JP5242093B2 - 熱可塑性樹脂組成物及び成形品 - Google Patents
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Description
本発明の目的は、耐薬品性、耐熱性及び耐衝撃性のバランスに優れ、ウェルド部が破断しにくい成形品を形成することができる熱可塑性樹脂組成物、並びに、この熱可塑性樹脂組成物からなる成形品を提供することにある。
1.〔A〕ゴム強化樹脂と、〔B〕エチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭素共重合体と、〔C〕ポリテトラフルオロエチレンと、〔D〕カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基及びシアノ基から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する変性オレフィン系樹脂とを含有する組成物であって、上記ゴム強化樹脂〔A〕が、ジエン系重合体又はアクリル系ゴムからなるゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体(b1)を重合して得られたゴム強化共重合樹脂(A1)、又は、該ゴム強化共重合樹脂(A1)、及び、芳香族ビニル化合物と、シアン化ビニル化合物及びマレイミド系化合物から選ばれた少なくとも1種とを含むビニル系単量体(b2)の共重合体(A2)の混合物、からなる樹脂であり、上記変性オレフィン系樹脂〔D〕は、エポキシ基を有するオレフィン系樹脂の存在下、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物からなる単量体を重合して得られたグラフト共重合体であり、上記エチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭素共重合体〔B〕及び上記ポリテトラフルオロエチレン〔C〕の含有量は、上記ゴム強化樹脂〔A〕100質量部に対し、それぞれ、0.5〜20質量部及び0.01〜5質量部であり、上記変性オレフィン系樹脂〔D〕の含有量が、上記ゴム強化樹脂〔A〕100質量部に対し、0.05〜15質量部であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
2.上記エポキシ基を有するオレフィン系樹脂は、エポキシ基を有する不飽和化合物からなる単位の含有量が、該樹脂を構成する単量体単位の全量に対して、3〜30質量%の樹脂である上記1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
3.上記ゴム強化樹脂〔A〕が、α−メチルスチレンからなる単位、及び/又は、マレイミド系化合物からなる単位を含む上記1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
4.上記α−メチルスチレンからなる単位、及び、上記マレイミド系化合物からなる単位の合計量は、上記ゴム強化樹脂〔A〕100質量%に対し、3〜60質量%である上記3に記載の熱可塑性樹脂組成物。
5.上記ゴム質重合体(a)の含有量が、上記ゴム強化樹脂〔A〕100質量%に対し、5〜40質量%である上記1乃至4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
6.上記ジエン系重合体の体積平均粒子径が100〜800nmである上記1乃至5のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
7.上記アクリル系ゴムの体積平均粒子径が、50〜150nmである上記1乃至5のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
8.曲げ歪み2%の応力下で、フタル酸ジオクチルを塗布した際に、クラックが発生するまでの時間が60分以上である上記1乃至7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
9.上記1乃至8のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を含むことを特徴とする成形品。
10.車両部品用である上記9に記載の成形品。
上記ゴム強化樹脂〔A〕が、α−メチルスチレンからなる単位、及び/又は、マレイミド系化合物からなる単位を含む場合には、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、特に耐薬品性及び耐熱性に優れる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物が、変性オレフィン系樹脂〔D〕を含有するので、ゴム強化樹脂〔A〕、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭素共重合体〔B〕、及び、ポリテトラフルオロエチレン〔C〕の混和性が向上し、多点ゲート方式を利用した射出成形法等により形成されたウェルド部が破断しにくい成形品を形成することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品は、耐薬品性、耐熱性及び耐衝撃性のバランスに優れ、多点ゲート方式を利用した射出成形法等により形成されたウェルド部において、十分な機械的強度を有する。従って、本発明の成形品は、車両部品、特に内装用車両部品に好適である。
