JPH0436330Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はアンボンド工法におけるPCストラン
ドの端部定着構造に関する。

（従来の技術） 近年アンボンド工法と称し、PC鋼材からなる
PCストランドを合成樹脂製のシース内に滑動自
在な状態で挿入したシース入りPCストランドを
コンクリート内に埋設し、その後該コンクリート
の定着端部に設けた支圧板よりコンクリート外に
導出させた前記PCストランドの端部を、支圧板
に支持させた雌コーン内に貫通させるとともに前
記PCストランドを包囲して前記雌コーン内に圧
入された楔状の複数割雄コーンにより把持させ、
かつPCストランドの緊張後においてはこの複数
割雄コーンの楔効果による圧着力によつて把持
し、PCストランドの端部の定着を行う工法が用
いられている。

このようなアンボンド工法に使用されるPCス
トランドは一般に防錆性や滑動性を付与するため
に外周にグリース等の充填剤が付着されているの
で表面がすべり易く、このため複数割雄コーンに
より強く把持することができず、従つて所望の緊
張力を与えることができないので、通常コンクリ
ートより導出させた端部においてはこの充填剤を
きれいに取り除いた状態で緊張が行われかつ端部
の定着がなされていた。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながらこのようなPCストランドの端部
定着構造ではPCストランドの端部で鋼材がむき
出しになつているので、錆びてしまうという問題
があり、また、このような構成にしてもいまだ複
数割雄コーンのPCストランドに対する把持力が
充分とはいえず、PCストランドの緊張後の収縮
力によりPCストランドがかなりずれて戻つてし
まい、緊張力の一部が緩和されてしまうので、緊
張時に最終的に必要な緊張力の約１割増の緊張力
を与えなければならないという問題があつた。

本考案はかかる従来の問題点に鑑み、PCスト
ランドが錆びることなく、また複数割雄コーンが
PCストランドを強く把持して、緊張後のPCスト
ランドのずれを極力少くすることができるPCス
トランドの端部定着構造の提供を目的とするもの
である。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するため本考案はPCストラン
ドの端部定着構造を、合成樹脂を被着して形成し
た樹脂被覆層をPC鋼材表面に有するPCストラン
ドが可撓性および滑性を有する合成樹脂材からな
るシース内に滑動自在に挿通されたシース入り
PCストランドをコンクリート内に埋設し、前記
樹脂被覆層を有するPCストランドの端部を該コ
ンクリートのPCストランド定着端部に設けた支
圧板より導出させて、該支圧板に支持させた雌コ
ーン内に貫通させるとともに、該PCストランド
の端部を被覆層の外側より包囲して前記雌コーン
内に圧入され、かつ根元部を前記ストランドの樹
脂被覆層に当接させつつその先端部を該樹脂被覆
層を貫通させてPC鋼材表層にくい込ませる先鋭
な突起が内面周方向に形成された楔状の複数割雄
コーンによつて定着した構成とした。

（作用） 上述のように構成されるストランドの端部定着
構造では、緊張後のPCストランドの収縮に伴う
複数割雄コーンの楔効果によるPCストランドへ
の圧着時に、複数割雄コーンの先鋭な突条がPC
ストランドの樹脂被覆層を貫通し、PC鋼材内に
くい込んで、PCストランドを強く把持するので、
PCストランドがずれにくくなるとともに複数割
雄コーンの前記突条間に圧入された樹脂被覆層
は、突条のくい込まれたPC鋼材の表層部がPCス
トランドの収縮に伴う突条からの反作用力により
めくれ上げられるのを防止するので、突条先端の
鋼材表層部での定着化即ち、PCストランドの端
部定着化が図れる。

（実施例） 次に本考案の実施の一例を図面を参照にして説
明する。

第１図はPCストランドの仮定着時を示す図面
である。

図中１はコンクリート２内に埋設されたシース
である。シース１は可撓性や滑性を有する合成樹
脂例えばポリ塩化ビニールからできている。

このシース１内にはPCストランド３が滑動自
在に挿通されている。

シース１およびシース内のPCストランド３は
あらかじめコンクリート２内に形成された貫通孔
２１内に挿通後、この貫通孔２１とは別に設けた
コンクリート注入孔２２より打設コンクリートを
注入することで埋設を行つたものである。

PCストランド３は芯部に鋼撚線３１を有し、
かつこの鋼撚線３１の外表面に、熱溶融させた合
成樹脂例えばポリエチレンをコーテイングするこ
とで設けた樹脂被覆層３２を有している。この
PCストランド３の端部３ａはコンクリート２の
PCスランド定着端部２ａに固定した支圧板４の
中央部よりコンクリート２の外に導出されてい
る。

