以下、図面に基づいて、本発明の空気調和装置および冷媒量判定方法の一実施形態が採用された例について、実施形態毎に分けつつ説明する。
<1>第1実施形態
<1.1>空気調和装置の構成
図1は、本発明の第1実施形態にかかる空気調和装置1の概略構成図である。
空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、ビル等の室内の冷暖房に使用される装置である。
空気調和装置1は、主として、1台の熱源ユニットとしての室外ユニット2と、それに接続された利用ユニットとしての室内ユニット4と、室外ユニット2と室内ユニット4とを接続する冷媒連絡管としての液冷媒連絡管6およびガス冷媒連絡管7とを備えている。すなわち、本実施形態の空気調和装置1における蒸気圧縮式の冷媒回路10は、室外ユニット2、室内ユニット4、液冷媒連絡管6、および、ガス冷媒連絡管7が接続されることによって構成されている。
(室内ユニット)
室内ユニット4は、ビル等の室内の天井に埋め込みや吊り下げ等により、または、室内の壁面に壁掛け等により設置されている。室内ユニット4は、冷媒回路10の一部を構成しており、液冷媒連絡管6およびガス冷媒連絡管7を介して室外ユニット2に接続されている。
次に、室内ユニット4の構成について説明する。
室内ユニット4は、主として、冷媒回路10の一部を構成する室内側冷媒回路10aを有している。この室内側冷媒回路10aは、主として、利用側熱交換器としての室内熱交換器42を有している。
本実施形態において、室内熱交換器42は、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、冷房運転時には、冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には、冷媒の凝縮器として機能して室内空気を加熱する熱交換器である。
本実施形態において、室内ユニット4は、ユニット内に室内空気を吸入して、室内熱交換器42において冷媒と熱交換させた後に、供給空気として室内に供給するための送風ファンとしての室内ファン43を有している。室内ファン43は、室内熱交換器42に供給する空気の風量を可変することが可能なファンである。この室内ファン43は、DCファンモータ等からなるモータ43mによって駆動される遠心ファンや多翼ファン等である。
また、室内ユニット4には、各種のセンサが設けられている。室内熱交換器42の液側には、冷媒の温度(すなわち、暖房運転時における凝縮温度または冷房運転時における蒸発温度に対応する冷媒温度)を検出する液側温度センサ44が設けられている。室内熱交換器42のガス側には、冷媒の温度を検出するガス側温度センサ45が設けられている。室内ユニット4の室内空気の吸入口側には、ユニット内に流入する室内空気の温度(すなわち、室内温度)を検出する室内温度センサ46が設けられている。液側温度センサ44、ガス側温度センサ45、および、室内温度センサ46は、サーミスタからなる。
また、室内ユニット4は、図2に示すように、室内ユニット4を構成する各部の動作を制御する室内側制御部47を有している。そして、室内側制御部47は、室内ユニット4の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリ19等を有している。これらのマイクロコンピュータやメモリ19等は、室内ユニット4を個別に操作するためのリモコン(図示せず)との間で制御信号等のやりとりを行ったり、室外ユニット2との間で伝送線(図示せず)を介して制御信号等のやりとりを行ったりすることができるようになっている。
(室外ユニット)
室外ユニット2は、ビル等の室外に設置され、室内ユニット4の間で冷媒回路10を構成しており、液冷媒連絡管6およびガス冷媒連絡管7を介して室内ユニット4に接続されている。
次に、室外ユニット2の構成について説明する。
室外ユニット2は、主として、冷媒回路10の一部を構成する室外側冷媒回路10cを有している。この室外側冷媒回路10cは、主として、圧縮機21、四路切換弁22、四路切換弁22と圧縮機21とを接続する室外機内接続配管8と、熱源側熱交換器としての室外熱交換器23、室外膨張弁38、室外熱交膨張接続配管6e、液面検知センサ39、タンクバイパス回路60、各種のセンサ、および、室外側制御部37を有している。
圧縮機21は、運転容量を可変することが可能な圧縮機である。この圧縮機21は、モータ21mによって駆動される容積式圧縮機である。このモータ21mの回転数は、インバータにより制御される。
四路切換弁22は、冷房運転時と暖房運転時とで、冷媒の流れの方向を切り換えるための弁である。冷房運転時には、四路切換弁22は、圧縮機21の吐出側と室外熱交換器23のガス側とを接続するとともに圧縮機21の吸入側とガス冷媒連絡管7側とを接続する(図1の四路切換弁22の実線を参照)。これにより、冷房運転時には、室外熱交換器23を圧縮機21によって圧縮される冷媒の凝縮器として機能させ、かつ、室内熱交換器42を室外熱交換器23において凝縮される冷媒の蒸発器として機能させることができる。また、暖房運転時には、四路切換弁22は、圧縮機21の吐出側とガス冷媒連絡管7側とを接続するとともに圧縮機21の吸入側と室外熱交換器23のガス側とを接続する(図1の四路切換弁22の破線を参照)。これにより、暖房運転時には、室内熱交換器42を圧縮機21によって圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、室外熱交換器23を室内熱交換器42において凝縮される冷媒の蒸発器として機能させることができる。
室外熱交換器23は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、室外熱交換器23の概略図である図3に示されるように、主として、伝熱管と多数のフィンとから構成される熱交換器本体23a、熱交換器本体23aのガス側に接続されるヘッダ23b、および、熱交換器本体23aの液側に接続される分流器23cを有している。室外熱交換器23は、冷房運転時には、冷媒の凝縮器として機能し、暖房運転時には、冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。室外熱交換器23は、そのガス側が四路切換弁22に接続され、その液側が室外膨張弁38に接続されている。この室外熱交換器23は、図3に示すように、熱交換器本体23aおよびヘッダ23bを有している。この熱交換器本体23aは、圧縮機21によって加圧された高温で高圧のガス冷媒を複数の異なる高さから受け入れ、外気温度との間で熱交換させることにより、ガス冷媒を凝縮させる。また、ヘッダ23bは、圧縮機21によって加圧された高温で高圧のガス冷媒を、上述の熱交換器本体23aに対して複数の異なる高さ毎に供給させるために、それぞれの高さにガス冷媒を分割させる。
室外膨張弁38は、室外側冷媒回路10c内を流れる冷媒の流量の調節等を行うために、室外熱交換器23の下流側に接続された電動膨張弁であり、冷媒の通過を遮断することも可能である。
液面検知センサ39は、図3に示されるように、室外熱交換器23の側面であって、具体的には、室外熱交換器23内における冷媒の気相領域と液相領域との境界である液面高さを検知することができる。この液面検知センサ39は、室外熱交換器23のヘッダ23bの高さ方向に沿って配置された電気抵抗検出部材によって構成されている。ここで、冷房運転の場合において、圧縮機21から吐出される高温で高圧のガス冷媒は、室外熱交換器23内において、室外ファン28により供給される空気によって冷却されて凝縮し、高圧の液冷媒となる。この状態で、この液面検知センサ39は、室外膨張弁38の上流側に存在する冷媒量に関する状態量を検知する冷媒検知機構として機能する。具体的には、液面検知センサ39は、室外熱交換器23のヘッダ23bの高さ方向に沿って配置された電気抵抗検出部材が、液状態の冷媒によって覆われている部分と、気体状態の冷媒によって覆われている部分と、の電気的抵抗の差を検出することで、冷媒が気体状態で存在する領域と、冷媒が液体状態で存在する領域と、の境界である液面高さを検出する。後述するように、制御部9に接続され、読み出し可能に設けられているメモリ19には、液面検知センサ39の検知値に基づいて室外膨張弁38の上流側に存在する冷媒量を算出する際に必要となるデータが予め格納されている。そして、室外熱交換器23に液冷媒が溜まった状態では、室外膨張弁38から室外熱交換器23の室外熱交膨張接続配管6e側端部までが液冷媒で満たされた場合の冷媒量と、室外熱交換器23の底面積に対して液面検知センサ39によって検出された液面高さを乗じて得られる冷媒量と、を加えることによって液冷媒の量を算出する。なお、室外熱交換器23の底面積ではなく、室外熱交換器23の高さに応じて定まる室外熱交換器23内の液冷媒量を、対応データとして予め格納しておくようにしてもよい。
室外熱交膨張接続配管6eは、室外熱交換器23と室外膨張弁38とを接続する配管である。
タンクバイパス回路60は、高圧側タンクバイパス管61、高圧側タンクバイパス弁62、冷媒タンク63、低圧側タンクバイパス管64、低圧側タンクバイパス弁65、タンク液検知センサ66、および、タンクバイパス温度センサ67を有している。このタンクバイパス回路60は、通常の冷房運転や暖房運転では利用されず、後述する適正冷媒量充填運転モードや、冷媒漏洩検知運転モードを行う際に、冷媒回路10内に存在している冷媒を溜めるための回路である。ここで、高圧側タンクバイパス管61は、室外熱交換器23と室外膨張弁38とを結ぶ室外熱交膨張接続配管6eと冷媒タンク63とを接続する配管であり、第1高圧側タンクバイパス管61aおよび第2高圧側タンクバイパス管61bを有している。第1高圧側タンクバイパス管61aは、室外熱交膨張接続配管6eから分岐して延びている。第2高圧側タンクバイパス管61bは、冷媒タンク63の下端近傍から延びている。高圧側タンクバイパス弁62は、この室外熱交膨張接続配管6eから分岐して延びている第1高圧側タンクバイパス管61aと、冷媒タンク63から延びている低圧側タンクバイパス管61bとの間に介在して両者を接続しており、第1高圧側タンクバイパス管61aから第2高圧側タンクバイパス管61bに向かう冷媒流れを許容する状態と許容しない状態とが制御部9によって切り換えられる開閉弁である。冷媒タンク63は、内部に液冷媒を溜めることができるようになっている。低圧側タンクバイパス管64は、冷媒タンク63とガス冷媒連絡管7とを接続する配管であり、第1低圧側タンクバイパス管64aおよび第2低圧側タンクバイパス管64bを有している。第1低圧側タンクバイパス管64aは、冷媒タンク63の上端近傍から延びている。第2低圧側タンクバイパス管64bは、ガス冷媒連絡管7から分岐して延びている。低圧側タンクバイパス弁65は、この冷媒タンク63から延びている第1低圧側タンクバイパス管64aと、ガス冷媒連絡管7から分岐して延びている第2低圧側タンクバイパス管64bとの間に介在して両者を接続しており、第1低圧側タンクバイパス管64aから第2低圧側タンクバイパス管64bに向かう冷媒流れを許容する状態と許容しない状態とが制御部9によって切り換えられる開閉弁である。このように、冷媒タンク63には、第2高圧側タンクバイパス管61bが接続された下端近傍から液冷媒が供給され、冷媒タンク63内が満タンになると第1低圧側タンクバイパス管64aから冷媒タンク63外へ液冷媒を放出するようになっている。タンク液検知センサ66は、このように冷媒タンク63内に溜まっていく冷媒量を液面高さとして検出することができる。タンクバイパス温度センサ67は、第2低圧側タンクバイパス管64bを通過する冷媒温度を検出可能となるように設けられている。具体的には、このタンクバイパス温度センサ67は、冷媒タンク63が満タンになって、低圧側タンクバイパス管64を介してガス冷媒連絡管7側に冷媒が放出され始める時の検知温度変化を検出することで、冷媒タンク63が満タンになったことを制御部9が把握するために設けられている。
室外ユニット2は、送風ファンとしての室外ファン28を有している。この室外ファン28は、室外ユニット2内に室外空気を吸入して、室外熱交換器23において冷媒と熱交換を行わせ、熱交換後の空気を再度室外に排出させる。この室外ファン28は、室外熱交換器23に供給する空気の風量を可変することが可能なファンである。室外ファン28は、プロペラファン等であって、DCファンモータ等からなるモータ28mによって駆動される。
室外ユニット2には、上述の液面検知センサ39やタンクバイパス温度センサ67以外にも、各種のセンサが設けられている。具体的には、室外ユニット2には、圧縮機21の吸入圧力を検出する吸入圧力センサ29、圧縮機21の吐出圧力を検出する吐出圧力センサ30、圧縮機21の吸入温度を検出する吸入温度センサ31、および、圧縮機21の吐出温度を検出する吐出温度センサ32が設けられている。室外ユニット2の室外空気の吸入口側には、ユニット内に流入する室外空気の温度(すなわち室外温度)を検出する室外温度センサ36が設けられている。吸入温度センサ31、吐出温度センサ32、液管温度センサ35、および、室外温度センサ36は、サーミスタによって構成されている。
室外側制御部37は、室外ユニット2に設けられており、室外ユニット2を構成する各部の動作の制御を行う。そして、室外側制御部37は、室外ユニット2の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータ、メモリ19、および、モータ21mを制御するインバータ回路等を有している。
室内側制御部47は、室内ユニット4に設けられており、室内ユニット4を構成する各部の動作の制御を行う。
ここで、室外側制御部37は、室内ユニット4の室内側制御部47との間で伝送線(図示せず)を介して制御信号等のやりとりを行うことができる。
そして、室内側制御部47、室外側制御部37、および、これらを接続する伝送線(図示せず)によって、空気調和装置1全体の運転制御を行う制御部9が構成されている。