尚、本発明において、「(共)重合」とは、単独重合及び共重合を意味し、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを意味する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ゴム強化樹脂〔A〕(以下、「成分〔A〕」ともいう。)と、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭素共重合体〔B〕(以下、「成分〔B〕」ともいう。)と、ポリテトラフルオロエチレン〔C〕(以下、「成分〔C〕」ともいう。)と、エポキシ基を有する変性オレフィン系樹脂〔D〕とを含有する組成物であって、上記ゴム強化樹脂〔A〕が、ジエン系重合体又はアクリル系ゴムからなるゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体(b1)を重合して得られたゴム強化共重合樹脂(A1)、又は、該ゴム強化共重合樹脂(A1)、及び、芳香族ビニル化合物と、シアン化ビニル化合物及びマレイミド系化合物から選ばれた少なくとも1種とを含むビニル系単量体(b2)の共重合体(A2)の混合物、からなる樹脂であり、上記変性オレフィン系樹脂〔D〕は、エポキシ基を有するオレフィン系樹脂の存在下、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物からなる単量体を重合して得られたグラフト共重合体であり、上記エチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭素共重合体〔B〕及び上記ポリテトラフルオロエチレン〔C〕の含有量が、上記ゴム強化樹脂〔A〕100質量部に対し、それぞれ、0.5〜20質量部及び0.01〜5質量部であり、上記変性オレフィン系樹脂〔D〕の含有量が、上記ゴム強化樹脂〔A〕100質量部に対し、0.05〜15質量部であることを特徴とする。
この成分〔A〕は、ジエン系重合体又はアクリル系ゴムからなるゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体(b1)を重合して得られたゴム強化共重合樹脂(A1)、又は、このゴム強化共重合樹脂(A1)と、芳香族ビニル化合物と、シアン化ビニル化合物及びマレイミド系化合物から選ばれた少なくとも1種とを含むビニル系単量体(b2)の共重合体(A2)とよりなる混合物、からなるものである。
このアクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル等が挙げられる。これらの化合物のうち、アクリル酸n−ブチル及びアクリル酸2−エチルヘキシルが好ましい。また、これらのアクリル酸アルキルエステルは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
[i]ゴム質重合体(a)が1種のみのゴム質重合体であり、該ゴム質重合体の体積平均粒子径が30〜2,000nmである態様。このゴム質重合体(a)は、ジエン系ゴム質重合体(a1)及びアクリル系ゴムのいずれでもよい。
[ii]ゴム質重合体(a)がジエン系ゴム質重合体(a1)であり、該ジエン系ゴム質重合体(a1)の体積平均粒子径が100〜800nmである態様。
[iii]ゴム質重合体(a)がアクリル系ゴムであり、アクリル系ゴムの体積平均粒子径が50〜150nmである態様。
[iv]ゴム質重合体(a)が、体積平均粒子径が100〜800nm、好ましくは150〜600nmであるゴム質重合体(a’)と、体積平均粒子径が50〜150nm、好ましくは70〜120nm、より好ましくは80〜110nmであるゴム質重合体(a")とからなり、該ゴム質重合体(a’)及び該ゴム質重合体(a")の含有割合は、両者の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、好ましくは10〜70質量%及び30〜90質量%、より好ましくは20〜60質量%及び40〜80質量%、更に好ましくは25〜55質量%及び45〜75質量%である態様。ゴム質重合体(a’)としては、ジエン系ゴム質重合体(a1)が好ましい。また、ゴム質重合体(a")としては、アクリル系ゴム質重合体が好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、メタクリル酸メチルが好ましい。
上記酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
(1)芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物。
(2)芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及びマレイミド系化合物。
上記態様(1)において、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の使用割合は、これらの合計量を100質量%とした場合、それぞれ、好ましくは50〜97質量%及び3〜50質量%であり、より好ましくは55〜95質量%及び5〜45質量%である。
