JP5033844B2 - イオン顕微鏡 - Google Patents

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Description

本発明は、イオン生成するためのガス電界電離イオン源や、半導体デバイスや新材料などの試料の表面や内部を観察するイオン顕微鏡に関する。また、イオンビーム加工装置とイオン顕微鏡との複合装置、イオン顕微鏡と電子顕微鏡との複合装置に関する。また、イオン顕微鏡と電子顕微鏡を適用した解析検査装置に関する。
電子を走査しながら試料に照射して、試料から放出される二次荷電粒子を検出すれば、試料表面の構造を観察することができる。これは走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope以下、SEMと略記)と呼ばれる。一方、イオンビームを走査しながら試料に照射して、試料から放出される二次荷電粒子を検出しても、試料表面の構造を観察することができる。これは走査イオン顕微鏡(Scanning Ion Microscope以下、SIMと略記)と呼ばれる。特に、水素やヘリウムなどの質量の軽いイオン種を試料に照射すれば、相対的
にスパッタ作用は小さくなり試料を観察するのに好適となる。ここで、水素やヘリウムイオンの試料表面への侵入による二次電子の励起領域が電子照射に比べ試料表面により局在することから、水素やヘリウムイオンを利用したSIM画像はSEM画像以上に極試料表面情報に敏感になる。さらに、顕微鏡の観点では、イオンは電子に比べて重いため、そのビーム集束において回折効果を無視でき、焦点深度の非常に深い像が得られるという特徴もある。
また、電子、又はイオンビームを試料に照射して、試料を透過した電子、又はイオンを検出すれば、試料内部の構造を反映した情報を得ることもできる。これらは、透過電子顕微鏡、又は透過イオン顕微鏡と呼ばれる。特に、水素やヘリウムなどの質量の軽いイオン種を試料に照射すれば、試料を透過する割合が大きくなり観察するのに好適となる。
ガス電解電離イオン源は、イオンのエネルギー幅が狭いこと、及びイオン発生源サイズが小さいことから、微細なビームが期待され、上記の走査イオン顕微鏡、及び透過イオン顕微鏡に好適なイオン源である。特開昭58−85242号公報(特許文献1)には、ガス電解電離イオン源のエミッタティップ先端に微小な突出部を持たせたエミッタティップを用いるとイオン源特性が良くなることが開示されている。
また、「H.-S. Kuo、I.-S. Hwang、T.-Y. Fu、J.-Y. Wu、C.-C. Chang、and T. T. Tsong、Nano Letters 4 (2004) 2379.(非特許文献1)」には、エミッタティップ先端の微小な突出部を、エミッタティップ材料とは異なる第2金属を用いて作製することが開示されている。エミッタティップ先端に原子のナノピラミッド構造を作製して、輝度の高いイオン源を実現している。
また、「J. Morgan、J. Notte、R. Hill、and B. Ward、Microscopy Today、July 14 (2006) 24(非特許文献2)」には、ヘリウムをイオン放出するガス電解電離イオン源を搭
載した走査イオン顕微鏡が開示されている。
また、特開平3−74454号公報(特許文献2)には、ガス電解電離イオン源において、イオン化室にベローズが配置された機構が開示されている。ただし、イオン化室が真空試料室壁を介して室温に接しており、イオン化室に供給されたガスが高温の真空試料室壁に衝突する問題には触れられていない。また、エミッタティップの傾斜についても関連する記述が無い。
また、特開昭62−114226号公報(特許文献3)には、ガス電解電離イオン源において、イオン源の軸方向を可変にする方向調整機構が開示されている。ただし、イオン化室が真空試料室壁を介して室温に接しており、イオン化室に供給されたガスが高温の真空試料室壁に衝突する問題には触れられていない。また、引き出し電極がイオン源の軸方向変化に伴い傾斜する。
また、特開平1−221847号公報(特許文献4)には、引き出し電極用高圧導入線がエミッタティップ用高圧導入線に接続されるような切り換えスイッチが開示されており、イオン源外壁とエミッタティップの間の強制放電処理、いわゆるコンデショニング処理の後にエミッタティップと引き出し電極間の放電を防止することができるガス電解電離イオン源が開示されている。
また、特開平8−203461号公報(特許文献5)には、荷電ビーム装置において、荷電粒子装置本体を搭載するベースプレートと装置架台の間に防振具が備えられている構造が開示されている。しかし、荷電粒子源の冷却機構については、関連する記述が全く無い。
また、イオンビームを試料に照射して試料を微細に加工することもできる。この加工は、イオンのスパッタ作用によって試料を構成する粒子が試料から放出される作用を応用しているが、この加工には、液体金属イオン源(Liquid Metal Ion Source、以下LMIS)を用いた集束イオンビーム装置(Focused Ion Beam、以下FIB)が好適である。また、近年では、SEMと集束イオンビームの複合機であるFIB−SEM装置も用いられるようになった。このFIB−SEM装置では、FIBを照射して所望の箇所に角穴を形成し、その断面をSEM観察することができる。
例えば、特開2002−150990号公報(特許文献6)には、FIBにより試料の異常箇所近傍に角穴を形成し、この角穴の断面をSEM装置で観察することにより、欠陥や異物などを観察し、解析する装置が開示されている。
また、国際公開第99/05506号(特許文献7)には、FIBとプローブを用いて、バルク試料から透過電子顕微鏡観察用の微小試料を摘出する技術が開示されている。
また、特開平9−312210号公報(特許文献8)には、超電導磁石の被冷却体と冷凍機を分離し、両者を着脱式の真空断熱配管で熱的に接続する冷却技術が開示されている。ただし、両者を装着して冷却運転する際の、冷凍機の運転振動を防振する構造は開示されていない。
また、特開平4−230880号公報(特許文献9)には、NMR用の高周波受信コイルを被冷却体とし、この被冷却体が、冷媒で冷却された冷却ステージに、真空空間内で熱的に接続された構造が開示されている。ただし、被冷却体がある真空空間と、冷却ステージがある真空空間との両者を隔壁にて気密隔離する構造は開示されていない。
特開昭58−85242号公報 特開平3−74454号公報 特開昭62−114226号公報 特開平1−221847号公報 特開平8−203461号公報 特開2002−150990号公報 国際公開第99/05506号 特開平9−312210号公報 特開平4−230880号公報
H.-S. Kuo、I.-S. Hwang、T.-Y. Fu、J.-Y. Wu、C.-C. Chang、and T. T. Tsong、Nano Letters 4 (2004) 2379. J. Morgan、J. Notte、R. Hill、and B. Ward、Microscopy Today、July 14 (2006) 24
本願発明者が、ガス電界電離イオン源を用いたイオン顕微鏡の大電流化、及び高安定化について鋭意検討した結果、次の知見を得るに至った。
