JP2016027525A - 荷電粒子線源の冷却機構を具備する荷電粒子線装置及び荷電粒子線源 - Google Patents

荷電粒子線源の冷却機構を具備する荷電粒子線装置及び荷電粒子線源 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、荷電粒子線源の冷却機構を具備する荷電粒子線装置において、イオン銃を小型化してチップと熱交換器との間の伝熱効率を向上させつつ、イオン銃内の断熱性能を向上させる技術を提供する。
【解決手段】荷電粒子線装置は、荷電粒子線を放出する荷電粒子線源と、荷電粒子線を集束して試料に照射する荷電粒子線光学系と、チップを冷却する冷却機構とを備える。前記荷電粒子線源は、前記チップと高電圧端子との間に、大気側からの熱流入を抑制する断熱構造を有する断熱構造部材を備え、断熱構造部材における高電圧端子側の端部からチップ側の端部への伝熱経路が、断熱構造部材における高電圧端子側の端部からチップ側の端部への直線距離よりも長くなっている。
【選択図】図4

Description

本発明は、荷電粒子線源の冷却機構を具備する荷電粒子線装置、及び、荷電粒子線装置の荷電粒子線源に関する。
電子やイオンを用いた荷電粒子線をプローブとする、荷電粒子線装置(電子顕微鏡やイオン顕微鏡)は、プローブが照射される試料面上でプローブが位置的に振動すると、分解能が劣化したり、画像ノイズが発生する。この荷電粒子線装置では、高分解能を得るためにプローブ径を小さくし、高輝度のビームを発生させるために、先端を針状に先鋭化した金属製のチップを用いて荷電粒子源を点光源とすることが多い。
特に、近年実用化されたガス電界電離イオン源(Gas Field Ionization Ion Source、略してGFIS)のチップは、イオン放出源先端を1〜数原子の終端とする。この先端は、ほぼ原子レベルの点光源となる。したがって、チップ性能を生かし、且つ高分解能化を実現するためには、チップの振動をサブナノメートルオーダーで抑制することが必要不可欠である。
しかしながら、GFISは、効率的にガスの電離を行うためにチップを極低温に冷却する必要がある。冷却温度は使用するガス種によって異なるが、通常10〜80[K]のレベルで用いられる。歴史的にも冷却は、液体窒素、固体窒素、液体ヘリウムを冷媒とする冷却方式がとられることが多い。しかしながら、取扱いがより安全且つ容易なヘリウムガスを冷媒とした冷凍機が普及したことにより、これを用いることも可能となった。この冷凍機を使用することで、短期間での冷媒の補充や、酸欠や冷媒の無駄な消費を大幅に低減できる。
しかしながら、冷凍機は、冷媒の圧縮・膨張機構、ないしは冷媒ガスの循環機構を有するため、機械的な振動が大きい。また、チップに冷凍機を接続して冷却する場合、チップの到達温度は該冷凍機の吸熱能力、イオン銃の熱負荷、および接続経路の伝熱効率で制限されるため、伝熱(吸熱)経路は短くすることが望ましい。つまり、冷凍機とチップの接続は極力短く行う必要があり、必然的に冷凍機をイオン銃の近傍に配置することになる。一方、振動の観点からは、GFISの近傍に冷凍機を設置することは回避すべきである。市販されている冷凍機の中には低振動タイプのものもあるが、イオン源近傍に取付けて使用できるようなレベルとは言えない。
この課題に対して、特許文献1では、冷凍機をイオン源から距離をおいて設置し、冷凍機とイオン源との間をトランスファーチューブで接続し、該冷凍機であらかじめ冷却した冷媒ガスをトランスファーチューブにより循環させる技術が開示されている。
特開2011−14245号公報
従来の特許文献1の方式では、冷凍機の振動が直接イオン源に伝わらないため、チップの振動を抑えることができるが、トランスファーチューブの熱負荷が冷凍機の負荷として上乗せされる。冷凍機の吸熱機能を上げることも考えられるが、冷凍機の吸熱量は物理的に現実的な範囲があり、無制限に大きくできない。また、冷凍能力が大きければ冷凍機自体も大型化し、振動、騒音なども大きくなる。特に、冷凍機自体の振動が大きくなれば床振動として、騒音が大きくなれば音波として、荷電粒子線装置に伝わることになる。
したがって、荷電粒子線の振動を低減しつつ、冷凍機の熱負荷を小さくする構造が必要となる。冷凍機の熱負荷を小さくするには、イオン銃自体を小型化してイオン銃内のチップとトランスファーチューブ末端の熱交換器との間の伝熱効率を向上させつつ、チップの断熱(熱伝導と輻射熱、および導入ガスによる熱輸送などの断熱)機能を向上させることが有効である。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、荷電粒子線源の冷却機構を具備する荷電粒子線装置において、イオン銃を小型化してチップと熱交換器との間の伝熱効率を向上させつつ、イオン銃内の断熱性能を向上させる技術を提供する。
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、大気側に配置された高電圧端子からチップに電圧を印加することによって荷電粒子線を放出する荷電粒子線源と、前記荷電粒子線を集束して試料に照射する荷電粒子線光学系と、前記チップを冷却する冷却機構と、を備える荷電粒子線装置であって、前記荷電粒子線源は、前記チップと前記高電圧端子との間に、前記大気側からの熱流入を抑制する断熱構造を有する断熱構造部材を備え、前記断熱構造部材における前記高電圧端子側の端部から前記チップ側の端部への伝熱経路が、前記断熱構造部材における前記高電圧端子側の端部から前記チップ側の端部への直線距離よりも長いことを特徴とする荷電粒子線装置が提供される。
