JP2847054B2 - グラウンドアンカー工法 - Google Patents

グラウンドアンカー工法

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JP2847054B2
JP2847054B2 JP7302622A JP30262295A JP2847054B2 JP 2847054 B2 JP2847054 B2 JP 2847054B2 JP 7302622 A JP7302622 A JP 7302622A JP 30262295 A JP30262295 A JP 30262295A JP 2847054 B2 JP2847054 B2 JP 2847054B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はグラウンドアンカー
工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、引張型のグラウンドアンカー工
法は、図8に示すように、アンカー孔20内のグラウト
21に緊張材22を差し込んで、該グラウト21が硬化
した後にアンカー孔20の開口部20aから導出された
緊張材22の後端部を所定の緊張力で緊張して定着した
ものである。このグラウンドアンカー工法は、緊張材2
2の自由長部23と定着長部24との境界付近の引張応
力が大きくなっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように引張応力が
大きくなっている部分のアンカー体には有害なひび割れ
が発生し、グラウトの緊張材に対する防錆効果を失わせ
るという欠点があった。
【0004】本発明は上記のような問題に鑑みてなされ
たものであり、その目的は、アンカー体に大きな応力が
局部的に発生するのを防いで全長にわたって平均化させ
るとともに、アンカー体に有害なひび割れが発生するの
を防止することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めの本発明の緊張材は、請求項1の発明が、グラウトが
充填された筒体内にPC鋼線を挿入して定着材を形成
し、該定着材をアンカー孔に差込み、該アンカー孔にグ
ラウトを充填し、該グラウトの硬化した後に、前記アン
カー孔の開口部から外部に導出された前記PC鋼線の後
端部を緊張定着したグラウンドアンカー工法において、
線材を隙間なく螺旋状に巻いて形成した筒体内に定着長
部の長さが異なるPC鋼線が複数本挿入され、その中の
少なくとも1本のPC鋼線の定着長部がUターン状に折
り曲げられ、該定着長部は被覆中層筒、被覆外層筒、こ
れら被覆中層筒と被覆外層筒間の滑材が剥離されて被覆
内層が露出して形成されたことを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の一例
を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明のグラ
ウンドアンカー工法の断面図、図2の(1)は図1のA
−A線断面図、(2)は同B−B線断面図、図3の
(1)はPC鋼線の正面図、(2)は(1)のC−C線
断面図、(3)は同D−D線断面図、図4及び図5は定
着材の断面図である。
【0007】本発明のグラウンドアンカー工法は、アン
カー孔1内のグラウト2の中に定着材3を差し込み、前
記グラウト2が硬化した後にアンカー孔1の開口部1a
から外部に導出された定着材3のPC鋼線4を所定の緊
張力で緊張して定着するものである。
【0008】前記定着材3は、鋼線5を隙間なく密接さ
せて螺旋状に巻き付けた筒体6にグラウト7が充填さ
れ、該グラウト7にUターン状に折り曲げられたPC鋼
線4aの先端部と、他の6本のPC鋼線4bの先端部と
が挿入されて形成され、これらのPC鋼線4a、4bが
スペーサ8で結束されている。
【0009】このPC鋼線4は、図3に示すように、芯
線9の周囲に複数の側線10をより合わせたPC鋼より
線11に、合成樹脂押出成形手段により合成樹脂製の被
覆中層筒12と被覆外層筒13とが設けられ、これら被
覆中層筒12と被覆外層筒13との間にグリス等の滑剤
14が介在され、前記芯線9と側線10の各外周には合
成樹脂粉末塗料を溶融密着させた被覆内層15が形成さ
れている。
【0010】また各PC鋼線4a、4bの先端部には被
覆中層筒12、被覆外層筒13、滑剤14が剥離されて
被覆内層15が露出した定着長部16が形成されてい
る。
【0011】この定着長部16は芯線9と側線10が被
覆内層15で完全防錆処理されているので錆が発生せ
ず、しかもグラウト7との付着力も裸のPC鋼より線以
上の強度を発揮する。
【0012】この定着長部16はUターン状のPC鋼線
4aが最も短く形成され、残りの6本のPC鋼線4bは
一対の単位でUターン状のPC鋼線4aよりも少しづつ
長く形成されている。図7の(1)はPC鋼線4の概念
図であり、Uターン状のPC鋼線4aを除く他のPC鋼
線4bは一対づつ存在する。
