JP2009236180A - 同期装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】加工が容易な部品から構成の簡素な低コストの変速機用の同期装置を提供する。
【解決手段】スリーブ15と、スリーブ15の内周スプライン15aに噛合する外周スプライン21およびスリーブ側に向かって突出するコーン部22を有するギヤピース14と、スリーブ15およびギヤピース14の間で内周スプライン15aに噛合する外側の噛合歯17bおよびギヤピース14のコーン部22に係合する傾斜摩擦面17aを有するシンクロナイザリング17とを備える同期装置において、内周スプライン15aの端部が、小径側でのチャンファ角が小さく、大径側でのチャンファ角が大きくなるよう小径側と大径側で異なるチャンファ角を有し、シンクロナイザリング17の噛合歯17bの端部が、内周スプライン15aの大径側に係合し、ギヤピース14の外周スプライン21の端部が、内周スプライン15aの小径側に係合するよう小径部側ほどスリーブ15側に向かって突出している。
【選択図】図1

Description

本発明は、歯車式変速機に設けられる同期装置、特に回転軸と一体に回転する軸方向移動可能なスリーブをギヤピースの外周スプラインに噛合させるときにシンクロナイザリングを介して両者を同期回転させる同期装置に関する。
歯車式変速機には、動力伝達用の回転軸と変速により連結されるべき変速段のギヤピースとの回転を予め同期させることで、変速段の切換えを容易かつ迅速に行うことを可能にする同期装置(同期噛合装置)が設けられている。このような同期装置においては、回転軸と一体に回転するハブにスリーブを軸方向移動可能に装着し、そのスリーブのスプラインをギヤピースの外周スプラインに噛合させて変速するときに、スリーブとギヤピースの間に設けたシンクロナイザリングがギヤピース側のコーン部に摩擦係合することで、ギヤピースがスリーブスプラインとの噛合前からスリーブと同期回転し、スリーブスプラインとギヤピースの外周スプラインが円滑に噛合できるようになっている。
従来のこの種の同期装置としては、例えばスリーブの内周スプラインのチャンファ部において歯元側と歯先側のチャンファ角に差を持たせ、シンクロナイザリングの噛合歯の歯元部に接触噛合するスリーブ内周スプラインの歯先側のチャンファ角を大きくし、遊転歯車であるギヤピースの外周スプラインの歯先側に接触・噛合するスリーブ内周スプラインの歯元側のチャンファ角を小さくしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、シンクロナイザリングのコーン角を持つ内周摩擦面とシンクロナイザリングの噛合歯のチャンファ角とを関連付けて相互の設定範囲を特定し、シフト操作力の低減とギヤピースのコーン部へのシンクロナイザリングの食付きを抑制するようにしたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、スリーブに、異なるチャンファ角とチャンファ部の軸方向段差とを持たせたシンクロ用スプラインと外周スプラインを設けるとともに、シンクロナイザリングの噛合歯は、スリーブのギヤピース用スプラインに対応する範囲で欠歯させることで、スリーブの外周スプラインとギヤピースの外周スプラインとの噛合い代の長さを確保し、シフトストロークを増加させることなく、ギヤ抜けを防止するようにしたものも知られている(例えば、特許文献3参照)。
また、シンクロナイザリングを、内側のコーン状の摩擦面を有する本体と、その本体の外周に一定範囲内で回動可能に設けられたチャンファ部とによって構成し、スリーブのチャンファ角をシンクロナイザリングのチャンファ角より小さくしながらも、両者の接触時に、チャンファ部をスリーブ側のチャンファ面に追従させることで、面圧を低下させ、耐久性を向上させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献4参照)。
特開2000−240683号公報 特開平11−325115号公報 特開平08−042596号公報 特開平06−173970号公報