また、上記態様(2)において、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及びマレイミド系化合物の使用割合は、これらの合計量を100質量%とした場合、それぞれ、好ましくは50〜96質量%、3〜49質量%及び1〜50質量%であり、より好ましくは50〜90質量%、5〜45質量%及び5〜45質量%である。
上記態様(1)及び(2)において、上記芳香族ビニル化合物として、α−メチルスチレンを用いる場合、上記芳香族ビニル化合物中のα−メチルスチレンの含有量は、好ましくは10〜100質量%、より好ましくは20〜90質量%である。
尚、上記態様(1)及び(2)において、更に他の単量体を併用してもよい。また、これらは、単独であるいは組み合わせて用いることができる。
上記ゴム強化共重合樹脂(A1)は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
(3)芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を重合して得られた共重合体の1種以上。
(4)芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物を重合して得られた共重合体の1種以上。
(5)芳香族ビニル化合物及びマレイミド系化合物を重合して得られた共重合体の1種以上。
(6)芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及びマレイミド系化合物を重合して得られた共重合体の1種以上。
これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記態様(3)〜(6)において、上記芳香族ビニル化合物として、α−メチルスチレンを用いる場合、上記芳香族ビニル化合物中のα−メチルスチレンの含有量は、好ましくは10〜100質量%、より好ましくは20〜90質量%である。
尚、各単量体は、上記ゴム強化共重合樹脂(A1)の形成に用いられる化合物を適用でき、好ましい化合物も同様である。また、上記共重合体(A2)は共重合体であるが、各単量体の使用割合は、特に限定されない。
従って、上記成分〔A〕が、ゴム強化共重合樹脂(A1)のみからなる場合、上記ビニル系単量体(b1)は、α−メチルスチレン及びマレイミド系化合物の少なくとも一方を含むことが好ましい。
また、上記成分〔A〕が、ゴム強化共重合樹脂(A1)と、共重合体(A2)とからなる場合、上記のビニル系単量体(b1)及び(b2)の少なくとも一方に、α−メチルスチレン及びマレイミド系化合物の少なくとも一方を含むことが好ましい。
ここで、グラフト率とは、上記ゴム強化共重合樹脂(A1)1グラム中のゴム成分をxグラム、上記ゴム強化共重合樹脂(A1)1グラムをアセトン(但し、ゴム質重合体(a)がアクリル系ゴムである場合には、アセトニトリルを使用。)に溶解させた際の不溶分をyグラムとしたときに、次式により求められる値である。
グラフト率(質量%)={(y−x)/x}×100
尚、上記のグラフト率及び極限粘度[η]は、上記ゴム強化共重合樹脂(A1)を製造するときに用いられる、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤等の種類や量、更には重合時間、重合温度等を変えることにより、容易に制御することができる。
上記ゴム強化共重合樹脂(A1’)のグラフト率は、好ましくは10〜200質量%、更に好ましくは20〜150質量%、特に好ましくは30〜100質量%である。また、アセトン可溶成分の極限粘度は、好ましくは0.1〜1.0dl/g、更に好ましくは0.2〜0.9dl/g、特に好ましくは0.3〜0.8dl/gである。
一方、上記ゴム強化共重合樹脂(A1")のグラフト率は、好ましくは20〜150質量%、更に好ましくは30〜120質量%、特に好ましくは40〜100質量%である。また、アセトン可溶成分の極限粘度は、好ましくは0.1〜1.0dl/g、更に好ましくは0.2〜0.9dl/g、特に好ましくは0.3〜0.8dl/gである。
尚、上記ゴム強化共重合樹脂(A1)は、ゴム質重合体(a’)及び(a")の併存下に、ビニル系単量体(b1)を重合して得られた樹脂であってもよい。
上記ゴム強化共重合樹脂(A1)は、ゴム質重合体(a)の存在下に、ビニル系単量体(b1)を、好ましくは乳化重合、溶液重合、塊状重合することにより、製造することができる。
尚、ゴム強化共重合樹脂(A1)の製造の際には、ゴム質重合体(a)及びビニル系単量体(b1)は、反応系において、ゴム質重合体(a)全量の存在下に、ビニル系単量体(b1)を一括添加してもよいし、分割又は連続添加してもよい。また、これらを組み合わせた方法でもよい。更に、ゴム質重合体(a)の全量又は一部を、重合途中で添加して重合してもよい。
ゴム強化共重合樹脂(A1)を100質量部製造する場合、ゴム質重合体(a)の使用量は、好ましくは5〜80質量部、より好ましくは10〜70質量部、更に好ましくは15〜60質量部である。また、ビニル系単量体(b1)の使用量は、好ましくは20〜95質量部、より好ましくは30〜90質量部、更に好ましくは40〜85質量部である。
尚、複数のゴム強化共重合樹脂(A1)を併用する場合には、各樹脂を製造した後、混合してもよいが、他の方法として、各樹脂を各々含むラテックスを混合し、その後、凝固する等により、混合されたゴム強化共重合樹脂(A1)とすることができる。
