JP2001214026A - ブロー成形用abs系樹脂組成物およびそのブロー成形品 - Google Patents
ブロー成形用abs系樹脂組成物およびそのブロー成形品Info
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Abstract
ロー成形性に優れ、且つ熱線膨張係数が小さいABS系
樹脂組成物およびそのブロー成形品を提供する。 【解決手段】 ゴム状弾性体に、芳香族ビニル、シアン
化ビニル、α、β−不飽和酸グリシジルエステル化合
物、(メタ)アクリル酸エステル又はマレイミドがグラ
フト重合されたグラフト重合体(a)又はさらに、芳香
族ビニル、シアン化ビニル、(メタ)アクリル酸エステ
ル又はマレイミドからなる共重合体(b)とからなり、
ゴム含有量が3〜15重量%、メチルエチルケトン可溶
分の還元粘度が0.5〜1.5dl/gであるブロー成
形用ABS系樹脂組成物及びそのブロー成形品。
Description
性、表面性、耐衝撃性、ブロー成形性に優れ、かつ熱線
膨張係数が小さいブロー成形用ABS系樹脂組成物およ
びそれからなるブロー成形品に関するものである。
ー成形(吹込成形)用材料としては、高密度ポリエチレ
ン、低密度ポリチレン、線上低密度ポリエチレンおよび
ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂が用いられている。
また、最近では、エアーダクトおよび照明用器具などの
電気・電子部品、エアースポイラーおよびコンソールな
どの自動車用部品、机の天板などの家具などを得るため
には、熱的性質および機械的性質に優れた、いわゆるエ
ンジニアリングプラスチックとして例えば、特開平4−
120157号公報、特開平7−032454号公報に
記載のものなどが用いられる。
開示された方法においては、良好なブロー成形性と耐ド
ローダウン性を得ているが、曲げ弾性率、熱線膨張係
数、耐衝撃性等の物性の記載はない。また、該特開平7
−032454号公報に記載のブロー成形用樹脂組成物
はゴム含有量が比較的多く、曲げ弾性率が低く、例えば
エアースポイラーなどの用途で軽量化のため製品肉厚を
薄くした場合、製品試験のひとつである製品中央部に荷
重をかける試験に於いて変形量が大きく製品規格内に入
らないという課題があった。更に、高温にさらされた場
合、耐熱変形、温度変化による寸法変化に起因する形状
変化、割れ等の課題があった。
形温度がいずれも高く、熱線膨張係数が低くて成形体寸
法精度が高く、耐衝撃性に優れ、且つブロー成形性、表
面性の優れたの材料が望まれていた。これらの課題を解
決するためにガラス繊維強化ABS系樹脂使用が試みら
れているが、それでも成形品表面外観が悪くなり、塗装
前のサンディングに長時間を要し、耐衝撃性が低下し必
ずしも満足出来る状況に至っていない。
に曲げ弾性率、表面性、耐衝撃性、ブロー成形性に優
れ、かつ熱線膨張係数が小さいブロー成形用材料および
それを成型してなる寸法精度、耐熱性がいずれも高く、
耐衝撃性、表面性に優れたブロー成形品を提供すること
を目的とするものである。
ために本発明者らは鋭意検討した結果、特定の樹脂組成
物が、ブロー成形品の剛性、表面性、ブロー成形性に優
れ、かつ耐衝撃性、耐熱性のバランスが良好であること
を見出し、本発明を完成するに至った。
ニル、シアン化ビニル、α,β−不飽和酸グリシジルエ
ステル化合物、(メタ)アクリル酸エステルおよびマレ
イミドよりなる群から選ばれる少なくとも1種がグラフ
ト重合されたグラフト重合体(a)と、必要により用い
られる芳香族ビニル、シアン化ビニル、(メタ)アクリ
ル酸エステルおよびマレイミドよりなる群から選ばれる
少なくとも1種からなる重合体(b)とからなり、ゴム
含有量が3〜15重量%、メチルエチルケトン可溶分の
還元粘度が0.5〜1.5dl/gであるブロー成形用
ABS系樹脂組成物(請求項1)、曲げ弾性率が250
0MPa〜4000MPaである請求項1記載のブロー
成形用ABS樹脂組成物(請求項2)、熱変形温度が8
