以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態の無線タグラベルとタグラベル作成装置が適用される無線タグ生成システム(無線タグ情報通信システム)を表すシステム構成図である。この実施形態は、本発明を読み取りのみ可能な(書き込みは不可の)無線タグの生成システムに適用した場合の実施形態である。
図1に示すこの無線タグ生成システム1において、本実施形態によるタグラベル作成装置2は、有線あるいは無線による通信回線3を介してルートサーバ4、端末5、汎用コンピュータ6、及び複数の情報サーバ7に接続されている。
図2は、上記タグラベル作成装置2の詳細構造を表す概念的構成図である。
図2において、タグラベル作成装置2の装置本体8には、凹所としてのカートリッジホルダ部(図示せず)が設けられ、このホルダ部に、カートリッジ100が着脱可能に取り付けられている。
装置本体8は、カートリッジ100を嵌合させる上記カートリッジホルダ部を備えるとともに外郭を構成する筐体9と、被印字媒体であるカバーフィルム103に所定の印字(印刷)を行う印字手段である印字ヘッド(サーマルヘッド)10と、カバーフィルム103への印字が終了したインクリボン105を駆動するリボン巻取りローラ駆動軸11と、カバーフィルム103とタグ媒体である基材テープ101とを貼り合わせつつ印字済タグ媒体である印字済タグラベル用テープ110としてカートリッジ100から繰り出すための圧着ローラ駆動軸12(搬送手段)と、印字済タグラベル用テープ110に備えられる無線タグ回路素子To(詳細は後述)との間でUHF帯等の高周波を用いて無線通信により信号の送受を行う送受信手段であるアンテナ14と、上記印字済タグラベル用テープ110を所定のタイミングで所定の長さに切断してラベル状の未離間化無線タグラベルTp(詳細は後述)を生成するカッタ15と、上記無線通信による信号送受時において無線タグ回路素子Toをアンテナ14に対向する所定のアクセスエリアに設定保持するとともに、切断後のテープ110(=未離間化無線タグラベルTp)を案内するための一対の搬送ガイド13と、その案内された未離間化無線タグラベルTpを搬出口(排出口)16へと搬送し送出する送出ローラ17Aと、回転しつつ未離間化無線タグラベルTpに当接して加熱を行う加熱ローラ17Bと、加熱ローラ17Bによる加熱で得られる離間化無線タグラベルT(つまり本発明による貼り付け対象物に対する離間性を有した無線タグラベルT)を冷却し成形する成形手段である成形ローラ17Cと、搬出口16における無線タグラベルTの有無を検出するセンサ18とを有する。
ここで、加熱ローラ17Bは、上記印字済タグラベル用テープ110を切断して得られる上記未離間化無線タグラベルTpを加熱する加熱手段である。そしてこの加熱手段は、未離間化無線タグラベルTpにおける加熱発泡性層からなる(肥厚前)離間部材層101c(後述の図4参照)を加熱により発泡させることで当該離間部材層101cを肥厚させて(肥厚後)離間部材層101f(後述の図8参照)として離間状態(無線タグラベルTを貼り付け対象物に貼り付けた際に無線タグラベルTの無線タグ回路素子Toを対象物から離間させる状態)得る離間起動手段となる。
また、成形ローラ17Cは、図3にその詳細構成を示すように、一対のローラのうち一方側が隙間調整部17eによりテープ110の搬送路に対して隙間を調整可能に構成されており(図2中太矢印A参照)、隙間駆動回路17fによりローラ間の隙間を変化させることにより離間部材層101fに対し上記所望の形を与えることができるようになっている。
一方、装置本体8はまた、上記アンテナ14を介し上記無線タグ回路素子Toへアクセスする(読み取り又は書き込みを行う)ための高周波回路21と、無線タグ回路素子Toから読み出された信号を処理するための信号処理回路22と、前述したリボン巻取りローラ駆動軸11、テープ送りローラ駆動軸12を駆動するカートリッジ用モータ23と、このカートリッジ用モータ23の駆動を制御するカートリッジ駆動回路24と、上記印字ヘッド10への通電を制御する印刷駆動回路25と、上記カッタ15を駆動して切断動作を行わせるソレノイド26と、そのソレノイド26を制御するソレノイド駆動回路27と、上記送出ローラ17Aを駆動する送出ローラ用モータ28Aと、この送出ローラ用モータ28Aを制御する送出ローラ駆動回路29Aと、上記加熱ローラ17Bを駆動する加熱ローラ用モータ28Bと、この加熱ローラ用モータ28Bを制御する加熱ローラ駆動回路29Bと、上記成形ローラ17Cを駆動する成形ローラ用モータ28Cと、この成形ローラ用モータ28Cを制御する成形ローラ駆動回路29Cと、加熱ローラ17B内部に設けた適宜の熱源(ニクロム線、電磁波加熱部材等)17Dを動作制御する加熱回路29Dと、上記高周波回路21、信号処理回路22、カートリッジ駆動回路24、印刷駆動回路25、ソレノイド駆動回路27、送出ローラ駆動回路29A、加熱ローラ駆動回路29B、成形ローラ駆動回路29C等を介し、タグラベル作成装置2全体の動作を制御するための制御回路30とを有する。
制御回路30は、いわゆるマイクロコンピュータであり、詳細な図示を省略するが、中央演算処理装置であるCPU、ROM、及びRAM等から構成され、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うようになっている。またこの制御回路30は、入出力インターフェイス31を介し例えば通信回線に接続され、この通信回線に接続された前述のルートサーバ4、他の端末5、汎用コンピュータ6、及び情報サーバ7等との間で情報のやりとりが可能となっている。
図4は、カートリッジ100の詳細構造を説明するための説明図である。
この図4において、カートリッジ100は、筐体100Aと、この筐体100A内に配置され帯状の上記基材テープ101(タグテープ)が巻回された第1ロール102と、上記基材テープ101と略同じ幅である透明な上記カバーフィルム103が巻回された第2ロール104と、上記インクリボン105(熱転写リボン、但しカバーフィルムが感熱テープの場合は不要)を繰り出すリボン供給側ロール111と、印字後のリボン105を巻取るリボン巻取りローラ106と、上記基材テープ101と上記カバーフィルム103とを押圧し接着させ上記印字済タグラベル用テープ110としつつ矢印Aで示す方向にテープ送りをする(=テープ送りローラとしても機能する)圧着ローラ107とを有する。
第1ロール102は、リール部材102aの周りに、長手方向に複数の無線タグ回路素子Toが所定の等間隔で順次形成された上記基材テープ101を巻回している。
基材テープ101はこの例では5層構造となっており(図4中部分拡大図参照)、内側に巻かれる側(表面側:図4中右側)よりその反対側(図4中左側)へ向かって、適宜な粘着材からなる第1の粘着層101a、PET(ポリエチレンテレフタラート)等から成る色付きのベースフィルム層101b、加熱により発泡して肥厚化可能な離間部材層101c、適宜な粘着材からなる第2の粘着層101d、第2の粘着層101dを被覆する剥離紙層101eの順序による積層構造となっている。