溶液重合及び塊状重合によるゴム強化共重合樹脂(A1)の製造方法は、公知の方法を適用することができる。
この成分〔B〕は、エチレン単位(以下、「単位(t1)」という。)と、(メタ)アクリル酸エステルからなる単位(以下、「単位(t2)」という。)と、一酸化炭素からなる単位(以下、「単位(t3)」という。)とを含む共重合体である。
上記単位(t1)の含有量は、上記成分〔B〕100質量%に対し、好ましくは10〜87質量%、より好ましくは40〜80質量%である。また、上記単位(t2)の含有量は、上記成分〔B〕100質量%に対し、好ましくは10〜57質量%、より好ましくは15〜40質量%である。更に、上記単位(t3)の含有量は、上記成分〔B〕100質量%に対し、好ましくは3〜40質量%、より好ましくは5〜20質量%である。
尚、上記単位(t2)を形成する(メタ)アクリル酸エステルとしては、炭素数1〜4の化合物が好ましく、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、メタクリル酸メチル及びアクリル酸n−ブチルが特に好ましい。
上記成分〔B〕は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記成分〔B〕としては、市販品を用いることができ、例えば、「エルバロイ HP4051」、「エルバロイ HP443」(以上、三井・デュポンケミカル社製)等を用いることができる。
この成分〔C〕は、テトラフルオロエチレンからなる単位を含む重合体であり、単独重合体であってよいし、共重合体であってもよい。共重合体の場合は、テトラフルオロエチレンと、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン等とを重合(乳化重合、懸濁重合等)させてなるものを用いることができる。上記成分〔C〕としては、テトラフルオロエチレン単独重合体が好ましい。
上記成分〔C〕の重量平均分子量は、通常、500,000以上、好ましくは1,000,000以上である。
本発明において、上記成分〔C〕を用いることにより、耐薬品性が一層向上する。その結果、耐熱性を低下させる成分〔B〕の使用量を相対的に抑えることができ、耐熱性の優れた樹脂組成物が得られる。
この変性オレフィン系樹脂〔D〕は、エポキシ基を有するオレフィン系樹脂の存在下、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物からなる単量体を重合して得られたグラフト共重合体であり、エチレン、プロピレン等のオレフィンからなる単位を60質量%以上含み、エポキシ基を有するものが好ましい。
上記変性オレフィン系樹脂〔D〕の重量平均分子量は、特に限定されないが、通常、5,000〜300,000である。
上記エポキシ基を有するオレフィン系樹脂としては、エチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体等のオレフィン・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体;エチレン・(メタ)アクリル酸メチル・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エチル・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体等のオレフィン・(メタ)アクリル酸アルキル・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体;エチレン・酢酸ビニル・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体等のオレフィン・酢酸ビニル・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体等が挙げられる。
また、上記重合性不飽和単量体としては、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物であってよいし、更に、(メタ)アクリル酸エステル化合物等を併用してもよい。芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の好ましい使用量は、両者の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、60〜80質量%及び20〜40質量%である。この割合で用いると、耐衝撃性に優れる。
他の製造方法としては、分子中に−O−O−結合を有するアクリロニトリル・スチレン共重合体を、エポキシ基を有するオレフィン系樹脂に付加する方法が挙げられる。この方法は、過酸化結合を有するラジカル重合性不飽和化合物と芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物との共重合体を、エポキシ基を有するオレフィン系樹脂とともに、押出機(混練機)又は溶液中でラジカル付加反応させてグラフトするものである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、目的、用途等に応じて、添加剤を含有したものとすることができる。