しかしながら、従来の同期装置にあっては、スプラインのチャンファ形状が専ら同期装置の同期性能確保のために決定され、シンクロナイザリングの噛合歯のチャンファ角が比較的大きく、それに対応するスリーブスプラインのチャンファ角が決定されていたため、いわゆる2段入りの操作を生じる荷重(スリーブスプラインによるギヤピースの外周スプラインの押分けに必要な荷重;以下、2段入り荷重)が大きくなっていた。
これに対し、上述した特許文献1〜4に記載のもののように構成すると、2段入り荷重をある程度低減させることが期待できるが、これら従来例のいずれにあっても、部品の加工が容易でない形状であったり追加部品が必要で構成が複雑になったりしてしまい、コスト高になってしまうという問題があった。
そこで、本発明は、加工が容易な部品から構成の簡素な低コストの変速機用の同期装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的達成のため、(1)回転軸に対し回転方向に一体でかつ軸方向に移動可能に支持された内周スプライン付のスリーブと、前記スリーブが軸方向に移動するとき前記スリーブの内周スプラインに噛合する外周スプラインおよび前記スリーブ側に向かって軸方向に突出するコーン部を有するギヤピースと、前記スリーブおよび前記ギヤピースの間に位置し、前記スリーブが軸方向に移動するとき前記スリーブの内周スプラインに噛合する外側の噛合歯および前記ギヤピースのコーン部に係合する傾斜摩擦面を有するシンクロナイザリングと、を備え、前記スリーブの内周スプラインの端部と、該内周スプラインの端部に対向する前記ギヤピースの外周スプラインおよび前記シンクロナイザリングの噛合歯の端部とが、それぞれ軸方向に尖ったチャンファ形状を有する同期装置において、前記スリーブの内周スプラインの端部が、前記内周スプラインの小径側でのチャンファ角が小さく前記内周スプラインの大径側でのチャンファ角が大きくなるよう小径側と大径側で異なるチャンファ角を有し、前記シンクロナイザリングの噛合歯の端部が、前記スリーブの内周スプラインの大径側に係合し、前記ギヤピースの外周スプラインの端部が、前記スリーブの内周スプラインの小径側に係合するよう該外周スプラインの小径部側ほど前記スリーブ側に向かって突出していることを特徴とする。
この構成により、シンクロナイザリングの噛合歯の端部がスリーブの内周スプラインの大径側に、ギヤピースの外周スプラインの端部がスリーブの内周スプラインの小径側に、それぞれ係合することから、これら2つの係合を同一チャンファ角のチャンファ形状で実行する場合に比べて、シンクロナイザに比較的大きなチャンファ角を設定して同期性能を確保しながらも、スリーブスプラインによるギヤピースの押分け荷重を低減することができる。したがって、同期性能の確保と2段入り荷重に相当する操作力の低減とを両立させることができる。しかも、スリーブの内周スプラインの小径側でのチャンファ角が小さく、シンクロナイザリングの噛合歯に噛合する内周スプラインの大径側でのチャンファ角が大きくなることから、スリーブの加工が容易となり、構成の簡素な低コストの同期装置となる。
上記(1)記載の同期装置においては、(2)前記ギヤピースの外周スプラインの端部が、予め設定された半径位置から大径側を切り欠いた形状をなし、前記スリーブの内周スプラインの小径側に係合するのが好ましい。
この構成により、スリーブの内周スプラインの内径側とギヤピースの外周スプラインの小径側が早期に噛合するとともに、その噛合時におけるスリーブとギヤピースの機械的干渉も回避される。また、その大径側の切り欠きも、通常の面取り加工と同様に容易にできる。
上記(1)、(2)記載の同期装置においては、(3)前記内周スプラインの小径側から前記内周スプラインの大径側へと前記チャンファ角が連続的に大きくなっているのが好ましい。
この構成により、スリーブの内周スプラインのチャンファ部の加工が容易化される。
上記(1)〜(3)記載の同期装置においては、(4)前記スリーブの内周スプラインの端部および前記シンクロナイザリングの噛合歯の端部が、互いに大径側で近付くように傾斜した尖端の稜線を有するのが好ましい。
