JP5039080B2 - ケーブルの端部張力解放方法及び該方法の実施に用いるケーブルクランプ装置 - Google Patents

ケーブルの端部張力解放方法及び該方法の実施に用いるケーブルクランプ装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5039080B2
JP5039080B2 JP2009072008A JP2009072008A JP5039080B2 JP 5039080 B2 JP5039080 B2 JP 5039080B2 JP 2009072008 A JP2009072008 A JP 2009072008A JP 2009072008 A JP2009072008 A JP 2009072008A JP 5039080 B2 JP5039080 B2 JP 5039080B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cable
clamp device
frictional force
outer peripheral
tension
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009072008A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010223352A (ja
Inventor
誠 杉村
慶一 角田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
IHI Infrastructure Systems Co Ltd
Original Assignee
IHI Infrastructure Systems Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by IHI Infrastructure Systems Co Ltd filed Critical IHI Infrastructure Systems Co Ltd
Priority to JP2009072008A priority Critical patent/JP5039080B2/ja
Publication of JP2010223352A publication Critical patent/JP2010223352A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5039080B2 publication Critical patent/JP5039080B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Bridges Or Land Bridges (AREA)

Description

本発明は、吊橋のハンガーケーブルのような張力が作用しているケーブルの端部を定着点から取外しが可能となるように該ケーブルの端部に作用している張力を解放させるために用いるケーブルの端部張力解放方法及び該方法に用いるワイヤークランプ装置に関するものである。
吊橋は、図10にその一例の概略を示す如く、一対の主塔aにメインケーブルbを張り渡し、該メインケーブルbより垂下させた多数のハンガーケーブルcにより桁dを支持する構成としてある。
ところで、経年変化や不測の事態により上記吊橋のハンガーケーブルcの端部の定着点に疲労や損傷が生じた場合は、該ハンガーケーブルcの端部を、その定着点より取り外して、定着点の補修を行う必要が生じる。
しかし、上記ハンガーケーブルcは、桁dの荷重による張力が作用している状態では該ハンガーケーブルcの端部をその定着点より取り外すことはできないため、該ハンガーケーブルcの端部をその定着点より取り外すためには、予め、上記ハンガーケーブルcに作用している張力を抜かなければならない。
なお、ワイヤーロープ(ストランドロープ)の途中位置をクランプするためのワイヤークランプ装置としては、たとえば、シリンダ内にその内周面から径方向に窪む環状の収容部を形成し、該収容部に、周方向に沿い二分割されて径方向に収縮及び拡開可能に構成したチャックを収容保持し、そのチャック外側に筒状パッキンを嵌着して同パッキンと外周と収容部壁面との間に油圧ポンプと連絡する油室を形成し、チャック内側には、主方向に沿い4分割したコレットを軸線方向の移動を規制し、且つ周方向及び径方向に移動自在となして着脱自在に取り付けると共に、該コレットはその内周面にワイヤーの捩り条面と当接する捩じり条溝を形成したワイヤークランプ装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
又、ワイヤーロープの途中位置をクランプして送り込み(引き込みや押し込み)を行うためのワイヤークランプ装置として、円錐台形として外面がテーパー形状としてあり、軸心部にワイヤーロープを挿通させるための挿通孔を備え、且つ周方向に4分割されたコレット単位体からなるワイヤーコレットと、該ワイヤーコレットのテーパー形状に対応するテーパーシリンダを備え、更に、上記各コレット単位体の内周面に、ワイヤーロープの外周に現れる縒り模様と一致する滑り止め用の螺旋溝を設けてなる構成を有するワイヤークランプ装置が従来提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
実公平7−24186号公報 特開2006−125563号公報
ところが、上記吊橋のハンガーケーブルcは、大きな張力が作用しているために伸びが生じているが、長大な吊橋ではケーブル長が100mにも達するハンガーケーブルcが用いられていることがあり、このような長さの長いハンガーケーブルcでは、張力が作用している状態での伸び量が数十センチメートルにもなっていることがある。したがって、このような伸び量の大きいハンガーケーブルcについて全体の張力を抜くためには、該ハンガーケーブルcの定着点の位置を、ハンガーケーブルcの張力が作用していない状態での長さ寸法と対応する位置まで、すなわち、上記ハンガーケーブルの張力による伸び量に応じた寸法分、大きく変位させる必要があるが、上記吊橋におけるハンガーケーブルcの上端側の定着点であるメインケーブルbと、下端側の定着点である桁dの相対位置を動かすことは非常に困難なため、上記ハンガーケーブルcの全体の張力を抜くことは現実的ではない。
そこで、本発明者等は、上記吊橋のハンガーケーブルcのように大きな張力が作用しており、且つ張力による伸び量が大きいケーブルであっても、該ケーブルの全長をあまり変化させずにケーブル端部付近のみの張力を抜くことができれば、該ケーブルの端部を、その定着点から取外すことが可能になることを見出したが、このようなケーブルの端部付近について、作用している張力を効率よく且つ確実に抜くための手法は、従来、特に提案されていないというのが実状である。
ところで、ケーブル(ワイヤーロープ)の途中位置をクランプする場合の手法としては、一般的には、所要のクランプ手段により該ケーブルを外周側より締め付けてクランプする手法が考えられるが、通常、ケーブルは多数の素線からなる構成としてあるため、その表面には凹凸が多い。そのために、上記クランプ手段におけるワイヤーケーブルと接触する面が、ケーブルの長手方向に平坦な面となっている場合は、ワイヤーケーブルとの接触面積をあまり大きくすることができないことから、摩擦が作用する面積が小さくて、上記ハンガーケーブルcのような大きな張力が作用しているケーブルの途中位置をクランプしようとしても、クランプ手段がケーブル長手方向に滑る虞が懸念される。
