的な切削工程が不必要であり、コストをかけることなくドグ掻き分け歯24の先端部分の強度をアップしたスリーブスプラインを有するシンクロスリーブ8を製造することができる。
なお、ドグ掻き分け歯24の中心線から隣接する同期歯26に向かい合う側のチャンファ面28aまでの角度αは、上記した角度に限らない。エッジ部分Eに「R残り」が発生しない同期歯26のチャンファ角の半分以下の角度であればよく、また隣り合うドグ掻き分け歯24と同期歯26とのピッチに応じて角度αを変えるようにしてもよい。ただし、ドグ掻き分け歯24のチャンファ角が同期歯26のチャンファ角よりも大きくなければならないことは、強度を確保する上で必須であることは言うまでもない。
上述のようにドグ掻き分け歯24のチャンファ角を従来に比べて鈍角化することに伴って、先端部分の強度を確保できるといった効果以外にも、二段入りを低減できる、ギヤ抜けしにくくなるなどの他の効果が簡単に得られる。以下、説明する。
図4は、シンクロ動作時における各歯の係合状態を示す平面模式図である。この図4に示す各図においては、比較のために、左側に従来のシンクロ機構による場合を、右側に本発明に係るシンクロ機構による場合をそれぞれ示した。矢印Yは、シンクロスリーブ8及びシンクロリング16の回転方向を示す。
まず、シンクロ機構におけるシンクロ動作について説明する。中立状態(図示せず)からシフト動作に応じてシンクロスリーブ8を軸方向、例えば非同期ギヤ10側に移動させると、それに伴いシンクロリング16がドグギヤ14側に移動する。すると、スリーブスプラインのうちの同期歯26の第2スリーブチャンファ30のチャンファ面とシンクロリング16のリングスプライン36のチャンファ面とが接触して、同期歯26によるリングスプライン36の掻き分けを開始すると共に、シンクロリング16のテーパコーン面16aとドグギヤ14のテーパコーン面14aとが当接して、テーパコーン面16aとテーパコーン面14aとの間で周期摩擦トルクが発生してドグギヤ14が周期回転を始める。
シンクロスリーブ8をさらに移動させると、同期歯26の第2スリーブチャンファ30のチャンファ面がリングスプライン36のチャンファ面に摺接しながらリングスプライン36を掻き分けて前進し、更に図4(A)に示すように、同期歯26の第2スリーブチャンファ30のチャンファ面とシンクロリング16のリングスプライン36のチャンファ面との接触が解除されてシンクロリング8の掻き分けが完了する。これにより、シンクロリング16のテーパコーン面16aとドグギヤ14のテーパコーン面14aとの間の周期摩擦トルクの発生がなくなり、同期作動が終了する。
上記のようにしてシンクロスリーブ8とドグギヤ14を回転同期させた後にシンクロスリーブ8を更に移動させると、既に説明したようにシンクロスリーブ8においてドグ掻き分け歯24は同期歯26よりも先端が突出するようにして長く形成されているために、ドグ掻き分け歯24がドグスプライン32に同期歯26に先行して接触する(図4(A)において点線で示す)。
このとき、ドグ掻き分け歯24のチャンファ角を大きくしたことから、従来に比べて同期終了からドグ掻き分け歯24によるドグスプライン32への噛み合い開始までの時間を短縮することができ、これにより同期崩れによる不快な二段入り減少を抑えることができるようになる。すなわち、ドグ掻き分け歯24のチャンファ角を大きくすると、同期終了時におけるドグ掻き分け歯24の先端部分(特にドグスプライン32と接触する箇所)の位置と、ドグスプライン32への噛み合い開始時におけるドグ掻き分け歯24の先端部分の位置(特にドグスプライン32と接触する位置)との距離が、図示のように従来「距離A」であったものが「距離B」のように従来に比べて短くなる。これに伴い、同期作動の終了からドグ掻き分け歯24がドグスプライン32に接触するまでの時間が短縮されることとなるので、シンクロスリーブ8とドグギヤ14との間に差回転の発生、所謂同期崩れの発生が防止されて、スリーブスプラインとドグギヤ14との干渉による不快な振動、所謂二段入りの低減を実現することができるようになる。