この構成では、スリーブの内周スプラインの端部およびシンクロナイザリングの噛合歯の端部が、互いに大径側で接触し噛合することになるので、スリーブの内周スプラインとシンクロナイザリングの噛合歯との係合時に同期性能確保に要する十分なチャンファ角を設定できる。
上記(4)記載の同期装置においては、(5)前記シンクロナイザリングの噛合歯の前記稜線の角度が、前記スリーブの内周スプラインの端部における前記稜線の傾斜角度より小さいことが望ましい。
この構成では、スリーブの内周スプラインの端部およびシンクロナイザリングの噛合歯の端部が、それぞれ容易に加工できるとともに、噛合状態の切換えも円滑になる。
上記(1)〜(5)記載の同期装置においては、(6)前記シンクロナイザリングの噛合歯の端部のチャンファ角が、前記スリーブの内周スプラインの大径側でのチャンファ角と実質的に等しいのが好ましい。
この構成により、スリーブの内周スプラインがその大径側でシンクロナイザリングの噛合歯の端部に接触するとき、同期性能の確保に要する十分なチャンファ角で両者が接触することになる。
上記(1)〜(6)記載の同期装置においては、(7)前記ギヤピースの外周スプラインの端部のチャンファ角が、前記スリーブの内周スプラインの小径側でのチャンファ角と実質的に等しいかそれより小さいのが好ましい。
この構成により、スリーブの内周スプラインの小径側がギヤピースの外周スプラインの端部に接触するとき、スリーブがギヤピースを押し分けるのに要する押分け力が軽減される。
なお、前記スリーブの内周スプラインの端部、前記ギヤピースの外周スプラインの端部および前記シンクロナイザリングの噛合歯の端部は、それぞれ周方向に隣接するとともに互いに交差して稜線を形成する各一対の側方のチャンファ面を有しているのがよい。
本発明の同期装置によれば、シンクロナイザリングの噛合歯の端部をスリーブの内周スプラインの大径側に、ギヤピースの外周スプラインの端部をスリーブの内周スプラインの小径側に、それぞれ係合させるようにしているので、これらの係合を同一チャンファ角のチャンファ形状で実行する場合に比べ、シンクロナイザに比較的大きなチャンファ角を設定して同期性能を確保しながらも、スリーブスプラインによるギヤピースの押分け荷重を最適化することができ、同期性能の確保と2段入り荷重に相当する操作力の低減とを両立させることができる。しかも、スリーブの内周スプラインの小径側でのチャンファ角が小さく、シンクロナイザリングの噛合歯に噛合する内周スプラインの大径側でのチャンファ角が大きくなっているので、スリーブの加工が容易で構成の簡素な低コストの同期装置を提供することができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る同期装置の要部断面図であり、図2(a)は、図1のA−A断面図、図2(b)は、図1のB−B断面図である。
まず、その構成について説明する。
図1および図2に示すように、本実施形態の同期装置は、図示しない車両用の手動変速機の変速機ケース内に回転自在に設けられた回転軸11、例えばエンジンからの駆動回転を入力するメイン軸あるいはこれと平行に配置されたカウンタ軸に装着されている。
回転軸11には、シンクロ用ハブ12がその内周部でスプライン嵌合するとともにその軸方向両端部で軸方向に位置決めされ、回転軸11に一体的に支持されている。
シンクロ用ハブ12の外周には内周スプライン15a付のシンクロ用スリーブ15がスプライン嵌合しており、このシンクロ用スリーブ15はシンクロ用ハブ12が装着された回転軸11に対して回転方向に一体でかつ軸方向に移動可能に支持されている。また、シンクロ用スリーブ15の外周側には外周環状溝15bが形成されており、この外周環状溝15bに係合する図示しないシフトフォークによって、シンクロ用スリーブ15が図外のシフトレバーの操作に応じて軸方向に移動操作されるようになっている。