なお、ケーブルに作用している大きな張力に対抗してクランプ手段のケーブル長手方向に対する滑りを抑えるための対策としては、クランプ手段におけるケーブルとの接触面に、ケーブル長手方向と直交する方向の凹凸を設ける手法や、該ケーブルに対するクランプ手段の締め付け力を強くすることで、ケーブルの外形を部分的に変形させることで、ケーブル長手方向に対するクランプ手段の変位を抑える手法が考えられるが、これらの手法では、クランプ手段によってケーブルに傷が付く虞が生じることから、上記吊橋のハンガーケーブルcのような定着点の補修後に再使用することが前提となるケーブルには適用できない。
上記特許文献1、特許文献2に示したものでは、ワイヤーロープ(ケーブル)の途中位置をクランプするために、クランプ対象となるワイヤーロープの外周に、該ワイヤーロープの外周面の捩りや縒りの模様と一致する螺旋状の溝を備えてなる周方向に複数分割されたコレットを配置して、該コレットの外周側よりワイヤーロープ中心方向へ締め付ける力を加えることで該ワイヤーロープをクランプするようにしてあるため、ワイヤーロープとコレットとの間の接触面積を拡大することができると共に、締め付け力を大きくしても、上記ワイヤーロープに傷が付く虞を低減できると考えられる。
しかし、この手法を実施する場合は、ワイヤーロープの外周面の捩りや縒りの模様と、使用するコレットの内周面の螺旋状の溝の形状がずれていると、かえってワイヤーロープに傷を付ける虞が生じることから、外周面の捩りや縒りの模様が異なるワイヤーロープをクランプ対象とする場合は、その都度、クランプ対象とするワイヤーロープの外周面の捩りや縒りの模様に応じた形状の螺旋状の溝を有するコレットを用意しなければならないという問題がある。したがって、既設の吊橋のハンガーケーブルをクランプ対象とする場合は、予め、現地でハンガーケーブルの外周面の形状を事前調査して、その外周面の捩りや縒りの模様に対応する螺旋状の溝を備えたコレットを用意しておく必要があることから、作業が非常に煩雑になると共に、コストが嵩むという問題がある。
そこで、本発明は、吊橋のハンガーケーブルのように大きな張力が作用していて伸び量が大きいケーブルであっても、該ケーブルに傷を付けることなくその端部付近のみの張力を抜くことができて、該ケーブルの端部を、その定着点より取り外すことを可能にするために用いるケーブルの端部張力解放方法、及び、該方法の実施に用いるケーブルクランプ装置を提供しようとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、ケーブルの端部寄りの所要個所に、該ケーブル端部寄り方向への変位を阻止できるようにしたグリッピングクランプ装置とフッキングクランプ装置とを備えるケーブルクランプ装置を取り付け、次いで、上記ケーブルの端部の定着点の近傍位置に設けた仮定着点と、上記フッキングクランプ装置との間に、引き込みジャッキを備えた引き込み機構を接続し、しかる後、上記引き込みジャッキの作動により上記仮定着点に反力を受けた状態で上記ケーブルに取り付けたフッキングクランプ装置を引き込むことで、該フッキングクランプ装置が係止される上記グリッピングクランプ装置取付位置よりも定着点寄りに位置するケーブルの端部の張力を解放させるようにするケーブルの端部張力解放方法とする。
又、請求項2に対応して、ケーブルの端部寄りの所要個所の外周面に、該ケーブルの凹凸に入り込む樹脂製の摩擦力向上兼ケーブル保護部材を取り付け、更に、該摩擦力向上兼ケーブル保護部材を外周側より拘束してケーブル端部寄り方向への変位を阻止できるようにしたグリッピングクランプ装置を設け、且つ該グリッピングクランプ装置の取付位置よりもケーブル端部から離反する側のケーブル外周にフッキングクランプ装置を取り付けてなり、ケーブル端部の張力解放時にケーブルに取り付けて用いるようにした構成を有するケーブルクランプ装置とする。
更に、上記構成において、摩擦力向上兼ケーブル保護部材を、ケーブルの外周面に塗り固めた樹脂からなる構成とした構成とする。
更に又、上記構成において、摩擦力向上兼ケーブル保護部材の樹脂としてエポキシ樹脂を用いるようにした構成とする。
上述の各構成におけるグリッピングクランプ装置を、一端側開口部から他端側開口部へ向けて徐々に縮径するテーパー面を備えたケーブル挿通孔を有するフレーム部材をケーブルにおける摩擦力向上兼ケーブル保護部材の取付個所の外周に上記一端側開口部がケーブル端部寄りとなる姿勢で配置し、更に、上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材の外周面と、上記フレーム部材のケーブル挿通孔のテーパー面との隙間に、くさび部材を差し込んでなる構成とする。
本発明によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)ケーブルの端部寄りの所要個所に、該ケーブル端部寄り方向への変位を阻止できるようにしたグリッピングクランプ装置とフッキングクランプ装置とを備えるケーブルクランプ装置を取り付け、次いで、上記ケーブルの端部の定着点の近傍位置に設けた仮定着点と、上記フッキングクランプ装置との間に、引き込みジャッキを備えた引き込み機構を接続し、しかる後、上記引き込みジャッキの作動により上記仮定着点に反力を受けた状態で上記ケーブルに取り付けたフッキングクランプ装置を引き込むことで、該フッキングクランプ装置が係止される上記グリッピングクランプ装置取付位置よりも定着点寄りに位置するケーブルの端部の張力を解放させるようにするケーブルの端部張力解放方法としてあるので、大きな張力が作用していて伸び量が大きなケーブルであっても、該ケーブルにおける端部寄りのグリッピングクランプ装置でクランプした所要個所よりも端部寄りの部分の張力を抜くことができる。
(2)ケーブルの端部寄りの所要個所の外周面に、該ケーブルの凹凸に入り込む樹脂製の摩擦力向上兼ケーブル保護部材を取り付け、更に、該摩擦力向上兼ケーブル保護部材を外周側より拘束してケーブル端部寄り方向への変位を阻止できるようにしたグリッピングクランプ装置を設け、且つ該グリッピングクランプ装置の取付位置よりもケーブル端部から離反する側のケーブル外周にフッキングクランプ装置を取り付けてなり、ケーブル端部の張力解放時にケーブルに取り付けて用いるようにした構成を有するケーブルクランプ装置とすることにより、上記(1)の方法を実施するためのケーブルクランプ装置を実現できる。
(3)上記グリッピングクランプ装置は、ケーブルの外周面に該外周面に存在する凹凸に入り込むことでケーブル長手方向の変位が拘束される樹脂製の摩擦力向上兼ケーブル保護部材を介して外周側よりケーブルを拘束するようにしてあるため、拘束力を大きくしても上記ケーブルに傷が付く虞を未然に防止することができる。よって、上記ケーブルを再使用する場合に適したものとすることができる。
(4)しかも、ケーブルの端部寄りの所要個所の外周面に摩擦力向上兼ケーブル保護部材を新たに設けるようにしてあるため、既設のケーブル径に張力により多少のばらつきが生じている場合であっても、上記グリッピングクランプ装置で拘束する個所の外径を、該グリッピングクランプ装置による拘束に適した径とすることができる。このため、上記グリッピングクランプ装置によるケーブルの端部寄りの所要個所の拘束を容易に且つ確実に行なわせることができる。