0℃以上である請求項1又は2記載のABS系樹脂組成
物(請求項3)、240℃での高化式フロー値が1×1
0-2〜15×10-2cc/秒である請求項1、2又は3
記載のブロー成形用ABS系樹脂組成物(請求項4)及
び請求項1、2、3又は4記載のブロー成形用ABS系
樹脂組成物を成形してなるブロー成形品(請求項5)に
関する。
脂組成物は、ゴム状弾性体に芳香族ビニル、シアン化ビ
ニル、α,β−不飽和酸グリシジルエステル化合物、
(メタ)アクリル酸エステルおよびマレイミドより選ば
れる少なくとも1種の単量体がグラフト重合されたグラ
フト重合体(a)と、必要により用いられる芳香族ビニ
ル、シアン化ビニル、(メタ)アクリル酸エステルおよ
びマレイミドより選ばれる少なくとも1種の単量体を重
合してなる重合体(b)とからなり、ゴム含有量が3〜
15重量%、メチルエチルケトン可溶分の還元粘度が
0.5〜1.5dl/gである組成物である。また、好
ましくはブロー成形品にした場合の曲げ弾性率が250
0MPa〜4000MPa、さらには2600MPa〜
3700MPa、熱変形温度が好ましくは80℃以上、
さらには90℃以上、とくには100℃以上である。そ
れによって、成形体の熱線膨張係数が8×10-5/℃以
下、さらには7.6×10ー5/℃以下のものが達成でき
る。これらの優れた物理的特性を有するため、自動車用
外装部品、例えばエアースポイラーおよび付属品ごとき
用途に好適に使用しうる。前記曲げ弾性率が2500M
Pa未満では、エアースポイラーで軽量化のため製品肉
厚を薄くした場合、製品試験のひとつである製品中央部
に荷重をかける試験に於いて変形量が大きく製品規格内
に入らなく好ましくなく、4000MPaを越えると耐
衝撃強度が低下したりしあまり好ましくない。前記熱変
形温度が80℃未満では使用時に変形が生じたり、塗
装、メッキ工程での乾燥時に寸法変化、変形が生じたり
しやすいため好ましくない。前記熱線膨張係数が8×1
0-5/℃以上では使用時に寸法変化、変形が生じたりし
やすいため好ましくない。
は、さらに、ブロー成形性の点から240℃での高化式
フロー値が1×10-2〜15×10-2cc/秒、さらに
は2×10-2〜13×10-2cc/秒、とくには2×1
0-2〜10×10-2cc/秒である。
0-2cc/秒未満では、ブロー成形時の溶融粘度が高く
なりすぎ、成形が容易でなくなったり、成形温度が高く
なるため、成形品内部の酸化劣化が起こりやすくなり、
耐衝撃性で低下したりする傾向が生じ、15×10-2c
c/秒を越えると、ドローダウンが激しくなり、パリソ
ンが切れたり、肉厚が不均一になったりして良好な成形
品が得られ難くなる傾向が生じる。
D−790に準じて23℃で測定した値であり、熱変形
温度(℃)はASTM D−648に準じて1.82M
Pa荷重で測定した値である。また、高化式フロー(×
10-2cc/秒)はB法高化式フロー値であり、ノズル
直径/長さが1/10、240℃で14.7MPa荷重
で測定した値である。
BS系樹脂組成物は、ゴム状弾性体の存在下に、芳香族
ビニル、シアン化ビニル、α,β−不飽和酸グリシジル
エステル化合物、(メタ)アクリル酸エステルおよびマ
レイミドよりなる群から選ばれた少なくとも1種をグラ
フト重合してえられるグラフト重合体(a)と、必要に
より用いられる芳香族ビニル、シアン化ビニル、(メ
タ)アクリル酸エステルおよびマレイミドよりなる群か
ら選ばれた少なくとも1種を重合して得られる重合体
(b)とからなる。重合体(b)は組成物としてゴム含
有量が3〜15重量%、メチルエチルケトン可溶分の還
元粘度が0.5〜1.5dl/gとなる範囲で加えられ
る。
ン、ブタジエン−スチレン共重合体(SBR)、ブタジ
エン−アクリロニトリル共重合体(NBR)、ブタジエ
ン−アクリル酸エステル共重合体などのジエン系ゴム、
スチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレン−
プロピレン−非共役ジエン共重合体(EPDM)などの