本発明によれば、イオン銃を小型化してチップと熱交換器との間の伝熱効率を向上させつつ、イオン銃内の断熱性能を向上させることが可能となる。
本発明に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、上記した以外の、課題、構成および効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
本発明に係る荷電粒子線装置の全体構成図である。 本発明のある実施例に係る荷電粒子線装置のイオン銃の構成図である。 図2の上面図である。 チップ保持部品の断熱部品の構造を示す図である。 チップ保持部品の断熱部品の構造の別の例を示す図である。 チップ保持部品の断熱部品の構造の別の例を示す図である。 本発明の別の実施例に係る荷電粒子線装置のイオン銃の構成図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施例について説明する。なお、添付図面は本発明の原理に則った具体的な実施例を示しているが、これらは本発明の理解のためのものであり、決して本発明を限定的に解釈するために用いられるものではない。
<荷電粒子線装置の構成>
図1は、本発明の第1実施例に係る荷電粒子線装置の全体構成図である。なお、以下の実施例ではGFISを用いたイオン顕微鏡を例として説明するが、チップの冷却を行う類の荷電粒子線源を用いた顕微鏡についても同様の構成、作用、効果が得られることは明白である。
荷電粒子線装置100は、概して、イオン銃(荷電粒子線源)1と、光学系筐体2及び試料室3から構成される真空筐体101と、真空筐体101が載置される除振台22と、冷凍機ユニット16とを備える。
真空筐体101は、図示しない真空ポンプを含む排気系により真空排気され、少なくともイオン銃1においては、超高真空より良い圧力雰囲気が実現されている。イオン銃1は、チップ4と、チップ保持部品(チップ保持部材)5と、高電圧端子8と、チップ傾斜機構102とを備える。イオン銃1は、大気側に配置された高電圧端子8からチップ4に電圧を印加することによって荷電粒子線を放出する。イオン銃1は、大気側に、チップ傾斜機構102の曲面6と、曲面6上を動くフランジ7と、フランジ7に取付られた高電圧端子8とを備える。また、イオン銃1は、真空側(真空筐体101側)に、チップ4と、チップ4が固定され、且つチップ傾斜機構102のフランジ7と連結されたチップ保持部品5とを備える。
チップ4は、先端を針状に先鋭化した金属製のチップである。チップ4には、高電圧端子8内の絶縁碍子とチップ保持部品5の内部空間とを介して、リード線によって高電圧を印加することができる。また、引出し電極17が、チップ4に対向して配置されており、引出し電極17に高電圧を印加することによってイオンビームが生成される。イオンビームの放出方向の調整は、フランジ7をチップ傾斜機構102の曲面6上で傾斜させて、フランジ7に懸架されたチップ4を傾斜することにより行うことができる。
また、光学系筐体2は、荷電粒子線光学系として、コンデンサレンズ18と、偏向系19と、対物レンズ20とを備える。コンデンサレンズ18と、偏向系19と、対物レンズ20とは、それぞれ、イオンビームの光学軸30に中心軸が一致するように配置されている。これにより、イオンビームの発散、集束、移動を行うことができる。また、試料室3は、その内部において、試料21の位置決めを行う機構(図示せず)等を備える。これにより、イオンビーム対する試料21の位置決めを行うことができる。
荷電粒子線装置100は、チップ4の冷却機構として、熱交換器10と、真空隔壁11と、第1トランスファーチューブ12及び第2トランスファーチューブ14と、第1クランプ13及び第2クランプ15と、冷凍機ユニット16とを備える。チップ4を保持するチップ保持部品5は、振動吸収可能な柔らかい銅網線9によって熱交換器10に接続されており、チップ保持部品5と熱交換器10との間は、良好な熱伝導率となっている。
冷凍機ユニット16は、その内部において、後述する本発明の効果により採用可能になった低パワーで低振動の冷凍機16aと、冷媒ヘリウムを循環させる循環コンプレッサー16bとを備える。冷凍機16aの吸熱能力は、到達温度40[K]において3[W]程度のものが使用可能であり、典型的に設計可能と思われるイオン銃(例えば、従来のイオン銃)に必要な吸熱能力の半分程度で済む。冷凍機ユニット16内で冷却された冷媒ヘリウムは、第2トランスファーチューブ14及び第1トランスファーチューブ12内を循環して熱交換器10に到達し、熱交換器10を最終的に約30[K]まで冷却する。