電界電離イオン源を用いたイオン顕微鏡において、試料上で大きな電流密度のイオンビームが得られれば、高信号/ノイズ比で試料を観察することができる。試料上でより大きな電流密度を得るためには、電界電離イオン源のイオン放射角電流密度が大きいほど良い。イオン放射角電流密度を大きくするためには、エミッタティップを極低温に冷却し、エミッタティップ周辺のイオン材料ガス圧力を10-2〜10Pa程度まで高めることが望ましい。
しかし、イオン材料ガス圧力を1Pa以上に高めた場合、イオンビームが中性ガスと衝突して中性化するため、イオン電流が低下してしまう。また、電界電離イオン源内のガス分子の個数が多くなると、エミッタティップに比べて高温の真空容器壁に衝突して高温になったガス分子が、エミッタティップに衝突することにより、エミッタティップの温度が上昇し、イオン電流が低下してしまうという問題が生じる。
このため、エミッタティップ周辺のみに極低温のガス分子が供給されるように、エミッタティップ周辺を機械的に囲う構造、すなわち、イオン引き出し電極などを壁とするガスイオン化室を設けることが考えられる。この場合には、ガスイオン化室とエミッタティップが固定構造になる。
しかし、先端に微小な突出部を設けたナノピラミッド構造を持つエミッタティップでは、イオンビームの放出される角度の広がりがわずか1度程度となる。このため、イオンビームを試料の方向に向ける必要がある。このとき、エミッタティップの方向を機械的に調整してエミッタティップを傾斜すると、ガスイオン化室が固定構造のため、引き出し電極の方向も傾斜する。この引き出し電極のわずかな傾斜がイオンビームの集束性能に影響する。すなわち、試料観察の分解能が劣化するという問題を本願発明者は見出した。
また、ガス電界電離イオン源を搭載したイオン顕微鏡においては、エミッタティップ冷却手段に、機械式冷凍機のような機械振動を発生するものを含むものが多く、エミッタティップが振動しやすい。エミッタティップが振動すると、イオンビームが振れ、試料観察の分解能が劣化するという問題が起こる。このエミッタティップの機械振動を低減し、高分解能な試料観察を可能とするイオン顕微鏡を提供することが、本発明の第1の課題である。
また、イオンビームを試料の方向に向ける必要があるとき、エミッタティップの方向を機械的に調整してエミッタティップを傾斜させるが、ガスイオン化室が可動構造とする場合において、冷却機構がガスイオン化室に機械的に接続され、且つ、冷却機構が重量物であるときは、エミッタティップの方向を機械的に調整するのが困難で、試料観察の分解能が劣化するという問題を本願発明者は発見した。エミッタティップの方向を容易に調整できるようにし、エミッタティップの低振動冷却によるイオン源輝度の向上、及びエミッタティップの方向の調整によるイオンビームの集束性能向上の両立が、本発明の第2の課題である。
また、ガス電界電離イオン源において、イオン電流を多く取るためには、ティップ近傍のガス分子密度を増加させることが重要である。単位圧力当たりのガス分子密度は、ガスの温度に逆比例しており、エミッタティップと含めてガスを冷やすことが重要である。しかし、最も温度が低下する冷凍機のコールドヘッドから、コールドフィンガーである熱良導体を介して、熱伝導により、前記ガス分子を内蔵するガス分子イオン化室を冷却する場合、コールドフィンガーが長くなると温度低下が生じ、ガス分子イオン化室、さらにはガス分子イオン化室に内蔵したエミッタティップを極低温に冷却できないという問題を本願発明者は発見した。ガス分子イオン化室とエミッタティップの極低温化が、本発明の第3の課題である。
また、ガス電界電離イオン源において、運転を継続していると、エミッタティップ先端に装置内の不純物分子が蓄積し、イオン電流を多く取れなくなる。そこで、定期的に新しいエミッタティップに交換するために、装置内を常温まで昇温した後、大気圧に開放する。この際、大気中の不純物が装置内に侵入するため、エミッタティップや、エミッタティップを冷却する冷却機構の一部を含む装置内を、300℃程度の高温でベーキングする必要がある。しかし、冷却機構には、断熱用の輻射熱反射シートにおけるマイーラー等の耐熱性に劣る部材が使用されている場合が多く、ベーキング時にその熱で変質し、断熱性能が劣化し、冷却性能が低下してエミッタティップの極低温化が達成できないこと本願発明者は発見した。ベーキング時における冷却機構の耐熱性の劣化防止が、本発明の第4の課題である。
また、エミッタティップを極低温に冷凍するために必要な時間は、冷却機構、及び冷却しなければならない部材の質量が大きくなるにつれ長くなる場合が多い。また、冷却機構の一部を構成する冷凍機としては、運転振動を少なくするために小型低出力の冷凍機を選択する場合が多い。したがって、装置の冷却に長時間を要し、装置の立ち上げ時間が長くなり、装置の運転稼働率が低下する問題があることを本願発明者は発見した。従って、エミッタティップ冷却時間の短縮が、本発明の第5の課題である。
本発明の目的は、大電流が得られ、高安定なガス電界電離イオン源、及び高分解能でかつ大焦点深度のイオン顕微鏡を提供することに関する。
また、本発明の別の目的は、イオンビームにより試料を加工して断面を形成して、この断面をイオン顕微鏡で観察する装置、及び断面観察方法を提供することに関する。
また、本発明の別の目的は、イオン顕微鏡による試料観察,電子顕微鏡による試料観察、及び元素分析を1台で実施でき、欠陥や異物などを観察や解析する解析装置や検査装置を提供することに関する。
本発明は、ガス電界電離イオン源を備えたイオン顕微鏡において、ガス電界電離イオン源を冷却する冷凍機をイオン顕微鏡本体とは独立に設置し、ガス電界電離イオン源と冷凍機の間で冷媒を循環させる冷媒循環回路冷却機構を設けることに関する。尚、上述した、本願発明者が発見した第1〜第5の課題や、本発明の目的は、それぞれ独立している。この為、一つの請求項に記載された発明が、これら課題や目的の全てを解決するとは限らない。また、本願明細書には、これら課題や目的の一部のみを解決する技術思想も開示されている。
本発明により、ガス電界電離イオン源に伝播する冷凍機の機械振動を低減でき、イオン源輝度の向上と、イオンビームの集束性能向上と、を両立できる。
実施例1におけるイオン顕微鏡の概略構成図。 実施例1におけるイオン顕微鏡を制御する装置の概略構成図。 実施例1における電界電離イオン源の概略構造図。 実施例1における電界電離イオン源のエミッタティップ周辺模式図。 実施例1における電界電離イオン源のエミッタティップ傾斜前のエミッタティップ周辺模式図。 実施例1における電界電離イオン源のエミッタティップ傾斜後のエミッタティップ周辺模式図。 実施例2におけるイオン顕微鏡の概略構成図。 実施例3におけるイオン顕微鏡の概略構成図。 実施例3におけるトランスファーチューブの断面図。 他のトランスファーチューブ例における断面図。 実施例4におけるイオン顕微鏡の概略構成図。
実施例では、先端が針状のエミッタティップと、前記エミッタティップが配置されたイオン化室と、前記エミッタティップの先端近傍にガス分子を供給する配管と、前記ガス分子をイオン化する電界を前記エミッタティップの先端近傍に発生させる引き出し電極と、を有する電界電離イオン源と、試料を載置する試料台と、前記ガス電界電離イオン源からのイオンビームを試料上に集束させるレンズと、前記電界電離イオン源,前記試料台、及び前記レンズを支持するベースと、装置架台と、前記ベースと前記装置架台の間に設けられた除振機構と、前記電界電離イオン源の一部と熱的に連結する冷却熱伝導体と、前記冷却熱伝導体と熱的に結合する熱交換器と、前記ベースと独立している冷凍機と、前記熱交換器と前記冷凍機との間で冷媒を循環させる往復配管と、前記往復配管の少なくとも一部を収容する真空断熱配管と、備え、前記真空断熱配管の一端が前記ベースに支持されているイオン顕微鏡を開示する。