離間部材層101cは、図2の加熱ローラ17Bによる加熱で発泡して肥厚することで離間部材層101f(後述の図8参照)となる層であり、例えば加熱により発泡する発泡性シートを用いて形成することができ、また加熱により発泡する発泡体を適宜な粘着材などに添加した層として形成することができる。発泡性シートや発泡体としては、ポリエチレン系やオレフィン系の樹脂あるいはリグレン樹脂を用いることができる。例えばポリエチレン発泡性シートは、ポリエチレンに発泡剤を混合してシート状に押し出した後電子線照射によって架橋させ、その架橋後のポリエチレンシートを発泡剤の分解温度以上に加熱することで製作することができる。このような離間部材層101cは、発泡用ガス生成のための分解温度が100℃〜200℃程度で、そのときの発生ガス量が90〜130ml/gとするのが好ましい。
第1の粘着層101aは、後にカバーフィルム103を接着するために機能する貼り合せ用粘着剤層であり、この第1の粘着層101aとベースフィルム層101bの間に埋め込むようにして無線タグ回路素子Toが設けられている。その無線タグ回路素子Toは、情報の送受信を行うアンテナ(アンテナ部)152と、これに接続するように設けられたIC回路部151を備えている。
テープ基材層であるベースフィルム101bの裏側(図4中左側)に設けられる第2の粘着層101dは、貼り付け用粘着剤層であり、無線タグラベルTを貼り付け対象物に貼り付けするのに機能し、対象物へ貼り付けるまでは剥離材層である剥離紙層101eで被覆されており、剥離紙層101eを剥がすことで無線タグラベルTを対象物に貼り付けることができるようになる。
第2ロール104は、リール部材104aの周りに上記カバーフィルム103を巻回している。第2ロール104より繰り出されるカバーフィルム103は、その裏面側(すなわち上記基材テープ101と接着される側に配置されたリボン供給側ロール111及びリボン巻取りローラ106で駆動されるリボン105が、上記印字ヘッド10に押圧されることで当該カバーフィルム103の裏面に当接させられるようになっている。
リボン巻取りローラ106及び圧着ローラ107は、それぞれカートリッジ100外に設けた例えばパルスモータである上記カートリッジ用モータ23(前述の図2参照)の駆動力が上記リボン巻取りローラ駆動軸11及び上記テープ送りローラ駆動軸12に伝達されることによって回転駆動される。
上記構成のカートリッジ100において、上記第1ロール102より繰り出された基材テープ101は、圧着ローラ107へと供給される。一方、第2ロール104より繰り出されるカバーフィルム103は、その裏面側(すなわち上記基材テープ101と接着される側)に配置されたリボン供給側ロール111及びリボン巻取りローラ106で駆動されるインクリボン105が、上記印字ヘッド10に押圧されることで当該カバーフィルム103の裏面に当接させられるようになっている。
そして、カートリッジ100が上記装置本体8のカートリッジホルダ部に装着されロールホルダ(図示せず)が離反位置から当接位置に移動されると、カバーフィルム103及びインクリボン105が印字ヘッド10とプラテンローラ108との間に狭持されるとともに、基材テープ101及びカバーフィルム103が圧着ローラ107とサブローラ109との間に狭持される。そして、カートリッジ用モータ23の駆動力によってリボン巻取りローラ106及び圧着ローラ107が矢印B及び矢印Dで示す方向にそれぞれ同期して回転駆動される。このとき、前述のテープ送りローラ駆動軸12と上記サブローラ109及びプラテンローラ108はギヤ(図示せず)にて連結されており、テープ送りローラ駆動軸12の駆動に伴い圧着ローラ107、サブローラ109、及びプラテンローラ108が回転し、第1ロール102から基材テープ101が繰り出され、上述のように圧着ローラ107へ供給される。一方、第2ロール104からはカバーフィルム103が繰り出されるとともに、上記印刷駆動回路25により印字ヘッド10の複数の発熱素子が通電される。この結果、カバーフィルム103の裏面に印字R(後述の図7参照)が印刷される。そして、上記基材テープ101と上記印刷が終了したカバーフィルム103とが上記圧着ローラ107及びサブローラ109により接着されて一体化され、印字済タグラベル用テープ110として形成され、カートリッジ100外へと搬出される。なお、カバーフィルム103への印字が終了したインクリボン105は、リボン巻取りローラ駆動軸11の駆動によりリボン巻取りローラ106に巻取られる。
図5は、上記高周波回路21の詳細機能を表す機能ブロック図である。この図5において、高周波回路21は、アンテナ14を介し無線タグ回路素子Toに対して信号を送信する送信部32と、アンテナ14により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波を入力する受信部33と、送受分離器34とから構成される。
送信部32は、無線タグ回路素子ToのIC回路部151の無線タグ情報にアクセスする(読み取りを行う)ための搬送波を発生させる水晶振動子35、PLL(Phase Locked Loop)36、及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)37と、上記信号処理回路22から供給される信号に基づいて上記発生させられた搬送波を変調(この例では信号処理回路22からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路38(但し振幅変調の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路38により変調された変調波を、制御回路30からの「TX_PWR」信号によって増幅率を決定し増幅する可変送信アンプ39とを備えている。そして、上記発生される搬送波は、好適にはUHF帯の周波数を用いており、上記送信アンプ39の出力は、送受分離器34を介してアンテナ14に伝達されて無線タグ回路素子ToのIC回路部151に供給される。
受信部33は、アンテナ14により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生させられた搬送波とを掛け合わせる受信第1乗算回路40と、この受信第1乗算回路40の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第1バンドパスフィルタ41と、この第1バンドパスフィルタ41の出力を増幅して第1リミッタ42に供給する受信第1アンプ43と、上記アンテナ14により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生された後に移相器49により位相を90°ずらされた搬送波とを掛け合わせる受信第2乗算回路44と、その受信第2乗算回路44の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第2バンドパスフィルタ45と、この第2バンドパスフィルタ45の出力を入力するとともに増幅して第2リミッタ46に供給する受信第2アンプ47とを備えている。そして、上記第1リミッタ42から出力される信号「RXS−I」及び第2リミッタ46から出力される信号「RXS−Q」は、上記信号処理回路22に入力されて処理される。