オレフィン系ゴム、ポリブチルアクリレート、ポリ2−
エチルヘキシルアクリレ−トなどのアクリル系ゴム、シ
リコーン系ゴムなどが挙げられる。これらのうちでは耐
衝撃性の点からジエン系ゴムが好ましい。さらに、剛性
と耐衝撃性とのバランスを向上させるために多層構造に
したり、粒子径分布を制御することが好ましい。多層構
造とは、ゴム状弾性体の成分が均一ではなく不均一層を
なしているものである。粒子径分布を制御してつくる粒
子径分布としては、例えば二山分布で、そのつくり方の
例は、大粒子のものと小粒子のものとの併用等である。
そのためには、小粒子ゴムを酸性物質、酸ラテックスで
肥大することも可能である。
以下で、重量平均粒子径が0.05〜1.0μmである
のが、耐衝撃性、剛性の点から好ましい。ゲル含有量は
特に限定されないが10〜95%が好ましく、特に30
〜95%が好ましい。
グラフト単量体としては、好ましくは芳香族ビニル30
〜89.9重量%、さらには50〜79.5重量%、シ
アン化ビニル10〜40重量%、さらには20〜40重
量%、α,β−不飽和酸グリシジルエステル化合物0.
1〜30重量%、さらには0.5〜20重量%、(メ
タ)アクリル酸エステル0〜70重量%、さらには0〜
30重量%、マレイミド0〜20重量%、さらには0〜
10重量%からなる単量体である。前記芳香族ビニルが
30重量%未満ではブロー成形性が低下し、90重量%
を越えると耐シンナー性が低下したり、耐衝撃性が低下
したりする傾向がある。前記シアン化ビニルが5重量%
未満では耐シンナー性、耐衝撃性が低下し、40重量%
を越えると熱安定性が低下する傾向がある。前記α,β
−不飽和酸グリシジルエステル化合物が0.1重量%未
満では表面性を均一にする効果が不充分であり、30重
量%を越えると耐衝撃性が低下する傾向がある。前記
(メタ)アクリル酸エステルが70重量%を越えると耐
衝撃性、耐シンナー性が低下する傾向がある。マレイミ
ドが20重量%を越えると耐衝撃性が低下する傾向があ
る。
レン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、クロ
ロスチレン、ブロモスチレン、ビニルナフタレンなど、
前記シアン化ビニルの具体例としては、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリルなど、前記α,β−不飽和酸グ
リシジルエステル化合物の具体例としては、アクリル酸
グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グ
リシジルなど、前記(メタ)アクリル酸エステルの具体
例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレ
ート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリ
レート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレー
ト、ブチルメタクリレートなど、前記マレイミドの具体
例としては、マレイミド、N−フェニルマレイミド、N
−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロ
ピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−(p−メ
チルフェニル)マレイミドなどがあげられる。ゴム状弾
性体とグラフト単量体との割合は、特に限定されないが
前記グラフト共重合体のグラフト率(%): グラフト枝(重量)×100/ゴム状弾性体(重量) は、10〜100%、さらには20〜70%が好まし
い。グラフト率が10%未満では耐衝撃性が低下し、1
00%を越えるとブロー成形性が低下する傾向にある。
合体(b)は芳香族ビニル、シアン化ビニル、(メタ)
アクリル酸エステル及びマレイミドからなる群から選ば
れる少なくとも1種からなる重合体であり、芳香族ビニ
ル30〜90重量%、さらには50〜80重量%、シア
