JP5035899B2 - 熱可塑性樹脂組成物およびその押出樹脂成形体 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびその押出樹脂成形体 Download PDF

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Description

本発明は、アルミ金属のような輝度感、質感などの金属感を有し、且つ押出成形において金属系顔料粒子の表面浮きが極めて少なく表面外観に優れた熱可塑性樹脂組成物およびその押出樹脂成形体に関する。
金属部材は、高級感があり自動車や建材、家電など多くの製品に用いられているが、軽量化や加工面などから樹脂化への要望が強くある。そこで、従来は樹脂成形体に塗装やメッキ加工などを施すことで対応されてきたが、塗装やメッキ加工などは経済性や環境面で問題があることから、樹脂に予めパール顔料などを配合し金属調とした熱可塑性樹脂を用いることが報告されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、この方法は金属光沢感を向上させることができるが、金属本来の輝度感や質感が満足するものではなく、更なる改良が望まれている。そこで、パール顔料以外に特定粒度のアルミニウム粉を配合した熱可塑性樹脂が報告されている(例えば、特許文献2参照。)。この方法のようにパール顔料とアルミニウム粉の併用において、特定アスペクト比のアルミニウム粉をパール顔料に対して特定比率で用いることで、射出成形のような高圧力化においては成形体表面に金属感および輝度感を与えることが可能となっている。一方で、大きい特定粒度のアルミニウム粉を用いた場合、押出成形においてアルミニウム粉が表面に浮き出す傾向にあり外観不良となることが指摘されている。そこで押出成形に用いることができる金属調および輝度感のある熱可塑性樹脂が望まれている。
特開2000−319522号公報 特許2524922号
本発明の課題は、アルミ金属のような輝度感、質感などの金属感があると共に押出成形において金属系顔料粒子の表面浮きが極めて少ない高級感がある熱可塑性樹脂組成物およびその押出樹脂成形体を得る事を目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂に特定の雲母を配合し、特定のアルミニウム顔料を雲母に対して特定範囲に配合することで、押出成形において表面の外観特性およびアルミ金属のような輝度感、質感などの金属感に優れることを突き止め、本発明を完成するにいたった。
即ち本発明は、(A)熱可塑性樹脂100質量部、(B)平均粒度5〜100μmであり、かつ金属酸化物被覆率が20〜50%である雲母0.5〜質量部および(C)平均粒度0.1〜50μmであるアルミニウム顔料、(D)重量平均分子量5万以下のポリオレフィン、重量平均分子量5万以下の酸化型ポリオレフィン、スチレン系樹脂がグラフトされたポリオレフィンから選ばれる1種以上のオレフィン系樹脂0.1〜5質量部からなり(B)雲母に対して(C)アルミニウム顔料が0.05〜質量%配合されることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を押出成形して得られることを特徴とする押出樹脂成形体である。
本発明は、アルミ金属のような輝度感、質感などの金属感があると共に押出成形において金属系顔料粒子の表面浮きが極めて少ない高級感がある樹脂組成物およびその押出成形体を提供する事が可能となった。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明で用いられる(A)熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、ASA樹脂、AES樹脂、アクリロニトリル−ブチルアクリレート−スチレン共重合体、ポリメチルメタクリレート、MS樹脂、MBS樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、およびポリウレタン等が挙げられる。これらのうちAS樹脂、ABS樹脂、ASA樹脂、AES樹脂、ポリカーボネート、およびポリメチルメタクリレート好ましく、更に耐候性が要求される用途では、ASA樹脂、AES樹脂、芳香族ビニル単量体、不飽和ニトリル単量体、および不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体からなる共重合体が含まれる共重合体、およびポリメチルメタクリレートが好ましい。これらには共重合可能な他の単量体を含むこともできる。
芳香族ビニル単量体には、特に制限はなく、例えばスチレンをはじめ、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレンおよびp−t−ブチルスチレンなどが挙げられ、これらのうちスチレンおよびα−メチルスチレンが好ましい。これらは1種または2種以上用いることができる。