さらに、シンクロスリーブ8を移動させると、図4(B)に示すようにドグ掻き分け歯24及び同期歯26が共にドグスプライン32に噛み込み係合するので、シンクロスリーブ8とドグギヤ14との結合が完了する。図4(B)は、シンクロスリーブ8が完全に左方向に摺動した状態(インギア終了状態)を示している。このとき、ドグ掻き分け歯24のチャンファ角を大きくしたことから、従来に比べてシフトイン後のドグ掻き分け歯24によるドグスプライン32との噛み合い範囲を大きく確保することができ、これによりギヤ抜けを防止することができるようになる。すなわち、ドグ掻き分け歯24のチャンファ角を大きくすると、ドグ掻き分け歯24によるドグスプライン32との噛み合い時に、ドグ掻き分け歯24とドグスプライン32との接触範囲が、図示のように従来「範囲A」であったものが「範囲B」のように従来に比べて広くなる。これに伴い、ギヤ抜けを効果的に防止することができる。
また、本発明においては複数のドグ掻き分け歯24をチャンファ角が異なるように形成することで、比較して小さなチャンファ角をもつドグ掻き分け歯24によって、同期動作後のシンクロリング16を掻き分ける際にかかる荷重(分力)を小さくするようにもしている。
本願発明は上述の実施例に記載したシングルコーンタイプのシンクロ機構に適用することができるだけでなく、周知のマルチコーンタイプのシンクロ機構にも適用することができる。
この発明に係る変速機のシンクロ機構の一実施例を示した断面図である。 シンクロスリーブの内周に形成されるスリーブスプラインの配列の一例を示す概念図である。 スリーブスプラインの先端部分を模式的に示す一部拡大図である。 シンクロ動作時における各歯の係合状態を示す平面模式図である。 ドグ掻き分け歯のチャンファ角を鈍角化したスリーブスプラインの一例を示す一部拡大図である。
符号の説明
2…シンクロ機構
4…回転軸
6…シンクロハブ
8…シンクロスリーブ
10…変速ギヤ
12…ニードルベヤリング
14…ドグギヤ(クラッチギヤ)
16…シンクロリング(シンクロナイザーリング)
14a,16a…テーパコーン面
20…ハブスプライン
24…ドグ掻き分け歯(第1スリーブスプライン)
26…同期歯(第2スリーブスプライン)
24´,26´…スプライン群
28a,28b…第1スリーブチャンファ
30…第2スリーブチャンファ
32…ドグスプライン
36…リングスプライン
E…同期歯のエッジ部分
T…ドグ掻き分け歯の先端

Claims (1)

  1. 回転軸に固定され外周に複数のハブスプラインが形成されたシンクロハブと、前記シンクロハブの外周に軸方向に摺動可能に取り付けられ内周に前記ハブスプラインに嵌合する複数の第1スリーブスプラインからなる第1スリーブスプライン群と1乃至複数の第2スリーブスプラインからなる第2スリーブスプライン群とが交互に隣接して形成されたシンクロスリーブと、前記回転軸に相対回転可能に支持された変速ギヤと該変速ギヤの側面に固定され外周に複数のドグスプラインが形成されたドグギヤと、前記シンクロスリーブと前記ドグギヤとの間に設けられ外周に複数のリングスプラインが形成されたシンクロリングとを有し、前記シンクロスリーブの中立状態から軸方向への移動に伴ってシンクロスリーブの第2スリーブスプラインによってリングスプラインを押動してシンクロリングのテーパコーン面とドグギヤのテーパコーン面との圧接により同期作動が開始され、同期作用完了後にドグギヤのドグスプラインとシンクロスリーブの第1スリーブスプラインが係合する変速機のシンクロ機構において、
    前記第1スリーブスプラインの軸方向先端部に形成される前記ドグスプライン掻き分けのための第1スリーブチャンファは、先端が前記第2スリーブスプラインの軸方向先端部に形成される前記シンクロリングと同期させるためのチャンファ角の小さい第2スリーブチャンファの先端よりも前記シンクロリング方向に向けて軸方向に所定距離突出するようにして形成されると共に、
    前記第1スリーブスプライン群は、前記第2スリーブスプラインに隣接する第1スリーブスプラインの第1スリーブチャンファを、第1スリーブスプラインの中心線となす角度のうち隣接する第2スリーブスプライン側の角度が隣接する第2スリーブスプラインの中心線となす角度と同じ角度に設定される一方で、反対側の角度が隣接する左右対称形状に形成された一対のチャンファ面からなる第1スリーブスプラインの中心線となす角度と同じ角度に設定された非対称形状の一対のチャンファ面に形成することにより、前記非対称形状に形成された一対のチャンファ面からなる第1スリーブスプラインが、前記左右対称形状に形成された一対のチャンファ面からなる第1スリーブスプラインの両端に配置されてなることを特徴とする変速機のシンクロ機構。
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