また、受信第1アンプ43及び受信第2アンプ47の出力は、RSSI(Received Signal Strength Indicator)回路48にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」が信号処理回路22に入力されるようになっている。このようにして、本実施形態のタグラベル作成装置2では、I−Q直交復調によって無線タグ回路素子Toからの反射波の復調が行われる。
図6は、上記無線タグ回路素子Toの機能的構成を表す機能ブロック図である。この図6において、無線タグ回路素子Toは、タグラベル作成装置2側のアンテナ14とUHF帯等の高周波を用いて非接触で信号の送受信を行う上記アンテナ152と、このアンテナ152に接続された上記IC回路部151とを有している。
IC回路部151は、アンテナ152により受信された搬送波を整流する整流部153と、この整流部153により整流された搬送波のエネルギを蓄積し駆動電源とするための電源部154と、上記アンテナ152により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部155に供給するクロック抽出部156と、所定の情報信号を記憶し得る情報記憶手段として機能するメモリ部157と、上記アンテナ152に接続された変復調部158と、上記整流部153、クロック抽出部156、及び変復調部158等を介して上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための上記制御部155とを備えている。
変復調部158は、アンテナ152により受信された上記タグラベル作成装置2のアンテナ14からの通信信号の復調を行うと共に、上記制御部155からの応答信号に基づき、アンテナ152より受信された搬送波を変調反射する。
制御部155は、上記変復調部158により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部157において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、上記変復調部158により返信する制御等の基本的な制御を実行する。
図7(a)及び図7(b)は、上述のようなタグラベル作成装置2で作成される無線タグラベルTの外観の一例を表す図であり、図7(a)は上面図、図7(b)は下面図である。また図8は、図7中VIII−VIII′断面による横断面図である。
これら図7(a)、図7(b)、及び図8に示す本実施形態による無線タグラベルTは、図4に示した5層構造のタグ媒体である基材テープ101にカバーフィルム103が加わった6層構造となっており、カバーフィルム103側(図8中上側)よりその反対側(図8中下側)へ向かって、カバーフィルム103、第1の粘着層101a、ベースフィルム層101b、離間部材層101f、第2の粘着層101d、剥離紙層101eの6層で構成されている。そして、前述のように第1の粘着層101aとベースフィルム層101bの間に埋め込むようにして無線タグ回路素子Toを備えるとともに、カバーフィルム103の裏面に印字R(この例では無線タグラベルTの種類を示す「RF−ID」の文字)が印刷されている。
図9は、未離間化無線タグラベルTpを図2の加熱ローラ17Bで加熱することによりその離間部材層101cを発泡させて無線タグラベルTとする過程を説明する図である。図9(a)の未離間化無線タグラベルTpが加熱を受けると、図9(b)のようにその離間部材層101cが発泡して厚みを徐々に増すことで離間状態化が進み、加熱条件に応じた最終状態まで至ることで、図9(c)のように(肥厚前)離間部材層101cが(肥厚後)離間部材層101fとなる。
こうした無線タグラベルTにおける離間部材層101fは、上述のように離間部材層101cの加熱発泡による肥厚化で得られるものであり、無線タグラベルTを貼り付け対象物に貼り付けた際にその無線タグ回路素子Toを対象物から適切に離間させる状態を得るのに機能する。そしてこうした離間部材層101fの離間機能により、対象物の貼り付け面が金属であったり対象物の貼り付け面の近くに金属があったりする場合でも通信障害を招くことなく、通信の円滑性・信頼性を確保することができる。
図10は、上述したようなタグラベル作成装置2による無線タグ回路素子ToのIC回路部151の無線タグ情報へのアクセス(読み取り)に際して、上記した端末5又は汎用コンピュータ6に表示される画面の一例を表す図である。
図10において、この例では、タグラベルの種別(アクセス周波数及びテープ寸法)、無線タグ回路素子Toに対応して印刷された印字文字R、その無線タグ回路素子Toに固有のIDであるアクセス(読み取り)ID、上記情報サーバ7に記憶された物品情報のアドレス、及び上記ルートサーバ4におけるそれらの対応情報の格納先アドレス等が前記端末5又は汎用コンピュータ6に表示可能となっている。そして、タグラベル作成時にはその端末5又は汎用コンピュータ6の操作によりタグラベル作成装置2が作動されて、カバーフィルム103に上記印字文字Rが印刷されると共に、後述するようにIC回路部151に上記書き込みID及び物品情報等の情報が書き込まれる(又はIC回路部151に予め記憶された物品情報等の無線タグ情報が読みとられる)。なおこのとき、印刷動作に伴い搬送ガイド13を移動中の印字済タグラベル用テープ110に対してアクセスエリア内に保持してアクセス(読み取り)するようにしてもよいし、印字済タグラベル用テープ110を所定位置で停止させて搬送ガイド13にて保持した状態で上記アクセスを行うようにしてもよい。また、上記のような読み取りの際、生成された無線タグラベルTの無線タグ回路素子ToのIDとその無線タグ回路素子ToのIC回路部15から読みとられた情報との対応関係は、前述のルートサーバ4に記憶され、必要に応じて参照できるようになっている。
なお、上記においては、印刷動作に伴い搬送ガイド13を移動中の印字済タグラベル用テープ110に対してアクセスエリア内に保持してアクセス(読み取り)するようにした例を示したが、これに限られず、その印字済タグラベル用テープ110を所定位置で停止させて搬送ガイド13にて保持した状態で上記アクセスを行うようにしてもよい。
また、上記のような読み取り又は書き込みの際、生成された無線タグラベルTのIDとその無線タグラベルTのIC回路部151から読みとられた情報との対応関係は、前述のルートサーバ4に記憶され、必要に応じて参照できるようになっている。
図11は、上述した無線タグラベルTの作成、すなわち、カバーフィルム103を搬送し印字ヘッド10で所定の印字を行いつつ基材テープ101を貼り合わせて印字済タグラベル用テープ110とした後印字済タグラベル用テープ110を無線タグ回路素子Toごとに切断し、さらに加熱ローラ17Bで加熱し成形ローラ17Cで成形して無線タグラベルTとする際に、制御回路30によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