不飽和ニトリル単量体には、特に制限はなく、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、およびエタクリロニトリルなどが挙げられ、これらのうちアクリロニトリルが好ましい。
不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体には、特に制限はなく、例えばメチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、メチルフェニルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート等のアルキルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレートが挙げられ、これらのうちメチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が好ましく、ブチルアクリレート、メチルメタクリレートが更に好ましい。
他の単量体としては、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミドなどのマレイミド系単量体等が挙げられる。
芳香族ビニル単量体からなる共重合体としては、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、ASA樹脂、AES樹脂、アクリロニトリル・ブチルアクリレート・スチレン共重合体、アクリロニトリル・N−フェニルマレイミド・スチレン共重合体、N−フェニルマレイミド・スチレン共重合体、アクリロニトリル・α−メチルスチレン共重合体、MS樹脂、およびMBS樹脂等が挙げられる。
芳香族ビニル単量体、不飽和ニトリル単量体、および不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体からなる共重合体の例としては、ASA樹脂、アクリロニトリル・シリコンアクリルゴム・スチレン共重合体、アクリロニトリル・ブチルアクリレート・スチレン共重合体、アクリロニトリル・メチルメタクリレート・スチレン共重合体、アクリロニトリル・ブチルアクリレート・α−メチルスチレン共重合体、およびアクリロニトリル・メチルメタクリレート・α−メチルスチレン共重合体が挙げられる。
これらのうちASA樹脂、アクリロニトリル・シリコンアクリルゴム・スチレン共重合体、およびアクリロニトリル・ブチルアクリレート・スチレン共重合体を含むことが好ましく、特にアクリロニトリル・ブチルアクリレート・スチレン共重合体が好ましい。これらは1種または2種以上用いることができる。
本発明で用いられる(B)雲母としては、特に制限はなく天然または合成のものを用いることができる。天然としては、白雲母、黒雲母、金雲母が挙げられ、これらのうち白雲母、金雲母が好ましい。
本発明で用いられる(B)雲母は、平均粒度5〜100μmであるが、輝度感、分散性の観点から5μm以上であり、押出表面性の観点から100μm以下である。好ましくは5〜80μmであり、更に好ましくは7〜60μmである。
本発明で用いられる(B)雲母は、金属被覆率20〜50%であるが、輝度感の観点から20%であり、質感の観点から50%以下である。好ましくは20〜45%であり、更に好ましくは25〜40%である。
被覆する金属酸化物としては、酸化チタン、酸化鉄、および酸化亜鉛等が挙げられ、これらのうち酸化チタンが好ましい。これらは1種または2種以上用いることができる。酸化チタンは、アナターゼ型、およびルチル型どちらも用いることができるが、ルチル型が好ましい。
本発明で用いられる(B)雲母は、(A)熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.5〜10質量部配合される。輝度感の観点から0.5質量部以上であり、押出表面外観の観点から10質量部以下である。好ましくは0.5〜7質量部であり、更に好ましくは1〜5重量部である。
本発明で用いられる(B)雲母の製造方法については、特に制限はなく、一般的な公知の製造方法(例えば、特開平10−279828号公報)が用いられる。
本発明で用いられる(C)アルミニウム顔料とは、純度の高いアルミニウムを主原料として製造したペースト状の顔料であり、鱗片状および粒状のものが挙げられる。これらの製造方法は特に制限はなく、一般的に公知の製造方法が用いられる。例えば、アルミニウム粉末または、箔をミネラルスピリットとステアリン酸またはオレイン酸を入れたボールミル等の中で粉砕・研磨して製造される。
本発明で用いられる(C)アルミニウム顔料は、平均粒度0.1〜50μmであるが、輝度感、分散性の観点から0.1μ以上であり、押出表面性の観点から50μm以下である。好ましくは0.1〜30μmであり、更に好ましくは0.1〜25μmである。