回転軸11上のシンクロ用ハブ12の軸方向両側には、一対の変速ギヤ13(図1中には片側のみ図示している)、例えば1速ギヤおよび2速ギヤ、あるいは、3速ギヤおよび4速ギヤが配置されており、1速ギヤおよび2速ギヤのいずれか、あるいは、3速および4速ギヤのいずれかである各変速ギヤ13には、外歯状の外周スプライン21と、中心軸線に対し傾斜したテーパ状の摩擦面22aを有しシンクロ用スリーブ15側に向かって軸方向に突出するコーン部22とが、それぞれ一体に設けられている。
シンクロ用スリーブ15とシンクロ用ハブ12の間には、周方向等間隔に複数のシンクロナイザキー16が放射外方側に付勢されて介装されており、それら複数のシンクロナイザキー16の外面側に設けられた台形断面の突起16aがシンクロ用スリーブ15の内周環状溝15cに嵌合することで、シンクロ用スリーブ15およびシンクロナイザキー16は、軸方向に一体的に移動できるようになっている。
また、シンクロ用スリーブ15とギヤピース14の間には、コーン部22を取り囲むシンクロナイザリング17が設けられており、シンクロ用スリーブ15およびシンクロナイザキー16が一体的に軸方向に移動するとき、シンクロナイザキー16の端部でシンクロナイザリング17が軸方向に押圧され、その内周部でコーン部22の傾斜摩擦面22aに押し当てられるようになっている。このシンクロナイザリング17の内周部には、コーン部22の傾斜摩擦面22aに面接触し摩擦係合するテーパ状の傾斜摩擦面17aが形成されている。なお、シンクロナイザリング17の中心軸線に対してコーン部22の摩擦面22aが傾斜している角度γをコーン角という。
シンクロナイザリング17のシンクロ用スリーブ15側である軸方向一方側には、シンクロナイザキー16の端部を収納する側面凹部17cが形成されており、シンクロ用スリーブ15とシンクロナイザリング17は、シンクロナイザキー16を介して両者間の相対回転角度を制限されるようになっている。
また、シンクロナイザリング17は、シンクロ用スリーブ15が軸方向に移動するときにシンクロ用スリーブ15の内周スプライン15aに噛合する外側の噛合歯17bを有しており、この外側の噛合歯17bおよび外周スプライン21は、それぞれシンクロ用スリーブ15の内周スプライン15aに噛合可能なスプライン形状を有している。
前述のシンクロ用スリーブ15の内周スプライン15aの端部、その内周スプライン15aの端部に対向するギヤピース14の外周スプライン21の端部、および、シンクロナイザリング17の噛合歯17bの端部は、それぞれ軸方向に尖った形状をなすよう両側面側にチャンファ形状を有し、両側のチャンファ面同士が交差する部分に尖端の稜線を形成している。なお、各端部(軸方向の任意の一端部;チャンファ部)で両側のチャンファ面同士が交差する角度α(図2参照)を、チャンファ角といい、各端部の稜線が軸方向と直角な面に対してなす角度β(図1参照)を、稜線角という。
一方、シンクロ用スリーブ15の内周スプライン15a(各スプライン歯)の端部は、内周スプライン15aの小径側でのチャンファ角α1が小さく、内周スプライン15aの大径側でのチャンファ角α2が大きくなるように、小径側と大径側で異なるチャンファ角α1、α2(>α1)を有しており、内周スプライン15aの小径側から内周スプライン15aの大径側へとチャンファ角αが連続的に大きくなっている。
また、シンクロ用スリーブ15の内周スプライン15aの端部およびシンクロナイザリング17の噛合歯17bの端部は、互いに大径側で近付くように傾斜した尖端の稜線E1、E2を有しており、シンクロナイザリング17の噛合歯17bの稜線角β2は、シンクロ用スリーブ15の内周スプライン15aの稜線角β1より小さく(β2<β1)、その傾斜角度β2が予め設定された小角度範囲内に設定されている。
さらに、ギヤピース14の外周スプライン21の小径部側ほどシンクロ用スリーブ15側に向かって突出するように、シンクロ用スリーブ15に対向する端部において、ギヤピース14の外周スプライン21は予め設定された半径位置から大径部側が例えば面取りにより切り欠かれている。
具体的には、例えばギヤピース14の外周スプライン21の端部は、予め設定された半径位置(例えば歯丈の1/2の高さ位置)からギヤピース14の軸方向中央側に傾斜しつつ大径側ほど周方向に幅広くなる略扇形の外方のチャンファ面14fを有している。