(5)摩擦力向上兼ケーブル保護部材を、ケーブルの外周面に塗り固めた樹脂からなる構成とした構成とすることにより、上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材の内側に、上記ケーブルの外周面の凹凸の形状に一致する内面を確実に且つ正確に形成できるため、該摩擦力向上兼ケーブル保護部材をケーブルの長手方向の変位をより確実に防ぐことができる。
(6)摩擦力向上兼ケーブル保護部材の樹脂としてエポキシ樹脂を用いるようにした構成とすることにより、上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材を強度の大きいものとすることができると共に、ケーブルの端部張力を解放する作業が終了した後は、エポキシ樹脂をハンマー等で叩いて割ることで、ケーブルの外周面より容易に撤去することができる。
(7)グリッピングクランプ装置を、一端側開口部から他端側開口部へ向けて徐々に縮径するテーパー面を備えたケーブル挿通孔を有するフレーム部材をケーブルにおける摩擦力向上兼ケーブル保護部材の取付個所の外周に上記一端側開口部がケーブル端部寄りとなる姿勢で配置し、更に、上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材の外周面と、上記フレーム部材のケーブル挿通孔のテーパー面との隙間に、くさび部材を差し込んでなる構成とすることにより、上記フレーム部材のテーパー面に接する上記くさび部材のくさび効果により、該くさび部材によってケーブルにおける摩擦力向上兼ケーブル保護部材の取付個所に、外周より大きな拘束力を容易に作用させることができる。よって、上記グリッピングクランプ装置のケーブル端部側への変位抑止効果をより高めるのに有利な構成とすることができる。
本発明のケーブルの端部張力解放方法の実施に用いる本発明のケーブルクランプ装置の実施の一形態を示す一部切断概略正面図である。 図1のケーブルクランプ装置のグリッピングクランプ装置におけるフレーム部材を示すもので、(イ)は概略切断側面図、(ロ)は(イ)のA−A方向矢視図、(ハ)は(イ)のB−B方向矢視図である。 図1のケーブルクランプ装置のグリッピングクランプ装置におけるくさび部材を示すもので、(イ)は概略側面図、(ロ)は(イ)のC−C方向矢視図である。 図1のケーブルクランプ装置のフッキングクランプ装置を示す一部切断概略平面図である。 本発明の実施の他の形態として、図1のケーブルクランプ装置を用いて実施する本発明のケーブルの端部張力解放方法のフロー図である。 図5のケーブルの端部張力解放方法を実施する装置構成例図である。 本発明の実施の更に他の形態として、図1のケーブルクランプ装置のグリッピングクランプ装置におけるくさび部材の別の例を示す概略側面図である。 本発明の実施の更に他の形態として、図1のケーブルクランプ装置の応用例を示す概略正面図である 図8のケーブルクランプ装置のグリッピングクランプ装置を示す概略切断側面図である。 吊橋の構成の一例の概略を示す斜視図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図4は本発明のケーブル端部張力解放方法の実施に用いるケーブルクランプ装置の実施の一形態を示すもので、以下のようにしてある。
すなわち、本発明のケーブルクランプ装置1は、端部張力を解放する作業の対象となる対象ケーブル2の端部寄りの途中位置の外周にケーブル長手方向に変位しないよう取り付けるためのグリッピングクランプ装置3と、上記対象ケーブル2の長手方向における上記グリッピングクランプ装置3の取付位置よりもケーブル端部から離反する側のケーブル外周に取り付けるフッキングクランプ装置4とからなる構成としてある。
更に、上記グリッピングクランプ装置3は、対象ケーブル2の外周面に取外し可能に取り付ける摩擦力向上兼ケーブル保護部材5と、上記対象ケーブル2を挿通させるためのケーブル挿通孔7を有し且つ該ケーブル挿通孔7の内面を、ケーブル端部寄りに配置する軸心方向の一端側開口部8側からケーブル端部より離反する側に配置する他端側開口部9側に向けて徐々に縮径するテーパー面10としてなる構成として、上記対象ケーブル2に取り付けた摩擦力向上兼ケーブル保護部材5の外周位置に配置するフレーム部材6と、上記対象ケーブル2の外周面に取り付けた摩擦力向上兼ケーブル保護部材5の外周面と上記フレーム部材6のケーブル挿通孔7のテーパー面10との間に形成される隙間に、該ケーブル挿通孔7の一端側開口部8側から差し入れる複数のくさび部材11とからなる構成としてある。
更に、上記フッキングクランプ装置4は、上記対象ケーブル2を挿通させるための該対象ケーブル2の外径よりもやや大きな径のケーブル挿通孔12を備えると共に、上記ケーブル挿通孔12を中心とする周方向等間隔の複数個所、たとえば、ケーブル挿通孔12を中心とする180度対向する2個所に、後述するケーブル端部張力解放方法の実施の際に引き込みジャッキ14を介して仮定着点と接続するためのアイ13を備えた構成としてある。
詳述すると、上記グリッピングクランプ装置3の摩擦力向上兼ケーブル保護部材5は、 図1に示すように、上記対象ケーブル2の外周面の所定個所に、周方向の全面に亘りエポキシ樹脂を塗り固めることで形成するようにしてある。又、上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材5の外形は、上記対象ケーブル2の外径よりもやや太い外径寸法で、上記対象ケーブル2の長手方向に沿って上記フレーム部材6のケーブル挿通孔7の軸心方向に沿う寸法よりも所要寸法長い範囲に亘って延びる円筒形状となるようにしてある。これにより、上記エポキシ樹脂を上記対象ケーブル2の外周面に存在する凹凸に入り込ませた状態で固化させることで、上記対象ケーブル2の外周面の凹凸形状に沿う形状を備えた摩擦力向上兼ケーブル保護部材5を形成できるようにしてある。又、上記対象ケーブル2の外周面を上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材5で覆うことで、摩擦力向上兼ケーブル保護部材5の外周に配置される上記くさび部材11が上記対象ケーブル2の外周面に直接接触しないようにして、該くさび部材11を上記対象ケーブル2の中心方向へ押し付けて強い拘束力を作用させても、上記対象ケーブル2の外周面に傷が付く虞を未然に防止できるようにしてある。しかも、上記対象ケーブル2の外周面の所定個所に上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材5を新たに設ける際、該摩擦力向上兼ケーブル保護部材5の外径寸法を、上記対象ケーブル2の外径(ケーブル径)に依存することなく設定することが可能なため、既設の対象ケーブル2の外径に張力により多少のばらつきが生じている場合であっても、該対象ケーブル2の外周面の所定個所に設ける上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材5の外径寸法を、グリッピングクランプ装置3のフレーム部材6におけるケーブル挿通孔7のテーパー面10の内径とその内側に配置する各くさび部材11の内外方向の厚み寸法によって定まる該グリッピングクランプ装置3の取り付けに適した寸法に調整することができ、よって、グリッピングクランプ装置3の上記対象ケーブル2の所定個所への取り付けを容易に且つ確実に行なわせることができるようにしてある。更に、上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材5は、ケーブルの端部張力解放作業が終了した後は、ハンマー等で叩くことによって、上記固化したエポキシ樹脂を割ることで、上記対象ケーブル2の外周面より容易に撤去可能となるようにしてある。