本発明で用いられる(C)アルミニウム顔料は、(B)雲母に対して0.05〜10質量%で配合される。輝度感の観点から0.05質量%以上であり、押出表面外観の観点から10質量%以下である。好ましくは0.05〜8質量%であり、更に好ましくは0.1〜5質量%である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、表面外観の点から、更に(D)重量平均分子量5万以下のポリオレフィン、重量平均分子量5万以下の酸化型ポリオレフィン、スチレン系樹脂がグラフトされたポリオレフィンから選ばれる1種以上のオレフィン系樹脂0.1〜5質量部含有することが好ましい。
本発明に用いられる(D)オレフィン系樹脂とは、エチレン、プロピレン、α−オレフィンなどの少なくとも1種以上から生成される組成物であり、該組成物を原料に誘導された組成物も含まれる。例えば、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリエチレン(高密度、低密度、直鎖状低密度)、酸化型ポリオレフィン、グラフト重合ポリオレフィンなどが挙げられる。好ましくは、酸化型ポリオレフィンワックス、スチレン系樹脂をグラフトしたポリオレフィンであり、更に好ましくは、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、アクリロニトリル−スチレン共重合体グラフトポリプロピレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体グラフトポリエチレン、スチレン重合体グラフトポリプロピレン、およびスチレン重合体グラフトポリエチレンである。これらは、押出成形性の観点から重量平均分子量5万以下であることが好ましい。下限に特に制限はないが、混合性の観点から0.5万以上が好ましい。
本発明の押出成形用熱可塑性樹脂組成物には、(B)雲母、および(C)アルミニウム顔料以外に染料および顔料より選ばれる1種類以上の着色剤を含むことができる。
染料とはアゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、硫化染料、トリフェニルメタン染料、ピラゾロン染料、スチルベン染料、ジフェニルメタン染料、キサンテン染料、アリザリン染料、アクリジン染料、キノンイミン染料(アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料)、チアゾール染料、メチン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料等のことである。
顔料とは、有機系顔料と無機系顔料のことであり、有機系顔料とは、天然有機顔料と合成有機顔料のことである。天然有機顔料とは、植物性顔料、動物性顔料および鉱物性顔料のことであり、合成有機顔料とは、染付レーキ顔料、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾ錯塩顔料、フタロシアニン顔料、縮合多還顔料および蛍光顔料等のことである。無機系顔料とは、天然無機顔料および合成無機顔料のことであり、天然無機顔料とは土系顔料、焼成土、鉱物性顔料等のことである。合成無機顔料とは、酸化物顔料、水酸化物顔料、硫化物顔料、珪酸塩顔料、燐酸塩顔料、炭酸塩顔料、金属粉顔料および炭素顔料等のことである。これらのうち染料、合成有機顔料および合成無機顔料を組み合わせることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて滑剤、紫外線吸収剤、耐光剤、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、発泡剤、繊維状および粒状無機充填剤、天然素材、およびその他熱可塑性樹脂組成物としては一般的に用いられるその他の配合剤、添加剤を配合することもできる。これらのうち、滑剤、紫外線吸収剤、耐光剤、および充填剤が配合することが好ましい。
滑剤としては、脂肪酸金属塩およびアミド基またはエステル基を有するものが挙げられる。これらは1種または2種以上を組み合せて使用することができる。脂肪酸金属塩とは、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛から選ばれる1種以上が含まれた金属と脂肪酸の塩である。好ましくは、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム(モノ、ジ、トリ)、ステアリン酸亜鉛、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム、ラウリン酸カルシウムであり、更に好ましくは、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛である。アミド基またはエステル基を有する滑剤とは、エチレンビスステアリルアミド、モンタン酸またはモンタン酸から誘導されるワックスから選ばれる1種以上である。