ン化ビニル5〜40重量%、さらには20〜30重量
%、(メタ)アクリル酸エステル0〜30重量%、さら
には0〜20重量%、マレイミド0〜50重量%、さら
には0〜30重量%からなる共重合体であることが好ま
しい。
ロー成形性が低下し、90重量%を越えると耐衝撃性、
耐シンナー性が低下する傾向にあり、前記シアン化ビニ
ルが5重量%未満では耐衝撃性、耐シンナー性が低下す
る傾向にあり、40重量%を越えると熱安定性が低下す
る傾向があり、(メタ)アクリル酸エステルが30重量
%を越えると耐衝撃性が低下する傾向があり、マレイミ
ドが50重量%を越えると耐衝撃性、ブロー成形性が低
下する傾向がある。
例としては、グラフト共重合体(a)用に例示したもの
と同じものがあげられるが、耐衝撃性、剛性、ブロー成
形性、耐熱変形性などの点から、芳香族ビニルとしては
スチレン、α−メチルスチレン、シアン化ビニルとして
はアクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステルとし
てはメチルメタクリレート、マレイミドとしてはフェニ
ルマレイミドが好ましい。また、α,β−不飽和酸グリ
シジルエステル化合物も併用できる。
を構成するグラフト共重合体(a)と必要により用いら
れる共重合体(b)との比率は、前記のようにゴム状弾
性体の含有量が3〜15重量%となるように選ばれる
が、さらには5〜12重量%になるようにするのが好ま
しい。ゴム弾性体の含有量が3重量%未満では耐衝撃性
が低下する傾向にあり、15重量%を越えると曲げ弾性
率が2500MPa以下になる傾向にある。さらに、ブ
ロー成形用ABS系樹脂組成物中に共重合されるα,β
−不飽和酸グリシジルエステル化合物は0.001〜5
重量%が、耐衝撃性、剛性、表面性の面から特に好まし
い。ゴム状弾性体の粒子径は、重量平均粒子径が0.1
5μm以下の小粒子ゴムと0.25μm以上の大粒子ゴ
ムを併用使用し、その重量比が1/9〜9/1の範囲が
耐衝撃性、剛性の面から特に好ましい。
のメチルエチルケトン可溶分の溶剤粘度はN,N−ジメ
チルホルムアミド溶液、30℃で測定される。その還元
粘度は0.5〜1.5dl/gである。さらに好ましく
は0.6〜1.3dl/gである。還元粘度が0.5d
l/g未満ではブロー成形時ドローダウンが激しくな
り、パリソンが切れたり、肉厚が不均一になったりして
良好な成形品が得られ難くなる傾向が生じたり、耐衝撃
性、耐シンナー性、耐油性などが低下し、1.5dl/
gを越えるとブロー成形時の溶融粘度が高くなりすぎ、
成形が容易でなくなる。
合方法は公知の重合方法で行うことができ、通常の、乳
化重合法、乳化−懸濁重合法、乳化−塊状重合法、塊状
重合法、溶液重合法等により行うことが出来、特に限定
はない。例えば、ゴム状弾性体の存在下に前記ビニル系
単量体を反応させ、グラフト共重合体(a)をうること
により製造される。また、必要により用いられる共重合
体(b)は、前記ビニル単量体を重合または共重合させ
ることにより製造される。
は、ABS樹脂組成物の他に、スチレンの一部または大
部分をα−メチルスチレンおよび(または)マレイミド
に置きかえた耐熱ABS樹脂組成物、ブタジエンをエチ
レン−プロピレン系ゴムに置きかえた(耐熱)AES樹
脂組成物、ポリアクリル酸エステルに置きかえた(耐
熱)AAS樹脂組成物、さらにはシリコーン系ゴムに置
きかえた(耐熱)ASS樹脂組成物などがあげられる。
これらの組成物は単独で用いてもよく、2種以上を組み
合わせて用いてもよい。
には、本発明の効果を損なわない範囲で、滑剤、酸化防
止剤、タルク、アルカリ金属の水酸化物または炭酸塩、
さらに必要に応じて、顔料、可塑剤、紫外線吸収剤、光
安定剤などの1種または2種以上を混合してもよい。ま
た、耐ドローダウン性等をさらに向上させるために、テ
フロン、高分子量AS樹脂(ポリスチレン換算の重量平
均分子量50万〜300万)、高分子量PMMA(ポリ
スチレン換算の重量平均分子量50万〜300万)を添
加することも可能である。