また、実施例では、前記電界電離イオン源を冷却する極低温度の冷媒が流動する第1の往復配管と、当該第1の往復配管を熱シールドするように配置され、前記極低温度の冷媒よりは温度の高い冷媒が流動する第2の往復配管と、を備えるイオン顕微鏡を開示する。
また、実施例では、前記ベースに支持されている前記真空断熱配管の前記一端が、前記冷却熱伝導体の貫通する隔壁を備え、前記真空断熱配管内に前記熱交換器が存在し、当該熱交換器が前記電界電離イオン源から真空隔離されているイオン顕微鏡を開示する。好ましくは、前記真空隔壁はハニカム構造を備える。
また、実施例では、前記エミッタティップを支持するベースマウントと、前記ベースマウントと前記引き出し電極とを接続する形状可変な機構部品と、を備え、前記イオン化室が、少なくとも、前記ベースマウント,前記引き出し電極、及び前記形状可変な機構部品から構成され、前記イオン化室が移動可能となっているイオン顕微鏡を開示する。
また、実施例では、前記真空断熱配管が少なくとも二つに分割され、前記真空断熱配管の一方を前記ベースに支持し、他方を前記装置架台に支持し、分割されている真空断熱配管をベローで真空連結するイオン顕微鏡を開示する。
また、実施例では、前記真空断熱配管が液体窒素回路を備え、前記真空断熱配管の内部を冷却するイオン顕微鏡を開示する。好ましくは、前記液体窒素回路と前記往復配管とが前記真空断熱容器内で熱的に一体化している。
また、実施例では、前記ベースに支持されている前記真空断熱配管の前記一端が、前記往復配管の貫通する前記隔壁を備え、前記真空断熱配管内が前記電界電離イオン源から真空隔離されているイオン顕微鏡を開示する。
また、実施例では、前記電界電離イオン源、前記試料台、及び前記レンズが存在する真空容器をベーキングする際に、前記往復配管に冷媒を循環させる運転モードを有するイオン顕微鏡を開示する。
実施例においては、イオン顕微鏡本体を搭載するベースプレートと、装置架台との間に防振機構を設け、ガス電界電離イオン源を冷却する冷却機構を、装置架台が設置される床、又はベースプレートに対して固定された第一の支持機構から懸架し、エミッタティップの冷却部材と熱的に一体化した冷却機構をイオン顕微鏡本体に対し剛に固定された第二の支持機構から懸架することにより、ガス電界電離イオン源の機械振動を低減し、高分解能な試料観察を可能にしている。
また、実施例においては、イオン顕微鏡本体を搭載するベースプレートと、装置架台との間に防振機構を設け、ガス電界電離イオン源を冷却する冷却機構を、装置架台が設置される床、又はベースプレートに対して固定された第一の支持機構から懸架し、エミッタティップの冷却部材と熱的に一体化した冷却機構をイオン顕微鏡本体に対し剛に固定された第二の支持機構から懸架し、両冷却機構の固定部の間に防振機構を設け、イオン顕微鏡本体に対し剛に固定する第二の支持機構と、第二の支持機構に支持された冷却機構の質量と、を低減することにより、エミッタティップの低振動冷却によるイオン源輝度の向上、及びエミッタティップの方向の調整によるイオンビームの集束性能向上を両立させている。
また、実施例においては、ガス電界電離イオン源を冷却する冷却機構の極低温の冷却媒体を、エミッタティップを内蔵するガス分子イオン化室まで導き、熱交換器を介してエミッタティップ、及びガス分子イオン化室を極低温に冷却する機構を設けることにより、エミッタティップの極低温化を実現している。
また、実施例においては、ガス電界電離イオン源を冷却する冷却機構と、エミッタティップを内蔵する真空容器との間の空間を隔壁で気密隔離し、真空容器内をベーキングする時に冷却機構内の冷却冷媒を循環させて冷却する機構を設け、ベーキング時の冷却機構における耐熱性の劣化を防止している。
また、実施例においては、液体窒素等の液化冷媒を供給し、流動させる回路を内蔵し、その冷熱で冷却を支援する第二の冷却機構を追設し、ガス電界電離イオン源を冷却する冷却機構と組み合わせることにより、エミッタティップの冷却を短時間に実施している。
本実施例によれば、機械振動の低減が実現し、イオン源輝度の向上、及びイオンビームの集束性能向上、を両立したガス電解電離イオン源、及び高分解能観察が可能なイオン顕微鏡を提供できる。
また、本実施例によれば、エミッタティップの極低温化が実現し、大電流のイオンビームが得られるガス電解電離イオン源、及び高分解能観察が可能なイオン顕微鏡を提供できる。
また、本実施例によれば、冷却機構の軽量化を実現し、エミッタティップを内蔵したイオン源エミッタティップの方向を容易に調整でき、エミッタティップの方向の調整によりイオンビームの集束性能が向上する、ガス電解電離イオン源、及び高分解能観察が可能なイオン顕微鏡を提供できる。
また、本実施例によれば、ベーキング後においても冷凍性能が劣化しない冷却機構を有するガス電解電離イオン源、及び高分解能観察が可能なイオン顕微鏡を提供できる。
また、本実施例によれば、装置冷却の短時間化により装置稼働率が向上する、ガス電解電離イオン源、及び高分解能観察が可能なイオン顕微鏡が提供できる。
以下、上記及びその他の本発明の新規な特徴と効果について図面を参酌して説明する。
図面は専ら発明の理解のために用いるものであり、権利範囲を減縮するものではない。また、各実施例は適宜組み合わせることが可能であり、当該組み合わせ形態についても明細書は開示している。
図1に、本実施例におけるイオン顕微鏡の概略構成図を示す。本装置は、ガス電界電離イオン源1,イオンビーム照射系カラム2,真空試料室3などから構成される。ガス電界電離イオン源1には、冷却機構100の構成要素の一つであるトランスファーチューブ404の端部420が接続されている。
イオンビーム照射系カラム2には、静電型のコンデンサレンズ5,ビーム制限アパーチャ6,ビーム走査電極7,静電型の対物レンズ8などが格納されている。真空試料室3の内部には、試料9を載置する試料ステージ10,二次粒子検出器11などが格納されている。また、ガス電界電離イオン源1にはイオン源真空排気用ポンプ12、及び真空試料室3には試料室真空排気用ポンプ13がそれぞれ取り付けられている。なお、イオンビーム照射系カラム2内部も真空に維持されている。
また、床20には、ヘリウムガスを作業ガスとする圧縮機ユニット(コンプレッサ)16が設置されている。圧縮機ユニット16は、ギフォード・マクマホン型(GM型)冷凍機401に、高圧力のヘリウムガスを、配管101、及び配管102を通じて供給する。
また、高圧力のヘリウムガスがGM型冷凍機内部で周期的に膨張することにより寒冷を発生させ、膨張して低圧力になった低圧ヘリウムガスは、配管101を通じて圧縮機ユニットに回収される。
作動冷媒となる作業ガスであるヘリウムガスは、GM型冷凍機401、並びに熱交換機410、及び熱交換機412、及び熱交換器402を用いて冷却される。圧縮機ユニット400はヘリウムガスを循環させる。圧縮機ユニット400により加圧された、0.9MPaの常温のヘリウムガス(温度300K)は、熱交換器409を通じて熱交換器402に流入し、後述する戻りの低温のヘリウムガスと熱交換して温度約60Kに冷却される。