モンタン酸から誘導されるワックスとしては、モンタン酸エステルワックス、モンタン酸部分ケン化エステルワックス、モンタン酸リチウム、モンタン酸亜鉛、およびこれらから選ばれるワックスとモンタン酸との混合物を示す。これらは(B)雲母および(C)アルミニウム顔料の合計100質量部に対して、1〜200質量部配合されることが好ましい。更に50〜150質量部配合されることが好ましい。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、シアノアクリレート系、トリアジン系、オキザニリド系、ニッケル錯塩系、および無機紫外線吸収剤などその他熱可塑性樹脂に一般的に使用されるものが使用でき、これらのうちベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、シアノアクリレート系、トリアジン系が好ましく、さらにベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系が好ましい。これらは1種または2種以上を組み合わせて使用することができ、(A)熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.01〜5質量部配合されることが好ましい。
耐光剤としては、アミン系が好ましく、更にヒンダードアミンが好ましい。これらは1種又は2種類以上を組み合わせて使用することができ、(A)熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.01〜10質量部配合されることが好ましい。充填剤としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウムウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカ、ワラストナイト、タルク、炭酸カルシウム、カオリン、ガラスフレーク、ガラスビーズ、酸化チタンおよび酸化アルミニウムが好ましく、これらのうちガラス繊維、ワラストナイト、タルク、炭酸カルシウム、およびガラスビーズが好ましい。また、これらの充填材は、特に表面処理したものが好ましく用いられる。表面処理としては、カップリング剤やフィルム形成剤を用いて行うが、カップリング剤としてはエポキシ系カップリング剤、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤を挙げることができる。特に繊維状の充填剤を配合する場合は、繊維の平均繊維長、平均繊維径、アスペクト比については特に限定されないが、平均繊維長は機械特性および疲労特性から50μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがさらに好ましく、150μm以上であることが最も好ましい。また、平均繊維径は5μm以上であることが好ましく、さらにアスペクト比は10以上であることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、特に限定はないが、単軸もしくは2軸のベント付き押出機、プラストミル、ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダーなどの熱可塑性樹脂に一般的に用いられる各種混合装置を用いることができる。これらのうち2軸のベント付き押出機による製造が望ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、一般的な熱可塑性樹脂に用いられる各種成形方法で成形することができ、例えば、プレス成形、射出成形、ガスアシスト射出成形、溶着成形、押出成形、吹込成形、フィルム成形、中空成形、多層成形および発泡成形などが挙げられる。これらのうち押出成形、特に複層押出成形が好ましい。
本発明の押出成形体とは、押出成形により製造された成形体である。押出成形とは、一般的に公知の押出機等の装置を使用して成形する方法であり、製造方法は特に制限はないが、押出成形機、ダイ、サイジングダイ、冷却槽、引き取り機、および巻取り機または切断機からなる一連の装置を用いた成形方法である。この他にも押出成形で一般的に使用されるロール転写装置等を付与することができる。
本発明の押出樹脂成形体は、複層押出成形により製造されることが好ましい。複層押出成形とは、成形体が2種以上の樹脂からなる複層成形体を製造する方法であり、複数の押出機を用いて生産される成形方法である。複層押出成形方法としては、一般的に公知な複層押出成形を用いることができる。複層押出成形に用いられる樹脂は、特に制限はなく、本発明の熱可塑性樹脂組成物、または該熱可塑性樹脂組成物と溶融密着可能な他の熱可塑性樹脂を用いることができる。これらの組み合わせに特に制限はないが、例えば該熱可塑性樹脂組成物および硬質系熱可塑性樹脂の2種類からなる2層成形体、該熱可塑性樹脂組成物および硬質系熱可塑性樹脂の2種類、および軟質系熱可塑性樹脂の1種類からなる3層成形体が好ましい。少なくとも本発明の熱可塑性樹脂組成物は、押出樹脂成形体の表面に用いられることが好ましい。押出樹脂成形体の製品厚みは、特に制限はないが、本発明の熱可塑性樹脂組成物が0.2〜5mmが好ましく、0.5〜3mmがさらに好ましい。成形安定性の観点から0.2mm以上であり、5mm以下が好ましい。