上記添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候剤、老化防止剤、充填剤、帯電防止剤、難燃剤、防曇剤、滑剤、抗菌剤、防かび剤、粘着付与剤、可塑剤、着色剤等が挙げられる。
ヒンダードフェノール類としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、tert−ブチルヒドロキシアニソール、3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−N−オクタデシルプロピオネート、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス−〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート等が挙げられる。
リン系化合物としては、ペンタエリスリトールジホスファイト、アルキルジアリールホスファイト等が挙げられる。
上記酸化防止剤の含有量は、上記の成分〔A〕、〔B〕及び〔C〕の合計100質量部に対して、通常、0.01〜5質量部である。
上記紫外線吸収剤の含有量は、上記の成分〔A〕、〔B〕及び〔C〕の合計100質量部に対して、通常、0.01〜5質量部である。
上記耐候剤の含有量は、上記の成分〔A〕、〔B〕及び〔C〕の合計100質量部に対して、通常、0.01〜5質量部である。
上記老化防止剤の含有量は、上記の成分〔A〕、〔B〕及び〔C〕の合計100質量部に対して、通常、0.01〜5質量部である。
上記充填剤の含有量は、上記の成分〔A〕、〔B〕及び〔C〕の合計100質量部に対して、通常、1〜50質量部である。
低分子型帯電防止剤としては、アニオン系帯電防止剤;カチオン系帯電防止剤;非イオン系帯電防止剤;両性系帯電防止剤;錯化合物;アルコキシシラン、アルコキシチタン、アルコキシジルコニウム等の金属アルコキシド及びその誘導体等が挙げられる。
また、高分子型帯電防止剤としては、分子内にスルホン酸塩を有するビニル共重合体、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ベタイン等が挙げられる。更に、ポリエーテル、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等を用いることもできる。
上記帯電防止剤の含有量は、上記の成分〔A〕、〔B〕及び〔C〕の合計100質量部に対して、通常、0.1〜20質量部である。
有機系難燃剤としては、臭素化エポキシ系化合物、臭素化アルキルトリアジン化合物、臭素化ビスフェノール系エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、臭素化ビスフェノール系ポリカーボネート樹脂、臭素化ポリスチレン樹脂、臭素化架橋ポリスチレン樹脂、臭素化ビスフェノールシアヌレート樹脂、臭素化ポリフェニレンエーテル、デカブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールA及びそのオリゴマー等のハロゲン系難燃剤;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トキヘキシルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、メチルジブチルホスフェート、エチルジプロピルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート等のリン酸エステルやこれらを各種置換基で変性した化合物、各種の縮合型のリン酸エステル化合物、リン元素及び窒素元素を含むホスファゼン誘導体等のリン系難燃剤等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
反応系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、ジブロモフェノールグリシジルエーテル、臭素化芳香族トリアジン、トリブロモフェノール、テトラブロモフタレート、テトラクロロ無水フタル酸、ジブロモネオペンチルグリコール、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリレート)、クロレンド酸(ヘット酸)、無水クロレンド酸(無水ヘット酸)、臭素化フェノールグリシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、本発明の組成物に難燃剤を含有させる場合には、難燃助剤を用いることが好ましい。この難燃助剤としては、三酸化二アンチモン、四酸化二アンチモン、五酸化二アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、酒石酸アンチモン等のアンチモン化合物や、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、水和アルミナ、酸化ジルコニウム、ポリリン酸アンモニウム、酸化スズ、酸化鉄等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の樹脂組成物を、難燃系で用いる場合、耐熱性が低下するので、非難燃系で用いることが好ましい。
