JP5033453B2 - 除菌装置 - Google Patents

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本発明は、空気調和装置の内部に吸い込んだ空気を除菌する除菌装置に関する。
従来、水道水等を電気分解して次亜塩素酸などの活性酸素種を含む電解水を生成し、この電解水に空気を接触させることにより、空気中に含まれる有害物質を分解・除去等して、空気の浄化(除菌)を行う方法が知られている。また、除菌後の空気を空気調和装置に供給し、有害物質の分解・除去が行われた空気に対して冷暖房、除湿等を行い、室内に快適な空気を供給することも行われている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−181358号公報
ところで、従来の機種では、電解水を生成する電解ユニットと、この電解水が供給される加湿エレメントとを有する加湿(除菌)装置は、空気調和装置の筐体内に収容されており、この加湿装置のメンテナンス作業が困難となるといった問題があった。
そこで、本発明の目的は、空気調和装置への着脱の容易化を図るとともに、メンテナンス作業を容易に実施できる除菌装置を提供することにある。
本発明は、室内熱交換器及び送風機を備える空気調和装置の筐体の開口部に取り付けられ、この筐体の内部に吸い込んだ空気を除菌する除菌装置であって、前記開口部を塞ぐ板状部材を備え、この板状部材の前記筐体の内側に臨む面に、前記電解水生成部から供給管を通じて供給された電解水と前記空気とを接触させる空気除菌部を配置するとともに、前記板状部材の前記筐体の外側に臨む面に、水を電気分解して電解水を生成する電解水生成部と、この電解水生成部の動作を制御する制御部とを配置し、この制御部の電装ボックスが前記板状部材から所定の間隔をあけて当該板状部材に支持されていることを特徴とする。
この構成によれば、板状部材を介して除菌装置をユニット化することができ、この除菌装置の着脱を容易に行うことができるため、例えば、天井裏空間におけるメンテナンス作業を容易に実施することができる。
また、この場合において、前記空気除菌部を前記開口部から前記筐体の内部に入り込ませて、当該筐体の外側から取り付け可能とした構成としても良い。また、前記空気除菌部は、保水性の高い気液接触部材と、この気液接触部材に前記電解水を滴下させる分散皿と、前記気液接触部材から流下した電解水を受ける水受皿とを備え、この水受け皿は、前記気液接触部材よりも長手方向に突出した突出部を備え、この突出部上に前記供給管を延在させ、この供給管を前記分散皿に接続した構成としても良い。
本発明によれば、板状部材を介して除菌装置をユニット化することができ、この除菌装置の着脱を容易に行うことができるため、例えば、天井裏空間におけるメンテナンス作業を容易に実施することができる。
以下、本発明の実施形態に係る空気調和装置について、図面を参照しながら説明する。本実施形態では、本発明を適用した空気調和装置の一例として、四方向吹き出し型の天井埋込型空気調和装置について説明する。
図1に本実施形態における空気調和装置100の概略構成を示す。この空気調和装置100は、図1に示すように、被調和室の外に設置される室外ユニット1と、被調和室内に設置される室内ユニット2とを備えた分離型のヒートポンプ式空気調和装置であり、被調和室を冷房及び暖房する。
室外ユニット1の室外冷媒配管10と室内ユニット2の室内冷媒配管34とは連結配管35を介して連結されており、これら室外ユニット1および室内ユニット2は、室内ユニット2に内蔵される制御装置8の制御の下に運転される。
室外ユニット1は、図1に示すように、室外冷媒配管10に圧縮機11が配設され、この圧縮機11には、その吸込側にアキュムレータ12が接続され、その吐出側には四方弁13と室外熱交換器14と電動膨張弁15とが順に接続されている。また、室外ユニット1には、室外熱交換器14へ向かって送風する室外ファン16が配設されている。
室内ユニット2は、空気の吸込口31および吹出口32を備えた筐体20内に、室内熱交換器21と、空気の吸込口31から吹出口32に向けて筐体20内に空気を導通させる送風ファン22とを備える。さらに、室内ユニット2には、送風ファン22により筐体20内に導入される空気を除菌する除菌装置150が取り付けられている。この除菌装置150は、室内ユニット2に導入される空気に活性酸素種を含む電解水を接触させて空気の除菌を行う空気除菌部4と、所定のイオン種を含む水を電気分解して、活性酸素種を含む電解水を生成して空気除菌部4に供給する電解水生成部5とを備える。
制御装置8は、図示しないCPUと、CPUにより実行される制御プログラム、及び、この制御プログラムに係る制御用データ等を格納したROMと、CPUにより処理されるプログラムや各種データを一時的に記憶するRAMとを備える。さらに、制御装置8は、室内ユニット2の装置外のリモコン装置(図示略)から送信される赤外線信号を受信する赤外線受信部を備える。CPUは、赤外線受信部により受信した赤外線信号に基づき、上記リモコン装置による指示を受け、この指示に従ってROM内に格納した制御プログラムを読み出し、RAMに展開して実行することにより、空気調和装置100全体の制御を行う。
空気調和装置100では、四方弁13を切り換えることにより冷媒回路100aを流れる冷媒の流れを切り換えて冷房運転と暖房運転とを切り換えるよう構成されている。冷房運転時には図中に示す実線矢印の方向に冷媒が流れ、暖房運転時には破線矢印の方向に冷媒が流れる。