制御部9は、空気調和装置1の制御ブロックである図2に示されるように、各種センサ29〜32、35、36、39、44〜46、67の検出信号を受けることができるように接続されている。制御部9は、これらの検出信号等に基づいて各種機器および弁21、22、28、28m、43、43m,62,65を制御することができる。また、制御部9にはメモリ19が接続されている。このメモリ19には、各種データが格納されている。各種データとしては、液面検知センサ39が検知する液面高さhから室外熱交換器23内に溜まっている冷媒量を算出するための関係式、冷媒回路10のうち室外熱交膨張接続配管6eの容積、高圧側タンクバイパス管61の容積、冷媒タンク63の容積、第1低圧側タンクバイパス管64aの容積、温度状況に応じた液冷媒の密度データ、および、建物に施工された後の配管長さ等が考慮された物件毎における空気調和装置1の冷媒回路10の適正冷媒量が格納されている。そして、制御部9は、後述の適正冷媒量充填運転や冷媒漏洩検知運転を行う際に、これらのデータを読み出して、冷媒回路10に適正な量だけの冷媒を充填したり、この適正冷媒量データとの比較によって冷媒漏洩の有無を判断する。
(冷媒連絡管)
冷媒連絡管6、7は、空気調和装置1をビル等の設置場所に設置する際に、現地にて施工される冷媒管である。この冷媒連絡管は、設置場所や室外ユニットと室内ユニットとの組み合わせ等の設置条件に応じて種々の長さや管径を有するものが使用される。このため、例えば、新規に空気調和装置を設置する場合には、空気調和装置1に対して、冷媒連絡管6、7の長さや管径等の設置条件に応じた適正冷媒量を充填する必要がある。
以上のように、室内側冷媒回路10a、室外側冷媒回路10c、および、冷媒連絡管6、7が接続されることにより、空気調和装置1の冷媒回路10が構成されている。そして、本実施形態の空気調和装置1は、室内側制御部47と室外側制御部37とから構成される制御部9によって、四路切換弁22により冷房運転および暖房運転を切り換えて運転を行うとともに、各室内ユニット4の運転負荷に応じて、室外ユニット2および室内ユニット4の各機器の制御を行うようになっている。
<1.2>空気調和装置の動作
次に、本実施形態の空気調和装置1の動作について説明する。
本実施形態の空気調和装置1の運転モードとしては、通常運転モード、適正冷媒量充填運転モード、および、冷媒漏洩検知運転モードがある。
通常運転モードでは、各室内ユニット4の運転負荷に応じて室外ユニット2および室内ユニット4の構成機器の制御を行う。適正冷媒量充填運転モードでは、空気調和装置1の構成機器の設置後等に試運転を行う際において冷媒回路10に対して適正量の冷媒の充填を行う。冷媒漏洩検知運転モードでは、適正冷媒量充填運転を含む試運転を終了して通常運転を開始した後において、冷媒回路10からの冷媒の漏洩の有無の判定を行う。
以下、空気調和装置1の各運転モードにおける動作について説明する。
(通常運転モード)
まず、通常運転モードの冷房運転について、図1を用いて説明する。
−冷房運転−
冷房運転時は、四路切換弁22が、図1の実線で示される状態、すなわち、圧縮機21の吐出側が室外熱交換器23のガス側に接続され、かつ、圧縮機21の吸入側がガス冷媒連絡管7を介して室内熱交換器42のガス側に接続された状態となっている。室外膨張弁38が開度調節されつつ室内ファン43の風量が調節されることにより、室内熱交換器42の出口(すなわち、室内熱交換器42のガス側)における冷媒の過熱度が、過熱度目標値で一定になるように、制御部9が制御している。なお、高圧側タンクバイパス弁62および低圧側タンクバイパス弁65は、全閉状態にされている。
ここで、各室内熱交換器42の出口における冷媒の過熱度は、ガス側温度センサ45により検出される冷媒温度値から液側温度センサ44により検出される冷媒温度値(蒸発温度に対応)を差し引くことによって検出される。
この冷媒回路10の状態で、圧縮機21、室外ファン28および室内ファン43を運転すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となる。その後、高圧のガス冷媒は、四路切換弁22を経由して室外機内接続配管8を介して室外熱交換器23に送られる。この室外熱交換器23では、高圧のガス冷媒は、室外ファン28によって供給される室外空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となる。その後、この高圧の液冷媒は、室外膨張弁38を通過する際に減圧され、低圧の気液二相状態の冷媒となる。
この低圧の気液二相状態の冷媒は、液冷媒連絡管6を経由して、室内ユニット4に送られる。
この室内ユニット4に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、室内熱交換器42に送られ、室内熱交換器42において室内空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となる。
この低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡管7を経由して室外ユニット2に送られる。室外ユニット2に送られた低圧のガス冷媒は、四路切換弁22を経由して、再び、圧縮機21に吸入される。
このように、空気調和装置1では、運転モードの一態様として、室外熱交換器23を圧縮機21において圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、室内熱交換器42を冷媒の蒸発器として機能させる冷房運転を行うことが可能である。
ここで、通常運転モードの冷房運転を行っている際における冷媒回路10の冷媒の分布状態は、冷房運転時の冷媒回路10内を流れる冷媒の状態を示す模式図である図4に示されるように、冷媒が、液状態(図4における塗りつぶしのハッチング部分)、気液二相状態(図4における格子状のハッチング部分)、ガス状態(図4における斜線のハッチング部分)の各状態をとって分布している。
具体的には、冷媒回路10のうち、液冷媒で満たされている箇所は、室外熱交換器23の内部および室外熱交換器23の出口付近の部分から室外膨張弁38に至るまでの部分(第1高圧側タンクバイパス管61aを含む)である。
そして、冷媒回路10のうち、気液二相状態の冷媒で満たされている箇所は、室外熱交換器23の中間の部分、および、室外膨張弁38から室内熱交換器42の入口付近までの間の部分である。
また、冷媒回路10のうち、ガス状態の冷媒で満たされている箇所は、室内熱交換器42の中間の部分から、ガス冷媒連絡管7(第2低圧側タンクバイパス管61bを含む)および圧縮機21を介して、室外熱交換器23の入口に至るまでの部分、および、室外熱交換器23の入口付近の部分である。
なお、通常運転モードの冷房運転においては、冷媒はこのような分布で冷媒回路10内に分布しているが、後述する適正冷媒量充填運転モードおよび冷媒漏洩検知運転モードの冷媒量判定運転においては、液冷媒連絡管6と室外熱交換器23に液冷媒が集められた分布となる(図6,図7および図8参照)。
−暖房運転−
次に、通常運転モードの暖房運転について説明する。
暖房運転時は、四路切換弁22が、図1の破線で示される状態、すなわち、圧縮機21の吐出側がガス冷媒連絡管7を介して室内熱交換器42のガス側に接続され、かつ、圧縮機21の吸入側が室外熱交換器23のガス側に接続された状態となっている。室外膨張弁38の弁開度および室内ファン43の風量が制御部9によって調節されることで、室内熱交換器42の出口における冷媒の過冷却度が、過冷却度目標値で一定になるように制御されている。なお、高圧側タンクバイパス弁62および低圧側タンクバイパス弁65は、全閉状態にされている。
ここでは、室内熱交換器42の出口における冷媒の過冷却度は、吐出圧力センサ30により検出される圧縮機21の吐出圧力を凝縮温度に対応する飽和温度値に換算し、この冷媒の飽和温度値から液側温度センサ44により検出される冷媒温度値を差し引くことによって検出される。
この冷媒回路10の状態で、圧縮機21、室外ファン28および室内ファン43を運転すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となり、四路切換弁22およびガス冷媒連絡管7を経由して、室内ユニット4に送られる。
そして、室内ユニット4に送られた高圧のガス冷媒は、室内熱交換器42において、室内空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となる。
この液冷媒は、液冷媒連絡管6を経由して室外ユニット2に送られる。その後、この液冷媒は、室外膨張弁38で減圧されて気液二相状態となった後、室外熱交換器23に流入する。そして、室外熱交換器23に流入した低圧であって気液二相状態である冷媒は、室外ファン28によって供給される室外空気と熱交換を行って蒸発し、低圧のガス冷媒となる。この低圧のガス冷媒は、室外機内接続配管8および四路切換弁22を経由して、再び、圧縮機21に吸入される。
以上のような通常運転モードにおける運転制御は、冷房運転および暖房運転を含む通常運転を行う運転制御手段として機能する制御部9(より具体的には、室内側制御部47、室外側制御部37、および、これらを通信可能に接続している図示しない伝送線)によって行われる。
(適正冷媒量充填運転モード)
次に、試運転の際に行われる適正冷媒量充填運転モードについて、図5〜図9を用いて説明する。
図5は、適正冷媒量自動充填運転のフローチャートである。
図6は、冷媒量判定運転の開始直後における冷媒回路10内を流れる冷媒の状態を示す模式図である。
図7は、冷媒量判定運転の終了直前における冷媒回路10内を流れる冷媒の状態を示す模式図である。
図8は、冷媒量判定運転における液面検出動作を行う時点での冷媒回路10内を流れる冷媒の状態を示す模式図である。
図9は、図2の熱交換器本体23aおよびヘッダ23bの内部を模式的に示した図である。この図9では、適正冷媒量自動充填運転において室外熱交換器23に冷媒が溜まる様子を示している。
適正冷媒量充填運転モードは、空気調和装置1の構成機器の設置後等における試運転の際に行われる運転モードである。この適正冷媒量充填運転モードは、液冷媒連絡管6およびガス冷媒連絡管7の容積に応じた適正な冷媒量を冷媒回路10に対して自動で充填させる運転モードである。
ここで、設置時等においては、冷媒回路10で用いられる冷媒は、室外ユニット2の内に予め充填された状態となっている。そして、室外ユニット2に予め充填されている冷媒を冷媒回路10内に充満させる。
次に、適正冷媒量充填運転を行う作業者が、追加充填用の冷媒ボンベを冷媒回路10に接続して充填を開始する。ここでは、追加充填用の冷媒ボンベは、例えば、冷媒回路10の圧縮機21の吸入側等に接続されることで追加充填される。
そして、作業者が、制御部9に対して直接にまたは、リモコン(図示せず)等によって適正冷媒量充填運転を開始する指令を出す。これにより、制御部9は、図5に示されるステップS1〜ステップS12の順序で行われる処理を伴う冷媒量判定運転、および、冷媒量の適否の判定を行う。
ステップS1では、制御部9は、冷媒ボンベの接続の完了を検出しつつ、冷媒ボンベから延びる配管に設けられた弁(図示せず)を、冷媒の供給を許容する状態とし、冷媒の追加充填を開始させる。
ステップS2では、制御部9は、図4に示すように、高圧側タンクバイパス弁62および低圧側タンクバイパス弁65を全閉状態としたままで、上述の通常運転モードの冷房運転の欄で述べた制御と同様の運転が行われるように、機器を制御する。これにより、追加充填用の冷媒ボンベから冷媒回路10内に冷媒が追加充填されていく。なお、ステップS2の終了時点は、室外膨張弁38から室外熱交換器23に至るまでの間を液状態の冷媒で満たすことができる程度に追加充填が行われたか否かを、サービスエンジニア等が経験的に判断する。そして、サービスエンジニアは、ひとまず、追加充填を終了させる。
ステップS3では、制御部9は、高圧側タンクバイパス弁62および低圧側タンクバイパス弁65を全開状態とし、室外膨張弁38を全閉状態にしつつ、圧縮機21および室外ファン28の運転を継続させる液化制御を行う。このように制御することで、図6に示されるように、室外膨張弁38の冷媒の通過を遮断することができ、冷媒回路10内における冷媒の循環を途絶えさせることができる。そして、制御部9は圧縮機21および室外ファン28の運転を継続させているために、冷媒は、凝縮器として機能する室外熱交換器23において、室外ファン28によって供給される室外空気との間で熱交換を行い、冷却されることで凝縮していく。このように、冷媒回路10内での冷媒の循環が途絶えている場合には、室外熱交換器23において凝縮した冷媒は、冷媒回路10のうち室外熱交換器23を含む室外膨張弁38の上流側であって、かつ、圧縮機21の下流側の部分に徐々に溜まっていくことになる。ここでは、高圧側タンクバイパス弁62および低圧側タンクバイパス弁65を全開状態としているため、室外熱交換器23によって凝縮した液冷媒は、室外熱交膨張接続配管6eから分岐する高圧側タンクバイパス管61を通じて冷媒タンク63に溜められていく。そして、冷媒タンク63は、上端近傍から延びる低圧側タンクバイパス管64を介してガス冷媒連絡管7に接続されているため、溜まっている液冷媒の一部がガス化してガス冷媒連絡管7に流れることになる。
ステップS4では、制御部9は、タンク液検知センサ66による検知に基づいて、冷媒タンク63内の液冷媒が所定量を超えたか否かを判断する。ここで、制御部9が所定量を超えていると判断した場合には、低圧側タンクバイパス弁65の弁開度を絞り気味にしてステップS5に移行する。このように、低圧側タンクバイパス弁65の弁開度を絞り気味に制御することで、液冷媒が圧縮機21に直接吸い込まれることが無いようにしている。また、圧縮機21の吐出管温度の異常な上昇を防いでいる。なお、制御部9は、所定量を超えていないと判断した場合には、液化制御を続行する。
ステップS5では、制御部9は、図7に示すように、タンクバイパス温度センサ67が検知する冷媒温度に急激な変化があるか否かを判断する。ここで、タンクバイパス温度センサ67によって急激な温度変化を検出した場合には、冷媒タンク63が満タンとなって低圧側タンクバイパス管64に冷媒があふれてきた状態であると判断し、図8に示すように、タンクバイパス温度センサ67の上流側に設けられた低圧側タンクバイパス弁65を全閉状態としてステップS6に移行する。これにより、室外熱交換器23によって凝縮された液冷媒は、室外膨張弁38を通過することもできず、低圧側タンクバイパス弁65を通過することもできず、完全に循環が途絶えた状態で、圧縮機21および室外ファン28が稼働し続け、冷媒回路10内の冷媒をほとんど全て液状態として室外膨張弁38の上流側に集めていくことになる。すなわち、室外膨張弁38および低圧側タンクバイパス弁65が制御部9によって全閉状態に制御された状態で、圧縮機21による吸入が続けられていため、冷媒回路10のうち室内熱交換器42やガス冷媒連絡管7等のような室外膨張弁38の下流側でかつ圧縮機21の上流側の部分および低圧側タンクバイパス弁65の下流側で圧縮機21の上流側の部分に存在する冷媒は、圧縮機21によって吸引され続ける。これにより、室外膨張弁38の下流側でかつ圧縮機21の上流側の部分および低圧側タンクバイパス弁65の下流側で圧縮機21の上流側の部分は減圧されていき、冷媒がほとんど存在しない状態となる。これにより、冷媒回路10内の冷媒は、液状態となって、冷媒回路10のうち室外熱交膨張接続配管6e、第1低圧側タンクバイパス管64a、冷媒タンク63、高圧側タンクバイパス管61、および、室外熱交換器23内の部分に集中的に集められることになる。