第1トランスファーチューブ12及び第2トランスファーチューブ14は、本実施例では説明のために2つに分けているが、実際には1本の連続した構造としてもよい。第1及び第2トランスファーチューブ12、14のうち少なくとも第2トランスファーチューブ14は、フレキシブルチューブから構成されてもよい。ここで、フレキシブルチューブは、制振性を有するチューブである。例えば、フレキシブルチューブは、蛇腹状の金属(例えば、ステンレス)製の外側配管と、外側配管の内部に配置されたフレキシブルな内側配管とから構成される。冷媒ヘリウムは、内側配管を通じて輸送され、熱交換器10に流入する。通常、内側配管と外側配管との間は、断熱のために断熱シートが配置されるか、あるいは、真空断熱空間となっている。なお、冷凍機ユニット16は低振動化されているが、その振動は皆無でないため第2トランスファーチューブ14の長さをある程度(2〜3m)とって荷電粒子線装置100の土台24から離した位置で床に堅く固定するとよい。
次に、冷凍機ユニット16と熱交換器10との間の接続の構成について説明する。冷凍機ユニット16に接続されている第2トランスファーチューブ14は、第2クランプ15によって土台24に固定されるとともに、第1クランプ13によって除振台22に固定されている。また、第1トランスファーチューブ12の一端は、第2トランスファーチューブ14に接続されるとともに、第1クランプ13によって除振台22に固定されている。なお、除振台22は、土台24との間にアクティブダンパーのような制振機構23を介して載置され、床振動が真空筐体101に伝わらないようになっている。
第1トランスファーチューブ12の他端は、真空隔壁11を介して熱交換器10に接続されている。真空隔壁11は、熱交換器10を保持するために大気側の室温から断熱された内部構造を有する。したがって、真空隔壁11は、イオン銃1の真空隔壁ともなっている。
以上のような構成によって、冷凍機ユニット16の振動は、土台24でブロックされるとともに、フレキシブルチューブで構成される第2トランスファーチューブ14と制振機構23によって吸収される。このように、本実施例によれば、イオン銃1に振動は伝わらず、実用的に問題は生じない。
<イオン銃の構成>
次に本実施例に係るイオン銃の構成について図2から図5を用いて説明する。図2は、本発明の実施例に係る荷電粒子線装置のイオン銃1の構成図である。
チップ傾斜機構102は、曲面6を含む曲面フランジ103と、曲面フランジ103の曲面上に配置された傾斜フランジ104と、スチールボール51、52とを備える。曲面フランジ103は、イオン銃1の筐体外壁81上の上部フランジ82上に配置されている。上部フランジ82は、筐体外壁81の上部を構成しており、曲面フランジ103を配置するための平面を有する。また、曲面フランジ103の曲面6は、チップ4の先端を中心とした半径Rの球面40の一部に一致するような形状である。曲面フランジ103は、スチールボール52を介して上部フランジ82上に配置されており、上部フランジ82上で平面移動が可能な構成となっている。
また、傾斜フランジ104は、曲面6上にスチールボール51を介して配置されている。また、傾斜フランジ104と上部フランジ82とは、ベローズ50によって接続されている。これにより、傾斜フランジ104は、曲面6上で移動が可能な構成となっている。また、傾斜フランジ104の上部開口部104aは、高電圧端子8を備えたフランジ7によって真空封止されている。
曲面フランジ103及び傾斜フランジ104は、それぞれ、スチールボール51、スチールボール52を“ころ”として移動するため、移動するための摩擦抵抗は非常に小さく、小さい力での移動が可能である。上部フランジ82には、90°ピッチで4方向にブロック56が締結されている。各ブロック56には、ネジ55が挿入されており、ネジ55の先端が曲面フランジ103の側面に接触するように構成されている。図3は、図2の上面図を示し、簡略化のためブロック56などは省略されている。曲面フランジ103は、4方向にあるネジ55の差込みの具合によってX及びY方向に移動させることができる。曲面フランジ103は、所望の位置に移動後、ネジ55を閉めこんで固定する。
曲面フランジ103には、90°ピッチで4方向にブロック54が締結されている。各ブロック54には、ネジ53が挿入されており、ネジ53の先端が傾斜フランジ104の側面に接触するように構成されている。図3に示すように、傾斜フランジ104は、4方向にあるネジ53の差込みの具合によってX及びY方向に移動させることができる。傾斜フランジ104は、所望の位置に移動後、ネジ53を閉めこんで固定する。なお、傾斜フランジ104は、真空と大気圧との差圧で押さえつけられるため、この力による固定力とあいまって振動に対して強い位置の保持が可能となる。
なお、真空と大気圧との差圧は、ベローズ50の大きさ(内径ないしは外径)を、許容可能な傾斜角度の範囲内で適切に設計することで調整も可能であり、本実施例では約30kgfの差圧を得た。また、曲面フランジ103及び傾斜フランジ104の移動に要する力は不必要に大きくないため、ネジ53とネジ55の駆動を人力でなく、電動モーターや空圧駆動可能なアクチュエータによって行うことも容易である。
