JP3319190B2 - 電子楽器の楽音制御信号発生装置 - Google Patents

電子楽器の楽音制御信号発生装置

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JP3319190B2 JP32294394A JP32294394A JP3319190B2 JP 3319190 B2 JP3319190 B2 JP 3319190B2 JP 32294394 A JP32294394 A JP 32294394A JP 32294394 A JP32294394 A JP 32294394A JP 3319190 B2 JP3319190 B2 JP 3319190B2
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    • G10MUSICAL INSTRUMENTS; ACOUSTICS
    • G10HELECTROPHONIC MUSICAL INSTRUMENTS; INSTRUMENTS IN WHICH THE TONES ARE GENERATED BY ELECTROMECHANICAL MEANS OR ELECTRONIC GENERATORS, OR IN WHICH THE TONES ARE SYNTHESISED FROM A DATA STORE
    • G10H1/00Details of electrophonic musical instruments
    • G10H1/32Constructional details
    • G10H1/34Switch arrangements, e.g. keyboards or mechanical switches specially adapted for electrophonic musical instruments
    • G10H1/344Structural association with individual keys
    • G10H1/346Keys with an arrangement for simulating the feeling of a piano key, e.g. using counterweights, springs, cams

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  • Electrophonic Musical Instruments (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電子楽器の鍵盤装置
に設けられ、押鍵時におけるイニシャルタッチあるいは
アフタタッチを高感度で検出して楽音制御を行い、高い
表現力を得るようにした電子楽器の楽音制御信号発生装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の電子楽器の楽音制御信号
発生装置として、例えば実公昭55−43438号公報
に示されるように、多数の鍵を搖動自在に支持した鍵盤
フレームの上下及び左右の搖動に連動する一対のシャッ
タ板を有するシャッタ機構と、このシャッタ機構の一対
のシャッタ板によりそれぞれ照射光量を調節されて鍵盤
フレームの搖動変位に応じた電気信号を発生する一対の
検出器に対する共通の光源とからなり、上記一対の検出
器からの検出出力を制御信号として電子楽器における任
意の効果を制御するようにしたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の電子楽器の楽音制御信号発生装置にあって
は、板ばねで支持している鍵盤フレーム全体を搖動させ
る構造であったため、可動部が複数の鍵とそれらの鍵を
支持する鍵支持部材との質量を合計したものとなり、そ
の大きな質量に起因して応答性が悪く鍵に作用する微妙
な動きを検出してそれに応じた楽音制御を行うことはで
きなかった。
【0004】さらに、押鍵後のアフタタッチを検出する
ことは可能であるが、鍵の動き始めの様子を検出するこ
とができず、左右動検出の場合には左右いずれの方向の
力かを検出することはできなかった。この発明は上記の
点に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で応答性を