ステップS6では、制御部9は、図9に示すように、液面検知センサ39によって検知される室外熱交換器23に内在する冷媒の液面が、所定変動範囲内で維持された状態が所定持続時間以上続いているか否か判断する。ここでの液面高さの所定変動範囲内は、例えば、プラスマイナス5cmの範囲内とすることができる。また、所定時間としては、例えば、液面高さがプラスマイナス5cmの所定変動範囲内で維持された状態のまま経過する時間として、5分とすることができる。
ここで、制御部9が、所定変動範囲内で維持された状態が所定時間以上続いていると判断した場合には、ステップS7に移行する。なお、制御部9が、所定変動範囲内で維持された状態が所定時間以上続いていないと判断した場合には、ステップS5の処理を継続させる。
ステップS7では、制御部9は、冷媒回路10のうち室外熱交膨張接続配管6e、第1低圧側タンクバイパス管64a、冷媒タンク63、高圧側タンクバイパス管61、および、室外熱交換器23内の部分に集中的に集められた液冷媒の温度を一定化させる温度一定化制御を行う。具体的には、制御部9は、室外膨張弁38および低圧側タンクバイパス弁65を全閉状態にしつつ、圧縮機21および室外ファン28の運転を継続させることで、室外熱交膨張接続配管6e、第1低圧側タンクバイパス管64a、冷媒タンク63、高圧側タンクバイパス管61、および、室外熱交換器23内の部分に存在している液冷媒の温度を、周囲温度に近づけて一定化させる制御を行う。ここでは、集められた液冷媒は、特に、室外膨張弁38および低圧側タンクバイパス弁65が全閉状態とされて流通が遮断されていることから、移動することなく、その場で周囲の温度の影響を受けることになる。このようにして、制御部9は、液管温度センサ35によって検知される温度が、所定温度範囲内で維持された状態が所定安定時間以上続いているか否か判断する。ここでの液管温度センサ35についての検知温度の所定温度範囲内は、例えば、プラスマイナス3℃の範囲内とすることができる。また、所定安定時間としては、例えば、液管温度センサ35の検知温度が所定温度範囲内で維持された状態のまま経過する時間として、10分とすることができる。
ここで、制御部9が、所定温度範囲内で維持された状態が所定安定時間以上続いていると判断した場合には、ステップS8に移行する。なお、制御部9が、所定温度範囲内で維持された状態が所定安定時間以上続いていないと判断した場合には、ステップS7を繰り返す。
ステップS8では、液面検知センサ39によって室外熱交換器23に溜まっている液冷媒の液面高さhを検知する。ここで、液面検知センサ39は、冷媒が気体状態で存在する領域と、液体状態で存在する領域との境界を液面として検出する。液面検知センサ39が検知を行うタイミングは、ステップS7の温度一定化制御によって液冷媒の温度が一定となった時である。これにより、制御部9は、液面検知センサ39によって得られる液面の高さhを(図9参照)、メモリ19に格納されている室外熱交換器23に関する液面高さと冷媒量との関係式に代入する。さらに、制御部9は、メモリ19に格納されている、液面検知センサ39が検知する液面高さhから室外熱交換器23内に溜まっている冷媒量を算出するための関係式、冷媒回路10のうち室外熱交膨張接続配管6eの容積、高圧側タンクバイパス管61の容積、冷媒タンク63の容積、第1低圧側タンクバイパス管64aの容積の各部の体積データを読み出す。そして、制御部9は、室外熱交換器23の関係式から求まる室外熱交換器23に内在する液冷媒の体積と、冷媒回路10のうち室外熱交膨張接続配管6eの容積、高圧側タンクバイパス管61の容積、冷媒タンク63の容積、および、第1低圧側タンクバイパス管64aの容積、の各部の体積との和に対して、液管温度センサ35によって検知した値に応じた液冷媒の密度データを乗じて、液冷媒量を求める。
これにより、制御部9は、液状態として集めた冷媒量を演算することができる。
ステップS9では、制御部9は、上述のステップS8において演算された冷媒量と、メモリ19に格納されている適正冷媒量と、の差を算出する。
ステップS10では、制御部9は、ステップS8で算出された冷媒量の差が、所定誤差範囲内か否か判断する。ここで、所定誤差範囲内であると制御部9が判断した場合には、適正冷媒量充填運転モードを終える。この際、制御部9は、速やかに圧縮機21の運転を停止する。このように、圧縮機21の運転を検出後速やかに停止させることで、室内熱交換器42やガス冷媒連絡管7等が極端に減圧されることを回避して、機器の信頼性を維持させることができる。また、圧縮機21の出力側に設けられた上昇を抑えることができ、圧縮機21についての信頼性も維持させることができる。なお、制御部9は、所定誤差範囲外であると判断した場合には、ステップS11に移行する。
ステップS11では、制御部9は、不足冷媒量もしくは過剰冷媒量を出力する。これにより、出力された内容に基づいて、サービスエンジニアが、適正冷媒量に対する不足分の冷媒を追加充填するか、もしくは、適正冷媒量に対する過剰分の冷媒を冷媒回路10から回収する。そして、再度ステップS3に戻って、制御部9によって所定誤差範囲内であるとの判断が出されるまで、同様の処理を繰り返す。
ステップS12では、制御部9は、冷媒ボンベから延びる配管に設けられた弁(図示せず)を、冷媒の追加充填を許容しない状態にし、冷媒の追加充填を終える。
(冷媒漏洩検知運転モード)
次に、冷媒漏洩検知運転モードについて説明する。
冷媒漏洩検知運転モードは、冷媒充填作業を伴う点を除いては、適正冷媒量充填運転モードとほぼ同様である。
冷媒漏洩検知運転モードは、例えば、定期的(休日や深夜等で空調を行う必要がない時間帯等)に、冷媒回路10から冷媒が外部に漏洩していないかどうかを検知する場合に行われる運転である。
冷媒漏洩検知運転では、図10に示されるように、ステップS11〜ステップS19の順序で行われる処理を行う。
ステップS11では、制御部9は、高圧側タンクバイパス弁62および低圧側タンクバイパス弁65を全閉状態としたままで、上述の通常運転モードの冷房運転の欄で述べた制御と同様の運転が行われるように、機器を制御する。なお、ステップS11の冷房運転の終了時点は、開始からの所定時間の経過によって判断してもよいし、サービスエンジニアが手動によって終了させるようにしてもよい。いずれにしても、ここでは、冷房運転によって冷媒回路10内の冷媒分布状態が、図4に示したような状態で安定するのを待って、ステップS12に移行する。
ステップS12では、制御部9は、高圧側タンクバイパス弁62および低圧側タンクバイパス弁65を全開状態とし、室外膨張弁38を全閉状態にしつつ、圧縮機21および室外ファン28の運転を継続させる液化制御を行う。このように制御することで、図6に示されるように、室外膨張弁38の冷媒の通過を遮断することができ、冷媒回路10内における冷媒の循環を途絶えさせることができる。そして、制御部9は圧縮機21および室外ファン28の運転を継続させているために、冷媒は、凝縮器として機能する室外熱交換器23において、室外ファン28によって供給される室外空気との間で熱交換を行い、冷却されることで凝縮していく。このように、冷媒回路10内での冷媒の循環が途絶えている場合には、室外熱交換器23において凝縮した冷媒は、冷媒回路10のうち室外熱交換器23を含む室外膨張弁38の上流側であって、かつ、圧縮機21の下流側の部分に徐々に溜まっていくことになる。ここでは、高圧側タンクバイパス弁62および低圧側タンクバイパス弁65を全開状態としているため、室外熱交換器23によって凝縮した液冷媒は、室外熱交膨張接続配管6eから分岐する高圧側タンクバイパス管61を通じて冷媒タンク63に溜められていく。そして、冷媒タンク63は、上端近傍から延びる低圧側タンクバイパス管64を介してガス冷媒連絡管7に接続されているため、溜まっている液冷媒の一部がガス化してガス冷媒連絡管7に流れることになる。
ステップS13では、制御部9は、タンク液検知センサ66による検知に基づいて、冷媒タンク63内の液冷媒が所定量を超えたか否かを判断する。ここで、制御部9が所定量を超えていると判断した場合には、低圧側タンクバイパス弁65の弁開度を絞り気味にしてステップS5に移行する。このように、低圧側タンクバイパス弁65の弁開度を絞り気味に制御することで、液冷媒が圧縮機21に直接吸い込まれることが無いようにしている。また、圧縮機21の吐出管温度の異常な上昇を防いでいる。なお、制御部9は、所定量を超えていないと判断した場合には、液化制御を続行する。
ステップS14では、制御部9は、図7に示すように、タンクバイパス温度センサ67が検知する冷媒温度に急激な変化があるか否かを判断する。ここで、タンクバイパス温度センサ67によって急激な温度変化を検出した場合には、冷媒タンク63が満タンとなって低圧側タンクバイパス管64に冷媒があふれてきた状態であると判断し、図8に示すように、タンクバイパス温度センサ67の上流側に設けられた低圧側タンクバイパス弁65を全閉状態としてステップS15に移行する。これにより、室外熱交換器23によって凝縮された液冷媒は、室外膨張弁38を通過することもできず、低圧側タンクバイパス弁65を通過することもできず、完全に循環が途絶えた状態で、圧縮機21および室外ファン28が稼働し続け、冷媒回路10内の冷媒をほとんど全て液状態として室外膨張弁38の上流側に集めていくことになる。すなわち、室外膨張弁38および低圧側タンクバイパス弁65が制御部9によって全閉状態に制御された状態で、圧縮機21による吸入が続けられていため、冷媒回路10のうち室内熱交換器42やガス冷媒連絡管7等のような室外膨張弁38の下流側でかつ圧縮機21の上流側の部分および低圧側タンクバイパス弁65の下流側で圧縮機21の上流側の部分に存在する冷媒は、圧縮機21によって吸引され続ける。これにより、室外膨張弁38の下流側でかつ圧縮機21の上流側の部分および低圧側タンクバイパス弁65の下流側で圧縮機21の上流側の部分は減圧されていき、冷媒がほとんど存在しない状態となる。これにより、冷媒回路10内の冷媒は、液状態となって、冷媒回路10のうち室外熱交膨張接続配管6e、第1低圧側タンクバイパス管64a、冷媒タンク63、高圧側タンクバイパス管61、および、室外熱交換器23内の部分に集中的に集められることになる。
ステップS15では、制御部9は、液面検知センサ39によって検知される室外熱交換器23に内在する冷媒の液面が、所定変動範囲内で維持された状態が所定持続時間以上続いているか否か判断する。ここでの液面高さの所定変動範囲内は、例えば、プラスマイナス5cmの範囲内とすることができる。また、所定時間としては、例えば、液面高さがプラスマイナス5cmの所定変動範囲内で維持された状態のまま経過する時間として、5分とすることができる。
ここで、制御部9が、所定変動範囲内で維持された状態が所定時間以上続いていると判断した場合には、ステップS16に移行する。なお、制御部9が、所定変動範囲内で維持された状態が所定時間以上続いていないと判断した場合には、液化制御を継続させる。
ステップS16では、制御部9は、冷媒回路10のうち室外熱交膨張接続配管6e、第1低圧側タンクバイパス管64a、冷媒タンク63、高圧側タンクバイパス管61、および、室外熱交換器23内の部分に集中的に集められた液冷媒の温度を一定化させる温度一定化制御を行う。具体的には、制御部9は、室外膨張弁38および低圧側タンクバイパス弁65を全閉状態にしつつ、圧縮機21および室外ファン28の運転を継続させることで、室外熱交膨張接続配管6e、第1低圧側タンクバイパス管64a、冷媒タンク63、高圧側タンクバイパス管61、および、室外熱交換器23内の部分に存在している液冷媒の温度を、周囲温度に近づけて一定化させる制御を行う。ここでは、集められた液冷媒は、特に、室外膨張弁38および低圧側タンクバイパス弁65が全閉状態とされて流通が遮断されていることから、移動することなく、その場で周囲の温度の影響を受けることになる。このようにして、制御部9は、液管温度センサ35によって検知される温度が、所定温度範囲内で維持された状態が所定安定時間以上続いているか否か判断する。ここでの液管温度センサ35の検知温度の所定温度範囲内は、例えば、プラスマイナス3℃の範囲内とすることができる。また、所定安定時間としては、例えば、液管温度センサ35の検知温度が所定温度範囲内で維持された状態のまま経過する時間として、10分とすることができる。
ここで、制御部9が、所定温度範囲内で維持された状態が所定安定時間以上続いていると判断した場合には、ステップS17に移行する。なお、制御部9が、所定温度範囲内で維持された状態が所定安定時間以上続いていないと判断した場合には、ステップS16を繰り返す。
ステップS17では、制御部9は、液面検知センサ39によって検知される室外熱交換器23に内在する冷媒の液面が、所定変動範囲内で維持された状態が所定持続時間以上続いているか否か判断する。ここでの液面高さの所定変動範囲内は、例えば、プラスマイナス5cmの範囲内とすることができる。また、所定時間としては、例えば、液面高さがプラスマイナス5cmの所定変動範囲内で維持された状態のまま経過する時間として、5分とすることができる。
ここで、制御部9が、所定変動範囲内で維持された状態が所定時間以上続いていると判断した場合には、ステップS18に移行する。なお、制御部9が、所定変動範囲内で維持された状態が所定時間以上続いていないと判断した場合には、ステップS17の液化制御を継続させる。