組成物は、スチレン系樹脂、ポリカーボネート、ポリア
ミド、ポリブチレンテレフタレートなどの1種または2
種以上と組み合わせて用いてもよい。前記スチレン系樹
脂としては、一般用(GP)ポリスチレン、耐衝撃性
(HIPS)ポリスチレン、スチレンとアクリロニトリ
ルとの共重合体であるAS樹脂があげられる。
成形用ABS系樹脂組成物は、通常のブロー成形、例え
ばアキュームレーター式ブロー成形、ダイレクトブロー
成形などの方法により成形され、本発明のブロー成形品
が製造される。このブロー成形工程では、ブローアップ
性、表面性等の点から、得られた樹脂組成物を200℃
以上のパリソンまたはシートでブロー成形することが好
ましい。更に、より良い効果を得るためには、パリソン
およびシートを膨らませる際に、空気に代えた、窒素、
二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、ネオンなどの不活性
ガスを用いてもよい。ブロー成形品としてはリアスポイ
ラー、グリルガード、エアロパーツ、机の天板などがあ
げられる。
はこれらに何ら限定されるものではない。なお、以下に
示す「部」はいずれも重量部を意味する。また、実施例
中の略号とその内容との関係は以下のとおりである。
ル含有量90%のポリブタジエンを酸基含有ラテックス
を用い肥大化した重量平均粒子径0.40μmのポリブ
タジエン R−2:重量平均粒子径0.25μm、ゲル含有量90
%のポリブタジエン R−3:重量平均粒子径0.10μm、ゲル含有量90
%のポリブタジエン R−4:重量平均粒子径0.06μm、ゲル含有量92
%のブタジエン−スチレン共重合体(ブタジエン65重
量%、スチレン35重量%) αMSt:α−メチルスチレン St:スチレン AN:アクリロニトリル PMI:N−フェニルマレイミド GMA:グリシジルメタクリレート CHP:クメンハイドロパーオキサイド tDM:t−ドデシルメルカプタン PN:パルミチン酸ナトリウム ABS:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 実施例1〜7および比較例1〜3 グラフト共重合体(a)の製造 (1)グラフト共重合体(a−1)の製造 撹拌機付き重合容器に、水280部および下記の酸基含
有ラテック(S)を用い肥大化した重量平均粒子径0.
40μmのポリブタジエンラテックス(R−1)60部
(固形分換算)、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキ
シレート0.3部、硫酸第一鉄0.0025部、エチレ
ンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01部を仕込み、脱
酸素後、窒素気流中で撹拌しながら60℃に加熱した
後、AN10部、St30部、CHP0.3部からなる
単量体混合物を60℃で5時間かけて連続的に滴下し
た。滴下終了後、重合温度を65℃にし、1時間撹拌続
けた後、重合を終了させた。得られたラテックスを塩化
カルシウムで塩析し、洗浄、濾過および乾燥工程を経て
パウダー状のグラフト共重合体(a−1)を得た。結果
を表1に示す。 ・酸基含有ラテックス(S)の製造 ゴム重合体(r)からゴム重合体(R)に肥大化させる
ために必要な酸基含有ラテックス(S)を以下のように
製造した。
クチルスルホコハク酸ナトリウム0.6部、ナトリウム
ホルムアルデヒドスルホキシレート0.5部、硫酸第一
鉄0.0025部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウ
ム0.01部を仕込み、脱酸素後、窒素気流中で撹拌し
ながら70℃に加熱した後、ブチルメタクリレート25
部、ブチルアクリレート5部、 tDM0.1部、CH
P0.15部の単量体混合物を、重合温度70℃で連続
的に2時間かけて滴下した後、さらにブチルメタクリレ
ート50部、ブチルアクリレート4部、メタクリル酸1
6部、 tDM0.5部、CHP0.15部の単量体混