この図11において、まずステップS105において、タグラベル作成装置2の読み取り操作が行われるとこのフローが開始される。そして、上記端末5又は汎用コンピュータ6を介して入力操作された、印字ヘッド10により無線タグラベルTへ印字すべき印字情報が通信回線3及び入出力インターフェイス31を介し読み込まれる。
その後、ステップS110において、通信不良等が疑われるときのリトライ(再試行)の回数をカウントする変数N、及び通信良好か不良かを表すフラグFを0に初期化する。
そして、ステップS115において、カートリッジ駆動回路24に制御信号を出力し、カートリッジ用モータ23の駆動力によってリボン巻取りローラ106及び圧着ローラ107を回転駆動させる。これにより、第1ロール102から基材テープ101が繰り出され圧着ローラ107へ供給され、第2ロール104からはカバーフィルム103が繰り出される。またこのとき、印刷駆動回路25に制御信号を出力し、印字ヘッド10を通電して、カバーフィルム103のうち所定の領域(例えば基材テープ101に所定ピッチで等間隔で配置された無線タグ回路素子Toの裏面に貼り合わせることとなる領域)に、ステップS105で読み込んだ文字、記号、バーコード等の印字Rを印刷させる。さらに送出ローラ駆動回路29Aを介して送出ローラ用モータ28Aに制御信号を出力し、送出ローラ17Aを回転駆動させる。以上の結果、前述したように基材テープ101と上記印刷が終了したカバーフィルム103とが上記圧着ローラ107及びサブローラ109により接着されて一体化され、印字済タグラベル用テープ110として形成され、カートリッジ体100外方向へと搬送される。
その後、ステップS120において、印字済タグラベル用テープ110が所定値C(例えば、対応する印字が施されたカバーフィルム103が貼り合わされた無線タグ回路素子Toが搬送ガイド13に到達するだけの搬送距離)だけ搬送されたかどうかを判断する。このときの搬送距離判定は、例えば、上記基材テープ101に設けた適宜の識別用マークを別途設けた公知のテープセンサで検出することにより行えば足りる。判定が満たされたら、ステップS200に移る。ステップS200ではタグ情報読み取り処理を行い、読み込むための問いかけ信号を無線タグ回路素子Toに送信し、無線タグ情報を含む返答信号を受信して読み込む(詳細は後述の図13参照)。このステップS200が終了したらステップS125に移る。
ステップS125では、フラグF=0であるかどうかが判定される。読み取り処理が正常に完了していればF=0のまま(後述の図13に示すフローのステップS280参照)であるので、この判定が満たされ、ステップS130に移る。
ステップS130では、上記ステップS200で無線タグ回路素子Toより読み取られた情報と、これに対応して既に印字ヘッド10により印字された印字情報との組み合わせを、入出力インターフェイス31及び通信回線3を介し端末5又は汎用コンピュータ6を介して出力し、情報サーバ7やルートサーバ4に記憶する。なお、この記憶データは必要に応じて端末5又は汎用コンピュータ6より参照可能に例えばデータベース内に格納保持される。
その後、ステップS135で、カバーフィルム103のうちこの時点で処理対象としている無線タグ回路素子Toに対応する領域への印字がすべて完了しているかどうかを確認した後、ステップS140へ移る。
なお、先に述べたステップS125において、何らかの理由で読み取り処理が正常に完了していない場合はF=1とされている(後述の図13に示すフローのステップS280参照)のでS125の判定が満たされず、ステップS137に移り、印刷駆動回路25に制御信号を出力して印字ヘッド10の通電を中止し印字を停止させる。このように印字中途停止によって当該無線タグ回路素子Toが正常品でないことを明らかに表示するようにした後、ステップS140へ移る。
ステップS140では、印字済タグラベル用テープ110がさらに所定量(例えば、対象とする無線タグ回路素子To及びこれに対応するカバーフィルム103の印字領域のすべてがカッタ15を所定の長さ(余白量)分越えるだけの搬送距離)だけ搬送されたかどうかを判断する。このときの搬送距離判定も、前述のステップS120と同様、例えばマーキングをテープセンサで検出することにより行えば足りる。判定が満たされたら、ステップS145に移る。
ステップS145では、カートリッジ駆動回路24及び送出ローラ駆動回路29Aに制御信号を出力し、カートリッジ用モータ23及び送出ローラ用モータ28Aの駆動を停止して、リボン巻取りローラ106、圧着ローラ107、送出ローラ17Aの回転を停止する。これにより、第1ロール102からの基材テープ101の繰り出し、第2ロール104からのカバーフィルム103の繰り出し、及び送出ローラ17Aによる印字済タグラベル用テープ110の搬送が停止する。
その後、ステップS150でソレノイド駆動回路27に制御信号を出力してソレノイド26を駆動し、カッタ15によって印字済タグラベル用テープ110の切断を行う。前述したように、この時点で、例えば処理対象の無線タグ回路素子To及びこれに対応するカバーフィルム103の印字領域のすべてがカッタ15を十分に越えており、このカッタ15の切断によって、無線タグ回路素子Toの無線タグ情報が読み取られかつこれに対応する所定の印字が行われたラベル状の無線タグラベルTが生成される。
その後、ステップS155に移り、送出ローラ用駆動回路29に制御信号を出力し、送出ローラ用モータ28Aの駆動を再開して、送出ローラ17Aを回転させる。併せて、加熱回路29Dを介して加熱ローラ17B内の熱源17Dを発熱させるとともに、加熱ローラ駆動回路29B、成形ローラ駆動回路29Cを介して加熱ローラ用モータ28B、成形ローラ用モータ28Cにそれぞれ制御信号を出力し、加熱ローラ17B、成形ローラ17Cをそれぞれ回転駆動させる。
これにより、送出ローラ17Aによる搬送が再開されて上記ステップS150でラベル状に生成された無線タグラベルTが搬出口16へ向かって搬送される。そして、加熱ローラ17Bに到達した部分から順次加熱されて、上記離間部材層101cが発泡して厚さが厚くなって離間部材層101fとなった後、搬送方向下流側の成形ローラ17Cにより離間部材層101fが所望の形(厚み方向での断面形状)に成形されつつ冷却される。成形ローラ17Cは前述のようにして隙間を調整可能に構成され、隙間駆動回路17fによりローラ間の隙間を変化させることにより離間部材層101fに対し上記所望の形を与えることができるようになっている。例えば図12(a)に示すようにローラ間の間隔を大きくした場合にはテープ110の厚みを厚く、図12(b)に示すようにローラ間の間隔を小さくした場合にはテープ110の厚みを薄くすることができる。
なお、ここで、成形ローラ17Cによる成形で離間部材層101fに与えられる厚みは、好ましい例の場合、離間部材層101fの誘電率、無線タグ回路素子Toの通信感度、あるいは無線タグラベルTの通信に使用する周波数のうち少なくともいずれか1つに基づいて設定されることになる。すなわち、例えばアンテナ14と無線タグ回路素子Toとの間でUHF帯の高周波(2.45GHz)を用いて無線通信を行う場合には、離間部材層101fの厚みはλ/4(λは波長。この場合の波長は12cm)となる3cmが好適であり、さらに離間部材層101fによる波長短縮率を考慮すると、波長短縮率1/√ε(εは誘電率。例えば離間部材層101fにポリエチレン系の発泡シートを用いた場合の波長短縮率は0.66)に基づいて3×0.66≒2cmとするのが好適である。なお、ここでは離間部材層101fの誘電率ε及び通信周波数に基づいて厚みを設定するようにしたが、無線タグ回路素子Toの通信感度に基づいて厚みを設定するようにしてもよい。