冷却されたヘリウムガスは、断熱されたトランスファーチューブ404内の配管403を通じて輸送され、ガス電界電離イオン源1近くに配置された熱交換器405に流入する。
ここで、熱交換器405に熱的に一体化された冷却伝導体406を温度約65Kに冷却し、輻射シールド58等を冷却する。加温されたヘリウムガスは熱交換器405を流出し、配管407を通じて、GM型冷凍機401の第1冷却ステージ408に熱的に一体化された熱交換器409に流入し、温度約50Kに冷却され、熱交換器410に流入する。
ここで、後述する戻りの低温のヘリウムガスと熱交換して温度約15Kに冷却され、その後、GM型冷凍機401の第2冷却ステージ411に熱的に一体化された熱交換器412に流入し、温度約9Kに冷却され、トランスファーチューブ404内の配管413を通じて輸送され、ガス電界電離イオン源1近くに配置された熱交換器414に流入する。
ここで、熱交換器414に熱的に接続された良熱伝導体の冷却伝導棒53を温度約10Kに冷却する。熱交換器414で加温されたヘリウムガスは、配管415を通じて熱交換器410,402に順次流入し、前述のヘリウムガスと熱交換してほぼ常温(温度275K)になって、配管415を通じて圧縮機ユニット400に回収される。
なお、前述した低温部は真空断熱容器416内に収納され、図示はしていないが、トランスファーチューブ404と断熱的に接続されている。また、真空断熱容器416内においては、図示はしていないが、輻射シールド板や積層断熱材等により、室温部から低温部への輻射熱による熱侵入を防止している。
また、トランスファーチューブ404は、支持体417を介して床20に強固に固定支持されている。ここで、図示はしていないが、熱伝導率が低い断熱材であるガラス繊維入りのプラスチック製の断熱体により、トランスファーチューブ404の内部で固定支持された配管403,配管407,配管413、及び配管415も床20に固定支持されている。
また、ガス電界電離イオン源1近くにおいて、トランスファーチューブ404は、ベースプレート18に固定支持された支持体418に支持固定されている。同様に、図示はしていないが、熱伝導率が低い断熱材であるガラス繊維入りのプラスチック製の断熱体によりトランスファーチューブ404の内部で固定支持された配管403,配管407,配管413、及び配管415は、ゴム等の弾性体419を介して、支持体418に弾性支持されている。
トランスファーチューブ404の端部420におけるフランジ421は、ガス電界電離イオン源1の真空容器壁に固定支持された支持体422と固定支持されている。本支持構造により、トランスファーチューブ404の内部で固定支持された配管403,配管407,配管413、及び配管415は、ガス電界電離イオン源1の真空容器壁に固定支持されることになり、前記配管群の振動をガス電界電離イオン源1の振動と同期させることが可能となる。
すなわち、冷却機構100は、圧縮機ユニット16により発生させた第1の高圧ガスを膨張させて寒冷を発生させる寒冷発生手段と、この寒冷発生手段の寒冷により冷却し、圧縮機ユニット400により循環する第2の移動する冷媒であるヘリウムガスにより被冷却体を冷却する冷却機構から構成されている。冷却伝導棒53は、変形可能な銅網線54、及びサファイアベースを経て、エミッタティップ21に接続される。これにより、エミッタティップ21の防振と冷却が実現する。
本実施例では、GM型冷凍機が床を振動させる原因になるが、ガス電界電離イオン源1,イオンビーム照射系カラム2、及び真空試料室3などは、GM冷凍機とは隔離されて設置されている。更に、ガス電界電離イオン源1近傍に設置した熱交換器405、及び熱交換器414に連結された配管403,配管407,配管413、及び配管415は、殆ど振動しない床20やベースプレート18に強固に固定支持され振動せず、しかも、床から振動絶縁されているため機械振動の伝達の極めて少ないシステムとなっている。また、装置架台17の上にはベースプレート18が配置されており、ガス電界電離イオン源1,イオンビーム照射系カラム2、及び真空試料室3などはベースプレート18に固定されている。装置架台17とベースプレート18との間には除振機構19が配置されており、床の高周波数の振動が、ガス電界電離イオン源1,イオンビーム照射系カラム2、及び真空試料室3などに伝達しにくい。すなわち、本実施例のガス電解電離イオン源によれば、機械振動が低減しており、高分解能観察が可能なガス電解電離イオン源、及びイオン顕微鏡を実現している。
また、GM型冷凍機401にヘリウムガスを送る圧縮機ユニット16あるいは圧縮機ユニット400からの音が、ガス電界電離イオン源1を振動させてその分解能を劣化させることがある。このため、本実施例では、圧縮機とガス電界電離イオン源1を空間的に分離する装置カバー423を設けている。これにより、冷凍機の圧縮機の音を遮蔽して、振動の影響がさらに低減し、高分解能観察が可能なガス電解電離イオン源、及びイオン顕微鏡を実現している。尚、この効果は、圧縮機を用いる実施例に共通している。
また、本実施例の場合、圧縮機ユニット400を用いて第2のヘリウムガスを循環させたが、流量調整弁を介して、圧縮機ユニット16の配管101、及び配管102と、熱交換器409、及び配管415を連通し、圧縮機ユニット16の一部のヘリウムガスを第2のヘリウムガスとして熱交換器409内に供給し、配管415によりヘリウムガスを圧縮機ユニット16に回収しても、同様な効果を生じる。このようにして、冷却機構100は構成されている。
図2に、本実施例のイオン顕微鏡を制御する装置(あるいは部と称する。)を示す。本制御装置は、電界電離イオン源制御装置91,冷却機構制御装置92,レンズ制御装置93,ビーム制限アパーチャ制御装置94,イオンビーム走査制御装置95,二次電子検出器制御装置96,試料ステージ制御装置97,真空排気用ポンプ制御装置98、及び計算処理装置99などから構成される。ここで、計算処理装置99は、二次粒子検出器11の検出信号をもとに生成された画像や、情報入力手段によって入力した情報などを表示する画像表示部を備える。また、ここで、試料ステージ10は、試料載置面内の直行2方向への直線移動機構、試料載置面に垂直方向への直線移動機構、試料載置面内回転機構、及び傾斜軸周りに回転することによりイオンビーム14の試料9への照射角度を可変できる傾斜機能を備え、これらの制御は、計算処理装置99からの指令によって試料ステージ制御装置97により行われる。
次に、図3に、本実施例の電界電離イオン源の概略構造図を示す。また、図4に、本実施例の電界電離イオン源のエミッタティップ等を冷却する冷凍機構を含めた電界電離イオン源の概略構造図を示す。尚、電界電離イオン源は真空容器から構成されている。エミッタティップ21は、真空容器51より吊り下げる構造となっており、エミッタティップ21を水平直角2方向、及び上下方向に調整可能となっており、また、エミッタティップ先端の角度を調整できる可動構造となっている。これに対して、引き出し電極24は、真空容器に対して固定である。また、フィラメントマウント23は、サファイアベース52によって絶縁されている。