良好にし、鍵の動き始めからアフタタッチに至るまでの
押鍵力を検出して木目細かな楽音制御を行うことを目的
とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は上記の目的を
達成するため、支持部材と、この支持部材に上下方向を
搖動自在に支持された鍵と、この鍵を上方へ付勢する付
勢手段と、基部が上記支持部材に固定され非固定部が垂
直方向に変位可能な垂直方向可撓部と、この可撓部材の
非固定部に設けられた上限ストッパ部及び中間ストッパ
部と、上記支持部材に設けられ上記中間ストッパ部の下
降限を規制する下限ストッパ部と、上記付勢手段の付勢
力によって上記上限ストッパ部に加えられる上方向の力
による変位及び押鍵により上記中間ストッパ部に加えら
れる下方向の力による変位を検出して電気信号に変換す
るセンサと、このセンサからの検出信号によって楽音を
制御する手段とを備え、押鍵操作により上記鍵がその復
帰位置から上記中間ストッパ部に当接するまでのストロ
ークによる第1のあがき部と、この第1のあがき部を超
えて上記下限ストッパ部に当接するまでのストロークに
よる第2のあがき部とを有する電子楽器の楽音制御信号
発生装置を提供するものである。
【0006】そして、上記の装置において、第1のあが
き部における鍵変位が100gf以下の力で5mm以下で
あり、第2のあがき部における鍵変位が単位荷重1kg
当り1.5 乃至5mmであるようにするのがよく、上限ス
トッパ部に加えられる上方向の力による変位及び中間ス
トッパ部に加えられる下方向の力による変位を検出する
センサが上記変位に対する光量変化を検出するフォトセ
ンサであるようにするとよい。また、上記の装置におい
て上記第1のあがき部を鍵操作全ストロークの半分以下
とするのが好ましい。
【0007】
【作用】この発明による電子楽器の楽音制御信号発生装
置は上記のように構成することにより、離鍵時で押鍵力
が作用しない状態では、上限ストッパ部には付勢手段の
付勢力により所定の上向きの力がかかっており、可撓部
材はそれに応じて上方に変位している。
【0008】この状態から押鍵により上記付勢力に抗し
て下向きの力が作用すると、可撓部材にかかる上向きの
力が除去され、可撓部材には自重による下向きの力が作
用する。鍵が中間ストッパ部に当接した後は、可撓部材
にその自重に加えて押鍵力が作用する。この時、可撓部
材に加えられる上下方向の力あるいは変位と時間との関
係は押鍵力や押鍵速度によって変化するので、センサか
らの出力信号によりこれらを検出して楽音制御を行うこ
とができる。
【0009】そして、鍵がその復帰位置から押鍵操作に
より上限ストッパ部から離脱するまでの第1のあがき部
によりイニシャルタッチを、鍵が中間ストッパ部を押圧
して下限ストッパ部に当接するまでの第2のあがき部に
よりアフタタッチをそれぞれ高感度で検出することが可
能になる。
【0010】上記の装置において、第1のあがき部にお
ける鍵変位が100gf以下の力で5mm以下とすると、
押鍵操作初期においてトラディショナルな荷重対応スト
ロークを発生させることができて一般の鍵盤奏者に違和
感を与えることがなく、その後の第2のあがき部におけ
る鍵変位が単位荷重1kgf当り1.5〜5mm とする
と、さらなる押鍵により指に適度の反力を感じながらそ
の反力に対応する情報を得ることができる。
【0011】また、そのセンサをフォトセンサとする
と、比較的低価格のセンサを用いて正確に押鍵力を検出
することが可能となり、第1のあがき部を鍵操作全スト
ロークの半分以下とすることにより、あがきのない鍵盤
の操作性の良さを加味させることが可能になる。
【0012】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて具
体的に説明する。図1はこの発明の第1実施例の鍵盤の
一部を断面で示す側面図、図2はその可撓部材を示す斜
視図である。なおこれらの図において楽音制御信号発生
装置に関連しない部分は省略してある。
【0013】図1において、白鍵1A及び黒鍵1B(以
下共に「鍵1」という)を、下面が開放された横断面コ
の字状に樹脂により一体に成形し、鍵1の後端部に鍵支
点部を形成する突起1aを下方に突出して一体に設け
る。