合物を連続的に4時間かけて滴下した。滴下終了後、1
時間撹拌を続けて重合を終了させた。重合転化率は97
%であった。ゴム重合体(r)からゴム重合体(R)に
肥大化は、重量平均粒子径0.10μm、ゲル分率90
%のポリブタジエンラテックス100部を固形分31
%、PH11のラテックスに調整し、60℃に加熱した
後、酸基含有ラテックス(S)3.2部を添加し、60
℃で1時間撹拌して肥大化させ、重量平均粒子径0.4
0μmのポリブタジエンラテックスを得た。 グラフト共重合体(a−2)、(a−3)、(a−4) グラフト共重合体(a−1)と同様の方法で、表1に示
すゴム重合体、単量体混合物を使用し、グラフト共重合
体(a−2)、(a−3)、(a−4)を製造した。結
果を表1に示す。
を投入し、脱酸素後、窒素気流中で撹拌しながら70℃
まで加熱した。さらにナトリウムホルムアルデヒドスル
ホキシレート0.4部、硫酸第一鉄0.0025部、エ
チレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01部を仕込み
後、αMSt60部、AN30部、St10部、 tD
M0.25部、CHP0.2部からなる単量体混合物
を、重合温度70℃で連続的に7時間かけて滴下した。
滴下終了後、重合温度を75℃にし、1時間撹拌を続け
て重合を終了させた。得られたラテックスを塩化カルシ
ウムで塩析し、洗浄、濾過および乾燥工程を経てパウダ
ー状の共重合体(b−1)を得た。結果を表2に示す。 共重合体(b−2)、(b−3) 共重合体(b−1)と同様の方法で、表2に示す単量体
混合物を使用し、共重合体(b−2)、(b−3)を製
造した。結果を表2に示す。
(b−1)(b−2)とを表3に示す割合で混合した樹
脂混合物100部に対し、リン系安定剤(アデカスタブ
PEP−36、旭電化工業(株)製)0.4部、フェノ
ール系安定剤(アデカスタブAO−30、旭電化工業
(株)製)0.4部、滑剤としてエチレンビスステアリ
ルアミド0.7部(日本油脂(株)製)、ポリエチレン
ワックス(ネオワックスACL、安原油脂工業(株)
製)0.5部、アルカリ金属の水酸化物として水酸化カ
ルシウム(スーパーミクロスター、丸尾カルシウム
(株)製)0.5部、タルク(ミクロエースL−1(平
均粒径:1.8μm)、日本タルク社製)0.5部を添
加し、ヘンシェルミキサーで混合し、ベント式単軸押出
機(HV−40−28、田端機械工業(株)製)で28
0℃の設定温度で押し出し、ペレット化した。得られた
ペレットの評価を下記方法で行った。結果を表3に示
す。
よった。 (A)ブロー成形 上記のようにして得られたペレット状のABS系樹脂を
プラコー(株)製のDA−50型ブロー成形機を用いて
ブロー成形し、成形体をえた。成形条件は、パリソン温
度が約240℃、射出速度(指数)が150、スクリュ
ー回転数が60rpm、ブロー圧が6kg/cm2G(エア
ー)、冷却時間が100秒、金型温度が60℃であっ
た。 (1)表面外観 (W)60×(L)400×(H)30(mm)、平均肉
厚3.5mmの箱型状ブロー成形体を用い、成形体表面に
40×80(mm)の長方形を描き、長方形内の不均一な
凹状不良部(ヘコ)(大きさは、0.02mm以上)を目
視で数え、長方形5点のヘコ数の平均値を求めた。以下
の基準により評価した。
射出後放置し、パリソンがダイスからはずれ、落下する
までの時間を測定し評価した。
をこえる △:パリソン射出後、パリソン落下までの時間が20〜
60秒 ×:パリソン射出後、パリソン落下までの時間が20秒
未満 (3)落錘強度 外径70mm、長さ400mm、平均肉厚3.2mmの円筒状
ブロー成形体を用い、−30℃での落錘強度(錘の重量
×半数破壊高さ(J)を測定した。 (B)還元粘度 えられたペレットをメチルエチルケトンに23℃で12
時間溶解させたのち、遠心分離し、可溶分をメタノール
で析出させた。析出物を真空乾燥機で乾燥させ、サンプ
ルをえた。えられたサンプルをN,N−ジメチルホルム
アミド0.3%溶液とし、ウベ・ローデ粘度計で30℃
