JP5034481B2 - 鍵盤楽器 - Google Patents
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Description
アコースティックピアノにおいては、音高に応じて弦の太さが異なり、ハンマなどの大きさや質量も異なる。一般的に低音側の鍵の方が質量が重いハンマを動かして太い弦を叩くためタッチ感は重く、逆に高音側の鍵の方はタッチ感は軽い。また、同じ鍵に対しても、フォルテッシモの強さで押鍵する場合とピアニッシモの強さで押鍵する場合とでは、フォルテッシモの強さで押鍵する場合の方が演奏者が鍵から感じるタッチ感は重い。
(1)第1実施形態:
(1−1)構成:
(1−2)外力制御処理:
(2)第2実施形態:
(3)他の実施形態:
(1−1)構成:
図1は、本実施形態にかかる鍵盤楽器としての電子ピアノ10の要部の構成を示すブロック図である。
電子ピアノ10は、鍵盤を構成する複数の鍵1と、それら鍵ごとに外力付与部14と、鍵位置検出部12と、接近検出部13とを備えており、さらにそれら複数の鍵を対象に後述する外力制御処理を行う制御部15と、音源17と、サウンドシステム18と、入力部16とを備えている。接近検出部13、外力付与部14、鍵位置検出部12、入力部16および音源17は図示しないインタフェースを介して制御部15と各種の信号を授受する。
制御部15は、CPU、RAM、ROM等を備え、ROMや図示しない記憶媒体に記憶されたプログラムを制御部15で実行することができる。図示しない記憶媒体には、後述する各種のパラメータが記憶されている。制御部15は、全鍵の鍵位置検出部12の出力データをスキャニングすることを繰り返して、演奏者の指が接触している鍵を検出する。また、制御部15は、押下を検出した鍵に対応する音高を示すデータを音源17に出力する。
入力部16は、キータッチ感の選択を入力するためのダイヤルなどで構成される。
以上、電子ピアノ10の構成を説明した。
図3は、本実施形態における外力制御処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートは、1つの鍵に関して、押鍵される前から離鍵されて鍵が初期位置に戻るまでの処理内容を示すものである。制御部15は、所定の時間ごとあるいは所定の処理ステップごとに制御対象の鍵を順次変更することによって、全ての鍵に対してこの処理を実施する。各鍵に関する、押鍵前・押鍵中・離鍵後などの状態や各種の処理データは、各鍵に対応してそれぞれRAMに記憶される。
ステップS110では、受光量に基づいて接近検出部13は指と処理対象の鍵との距離を導出する。
ところで指の質量を接触前に検出することは困難であるため、本実施形態では、演奏者に応じたキータッチ感を実現するために入力部16を備え、演奏者や使用者にタッチ感を選択させるためのインタフェースを設けている。例えば、キータッチ感として「重い」から「軽い」までの何段階かの度合いを選択できるようなダイヤルを設け、子供が演奏者である場合は「軽い」を、大人が演奏者である場合は「重い」を選択できるようにする。このように外力の大きさを可変に設定できる構成を採用することにより、アコースティックピアノのタッチ感再現の微妙な調整を演奏者や使用者が実施することが可能である。
以上説明したように、演奏者の指が鍵に接近する速度を導出し、当該速度に基づいて、演奏者の指が鍵に接触する前に鍵に外力を付与することにより、演奏者は押鍵した瞬間から押鍵の勢いと相関する抵抗力を鍵から感じることができる。すなわち演奏者は、アコースティックピアノの鍵のタッチ感に近い感覚を、この鍵盤楽器の鍵を押鍵した瞬間から感じることができる。
なお、指接触前に接近速度に基づいて設定された外力と、指接触後に鍵位置に基づいて設定する外力とは、両者の間に演奏者が違和感を感じる程度に著しい不連続が生じないように調整して設計することが望ましい。
第2実施形態が第2実施形態以外の実施形態と相違する点は、接近検出部13の構成である。第2実施形態では指の速度を検出するために静電容量センサを用いる構成を採用する。静電容量センサは鍵表面に配置される。鍵内部または鍵下部に配置されてもよい。
接近検出手段は、上記実施形態の構成に限らず次のような構成を採用してもよい。なお、接近検出手段においては、センサは鍵ごとに別々に設けられていても良いし、センシングの仕方やセンシングする波動の種類に応じて複数鍵ごとに設けられていてもよい。