また、本実施例では、可撓性が高い銅網線54のような変形可能な機構部品により冷却伝導棒53とサファイアベース52を接続することにより、エミッタティップ21を可動とするとともに、剛体機構部品で接続する場合に比べて、高い周波数の振動伝達を低下させている。すなわち、本冷却機構を用いたガス電界電離イオン源は、エミッタティップの機械的振動をさらに低減できるという特徴を持つ。また、冷凍機からの振動伝達を低下させるという観点で、引き出し電極24は真空容器に対して固定構造であるが、引き出し電極を支持するサファイアベース55と良熱伝導体の冷却伝導棒53の先端との接続も変形可能な銅網線56により接続している。これにより、高分解能観察が可能なイオン顕微鏡を実現している。
また、輻射シールドは、図示はしていないが、銅製の冷却伝導体406を経て図3の輻射シールド58に接続されている。なお、この冷却伝導体406は、上記冷却伝導棒53を覆うようにしてエミッタティップ近傍まで配置されている。輻射シールド58は、エミッタティップを含むガス分子イオン化室を囲み、ガス分子イオン化室への熱輻射による熱流入を低減している。さらに、輻射シールド58は、ガス分子イオン化室からイオンビーム引き出し方向に存在しており、ガス分子イオン化室に対向する静電レンズ59の少なくとも一つの電極と接続している。図中、静電レンズは3枚の電極で構成されており、ガス分子イオン化室に最も近い電極60は輻射シールド58と接続しており、冷却されている。
次に、図4に、本実施例における電界電離イオン源のエミッタティップ周辺模式図を示す。電解電離イオン源のエミッタティップ周辺は、エミッタティップ21,フィラメント22,フィラメントマウント23,引き出し電極24,ガス供給配管25、及び変形可能なベローズB62等によって構成される。また、エミッタティップ21はフィラメント22に固定されている。フィラメント22は、その両端がフィラメントマウントの支持棒31に固定されている。
引き出し電極24は、エミッタティップ21に対向して配置され、イオンビーム14を引き出す小孔27を持つ。引き出し電極24には、円筒状の側壁28、及び天板29が接続されており、エミッタティップ21を囲んでいる。さらに、円筒状の側壁の周囲には円筒状の積層断熱材30が取り付けられている。
ここで、引き出し電極,側壁、及び天板で囲まれる部屋をガス分子イオン化室と呼ぶ。
また、ガス分子イオン化室には、ガス供給配管25が接続されている。このガス供給配管25により、イオン化ガスであるヘリウムガスあるいは水素ガスが供給される。このイオン化ガスは、流量調節装置40で所定の流量に制御される。ガス供給配管25は、図示はしていないが、冷却伝導体406に熱接触させた後に冷却伝導棒53に熱接触させ、冷却伝導棒53の温度まで冷却された後にガス分子イオン化室内に導かれている。
また、フィラメントマウントはエミッタベースマウント64に固定されており、エミッタベースマウント64は、変形可能なベローズA61を介して真空容器51に固定されている。
図5、及び図6に、エミッタティップが傾斜した前後における電界電離イオン源のエミッタティップ周辺模式図を示す。ベローズA61、及びベローズB62が変形してエミッタティップの傾斜が実現していることがわかる。ここで、本実施例では、エミッタティップと引き出し電極の間に存在するベローズBの最小直径が、エミッタティップベースマウントと真空容器の間に存在するベローズAの最大直径よりも小さい。これにより、エミッタティップ先端を頂点とする逆三角形構造が実現し、エミッタティップ先端の振動をより小さくしている。
この逆三角形構造の特徴は、エミッタティップ21が変形可能なベローズB62、及び絶縁材63を介して引き出し電極24と接続していることである。これにより、エミッタティップ21が傾斜を含めて移動可能でありながら、エミッタティップ周辺を引き出し電極24等が囲んでおり、引き出し電極の小孔27、及びガス供給配管25以外からのヘリウム漏洩は無い。これは、変形可能なベローズB62を挟んでエミッタティップ21と引き出し電極24を接続したことによるものであり、ガス分子イオン化室の気密を高めることに貢献している。
次に、エミッタティップ作製について述べる。エミッタティップは、直径約100〜400μm、軸方位<111>のタングステン線であり、その先端は鋭利に形成され、先端曲率半径は数10nmである。さらに、別の真空容器において、エミッタティップ先端にイリジウムが真空蒸着される。その後、高温加熱により、白金原子をエミッタティップ先端に移動させると、白金原子によるナノメートルオーダのピラミッドが形成される。これをナノピラミッドと呼ぶこととする。ナノピラミッド先端は1個の原子であるが、この原子の下には3個あるいは6個の原子の層が存在する。さらにその下には10個以上の原子の層が存在する。
なお、本実施例ではタングステンの細線と白金を用いたが、モリブデンの細線を用いることもできる。また、本実施例では白金を被覆したが、イリジウム,レニウム,オスミウム,パラジュウム,ロジュウムなどを用いることもできる。イオン化ガスとしてヘリウムを用いる場合には、ヘリウムが電離する電界強度よりも金属の蒸発強度が大きいことが重要であり、白金,レニウム,オスミウム,イリジウムが好適となる。なお、水素の場合には、白金,レニウム,オスミウム,パラジュウム,ロジュウム,イリジウムが好適である。
次に、本イオン源の動作について述べる。図4において真空排気後、ガス分子イオン化室側壁の外側の積層断熱材30により、引き出し電極24,側壁28、及び天板29などを、例えば温度300℃に加熱することによりベーキングして脱ガスする。この時に同時に、大気中に配置した別の抵抗加熱器によってベローズA61も加熱することにより、ベローズA61の真空度が向上し、残留ガス濃度が低下する。この操作により、イオン放出電流の時間安定性を向上できる。
本実施例では、積層断熱材30を、ガス分子イオン化室の外側に配置している。これにより、内部に配置した場合に比べ、抵抗加熱器自身からの脱ガスが無いため、ガス分子イオン化室をより高真空にできる。
ここで、図1に示すように、トランスファーチューブ404の端部420において、耐熱性のある例えばステンレス鋼製の真空隔壁26により気密隔離し、真空隔壁26の両面に接する空間の間を隔離している。ベーキング時のイオン源室側の空間は大気となり、且つ、ベーキング温度300℃に保持される。この状態では、ベーキング室に面している冷却伝導棒53、及び冷却伝導体406を介して、端部420側の熱交換器405、及び熱交換機414の温度が上昇する。トランスファーチューブ404内部の構成物は、溶接や銀ろう等の結合手段により組み立てられているため、ベーキングによる影響ない。しかし、これらの構成要素の周りに配置されている輻射熱防止用の積層断熱材30は、薄いポリエステルフイルムにアルミニウムを蒸着した材料で構成されているため、ベーキング温度で熱分解し、断熱性能を維持することはできない。このため、ベーキング時には、冷却機構制御装置92の制御により冷却運転を実施し、熱交換器405、及び熱交換機414の温度の上昇を防止し、積層断熱材の温度を120℃以下に冷却する。これにより、積層断熱材30の変質を防止し、ベーキング後の冷却運転において、ガス分子イオン化室を所定の低温に冷却できる。