金属石鹸としては、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛、ベヘン酸マグネシウム等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、炭素数が21以上の化合物、例えば、ベヘン酸、モンタン酸等が挙げられる。
脂肪酸エステルとしては、モンタン酸とエチレングリコールとのジエステル等が挙げられる。
脂肪酸アミドとしては、ラウリン酸アマイド、パルミチン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、ベヘン酸アマイド、ヒドロキシステアリン酸アマイド等の飽和脂肪酸モノアマイド;オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、リシノール酸アマイド等の不飽和脂肪酸モノアマイド;N−ステアリルステアリン酸アマイド、N−オレイルオレイン酸アマイド、N−ステアリルオレイン酸アマイド、N−オレイルステアリン酸アマイド、N−ステアリルエルカ酸アマイド、N−オレイルパルミチン酸アマイド、メチロールステアリン酸アマイド、メチロールベヘン酸アマイド等の置換アマイド等が挙げられる。
また、アルキレンビス脂肪酸アミドとしては、メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスカプリン酸アマイド、エチレンビスラウリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスイソステアリン酸アマイド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、エチレンビスベヘン酸アマイド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アマイド、N,N’−ジステアリルセバシン酸アマイド等が挙げられる。
上記滑剤の含有量は、上記の成分〔A〕、〔B〕及び〔C〕の合計100質量部に対して、通常、0.01〜10質量部である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、プレス成形、押出成形、共押出成形、シート押出成形、異形押出成形、発泡成形、真空成形、圧縮成形、キャスト成形、ロール成形等の公知の成形法により、所定形状の成形品とすることができる。即ち、本発明の成形品は、上記熱可塑性樹脂組成物を含む。
本発明の成形品は、塗装、メッキ、スパッタリング、溶着等の二次加工を施して使用することができる。
下記の実施例及び比較例における、各評価項目の測定方法を以下に示す。尚、評価用試験片の作製方法は、下記の通りである。
原料成分を、40mmφ一軸スクリュータイプ押出機に供給して、シリンダー温度240℃の条件で押出し、ペレット(熱可塑性樹脂組成物)とした後、このペレットを、3.5オンスのスクリュータイプ射出成形機に供給して、シリンダー温度230℃の条件で、所定形状の試験片を作製した。
ISO 1133に準じて、メルトマスフローレート(MFR、温度;240℃、荷重;98N)を測定した。
(2)耐衝撃性
ISO 179に準じて、シャルピー衝撃強度を測定した。
(3)曲げ弾性率
ISO 178に準じて、測定した。
(4)ビカット軟化点温度
ASTM D1525に準じて、荷重9.8Nで測定した。
シリンダー温度240℃及び金型温度50℃で、ゲート厚さ0.2mmファンゲートの平板状成形品(50mm×80mm×2.4mm)を得た後、手でゲートの折り曲げを行い、下記判定を行った。
○;層状に剥離を生じなかった
×;層状に剥離を生じた
(6)耐薬品性
平板状成形品(12.7mm×127mm×1.6mm)を、2%歪みジグに固定し、フタル酸ジオクチルを塗布した後、23℃で放置した。その後、成形品の表面を目視で観察し、クラックが発生するまでの時間を計測した。尚、表1〜表7において、360分までクラックが観察されなかったものについて、「>360」とした。
(7)ウェルド部の機械的強度
両端2点ゲートにより、シリンダー温度240℃、金型温度50℃、射出圧100MPa及び射出速度50mm/秒の条件で、中央にウェルド部を有する平板状成形品(12.7mm×127mm×1.6mm)を試験片とし、支点間距離50mm、速度30mm/秒で曲げ試験を行い、破断点変位を測定した。
熱可塑性樹脂組成物の調製に用いた原料成分を以下に示す。
2−1.成分〔A〕
(1)ゴム強化共重合樹脂(A1−1)
体積平均粒子径280nmのポリブタジエンゴムの存在下に、スチレン、α−メチルスチレン及びアクリロニトリルを乳化重合して得られた共重合樹脂であり、ポリブタジエン/スチレン/α−メチルスチレン/アクリロニトリル=17/23/37/23(%)であり、グラフト率が40%であり、アセトン可溶分の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃)が0.45dl/gである。
(2)ゴム強化共重合樹脂(A1−2)
体積平均粒子径280nmのポリブタジエンゴムの存在下に、スチレン及びアクリロニトリルを乳化重合して得られた共重合樹脂であり、ポリブタジエン/スチレン/アクリロニトリル=60/30/10(%)であり、グラフト率が40%であり、アセトン可溶分の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃)が0.35dl/gである。