ステップS18では、制御部9は、液面検知センサ39によって室外熱交換器23に溜まっている液冷媒の液面高さhを検知する。ここで、液面検知センサ39は、冷媒が気体状態で存在する領域と、液体状態で存在する領域との境界を液面として検出する。液面検知センサ39が検知を行うタイミングは、ステップS17において液面高さが安定したと判断された時である。これにより、制御部9は、液面検知センサ39によって得られる液面の高さhを(図9参照)、メモリ19に格納されている室外熱交換器23に関する液面高さと冷媒量との関係式に代入する。さらに、制御部9は、メモリ19に格納されている、液面検知センサ39が検知する液面高さhから室外熱交換器23内に溜まっている冷媒量を算出するための関係式、冷媒回路10のうち室外熱交膨張接続配管6eの容積、高圧側タンクバイパス管61の容積、冷媒タンク63の容積、および、第1低圧側タンクバイパス管64aの容積、の各部の体積データを読み出す。そして、制御部9は、室外熱交換器23の関係式から求まる室外熱交換器23内部の液冷媒の体積と、冷媒回路10のうち室外熱交膨張接続配管6eの容積、高圧側タンクバイパス管61の容積、冷媒タンク63の容積、第1低圧側タンクバイパス管64aの容積の部分の体積との和に対して、液管温度センサ35によって検知した値に応じた液冷媒の密度データを乗じて、液冷媒量を求める。
これにより、制御部9は、液状態として集めた冷媒量を演算することができる。
ステップS19では、制御部9は、上述のステップS18において演算された冷媒量が、メモリ19に格納されている適正冷媒量となっているか否かを判断することで、冷媒回路10での冷媒漏洩の有無を判断する。
なお、液面高さhのデータを検出した後は、制御部9は、速やかに圧縮機21の運転を停止する。このように、圧縮機21の運転を検出後速やかに停止させることで、室内熱交換器42やガス冷媒連絡管7等が極端に減圧されることを回避して、機器の信頼性を維持させることができる。また、圧縮機21の出力ポート温度の過剰な上昇を抑えることができ、圧縮機21についての信頼性も維持させることができる。以上により、冷媒漏洩検知運転を終了する。
<1.3>第1実施形態の空気調和装置および冷媒量判定方法の特徴
(1)
第1実施形態の空気調和装置1では、液化制御によって、冷媒回路10内に存在する冷媒のほぼ全部を、冷媒回路10のうち室外熱交膨張接続配管6eの容積、高圧側タンクバイパス管61の容積、冷媒タンク63の容積、第1低圧側タンクバイパス管64a、および、室外熱交換器23内に存在させることができる。これにより、冷媒回路10内のすべての冷媒を室外熱交換器23のみに溜めきることが困難な規模の空気調和装置1の冷媒量を判定する場合であっても、冷媒回路10内の冷媒の一部を冷媒タンク63に冷媒を溜めることにより、冷媒量の判定を精度よく行うことができる。
また、例えば、室外ユニット2と室内ユニット4とを結ぶ配管部分の体積に相当する容積を冷媒タンク63が有している場合には、室外ユニット2と室内ユニット4とを結ぶ配管部分に液冷媒を溜めなくても、冷媒量の判定を精度よく行うことができる。このように、冷媒タンク63を用いて冷媒量の判定を行う場合には、室外ユニット2と室内ユニット4とを接続する配管部分の周囲の温度によって受ける影響を回避した判定が可能であるため、判定精度を向上させることができる。さらに、室外熱交換器23によって凝縮された液冷媒の量を、室内ユニット4側を巡らせることなく判定することができ、室内ユニット4側を巡る途中で冷媒が受ける周囲温度の影響を回避でき、判定精度を向上させることができる。
(2)
第1実施形態の空気調和装置1では、第1低圧側タンクバイパス管64aは、冷媒タンク63の上端近傍から延びるように設けられている。ここでは、液冷媒はガス状態の冷媒より重いことから、液冷媒は、冷媒タンク63内ではガス冷媒よりも下方に位置している。これにより、液面が上方にくるまで、冷媒タンク63から液冷媒が漏れ出すことがなく、冷媒タンク63が液冷媒で満タンになるまで溜めることができる。
冷媒タンク63の真ん中程度の高さから出力配管が出ている形状と比較して冷媒タンクの大きさを十分に活用することができる。これにより、同様の体積の液冷媒を溜めることができる冷媒タンクとしては、コンパクトに設計することができる。
(3)
第1実施形態の空気調和装置1では、冷媒タンク63内に目標とする量の液冷媒を溜められたか否か、すなわち、冷媒タンク63を液冷媒で満タンにすることができたか否かを判断しつつ、目標とする冷媒量を溜めた後に低圧側タンクバイパス弁65を閉じて冷媒の通過を許容しない状態にしている。このため、冷媒タンク63内の液冷媒量の満タン検知後における変動を小さく抑えることができ、冷媒量の正確な判定を行うことが可能になっている。
<1.4>第1実施形態の変形例
(A)
上記第1実施形態では、低圧側タンクバイパス管64に低圧側タンクバイパス弁65が設けられている場合を例に挙げて説明した。
しかし、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、図11に示すように、低圧側タンクバイパス弁65に代えて、キャピラリーチューブ65Tを設ける構成としてもよい。
この場合には、図12のブロック構成図に示すように、制御部9は、低圧側タンクバイパス弁65の開閉制御を行う必要がなくなる。
具体的には、適正冷媒量自動充填運転モードおよび冷媒漏洩検知運転モードを実行する場合には、図13に示すような冷媒分布となる。これにより、キャピラリーチューブ65Tを通過する液冷媒によって、圧縮機21の吐出管温度の異常上昇を抑えながら冷媒量の判定を行うことができる。
(B)
なお、上記第1実施形態において示した冷媒回路10は、例えば、図14に示すように、四路切換弁22を通過して圧縮機21に向かう冷媒が通過する位置にアキュムレータ24を設けた冷媒回路111bが採用された空気調和装置101bであってもよい。
この場合には、タンクバイパス回路60を通じてガス冷媒連絡管7側に流れてきた液冷媒があったとしても、圧縮機21に直接吸い込まれる事態を確実に回避することができる。
(C)
上記第1実施形態の空気調和装置1では、冷媒タンク63が1つのみ設けられた構成を例に挙げて説明した。
しかし、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、図15に示すように、冷媒タンク661と冷媒タンク662とが直列的に接続された冷媒回路111cが採用された空気調和装置101cであってもよい。この場合には、タンク液検知センサ661および662による検知をそれぞれ行うことになる。
なお、このように複数に分割された冷媒タンク631、632は、空気調和装置の冷媒回路の規模に応じて接続させる個数を調節し、適正冷媒量が液面検知センサ39によって検知可能な位置にくるようにしてもよい。この場合には、冷媒回路に用いられている冷媒量に応じた固有の冷媒タンクを設計することなく、複数の汎用タンクを組み合わせる個数を調節することで、様々な種類の冷媒回路について冷媒量を判定することができるようになる。
(D)
上記実施形態では、検知対象となる液冷媒について、液冷媒の温度に応じた密度で冷媒量を算出できるように、把握された液冷媒の体積に、液管温度センサ35の検知温度に応じた液冷媒密度を乗じる場合を例に挙げて説明した。
しかし、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、冷媒の性質上、周囲温度に非常に近くなって落ち着く場合には、液管温度センサ35ではなく、室外温度センサ36によって検知された温度を用いてもよい。
(E)
第1実施形態において、室外熱交換器23や室内熱交換器42の例としてクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器を挙げたが、これに限定されず、他の型式の熱交換器であってもよい
第1実施形態において、圧縮機21の例として1台のみが設けられている場合を挙げたが、これに限定されず、室内ユニットの接続台数等に応じて、2台以上の圧縮機が、並列に接続されていてもよい。
第1実施形態において、ヘッダ23bと分流器23cの例として熱交換器本体23aに対して互いに逆側の端部に設けられている形式を挙げたが、ヘッダ23bおよび分流器23cが熱交換器本体23aの同じ端部側に設けられていてもよい。
(F)
第1実施形態では、冷房運転時等において、各室内熱交換器42の出口における冷媒の過熱度は、ガス側温度センサ45により検出される冷媒温度値から液側温度センサ44により検出される冷媒温度値(蒸発温度に対応)を差し引くことによって検出する場合を例に挙げて説明した。
しかし、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、吸入圧力センサ29により検出される圧縮機21の吸入圧力を蒸発温度に対応する飽和温度値に換算し、ガス側温度センサ45により検出される冷媒温度値からこの冷媒の飽和温度値を差し引くことによって検出するようにしてもよい。
さらに、別の検出方法としては、各室内熱交換器42内を流れる冷媒の温度を検出する温度センサを新たに設けて、この温度センサにより検出される蒸発温度に対応する冷媒温度値を、ガス側温度センサ45により検出される冷媒温度値から差し引くことによって検出するようにしてもよい。
また、第1実施形態では、暖房運転時等において、室内熱交換器42の出口における冷媒の過冷却度は、吐出圧力センサ30により検出される圧縮機21の吐出圧力を凝縮温度に対応する飽和温度値に換算し、この冷媒の飽和温度値から液側温度センサ44により検出される冷媒温度値を差し引くことによって検出する場合を例に挙げて説明した。
しかし、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、各室内熱交換器42内を流れる冷媒の温度を検出する温度センサを設けて、この温度センサにより検出される凝縮温度に対応する冷媒温度値を、液側温度センサ44により検出される冷媒温度値から差し引くことによって検出するようにしてもよい。
(G)
第1実施形態では、冷媒漏洩検知の判定として、液冷媒の量を算出する方法を例に挙げて説明した。
しかし、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、液冷媒の温度に応じた最適冷媒量に対応する基準液面高さHを予め求めて、メモリ19に格納しておくようにしてもよい。これにより、上記実施形態における冷媒量の演算を行う必要がなくなり、検知される検知液面高さhを指標となる基準液面高さHと直接比較することで、冷媒漏洩検知を行うことができるようになる。
(H)
上記第1実施形態では、電気抵抗検出部材が採用された液面検知センサ39によって、室外熱交換器23内の液相部分の電気抵抗と気相部分の電気抵抗との相違によって液面高さhを検出する場合を例に挙げて説明した。
しかし、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、液面検知センサ39は、室外熱交換器23の側面であって、冷房運転を行う際の冷媒回路10における冷媒の流れ方向において室外膨張弁38の上流側に配置され、室外熱交換器23のヘッダ23bの高さ方向に沿ってそれぞれ異なる高さ位置に配置されたサーミスタを有した構成であってもよい。具体的には、液面検知センサ39は、これらのサーミスタの検知温度の相違に基づいて、冷媒が気体状態で存在する領域と、冷媒が液体状態で存在する領域との境界を液面高さとして検出する。ここでは、サーミスタの検出温度のうち、飽和温度以下の温度を検出しているものについては、当該サーミスタが配置されている高さにおいては冷媒が液状態で存在していると、制御部9が判定することになる。また、サーミスタの検出温度のうち、飽和温度を超える温度を検出しているものについては、当該サーミスタが配置されている高さにおいては冷媒がガス状態で存在していると、制御部9が判定することになる。これにより、液面検知センサ39のサーミスタが複数の異なる高さ位置毎に液冷媒の有無を検知するために、制御部9は、液冷媒の温度として検出される高さのうち最も高い位置を超えた位置に液面が存在することを把握できる。
さらに、液面検知センサ39によって、室外熱交換器23の液面高さhを検出する場合には、検出直前に、四路切換弁22の圧縮機21に対する接続状態を切り換えることで、室外熱交換器23内の気相部分のみについて、温度を急激に低下させて、液相との温度差を生じさせ、もしくは、温度差を広げさせる、液面明確化制御を制御部9が行ってもよい。
また、図16に示すように、ホットガスバイパス回路80が設けられた冷媒回路111dを有する空気調和装置101dにおいて、制御部9がホットガスバイパス回路80を利用した液面明確化制御を行うようにしてもよい。
このホットガスバイパス回路80は、図16に示すように、ホットガスバイパス管81、および、ホットガスバイパス弁82を有している。ホットガスバイパス管81は、四路切換弁22に対して圧縮機21の吸入側を接続する四路圧縮接続配管7cと、室外機内接続配管8と、を互いに接続している。そして、ホットガスバイパス弁82は、ホットガスバイパス管81の途中に設けられており、ホットガスバイパス管81における冷媒の通過を許容する開状態にしたり、冷媒の通過を許容しない閉状態にしたりして、切り換えることができる。なお、ホットガスバイパス管81のうち、ホットガスバイパス弁82から室外機内接続配管8側に延びている部分を、高圧側ホットガスバイパス管81aとする。また、ホットガスバイパス管81のうち、ホットガスバイパス弁82からガス冷媒連絡管7側に延びている部分を、低圧側ホットガスバイパス管81bとする。
ここでは、冷媒回路111dのブロック構成図は、図17に示すように、ホットガスバイパス弁82が追加されている。
制御部9は、以下のように、ホットガスバイパス弁82の開閉状態を制御することで、液面明確化制御を行う。
具体的には、制御部9は、図18に示すように、適正冷媒量充填運転モードのステップS2や冷媒漏洩検知運転モードのステップS11の最初に行われる冷房運転同様制御では、ホットガスバイパス弁82を閉じた状態で冷房運転同様の制御を行う。これにより、冷媒回路111d内は、図18に示すような冷媒分布状態となる。