このようにして離間部材層101fが生成された無線タグラベルTは、搬出口16から装置2外へと排出される。
なお、前述のS115において、送出ローラ17Aを回転駆動開始するのに併せて、加熱ローラ17B内の熱源17Dを発熱させるとともに加熱ローラ17B、成形ローラ17Cをそれぞれ回転駆動させるようにしてもよい。この場合、送出ローラ17Aを過ぎ加熱ローラ17B及び成形ローラ17Cに到達した部分については順次加熱及び成形が行われることとなる。そして、ステップS145で送出ローラ17Aを停止した場合には、併せて加熱ローラ17B及び成形ローラ17Cも停止し、カッタ15による切断後、ステップS155にて駆動再開すればよい。
図13は、上述したステップS200の詳細手順を表すフローチャートである。
図13において、まず、ステップS210において、印字済みタグラベル用テープ110の印刷後、情報読み取り対象とする無線タグ回路素子Toがアンテナ14近傍に搬送され、対象となるタグが設定される。
その後、ステップS220において、所定の通信パラメータ等に沿う形で無線タグ回路素子Toに記憶された情報を読み出す「Scroll All ID」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22でアクセス情報としての「Scroll All ID」信号が生成されて高周波回路21を介してアクセス対象の無線タグ回路素子Toに送信され、返信を促す。
次に、ステップS230において、上記「Scroll All ID」信号に対応してアクセス対象の無線タグ回路素子Toから送信されたリプライ信号(物品情報等の無線タグ情報)をアンテナ14を介して受信し、高周波回路21及び信号処理回路22を介し取り込む。
次に、ステップS240において、上記ステップS230で受信したリプライ信号に誤りがないか否かを公知の誤り検出符号(CRC符号;Cyclic Redundancy Check等)を用いて判定する。
判定が満たされない場合はステップS250に移ってNに1を加え、さらにステップS260においてN=5かどうかが判定される。N≦4の場合は判定が満たされずステップS220に戻り同様の手順を繰り返す。N=5の場合はステップS270に移り、エラー表示信号を入出力インターフェイス31及び通信回線3を介し上記端末5又は汎用コンピュータ6へ出力し、対応する読み取り失敗(エラー)表示を行わせ、ステップS280で前述のフラグF=1にして、このフローを終了する。このようにして読み取りが不調でも5回までは再試行が行われる。
ステップS240の判定が満たされた場合、読み取り対象とする無線タグ回路素子Toからの無線タグ情報の読み取りが完了し、このルーチンを終了する。
以上のルーチンにより、カートリッジ100内のアクセス対象の無線タグ回路素子Toに対し、IC回路部151の無線タグ情報にアクセスし、これを読み出すことができる。
以上説明したように、本実施形態の無線タグラベルTにおいては、貼り付け用粘着剤層である第2の粘着層101dの表面側とテープ基材層であるベースフィルム層101bの裏面側の間に離間部材層101fを有し、そのベースフィルム層101bの表面側に無線タグ回路素子Toが設けられている。このため、剥離紙層101eを剥がし第2の粘着層101dにより無線タグラベルTを対象物の貼り付け面に貼り付けた際に、無線タグ回路素子Toを貼り付け面から適切に離間させた状態を確実に実現することができる。したがって、対象物の貼り付け面が金属であったり対象物の貼り付け面の近くに金属があったりする場合でも通信障害を招くことなく、通信の円滑性・信頼性を確保することができる。
さらに、本実施形態のタグラベル作成装置2においては、加熱ローラ17Bの下流側に成形ローラ17Cを設け、加熱ローラ17Bによる加熱で得られた離間部材層101fを成形できるようにしているので、離間部材層101fの厚みを所望に制御できるし、発泡時に離間部材層101fに厚みの不均一を生じたとしても、それを成形ローラ17Cで均すことができる。
また、本実施形態では特に、離間部材層101fの厚み方向寸法を、当該離間部材層101fの構成材料の誘電率、無線タグ回路素子の通信感度、及び当該通信に使用する周波数のうち少なくともいずれか1つに基づき設定する。これにより、通信障害を招くことなく通信の円滑性・信頼性を確保できる限りにおいて、離間部材層の厚み方向寸法を適正な値とすることができる。さらに、このような厚みに設定することにより、離間部材層101fにおける上記通信障害回避のための離間機能を最も効率的に、つまり離間部材層101fを必要以上に厚くすることなく、発揮させることができる。
また、本実施形態では特に、搬送手段であるテープ送りローラ駆動軸12による基材テープ101、カバーフィルム103、印字済みタグラベル用テープ110の搬送の流れに関して印字手段である印字ヘッド10よりも下流側に離間起動手段である加熱ローラ17Bを設けるようにしている。このため印字ヘッド10による印字が終了した後に離間部材層101cを発泡させて離間部材層101fとすることができ、したがって離間部材層101cを発泡が印字処理に悪影響をもたらすようなことを確実に防止することができる。すなわち印字終了前に離間部材層101cを発泡させた場合に起こり得る印字ヘッド10の損傷や不十分な印字の発生などの可能性を防止することができる。
なお、本発明は、その趣旨と技術思想の範囲を逸脱しない範囲でさらに種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を説明する。
(1)無線タグ回路素子に情報書き込みを行う場合
上記実施形態においては、読み取りのみ可能な(書き込みは不可の)無線タグの生成システムに本発明を適用した場合を例にとって説明したが、これに限られず、無線タグ回路素子ToのIC回路部151に無線タグ情報の書き込みを行う無線タグの生成システムに本発明を適用してもよい。
図14は、この変形例における制御回路30で実行する無線タグラベルの作成手順(無線タグ情報の書き込み手順)を表すフローチャートであり、上記実施形態の図11に相当する図である。
図14では、図11と同等の手順には同一の符号を付している。図14において、無線タグラベル作成装置2の書き込み操作が行われるとこのフローが開始され、ステップS105は図11と同様であり、この手順が終了した後はステップS110Aに移り、前述の変数N及びフラグFに加え、さらに変数M(詳細は後述)を0に初期化する。
その後、図11と同様のステップS115,S120を経て、ステップS200Aに移る。ステップS200Aでは、タグ情報書き込み処理を行い、書き込むためのメモリ初期化(消去)を行った後、無線タグ情報を無線タグ回路素子Toに送信して書き込む(詳細は後述の図15参照)。このステップS200Aが終了したら図11と同様、ステップS125に移る。