このコンクリート外に導出されたPCストラン
ド３の端部３ａは支圧板４に支持させた雌コーン
５内に挿通され、かつ雌コーン５内にPCストラ
ンド３を包囲するようにして圧入された楔状の２
つ割雄コーン６により把持されている。

２つの割雄コーン６は内面にPCストランド３
の樹脂被覆層３２を貫通して鋼撚線３１の表層部
３１１に到達する先鋭な突条６１が円周方向配置
に、かつ両端部を除く部分に連続的に形成されて
いる。

この突条６１は第２図に示すようにPCストラ
ンド３の樹脂被覆層３２の厚さを調整すること
で、先端部６１１が鋼撚線３１にくい込まれた時
に根元部６１２が樹脂被覆層表面３２１に当接さ
れるようになつている。

２つの割雄コーン６はこの突条先端部６１１を
鋼撚線３１にくい込ませて、PCストランド３を
把持している。

このようなPCストランドの端部定着構造では
従来行われている方法によりPCストランド３を
緊張させて定着を行つた時に、第３図に示すよう
にPCストランド３自体の収縮力Ａによつて雄コ
ーン６の突条６１がくい込まれた鋼撚線３１の表
層部３１１は突条６１よりめくり上がる方向即ち
上方の力Ｂを受けるが、この力Ｂはすぐに突条６
１間に圧入された樹脂被覆層３２からの抗力Ｃに
よつて打ち消され平衡状態が保たれる。

このため鋼撚線３１の表層部３１１は容易にめ
くれることはなく従つて雄コーン６の突条６１が
表層部に固定されることとなり、PCストランド
が容易にずれることがない。

尚、上記実施例では複数割雄コーンとして２つ
の割型のものを使用したが、この他３つ割型や４
つ割型のものでもよい。

またPCストランドが複数本の場合には各PCス
トランドごとに上記実施例のごとくおこなつても
よく、またこの他複数割雄コーン挿入用の貫通孔
を複数有する雌コーンを使用し、この各貫通孔に
挿通した各PCストランドを各複数割雄コーンで
把持する構造のものでもよい。

（考案の効果） 本考案は上述の如く構成され、PC鋼材表面に
樹脂被覆層を有するPCストランド端部をコンク
リートより導出させて支圧板に支持させた雌コー
ン内に挿通させるとともに、このPCストランド
端部を前記樹脂被覆層の外側より包囲して雌コー
ン内に圧入され、かつ根元部をPCストランドの
樹脂被覆層に当接させつつその先端部を樹脂被覆
層を貫通させて鋼材表層にくい込ませる先鋭な突
起が、内面周方向に形成された楔状の複数割雄コ
ーンによつて定着させる構造としたので、緊張後
のPCストランドの収縮に伴う複数割雄コーンの
楔効果によるPCストランドへの圧着時に、複数
割雄コーンがその先鋭な突条をPCストランドの
PC鋼材内にくい込ませてPCストランドを強く把
持するのでPCストランドがずれにくくなるとと
もに、複数割雄コーンの前記突条間に圧入された
樹脂被覆層は、突条のくい込まれた鋼材表層部が
PCストランドの収縮に伴う突条からの反作用に
よりめくれ上がろうとするのを防止するので、ず
り力に対し抗力のあるPCストランドが更にずれ
にくいものとなつている。

またPCストランドの端部を樹脂被覆層をつけ
たまま、複数割雄コーンにより把持させて緊張定
着を行う構造としたので、この端部を含めてPC
ストランドが錆びないものとなつている。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す断面図、第２
図および第３図は２つ割雄コーンがPCストラン
ドを把持している状態を示すもので第２図は緊張
前の断面図、第３図は緊張後の断面図である。 １……シース、３……PCストランド、３１…
…鋼撚線、３２……樹脂被覆層、４……支圧板、
５……雌コーン、６……２つ割雄コーン、６１…
…突条。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 合成樹脂を被着して形成した樹脂被覆層をPC
   鋼材表面に有するPCストランドが、可撓性およ
   び滑性を有する合成樹脂材からなるシース内に滑
   動自在に挿通されたシース入りPCストランドを
   コンクリート内に埋設し、前記樹脂被覆層を有す
   るPCストランドの端部を該コンクリートのPCス
   トランド定着端部に設けた支圧板より導出させ
   て、該支圧板に支持させた雌コーン内に貫通させ
   るとともに、該PCストランドの端部を被覆層の
   外側より包囲して前記雌コーン内に圧入され、か
   つ根元部を前記ストランドの樹脂被覆層に当接さ
   せつつその先端部を該樹脂被覆層を貫通させて
   PC鋼材表層にくい込ませる先鋭な突起が内面周
   方向に形成された楔状の複数割雄コーンによつて
   定着してなるPCストランドの端部定着構造。