上記実施形態では、反射型フォトセンサが鍵の内部に設けられる構成を説明したが、反射型フォトセンサが鍵の内部である構成に限定されず、発光部と受光部とのいずれか又は双方が鍵の外部である構成を採用しても良い。すなわち、押鍵のための指の動作範囲が発光部の光路上に含まれ、指からの反射光を受光できる位置に受光部が配置されていればよい。
図7は、分離型フォトセンサを用いる構成を示す模式図である。第1実施形態と共通する構成には共通の符号を付している。図7は、赤外線発光部13bが鍵1の外部に、赤外線受光部13cが鍵1の内部に配置されていることを示している。赤外線発光部13bの光軸と赤外線受光部13cの光軸とが合うようにそれぞれ配置される。図6Bは、検出対象物までの距離と、赤外線受光部13cによる受光量との関係を示すグラフである。赤外線発光部13bの照射範囲内に指2が位置するとき、赤外線発光部13bが発光した赤外線光は指2によって遮られ、指2が鍵1に接近するほど図6Bに示すように受光量は少なくなる。このように分離型フォトセンサを用いることによって指の接近速度を導出してもよい。
感熱センサの一形態である焦電型赤外線センサは、人体が発する微弱な赤外線を検知するセンサである。図6Cは、焦電型赤外線センサにおける検出対象物と当該焦電型赤外線センサとの距離と、赤外線量との関係を示すグラフである。図6Cに示すように、検出対象物との距離が小さくなるほど検知される赤外線の量は多い。このような焦電型赤外線センサを、鍵内部あるいは鍵表面に露出するように配置して用いることによって指の接近速度を導出するようにしてもよい。
ドップラーセンサの一形態であるマイクロ波ドップラーセンサは、ドップラー効果を利用して移動物体の移動速度や移動物体までの距離を検出するセンサである。このセンサはマイクロ波発信部とマイクロ波受信部とを有する。発信部が発信したマイクロ波の周波数と、移動物体によって反射され受信部が受信したマイクロ波の周波数とは異なる。図6Dは、移動物体としての指の速度と受信周波数との関係を示すグラフである(指が鍵に接近する方向の速度ベクトルを正とする)。指が鍵に接近する速度が速いほど受信部が受信する周波数は発信部が発信した周波数と比較して高くなる。このようなドップラーセンサを例えば鍵表面あるいは鍵内部に設け、指の接近速度や指と鍵との距離を導出するようにしてもよい。
画像センサの一形態である距離画像センサは、センサから照射した光が反射して戻ってくるまでの時間を画素ごとに計測し、検出対象物との距離を画素ごとに識別可能に出力するセンサである。このような距離画像センサを、鍵に接近する指が撮像範囲に入る位置に配置する。所定時間間隔ごとに距離画像センサから出力された画像データを解析し、その解析結果をフレーム間比較することによって、検出対象物としての指と鍵との距離や、指の接近速度を導出するようにしてもよい。なお、距離画像センサは複数鍵ごとに設けられていてもよい。この場合、距離画像センサを鍵ごとに別々に設ける場合と比較すると部品点数を削減することができる。
Claims (7)
- 演奏操作を行うための鍵と、
演奏者の指が前記鍵に接近する速度を検出する接近検出手段と、
押鍵に抵抗する外力を前記鍵に付与する外力付与手段と、
前記演奏者の指と前記鍵との距離が所定距離以下になったとき、前記外力付与手段によって前記鍵に前記速度に基づいて設定した前記外力を付与させる制御手段と、
を備える鍵盤楽器。 - 前記制御手段は、前記演奏者の指の質量に基づいて設定した前記外力を付与させる、
請求項1に記載の鍵盤楽器。 - 前記指の質量に対応するパラメータを入力する入力手段を備える、
請求項2に記載の鍵盤楽器。 - 前記接近検出手段は、反射型電磁波センサを有し、前記演奏者の指によって反射された電磁波から前記指と前記鍵との距離を検出し、前記距離の変位から前記速度を検出する、
請求項1〜3のいずれかに記載の鍵盤楽器。 - 前記反射型電磁波センサは、前記鍵の内部に前記鍵が押鍵される面と平行に複数個並べて配置されている、
請求項4に記載の鍵盤楽器。 - 前記接近検出手段は、静電容量センサを前記鍵の表面に有し、前記演奏者の指と前記静電容量センサのプローブとの間の静電容量から前記指と前記鍵との距離を検出し、前記距離の変位から前記速度を検出する、
請求項1〜3のいずれかに記載の鍵盤楽器。 - 前記鍵の位置を検出する鍵位置検出手段を備え、
前記制御手段は、前記演奏者の指が前記鍵に接触した後、前記外力付与手段によって前記鍵に、前記鍵の位置に基づいて設定した前記外力を付与させる、
請求項1〜6のいずれかに記載の鍵盤楽器。
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