次に、制御部9は、図19に示すように、適正冷媒量充填運転モードのステップS3や冷媒漏洩検知運転モードのステップS12の液化制御では、ホットガスバイパス弁82を閉じたままで、室外膨張弁38および低圧側タンクバイパス弁65を閉じて冷媒回路111内の冷媒を液状態で集める制御を行う。このように液化制御することで、図19に示されるように、室外膨張弁38および低圧側タンクバイパス弁65における冷媒の通過を遮断することができ、冷媒回路111d内における冷媒の循環を途絶えさせることができる。そして、制御部9は圧縮機21および室外ファン28の運転を継続させているために、冷媒は、凝縮器として機能する室外熱交換器23において、室外ファン28によって供給される室外空気との間で熱交換が行われ、冷却されることで凝縮していく。このように、冷媒回路111d内での冷媒の循環が途絶えている場合には、室外熱交換器23において凝縮した冷媒は、冷媒回路111dのうち室外熱交換器23を含む室外膨張弁38および低圧側タンクバイパス弁65を閉じての上流側であって、かつ、圧縮機21の下流側の部分に徐々に溜まっていくことになる。さらに、ここでは、制御部9によって室外膨張弁38および低圧側タンクバイパス弁65が全閉状態に制御された状態で、圧縮機21による吸入が続けられている。このため、冷媒回路111dのうち液冷媒連絡管6、室内熱交換器42、ガス冷媒連絡管7、第2低圧側タンクバイパス管64bおよび低圧側ホットガスバイパス管81b等のような室外膨張弁38の下流側で、かつ、圧縮機21の上流側の部分に存在する冷媒は、圧縮機21によって吸引され続ける。これにより、室外膨張弁38の下流側で、かつ、圧縮機21の上流側の部分は、減圧されていき、冷媒がほとんど存在しない状態となる。これにより、冷媒回路111d内の冷媒は、液状態となって、冷媒回路111dのうち室外熱交膨張接続配管6eの容積、高圧側タンクバイパス管61の容積、冷媒タンク63の容積、第1低圧側タンクバイパス管64a、および、室外熱交換器23内に集中的に集められることになる。
さらに、制御部9は、適正冷媒量充填運転モードのステップS7や冷媒漏洩検知運転モードのステップS16の液温一定化制御では、液バイパス膨張弁72をわずかに開けた液戻り制御を行いながら、ホットガスバイパス弁82を閉じたままで、冷媒回路111d内の液冷媒の温度が周囲温度近傍で安定化するのを待つ。
その後、制御部9は、液冷媒の温度が安定したと判断した場合に、ホットガスバイパス弁82を開けることで液面明確化制御を行う。この液面明確化制御によって、図20に示すように、室外機内接続配管8が圧縮機21の吸入側に連通した状態となるため、室外機内接続配管8内の冷媒圧力が急激に低下する。このように、室外熱交換器23内の気相冷媒の圧力も急激に低下するため、この室外熱交換器23内の気相冷媒の温度が急激に低下する。ところが、室外熱交換器23内の液冷媒の温度は急激には変化しない。これにより、室外熱交換器23内の冷媒の液相温度と気相温度との差異を生じさせ、もしくは、差異を広げることができる。これにより、液面検知センサ39は、この液面明確化制御が行われた直後に液面の検出を行うことで、室外熱交換器23内の液面高さを精度良く判定することができるようになる。
なお、上述したホットガスバイパス回路80は、例えば、暖房運転開始時に、室内ユニット4に対して冷たい冷媒を送りたくない場合に利用することができる。すなわち、暖房運転開始時に一時的にホットガスバイパス弁82を開けて、圧縮機21の吐出側と吸入側とを接続させることで、室外ユニット2内部で冷媒を暖めることが可能になる。これにより、暖房運転の開始時に問題となる室内ユーザへの不快な冷風供給を抑制することができる。このように、ホットガスバイパス回路80は、単に、上述の液面明確化制御においてのみ利用されるものではなく、暖房運転開始時の一時的な冷媒の暖めに流用することができる。
また、液面明確化制御においては、例えば、以下のようにしてもよい。
例えば、室外熱交換器23内の液面高さhの変化程度が落ち着いてきた状態で、圧縮機21と室外ファン28のモータ28mの回転を止める。そして、室外機内接続配管8内の冷媒温度が周囲温度による影響を受けた状態で、室外ファン28のモータ28mは稼働させないで再度圧縮機21のみを稼働させる。これにより、室外機内接続配管8内の冷媒圧力が急上昇して、室外機内接続配管8内のガス冷媒の温度が急上昇する。このようにして、室外熱交換器23内の気相温度は、顕熱変化によって急上昇する。そして、室外ファン28のモータ28mの回転を止めているため、この気相の温度の急上昇は緩和されにくい。一方で、室外熱交換器23内の液相は周囲温度によって影響を受けたままであり、気相からの熱を供給されたとしても、潜熱変化に用いられ、急激な温度上昇はしない。このようにして、再度圧縮機21のみを稼働させる運転により、温度の高い気相と、温度の低い液相との温度差を生じさせる、もしくは、広げさせることができる。これにより、液面検知センサ39は、室外熱交換器23内の液面高さhを精度良く検知することができるようになる。この場合であっても、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
なお、この他にも、液面明確化制御としては、例えば、液面検知センサ39による検出を行う直前に、室外熱交換器23の液面近傍をヒータ等によって加熱させることであってもよい。この場合には、液相と気相との比熱が異なる性質を利用して、液相はヒータによって迅速に温度上昇し、気相はヒータによってもなかなか温度上昇しない。このため、サーミスタT1〜T5による液面検知が可能な程度までヒータ等で一時的な加熱を行い、ヒータによる加熱を止めた後に、液面検知センサ39による液面検出を行ってもよい。
また、液面明確化制御においては、例えば、以下のようにしてもよい。
例えば、液面明確化制御を行う前に、サーミスタの温度校正処理を行っておいてもよい。例えば、サーミスタが同じ温度を検知するであろう状況で、各サーミスタの検知温度が同じ値を示していると認識させるように制御部9が校正してもよい。具体的には、適正冷媒量自動充填検知運転モードおよび冷媒漏洩検知運転モードの初めにおいて、以下のような処理を行う。
具体的には、制御部9が、冷媒回路10における室外熱交換器23が有するヘッダ23bの温度が安定しているか否かを判定する。制御部9は、室外ユニット2が所定時間(例えば、24時間)以上の間、運転状態とされることが無かったか否か判断する。ここで、制御部9が、所定時間以上の間運転されていないと判断した場合には、制御部9は、液面検知センサ39の各サーミスタT1〜T5の検知値を同時に取得する。
そして、制御部9は、検出した各サーミスタの検出温度が同じ温度を検出しているものとして、サーミスタの校正を行う。ここでは、サーミスタの検出温度のうち最も平均値に近い温度を検出しているサーミスタが検出している温度を、他のサーミスタも検出しているものとして、他のサーミスタの校正を行う。
一般に、未だ凝縮されていない過熱度が付いているガス状態の冷媒と、凝縮されて過冷却度が付いている液状態の冷媒と、の温度差を検出して液面高さを検知しようとすると、液面付近は、凝縮しようとする直前の過熱度が小さいガス状態の冷媒と、凝縮したばかりで過冷却度があまりついていない液状態の冷媒と、が近接していることになる。そして、液面高さを検出するためには、このような、液面付近における、凝縮しようとする直前の過熱度が小さいガス状態の冷媒と、凝縮したばかりで過冷却度があまりついていない液状態の冷媒と、の温度差を検出することができるという程度の精度が要求される。これに対して、このようにサーミスタの校正をした場合には、同一環境下における温度検知誤差を低減させることができ、室外熱交換器23内の液冷媒の量について、検知精度を向上させることができる。すなわち、各サーミスタによる液面高さ検知精度を、あたかも1つのセンサを用いて各高さにおける温度を検知したかのような高い精度とすることができる。
(I)
上記第1実施形態および変形例(H)では、液面明確化制御を行う場合に、制御部9が、室外機内接続配管8の冷媒圧力を急激に低下させる場合を例に挙げて説明した。
このように、室外機内接続配管8内の冷媒圧力を急激に低下させる場合には、冷媒回路10、111の構成や、冷媒の種類によっては、室外熱交換器23内に溜められた液状態の冷媒が泡立ちながら室外機内接続配管8の方へ逆流してしまうおそれがある。すなわち、室外機内接続配管8内の冷媒圧力の急激な低下によって、室外熱交換器23内の液冷媒が室外機内接続配管8側に引っ張られ、急激に体積を膨張させようとして、泡立ってしまうおそれがある。このように液冷媒が泡立ってしまうと、室外熱交換器23内の液相と気相との温度差を明確化させた液面検知センサ39による検出が困難になる。
これに対して、例えば、図21に示すように、室外熱交換器23が有するヘッダ23bの部分の上端近傍に逆流防止部23dを設けることで、泡立った液冷媒の逆流を防止することができる。
この逆流防止部23dは、図21に示すように、室外熱交換器23のヘッダ23bの上方であって、室外機内接続配管8が接続されている側の端部に設けられている。そして、ヘッダ23bから室外機内接続配管8側に向かうにつれて配管内径が徐々に大きくなる部分を有している。これにより、逆流しようとする冷媒の勢いは、この逆流防止部23dにおいて急激に弱めることができる。これにより、室外熱交換器23内の液冷媒の逆流を効果的に防止することができ、液面明確化制御において仮に泡状の冷媒の逆流が生じる場合であっても、液面検知センサ39による精度の低下を抑えることができるようになる。
(J)
上記第1実施形態および変形例(H)では、低圧側タンクバイパス弁65が採用された空気調和装置を例に挙げて説明した。
しかし、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、図22に示すように、変形例(H)における低圧側タンクバイパス弁65の代わりに、キャピラリーチューブ65Tが設けられた冷媒回路111eを有する空気調和装置101eであってもよい。
ここでは、キャピラリーチューブ65Tは、図22に示すように、制御部9が直接的に制御を行うものではない。ここでは、図22に示すように、液冷媒連絡管6における高圧と、ガス冷媒連絡管7における低圧と、の差圧によって、第1低圧側タンクバイパス管64aの液冷媒が、キャピラリーチューブ65Tを通過して、第2低圧側タンクバイパス管64b側に流れる。そして、この差圧は、ホットガスバイパス膨張弁82の弁開度を制御部9が制御することで調節することができる。このように、ホットガスバイパス膨張弁82の弁開度を調節することで、圧縮機21の吸入側に間接的に液冷媒の供給量を調節することができる。これにより、圧縮機21の吐出管温度の上昇を、間接的に抑えることができる。
(K)
上記第1実施形態では、タンクバイパス温度センサ67の検知温度の変化が生じた場合に、冷媒タンク63が満タンになっていると判断する場合を例に挙げて説明した。
しかし、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、図23に示すように、低圧側タンクバイパス弁65の代わりに低圧側タンクバイパス膨張弁165Tを設け、第2低圧側タンクバイパス管64bを通過する冷媒の温度を検知するタンクバイパス温度センサ167aだけでなく、第2低圧側タンクバイパス管64bを通過する冷媒の圧力を検知するタンクバイパス圧力センサ167bを設けられた冷媒回路111fを有する空気調和装置101fとしてもよい。
この空気調和装置101fでは、冷媒タンク63が満タンになったことは、タンクバイパス温度センサ167aと、タンクバイパス圧力センサ167bと、の検知値から冷媒の過熱度を得て、その過熱度の変化の有無により検出することができる。ここでは、例えば、低圧側タンクバイパス膨張弁165Tによる減圧後にタンクバイパス圧力センサ167bにより検出される圧力を蒸発温度に対応する飽和温度値に換算し、タンクバイパス温度センサ167aにより検出される冷媒温度値からこの冷媒の飽和温度値を差し引くことによって検出することができる。このようにして、過熱度に着目した冷媒タンク63の満タン検知を行うことで、温度を基準に判断する場合と比べてより精度の高い判定を行うことができるようになる。
<2>第2実施形態
<2.1>空気調和装置の構成
図24は、本発明の第2実施形態における空気調和装置201の概略構成図である。
空気調和装置201は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、ビル等の室内の冷暖房に使用される装置である。
空気調和装置201は、主として、1台の熱源ユニットとしての室外ユニット2と、それに並列に接続された複数台(本実施形態では2台)の利用ユニットとしての室内ユニット4、5と、室外ユニット2と室内ユニット4、5とを接続する冷媒連絡管としての液冷媒連絡管6およびガス冷媒連絡管7とを備えている。すなわち、本実施形態の空気調和装置201における蒸気圧縮式の冷媒回路210は、室外ユニット2、室内ユニット4、5、液冷媒連絡管6、および、ガス冷媒連絡管7が接続されることによって構成されている。
(室内ユニット)
室内ユニット4、5は、ビル等の室内の天井に埋め込みや吊り下げ等により、または、室内の壁面に壁掛け等により設置されている。室内ユニット4、5は、冷媒回路210の一部を構成しており、液冷媒連絡管6およびガス冷媒連絡管7を介して室外ユニット2に接続されている。
次に、室内ユニット4、5の構成について説明する。
なお、室内ユニット4と室内ユニット5とは、同様の構成であるため、ここでは、室内ユニット4の構成のみ説明し、室内ユニット5の構成については、それぞれ、室内ユニット4の各部を示す40番台の符号の代わりに50番台の符号を付して、各部の説明を省略する。
室内ユニット4は、主として、冷媒回路210の一部を構成する室内側冷媒回路210a(室内ユニット5では室内側冷媒回路210b)を有している。この室内側冷媒回路210aは、主として、利用側熱交換器としての室内熱交換器42を有している。
本実施形態において、室外膨張弁38は、室外側冷媒回路210c内を流れる冷媒の流量調節等を行うために、電動膨張弁であり、冷媒の通過を遮断することも可能である。
本実施形態において、室内熱交換器42は、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、冷房運転時には、冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には、冷媒の凝縮器として機能して室内空気を加熱する熱交換器である。