次に、図1のチップ保持部品5について図2を用いて説明する。チップ保持部品5は、断熱部品(断熱構造部材)31と、吸熱部品32と、チップ4を固定するチップホルダー(チップ保持部)33とから構成される。吸熱部品32は、熱交換器10と銅網線9で連結されている。ここで、銅網線9は、フレキシブルで、且つ必要十分な熱伝導の断面積を有する。吸熱部品32は、断熱部品31とチップホルダー33との間に配置されている。したがって、吸熱部品32及びチップホルダー33が、チップを冷却する冷却部材としての機能を果たす。吸熱部品32は、所望の温度にもよるが、熱伝導率の良い電気銅あるいは無酸素銅を用いるのが好ましい。銅網線9は、線径の細い柔軟な無酸素銅線の網線であり、吸熱部品32同様に輻射熱の吸収を防ぐために金メッキを施している。
また、高電圧端子8からの高電圧は、チップホルダー33の内部空間を介してリード線によってチップ4に印加される。チップホルダー33は、冷却されるチップ4の電気絶縁機能と良好な熱伝導機能とを得るために、熱伝導率の良いセラミックスを材料として用いることができる。また、必要とされる温度域によるが、30[K]前後ではサファイアが、100[K]前後では窒化アルミが熱伝導率の最大値を有するので、これらの材料を、熱伝導の良い絶縁材料として、チップホルダー33に用いてもよい。
<断熱部品の構造>
図4は、チップ保持部品5の断熱部品31の構造を示す図である。以下では、フランジ7からチップ4への熱絶縁構造を小型化して、チップ保持部品5の全長の短縮、すなわち、イオン銃1を小型化しつつ、チップの断熱機能も向上させる構造を説明する。
断熱部品31は、実効的な伝熱経路を長くしつつ、全長を短縮する構造となっている。断熱部品31は、第1の薄肉円筒(大)60と、第2の薄肉円筒(中)61と、第3の薄肉円筒(小)62と、第1のリング(大)63と、第2のリング(中)64と、第1のフランジ(大)65と、第2のフランジ(小)66とを備える。具体的には、第1のフランジ65がフランジ7に取付けられ、第1のフランジ65に第1の薄肉円筒60の高電圧端子8側の端部60aが取付けられる。第1の薄肉円筒60のチップ4側の端部60bは、第1のリング63を介して第2の薄肉円筒61のチップ4側の端部61aに取付けられる。また、第2の薄肉円筒61の高電圧端子8側の端部61bは、第2のリング64を介して第3の薄肉円筒62の高電圧端子8側の端部62aに取付けられる。さらに、第3の薄肉円筒62のチップ4側の端部62bは、第2のフランジ66に取付けられ、第2のフランジ66が吸熱部品32に取付けられる。
断熱部品31は、径の異なる薄肉円筒60、61、62を入れ子に配置して、各薄肉円筒60、61、62の端部を連結する折り返し構造である。このような構造によれば、実効的な伝熱経路を長くしながら全長を短縮し、且つ熱伝導の断面積を小さくして大きな温度勾配を生じさせることが可能となる。
ここで、折り返し構造とは、複数の部材を並べて配置し、隣接する部材の端部間を連結して1つの伝熱経路を形成する構造を意味する。本実施例では、複数の部材として円筒形状を用いているが、角柱や板状部材など、入れ子あるいは並べて配置できる形状ならば他の形状でもよい。図4の例では、外側の第1の薄肉円筒60から内側の第2、第3の薄肉円筒61、62に順番に連結された構造となっているが、これに限定されず、内側の部材から外側の部材へ順番に連結するような構造でもよい。すなわち、1つの伝熱経路が形成されるように、複数の部材の端部間が連結されていればよい。
本実施例では、第1の薄肉円筒60、第2の薄肉円筒61、及び第3の薄肉円筒62は、材料として、熱伝導率が小さく、薄肉加工も容易なセラミックスを用いている。使用可能なセラミックスとしては、マグネシアとシリカからなるステアタイトやジルコニアがあるが、本実施例ではシリカ、マグネシア、およびアルミナを主成分とするマシナブルセラミックスを使用し、熱伝導率は1.7[W/m・K](室温)を得た。この値は、一般的な金属の中でも熱伝導率の悪いステンレス鋼の約1/10である。なお、他に熱伝導率の小さい材料としては、PTFE(polytetrafluoroethylene)、PET(polyethyleneterephthalate)、PEEK(polyetheretherketone)などの高分子化合物がある。
また、断熱部品31は、その内部に、高電圧端子8とチップ4を接続するリード線が通るため、最も内側の第3の薄肉円筒62の内径は、放電を避ける程度の内径を有する。また、断熱部品31において、機能として本質的でない余分な構造を作らず、コンパクト化するのがよい。例えば、各薄肉円筒60、61、62の端部を締結する場合にネジなどを使用すると、コンパクト化に反する。したがって、本実施例では、ネジなどの締結部材を使用しない構成を採用する。
本実施例では、第1のリング63と第2のリング64が、セラミックスと線膨張率が近いチタンで形成されている。薄肉円筒60、61、62のセラミックスの端面をメタライズすることで、該セラミックスと第1及び第2のリング63、64とのロウ付け(例えば、銀ロウ付け)が可能になる。これにより、断熱部品31は、ネジなどの締結部材を使用しない、コンパクトな折返し構造を実現している。
また、第1のフランジ65及び第2のフランジ66も、チタンで形成されている。第1の薄肉円筒60と第1のフランジ65とをロウ付けし、第3の薄肉円筒62と第2のフランジ66とをロウ付けする。なお、このようなロウ付けによる連結は、非磁性のため荷電粒子線への影響がない。なお、第1のリング63、第2のリング64、第1のフランジ65及び第2のフランジ66の材料として、チタンを一例として挙げたが、セラミックの接合可能な他の金属を材料としてもよい。