そして、シフトレバー操作に応じてシンクロ用スリーブ15が変速後の変速ギヤ13側に軸方向に移動するとき、シンクロ用スリーブ15の内周スプライン15aの大径側にシンクロナイザリング17の噛合歯17bの端部が係合し、シンクロ用スリーブ15の内周スプライン15aの小径側にギヤピース14の外周スプライン21の端部が係合するようになっている。
図2(a)および図3(b)に示すように、シンクロナイザリング17の噛合歯17bの端部のチャンファ角α3は、シンクロ用スリーブ15の内周スプライン15aの大径側でのチャンファ角α2と実質的に等しくなっており、一方、図2(a)および図4(b)に示すように、ギヤピース14の外周スプライン21の端部のチャンファ角α4は、シンクロ用スリーブ15の内周スプライン15aの小径側でのチャンファ角α1と実質的に等しいかそれ以下に設定されている。
次に、作用について説明する。
上述のように構成された本実施形態の同期装置では、図2〜図4に示すように、変速操作に応じてシンクロ用スリーブ15の内周スプライン15aが軸方向に移動するときは、シンクロナイザリング17の噛合歯17bの端部がシンクロ用スリーブ15の内周スプライン15aの端部の大径側に、ギヤピース14の外周スプライン21の端部がシンクロ用スリーブ15の内周スプライン15aの端部の小径側に、それぞれ係合する。したがって、これら2つの係合を同一チャンファ角のチャンファ形状で実行する場合に比べ、シンクロナイザリング17の噛合歯17bに比較的大きなチャンファ角α3を設定して同期性能を確保しながらも、ギヤピース14の外周スプライン21のチャンファ角α4を小さく抑えて内周スプライン15a(スリーブスプライン)によるギヤピース14の押分け荷重を最適化することができ、同期性能の確保と2段入り荷重に相当する操作力低減とを両立させることができる。しかも、シンクロ用スリーブ15の内周スプライン15aの小径側でのチャンファ角α1が小さく、シンクロナイザリング17の噛合歯17bに噛合する内周スプライン15aの大径側でのチャンファ角α2が大きくなっているので、シンクロ用スリーブ15の加工が加工数の少ない容易なものとなり、部品点数も少ない構成の簡素な低コストの同期装置となる。
また、本実施形態においては、ギヤピース14の外周スプライン21の端部が、予め設定された半径位置から大径側を切り欠いた形状(図1参照)をなし、シンクロ用スリーブ15の内周スプライン15aの小径側に係合するので、シンクロ用スリーブ15の内径側とギヤピース14の外周スプライン21の小径側が早期に噛合するとともに、その噛合時におけるシンクロ用スリーブ15とギヤピース14の機械的干渉も回避される。また、外方のチャンファ面14fも通常の面取り加工と同様に容易にできる。
さらに、シンクロ用スリーブ15の内周スプライン15aの小径側から内周スプライン15aの大径側へとチャンファ角α1、α2が連続的に大きくなっているので、内周スプライン15aの端部の加工が容易化される。
加えて、図1に示すように、シンクロ用スリーブ15の内周スプライン15aの端部とシンクロナイザリング17の噛合歯17bの端部とが、互いに大径側で近付くように傾斜した尖端の稜線E1、E2を有するので、図3(b)に示すように、シンクロ用スリーブ15の内周スプライン15aの端部およびシンクロナイザリング17の噛合歯17bの端部が、互いに大径側で接触し噛合することになり、シンクロ用スリーブ15の内周スプライン15aとシンクロナイザリング17の噛合歯17bのチャンファ角を同期性能確保に要する十分な大きさに設定することができる。
また、シンクロナイザリング17の噛合歯17bの稜線E2の傾斜角度β2が、シンクロ用スリーブ15の内周スプライン15aの端部における稜線E1の傾斜角度β1より小さいので、シンクロ用スリーブ15の内周スプライン15aの端部およびシンクロナイザリング17の噛合歯17bの端部が、それぞれ容易に加工できるとともに、噛合状態の切換えも円滑になる。