上記フレーム部材6は、図2(イ)(ロ)(ハ)に示すように、ケーブル挿通孔7の軸心位置に沿う分割面で左右に2分割した2つのフレーム分割体15aと15bからなる分割構造としてある。上記各フレーム分割体15a,15bには、上記ケーブル挿通孔7と干渉しない個所で且つ該各フレーム分割体15aと15b同士で互いに対応する複数個所、たとえば、6個所に、上記分割面と直交する方向に延びるボルト孔16を穿設してなる構成としてあり、上記左右の各フレーム分割体15a,15bを、対象ケーブル2の外周面に取り付けてある上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材5の左右両側から、該摩擦力向上兼ケーブル保護部材5がケーブル挿通孔7の内側に収まるようにした状態で、分割面同士を合わせて配置し、この状態で、該各フレーム分割体15a,15bの各ボルト孔16に連結ボルト17を挿通させると共に、該連結ボルト17の両端部に螺着させたナット18により上記両フレーム分割体15a,15bを外側から拘束することで、上記フレーム部材6を、上記対象ケーブル2の途中位置の外周に配置することができるようにしてある。
なお、上記したように上記各フレーム分割体15a,15bの分割面同士を合わせる作業を行う際の位置合わせを容易なものとするために、上記各フレーム分割体15a,15bのうちの一方のフレーム分割体15aの分割面側に係合用凹部19を設けると共に、他方のフレーム分割体15bの分割面側に、上記一方のフレーム分割体15aの係合用凹部19に嵌合可能な係合用凸部20を設けた構成とすることが望ましい。
上記くさび部材11は、図3(イ)(ロ)に示すように、外側に、上記フレーム部材6のケーブル挿通孔7のテーパー面10に対応する円錐台面を周方向に4分割したテーパー面11aを備えると共に、内側に、上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材5の外周面に沿う湾曲面11bを備えた形状として、上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材5とその外周に配置した上記フレーム部材6のケーブル挿通孔7のテーパー面10との間に形成される隙間に、周方向に4本差し込むことができるようにしてある。
更に、上記各くさび部材11には、ハンドリング性を向上させるために、テーパー形状の尖端側とは反対側の端部に、棒状のハンドル21を一体に設けた構成としてある。
上記フッキングクランプ装置4は、図1及び図4に示す如く、ケーブル挿通孔12の軸心位置に沿う分割面で2分割した2つの分割フレーム22a,22bを備え、該各分割フレーム22a,22bにおける反分割面側にアイ13がそれぞれ設けてある。
更に、上記各分割フレーム22a,22bには、上記ケーブル挿通孔12と干渉しない個所で且つ該各分割フレーム22aと22b同士で互いに対応する複数個所、たとえば、6個所に、上記分割面と直交する方向に延びるボルト孔23を穿設してなる構成としてあり、これにより、上記左右の各分割フレーム22a,22bを、対象ケーブル2の左右両側から、該対象ケーブル2がケーブル挿通孔12の内側に収まるようにした状態で、分割面同士を合わせて配置し、この状態で、該各分割フレーム22a,22bの各ボルト孔23に連結ボルト24を挿通させると共に、該連結ボルト24とその先端側に螺着させたナット25により上記両分割フレーム22a,22bを外側から拘束することで、上記フッキングクランプ装置4を、上記対象ケーブル2の途中位置の外周に取り付けることができるようにしてある。
以上の構成としてある本発明のケーブルクランプ装置1によれば、対象ケーブル2の端部寄りの途中の所定位置の外周面に、上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材5を取り付け、更に、該摩擦力向上兼ケーブル保護部材5の外周位置で、上記各フレーム分割体15a,15bを組み立てることで、フレーム部材6を上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材5の外周に、一端側開口部8が対象ケーブル2の端部側に臨むように配置し、この状態で、該フレーム部材6の一端側開口部8より、上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材5の外周面と、上記フレーム部材6のケーブル挿通孔7のテーパー面10との間の隙間の周方向4個所に、ハンドル21を保持した上記くさび部材11を、テーパー形状の尖端側からそれぞれ差し込み、更に、図示しないハンマー等を用いて上記各ハンドル21を介して各くさび部材11を上記隙間に打ち込むことで、上記グリッピング装置を組み立てると共に、上記フレーム部材6のケーブル挿通孔7のテーパー面10に、上記各くさび部材11のテーパー面11aが沿うことで該各くさび部材11に生じるくさび効果によって、該各くさび部材11を、外周側から強い力で拘束して上記対象ケーブル2の外周面に設けてある上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材5に外側から強い力で押し付ける。これにより、上記対象ケーブル2の外周面に取り付けてある摩擦力向上兼ケーブル保護部材5は、硬化したエポキシ樹脂が上記対象ケーブル2の外周面に存在する凹凸に入り込んで密着した状態で外周側より拘束されることで、上記対象ケーブル2の端部寄り方向への相対変位が阻止される。又、上記各くさび部材11は、その内周面が上記エポキシ樹脂製としてある摩擦力向上兼ケーブル保護部材5に押し付けられることで該摩擦力向上兼ケーブル保護部材5に対して広い接触面積が確保され、更には、各くさび部材11の内側の湾曲面11bの形状と、摩擦力向上兼ケーブル保護部材5の外周面の形状に多少差が生じていても、該各くさび部材11が上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材5の外周面に食い込むことで密着状態が確実に得られるため、該各くさび部材11は、上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材5に対し、対象ケーブル2の端部寄り方向への相対変位が阻止される。更に、上記フレーム部材6は、ケーブル挿通孔7に設けてあるテーパー面10が、上記各くさび部材11の外側のテーパー面11aに係止されることで、該各くさび部材11に対し、対象ケーブル2の端部寄り方向への相対変位が阻止される。よって、上記グリッピングクランプ装置3のフレーム部材6の上記ケーブル挿通孔7に挿通させた対象ケーブルの端部寄り方向への変位が阻止できるようになる。
よって、この状態で、上記グリッピングクランプ装置3よりもケーブル端部より離反する側で、上記各分割フレーム22a,22bを組み立てて、該グリッピングクランプ装置3よりもケーブル端部より離反する側の対象ケーブル2の外周に上記フッキングクランプ装置4を配置して、本発明のケーブルクランプ装置1を形成すると、上記フッキングクランプ装置4に対象ケーブル2のケーブル端部側へ引き込む力を加えても、該フッキングクランプ装置4のケーブル端部側への移動が、上記グリッピングクランプ装置3により確実に阻止されるようになる。
次に、図5及び図6は、上記図1乃至図4に示した本発明のケーブルクランプ装置1を用いて実施する本発明のケーブルの端部張力解放方法の実施の一形態として、吊橋のハンガーケーブルの下端部の定着点であるハンガープレートの取替え作業に適用する場合の例を示すもので、図5は作業手順のフロー図であり、又、図6は本発明のケーブルの端部張力解放方法の実施に用いる装置構成を示してある。