本実施例によれば、断熱部品31は、径の異なる薄肉円筒60、61、62を入れ子にして配置して、各薄肉円筒60、61、62の端部を連結する折り返し構造となっている。これにより、チップ保持部品5の全長の短縮、すなわち、イオン銃1を小型化できる。これは、図2における球面40の半径Rを従来よりも小さくできることを意味する。しかも、チップ保持部品5の熱絶縁構造を小型しつつも、実効的な伝熱経路(図4の例では、薄肉円筒60、61、62の合計の長さ)は従来より長くなっているため、チップの断熱機能を向上させることが可能となる。
したがって、本実施例によれば、イオン銃1を小型化してチップ4と熱交換器10との間の伝熱効率を向上させつつ、イオン銃1内の断熱性能を向上させることができる。なお、本実施例では、球面40の半径Rを小さくすることでイオン銃1の小型化を実現しているが、本実施例の構成では、断熱部品31の全長を短縮することで、チップホルダー33の全長を沿面耐電圧の確保にも余裕が持てる値で設計できる。
なお、本実施例では、断熱部品31は、径の異なる薄肉円筒60、61、62を入れ子にして配置して、各薄肉円筒60、61、62の端部を連結する折り返し構造としているが、この構成に限定されない。チップ保持部品5の熱絶縁構造を小型しつつ、実効的な伝熱経路は長くするという点においては、断熱部品31における伝熱経路が、断熱部品31の高電圧端子8側の端部とチップ4側の端部との間の距離lよりも長くなっていればよい。例えば、断熱部品31が、波状やジグザク状などの部材から構成されてもよく、断熱部品31における伝熱経路が断熱部品31の高電圧端子8側の端部とチップ4側の端部との間の距離lよりも長くなっている形状であれば本発明に全て含まれる。
なお、本実施例のように、複数の部材(薄肉円筒60、61、62)を入れ子にして配置した場合、低温となる内側の第3の薄肉円筒62は室温であるイオン銃1の内壁から直接的な熱輻射を受けない。したがって、この構成によれば、熱輻射による熱の侵入を小さくできるという利点がある。
次に、断熱部品31の他の実施例について図5A及び図5Bを用いて説明する。図5A及び図5Bは、チップ保持部品の断熱部品の構造の別の例を示す図である。
図5Aは、薄肉円筒を5個用いた例である。断熱部品31は、第1の薄肉円筒71と、第2の薄肉円筒72と、第3の薄肉円筒73と、第4の薄肉円筒74と、第5の薄肉円筒75と、第1のリング76と、第2のリング77と、第3のリング78と、第4のリング79と、第1のフランジ65と、第2のフランジ66とを備える。各薄肉円筒71、72、73、74、75及び各リング76、77、78、79は、上述した実施例と同様の材料で形成されている。また、上述した実施例と同様に、各薄肉円筒71、72、73、74、75は、それぞれ、リング76、77、78、79とロウ付けによって連結されている。また、第1の薄肉円筒71と第1のフランジ65ともロウ付けによって連結され、第5の薄肉円筒75と第2のフランジ66ともロウ付けによって連結されている。
薄肉円筒71、72、73、74、75は、0.5mm前後に薄肉化が可能である。したがって、本実施例によれば、各薄肉円筒71、72、73、74、75間の隙間の設定とあいまって、外径と内径を極端に変更することなく断熱性能を維持したままで、図4の例に比べて全長の短縮が可能となる。
図5Bは、薄肉円筒を3個用いた別の例である。本実施例では、内側の第3の薄肉円筒62が、マシナブルセラミックス製の薄肉円筒とし、波状に加工して伝熱距離が長くなるように構成されている。第1の薄肉円筒60及び第2の薄肉円筒61は、ステンレス鋼で形成されている。このように、薄肉円筒60、61、62のうち少なくとも1つを、円筒の直径が円筒の長軸方向に一定でない形状に形成してもよい。
このように、セラミックス製の第3の薄肉円筒62の外周をステンレス鋼製の第1の薄肉円筒60及び第2の薄肉円筒61で覆うことにより、割れやすいセラミックスを衝撃から保護することができる。また、ステンレス鋼はセラミックスよりもさらに薄肉化が容易である。よって、第1の薄肉円筒60及び第2の薄肉円筒61を更に薄肉化しつつ、実用的な断熱性能の範囲で設計が可能である。
本実施例では、第1のリング63及び第1のフランジ65は、ステンレス鋼で形成されている。また、第2のリング64及び第2のフランジ66は、チタンで形成されている。チタンとセラミックス、チタンとステンレス鋼は同じロウ材を用いてロウ付け(例えば、銀ロウ付け)が可能であるため、製造工程において、真空炉を用いたロウ付けによって各部材の接合を同時に行うことができる。なお、折返し構造の組合せは、図5Bの材質と適用した薄肉円筒60、61、62の組合せに限られるものではなく、類似の組合せにおいても同様の効果が得られる。本発明の適用によって、結果的に半径Rは100mm以下に短縮できた。なお、上述では、第1の薄肉円筒60、第2の薄肉円筒61、第1のリング63、第2のリング64、第1のフランジ65、及び、第2のフランジ66の材料の一例として、チタンやステンレス鋼を挙げたが、セラミックの接合可能な他の金属を材料としてもよい。
<イオン銃の別の実施例>