本実施形態において、室内ユニット4は、ユニット内に室内空気を吸入して、室内熱交換器42において冷媒と熱交換させた後に、供給空気として室内に供給するための送風ファンとしての室内ファン43を有している。室内ファン43は、室内熱交換器42に供給する空気の風量を可変することが可能なファンである。この室内ファン43は、DCファンモータ等からなるモータ43mによって駆動される遠心ファンや多翼ファン等である。
また、室内ユニット4には、各種のセンサが設けられている。
室内熱交換器42の液側には、冷媒の温度(すなわち、暖房運転時における凝縮温度または冷房運転時における蒸発温度に対応する冷媒温度)を検出する液側温度センサ44が、設けられている。室内熱交換器42のガス側には、冷媒の温度を検出するガス側温度センサ45が設けられている。室内ユニット4の室内空気の吸入口側には、ユニット内に流入する室内空気の温度(すなわち、室内温度)を検出する室内温度センサ46が設けられている。
本実施形態において、液側温度センサ44、ガス側温度センサ45、および、室内温度センサ46は、サーミスタからなる。
また、室内ユニット4は、室内ユニット4を構成する各部の動作を制御する室内側制御部47を有している。そして、室内側制御部47は、室内ユニット4の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリ19等に接続されている。これらのマイクロコンピュータやメモリ19等は、室内ユニット4を個別に操作するためのリモコン(図示せず)との間で制御信号等のやりとりを行ったり、室外ユニット2との間で伝送線(図示せず)を介して制御信号等のやりとりを行ったりすることができるようになっている。
(室外ユニット)
室外ユニット2は、ビル等の室外に設置され、室内ユニット4、5の間で冷媒回路210を構成しており、液冷媒連絡管6およびガス冷媒連絡管7を介して室内ユニット4、5に接続されている。
次に、室外ユニット2の構成について説明する。
室外ユニット2は、主として、冷媒回路210の一部を構成する室外側冷媒回路210cを有している。この室外側冷媒回路210cは、主として、圧縮機21、四路切換弁22、室外熱交換器23、液面検知センサ239、室外膨張弁38、室外膨張回路38a、38b、ブリッジ回路6j,6k,6m,6n,6p,6r、および、レシーババイパス回路90、液側閉鎖弁26、ガス側閉鎖弁27、各種のセンサ、室外側制御部37を有している。
圧縮機21は、運転容量を可変することが可能な圧縮機である。この圧縮機21は、モータ21mによって駆動される容積式圧縮機である。このモータ21mの回転数は、インバータにより制御される。
四路切換弁22は、冷房運転時と暖房運転時とで、冷媒の流れの方向を切り換えるための弁である。冷房運転時には、四路切換弁22は、圧縮機21の吐出側と室外熱交換器23のガス側とを接続するとともに圧縮機21の吸入側とガス冷媒連絡管7側とを接続する(図24の四路切換弁22の実線を参照)。これにより、冷房運転時には、室外熱交換器23を圧縮機21によって圧縮される冷媒の凝縮器として機能させ、かつ、室内熱交換器42、52を室外熱交換器23において凝縮される冷媒の蒸発器として機能させることができる。また、暖房運転時には、四路切換弁22は、圧縮機21の吐出側とガス冷媒連絡管7側とを接続するとともに圧縮機21の吸入側と室外熱交換器23のガス側とを接続する(図24の四路切換弁22の破線を参照)。これにより、暖房運転時には、室内熱交換器42、52を圧縮機21によって圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、室外熱交換器23を室内熱交換器42、52において凝縮される冷媒の蒸発器として機能させることができる。
室外熱交換器23は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、室外熱交換器23の概略図である図26に示されるように、主として、伝熱管と多数のフィンとから構成される熱交換器本体23a、熱交換器本体23aのガス側に接続されるヘッダ23b、および、熱交換器本体23aの液側に接続される分流器23cを有している。室外熱交換器23は、冷房運転時には、冷媒の凝縮器として機能し、暖房運転時には、冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。室外熱交換器23は、そのガス側が四路切換弁22に接続され、その液側が室外膨張弁38に接続されている。この室外熱交換器23は、図26に示すように、熱交換器本体23aおよびヘッダ23bを有している。この熱交換器本体23aは、圧縮機21によって加圧された高温で高圧のガス冷媒を複数の異なる高さから受け入れ、外気温度との間で熱交換させることにより、ガス冷媒を凝縮させる。また、ヘッダ23bは、圧縮機21によって加圧された高温で高圧のガス冷媒を、上述の熱交換器本体23aに対して複数の異なる高さ毎に供給させるために、それぞれの高さにガス冷媒を分割させる。
液面検知センサ239は、図26に示されるように、室外熱交換器23の側面であって、冷房運転を行う際の冷媒回路210における冷媒の流れ方向において液側閉鎖弁26の上流側に配置されている。この液面検知センサ239は、室外熱交換器23のヘッダ23bの高さ方向に沿ってそれぞれ異なる高さ位置に配置されたサーミスタT1〜T5を有しており、室外熱交換器23内を含めた室外膨張弁38の上流側に存在する冷媒量に関する状態量を検知する冷媒検知機構として機能する。この液面検知センサ239では、室外膨張弁38の上流側に存在する冷媒量に関する状態量としての室外熱交換器23に溜まっている液冷媒の量を検出する。ここで、冷房運転の場合において、圧縮機21から吐出される高温で高圧のガス冷媒は、室外熱交換器23内において、室外ファン28により供給される空気によって冷却されて凝縮し、高圧の液冷媒となる。また、後述する適正冷媒量自動充填運転モードおよび冷媒漏洩検知運転モードを実行すると、冷媒の循環を途絶えさせた状態で、圧縮機21、凝縮器として機能させる室外熱交換器23、および、室外ファン28を稼働させ続けているため、室外熱交換器23には凝縮した液冷媒が溜まっていく。ここで、液冷媒はガス冷媒よりも密度が高く重いため、自重によって室外熱交換器23の下方に溜まっていく。この場合に、液冷媒は下方に集合しているため、液冷媒の液面高さ位置を検出できれば、液冷媒の体積を把握することができる。そして、具体的には、液面検知センサ239は、これらのサーミスタT1〜T5のそれぞれの温度の相違に基づいて、冷媒が気体状態で存在する領域と、冷媒が液体状態で存在する領域との境界を液面高さとして検出する。ここでは、サーミスタT1〜T5の検出温度のうち、飽和温度以下の温度を検出しているものについては、当該サーミスタが配置されている高さにおいては冷媒が液状態で存在していると、制御部9が判定することになる。また、サーミスタT1〜T5の検出温度のうち、飽和温度を超える温度を検出しているものについては、当該サーミスタが配置されている高さにおいては冷媒がガス状態で存在していると、制御部9が判定することになる。これにより、液面検知センサ239のサーミスタT1〜T5が複数の異なる高さ位置での液冷媒の有無を検知するために、制御部9は、液冷媒の温度として検出される高さのうち最も高い位置を超えた位置に液面が存在することを把握できる。
室外膨張弁38は、冷房運転を行う際の冷媒回路210における冷媒の流れ方向において室外熱交換器23の液側閉鎖弁26の上流側に配置された電動膨張弁である。この室外膨張弁38は、室外膨張回路38aを介してレシーバ93の下端近傍内部と接続されている。また、室外膨張弁38は、室外膨張回路38bを介して、ブリッジ回路6m、6pに接続されている。これにより、室外膨張弁38は、室外側冷媒回路210c内を流れる冷媒の圧力や流量等の調節することができる。そして、この室外膨張弁38は、当該位置における冷媒の通過を遮断することも可能である。
室外ユニット2は、送風ファンとしての室外ファン28を有している。この室外ファン28は、室外ユニット2内に室外空気を吸入して、室外熱交換器23において冷媒と熱交換を行わせ、熱交換後の空気を再度室外に排出させる。この室外ファン28は、室外熱交換器23に供給する空気の風量を可変することが可能なファンである。室外ファン28は、プロペラファン等であって、DCファンモータ等からなるモータ28mによって駆動される。
ブリッジ回路6j,6k,6m,6n,6p,6rのうち、ブリッジ回路6kは逆止弁cv1、ブリッジ回路6mは逆止弁cv2、ブリッジ回路6nは逆止弁cv3、および、ブリッジ回路6pは逆止弁cv4をそれぞれ有している。これにより、四路切換弁22によって冷房運転と暖房運転とを切り換えて実現できるようになっている。ブリッジ回路6jは、室外熱交換器23から延びている。ブリッジ回路6kは、ブリッジ回路6j、6mの合流点と、ブリッジ回路6nおよび後述する高圧側レシーババイパス管91の合流点と、を接続している。ブリッジ回路6m、6pは、室外膨張回路38bと合流している。ブリッジ回路6n、6p、6rは、一点で合流している。
レシーババイパス回路90は、高圧側レシーババイパス管91、高圧側レシーババイパス弁92、レシーバ93、低圧側レシーババイパス管94、低圧側レシーババイパス弁95、レシーバ液検出部96、および、レシーババイパス温度センサ97を有している。高圧側レシーババイパス管91はブリッジ回路6k、6nから分岐してレシーバ93の上端側内部まで延びている。高圧側レシーババイパス弁92は、高圧側レシーババイパス管91の途中に設けられており、レシーバ93へ流入する冷媒流れを許容する状態にしたり、許容しない状態にしたりする。レシーバ93は、内部に液冷媒を蓄えることができ、冷媒回路10の冷媒分布状態の許容範囲を確保している。低圧側レシーババイパス管94は、レシーバ93の高さの異なる部分の内部から延びている高段管94a、中段管94b、および、低段管94cを有している。この高段管94a、中段管94b、および、低段管94cは、合流した後に、四路圧縮接続配管7cまで延びている。低圧側レシーババイパス弁95は、高段管94aの冷媒の通過を許容する状態と許容しない状態とを切り換える高段弁95a、中段管94bの冷媒の通過を許容する状態と許容しない状態とを切り換える中段弁95b、および、低段管94cの冷媒の通過を許容する状態と許容しない状態とを切り換える低段弁95cを有している。レシーバ液検出部96は、レシーバ93内に溜まっている液冷媒量を検出する。レシーババイパス温度センサ97は、低圧側レシーババイパス管94を流れる冷媒温度を検知する。
液側閉鎖弁26は、外部の機器である液冷媒連絡管6と室外ユニット2との接続口に設けられた弁である。液側閉鎖弁26は、冷房運転を行う際の冷媒回路210における冷媒の流れ方向において室外膨張弁38の下流側であって液冷媒連絡管6の上流側に配置されており、冷媒の通過を遮断することが可能である。
ガス側閉鎖弁27は、外部の機器であるガス冷媒連絡管7と室外ユニット2との接続口に設けられた弁である。このガス側閉鎖弁27は、ガス閉鎖四路接続配管7bを介して四路切換弁22に接続されている。
室外ユニット2には、上述の液面検知センサ239以外にも、各種のセンサが設けられている。具体的には、室外ユニット2には、圧縮機21の吸入圧力を検出する吸入圧力センサ29、圧縮機21の吐出圧力を検出する吐出圧力センサ30、圧縮機21の吸入温度を検出する吸入温度センサ31、および、圧縮機21の吐出温度を検出する吐出温度センサ32が設けられている。室外ユニット2の室外空気の吸入口側には、ユニット内に流入する室外空気の温度(すなわち室外温度)を検出する室外温度センサ36が設けられている。吸入温度センサ31、吐出温度センサ32、液管温度センサ35、および、室外温度センサ36は、第2実施形態においては、サーミスタによって構成されている。
室外側制御部37は、室外ユニット2に設けられており、室外ユニット2を構成する各部の動作の制御を行う。そして、室外側制御部37は、室外ユニット2の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータを有しており、モータ21mを制御するインバータ回路等を有しており、メモリ19と接続されている。
室内側制御部47、57は、室内ユニット4,5に設けられており、室内ユニット4,5を構成する各部の動作の制御を行う。
ここで、室外側制御部37は、室内ユニット4、5の室内側制御部47、57との間で伝送線(図示せず)を介して制御信号等のやりとりを行うことができる。
そして、室内側制御部47、57、室外側制御部37、および、これらを接続する伝送線(図示せず)によって、空気調和装置201全体の運転制御を行う制御部9が構成されている。
制御部9は、空気調和装置201の制御ブロックである図25に示されるように、各種センサ29〜32、35、36、239、44〜46、54〜56、63,96,97の検出信号を受けることができるように接続されている。制御部9は、これらの検出信号等に基づいて各種機器および弁21、22、28、38、41、43、51、53、62,92,95a,95b,95cを制御することができる。また、制御部9を構成するメモリ19には、各種データが格納されている。各種データとしては、例えば、室外膨張回路38aの配管内の体積、高段弁95aの高さまで満たされた場合のレシーバ93内の容積、中段弁95bの高さまで満たされた場合のレシーバ93内の容積、低段弁95cの高さまで満たされた場合のレシーバ93内の容積、高圧側レシーババイパス管91の容積、ブリッジ回路6k,6jの容積、液面検知センサ239が検知する液面高さhから室外熱交換器23内に溜まっている冷媒量を算出するための関係式、温度状況に応じた液冷媒の密度データ、および、建物に施工された後の配管長さ等が考慮された物件毎における空気調和装置201が有する冷媒回路210の適正冷媒量が格納されている。そして、制御部9は、後述の適正冷媒量自動充填運転や冷媒漏洩検知運転を行う際に、これらのデータを読み出して、冷媒回路210に適正な量だけの冷媒を充填したり、この適正冷媒量データとの比較によって冷媒漏洩の有無を判断する。
(冷媒連絡管)
冷媒連絡管6、7は、空気調和装置201をビル等の設置場所に設置する際に、現地にて施工される冷媒管である。この冷媒連絡管は、設置場所や室外ユニットと室内ユニットとの組み合わせ等の設置条件に応じて種々の長さや管径を有するものが使用される。このため、例えば、新規に空気調和装置を設置する場合には、空気調和装置201に対して、冷媒連絡管6、7の長さや管径等の設置条件に応じた適正な量の冷媒を充填する必要がある。