ステップS125では、図11と同様にフラグF=0であるかどうかが判定され、この判定が満たされたら、ステップS130Aに移る。
ステップS130Aでは、上記ステップS200Aで無線タグ回路素子Toに書き込まれた情報と、これに対応して既に印字ヘッド10により印字された印字情報との組み合わせが、入出力インターフェイス31及び通信回線3を介し端末5又は汎用コンピュータ6を介して出力され、図11のステップS130と同様に例えばルートサーバ4に記憶される。なお、この記憶データは必要に応じて端末5又は汎用コンピュータ6より参照可能に格納保持される。
以降の手順は図11と内容は実質同様であるので、説明を省略する。
図15は、上述のステップS200Aの詳細手順を表すフローチャートである。
この図15において、まず、ステップS310において、公知の適宜の手法で識別番号IDを設定し、さらに情報書き込み対象とする無線タグ回路素子Toがアンテナ14近傍に搬送される。
その後、ステップS320において、無線タグ回路素子Toのメモリ部157に記憶された情報を初期化する「Erase」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22でアクセス情報としての「Erase」信号が生成されて高周波回路21を介して書き込み対象の無線タグ回路素子Toに送信され、そのメモリ部157を初期化する。
次に、ステップS330において、メモリ部157の内容を確認する「Verify」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22でアクセス情報としての「Verify」信号が生成されて高周波回路21を介して情報書き込み対象の無線タグ回路素子Toに送信され、返信を促す。その後ステップS340において、上記「Verify」信号に対応して書き込み対象の無線タグ回路素子Toから送信されたリプライ信号をアンテナ14を介して受信し、高周波回路21及び信号処理回路22を介し取り込む。
次に、ステップS350において、リプライ信号に基づき、当該無線タグ回路素子Toのメモリ部157内の情報を確認し、メモリ部157が正常に初期化されたか否かを判定する。
判定が満たされない場合はステップS360に移ってMに1を加え、さらにステップS370においてM=5かどうかが判定される。M≦4の場合は判定が満たされずステップS320に戻り同様の手順を繰り返す。M=5の場合はステップS380に移り、エラー表示信号を入出力インターフェイス31及び通信回線3を介し上記端末5又は汎用コンピュータ6へ出力し、対応する書き込み失敗(エラー)表示を行わせ、このフローを終了する。このようにして初期化が不調でも5回までは再試行が行われる。
ステップS350の判定が満たされた場合、ステップS390に移り、所望のデータをメモリ部157に書き込む「Program」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22で本来書き込みたいID情報を含むアクセス情報としての「Program」信号が生成されて高周波回路21を介して情報書き込み対象の無線タグ回路素子Toに送信され、そのメモリ部157に情報が書き込まれる。
その後、ステップS400において、「Verify」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22でアクセス情報としての「Verify」信号が生成されて高周波回路21を介して情報書き込み対象の無線タグ回路素子Toに送信され、返信を促す。その後ステップS410において、上記「Verify」信号に対応して書き込み対象の無線タグ回路素子Toから送信されたリプライ信号をアンテナ14を介して受信し、高周波回路21及び信号処理回路22を介し取り込む。
次に、ステップS420において、リプライ信号に基づき、当該無線タグ回路素子Toのメモリ部157内に記憶された情報を確認し、前述の送信した所定の情報がメモリ部157に正常に記憶されたか否かを判定する。
判定が満たされない場合はステップS430に移ってNに1を加え、さらにステップS440においてN=5かどうかが判定される。N≦4の場合は判定が満たされずステップS390に戻り同様の手順を繰り返す。N=5の場合は前述したステップS380に移り、同様に上記端末5又は汎用コンピュータ6に対応する書き込み失敗(エラー)表示を行わせ、ステップS385で前述のフラグF=1にして、このフローを終了する。このようにして情報書き込みが不調でも5回までは再試行が行われる。
ステップS420の判定が満たされた場合、ステップS450に移り、「Lock」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22で「Lock」信号が生成されて高周波回路21を介して情報書き込み対象の無線タグ回路素子Toに送信され、当該無線タグ回路素子Toへの新たな情報の書き込みが禁止される。これにより、書き込み対象とする無線タグ回路素子Toへの無線タグ情報の書き込みが完了し、前述のようにして無線タグ回路素子Toが排出され、このフローを終了する。
以上のルーチンにより、カートリッジ100内のアクセス対象の無線タグ回路素子Toに対し、IC回路部151に所望の無線タグ情報を書き込みことができる。
以上のような構成である本変形例の無線タグ情報の書き込みを行う無線タグ生成システムにおいても、上記実施形態と同様の効果を得る。
(2)貼り合わせを行わない場合
すなわち、上記実施形態のように、無線タグ回路素子Toを備えたタグテープ(基材テープ)101とは別のカバーフィルム103に印字を行ってこれらを貼り合わせるのではなく、タグテープに備えられたカバーフィルムに印字を行うタグラベル作成装置用カートリッジに本発明を適用した場合である。
図16は、この変形例のカートリッジ100′の詳細構造を説明するための説明図であり、前述の図4に対応する図である。図4と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
図16において、カートリッジ100′は、感熱テープ101′(タグテープ)が巻回された第1ロール102′と、この感熱テープ101′をカートリッジ100′外部方向にテープ送りをするテープ送りローラ107′とを有している。
第1ロール102′は、リール部材102a′の周りに、長手方向に複数の上記無線タグ回路素子Toが順次形成された帯状の透明な上記感熱テープ101′を巻回している。
第1ロール102′に巻き回される感熱テープ101′はこの例では4層構造となっており(図16中部分拡大図参照)、外側に巻かれる側(表面側)よりその反対側へ向かって、PET(ポリエチレンテレフタラート)等から成るテープ基材層である色付きのベースフィルム層101a′、加熱により発泡して肥厚化可能な(肥厚前)離間部材層101b′、適宜な粘着材からなる貼り付け用粘着剤層である粘着層101c′、粘着層101c′を被覆する剥離紙層101d′の順序による積層構造とされ、そのベースフィルム層101a′と離間部材層101b′の間に、IC回路部151とアンテナ152からなる無線タグ回路素子Toが設けられている。