図6は、本発明の別の実施例に係る荷電粒子線装置のイオン銃の構成図である。なお、上述した実施例と同じ構成要素については同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施例では、荷電粒子線装置が、熱交換器10よりも高い温度、例えば60[K]程度になる第2の熱交換機34を更に備える。第2の熱交換機34は、熱交換器10を取り囲むような形状で構成されている。また、イオン銃1の筐体外壁81の内側には、チップ4、チップホルダー33、及び吸熱部品32を取り囲む熱シールド35が配置されている。熱シールド35は、例えば、円筒状の形状である。熱シールド35は、第2の熱交換機34に接続されており、第2の熱交換機34によって冷却される。
例えば、第2の熱交換機34は、図1に示す冷却機構(真空隔壁11と、第1トランスファーチューブ12及び第2トランスファーチューブ14と、第1クランプ13及び第2クランプ15と、冷凍機ユニット16)と同様の機構に接続される。なお、別の例として、第2の熱交換機34は、熱交換器10での吸熱後に温度上昇した冷媒ヘリウムを用いて冷凍機ユニット16に戻る過程で冷却してもよいし、冷凍機ユニット16にて適温に整えた冷媒ヘリウムを第2の熱交換機34との間で循環させて冷却してもよい。
本実施例によれば、熱シールド35を追加して、チップ4、銅網線9、吸熱部品32およびチップホルダー33を取り囲むことにより、イオン銃1の筐体外壁81や上部フランジ82など、室温にある部材からチップ4、銅網線9、吸熱部品32およびチップホルダー33など極低温にある部位へ流入する熱輻射量を低減させることが可能となる。
さらに、本実施例によれば、第2の熱交換機34が熱交換器10を取り囲む形状となっているので、熱交換器10への熱輻射も遮蔽でき、熱負荷が減少するためチップ4の冷却到達温度をより下げられることも期待できる。本実施例によれば、チップ保持部品5に外部から流入する熱量は、伝熱および輻射を併せても約0.5[W]程度に抑えることができ、低パワー、低振動の冷凍機を用いてもチップの到達温度を40[K]程度にすることが実現できた。
以下では、図1〜図6の実施例により得られる効果について説明する。本発明では、イオン源の熱負荷低減策として必要となるイオン源の小型化が、高性能(低振動)かつ安価な荷電粒子線装置、特にイオン顕微鏡の実現策と考えた。具体的にイオン源の設計を行う場合、筐体大径化の原因となるチップの保持部品の熱絶縁構造及び電気絶縁構造が課題となる。
本実施例では、断熱部品31は、径の異なる薄肉円筒60、61、62を入れ子にして配置して、各薄肉円筒60、61、62の端部を連結する折り返し構造となっている。これにより、チップ保持部品5の全長の短縮、すなわち、イオン銃1を小型化できる。しかも、チップ保持部品5の熱絶縁構造を小型化しつつも、実効的な伝熱経路(図4の例では、薄肉円筒60、61、62の合計の長さ)は従来より長くなっているため、チップの断熱機能を向上させることが可能となる。
また、各薄肉円筒60、61、62は熱伝導率の小さい材料を母体としており、伝熱による熱流入を小さくしたまま伝熱経路を短縮できるので、コンパクトに設計できる。また、各薄肉円筒60、61、62は折返し構造であるため、最外部の第1の薄肉円筒60の端面を室温である高電圧端子8側に固定し、最も内側の第3の薄肉円筒62の一方の端面を極低温となるチップ4側に固定することにより、室温から極低温の温度勾配が生じる。この結果、低温となる内側の第3の薄肉円筒62は、室温である高電圧端子8側の内壁から直接的な熱輻射を受けず、各薄肉円筒60、61、62間の温度差も小さいことから、熱輻射による熱の侵入を小さくできる。
さらに、省スペース化のための解決策として、薄肉円筒60、61、62間はロウ付けにより接続されている。さらに、チップ保持部品5を熱絶縁部品であり且つ折返し構造である断熱部品31と、チップ4を直接保持する電気絶縁部品であるチップホルダー33とに分けて、かつ冷凍機ユニット16と接続して極低温となる吸熱部品32を両者間に設ける。チップホルダー33は、折返し構造とは逆に、熱伝導率の大きい材料を使用した伝熱部品でもある。これにより、吸熱部品32とチップ4との間の温度差を小さくし、チップ4を極低温に冷却することも可能となる。
結果として、本実施例の断熱部品31の適用によって、イオン銃1の筐体外径は150mm以下にできる。これにより、室温である内部表面積の低減が可能となり、イオン銃1の熱負荷低減、つまりは冷凍機の低パワー化、低振動化および低騒音化が図れ、結果的に冷凍機ユニット16からイオン顕微鏡に伝わる振動も極めて小さくすることが可能となった。また、チップ傾斜機構102の傾斜角度は±5°程度はベローズ50の大きさ(内径ないしは外径)などを適切に選択することによって容易に得られ、チップ4の先端面方位(ビーム放出方向)の光軸合わせにも十分余裕が持てる構成となっている。
一方、従来のイオン銃筐体は巨大なものであり、その要因と付随する弊害は下記のようなものであった。
(1)室温となるイオン源筐体とチップ間の熱絶縁と電気絶縁のためにチップを保持する軸部が長いため、チップを支点とした傾斜機構の傾斜半径(R)が大きくなる。よって、数度の傾斜角度でも軸部の移動領域は大きくなり、傾斜機構を構成するすべり球面の開口部も大きくする必要がある。さらに、筐体内外の大気圧と真空間の差圧も大きなものとなり、結果的に筐体外径の巨大化と堅牢化が必要となる。