【0014】そして、複数の鍵1の突起1aの前側に設
けた凹部1bを支持部材2の第1の支持部材2aの鍵配
列方向に列設形成した透孔2eの前端縁に係合させるこ
とにより、鍵1を上下方向に搖動自在で左右方向にも所
定範囲搖動可能に支持する。各鍵1と支持部材2との間
にそれぞれ介装した付勢手段である板ばねからなる鍵復
帰ばね3により鍵1を常時復帰方向である上方へ付勢
し、鍵1の両側壁の前端部寄りの下面に、L字状のスト
ッパ片1cを垂設している。
【0015】一方、支持部材2の第1の支持部材2aの
先端付近に剛体の第2の支持部材2bを介して剛性の高
い全鍵共通の第3の支持部材2cを固設すると共に、第
2の支持部材2bに、弾性樹脂の一体成形品からなる可
撓部材4の基部4aを固定し、この可撓部材4の非固定
部4bに鍵配列方向に可撓性を有する水平方向可撓部4
cと、押鍵方向に可撓性を有する垂直方向可撓部4dと
を連続して形成する。なお、可撓部材4と第2の支持部
材2bとは同一の弾性樹脂により一体に形成することも
できる。
【0016】そして、各鍵の長手方向に延びる非固定部
2bを二股に形成して、垂直方向可撓部4dの延長上に
中間ストッパ部4eを、その上部に上限ストッパ部4f
を互いに平行となるように設けている。さらに、上限ス
トッパ部4fの上面に鍵ガイド部5を立設し、それを鍵
1の両側壁間に嵌入させて、鍵1の鍵配列方向の動き
(横振れ)を防止するようにしている。なお、この可撓
部材4は、全体として第2の支持部材2bに固定した片
持ちの梁を構成するようにしている。
【0017】そして、中間ストッパ部4eの上面と上限
ストッパ部4fの下面に、それぞれフェルト等の緩衝材
からなる中間ストッパ6A及び上限ストッパ6Bを貼着
し、鍵1のストッパ片1cを中間ストッパ6A及び上限
ストッパ6Bに当接させることにより、鍵1の上下方向
の第1のストロークを規制する。また、第2の支持部材
2bの下面に剛性の高い全鍵共通の下限ストッパ部2d
を有する第3の支持部材2cを固設し、この第3の支持
部材2cと水平方向可撓部4c,垂直方向可撓部4d及
び中間ストッパ部4eとの間に間隙Cが形成されるよう
にし、ストッパ片1cが中間ストッパ6Aを介して中間
ストッパ部4eを下限ストッパ部2dに当接するまで移
動させることにより鍵1の上下方向の全ストロークを規
制する。
【0018】さらに、水平方向可撓部4cの基部4a寄
りの垂直面に、この可撓部材4に加わる水平方向(鍵配
列方向)の力を検出して電気信号に変換するセンサであ
る歪ゲージ8Aを配設すると共に、垂直方向可撓部4d
の基部4a寄りの水平面に、このストッパ部材4に加わ
る垂直方向の力を検出して電気信号に変換するセンサで
ある歪ゲージ8Bを配設し、その出力信号をそれぞれ図
示しない増幅器に入力させる。
【0019】したがって、この第1実施例の鍵盤では、
鍵1が鍵復帰ばね3の付勢力により復帰状態にあり、そ
のストッパ片1cが上限ストッパ6Bを介して可撓部材
4の垂直方向可撓部4dを上方に持ち上げている図1に
示す状態から、押鍵操作によりストッパ片1cが中間ス
トッパ6Aに当接するまでの第1のあがき部d1と、ス
トッパ片1cが中間ストッパ6Aを押下して垂直方向可
撓部4dが第3の支持部材2cの下限ストッパ部2dに
当接して停止するまでの第2のあがき部d2とを有する
ことになる。
【0020】ここで、上記のような構成からなるこの実
施例の作用を説明するに先立ち、この実施例が高度の演
奏表現力を備えている理由を鍵を操作する人間の手や指
等を含めた操作系との関連において述べる。
【0021】一般に、筋肉が動きながら外部に発生する
力は、この筋肉が発生する力から筋肉自体が動くために
必要な力を引いたものになり、筋肉が動くために必要な
力は筋肉の粘弾性と質量に起因する。この粘弾性は筋肉
の発生張力,長さ,短縮速度に依存して変化し、主動
筋,拮抗筋の同時活動によっても粘弾性は制御される。
このような感覚は、例えば搖動しているブランコを押そ
うとした時、意図したほどの力を加えることができない
という現象からも自覚される。
【0022】また、筋肉が外部に発生する力は、骨格に
よって形成されるリンクを通じて作用点に現れるので、
リンクの変形に伴って作用点に現れる力が変化する。あ
がきのある鍵盤を演奏する場合は、まさしく筋肉が動き
ながらリンクの変形も伴いつつ指先に力を発生している