すなわち、本発明のケーブルの端部張力解放方法を実施する場合は、先ず、吊橋のハンガーケーブルを対象ケーブル2として、該対象ケーブル2の下端寄りの途中個所の外周面に、周方向の全面に亘りエポキシ樹脂を塗り固めることで摩擦力向上兼ケーブル保護部材5(図1及び図2(イ)参照)を形成して設ける(ステップ1:S1)。この際、上記対象ケーブル2がPE被覆等の被覆が施された形式のケーブルの場合は、上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材5の取り付け個所の被覆を予め除去しておくようにする。又、上記対象ケーブル2の途中位置にエポキシ樹脂による上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材5を形成する場合の具体的な手法としては、たとえば、塩ビ管等の所要径の反割りパイプで該対象ケーブル2を取り囲む型枠を作製して、該型枠内にエポキシ樹脂を注入して固化させ、しかる後、上記型枠を撤去するようにすればよい。
上記のようにして対象ケーブル2の所定個所に上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材5を取り付けた後は、前述した本発明のケーブルクランプ装置1の組立手順と同様の手順で、ケーブルクランプ装置1を組み立てて、図6に示すように、上記対象ケーブル2における摩擦力向上兼ケーブル保護部材5の取付個所に、本発明のケーブルクランプ装置1を取り付ける(ステップ2:S2)。
一方、上記対象ケーブル2への本発明のケーブルクランプ装置1の取り付けとは別に、図6に示すように、吊橋の桁32において、上記対象ケーブル2の下端部が取り付けてある定着点としての既設のハンガープレート26の設置個所の近傍で且つ該ハンガープレート26の設置個所を間に挟んだ2個所に、仮定着点としての仮設ハンガープレート27をそれぞれ設けておくようにする(ステップ3:S3)。
上記のようにして、対象ケーブル2の所定個所に対する本発明のケーブルクランプ装置1の取り付けと、仮設ハンガープレート27の設置が終了すると、図6に示すように、上記本発明のケーブルクランプ装置1におけるフッキングクランプ装置4に設けてある2つのアイ13と、上記2つの各仮設ハンガープレート27とを、センタホールジャッキ等の引き込みジャッキ14を備えた引き込み機構28、たとえば、所要長さのワイヤーロープ29、上記引き込みジャッキ14、連結棒30を順に備えた引き込み機構28を介して接続する(ステップ4:S4)。
その後、上記各引き込み機構28の引き込みジャッキ14を作動させて、上記本発明のケーブルクランプ装置1におけるフッキングクランプ装置4を、上記各仮設ハンガープレート27側へ引き込むようにする。これにより、上記対象ケーブル2における本発明のケーブルクランプ装置1の取付位置よりも端部寄りの部分に作用していた張力が、上記フッキングクランプ装置4と、各仮設ハンガープレート27に接続してある引き込み機構28による引き込み力で担保されるようになるため、上記対象ケーブル2における本発明のケーブルクランプ装置1の取付位置よりも端部寄りの部分に作用していた張力が解放されるようになる(ステップ5:S5)。
上記のようにして上記対象ケーブル2の端部の張力が抜けると、該対象ケーブル2の端部を、本来の定着点であるハンガープレート26より取外すことができるようになる。
よって、この状態で、上記対象ケーブル2の端部を、既設のハンガープレート26より取り外してから(ステップ6:S6)、該既設のハンガープレート26を撤去し(ステップ7:S7)、その後、新規のハンガープレート26の設置を行うようにする(ステップ8)。
上記新規のハンガープレート26の設置が終了した後は、上記ステップ1(S1)からステップ6(S6)までの手順とは逆の手順、すなわち、先ず、上記新設のハンガープレート26に、上記対象ケーブル2の下端を接続して取り付けた後(ステップ9:S9)、上記各引き込み機構28の引き込みジャッキ14を逆に作動させて、上記対象ケーブル2の所定個所に取り付けてある本発明のケーブルクランプ装置1におけるフッキングクランプ装置4と、上記各仮設ハンガープレート27と間を繋いでいる引き込み機構28による張力を徐々に解放することで、上記対象ケーブル2における上記本発明のケーブルクランプ装置1の取付位置よりもケーブル端部寄りの部分に、張力を徐々にかけるようにする(ステップ10:S10)。
上記引き込み機構28による張力を完全に解放して、上記対象ケーブル2における上記本発明のケーブルクランプ装置1の取付位置よりもケーブル端部寄りの部分に本来の張力が作用させた後は、本発明のケーブルクランプ装置1におけるフッキングクランプ装置4の各アイ13と、上記各仮設ハンガープレート27との間に取り付けてある引き込み機構を取り外し(ステップ11:S11)、次いで、上記対象ケーブル2から本発明のケーブルクランプ装置1を取り外し(ステップ12:S12)、しかる後、上記対象ケーブル2の外周面に設けてある摩擦力向上兼ケーブル保護部材5を、ハンマー等で叩いてエポキシ樹脂を割るようにして、該対象ケーブル2の表面より撤去するようにする(ステップ13:S13)。
又、上記ステップ12(S12)における対象ケーブル2からの本発明のケーブルクランプ装置1を取り外しや、ステップ13(S13)における対象ケーブル2からの摩擦力向上兼ケーブル保護部材5の撤去とは別に、上記仮設ハンガープレート27を撤去して(ステップ14:S14)、ハンガープレートの取替え作業を終了するようにする。
このように、本発明のケーブルの端部張力解放方法によれば、吊橋のハンガーケーブルのように長さが長く、又、大きな張力が作用していて伸び量が大きな対象ケーブル2であっても、その端部寄りの途中位置を本発明のケーブルクランプ装置1を用いて確実にクランプすることができ、該ケーブルクランプ装置1のフッキングクランプ装置4に設けてあるアイ13と、上記対象ケーブル2の既存の定着点の近傍に設けた仮定着点との間に接続した引き込み機構28の引き込みジャッキ14により、上記仮定着点に反力を受けた状態で上記フッキングクランプ装置4を引き込むことで、上記対象ケーブル2における上記本発明のケーブルクランプ装置1取り付け個所よりも端部寄りの部分の張力を抜くことができる。
次いで、図7は本発明の実施の更に他の形態として、図1乃至図4に示した本発明のケーブルクランプ装置1の応用例を示すもので、グリッピングクランプ装置3におけるくさび部材11の内側の湾曲面11bに、湾曲方向に沿う凹部と凸部を、該湾曲面11bの軸心方向に交互に設けてなる構成としたものである。
かかる構成とすれば、くさび部材11を摩擦力向上兼ケーブル保護部材5の外周面に押し付けるときに、上記湾曲面11bの凹部と凸部を、上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材5の外周面に食い込ませることができるようになるため、該くさび部材11と、対象ケーブル2の外周面に取り付けてある上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材5との間における対象ケーブル2の長手方向に沿う方向の拘束力を高めることができて、本発明のケーブルクランプ装置1におけるグリッピングクランプ装置3によりクランプする対象ケーブル2の拘束力をより大きなものとすることができる。