このようにして、ガス分子イオン化室、及び真空容器の加熱を停止し、十分な時間を経た後、冷却機構を動作させてエミッタティップ,引き出し電極、及び輻射シールド等を冷却する。そして、ガス供給配管25によりイオン化ガスであるヘリウムあるいは水素をガス分子イオン化室に導入する。ここで、引き出し電極の小孔27を直径0.2mm以下とすると、ガス分子イオン化室のガス圧力を、イオン化室外側の真空容器の真空度よりも少なくとも1桁以上大きくすることが可能になる。これにより、イオンビームが真空中のガスと衝突して中性化する割合が少なくなり、大電流のイオンビームを試料に照射できるという効果を奏する。また、高温のヘリウムガス分子が引き出し電極と衝突する個数が少なくなり、エミッタティップ、及び引き出し電極の冷却温度を下げることができ、大電流のイオンビームを試料に照射できるという効果を奏する。
次に、エミッタティップ21と引き出し電極24の間に電圧を印加すると、エミッタティップ先端に強電界が形成される。多くのヘリウムが、強電界によりエミッタティップ面に引っ張られ、最も電界の強いエミッタティップの先端近傍に到達する。そこでヘリウムが電界電離し、引き出し電極の小孔を通してイオンビームが引き出される。ここで、電界強度を調整すると、エミッタティップの先端に存在するナノピラミッド頂点の原子1個近傍でヘリウムイオンが生成される。すなわち、非常に限定された領域でイオンが発生するため、単位面積、及び単位立体角から放出される電流を大きくできる。これは、試料上で微細径、且つ大電流のイオンビームを得るためには重要な特性である。
次に、図3において、レンズを通過したイオンビーム14は、走査偏向電極301を通過し、さらにアパーチャ板302の微細径の穴を通過して、可動のシャッタ303に衝突する。ここで、イオンビームを走査しながら可動のシャッタで発生する二次電子などの二次粒子304を二次粒子検出器305で検出して二次粒子像を得るとエミッタティップのイオン放射パターンが観察できる。そこで、イオン放射パターンを観察しながら、エミッタティップ位置、及び角度を調整する。また、イオン放射パターンの中から、原子1個からのイオンビームがアパーチャを通過するイオンビーム軌道もしくはアパーチャ位置を選択し、調整することもできる。ピラミッドの先端が、3個あるいは6個の原子により構成される場合には、いずれか1個の原子近傍から放出されるイオンを選択してアパーチャを通過するように、イオンビーム軌道もしくはアパーチャ位置を調整することもできる。なお、アパーチャ板302から放出された二次電子などの二次粒子を二次粒子検出器により検出して二次粒子像を得ても同等の効果を得ることができる。特に、可動のシャッタ上に微細な突起を設け、この二次粒子像を観察すれば、より明快にパターンを観察できる。そして、本調整の後、シャッタ303を移動させてイオンビームを通過させる。
また、本実施例における電解電離イオン源では、ガス分子イオン化室の気密が高く、ガス分子イオン化室の外側では真空度が高いため、イオンビームが真空中のガスと衝突して中性化する割合が少なく、大電流のイオンビームを試料に照射できる。また、高温のヘリウムガス分子が引き出し電極と衝突する個数が少なくなり、エミッタティップ、及び引き出し電極の冷却温度を下げることができ、大電流のイオンビームを試料に照射できる。
なお、不測の放電現象などによりナノピラミッドが損傷した場合は、エミッタティップを約30分間加熱(1000℃程度)することにより、容易にナノピラミッドを再生することが可能であるが、その処置においても損傷が修復できない場合には、正常なエミッタティップと交換する。
次に、図1を用いてイオンビーム照射系の動作について述べる。イオンビーム照射系の動作は、計算処理装置99からの指令により制御される。まず、イオン源のエミッタティップ先端から放出されたイオンビーム14をコンデンサレンズ5、及びビーム制限アパーチャ6を通し、対物レンズ8により試料ステージ10上の試料9の上に集束させる。これにより、微小な点状ビームを試料上で得ることができる。この場合には、電流は数pA程度と少ないが、ビーム径は1nm以下と小さくできる。この微細なイオンビームを、イオンビーム走査電極7により走査させることにより、試料から放出される二次電子などを二次粒子検出器11で検出し、これを輝度変調することにより計算処理装置99の画像表示手段上に走査イオン顕微鏡像を得ることができる。すなわち、試料表面の高分解能観察を実現する。
ここで、本実施例における電解電離イオン源の特徴は、ナノピラミッドの先端の原子1個近傍から放出されたイオンを用いることである。すなわち、イオンが放出される領域が狭く、イオン光源がナノメータ以下と小さい。このため、イオン光源を同じ倍率で試料に集束させるか、縮小率を2分の1程度に大きくすると、イオン源の特性を最大限に活かすことができる。従来のガリウム液体金属イオン源の光源の大きさは約50nmと推定されており、試料上で5nm以下のビーム径を実現するためには、縮小率を10分の1以下とする必要がある。この場合には、イオン源のエミッタティップの振動は、試料上では10分の1以下に縮小される。例えば、エミッタティップが10nm振動していても試料上では1nm以下であり、5nmのビーム径に対する影響は軽微であった。ところが、本実施例におけるイオン源では、10nmの振動は、2分の1の縮小率では試料上では5nmの振動となり、ビーム径に対して大きくなってしまう。従って、従来の装置ではこの点での配慮が充分でなく、良好な試料表面の観察が必ずしも実現されていなかった。本実施例では、この振動に対する対策が充分であるため、イオン源の性能を充分発揮し、試料表面の高分解能観察を実現している。
また、対物レンズ8先端と試料9の表面までの距離を仕事距離と称するが、これを2mm
未満に短くすると、0.5nm未満の超高分解能が実現する。従来は、ガリウムなどのイオンが用いられていたため、試料からのスパッタ粒子が対物レンズを汚染して、正常動作を妨げる懸念があったが、本実施例におけるイオン顕微鏡ではこの懸念が少なく、超高分解能を実現している。
なお、本実施例における電界電離イオン源の引き出し電極は、真空容器に対して固定されているが、エミッタティップマウントが銅網線で接続されることにより、エミッタティップは引き出し電極に対して可動となる。これにより、エミッタティップの引き出し電極の小孔に対する位置調整や光学系に対する軸調整が可能になり、より微細なビームを形成することができる。
また、真空試料室、及び試料室真空排気用ポンプを約200℃まで加熱できるようにして、試料室の真空度を大きくとも10-7Pa以下にできるようにすると、イオンビームを試料に照射した時にコンタミがあまり起こらず、試料表面を良好に観察できる。従来のSEMと比較すると、ヘリウムや水素イオンビームの照射によるコンタミデポジションの成長が早く、試料表面の観察が困難になる場合があった。そこで、真空試料室、及び試料室真空排気用ポンプを真空の状態で加熱処理をすると、試料室真空内のハイドロカーボン系の残留ガスを少なくすることができ、試料の最表面を高分解能で観察できる。ここで、試料室真空排気用ポンプとしては、ターボ分子ポンプ,サブリメーションポンプ,非蒸発ゲッタポンプ,イオンポンプあるいはノーブルポンプなどを用いることができる。特に、サブリメーションポンプ,非蒸発ゲッタポンプ,イオンポンプ,ノーブルポンプあるいはエクセルポンプなどのいずれかを主たる真空ポンプとして用いると比較的容易に10-7Pa以下の超高真空を得ることができ、さらに機械振動の影響が少なく、試料の最表面を高分解能で観察できる。なお、このときにターボ分子ポンプが動作していても、主たる真空ポンプがサブリメーションポンプ,非蒸発ゲッタポンプ,イオンポンプ,ノーブルポンプあるいはエクセルポンプであれば同じ効果を得ることができる。また、装置架台17の脚が防振機構を備えていたとしても同じ効果を奏する。