ことになるので、筋肉のリラックスや指の形等の多くの
修練を積んで始めて指先に発生する力を制御できる。
【0023】これに対し、あがきのない鍵盤は、押鍵過
程で筋肉の動きやリンクの変形が殆んどなく、筋肉の粘
弾性や質量の影響を受けにくく、等尺性筋収縮といわれ
ているものに近い。したがって、指先に発生する力に対
する制御性は、あがきのある鍵盤より高いはずである。
端的にいうなら、この実施例では骨等のリンクの変形が
発生しないので、押鍵力を支える鍵に対し、意図したタ
ッチを容易に伝えることができ、鍵に伝達されたタッチ
はセンサを介して楽音に反映されることになる。
【0024】次に、この第1実施例において、押鍵によ
って可撓部材4に作用する力と押鍵開始からの経過時間
との関係を、図3に示す特性曲線を参照して説明する。
鍵1に押鍵力が作用しない非押鍵状態においては、鍵1
は図1に示す鍵復帰ばね3の付勢力により、押鍵部にお
いて例えば60gf程度の力で上方に付勢されており、
可撓部材4の上限ストッパ部4fにもストッパ片1cを
介して同等の上向きの力が作用している。
【0025】この状態から鍵1を押下すると、押鍵開始
(0)から時間t1で鍵1の第1のストッパ片1cの上
縁部が上限ストッパ6Bから離脱し始め、時間t3で完
全に離脱する。この間に可撓部材4の上限ストッパ部4
fにかかる上方向の力は徐々に小さくなって、押鍵力が
60gfになる時間t3以後はゼロとなり、可撓部材4
にはその自重に相当する下向きの力が作用して中間スト
ッパ部4eが下方に変位し、垂直方向可撓部4dの先端
側が下方に湾曲する。
【0026】時間t4になって鍵1のストッパ片1cの
下縁部が中間ストッパ6Aに当接すると、鍵をたたくよ
うに押鍵した場合には、図3の(a)に示すように、可
撓部材4に作用する下向きの力は時間t4から急上昇
し、時間t6で一瞬最大値を示した後、やや下ってアフ
タタッチによる力に対応する値に落ちつく。
【0027】これに対し、鍵をなでるように押鍵した場
合には、同図の(b)に示すように、時間t4から徐々
に上昇して時間t6でアフタタッチによる力に対応する
値となる。この(b)における時間t1〜t6は、
(a)における時間t1〜t6とはそれぞれ異なる。
【0028】また、時間t1から時間t3に至る第1の
あがき部d1の立上り部の傾斜も、前者の場合は急激で
後者の場合はなだらかであり、時間t1,t3間の所定
の力レベルF2の時の時間t2と、第2のあがき部d2
である時間t4,t6間の所定の力レベルF5の時の時
間t5との間の経過時間T1,T2も前者は短かく後者
は長くなり、この経過時間から押鍵速度を検出すること
ができる。
【0029】なお、押鍵時又は押鍵後の押鍵力に左右方
向の成分が含まれている場合には、その力が鍵ガイド部
5を介してそれと一体の可撓部材4に伝えられ、水平方
向可撓部4cを介して可撓部材4が鍵配列方向へ湾曲す
る。その時に可撓部材4に作用する力は、自重には無関
係である点を除けば、図3の(a),(b)に示した特性曲
線とほぼ同様である。すなわち、図3の(a),(b)に
おいて、時間t1〜t3間の立上り部を除去したものと
ほぼ同様となる。
【0030】一般に、可撓部材4の垂直方向可撓部4d
のような片持ちの梁の先端部近傍の定点に作用する力F
と、梁の曲げモーメントMとは比例関係にあり、その曲
げモーメントMは梁の断面係数Zと応力σの積に比例
し、梁の湾曲面に配設した歪ゲージの抵抗変化ΔRは応
力σに比例する。
【0031】すなわち、梁を構成する材料の縦弾性係数
及びポアソン比によって定まる定数をkとすると、次式
となる。 M=Z×σ σ=k×ΔR
【0032】したがって、図1及び図2に示した歪ゲー
ジ8Bが受けた曲げモーメントをM、歪ゲージ8Bの抵
抗変化をΔRとすると、次式の関係が得られる。 M=Z×k×ΔR
【0033】また、押鍵により垂直方向可撓部4dに伝
達される上下方向の力をF、鍵1のストッパ片1cと可
撓部材4との当接位置と歪ゲージ8B間の距離をDとす
ると、力Fは押鍵力に比例する。さらに、力の釣合条件
により次式が得られる。 M=F×D
【0034】上記の各式から Z×k×ΔR=F×D
となり、 F=(Z×k×ΔR)/D となる。この式から歪ゲージBの抵抗変化ΔRと押鍵に
より垂直方向可撓部4dに作用する上下方向の力Fとは