カートリッジ100′が上記タグラベル作成装置2のカートリッジホルダ部に装着されローラホルダ(図示せず)が離反位置から当接位置に移動されると、感熱テープ101′が印字ヘッド10とプラテンローラ108との間に狭持されるとともに、テープ送りローラ107′とサブローラ109との間に狭持される。そして、カートリッジ用モータ23(図2参照)の駆動力によるテープ送りローラ駆動軸12の駆動に伴い、テープ送りローラ107′、サブローラ109、及びプラテンローラ108が同期して回転し、第1ロール102′から感熱テープ101′が繰り出される。
この繰り出された感熱テープ101′は、タグラベル作成装置側に設けた加熱ローラ19Bへと供給される。加熱ローラ用モータ(図示せず)によって加熱ローラ19Bが駆動されるとともに、加熱ローラ19B内の熱源19Dが発熱され、加熱ローラ19Bが感熱テープ101′を搬送しつつ加熱(一次加熱:カートリッジ100′より下流側に設けられる図2の加熱ローラ17Bによる加熱よりも加熱量の少ない加熱)する。これにより、感熱テープ101′は加熱ローラ19Bを通過した部分から順次加熱され、離間部材層101b′がある程度発泡した状態(加熱ローラ17Bの加熱による最終的な発泡よりも低い度合いの発泡)となり、やや厚さが厚くなった(図16中拡大図参照)後、搬送方向下流側の印字ヘッド10へと供給される。
印字ヘッド10は、その複数の発熱素子が上記印刷駆動回路25(図2参照)により通電され、これにより感熱テープ101′のカバーフィルム101a′の表面に印字が印刷され、印字済タグラベル用テープ110′として形成された後、カートリッジ100′外へと搬出される。なお、前述の実施形態のようなインクリボンを用いた印字としてもよいことは言うまででもない。
カートリッジ100′外へ搬出された後の印字済タグラベル用テープ110′は、上記実施形態の場合と基本的に同様に処理され、それにより図17に示すような無線タグラベルT′が作成される。ただ、本変形例では、加熱ローラ19Bにて一次加熱を行うようにしている。このため図2の加熱ローラ17Bによる加熱では、一次加熱で一次的に発泡している離間部材層101b′を適切な厚みの(肥厚後)離間部材層101f′とするのに必要な範囲で加熱を行うことになる。このこと以外は上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
本変形例による無線タグラベルT′においても、貼り付け用粘着剤層である粘着層101c′の表面側とテープ基材層であるベースフィルム層101a′の裏面側の間に(肥厚後)離間部材層101f′を有し、そのベースフィルム層101a′と離間部材層101f′の間に無線タグ回路素子Toが設けられている。このため、剥離紙層101d′を剥がし粘着層101c′により無線タグラベルT′を対象物の貼り付け面に貼り付けた際に、無線タグ回路素子Toを貼り付け面から適切に離間させた状態を確実に実現することができる。したがって、対象物の貼り付け面が金属であったり対象物の貼り付け面の近くに金属があったりする場合でも通信障害を招くことなく、通信の円滑性・信頼性を確保することができる。
一方、本変形例によるカートリッジ100′おいては、感熱テープ101′に印字ヘッドで印字を行う前に加熱(一次加熱)し予め粘着層101b′を発泡させある程度厚さを大きくした状態で印字ヘッド10へ接触させ印字を行うようにしている。このため、厚さが薄い状態のままで印字ヘッド10へ接触させる場合に比べれば、印字の際の無線タグ回路素子Toによる凹凸部の影響を少なくでき、したがって、より鮮明で良好な印字を行うことが可能となる。
なお、以上では、貼り合わせを行わない場合の一例として感熱テープを用いる場合を説明したが、これに限られず、インクジェット紙を用いてインクジェット方式により印字を行い、無線タグラベルを作成するようにしてもよい。
(3)離間部材層に関する無線タグラベルの変形例
本発明による無線タグラベルは、これを対象物の貼り付け面に貼り付けた際に、無線タグ回路素子を貼り付け面から適切に離間させるための離間部材層を有していることに大きな特徴があるが、その離間部材層については、様々な形態が可能である。以下では、上記実施形態における図8の無線タグラベルTの構成を前提にした場合の離間部材層の変形例のいくつかについて説明する。なお以下での説明で用いる図では、離間部材層とテープ基材層であるベースフィルム層及び無線タグ回路素子だけを要部として示し、貼り付け用粘着剤層等については省略し、また無線タグラベルTと共通する要素については図8の場合と同一の符号を用いている。
図18に示すのは、離間部材層に関する第1の変形例による無線タグラベルT-V1である。無線タグラベルT-V1では、その離間部材層101f-V1がラベル長手方向で厚みを変化させている。具体的には、ラベル長手方向中間部の厚みがラベル長手方向の各端部における厚みよりも厚くなるようにされている。より具体的にいうと、離間部材層101f-V1は、その表面側の面が凸円弧面となるような厚み分布を持つように形成されている。このような離間部材層101f-V1は、図2の成形ローラ間の隙間を隙間調整部17eをテープ110の搬送に伴って長手方向で制御することにより行われる。そしてそのような厚みの制御は、図2の制御回路30による制御の下で作動する隙間駆動回路17f隙間調整部17eにて隙間ローラ17Cの隙間を制御することで行うことができる。この場合、制御回路30と隙間駆動回路17fは、隙間量を制御する制御手段となる。また離間部材層101f-V1は、未離間化無線タグラベルTpの搬送速度や加熱量を変化させることでも得ることができる。すなわち加熱ローラ17Bの熱源17Dの条件は一定とし、搬送速度を変えることで未離間化無線タグラベルTpが加熱ローラ17Bから受ける熱量を未離間化無線タグラベルTpの長手方向で変化させる方式や搬送速度を一定として熱源17Dが発する熱量を搬送位置に伴って変化させる方式である。
このような無線タグラベルT-V1においては、無線タグ回路素子Toがラベル長手方向中間部に位置する場合に、その無線タグ回路素子Toの配置位置で離間距離を最大にすることができ、離間部材層101f-V1をより効率的に利用しつつ対象物の貼り付け面に対する無線タグ回路素子Toの確実な離間をなせるようになる。
図19に示すのは、離間部材層に関する第2の変形例による無線タグラベルT-V2である。無線タグラベルT-V2では、その離間部材層101f-V1がラベル長手方向の一方側端部から他方側端部に向かって厚みを増大させるようにされている。具体的には、ラベル長手方向の一方側端部から他方側端部に向かって厚みを滑らかに増大させるようにされている。より具体的にいうと、離間部材層101f-V2は、その表面側の面が斜辺となる三角形の側面形状を有するように形成されている。
このような無線タグラベルT-V2においては、無線タグ回路素子Toがラベル長手方向で端部側に位置する場合に、その無線タグ回路素子Toの配置位置で離間距離を最大にすることができ、離間部材層101f-V1をより効率的に利用しつつ対象物の貼り付け面に対する無線タグ回路素子Toの確実な離間をなせるようになる。