以上、本実施例によれば、冷却機構のGM型冷凍機が床を振動させるが、ガス電界電離イオン源1,イオンビーム照射系カラム2、及び真空試料室3などは、GM冷凍機とは隔離されて設置されている。さらに、トランスファーチューブの先端においてガス電界電離イオン源1近傍に設置されている熱交換器405、及び熱交換機414に連結された配管403,配管407,配管413、及び配管415は、殆ど振動しない床20やベースプレート18に強固に固定支持されており振動しない。また、床から振動絶縁されているため、機械振動の伝達が極めて少ない。更には、ガス電界電離イオン源1の真空隔壁に、前記配管、及び熱交換器が固定支持されるため、ガス電界電離イオン源1との相対振動が無くなり、機械振動の低減が実現している。
また、本実施例によれば、真空隔壁26を設け、ベーキング時に、冷却機構制御装置92の制御により冷却機構100の冷却運転を実施し、積層断熱材の温度を120℃以下に冷却することにより、ベーキング後の冷却運転において、ガス分子イオン化室を所定の低温に冷却できる。尚、本実施例では、真空隔壁26は、室温からの侵入熱を防止するため、熱移動距離が長くなるハニカム構造となっている。
また、本実施例では、冷却機構にGM型冷凍機を用いたが、冷凍機として、パルス管冷凍機,スターリング式冷凍機,電子式冷凍機、又は膨張タービン式冷凍機を使用しても、同様の効果が生じる。
図7に、本実施例におけるイオン顕微鏡の概略構成図を示す。以下、実施例1との相違点を中心に説明する。
本実施例では、ガス電界電離イオン源1に固定支持され、ガス電界電離イオン源1が荷重負担するトランスファーチューブ404の重量を軽減するため、一般的に重量が大きいトランスファーチューブ404を、垂直下方からほぼ垂直方向に立ち上げ、その途中のトランスファーチューブ部位430を、床20に直結した装置架台17に固定支持した小孔27に固定支持し、トランスファーチューブの大半の加重を支えている。トランスファーチューブ部位430から先端側のトランスファーチューブ部位431を、床20からの振動を除振機構19により除去されたベースプレート18に固定支持された支持体432に固定支持する。防振用ベロー433により、真空断熱空間が連結されている。さらに、防振用ベロー433の先端側に防振用ベロー434を設け、真空断熱空間が連結した構成となっている。冷却熱伝導体435、及び冷却熱伝導体436は、熱交換器405、及び熱交換器414に、その端部を熱的に一体化され、その他端は、真空隔壁26を気密貫通して、それぞれ熱シールド板58とガスイオン室を冷却する。極低温度に冷却される冷却熱伝導体436の周囲は、トランスファーチューブ404の室温からの輻射熱の侵入を防止するため、輻射シールド板437が配置されている。輻射シールド板437は、低温度の冷却熱伝導体435と熱的に一体化している。これらの部材の材質は、真空隔壁26との気密貫通部を除く大半の部分をアルミニウム製となっており、軽量化されている。支持体417と小孔27間の距離は数メートルが一般的であり、大気に面する外管がステンレス製のトランスファーチューブ404の総重量は数十キログラムにもなる。本実施例によれば、支持体432から支持体422間の距離は0.5メートル程度であり、両支持体にかかるトランスファーチューブの重量は数キログラムとなり、軽量化が達成されている。
以上、本実施例によれば、エミッタティップを内蔵したガス電界電離イオン源1に固定支持した冷却機構の軽量化を実現し、且つ、ベロー434により支持体432で固定支持されたトランスファーチューブ部位431から自由に、容易に角度を変えられるため、エミッタティップの方向の調整によるイオンビームの集束性能が向上するガス電解電離イオン源、及び高分解能観察が可能なイオン顕微鏡を提供できる。
本実施例では、常温状態にあるエミッタティップの冷却を短時間に実施できる構造を説明する。以下、図8及び図9を参照し、実施例1及び2との相違点を中心に説明する。
液体窒素容器500内の液化冷媒である液体窒素は、弁501を通じて配管502に供給される。そして、トランスファーチューブ404の断熱真空空間内に配置された温度80Kの輻射シールド管503に熱的に一体化された配管403と、少なくとも一部を半田507等で熱的に接続された配管502内と、を流動する。ここで、配管403の胴体および内部を流動する作業ガスのヘリウムガスを冷却し、それによって熱容量の大きな輻射シールド管503を冷却する。配管502の先端は、トランスファーチューブ404先端部でUターンし、連通した配管504内部を流動し、真空容器416内に戻り、熱交換器505に流入して熱交換した後、弁506を介して大気に排出される。熱交換器505では、低温の液体窒素と蒸発ガス窒素の混合流で流動し、配管415内を流動する戻りのヘリウムガスを冷却し、冷却初期状態で熱容量が大きい熱交換器410、及び熱交換器402の、液体窒素温度マイナス186℃までの初期冷却を迅速に行う。このようにして、トランスファーチューブ404,熱交換器410、及び熱交換器402の初期冷却を行うと同時に、配管403、及び配管413内のヘリウムガスも初期冷却される。これによって、熱交換器405、及び熱交換器414も、短時間に液体窒素温度まで初期冷却され、冷却伝導体435、及び冷却伝導体436も短時間に液体窒素温度まで初期冷却されて、エミッタティップの冷却を短時間に実施できる。ここで、トランスファーチューブ404内の空間508と空間509は真空断熱空間である。
初期冷却が終了すると、液体窒素容器500からの液体窒素の供給を停止し、弁501を閉め、配管502内の液体窒素が無くなった後、弁506を閉じる。GM型冷凍機401で更に冷却温度が下がると、配管415のヘリウムガス温度が5K程度の極低温度となり、熱交換器505が冷却され、上述した液体窒素回路中の残留窒素ガスは凝固し、回路内は真空となり、ガスの対流や伝導による室温部からの熱侵入はなくなり、断熱できる。
また、図10には、他のトランスファーチューブ508の例を示す。図9の構成との相違は、図9における熱シールド管503を、図10では、ヘリウムガスや水素ガスを熱伝導媒体として封入した空間510を構成する熱シールド管511、及び熱シールド管512で構成し、空間510内に、配管502,配管507,配管407、及び配管504を収納しているところである。ここで、配管502と配管507間の熱交換は真空断熱容器内の配管間で行われるのため、専用の熱交換器を設ける必要がなく、スペースの縮小化が可能であり、且つ、専用の熱交換器が不要となるため、コストも低減できる。熱シールド管511、及び熱シールド管512は、前記配管内の液体窒素や低温のヘリウムガスにより、封入熱伝導媒体のヘリウムガスや水素ガスを介して冷却される。配管413と配管415は、真空断熱空間513内に配置されている。また、空間514は真空断熱空間である。