押出成形に使用される押出成形機は、特に制限しないが、一般的な単軸もしくは2軸の押出機が使用でき、スクリュ直径(D)10m/mφ以上、スクリュネジ長さ/スクリュ直径(L/D)16以上であることが好ましい。また、スクリュデザインも特に制限はないが、一般的に使用されるスクリュデザインが使用でき、フルフライトタイプが好ましい。
押出成形には発泡剤を添加する発泡押出成形も含まれており、発泡剤の使用方法としては、スチレン系樹脂組成物に配合する方法、成形時に混合する方法などが挙げられるが、どちらの方法でも良い。成形時に混合する方法としては、発泡剤を混合する方法、熱可塑性樹脂に発泡剤を配合した発泡剤配合品を混合する方法が挙げられるが、どちらの方法でも良い。発泡剤を混合する際に、場合によって、添着剤として食物油、流動パラフィン、および脂肪酸などが使用できる。発泡剤の種類は、特に制限はないが、一般的に使用される発泡剤が使用でき、アゾ系化合物、ニトロソ系化合物、ヒドラジン系誘導体、および重炭酸塩系から選ばれる1種以上の組み合わせが好ましい。
押出成形の成形条件としては、押出成形機の性能や成形体断面形状、押出される熱可塑性樹脂により異なるが、一般的に熱可塑性樹脂を押出成形する条件範囲が使用できる。樹脂温度としては、300℃以下が好ましく、更に好ましくは樹脂温度250℃以下である。
押出樹脂成形体としては、断面形状および製品に特に制限がないが、異型形状からシート状、パイプ状、角状、およびチューブ状などが好ましく、製品としては、巾木、回り縁、戸当り、サッシ枠、外装サイディング、敷居、鴨居、浴室ドア枠、浴室出窓枠、浴室壁材、手すり、デッキ材、フェンス、木口材および額縁などの住宅部材や自動車のモールおよびエアロパーツなどが好ましい。
下記の実施例および比較例は、本発明をさらに具体的に説明するためのものであり、以下の例に限定されるものではない。なお、使用した熱可塑性樹脂組成物およびその配合剤は下記のとおりである。
1.実施例および比較例に用いた原材料
<(A)熱可塑性樹脂>
(A−1)アクリロニトリル40質量%、スチレン60質量%からなり、重量平均分子量が104,000であるAS樹脂
(A−2)アクリロニトリル20質量%、スチレン80質量%からなり、重量平均分子量が168,000であるAS樹脂
(A−3)アクリロニトリル27質量%、スチレン63質量%、ブチルアクリレート10重量%からなり、重量平均分子量110,000であるアクリロニトリル・ブチルアクリレート・スチレン共重合体
(A−4)ブタジエン系ゴム50質量%、ゴム質量平均粒子径0.3μm、アクリロニトリル15質量%、スチレン35質量%、グラフト率55%、還元粘度0.26のABS樹脂
(A−5)アクリル系ゴム50質量%、ゴム重量平均粒子径0.3μm、アクリロニトリル13.5質量%、スチレン36.5質量%、グラフト率50%、還元粘度0.72のASA樹脂
(A−6)三菱レイヨン株式会社製 メタブレンSX−006(商標名)(アクリロニトリル・シリコンアクリル複合ゴム・スチレン共重合体)
(A−7)旭化成ケミカルズ株式会社製 デルペット 80N(商標名)(メチルメタクリレート樹脂)
<(B)雲母>
(B−1)メルク株式会社製 イリオジン100(商標名)(平均粒度21μm、および酸化チタン被覆率29%の雲母)
(B−2)メルク株式会社製 イリオジン111(商標名)(平均粒度6μm、および酸化チタン被覆率43%の雲母)
(B−3)メルク株式会社製 イリオジン163(商標名)(平均粒度180μm、および酸化チタン被覆率14%の雲母)
<(C)アルミニウム顔料>
(C−1)山石金属株式会社製 YP−2000N(商標名)(平均粒度18μm)
(C−2)東洋アルミニウム株式会社製 アルペースト7430NS(商標名)(平均粒度21μm)
(C−3)東洋アルミニウム株式会社製 アルペースト54−452(商標名)(平均粒度34μm)
(C−4)東洋アルミニウム株式会社製 アルペースト1950M(商標名)(平均粒度52μm)
<(D)オレフィン系樹脂>
(D−1)三洋化成工業株式会社製 サンワックス161−P(商標名)(重量平均分子量3.3万)
(D−2)三洋化成工業株式会社製 サンワックスE−250P(商標名)(重量平均分子量1.0万、酸価20)
<その他>
(X−1)花王株式会社製 カオーワックスEB−FF(商標名)(エチレンビスステアリン酸アマイド)
(X−2)品川化工株式会社製 SAK−CS−PPT−1(商標名)(ステアリン酸カルシウム)