比例することが分る。
【0035】なお、一般に片持ちの梁の自由端に力Fが
加えられた時、梁が力Fが加えられた方向に変位する変
位量は加えられた力Fに比例する。したがって、垂直方
向可撓部4dの上下方向の変位は力Fに比例し、この力
Fは歪ゲージ8Bの抵抗変化ΔRに比例するので、歪ゲ
ージ8Bの出力信号は、押鍵力に比例する力F及び垂直
方向可撓部4dの上下方向の変位のいずれにも比例する
ことになる。
【0036】同様にして、歪ゲージ8Aの出力も、押鍵
により水平方向可撓部4cに鍵配列方向である左右方向
に加えられる力及び水平方向可撓部4cの左右方向の変
位のいずれにも比例すると共に、歪ゲージ8Aの出力信
号の正負により、水平方向可撓部4cに左右いずれの方
向に力が加えられたかを検出することができる。
【0037】これらの歪ゲージ8A,8Bの出力信号
は、図示しない増幅器に入力された後、A/D変換器に
よりディジタル値に変換されて楽音信号制御手段へ入力
される。楽音信号制御手段は入力された信号に応じて、
発生中の楽音の音量,音高,音色等に関して各種の制御
を行う。
【0038】例えば、図3の(a)に示したように押鍵
初期の第1のあがき部d1の立上り部の傾斜が急な時に
は、ローパスフィルタのカットオフ周波数を高くして明
るい音色とし、同図の(b)に示したように上記立上り
部の傾斜がなだらかな時には、ローパスフィルタのカッ
トオフ周波数を低くして暗い音色にするような、音色制
御を行なうことができる。
【0039】また、強く速く押鍵されて、中間ストッパ
6Aへの衝撃が大きい図3の(a)に示すような時には
リバーブを深くし、衝撃が小さい同図の(b)に示すよ
うな時にはリバーブを浅くするような楽音制御も可能で
ある。なお、押鍵時又は押鍵後に鍵1に左右方向の力を
加えた場合には歪ゲージ8Aの抵抗値が鍵1に加えられ
た左右力の大きさに比例して変化し、応答性良好な浅く
て速いビブラート等の微妙な音の変化を得ることができ
る。
【0040】この第1実施例によれば、可撓部材4の垂
直方向可撓部4dに配設した1個の歪ゲージ8Bによ
り、押鍵当初と押鍵終期及びその後のアフタタッチ時に
鍵の上下方向に加えられる力をすべて検出することがで
きる。また、水平方向可撓部4cに配設した1個の歪ゲ
ージ8Aにより、押鍵中及び押鍵後のすべての時点で鍵
の左右方向に加えられる力を検出することができ、さら
にそれが左方向の力か右方向の力かも容易に検出可能で
ある。
【0041】次に、図4は上記第1実施例の一部を変更
したこの発明の第2実施例を示すものであり、図1と同
一の部分には同一の符号を付して示し、その部分の詳細
な説明は省略する。
【0042】この第2実施例では、可撓部材4の垂直方
向可撓部4dの先端側に形成した中間ストッパ部4eの
下面に例えばアルミニウム板等の反射板18Cを配設す
ると共に、第3の支持部材2cの上記反射板18Cに対
向する部位に例えば発光素子と受光素子とが一組になっ
たフォトセンサ18Dを配設したものであり、その他の
構成は前述した第1実施例と同様である。
【0043】以上の構成で、押鍵により鍵ストッパ片1
cの上縁部が上限ストッパ6Bから離脱し始めると、上
限ストッパ部4fにかかっていた鍵復帰ばね3による上
方向の力が次第に小さくなり、完全に離脱した状態でそ
の力がゼロになる。これにより可撓部材4の中間ストッ
パ部4eは自重により僅かに下方に変位してフォトセン
サ18Dの出力信号が変化する。さらに、鍵ストッパ片
1cが中間ストッパ6Aに当接した後は、可撓部材4に
下向きの力が作用してフォトセンサ18Dの出力信号が
さらに変化する。
【0044】この場合も、前述したように押鍵力は可撓
部材4の変位に比例し、鍵をたたくように押鍵した時と
なでるように押鍵した時とでのフォトセンサ18Dの出
力変化も前第1実施例と同様であり、また、鍵配列方向
の力を検出するセンサである歪ゲージ8Aについても前
第1実施例と同様である。
【0045】なお、上記第2実施例では可撓部材4の変
位を検出するセンサとしてフォトセンサを用いたが、磁
気格子センサや磁気抵抗センサ、あるいはホール効果セ
ンサ等の磁気センサを用いてもよく、静電容量センサ等
の利用も考えられる。また、第2実施例において、歪ゲ
ージ8Aに代えて可撓部材4と支持部材2の固定部との
間に上記のような各種センサを配設して、鍵の左右方向