なお、この場合であっても、上記くさび部材11の湾曲面に設けてある凹凸は、上記対象ケーブル2の外周面に取り付けてある上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材5に食い込むのみであって、上記対象ケーブル2の外周面に直接接触することはないため、該対象ケーブル2に傷が付く虞はない。
図8及び図9は本発明の実施の更に他の形態として、図1乃至図4に示した本発明のケーブルクランプ装置1の変形例を示すもので、図1乃至図4に示したと同様の構成において、グリッピングクランプ装置3を、対象ケーブル2の外周面に取外し可能に取り付ける摩擦力向上兼ケーブル保護部材5と、内面をテーパー面10としたケーブル挿通孔7を有するフレーム部材6と、くさび部材11とからなる構成とすることに代えて、対象ケーブル2の外周面に取外し可能に取り付ける摩擦力向上兼ケーブル保護部材5と、該対象ケーブル2における上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材5の取り付け個所を、左右一対の挟持部材32a,32bで挟んで拘束することができるようにした構成のグリッピングクランプ装置3Aとしたものである。
具体的には、上記左右一対の挟持部材32a,32bは、所要の厚み寸法を有する平板形状としてあり、且つ各挟持部材32a,32bで上記対象ケーブル2における上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材5の取り付け個所を挟むときに該各挟持部材32a,32b同士で互いに対向する一面の中央部に、上記対象ケーブル2の外周面に取り付けた摩擦力向上兼ケーブル保護部材5の円筒形状の半分よりもやや小さい径の断面半円形状のケーブル嵌合溝33が一方向に沿って延びるように設けてある。
更に、上記各挟持部材32a,32bにおける上記ケーブル嵌合溝33と干渉しない個所で、且つ該各挟持部材32a,32b同士で互いに対応する多数個所に、上記ケーブル嵌合溝33を設けた面に直交する方向のボルト孔34が穿設してある。
以上の構成としてあるグリッピングクランプ装置3Aによれば、上記各挟持部材32a,32bを、上記対象ケーブル2における上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材5の取り付け個所の両側に、該摩擦力向上兼ケーブル保護部材5がケーブル嵌合溝33の内側に収まるように配置した状態で、該各挟持部材32a,32bの各ボルト孔34に連結ボルト35を挿通させると共に、該連結ボルト35の両端部に螺着させたナット36により上記両挟持部材32a,32bを外側から拘束することで、上記ケーブル嵌合溝33の内面を、上記対象ケーブル2の外周面に取り付けてある上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材5に外側から強く押し付けることができるようにしてある。
その他の構成は図1及び図4に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。
これにより、上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材5は、硬化したエポキシ樹脂が上記対象ケーブル2の外周面に存在する凹凸に入り込んで密着した状態で外周側より拘束されることで、上記対象ケーブル2の端部寄り方向への相対変位が阻止される。又、上記各挟持部材32a,32bは、ケーブル嵌合溝33の内面が、上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材5に押し付けられて広い接触面積で接するようになり、更には、上記ケーブル嵌合溝33の断面形状が上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材5の円筒形状の半分よりもやや小さい径の半円形状としてあることにより、該各挟持部材32a,32bが、上記エポキシ樹脂製としてある摩擦力向上兼ケーブル保護部材5に多少食い込むようになることで、該各挟持部材32a,32bの上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材5に対する対象ケーブル2の端部寄り方向への相対変位が阻止される。
よって、本実施の形態のケーブルクランプ装置1によっても、上記グリッピングクランプ装置3Aの上記対象ケーブル2の端部寄り方向への変位が阻止できるようになることから、上記グリッピングクランプ装置3Aよりもケーブル端部より離反する側の対象ケーブル2の外周にフッキングクランプ装置4を配置した状態では、該フッキングクランプ装置4に対象ケーブル2のケーブル端部側へ引き込む力を加えても、該フッキングクランプ装置4のケーブル端部側への移動を、上記グリッピングクランプ装置3Aにより確実に阻止できるようになる。
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明のケーブルクランプ装置1におけるグリッピングクランプ装置3,3Aの摩擦力向上兼ケーブル保護部材5は、対象ケーブル2の外周面に流動状態又は柔軟な状態で塗布した後、硬化させることができ、且つ鋼製の対象ケーブルの表面を侵す虞のない樹脂であれば、エポキシ樹脂以外の樹脂を用いるようにしてもよい。又、上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材5は、対象ケーブル2の外周面に、該外周面の凹凸に入り込むように樹脂テープを巻きつけることで形成させるようにしてもよい。
対象ケーブル2の外周面に取り付けた摩擦力向上兼ケーブル保護部材5の外周面とフレーム部材6のケーブル挿通孔7のテーパー面10との間に形成される隙間に、差し込むくさび部材11の周方向の配置数は、対象ケーブル2の径寸法等に応じて適宜増減してもよい。
本発明のケーブルクランプ装置1におけるフッキングクランプ装置4は、対象ケーブル2に作用している張力と、上記対象ケーブル2の端部の張力を解放するために使用する引き込みジャッキ14の能力に応じて、引き込みジャッキ14を備えた引き込み機構28を接続するためのアイ13を3つ以上備えた構成としてもよい。
本発明のケーブルの端部張力解放方法を実施する際に、本発明のケーブルクランプ装置1におけるフッキングクランプ装置4のアイ13と、仮定着点との間に接続する引き込み機構28は、対象ケーブル2に作用している張力を担保可能な引き込みジャッキ14を備えていれば、図示した以外のいかなる形式の引き込み機構を採用してもよい。
又、対象ケーブル2の端部に損傷が生じている場合は、図5におけるステップ6(S6)以降を省略して、ケーブルクランプ装置1と引き込み機構を残置するようにしてもよい。
本発明のケーブルの端部張力解放方法は、端部に作用している張力を解放することが必要とされるケーブルであれば、吊橋のハンガーケーブル以外のいかなるケーブルに適用してもよい。
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
2 対象ケーブル(ケーブル)
3,3A グリッピングクランプ装置
4 フッキングクランプ装置
5 摩擦力向上兼ケーブル保護部材
6 フレーム部材
7 ケーブル挿通孔
8 一端側開口部
9 他端側開口部
10 テーパー面
11 くさび部材
14 引き込みジャッキ
26 ハンガープレート(定着点)
27 仮設ハンガープレート(仮定着点)
28 引き込み機構