ここで、図19の例では、離間部材層101f-V1がその厚みをラベル長手方向の一方側端部から他方側端部に向かって滑らかに増大させる場合であったが、これに限られず、例えばステップ状に増大させる形態とすることも可能である。また本変形例のように、離間部材層101f-V2の表面側の面を傾斜状態にする場合には、その傾斜角度θ(無線タグラベルT-V2を対象物に貼り付けた場合に離間部材層101f-V2の表面側の面が対象物の貼り付け面となす角度)を適切に設定するのが好ましい。適切な傾斜角度θの例としては45°程度の角度が挙げられる。
図20に示すのは、離間部材層に関する第3の変形例による無線タグラベルT-V3である。無線タグラベルT-V3では、その離間部材層101f-V3が複合構造とされている。具体的には、離間部材層101f-V3をラベル長手方向の一方側端部B1と他方側端部B2および中間部B3の各ブロックに区分けし、端部ブロックB1と端部ブロックB2には第1発泡材で構成し、中間部ブロックB3は第1発泡材と物性の異なる第2発泡材により構成するようにしている。
このような無線タグラベルT-V3においては、第1発泡材と第2発泡材との物性の違いを利用して、離間部材層101f-V3による離間作用をラベル長手方向で異ならせることができ、そのことを利用することで、貼り付け対象物の性情に応じた離間状態をより適切に実現することが可能となる。
図21に示すのは、離間部材層に関する第4の変形例による無線タグラベルT-V4である。無線タグラベルT-V4の離間部材層101f-V4は、ラベル長手方向一方側端部と他方側端部においてはテープ基材層であるベースフィルム層101bを支持せず、ラベル長手方向中間部においてのみベースフィルム層101bを支持するように形成されている。すなわち離間部材層101f-V4は、ラベル長手方向の中間部にだけ在るように形成されている。
このような無線タグラベルT-V4においては、無線タグ回路素子Toがラベル長手方向中間部に位置する場合に、その無線タグ回路素子Toの配置位置を中心にして離間をなすことができ、第1の変形例における無線タグラベルT-V1と同様に、離間部材層101f-V4をより効率的に利用しつつ対象物の貼り付け面に対する無線タグ回路素子Toの確実な離間をさせることができる。さらに、ラベル長手方向両端側において離間部材層101f-V4を欠損させる分、製造コストを低減することができ、また離間部材層101f-V4の利用効率を離間部材層101f-V1の場合より高めることができる。
図22に示すのは、離間部材層に関する第5の変形例による無線タグラベルT-V5である。無線タグラベルT-V5の離間部材層101f-V5は、ラベル長手方向一方側端部と他方側端部においてはベースフィルム層101bを支持し、ラベル長手方向中間部においてはベースフィルム層101bを支持しないように形成されている。
このような無線タグラベルT-V5においては、無線タグ回路素子Toがラベル長手方向中間部に位置する場合に、第4の変形例における無線タグラベルT-V4と同様に、その無線タグ回路素子Toの配置位置を中心にして離間をさせることができる。さらに、ラベル長手方向中間部において離間部材層101f-V5を欠損させる分、製造コストを低減することができ、また離間部材層101f-V5の利用効率を離間部材層101f-V1の場合より高めることができる。
(4)その他
以上においては、アンテナ14と無線タグ回路素子Toとの間でUHF帯の周波数を用いて無線通信する場合を説明したが、これに限られず、例えば装置側のアンテナや無線タグ回路素子To側のアンテナとしてループアンテナを用い、HF帯の周波数を用いて磁気誘導(電磁誘導、磁気結合、その他電磁界を介して行われる非接触方式を含む)により情報送受信を行うようにしてもよい。なお、この場合の離間部材層の厚みは、ループコイルの面積に応じて(例えばコイルの短辺の半分の長さ)設定するのが好ましい。
また、以上においては、無線タグ回路素子Toを備えた基材テープ101とは別のカバーフィルム103に印字を行ってこれらを貼り合わせる方式であったが、これに限られず、無線タグ回路素子ToのIC回路部151から無線タグ情報の読み出し又は書き込みを行うと共に、印字ヘッド23によってその無線タグ回路素子Toを識別するための印刷を行わず、無線タグ情報の読み出し又は書き込みのみを行うものに対し本発明を適用することもできる。
また、以上において、印字及び無線タグ回路素子Toへのアクセス(読み取り又は書き込み)の終了した印字済みタグラベル用テープ109を切断機構15で切断してタグラベルTを作成した場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、ラベルに対応した所定の大きさに予め分離されたラベル台紙(いわゆるダイカットラベル)がロールから繰り出されるテープ上に連続配置されているような場合には、切断機構15で切断しなくても、テープがラベル排出口11から排出されてきた後にラベル台紙(アクセス済みの無線タグ回路素子Toが備えられかつ対応する印字がなされたもの)のみをテープから剥がしてタグラベルTを作成しても良く、本発明はこのようなものに対しても適用できる。
さらに、以上は、基材テープ101がリール部材102aの周りに巻回されて第1ロール102を構成し、カートリッジ7内にそのロールが配置されて基材テープ101が繰り出される場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば、無線タグ回路素子Toが少なくとも一つ配置された長尺平紙状あるいは短冊状のテープやシート(ロールに巻回されたテープを繰り出した後に適宜の長さに切断して形成したものを含む)を、所定の収納部にスタックして(例えばトレイ状のものに平積み積層して)カートリッジ化し、このカートリッジをタグラベル作成装置側のカートリッジホルダに装着して、上記収納部から移送、搬送して印字及び書き込みを行いタグラベルを作成するようにしてもよい。
さらには上記ロールを直接タグラベル作成装置側に着脱可能に装着する構成や、長尺平紙状あるいは短冊状のテープやシートをタグラベル作成装置外より1枚ずつ所定のフィーダ機構によって移送しタグラベル作成装置内へ供給する構成も考えられ、さらにはカートリッジ7のようなタグラベル作成装置本体側に着脱可能なものにも限られず、装置本体側に着脱不能のいわゆる据え付け型あるいは一体型として第1ロール102を設けることも考えられる。この場合も同様の効果を得る。
なお、以上で用いた「Scroll All ID」信号、「Erase」信号、「Verify」信号、「Program」信号とは、EPC glovalが策定した仕様に準拠しているものとする。EPC glovalは、流通コードの国際機関である国際EAN協会と、米国の流通コード機関であるUniformed Code Council(UCC)が共同で設立した非営利法人である。なお、他の規格に準拠した信号でも、同様の機能を果たすものであればよい。
以上、代表的な変形例について説明したが、これらの他にも、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。