の力を検出するようにすることも可能である。
【0046】この第2実施例によれば、可撓部材4の最
も変位量の大きい先端部でその変位を検出することがで
きるので、センサの検出精度を一段と向上させることが
できる。
【0047】次に、図5はこの発明の第3実施例を示す
鍵盤の一部を断面にした側面図である。この第3実施例
は、可撓部材24の基部24aの前面の非固定部24b
に押鍵方向に可撓性を有する垂直方向可撓部24dを一
体に形成し、その二股に分離した自由端側に、中間スト
ッパ部24e及び上限ストッパ部24fを設け、垂直方
向可撓部24dの基部24a寄りに歪ゲージ8Bを配設
したものである。なお、この実施例では支持部材2を鍵
先端方向へ延長して鍵ガイド部25を立設しているが、
その他の構成は図1に示した第1実施例と同様である。
【0048】すなわち、この第3実施例では、前述した
第1実施例から鍵に加えられる左右方向の力を検出する
部分の構成を省略したものであり、簡単な構成で押鍵方
向の力を検出して楽音制御を行うことができる。なお、
この第3実施例でも、押鍵時の可撓部材24の垂直方向
可撓部24dの変位を第2実施例と同様な方法で検出す
ることも可能である。
【0049】図6は、この発明の第4実施例の側断面図
である。この第4実施例では、鍵1の突起1aを支持す
る支持部材22の先端付近に鍵ガイド部5を立設すると
共に、鍵1とその支持部材22の第1の支持部材22a
との間にコイルばねからなる鍵復帰ばね3を係着して鍵
1を上方へ付勢し、押鍵部付近においてほぼ55gfの
上方への復帰力を与える。
【0050】また、支持部材22上の鍵ガイド部5に近
接した位置に各鍵1に対応して椀状の膨出部30aを有
する可撓性の周知のラバー接点部材30を設け、押鍵操
作によってこのラバー接点部材30を鍵1の下面が押圧
することにより、可動接点30bが基板30c側に形成
した非導通の固定接点対30dを導通させて鍵スイッチ
閉成させるようにする。
【0051】支持部材22の第1の支持部22aのほぼ
中央の下面に、剛体ブロックからなる第2の支持部材2
2b,22b′を介して第1の支持部材22aに平行な
全鍵共通の高剛性の第3の支持部材22cを固設し、そ
の先端部に押鍵時に鍵1のストッパ片1cの下面が押鍵
操作の最後に当接する下限ストッパ部22dを形成す
る。第2の支持部材22b,22b′間に各鍵1にそれ
ぞれ対応して板ばねからなる垂直方向に可撓性を有する
可撓部材34の基部34aを挾持して設け、この可撓部
材34の非固定部34bを支持部材22の第1の支持部
材22a及び第3の支持部材22cにほぼ平行に保持す
る。
【0052】さらに、可撓部材34の先端部の上下両面
に中間ストッパ6A,上限ストッパ6Bをそれぞれ貼着
し、中間ストッパ6Aをストッパ片1cのコの字状の溝
1dの上面に、上限ストッパ6Bを溝1dの下面にそれ
ぞれ当接し得るようにする。また、第3の支持部材22
c上に各可撓部材34に対応して、椀状の膨出部38a
を有する可撓性のラバーセンサ部材38を設け、その基
板38b上に発光ダイオード38cとフォトトランジス
タ38dとが隣接して埋め込まれたフォトセンサ38e
を形成し、それに対向して押圧部38fに反射面38g
を形成する。
【0053】そして、図6に示す非押鍵状態でラバーセ
ンサ部材38の押圧部38fが可撓部材34に押圧され
て膨出部38aを僅かに弾性変形させるようにする。そ
して、中間ストッパ6Aと鍵1のストッパ片1cの溝1
dの上面との距離により第1のあがき部d1を形成し、
引き続きストッパ片1cの下面が下限ストッパ22dに
当接するまでの距離により第2のあがき部d2を形成す
る。
【0054】この第4実施例は、前第1〜第3実施例が
第1のあがき部d1を第2のあがき部d2より大きくと
っていたのに対し、第1のあがき部d1を第2のあがき
部d2より小さくしてある。例えばd =1mm,d2
=3mmとすると、鍵1をストッパ片1cの位置で1mm押
下することにより可撓部材34が下方へ駆動され、その
後の押鍵力がフォトセンサ38eによって検出される。
【0055】さらに正確には、可撓部材34には鍵復帰
ばね3により初期テンションがかかっているので、それ
が押鍵によりなくなるまでに0.3 〜1mm程度の鍵スト
ロークが必要となり、実際の第1のあがき部d1は1.