Claims (5)

  1. ケーブルの端部寄りの所要個所に、該ケーブル端部寄り方向への変位を阻止できるようにしたグリッピングクランプ装置とフッキングクランプ装置とを備えるケーブルクランプ装置を取り付け、次いで、上記ケーブルの端部の定着点の近傍位置に設けた仮定着点と、上記フッキングクランプ装置との間に、引き込みジャッキを備えた引き込み機構を接続し、しかる後、上記引き込みジャッキの作動により上記仮定着点に反力を受けた状態で上記ケーブルに取り付けたフッキングクランプ装置を引き込むことで、該フッキングクランプ装置が係止される上記グリッピングクランプ装置取付位置よりも定着点寄りに位置するケーブルの端部の張力を解放させるようにすることを特徴とするケーブルの端部張力解放方法。
  2. ケーブルの端部寄りの所要個所の外周面に、該ケーブルの凹凸に入り込む樹脂製の摩擦力向上兼ケーブル保護部材を取り付け、更に、該摩擦力向上兼ケーブル保護部材を外周側より拘束してケーブル端部寄り方向への変位を阻止できるようにしたグリッピングクランプ装置を設け、且つ該グリッピングクランプ装置の取付位置よりもケーブル端部から離反する側のケーブル外周にフッキングクランプ装置を取り付けてなり、ケーブル端部の張力解放時にケーブルに取り付けて用いるようにした構成を有することを特徴とするケーブルクランプ装置。
  3. 摩擦力向上兼ケーブル保護部材を、ケーブルの外周面に塗り固めた樹脂からなる構成とした請求項2記載のケーブルクランプ装置。
  4. 摩擦力向上兼ケーブル保護部材の樹脂としてエポキシ樹脂を用いるようにした請求項3記載のケーブルクランプ装置。
  5. グリッピングクランプ装置を、一端側開口部から他端側開口部へ向けて徐々に縮径するテーパー面を備えたケーブル挿通孔を有するフレーム部材をケーブルにおける摩擦力向上兼ケーブル保護部材の取付個所の外周に上記一端側開口部がケーブル端部寄りとなる姿勢で配置し、更に、上記摩擦力向上兼ケーブル保護部材の外周面と、上記フレーム部材のケーブル挿通孔のテーパー面との隙間に、くさび部材を差し込んでなる構成とした請求項2、3又は4記載のケーブルクランプ装置。
JP2009072008A 2009-03-24 2009-03-24 ケーブルの端部張力解放方法及び該方法の実施に用いるケーブルクランプ装置 Active JP5039080B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009072008A JP5039080B2 (ja) 2009-03-24 2009-03-24 ケーブルの端部張力解放方法及び該方法の実施に用いるケーブルクランプ装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009072008A JP5039080B2 (ja) 2009-03-24 2009-03-24 ケーブルの端部張力解放方法及び該方法の実施に用いるケーブルクランプ装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010223352A JP2010223352A (ja) 2010-10-07
JP5039080B2 true JP5039080B2 (ja) 2012-10-03