(2)チップを保持する軸部が長いので、傾斜機構を強固にしても冷凍機の取付けられた筐体ないしは冷凍機との接続部品が振動すれば、該軸部先端に取り付けられたチップの変位も大きくなる。
(3)材料、構造も強固なもの(リン青銅、硬化鋼)が必要であり、加工も含めて高価になる。
(4)接触面積が大きいことと大径化による大気圧負荷上昇が摩擦抵抗を増加させるため、高圧空気で傾斜移動面を浮かせる必要が生じており、不必要となる機能とコストの増加が生じている。
(5)従来の傾斜機構は巨大であり、傾斜機構自体を動かすことができない。よって、チップの平面移動は傾斜した平面上となり、傾斜時の平面移動によって微少とはいえチップ先端の高さが変化し、光学性能が変化する。
(6)荷電粒子線装置のイオン銃に必要な機能としてチップの傾斜機構があり、チップの小型化を阻害する要因となる。また、チップおよび付属部品に加え、傾斜機構自体を冷却する必要が生じる。よって、冷凍機の負荷が増加する。また、従来の傾斜機構では、材質や駆動方法も含めて安価なシステムとはならない。
これに対し、本実施例では、以下の効果がある。
(1)チップ保持部品5を小さく設計できるため、筐体の小型化が図れ、熱負荷の低減と耐電圧の向上のみならず、主眼とした荷電粒子線装置の低振動化が可能となる。
(2)筐体内部の表面積の縮小により真空中の部材からの放出ガスが低減されるため、イオン銃1に必要なもう一つの能力である真空性能の向上も可能となる。真空中の残留ガスはチップに吸着して、荷電粒子線の安定性を悪化させる。つまり、真空性能の向上は荷電粒子線の安定性を向上させる。
(3)また、高温ベーキングにも耐え、真空中での放出ガスが低減できるため、真空の質が向上する。さらに、線膨張率が小さいため、部分的に低温となっても寸法変化が小さく、機械的、光学的信頼性が向上する。
(4)チップ傾斜機構102の曲面6はすり合わせ構造ではなく、スチールボール51、52を配置する構成である。したがって、摩擦が軽減し、かつ曲面加工も片側のみで済むため低コストである。
(5)断熱部品31の短縮により球面40の半径Rを小さくできるので、曲面フランジ103自体をX−Y方向(図3参照)に移動することが可能になる。よって、チップ4を傾斜させてもチップ4の高さ変化がなく、移動面間にスチールボール51、52を挟むことで小さい力での移動も可能となる。
(6)チップ傾斜機構102を小型化してもベローズ50の開口部面積の適切な設計によって大気圧負荷は設計可能であり、傾斜および平行移動機構を保持・制振に必要十分な負荷を得ることができる。
(7)チップ傾斜機構102が小型化されるため、移動推力は小径のネジ53、55で十分であり、所望の位置でネジ53、55を固定すれば制振能力も補助される。また、電動モーターや空圧駆動アクチュエータの使用も容易になる。
(8)チップ傾斜機構102が小型化されるため、冷凍機の負荷が増加しない。また、従来のような大型で複雑な機構が必要なく、安価なシステムとなる。
(9)振動の低減に加えて、従来と同じ能力の冷凍機を用いても冷却温度の低減が可能となる。
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることがあり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1 :イオン銃
2 :光学系筐体
3 :試料室
4 :チップ
5 :チップ保持部品
6 :曲面
7 :フランジ
8 :高電圧端子
9 :銅網線
10 :熱交換器
11 :真空隔壁
12 :第1トランスファーチューブ
13 :第1クランプ
14 :第2トランスファーチューブ
15 :第2クランプ
16 :冷凍機ユニット
16a :冷凍機
16b :循環コンプレッサー
17 :引出し電極
18 :コンデンサレンズ
19 :偏向系
20 :対物レンズ
21 :試料
22 :除振台
23 :制振機構
24 :土台
30 :光学軸
31 :断熱部品
32 :吸熱部品
33 :チップホルダー
34 :第2の熱交換機
35 :熱シールド
40 :球面
50 :ベローズ
51 :スチールボール
52 :スチールボール
53 :ネジ
54 :ブロック
55 :ネジ
56 :ブロック
60 :第1の薄肉円筒
60a、60b :第1の薄肉円筒の端部
61 :第2の薄肉円筒
61a、61b :第2の薄肉円筒の端部
62 :第3の薄肉円筒
62a、62b :第3の薄肉円筒の端部
63 :第1のリング
64 :第2のリング
65 :第1のフランジ
66 :第2のフランジ
71 :第1の薄肉円筒
72 :第2の薄肉円筒
73 :第3の薄肉円筒
74 :第4の薄肉円筒
75 :第5の薄肉円筒
76 :第1のリング
77 :第2のリング
78 :第3のリング
79 :第4のリング
81 :筐体外壁
82 :上部フランジ
100 :荷電粒子線装置
101 :真空筐体
102 :チップ傾斜機構
103 :曲面フランジ
104 :傾斜フランジ
104a :上部開口部

Claims (15)

  1. 大気側に配置された高電圧端子からチップに電圧を印加することによって荷電粒子線を放出する荷電粒子線源と、
    前記荷電粒子線を集束して試料に照射する荷電粒子線光学系と、
    前記チップを冷却する冷却機構と、