(3)ゴム強化共重合樹脂(A1−3)
体積平均粒子径100nmのアクリル系ゴム(アクリル酸n−ブチル99部及びメタクリル酸アリル1部の乳化重合品)の存在下に、スチレン及びアクリロニトリルを乳化重合して得られた共重合樹脂であり、アクリル系ゴム/スチレン/アクリロニトリル=50/37/13(%)であり、グラフト率が60%であり、アセトニトリル可溶分の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃)が0.46dl/gである。
(4)ゴム強化共重合樹脂(A1−4)
トルエン溶媒中、エチレン・プロピレン系ゴム(商品名「EP84」、JSR社製)の存在下に、スチレン及びアクリロニトリルを溶液重合して得られた共重合樹脂であり、エチレン・プロピレン系ゴム/スチレン/アクリロニトリル=30/46/24(%)であり、グラフト率が55%であり、アセトン可溶分の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃)が0.5dl/gである。
(5)ゴム強化共重合樹脂(A1−5)
体積平均粒子径280nmのポリブタジエンゴムの存在下に、スチレン、α−メチルスチレン及びアクリロニトリルを乳化重合して得られた共重合樹脂であり、ポリブタジエン/スチレン/α−メチルスチレン/アクリロニトリル=44/34/8/14(%)であり、グラフト率が60%であり、アセトン可溶分の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃)が0.3dl/gである。
スチレン/アクリロニトリル=74/26(%)であり、極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃)が0.3dl/gである。
(7)アクリロニトリル・α−メチルスチレン共重合体(A2−2)
α−メチルスチレン/アクリロニトリル=72/28(%)であり、極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃)が0.5dl/gである。
(8)アクリロニトリル・スチレン・α−メチルスチレン共重合体(A2−3)
スチレン/α−メチルスチレン/アクリロニトリル=4/70/26(%)であり、極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃)が0.4dl/gである。
(9)スチレン・N−フェニルマレイミド共重合体(A2−4)
スチレン/N−フェニルマレイミド=56/44(%)であり、極限粘度(ジメチルホルムアミド中、30℃)が0.51dl/gである。
(10)アクリロニトリル・スチレン・N−フェニルマレイミド共重合体(A2−5)
スチレン/アクリロニトリル/N−フェニルマレイミド=35/25/40(%)であり、極限粘度(ジメチルホルムアミド中、30℃)が0.59dl/gである。
エチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭素共重合体(商品名「エルバロイ HP−4051」、三井・デュポンポリケミカル社製)を用いた。JIS K7210に準ずるMFR(温度;200℃、荷重;19.6N)は、12g/10分である。
ポリテトラフルオロエチレン(商品名「ブレンデックス449」、GEスペシャリティケミカルズ社製)を用いた。
(D−1)
エチレン・グリシジルメタクリレート共重合体(エチレン/グリシジルメタクリレート=85/15)70部に、アクリロニトリル・スチレン共重合体30部をグラフトしたグラフト共重合体(商品名「モディパー A4400」、日本油脂社製)を用いた。
(D−2)
エチレン重合体70部に、アクリロニトリル・スチレン共重合体30部をグラフトしたグラフト共重合体(商品名「モディパー A1400」、日本油脂社製)を用いた。
(D−3)
グリシジルメタクリレート変性量が12%であるグリシジルメタクリレート変性ポリエチレン(商品名「ボンドファストE」、住友化学社製)を用いた。
(D−4)
酸価が30である無水カルボン酸変性ポリエチレン(商品名「ユーメックス2000」、三洋化成工業社製)を用いた。
(1)3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−N−オクタデシルプロピオネート(P−1)
アデカ社製「アデカスタブ AO−50」(商品名)を用いた。
(2)ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(P−2)
アデカ社製「アデカスタブ PEP−36」(商品名)を用いた。
エチレンビスステアリン酸アマイド(商品名「カオーワックス EB−P」、花王社製)を用いた。
比較例1〜4及び9〜22
上記成分〔A〕〜〔C〕、酸化防止剤及び滑剤を用いて、ペレット(熱可塑性樹脂組成物)を作製し、各種評価を行った。その結果を表1〜表4に併記した。
比較例1は、成分〔B〕を含有しない例であり、クラック発生までの時間が40分と短く、耐薬品性に劣ることが分かる。比較例2は、成分〔B〕の含有量が、本発明の範囲外の、多い例であり、層状剥離が観察された。また、比較例3は、成分〔C〕を含有しない例であり、クラック発生までの時間が50分と短く、耐薬品性に劣ることが分かる。比較例4は、成分〔C〕の含有量が、本発明の範囲外の、多い例であり、成形外観性に劣る。また、押出機によるペレット化が困難であり、生産性に問題がある。尚、比較例4のクラック発生時間は、成形品表面の荒れによりクラック判定を行うことができなかった。