Family

ID=43040758

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009072008A Active JP5039080B2 (ja) 2009-03-24 2009-03-24 ケーブルの端部張力解放方法及び該方法の実施に用いるケーブルクランプ装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5039080B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104404879A (zh) * 2014-11-10 2015-03-11 黄叶芳 连接吊架
KR200494644Y1 (ko) * 2019-11-21 2021-11-22 다올이앤씨 주식회사 강연선 클램핑용 더미 구조체
JP2022098027A (ja) * 2020-12-21 2022-07-01 キヤノン電子管デバイス株式会社 X線管
CN114934441A (zh) * 2022-05-23 2022-08-23 保利长大工程有限公司 一种抗滑移临时吊索索夹结构
CN115744697B (zh) * 2022-10-11 2024-03-29 中国长江电力股份有限公司 一种防止抓梁电缆拉断的保护系统及安装使用方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0436330Y2 (ja) * 1985-11-01 1992-08-27
JPH0874382A (ja) * 1994-09-01 1996-03-19 Times Eng:Kk Pc鋼材定着用楔
JP2000110353A (ja) * 1998-10-02 2000-04-18 Matsuo Engineering Kk ストランドの緊張装置及びストランドの緊張工法
JP3520029B2 (ja) * 2000-05-31 2004-04-19 株式会社大滝油圧 ケーブル引込み方法及びその引込み装置
JP2002242437A (ja) * 2001-02-15 2002-08-28 Vsl Japan Kk 緊張材の定着方法
JP3565348B2 (ja) * 2002-05-08 2004-09-15 住友電工スチールワイヤー株式会社 Pc鋼材の定着用ウェッジ
JP3679385B2 (ja) * 2002-07-03 2005-08-03 極東鋼弦コンクリート振興株式会社 ウェッジ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010223352A (ja) 2010-10-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5039080B2 (ja) ケーブルの端部張力解放方法及び該方法の実施に用いるケーブルクランプ装置
EP3146122B1 (en) Cap for anchor of post-tension anchorage system
AU2019286812B2 (en) System and method for destressing braces by incorporation of, or substitution by, improved filler material
KR102078706B1 (ko) 가공배전선로의 활선작업용 안정장치
US20100322717A1 (en) Pile Splice Assemblies, Pile Systems Involving Such Assemblies and Methods for Splicing Piles
US20180148983A1 (en) Apparatus and Method for Fastening of a Cable to a Tubular Body
CN103443518A (zh) 丢弃/回收方法及其装置
CN102507312A (zh) 一种脐带缆的拉伸夹具及其安装方法
JP7355644B2 (ja) Pc鋼材の緊張力調整方法
CN110409835B (zh) 一种后张法预应力波纹管内穿束器及其施工方法
JP5413037B2 (ja) 鉄骨の仮固定構造、鉄骨の仮固定方法
JP2019535969A (ja) エラストマー体および締め付けボルトを有する加圧シール
KR100897501B1 (ko) 거푸집 고정 장치
JP6433938B2 (ja) アンカーの強制除荷用治具と、強制除荷方法
CN202305323U (zh) 一种脐带缆的拉伸夹具
KR100443895B1 (ko) 인장케이블의 보수 및 교체를 위한 인장력 제거 장치
JP2892349B1 (ja) 手摺り取付装置
JPH11256827A (ja) アンカーの再緊張方法および再緊張用治具
EP2495207A1 (en) Main-rope fastening device for elevator
EP3696446B1 (en) Wedge clamp and steel wire
KR20130107009A (ko) 비계파이프 결합용 클램프
JP2009089562A (ja) 平行クレビス
EP4386244A1 (en) Clamp for holding a flexible slender structure
KR20150000802U (ko) 파이프 리프팅 장치
CN220117196U (zh) 一种大张拉锁定力时快速拆除的锚具

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110930

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120622

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120703

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120706

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150713

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5039080

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250