で測定した。 (C)熱変形温度:HDT えられたブロー成形品を切り出してテスオピースを作成
し、ASTM D−648に準拠して0.45MPa荷
重で測定した。 (D)曲げ強度および曲げ弾性率 えられたブロー成形品を切り出してテスオピースを作成
し、ASTM D−790に準拠して23℃で測定し
た。 (E)高化式フロー(B法高化式フロー) えられたペレットを島津製作所製CFT−500型を用
い、ノズル直径/長さ=1/10、240℃で14.7
MPa荷重で測定した。 (F )熱線膨張係数 えられたブロー成形品を切り出してテスオピースを作成
し、セイコー電子工業(株)製TMA/SS 120C
型を用い、昇温速度1℃/分で−30℃〜100℃まで
測定し、−20℃〜90℃の熱線膨張係数を測定した。
ブロー成形用ABS系樹脂によれば、曲げ弾性率が25
00MPa〜4000MPa、熱変形温度が80℃以
上、熱線膨張係数が8×10-5/℃以下、ブロー成形時
の耐ドローダウン性に優れ、ブロー成形品の表面外観に
優れ、耐衝撃性に優れたブロー成形品を得ることができ
る。
Claims (5)
- 【請求項1】ゴム状弾性体に、芳香族ビニル、シアン化
ビニル、α,β−不飽和酸グリシジルエステル化合物、
(メタ)アクリル酸エステルおよびマレイミドよりなる
群から選ばれる少なくとも1種がグラフト重合されたグ
ラフト重合体(a)と、必要により用いられる芳香族ビ
ニル、シアン化ビニル、(メタ)アクリル酸エステルお
よびマレイミドよりなる群から選ばれる少なくとも1種
からなる重合体(b)とからなり、ゴム含有量が3〜1
5重量%、メチルエチルケトン可溶分の還元粘度が0.
5〜1.5dl/gであるブロー成形用ABS系樹脂組
成物。 - 【請求項2】曲げ弾性率が2500MPa〜4000M
Paである請求項1記載のブロー成形用ABS樹脂組成
物。 - 【請求項3】熱変形温度が80℃以上である請求項1又
は2記載のABS系樹脂組成物。 - 【請求項4】240℃での高化式フロー値が1×10-2
〜15×10-2cc/秒である請求項1、2又は3記載
のブロー成形用ABS系樹脂組成物。 - 【請求項5】請求項1、2、3又は4記載のブロー成形
用ABS系樹脂組成物を成形してなるブロー成形品。
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---|---|---|---|
JP2000027957A JP2001214026A (ja) | 2000-02-04 | 2000-02-04 | ブロー成形用abs系樹脂組成物およびそのブロー成形品 |
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JP2000027957A JP2001214026A (ja) | 2000-02-04 | 2000-02-04 | ブロー成形用abs系樹脂組成物およびそのブロー成形品 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9085095B2 (en) | 2007-05-30 | 2015-07-21 | Techno Polymer Co., Ltd. | Thermoplastic resin composition for blow molding and blow molded articles thereof |
JP2022553140A (ja) * | 2020-09-24 | 2022-12-22 | エルジー・ケム・リミテッド | 熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれから製造された成形品 |
-
2000
- 2000-02-04 JP JP2000027957A patent/JP2001214026A/ja active Pending
Cited By (3)
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