液冷媒連絡管6は、室内側液分岐配管4a、5a、室外側液配管6a、および、液冷媒室内側分岐点D1を有している。室内側液分岐配管4aは、室内熱交換器42から延びる配管である。室内側液分岐配管5aは、室内熱交換器52から延びる配管である。室内側液分岐配管4aと、室内側液分岐配管5aと、室外側液配管6aとは、液冷媒室内側分岐点D1において合流している。
ガス冷媒連絡管7は、室内側ガス分岐配管4c、5c、室外側ガス配管7a、および、ガス冷媒室内側分岐点E1を有している。室内側ガス分岐配管4cは、室内熱交換器42から延びる配管である。室内側ガス分岐配管5cは、室内熱交換器52から延びる配管である。室内側ガス分岐配管4cと、室内側ガス分岐配管5cと、室外側ガス配管7aとは、ガス冷媒室内側分岐点E1において合流している。
以上のように、室内側冷媒回路210a、210b、室外側冷媒回路210c、および、冷媒連絡管6、7が接続されることにより、空気調和装置201の冷媒回路210が構成されている。そして、本実施形態の空気調和装置201は、室内側制御部47、57と室外側制御部37とから構成される制御部9によって、四路切換弁22により冷房運転および暖房運転を切り換えて運転を行うとともに、各室内ユニット4、5の運転負荷に応じて、室外ユニット2および室内ユニット4、5の各機器の制御を行うようになっている。
<2.2>空気調和装置の動作
次に、本実施形態の空気調和装置201の動作について説明する。
本実施形態の空気調和装置201の運転モードとしては、通常運転モード、適正冷媒量自動充填運転モード、および、冷媒漏洩検知運転モードがある。
通常運転モードでは、各室内ユニット4、5の運転負荷に応じて室外ユニット2および室内ユニット4、5の構成機器の制御を行う。適正冷媒量自動充填運転モードでは、空気調和装置201の構成機器の設置後等に試運転を行う際において冷媒回路210に対して適正量の冷媒の充填を行う。冷媒漏洩検知運転モードでは、適正冷媒量自動充填運転を含む試運転を終了して通常運転を開始した後において、冷媒回路210からの冷媒漏洩の有無の判定を行う。
以下、空気調和装置201の各運転モードにおける動作について説明する。
(通常運転モード)
まず、通常運転モードの冷房運転について、図27を用いて説明する。
−冷房運転−
冷房運転時は、四路切換弁22が、図24の実線で示される状態、すなわち、圧縮機21の吐出側が室外熱交換器23のガス側に接続され、かつ、圧縮機21の吸入側がガス側閉鎖弁27およびガス冷媒連絡管7を介して室内熱交換器42、52のガス側に接続された状態となっている。ここで、室外膨張弁38は、全開状態にされている。液側閉鎖弁26およびガス側閉鎖弁27は、開状態にされている。室外膨張弁38は、開度調節されることにより、室内熱交換器42、52の出口(すなわち、室内熱交換器42、52のガス側)における冷媒の過熱度が、過熱度目標値で一定になるように、制御部9が制御している。
ここで、各室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過熱度は、ガス側温度センサ45、55により検出される冷媒温度値から液側温度センサ44、54により検出される冷媒温度値(蒸発温度に対応)を差し引くことによって検出される。
この冷媒回路210の状態で、圧縮機21、室外ファン28および室内ファン43、53を運転すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となる。その後、高圧のガス冷媒は、四路切換弁22を経由して室外熱交換器23に送られる。この室外熱交換器23では、高圧のガス冷媒は、室外ファン28によって供給される室外空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となる。そして、この高圧の液冷媒は、ブリッジ回路6j、6kを介して一旦レシーバ93に蓄えられる。そして、レシーバ93から流出した液冷媒は、室外膨張弁38を通過して、液側閉鎖弁26および液冷媒連絡管6を経由して、室内ユニット4、5に送られる。
この室内ユニット4、5に送られた高圧の液冷媒は、室内熱交換器42、52に送られ、室内熱交換器42、52において室内空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となる。
この低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡管7を経由して室外ユニット2に送られる。室外ユニット2に送られた低圧のガス冷媒は、ガス側閉鎖弁27および四路切換弁22を経由して、再び、圧縮機21に吸入される。
このように、空気調和装置201では、運転モードの一態様として、室外熱交換器23を圧縮機21において圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、室内熱交換器42、52を冷媒の蒸発器として機能させる冷房運転を行うことが可能である。
ここで、通常運転モードの冷房運転を行っている際における冷媒回路210の冷媒の分布状態は、冷房運転時の冷媒回路210内を流れる冷媒の状態を示す模式図である図27に示されるように、冷媒が、液状態(図27における塗りつぶしのハッチング部分)、気液二相状態(図27における格子状のハッチング部分)、ガス状態(図27における斜線のハッチング部分)の各状態をとって分布している。具体的には、冷媒回路210のうち、液冷媒で満たされている箇所は、室外熱交換器23の出口付近の部分からブリッジ回路6j、6k、高圧側レシーババイパス管91、レシーバ93、室外膨張回路38a、および、室外熱交換器23の内部である。そして、冷媒回路210のうち、気液二相状態の冷媒で満たされている箇所は、室外膨張弁38から室外膨張回路38b、ブリッジ回路6p、6r、液側閉鎖弁26から室内熱交換器42、52の入口付近の部分までの間である。また、冷媒回路210のうち、ガス状態の冷媒で満たされている箇所は、ガス冷媒連絡管7および圧縮機21を介して室内熱交換器42、52の中間の部分から室外熱交換器23の入口に至るまでの部分、室外熱交換器23の入口付近の部分である。
なお、通常運転モードの冷房運転においては、冷媒はこのような分布で冷媒回路210内に分布しているが、後述する適正冷媒量自動充填運転モードおよび冷媒漏洩検知運転モードの冷媒量判定運転においては、液冷媒連絡管6と室外熱交換器23に液冷媒が集められた分布となる(図29,30,31参照)。
−暖房運転−
次に、通常運転モードの暖房運転について説明する。
暖房運転時は、四路切換弁22が、図24の破線で示される状態、すなわち、圧縮機21の吐出側がガス側閉鎖弁27およびガス冷媒連絡管7を介して室内熱交換器42、52のガス側に接続され、かつ、圧縮機21の吸入側が室外熱交換器23のガス側に接続された状態となっている。室外膨張弁38は、室外熱交換器23に流入する冷媒を室外熱交換器23において蒸発させることが可能な圧力(すなわち、蒸発圧力)まで減圧するために、制御部9によって開度調節がなされる。また、液側閉鎖弁26およびガス側閉鎖弁27は、開状態にされている。
ここでは、室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過冷却度は、吐出圧力センサ30により検出される圧縮機21の吐出圧力を凝縮温度に対応する飽和温度値に換算し、この冷媒の飽和温度値から液側温度センサ44、54により検出される冷媒温度値を差し引くことによって検出される。
この冷媒回路210の状態で、圧縮機21、室外ファン28および室内ファン43、53を運転すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となり、四路切換弁22、ガス側閉鎖弁27およびガス冷媒連絡管7を経由して、室内ユニット4、5に送られる。
そして、室内ユニット4、5に送られた高圧のガス冷媒は、室内熱交換器42、52において、室内空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となった後、室外膨張弁38を通過する際に、室外膨張弁38の弁開度に応じて減圧される。
この室外膨張弁38を通過した冷媒は、レシーバ93を経て、室外熱交換器23に流入する。そして、室外熱交換器23に流入した低圧で気液二相状態の冷媒は、室外ファン28によって供給される室外空気と熱交換を行って蒸発し、低圧のガス冷媒となる。この低圧のガス冷媒は、四路切換弁22を経由して、再び、圧縮機21に吸入される。
以上のような通常運転モードにおける運転制御は、冷房運転および暖房運転を含む通常運転を行う運転制御手段として機能する制御部9(より具体的には、室内側制御部47、57、室外側制御部37、および、これらを通信可能に接続している図示しない伝送線)によって行われる。
(適正冷媒量自動充填運転モード)
次に、試運転の際に行われる適正冷媒量自動充填運転モードについて、図28〜図32を用いて説明する。
図28は、適正冷媒量自動充填運転のフローチャートである。
図32は、図2の熱交換器本体23aおよびヘッダ23bの内部を模式的に示した図である。
図29〜31は、適正冷媒量自動充填運転における検知前の冷媒回路210内を流れる冷媒の状態を示す模式図である。この図29〜31では、適正冷媒量自動充填運転において室外熱交換器23に冷媒が溜まる様子を示している。
適正冷媒量自動充填運転モードは、空気調和装置201の構成機器の設置後等における試運転の際に行われる運転モードであり、液冷媒連絡管6およびガス冷媒連絡管7の容積に応じた適正な冷媒量を冷媒回路210に対して自動で充填させる運転モードである。
そして、室外ユニット2の液側閉鎖弁26およびガス側閉鎖弁27を開けて、室外ユニット2に予め充填されている冷媒を冷媒回路210内に充満させる。
次に、適正冷媒量自動充填運転を行う作業者が、追加充填用の冷媒ボンベを冷媒回路210(例えば、圧縮機21の吸入側等)に接続して充填を開始する。
そして、作業者が、制御部9に対して直接にまたは、リモコン(図示せず)等によって適正冷媒量自動充填運転を開始する指令を出す。
この際、作業者は、制御部9に対して、レシーバ93に溜める液冷媒量は、高段弁95a、中段弁95b、低段弁95cの中からいずれか1つを選択して入力する。ここでは、中段弁95bが選択入力され、レシーバ93には、中段高さまで液冷媒が溜められる場合のフローを例に挙げて説明する。この設定により、適正冷媒自動充填運転モードの開始時において、中段弁95bは開いており、低段弁95cは全閉状態となっている。
このようにして、制御部9は、図32に示されるステップS21〜ステップS30の処理を伴う冷媒量判定運転および冷媒量の適否の判定を行う。
ステップS21では、制御部9は、冷媒ボンベの接続の完了を検出しつつ、冷媒ボンベから延びる配管に設けられた弁(図示せず)を、冷媒の供給を許容する状態とし、冷媒の追加充填を開始させる。
ステップS22では、制御部9は、上述の通常運転モードの冷房運転の欄で述べた制御と同様の運転が行われるように、機器を制御する。これにより、追加充填用の冷媒ボンベから冷媒回路210内に冷媒が追加充填されていく。ここでは、冷房運転を開始した後、所定時間(例えば、10分)の経過を待つ。
ステップS23では、制御部9は、室外膨張弁38を全閉し、室外熱交換器23において凝縮された液冷媒をレシーバ93に溜めていく。ここでは、レシーバ93は、低段弁95cが全閉状態となっているため、低段弁95cが設けられている高さ位置よりも高い位置まで、レシーバ93内に冷媒が溜まっていく。
ステップS24では、制御部9は、レシーババイパス温度センサ97の検知温度に変化が生じるのを待つ。具体的には、図30に示すように、レシーバ93内において、液面高さが中段弁95bに相当する位置まで溜まってくると、中段管94bを通じてレシーバ93の液冷媒が低圧側レシーババイパス管94を介して四路圧縮接続配管7cまで流れ出る。このように、低圧側レシーババイパス管94を液冷媒が通過することで、レシーババイパス温度センサ97が検知する温度が変化する。これにより、制御部9は、レシーバ93内の液冷媒の量が、設定した中段弁95bの高さ位置まで満たされたと判断し、ステップS24に移行する。
ステップS25では、制御部9は、高圧側レシーババイパス弁92を閉じて、レシーバ93内に液冷媒が流入しない状態とした後で、中段弁95bを閉じる。これにより、冷媒回路210内の冷媒は、レシーバ93および室外膨張回路38aに溜まった冷媒以外のほとんどが、高圧側レシーババイパス弁92から室外熱交換器23にかけて、液冷媒の状態で溜まっていく。
ステップS26では、制御部9は、液面検知センサ239が検出する室外熱交換器23内の液面高さhの値が所定の範囲内で安定するのを待って、液面検知センサ239によって、室外熱交換器23内の液面高さを検出する。
ステップS27では、制御部9は、液面検知センサ239によって検出された液面高さに対応する室外熱交換器23内の液冷媒の体積を、メモリ19に格納されている、液面検知センサ239が検知する液面高さhから室外熱交換器23内に溜まっている冷媒量を算出するための関係式を用いて算出する。さらに、メモリ19から、室外膨張回路38aの配管内の体積、中段弁95bの高さまで満たされた場合のレシーバ93内の容積、高圧側レシーババイパス管91の容積、および、ブリッジ回路6k,6jの容積をそれぞれ読み出して、室外熱交換器23における液冷媒の体積と合算する。そして、制御部9は、さらにメモリ19から、温度状況に応じた液冷媒の密度データを読み出して、合算して得られた液冷媒体積に、室外温度センサ36が検知した温度を液冷媒温度と擬制して乗じることで、液冷媒の量を算出する。
ステップS28では、制御部9は、ステップS27で算出した液冷媒の量が、適正冷媒量に達しているか否かを判断する。ここで達していないと判断した場合には、ステップS29に移行する。また、達していると判断した場合には、ステップS30に移行する。
ステップS29では、制御部9は、冷媒タンクから冷媒回路210へのさらなる充填を所定時間の間続け、ステップS25に戻る。
ステップS30では、制御部9は、冷媒ボンベからの追加充填を終える。具体的には、冷媒ボンベから延びている配管に設けられた弁(図示せず)を冷媒の通過を許容しない状態にする。
(冷媒漏洩検知運転モード)
次に、冷媒漏洩検知運転モードについて説明する。