(X−3)石原産業株式会社製 タイペーク CR97(商標名)(二酸化チタン)
(X−4)三菱化学株式会社製 カーボン #960(商標名)(カーボンブラック)
ここで言うグラフト率とは、ゴム状重合体にグラフト共重合した成分の、ゴム状重合体に対する重量割合として定義される。重合反応により生成した重合体をアセトンに溶解し、遠心分離器によりアセトン可溶分と不溶分とに分離する。この時、アセトンに溶解する成分は重合反応した共重合体のうちグラフト反応しなかった成分(非グラフト成分)であり、アセトン不溶分はゴム状重合体、及びゴム状重合体にグラフト反応した成分(グラフト成分)である。アセトン不溶分の重量からゴム状重合体の重量を差し引いた値がグラフト成分の重量として定義されるので、これらの値からグラフト率を求めることが出来る。
還元粘度とは、熱可塑性樹脂をアセトンに溶解し、これを遠心分離機によりアセトン可溶分、及びアセトン不溶分に分離する。熱可塑性樹脂におけるゴム状重合体にグラフトしていない成分(非グラフト成分)の還元粘度は、アセトン可溶分0.25gを2−ブタノン50mlにて溶解した溶液を、30℃にてCannon−Fenske型毛細管中の流出時間を測定することにより得られる。
2.成形品の作成および評価方法
実施例、比較例中の評価、各種測定は以下の通りである。
表1、表2に示された配合割合で全ての成分をドライブレンドし、株式会社池貝製PCM45二軸押出機(L/D=28.9)を用いて250℃で溶融混練を行った。
なお、その他の成分については、(A)熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して(X−1)0.5質量部、(X−2)0.1質量部、(X−3)0.15質量部、(X−4)0.01質量部を全ての実施例、比較例に配合した。
<単層押出成形評価:実施例1〜、比較例1〜
フリージア・マクロス株式会社製NV型40m/mSGノンベント式押出機を使用し、ダイ形状が約2mm×30mm、シリンダ設定温度170〜200℃で押出成形評価を行った。
1)表面性:目視により2m長さの押出成形体表面に金属系顔料粒子の浮きがなく、平滑な表面である場合を◎、金属系顔料粒子の浮きが1個生じた場合を○、金属系顔料粒子の浮きが2個以上の場合を×とした。
2)金属感:目視によりアルミ金属のような輝度感、質感などの金属感があり、金属と見間違えられる場合を◎、金属と見間違えられないが金属感が見られる場合を○、金属感がない場合を×とした。
3)表面光沢:押出成形品表面の60°の光沢反射が90%以上の範囲である場合を◎、80%以上90%未満の範囲である場合を○、80%未満の範囲を×とした。
<2層押出成形評価:実施例、比較例
フリージア・マクロス株式会社製NV型40m/mSGノンベント式押出機(裏面用)および株式会社マース精機製P−25mm押出機(表面用)による2層押出成形において、ダイ形状4×30mm(表面1mm、裏面3mm)で押出成形評価を行った。なお、裏面側には、スタイラックABS220を用いシリンダ設定温度は表面用、裏面用共に170〜200℃で行った。
Figure 0005035899
Figure 0005035899
本発明の樹脂組成物は、アルミ金属のような輝度感、質感などの金属感があると共に押出成形において金属系顔料粒子の表面浮きが極めて少ない高級感があるため、住宅部品をはじめ自動車部品、および家電部品など幅広い押出部品において従来技術では展開が困難であった金属調を可能にすることができる。

Claims (4)

  1. (A)熱可塑性樹脂100質量部、(B)平均粒度5〜100μmであり、かつ金属酸化物被覆率が20〜50%である雲母0.5〜質量部および(C)平均粒度0.1〜50μmであるアルミニウム顔料、(D)重量平均分子量5万以下のポリオレフィン、重量平均分子量5万以下の酸化型ポリオレフィン、スチレン系樹脂がグラフトされたポリオレフィンから選ばれる1種以上のオレフィン系樹脂0.1〜5質量部からなり(B)雲母に対して(C)アルミニウム顔料が0.05〜質量%配合されることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を押出成形して得られることを特徴とする押出樹脂成形体。
  2. (A)熱可塑性樹脂が、少なくとも芳香族ビニル単量体からなる共重合体を含有することを特徴とする請求項1記載の押出樹脂成形体
  3. (A)熱可塑性樹脂が、少なくとも芳香族ビニル単量体、不飽和ニトリル単量体、および不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体からなる共重合体を含有することを特徴とする請求項1または2記載の押出樹脂成形体
  4. 押出成形が2種類以上の樹脂により成形される複層押出成形であることを特徴とする請求項記載の押出樹脂成形体。
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