3 〜2mmとなる。上記の差分0.3 〜1mmは可撓部材
34を構成する板ばねの長さ及び厚さによって変化し、
それらを変えることにより所要の差分を得ることができ
る。
【0056】この第4実施例によれば、前第1〜第3実
施例に比して、図3に示したt4,t1間の長さがかな
り小さいものとなる。このように、浅い押鍵ストローク
において、あえてあがきを発生させるようにした理由
は、鍵盤奏者が過去において全ストロークがほぼ10mm
というあがき部のある鍵盤で修練を積んでいるという事
実に対して配慮したためである。
【0057】また、鍵盤の歴史においアコースティック
ピアノでは50〜60gf程度で押鍵可能であり、オル
ガン等の押鍵力も大体この程度であった。これらの例に
ならって、電子楽器の鍵盤も押鍵位置において最低静荷
重がその程度の力で押鍵し得るようにしてある。したが
って、この第4実施例はトラディショナルな鍵盤あがき
構造を残しながら上記の人間工学的考察からくるあがき
なし構成の良さを加味させるようにしたものということ
ができる。
【0058】すなわち、第4実施例では、押鍵初期にお
いてトラディショナルな荷重対応ストローク(例えば5
0〜100gfの荷重で1mm沈む)である第1のあがき
部d1を得るようにし、その後の第2のあがき部d2の
鍵ストロークにおいて、指に反力(例えば単位荷重1k
gf当り1.5 〜5mmの割合)を感じながら、その反力
に対応する情報(信号)が力センサから得られるように
してある。
【0059】このように、第2のあがき部d2において
単位荷重1kg当り1.5 〜5mmのあがきを有するよう
にした理由は、試作実験試弾を繰り返した結果、フォル
テッシモ(fff)の強押鍵を荷重に直すと2kgf程
度であり、残りのストロークが3〜10mmになるからで
ある。この2kgf及び3〜10mmという数値は、適度
な柔らかさという意味をもっている。つまり、これ以上
堅いと押鍵時に指が痛くなると共に振られやすくなり、
これ以上柔らかいと、指に力を入れた時にタイムラグが
大きくなって遅れて楽音コントロールされる結果となり
演奏に適しない。
【0060】また、第2のあがき部の3mmという数値
は、従来の鍵盤のアフタセンサの沈み量より大きく、現
に動かしていることを実感できる最小値であり、10mm
という数値は、大きめの鍵ストロークを有する鍵盤を構
成した場合でも、全ストロークが11mmなら標準鍵盤の
許容範囲となるからである。
【0061】次に、図7はこの発明の第5実施例を示す
側断面図であり、前第4実施例との相違点は、支持部材
22の第3の支持部材22cを第2の下限ストッパ部2
2dよりも鍵先端方向に延長し、先端部を逆コの字状に
折り曲げて上限ストッパ部22eを形成し、その内面に
鍵1のストッパ片1cが当接する上限ストッパ6Bを設
けた点にあり、その他の構成は前第4実施例と同様であ
る。
【0062】この第5実施例は、上限ストッパ6Bを可
撓部材34から第3の支持部材22c側に移したので、
可撓部材34にかかる初期テンションは、可撓部材34
の自重とそれを支持するラバーセンサ部材38のきわめ
て弱い上方への付勢力のみとなる。したがって、この場
合は第1のあがき部d1は前第4実施例のように押鍵操
作に伴って変化することはない。
【0063】すなわち、この第5実施例では、図3に示
した線図において、t4の値がきわめて小さく、t4以
前の第1のあがき部がない場合に相当し、イニシャルタ
ッチは検出できないが構成が簡略化されて押鍵当初の指
先に発生する力に対する制御性は高くなる。
【0064】
【発明の効果】以上述べたように、この発明の請求項1
に係る電子楽器の楽音制御信号発生装置は、片持ちの可
撓部材の上限ストッパ部及び中間ストッパ部に加えられ
る第1,第2のあがき部の上下方向の力による変位を検
出するセンサを設けたので、押鍵操作初期の第1のあが
き部において、トラディショナルな荷重対応ストローク
を発生させることができ、その後の第2のあがき部にお
いて、指に反力を感じながら、その反力に対応する情報
をセンサから得ることができ、押鍵初期から楽音(パラ
メータ)を定めた木目細かな制御が可能になる。
【0065】また、請求項2に係る電子楽器の楽音制御
信号発生装置は、第1のあがき部における鍵変位を10