以上、本実施例によれば、液体窒素を循環させる回路を内蔵し、その冷熱により冷却を支援する第二の冷却機構を備えることより、冷凍機の冷凍能力を増やさずに、エミッタティップ冷却の短時間化が可能であり、装置の運転稼働率を向上できる。
図11を参照して、実施例1〜3との相違を中心に説明する。
本実施例では、真空隔壁26を貫通した配管413、及び配管415内のヘリウムガスを熱交換器600に導き、熱交換器600を極低温に冷却する。熱交換器600には、変形可能な銅網線54、及びサファイアベースを経てエミッタティップ21に接続される。
これにより、エミッタティップ21の冷却が実現する。
本実施例では、配管413内のヘリウムガスにより、エミッタティップ21に近い熱交換器600を冷却できるため、図7における冷却熱伝導体436を介してエミッタティップ21を冷却する場合に比べ、冷却熱伝導体436の熱抵抗による温度上昇分がなくなり、エミッタティップ21を更に低温に冷却できる。
真空隔壁26を貫通した配管413、及び配管415によりガス電界電離イオン源1近傍でヘリウムガスを流動させることは、ヘリウムガスの流動による振動が発生し、その振動によって、エミッタティップ21が振動するリスクが生じる。しかし、配管413、及び配管415内のヘリウムガスの温度は5K程度の極低温状態であり、管内のガス流速は十分低下しているため、流速の2乗に比例する流量による運動エネルギーは小さく、流動による振動は発生せず、問題は生じない。
本実施例によれば、ガス電界電離イオン源1をさらに低温に冷却できる。
本発明は、インビームにより試料上の構造数寸法を計測するのに好適な解析装置、若しくはイオンビームを用いた測長装置、又は検査装置に適用することもできる。また、本発明は、高分解能観察が可能なイオン顕微鏡とイオンビーム加工装置との複合装置、あるいは高分解能観察が可能なイオン顕微鏡と電子顕微鏡との複合装置の提供にも適用できる。
本発明は、イオンビームにより試料を加工して断面を形成して、この断面をイオン顕微鏡で観察する装置、及び断面観察方法にも利用できる。また、本発明は、イオン顕微鏡による試料観察、電子顕微鏡による試料観察、及び元素分析を1台で実施でき、欠陥や異物などを観察や解析する解析装置や検査装置にも利用できる。
1 ガス電界電離イオン源
2 イオンビーム照射系カラム
3 真空試料室
5 コンデンサレンズ
6 ビーム制限アパーチャ
7 ビーム走査電極
8 対物レンズ
9 試料
10 試料ステージ
11 二次粒子検出器
12 イオン源真空排気用ポンプ
13 試料室真空排気用ポンプ
14 イオンビーム
15 ガス分子イオン化室
16 圧縮機ユニット
17 装置架台
18 ベースプレート
19 除振機構
21 エミッタティップ
22 フィラメント
23 フィラメントマウント
24 引き出し電極
25 ガス供給配管
26 真空隔壁
27 小孔
28 側壁
29 天板
30 積層断熱材
51 真空容器
52,55 サファイアベース
53 冷却伝導棒
54,56 銅網線
60 電極
61 ベローズA
62 ベローズB
92 冷却機構制御装置
93 レンズ制御装置
94 ビーム制限アパーチャ制御装置
95 イオンビーム走査制御装置
96 二次電子検出器制御装置
97 試料ステージ制御装置
98 真空排気用ポンプ制御装置
99 計算処理装置
101,102,403,407,413,415,502,504 配管
103 支柱
400 圧縮機ユニット
401 GM型冷凍機
402,405,409,410,412,600 熱交換器
404 トランスファーチューブ
406 冷却伝導体
432 支持体
433,434 ベロー
500 液体窒素容器
506 弁

Claims (10)

  1. 先端が針状のエミッタティップと、前記エミッタティップが配置されたイオン化室と、前記エミッタティップの先端近傍にガス分子を供給する配管と、前記ガス分子をイオン化する電界を前記エミッタティップの先端近傍に発生させる引き出し電極と、を有する電界電離イオン源と、
    試料を載置する試料台と、
    前記ガス電界電離イオン源からのイオンビームを試料上に集束させるレンズと、
    前記電界電離イオン源,前記試料台、及び前記レンズを支持するベースと、
    装置架台と、
    前記ベースと前記装置架台の間に設けられた除振機構と、を備えるイオン顕微鏡において、
    前記電界電離イオン源の一部と熱的に連結する冷却熱伝導体と、
    前記冷却熱伝導体と熱的に結合する熱交換器と、
    前記ベースと独立している冷凍機と、
    前記熱交換器と前記冷凍機との間で冷媒を循環させる往復配管と、
    前記往復配管の少なくとも一部を収容する真空断熱配管と、備え、
    前記真空断熱配管の一端が前記ベースに支持されているイオン顕微鏡。
  2. 請求項1記載のイオン顕微鏡において、
    前記電界電離イオン源を冷却する極低温度の冷媒が流動する第1の往復配管と、当該第1の往復配管を熱シールドするように配置され、前記極低温度の冷媒よりは温度の高い冷媒が流動する第2の往復配管と、を備えることを特徴とするイオン顕微鏡。
  3. 請求項1記載のイオン顕微鏡において、
    前記ベースに支持されている前記真空断熱配管の前記一端が、前記冷却熱伝導体の貫通する隔壁を備え、前記真空断熱配管内に前記熱交換器が存在し、当該熱交換器が前記電界電離イオン源から真空隔離されていることを特徴とするイオン顕微鏡。
  4. 請求項3記載のイオン顕微鏡において、
    前記真空隔壁がハニカム構造を備えることを特徴とするイオン顕微鏡。
  5. 請求項1記載のイオン顕微鏡において、
    前記エミッタティップを支持するベースマウントと、
    前記ベースマウントと前記引き出し電極とを接続する形状可変な機構部品と、を備え、
    前記イオン化室が、少なくとも、前記ベースマウント,前記引き出し電極、及び前記形状可変な機構部品から構成され、前記イオン化室が移動可能となっていることを特徴とするイオン顕微鏡。
  6. 請求項1記載のイオン顕微鏡において、
    前記真空断熱配管が少なくとも二つに分割され、前記真空断熱配管の一方を前記ベースに支持し、他方を前記装置架台に支持し、分割されている真空断熱配管をベローで真空連結することを特徴とするイオン顕微鏡。
  7. 請求項1記載のイオン顕微鏡において、
    前記真空断熱配管が液体窒素回路を備え、前記真空断熱配管の内部を冷却することを特徴とするイオン顕微鏡。
  8. 請求項7記載のイオン顕微鏡において、
    前記液体窒素回路と前記往復配管とが前記真空断熱容器内で熱的に一体化していることを特徴とするイオン顕微鏡。
  9. 請求項1記載のイオン顕微鏡において、
    前記ベースに支持されている前記真空断熱配管の前記一端が、前記往復配管の貫通する前記隔壁を備え、前記真空断熱配管内が前記電界電離イオン源から真空隔離されていることを特徴とするイオン顕微鏡。
  10. 請求項1記載のイオン顕微鏡において、
    前記電界電離イオン源,前記試料台、及び前記レンズが存在する真空容器をベーキングする際に、前記往復配管に冷媒を循環させる運転モードを有することを特徴とするイオン顕微鏡。
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