さらに、図2〜図4に示すように、シンクロナイザリング17の噛合歯17bの端部のチャンファ角α3が、シンクロ用スリーブ15の内周スプラインの大径側でのチャンファ角α2と実質的に等しいので、シンクロナイザリング17の噛合歯17bの端部とシンクロ用スリーブ15の内周スプライン15aの端部とが、同期性能の確保に要する十分なチャンファ角で接触することになる。
一方、ギヤピース14の外周スプライン21の端部のチャンファ角α4は、シンクロ用スリーブ15の内周スプライン15aの小径側でのチャンファ角α2と実質的に等しいかそれより小さいので、シンクロ用スリーブ15の内周スプライン15aの小径側がギヤピース14の外周スプラインの端部に接触するとき、シンクロ用スリーブ15がギヤピース14を押し分けるのに要する押分け力が軽減されることになる。
このように、本実施形態の同期装置によれば、シンクロナイザリング17の噛合歯17bの端部をシンクロ用スリーブ15の内周スプライン15aの大径側に、ギヤピース14の外周スプライン21の端部をシンクロ用スリーブ15の内周スプライン15aの小径側に、それぞれ係合させるようにしているので、これらの係合を同一チャンファ角のチャンファ形状で実行する場合に比べ、シンクロナイザリング17に比較的大きなチャンファ角を設定して同期性能を確保しながらも、シンクロ用スリーブ15によるギヤピース14の押分け荷重を最適化することができ、同期性能の確保と2段入り荷重に相当する操作力の低減とを両立させることができる。しかも、シンクロ用スリーブ15の内周スプライン15aの小径側でのチャンファ角α1が小さく、シンクロナイザリング17の噛合歯17bに噛合する内周スプライン15aの大径側でのチャンファ角α2が大きくなっているので、シンクロ用スリーブ15の加工が容易で構成の簡素な低コストの同期装置を提供することができる。
なお、上述の実施形態においては、稜線部は、エッジでなく丸められたりわずかに面取り加工されたりしたものでもよく、チャンファ面は、平坦面に限らずわずかに湾曲していてもよい。また、上述の実施形態においては、シンクロナイザキーを用いる同期装置としたが、必ずしもこれに限定されるものではない。さらに、上述の実施形態においては、シンクロ用スリーブの両側にそれぞれ変速ギヤ(例えば、1速・2速ギヤあるいは3速・4速ギヤ)が配置されるものとして説明したが、シンクロ用スリーブの片側にのみ変速ギヤ(例えば、5速ギヤ)が配置されてもよい。
以上説明したように、本発明に係る同期装置は、シンクロナイザリングの噛合歯の端部をスリーブの内周スプラインの大径側に、ギヤピースの外周スプラインの端部をスリーブの内周スプラインの小径側に、それぞれ係合させるようにしているので、これらの係合を同一チャンファ角のチャンファ形状で実行する場合に比べ、シンクロナイザに比較的大きなチャンファ角を設定して同期性能を確保しながらも、スリーブスプラインによるギヤピースの押分け荷重を最適化して、同期性能の確保と2段入り荷重に相当する操作力の低減とを両立させることができ、しかも、スリーブの内周スプラインの小径側でのチャンファ角が小さく、シンクロナイザリングの噛合歯に噛合する内周スプラインの大径側でのチャンファ角が大きくなっているので、スリーブの加工が容易で構成の簡素な低コストの同期装置を提供することができるという効果を奏するものであり、歯車式変速機に設けられる同期装置、特に回転軸と一体に回転する軸方向移動可能なスリーブをギヤピースの外周スプラインに噛合させるときにシンクロナイザリングを介して両者を同期回転させる同期装置全般に有用である。
本発明の一実施形態に係る同期装置の要部断面図である。 (a)は、図1のA−A断面図、(b)は、図1のB−B断面図である。 一実施形態の同期装置における変速開始から同期段階に至るまでの主要部品の動きを示す動作説明図である。 一実施形態の同期装置における同期段階から変速完了までの主要部品の動きを示す動作説明図である。
符号の説明
11 回転軸
12 シンクロ用ハブ
13 変速ギヤ
14 ギヤピース
14f 外方のチャンファ面
15 シンクロ用スリーブ
15a 内周スプライン(スリーブスプライン)
15b 外周環状溝
15c 内周環状溝
16 シンクロナイザキー
16a 突起
17 シンクロナイザリング