0gf以下の力で5mm以下とすることにより、押鍵操作
初期においてトラディショナルな荷重対応ストロークを
発生させることができて一般の演奏者に違和感を与える
ことがなく、その後の第2のあがき部における鍵変位を
単位荷重1kg当り1.5 〜5mmとすることにより、指
に適度の反力を感じながら、その反力に対応する情報を
確実に得ることができる。
【0066】さらに、請求項3に係る電子楽器の楽音制
御信号発生装置は、押鍵力を検出するセンサをフォトセ
ンサとすることにより、比較的低価格のセンサを用いて
大きなストロークの押鍵力を高感度で正確に検出するこ
とが可能になる。
【0067】請求項4に係る電子楽器の楽音制御信号発
生装置は、第1のあがき部を鍵操作全ストロークの半分
以下とすることにより、あがき部を有しながらあがきの
ない鍵盤の操作性の良さを加味させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例の鍵盤の一部を断面にし
た側面図である。
【図2】同じくその可撓部材を示す斜視図である。
【図3】同じくその可撓部材に作用する上下方向の力と
押鍵開始からの経過時間との関係を示す線図である。
【図4】この発明の第2実施例の鍵盤の一部を断面にし
た側面図である。
【図5】この発明の第3実施例の鍵盤の一部を断面にし
た側面図である。
【図6】この発明の第4実施例の側断面図である。
【図7】この発明の第5実施例の側断面図である。
【符号の説明】
1…鍵、2,22…支持部材、2d,22d…下限スト
ッパ部、3…鍵復帰ばね、4,24,34…可撓部材、
4a,24a,34a…基部、4b,24b,34b…
非固定部、4c…水平方向可撓部、4d,24d,…垂
直方向可撓部、4e,24e…中間ストッパ部、4f,
22e…上限ストッパ部、5,25…鍵ガイド部、6A
…中間ストッパ、6B…上限ストッパ、8A,8B…歪
ゲージ、18C…反射板、18D…フォトセンサ、30
…ラバー接点部材、38…ラバーセンサ部材

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持部材と、 該支持部材に上下方向を搖動自在に支持された複数の鍵
    と、 該複数の鍵を上方へ付勢する付勢手段と、 基部が前記支持部材に固定され非固定部が垂直方向に変
    位可能な垂直方向可撓部を有する可撓部材と、 該可撓部材の非固定部に設けられた上限ストッパ部及び
    中間ストッパ部と、 前記支持部材に設けられ前記中間ストッパ部の下降限を
    規制する下限ストッパ部と、 前記付勢手段の付勢力によって前記上限ストッパ部に加
    えられる上方向の力による変位及び押鍵により前記中間
    ストッパ部に加えられる下方向の力による変位を検出し
    て電気信号に変換するセンサと、 該センサからの検出信号によって楽音を制御する手段と
    を備え、 押鍵操作により前記鍵がその復帰位置から前記中間スト
    ッパ部に当接するまでのストロークによる第1のあがき
    部と、 該第1のあがき部を超えて前記下限ストッパ部に当接す
    るまでのストロークによる第2のあがき部とを有するこ
    とを特徴とする電子楽器の楽音制御信号発生装置。
  2. 【請求項2】 第1のあがき部における鍵変位が100
    gf以下の力で5mm以下であり、第2のあがき部におけ
    る鍵変位が単位荷重1kgf当り1.5 乃至5mmである
    ことを特徴とする請求項1記載の電子楽器の楽音制御信
    号発生装置。
  3. 【請求項3】 上限ストッパ部に加えられる上方向の力
    による変位及び中間ストッパ部に加えられる下方向の力
    による変位を検出するセンサが前記変位に対する光量
    変化を検出するフォトセンサであることを特徴とする請
    求項1記載の電子楽器の楽音制御信号発生装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の電子楽器の楽音制御信号
    発生装置において、前記第1のあがき部を鍵操作全スト
    ロークの半分以下としたことを特徴とする電子楽器の楽
    音制御信号発生装置。
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