    を備え、
    前記荷電粒子線源は、前記チップと前記高電圧端子との間に、前記大気側からの熱流入を抑制する断熱構造を有する断熱構造部材を備え、
    前記断熱構造部材における前記高電圧端子側の端部から前記チップ側の端部への伝熱経路が、前記断熱構造部材における前記高電圧端子側の端部から前記チップ側の端部への直線距離よりも長いことを特徴とする荷電粒子線装置。
  2. 請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
    前記断熱構造部材は、複数の部材を並べて配置し、隣接する部材の端部間を連結して1つの伝熱経路を形成する折り返し構造を有することを特徴とする荷電粒子線装置。
  3. 請求項2に記載の荷電粒子線装置において、
    前記複数の部材は、径の異なる複数の筒状部材であり、
    前記折り返し構造は、前記複数の筒状部材を入れ子に配置し、隣接する筒状部材の端部を接続して、1つの伝熱経路を形成する構造であることを特徴とする荷電粒子線装置。
  4. 請求項3に記載の荷電粒子線装置において、
    前記隣接する筒状部材の端部は、接続部材とロウ付けによって接続されていることを特徴とする荷電粒子線装置。
  5. 請求項4に記載の荷電粒子線装置において、
    前記筒状部材は、セラミックにより形成され、前記接続部材は、セラミックに接合可能な金属により形成されていることを特徴とする荷電粒子線装置。
  6. 請求項3に記載の荷電粒子線装置において、
    前記複数の筒状部材は、セラミックス製の第1の筒状部材と、セラミックに接合可能な金属により形成された第2の筒状部材とを含み、
    前記断熱構造部材は、前記第1の筒状部材の外側に前記第2の筒状部材が配置された構造であることを特徴とする荷電粒子線装置。
  7. 請求項3に記載の荷電粒子線装置において、
    前記複数の筒状部材の少なくとも1つは、当該筒状部材の直径が当該筒状部材の長軸方向に一定ではない形状であることを特徴とする荷電粒子線装置。
  8. 請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
    前記荷電粒子線源は、前記冷却機構に接続された冷却部材を有し、
    前記荷電粒子線源は、大気側から、前記高電圧端子、前記断熱構造部材、前記冷却部材、前記チップの順で配置されていることを特徴とする荷電粒子線装置。
  9. 請求項8に記載の荷電粒子線装置において、
    前記冷却部材は、サファイアまたは窒化アルミ製のセラミックスであるチップ保持部を有することを特徴とする荷電粒子線装置。
  10. 請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
    前記チップを傾斜させて、前記チップから放出される前記荷電粒子線の方向を調整可能な傾斜機構を更に備え、
    前記傾斜機構は、曲面上を移動する傾斜フランジと、前記チップを保持するチップ保持部材と、前記曲面と前記傾斜フランジとの間に配置されたボールとを備えることを特徴とする荷電粒子線装置。
  11. 請求項10に記載の荷電粒子線装置において、
    前記曲面は、前記チップの先端の位置を中心とする球面の一部に一致する形状であることを特徴とする荷電粒子線装置。
  12. 請求項10に記載の荷電粒子線装置において、
    前記傾斜機構は、前記曲面を有し、且つ前記荷電粒子線源の上部を構成する平面上に配置された曲面フランジを更に備え、
    前記曲面フランジが、ボールを介して前記平面上に配置されて、前記平面上を移動可能であることを特徴とする荷電粒子線装置。
  13. 請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
    前記冷却機構が、冷媒を循環させる冷凍機と、前記冷凍機に接続されたトランスファーチューブと、前記トランスファーチューブに接続された熱交換器と、前記熱交換器に接続された冷却部材とを備え、
    前記トランスファーチューブは、床に固定された土台と、前記床から振動絶縁された除振台に固定されており、前記トランスファーチューブにおける少なくとも前記除振台の固定位置と前記冷凍機との間の部分は、制振性を有するフレキシブルチューブであることを特徴とする荷電粒子線装置。
  14. 請求項13に記載の荷電粒子線装置において、
    前記冷却機構が、
    前記熱交換器を取り囲む第2の熱交換器と、
    前記第2の熱交換器に接続され、前記チップを取り囲む熱シールドと、
    を更に備えることを特徴とする荷電粒子線装置。
  15. 大気側に配置された高電圧端子からチップに電圧を印加することによって荷電粒子線を放出する荷電粒子線源であって、
    前記チップと前記高電圧端子との間に、前記大気側からの熱流入を抑制する断熱構造を有する断熱構造部材を備え、
    前記断熱構造部材における前記高電圧端子側の端部から前記チップ側の端部への伝熱経路が、前記断熱構造部材における前記高電圧端子側の端部から前記チップ側の端部への直線距離よりも長いことを特徴とする荷電粒子線源。
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