【0013】また同図の(2)は、PC鋼線4の筋張力
に対するアンカー体18の応力度分布図を示したもので
あり、最上部から順に付着部の長いPC鋼線4bを表わ
している。これらは、いずれも被覆部と付着部との境界
に最も大きな圧縮力(+)及び引張力(−)が作用する
とともに、Uターン状のPC鋼線4aにおいては先端部
に最も大きな圧縮力(+)が発生する。
【0014】このように定着長部16と自由長部17の
境界、すなわち被覆部と付着部との境界をアンカー体1
8に分散して配置すると、同図の(3)に示すように引
張応力をアンカー体18全長に分散させることができ
る。
【0015】また各PC鋼線4a、4bを所定の緊張力
で緊張すると、自由長部17における筒体6がポアソン
比分だけ外側に膨張するためアンカー体18との引き抜
き抵抗を大きくする。
【0016】また筒体6内のグラウト7は、エポキシ樹
脂、ビニルエステル樹脂、ポリエステル樹脂等の熱硬化
性の合成樹脂が混合された樹脂系のグラウトが使用さ
れ、これが筒体6で拘束されているため強度が大きくな
る。
【0017】図7は筒体6を合成樹脂で一体形成し、そ
の外面に螺旋状の凹溝19を設けたものであり、外面が
凹凸状に形成されている。このことによりアンカー体1
8との定着力が強くなって引き抜き抵抗が更に大きくな
る。
【0018】なお、本実施例の形態の一例においては、
PC鋼線4の1本をUターン状のPC鋼線4aとした
が、必要に応じて、例えばPC鋼線4の定着長部16の
長さが不足する場合は2本、3本又は全てをUターン状
にすることもできる。
【0019】
【発明の効果】グラウトが充填された筒体内に定着長部
の長さが異なるPC鋼線が複数本挿入され、その中の少
なくとも1本がUターン状に折り曲げられたことによ
り、引張応力をアンカー体全長に分散させることができ
るので、ひび割れを防ぐことができる。
【0020】筒体内に定着長部の長さが異なるPC鋼線
が複数本挿入され、その中の少なくとも1本がUターン
状に折り曲げられたことにより、Uターン状のPC鋼線
のUターン部において圧縮応力を発生させることができ
る。
【0021】PC鋼線は芯線の周囲に複数の側線をより
合わせたPC鋼より線であり、前記芯線及び側線の外周
に合成樹脂系の被覆内層を形成し、この被覆内層の外周
に被覆中層筒及び被覆外層筒とを形成し、これらの被覆
中層筒と被覆外層筒との間に滑剤が介在されたことによ
り、被覆中層筒は被覆内層に対して溶着しない剥離しや
すい材料とすることで、先端部分の剥離作業が容易とな
って定着長部が容易に形成できる。
【0022】PC鋼線は先端部分に被覆中層筒及び被覆
外層筒とが剥離された定着長部が形成され、該定着長部
が被覆内層で略完全防錆処理されているので、PC鋼よ
り線に錆が発生せずに品質の向上を図ることができると
共に、グラウトとの付着力も向上させることができる。
【0023】筒体は線材が螺旋状に巻かれて形成された
ことにより、アンカー孔のグラウトとの接着強度を大き
くすることができる。
【0024】
【0025】
【図面の簡単な説明】
【図1】グラウンドアンカー工法の断面図である。
【図2】(1)は図1のA−A線断面図、(2)は同B
−B線断面図である。
【図3】(1)はPC鋼線の正面図、(2)は(1)の
C−C線断面図、(3)は同D−D線断面図である。
【図4】定着材の断面図である。
【図5】定着材の断面図である。
【図6】Uターン状のPC鋼線と他のPC鋼線との正面
図である。
【図7】(1)はPC鋼線の概念図、(2)はPC鋼線
の筋張力に対するアンカー体の応力度分布図、(3)は
合成応力度図である。
【図8】他の定着材の断面図である。
【図9】従来のグラウンドアンカー工法の断面図であ
る。
【符号の説明】
1 アンカー孔 2、7 グラウト 3 定着材 4 PC鋼線 5 鋼線 6 筒体 8 スペーサ 9 芯線 10 側線 11 PC鋼より線 12 被覆中層筒 13 被覆外層筒 14 滑剤 15 被覆内層 16 定着長部 17 自由長部 18 アンカー体 19 凹溝

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グラウトが充填された筒体内にPC鋼線
    を挿入して定着材を形成し、該定着材をアンカー孔に差
    込み、該アンカー孔にグラウトを充填し、該グラウトの
    硬化した後に、前記アンカー孔の開口部から外部に導出
    された前記PC鋼線の後端部を緊張定着したグラウンド
    アンカー工法において、線材を隙間なく螺旋状に巻いて
    形成した筒体内に定着長部の長さが異なるPC鋼線が複
    数本挿入され、その中の少なくとも1本のPC鋼線の定
    着長部がUターン状に折り曲げられ、該定着長部は被覆
    中層筒、被覆外層筒、これら被覆中層筒と被覆外層筒間
    の滑材が剥離されて被覆内層が露出して形成されたこと
    を特徴とするグラウンドアンカー工法。
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