冷媒漏洩検知運転モードは、冷媒充填作業を伴う点を除いては、適正冷媒量充填運転モードとほぼ同様である。
冷媒漏洩検知運転モードは、例えば、定期的(休日や深夜等で空調を行う必要がない時間帯等)に、冷媒回路210から冷媒が外部に漏洩していないかどうかを検知する場合に行われる運転である。
冷媒漏洩検知運転では、図33に示されるように、ステップS41〜ステップS47の順序で行われる処理を行う。
ステップS41では、制御部9は、上述の通常運転モードの冷房運転の欄で述べた制御と同様の運転が行われるように、機器を制御する。
ステップS42では、制御部9は、室外膨張弁38を全閉し、室外熱交換器23において凝縮された液冷媒をレシーバ93に溜めていく。ここでは、レシーバ93は、低段弁95cが全閉状態となっているため、低段弁95cが設けられている高さ位置よりも高い位置まで、レシーバ93内に冷媒が溜まっていく。
ステップS43では、制御部9は、レシーババイパス温度センサ97の検知温度に変化が生じるのを待つ。具体的には、図30に示すように、レシーバ93内において、液面高さが中段弁95bに相当する位置まで溜まってくると、中段管94bを通じてレシーバ93の液冷媒が低圧側レシーババイパス管94を介して四路圧縮接続配管7cまで流れ出る。このように、低圧側レシーババイパス管94を液冷媒が通過することで、レシーババイパス温度センサ97が検知する温度が変化する。これにより、制御部9は、レシーバ93内の液冷媒の量が、設定した中段弁95bの高さ位置まで満たされたと判断し、ステップS44に移行する。
ステップS44では、制御部9は、高圧側レシーババイパス弁92を閉じて、レシーバ93内に液冷媒が流入しない状態とした後で、中段弁95bを閉じる。これにより、冷媒回路210内の冷媒は、レシーバ93および室外膨張回路38aに溜まった冷媒以外のほとんどが、高圧側レシーババイパス弁92から室外熱交換器23にかけて、液冷媒の状態で溜まっていく。
ステップS45では、制御部9は、液面検知センサ239が検出する室外熱交換器23内の液面高さhの値が所定の範囲内で安定するのを待って、液面検知センサ239によって、室外熱交換器23内の液面高さを検出する。
ステップS46では、制御部9は、液面検知センサ239によって検出された液面高さに対応する室外熱交換器23内の液冷媒の体積を、メモリ19に格納されている、液面検知センサ239が検知する液面高さhから室外熱交換器23内に溜まっている冷媒量を算出するための関係式を用いて算出する。さらに、メモリ19から、室外膨張回路38aの配管内の体積、中段弁95bの高さまで満たされた場合のレシーバ93内の容積、高圧側レシーババイパス管91の容積、および、ブリッジ回路6k,6jの容積をそれぞれ読み出して、室外熱交換器23における液冷媒の体積と合算する。そして、制御部9は、さらにメモリ19から、温度状況に応じた液冷媒の密度データを読み出して、合算して得られた液冷媒体積に、室外温度センサ36が検知した温度を液冷媒温度と擬制して乗じることで、液冷媒の量を算出する。
ステップS47では、制御部9は、ステップS46で算出した液冷媒の量を、適正冷媒量と比較する。ここで、適正冷媒量に満たない場合には、冷媒の漏洩が生じていたと判断し、適正冷媒量とほぼ等しい場合には、冷媒は漏洩していないと判断する。
なお、液面高さhのデータを検出した後は、制御部9は、速やかに圧縮機21の運転を停止する。このように、圧縮機21の運転を検出後速やかに停止させることで、室内熱交換器42、52やガス冷媒連絡管7等が極端に減圧されることを回避して、機器の信頼性を維持させることができる。また、圧縮機21の出力側のポート温度の過剰な上昇を抑えることができ、圧縮機21についての信頼性も維持させることができる。以上により、冷媒漏洩検知運転を終了する。
<2.3>第2実施形態の空気調和装置および冷媒量判定方法の特徴
第2実施形態の空気調和装置201および冷媒量判定方法では、冷媒回路210内にレシーバ93が採用されており、室内ユニット4、5側に膨張機構が設けられていない構成であっても、冷媒回路210内の液冷媒の量と温度とに基づいて、正確な冷媒量の判定を行うことができる。
また、レシーバ93には、高段弁95a、中段弁95b、低段弁95cという、高さ位置の異なる複数の弁が設けられている。これらの弁の開閉を操作することにより、1つのレシーバ93を用いるだけで、複数種類の液冷媒量を選択的に測りとることが可能になる。
さらに、レシーバ93内に目標とする量の液冷媒を溜められたか否か、すなわち、レシーバ93内の液冷媒を中段弁95bの高さ位置まで満たすことができたか否かを判断しつつ、目標とする冷媒量を溜めた後に中段弁95bを閉じて冷媒の通過を許容しない状態にしている。このため、中段弁95bの高さ位置まで液冷媒が溜まったことを検知した後のレシーバ93内の液冷媒量の変動を小さく抑えることができ、冷媒量の正確な判定を行うことが可能になっている。
<2.4>第2実施形態の変形例
(A)
上記第2実施形態の空気調和装置201では、低圧側レシーババイパス管94が高段管94a、中段管94b、低段管94cの3つに分かれている場合を例に挙げて説明した。
しかし、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、図34に示すように、レシーバ93に溜める液冷媒の量を選択できない冷媒回路211aを有する空気調和装置201aについても、本発明に含まれる。
(B)
上記第2実施形態の空気調和装置201では、低圧側レシーババイパス管94が単純に四路圧縮接続配管7cに接続されている場合を例に挙げて説明した。
しかし、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、図35に示すように、低圧側レシーババイパス管94の途中に、キャピラリーチューブ98Tが設けられた冷媒回路211bを有する空気調和装置201bとしてもよい。この場合には、低圧側レシーババイパス管94を通過する液冷媒の量を少なく抑えることができ、圧縮機21に液状態の冷媒がそのまま供給されてしまう事態を確実に防ぐことができるようになる。
(C)
上記第2実施形態の空気調和装置201では、レシーババイパス回路90が採用された冷媒回路210を例に挙げて説明した。
しかし、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、図36に示すように、第1実施形態で説明したタンクバイパス回路60がレシーバ93の高圧低圧接続状態と並列となるように設けられた冷媒回路211cを有する空気調和装置201cであってもよい。なお、ここで、タンクバイパス回路60においてキャピラリーチューブ68Tが、レシーババイパス回路90においてキャピラリーチューブ98Tが、それぞれ採用された構成とすることができる。
この場合には、レシーバ93内に液冷媒を溜めきれない場合であっても、冷媒タンク63を用いることで、液冷媒を溜めきることができるようになる。
なお、タンクバイパス回路60については、ブリッジ回路に対して着脱自在に設けられていてもよい。この場合には、レシーババイパス回路90が採用された冷媒回路を対象として冷媒量の判定を行う際に、必要に応じてタンクバイパス回路60を採用することができる。例えば、必要とされる冷媒量が多い場合にのみ、タンクバイパス回路60を取り付けて冷媒量の判定を行うようにすることができる。
(D)
上記第2実施形態の空気調和装置201では、室外ユニット2が1つだけ採用された空気調和装置201を例に挙げて説明した。
しかし、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、図37に示すように、室外ユニットが複数個存在する冷媒回路210Mが採用された空気調和装置201Mであってもよい。
なお、冷媒回路210Mは、室内側冷媒回路210a、210b、室外側冷媒回路210c、210dから構成されており、室外ユニットが複数設けられている点を除いて、上記第2実施形態の空気調和装置201の冷媒回路210と同様である。また、室外ユニット202xについては関連構成について添え字xを付して示しており、室外ユニット202yについては関連構成について添え字yを付して示している。
この冷媒回路210Mを用いて冷房運転する場合には、図38に示すように、高圧側レシーババイパス弁92x、92y、低圧側レシーババイパス弁95ax、95bx、95cx、95ay,95by,95cyが全て全閉状態で運転される。
そして、適正冷媒量自動充填運転モードおよび冷媒漏洩検知運転モードを実行する場合には,図39に示すように、室外膨張弁38x、38yが全閉状態とされ、レシーバ93x、93yにそれぞれ液冷媒が溜められる。ここでは、レシーバ93x、93yにおける液冷媒の溜め方の例として、レシーバ93yを先に満タンにさせ場合を例に挙げている。例えば、室外ユニット202y側において溜めることのできる最大量の液冷媒が溜まった状態で、室外ユニット202xのレシーバ93xには高段弁95axの高さ位置まで液冷媒を溜めて、冷媒回路210Mの残りの冷媒を室外熱交換器23xの液面検知センサ239xによって判定することができる。
(E)
なお、本発明は、上述の第2実施形態の変形例(D)において、図40に示すように、室外ユニット202x、202yが2台であり、室内ユニット204が1台のみの冷媒回路210Nが採用された空気調和装置201Nであってもよい。この図40では、1台の室内ユニット204に対して利用される冷媒を室外ユニット202xおよび202yの両方によって液冷媒として定量する例を示している。
(F)
上記第2実施形態において、室外熱交換器23や室内熱交換器42,52の例としてクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器を挙げたが、これに限定されず、他の型式の熱交換器であってもよい。
上記第2実施形態において、圧縮機21の例として1台のみが設けられている場合を挙げたが、これに限定されず、室内ユニットの接続台数等に応じて、2台以上の圧縮機が、並列に接続されていてもよい。
上記第2実施形態において、ヘッダ23bと分流器23cの例として熱交換器本体23aに対して互いに逆側の端部に設けられている形式を挙げたが、ヘッダ23bおよび分流器23cが熱交換器本体23aの同じ端部側に設けられていてもよい。
(G)
上記第2実施形態では、冷房運転時等における各室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過熱度は、ガス側温度センサ45、55により検出される冷媒温度値から液側温度センサ44、54により検出される冷媒温度値(蒸発温度に対応)を差し引くことによって検出する場合を例に挙げて説明した。
しかし、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、吸入圧力センサ29により検出される圧縮機21の吸入圧力を蒸発温度に対応する飽和温度値に換算し、ガス側温度センサ45、55により検出される冷媒温度値からこの冷媒の飽和温度値を差し引くことによって検出するようにしてもよい。
さらに、別の検出方法としては、各室内熱交換器42、52内を流れる冷媒の温度を検出する温度センサを新たに設けて、この温度センサにより検出される蒸発温度に対応する冷媒温度値を、ガス側温度センサ45により検出される冷媒温度値から差し引くことによって検出するようにしてもよい。
また、上記第2実施形態では、暖房運転時等における室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過冷却度は、吐出圧力センサ30により検出される圧縮機21の吐出圧力を凝縮温度に対応する飽和温度値に換算し、この冷媒の飽和温度値から液側温度センサ44、54により検出される冷媒温度値を差し引くことによって検出する場合を例に挙げて説明した。
しかし、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、各室内熱交換器42、52内を流れる冷媒の温度を検出する温度センサを設けて、この温度センサにより検出される凝縮温度に対応する冷媒温度値を、液側温度センサ44、54により検出される冷媒温度値から差し引くことによって検出するようにしてもよい。
(H)
上記第2実施形態では、冷媒漏洩検知の判定として、液冷媒の量を算出する方法を例に挙げて説明した。
しかし、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、液冷媒の温度に応じた最適冷媒量に対応する基準液面高さHを予め求めて、メモリ19に格納しておくようにしてもよい。これにより、上記実施形態における冷媒量の演算を行う必要がなくなり、検知される検知液面高さhを指標となる基準液面高さHと直接比較することで、冷媒漏洩検知を行うことができるようになる。
(I)
上記第2実施形態では、レシーババイパス温度センサ97の検知温度の変化が生じた場合に、レシーバ93が中段弁95bの高さ位置まで満たされた状態になっていると判断する場合を例に挙げて説明した。
しかし、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、図41に示すように、高段弁95a、中段弁95b、低段弁95cの代わりに高段膨張弁295Ta、中段膨張弁295Tb、下段膨張弁295Tcを設け、低圧側レシーババイパス管94を通過する冷媒の温度を検知するレシーババイパス温度センサ297aだけでなく、低圧側レシーババイパス管94を通過する冷媒の圧力を検知するレシーババイパス圧力センサ297bを設けられた冷媒回路201dを有する空気調和装置201dとしてもよい。
この空気調和装置201dでは、レシーバ93の中段弁295Tbの高さ位置まで液冷媒で満たされたことは、レシーババイパス温度センサ297aと、レシーババイパス圧力センサ297bと、の検知値から得られる冷媒の過熱度の変化の有無により検出することができる。ここでは、例えば、レシーババイパス圧力センサ297bにより検出される中段膨張弁295Tbによる減圧後の圧力を蒸発温度に対応する飽和温度値に換算し、レシーババイパス温度センサ297aにより検出される冷媒温度値からこの冷媒の飽和温度値を差し引くことによって検出することができる。このようにして、過熱度に着目したレシーバ93の満タン検知を行うことで、温度を基準に判断する場合と比べてより精度の高い判定を行うことができるようになる。