上記成分〔A〕〜〔C〕、変性オレフィン系樹脂〔D〕、酸化防止剤及び滑剤を用いて、ペレット(熱可塑性樹脂組成物)を作製し、各種評価を行った。その結果を表5〜表7に併記した。
比較例5は、成分〔B〕を含有しない例であり、クラック発生までの時間が60分と短く、耐薬品性に劣ることが分かる。比較例6は、成分〔B〕の含有量が、本発明の範囲外の、多い例であり、層状剥離が観察された。また、比較例7は、成分〔C〕を含有しない例であり、クラック発生までの時間が90分と短く、耐薬品性に劣ることが分かる。比較例8は、成分〔C〕の含有量が、本発明の範囲外の、多い例であり、層状剥離が観察され、成形外観性に劣る。また、押出機によるペレット化が困難であり、生産性に問題がある。尚、比較例8のクラック発生時間は、成形品表面の荒れにより、クラック判定を行うことができなかった。
一方、実施例1〜7は、いずれも層状剥離が見られず、成形外観性が良好であり、クラック発生までの時間が360分を超えており、シャルピー衝撃強さ(耐衝撃性)及びビカット軟化点温度(耐熱性)とのバランスに優れていた。更に、ウェルド部の強度が改良されていた。
尚、実施例1〜7の組成物を用い、2点ゲート方式ではない通常の射出成形法により得られた成形品(12.7mm×127mm×1.6mm)を曲げ試験に供しても、破断されなかった。
Claims (10)
- 〔A〕ゴム強化樹脂と、〔B〕エチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭素共重合体と、〔C〕ポリテトラフルオロエチレンと、〔D〕エポキシ基を有する変性オレフィン系樹脂(但し、上記成分〔B〕を除く)とを含有する組成物であって、
上記ゴム強化樹脂〔A〕が、ジエン系重合体又はアクリル系ゴムからなるゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体(b1)を重合して得られたゴム強化共重合樹脂(A1)、又は、該ゴム強化共重合樹脂(A1)、及び、芳香族ビニル化合物と、シアン化ビニル化合物及びマレイミド系化合物から選ばれた少なくとも1種とを含むビニル系単量体(b2)の共重合体(A2)の混合物、からなる樹脂であり、
上記変性オレフィン系樹脂〔D〕は、エポキシ基を有するオレフィン系樹脂の存在下、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物からなる単量体を重合して得られたグラフト共重合体であり、
上記エチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭素共重合体〔B〕及び上記ポリテトラフルオロエチレン〔C〕の含有量は、上記ゴム強化樹脂〔A〕100質量部に対し、それぞれ、0.5〜20質量部及び0.01〜5質量部であり、上記変性オレフィン系樹脂〔D〕の含有量が、上記ゴム強化樹脂〔A〕100質量部に対し、0.05〜15質量部であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 - 上記エポキシ基を有するオレフィン系樹脂は、エポキシ基を有する不飽和化合物からなる単位の含有量が、該樹脂を構成する単量体単位の全量に対して、3〜30質量%の樹脂である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 上記ゴム強化樹脂〔A〕が、α−メチルスチレンからなる単位、及び/又は、マレイミド系化合物からなる単位を含む請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 上記α−メチルスチレンからなる単位、及び、上記マレイミド系化合物からなる単位の合計量は、上記ゴム強化樹脂〔A〕100質量%に対し、3〜60質量%である請求項3に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 上記ゴム質重合体(a)の含有量が、上記ゴム強化樹脂〔A〕100質量%に対し、5〜40質量%である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 上記ジエン系重合体の体積平均粒子径が100〜800nmである請求項1乃至5のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 上記アクリル系ゴムの体積平均粒子径が、50〜150nmである請求項1乃至5のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 曲げ歪み2%の応力下で、フタル酸ジオクチルを塗布した際に、クラックが発生するまでの時間が60分以上である請求項1乃至7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1乃至8のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を含むことを特徴とする成形品。
- 車両部品用である請求項9に記載の成形品。
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