17a 傾斜摩擦面
17b 噛合歯
17c 側面凹部
21 外周スプライン
22 コーン部
22a 傾斜摩擦面
E1、E2 稜線
α チャンファ角
α1 チャンファ角(スリーブスプラインの小径側のチャンファ角)
α2 チャンファ角(スリーブスプラインの大径側のチャンファ角)
α3 チャンファ角(シンクロナイザの噛合歯のチャンファ角)
α4 チャンファ角(ギヤピースのギヤ用スプラインのチャンファ角)
β1、β2 稜線角(傾斜角度)
γ コーン角

Claims (7)

  1. 回転軸に対し回転方向に一体でかつ軸方向に移動可能に支持された内周スプライン付のスリーブと、前記スリーブが軸方向に移動するとき前記スリーブの内周スプラインに噛合する外周スプラインおよび前記スリーブ側に向かって軸方向に突出するコーン部を有するギヤピースと、前記スリーブおよび前記ギヤピースの間に位置し、前記スリーブが軸方向に移動するとき前記スリーブの内周スプラインに噛合する外側の噛合歯および前記ギヤピースのコーン部に係合する傾斜摩擦面を有するシンクロナイザリングと、を備え、前記スリーブの内周スプラインの端部と、該内周スプラインの端部に対向する前記ギヤピースの外周スプラインおよび前記シンクロナイザリングの噛合歯の端部とが、それぞれ軸方向に尖ったチャンファ形状を有する同期装置において、
    前記スリーブの内周スプラインの端部が、前記内周スプラインの小径側でのチャンファ角が小さく前記内周スプラインの大径側でのチャンファ角が大きくなるよう小径側と大径側で異なるチャンファ角を有し、
    前記シンクロナイザリングの噛合歯の端部が、前記スリーブの内周スプラインの大径側に係合し、
    前記ギヤピースの外周スプラインの端部が、前記スリーブの内周スプラインの小径側に係合するよう該外周スプラインの小径部側ほど前記スリーブ側に向かって突出していることを特徴とする同期装置。
  2. 前記ギヤピースの外周スプラインの端部が、予め設定された半径位置から大径側を切り欠いた形状をなし、前記スリーブの内周スプラインの小径側に係合することを特徴とする請求項1に記載の同期装置。
  3. 前記内周スプラインの小径側から前記内周スプラインの大径側へと前記チャンファ角が連続的に大きくなっていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の同期装置。
  4. 前記スリーブの内周スプラインの端部および前記シンクロナイザリングの噛合歯の端部が、互いに大径側で近付くように傾斜した尖端の稜線を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか1の請求項に記載の同期装置。
  5. 前記シンクロナイザリングの噛合歯の前記稜線の角度が、前記スリーブの内周スプラインの端部における前記稜線の傾斜角度より小さいことを特徴とする請求項4に記載の同期装置。
  6. 前記シンクロナイザリングの噛合歯の端部のチャンファ角が、前記スリーブの内周スプラインの大径側でのチャンファ角と実質的に等しいことを特徴とする請求項1ないし請求項5のうちいずれか1の請求項に記載の同期装置。
  7. 前記ギヤピースの外周スプラインの端部のチャンファ角が、前記スリーブの内周スプラインの小径側でのチャンファ角と実質的に等しいかそれより小さいことを特徴とする請求項1ないし請求項6のうちいずれか1の請求項に記載の同期装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015197108A (ja) * 2014-03-31 2015-11-09 アイシン・エーアイ株式会社 トルク断続装置及び回転体の製造方法
CN109027184A (zh) * 2018-09-10 2018-12-18 重庆青山工业有限责任公司 汽车双离合变速器换挡机构的齿圈
CN112503109A (zh) * 2019-09-16 2021-03-16 现代自动车株式会社 车辆用锥形离合器

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