すなわち、冷房運転時には、圧縮機11から吐出された高圧の冷媒がアキュムレータ12を経て室外熱交換器14に達し、室外熱交換器14において凝縮されて電動膨張弁15に送られる。この高圧の冷媒は電動膨張弁15を通過して膨張し、室内熱交換器21において気化された後に圧縮機11の吸込側に戻る。一方、暖房運転時には、圧縮機11から吐出された高圧の冷媒が室外冷媒配管10を経て室内熱交換器21に送られ、室内熱交換器21において凝縮し、電動膨張弁15に送られる。この冷媒は電動膨張弁15において膨張して室外熱交換器14に送られ、室外熱交換器14で気化して、四方弁13を介してアキュムレータ12に送られ、圧縮機11の吸込側に戻る。
図2は、本発明の実施形態に係る空気調和装置に使用される室内ユニット2が、天井に埋め込まれた状態を示す側断面図である。また、図3は、図2に示す室内ユニット2の上下方向を逆にして分解した状態を示す分解斜視図である。
室内ユニット2は、室内熱交換器21や送風ファン22等を内包する筐体20を備え、この筐体20の被調和室内側には化粧パネル30が取り付けられる。
筐体20の四隅には、吊り金具103が取り付けられている。室内ユニット2は、図2に示すように、室外ユニット1が設置される建屋の天井板101に略四角形に形成された天井孔102に、被調和室側から天井板101の裏側に埋め込まれ、天井裏から垂下する吊りボルト104に吊り金具103が止着されることにより、天井空間に吊り下げられるようになっている。
筐体20は、被調和室側の面(図2では下側の面、図3では上側の面)が開口した多角形状の箱形に形成されている。具体的には筐体20は、略長方形の3枚の側板20aと、同じく略長方形の1枚の側板20eと、これら側板20a、20eが接続される天板20bとを備える。上記各側板の間には、それぞれ別の平板が介在されており、これら側板及び平板は、全体として略八角形の枠を形成する。
3枚の側板20aには、それぞれノックアウトホール部20cが形成されている。このノックアウトホール部20cは、側板20aの一部を構成する一枚の板により塞がれた略長方形の孔であり、必要に応じて押し込むことにより上記孔を塞ぐ板が脱落して開口部20dが形成される。この開口部20dには、空気除菌部4を外側から差し込むことにより、上記した除菌装置150が取り付けられる。本実施形態では、3枚の側板20aのうち、ドレンポンプ27が配設される一隅部に近接する1枚の側板20aにノックアウトホール部20cを開口させ、この開口部20dに除菌装置150が取り付けられている。このように、3枚の側板20aには、すべてノックアウトホール部20cが形成されているため、側板20aの任意の位置に除菌装置150を取り付けることが可能となり、室内ユニット2が設置される周囲の環境に応じて、除菌装置150の取り付け位置を選択することができる。
また、側板20eの一端側には、室内ユニット2内の室内熱交換器21に繋がる室内冷媒配管34等を導くための切り欠き部20fが形成され、他端側には、後述するドレンポンプ27によって汲み上げられたドレン水を外部に排出するためのドレンホース接続口28が設けられている。
化粧パネル30は、平面視において略四角形、より具体的には略正方形に形成されており、この化粧パネルによって筐体20の開口面および天井孔102が覆われている。この化粧パネル30には、平面視における略中央部に位置する吸込口31と、化粧パネル30の四辺の近傍に、それぞれの辺に沿って長尺に形成された吹出口32とが形成されている。吹出口32は、上述した側板20a、20eにほぼ平行に延びており、室内熱交換器21を通過した空気が効率よく排出される構成となっている。
また、吸込口31の内側、すなわち天井板101裏側には、この吸込口31を通じて筐体20内に流入する空気中に含まれる塵埃を除去するフィルタ33が装着されている。本構成では、室内ユニット2は、この吸込口31から被調和室内の空気を筐体20の内部へ吸い込み、筐体20内で空気の熱交換を行った後、四つの吹出口32から被調和室内に向けて空気を四方向に吹き出すようになっている。
次に、筐体20の内部構成について説明する。
筐体20の側板20aの内面には、図2に示すように、発泡スチロール製の断熱体23が設けられている。また、筐体20の天板20bの内側には、モータ22aが固定され、このモータ22aのシャフトには羽根車22bが取り付けられており、これらが送風ファン(送風機)22を構成している。この送風ファン22を取り囲むように曲げられた室内熱交換器21が上記発泡スチロール製の断熱体23の内側に配置されている(図3参照)。この室内熱交換器21には、送風ファン22により吸込口31から吸い込まれた空気が供給され、室内熱交換器21により熱交換された空気が各吹出口32から吹き出されるように構成されている。
室内熱交換器21は、筐体20の側板20a、20eに沿った形状を有し、これら側板20a、20eに対向する面は平らになっている。室内熱交換器21の下方には、この室内熱交換器21から流下する結露水(ドレン水)を受けて発泡スチロール製のドレンパン24が配置され、このドレンパン24の外周は筐体20の内面にほぼ接している。ドレンパン24には、図3に示すように、室内熱交換器21の一隅部に相当する位置にドレンポンプ27が配設され、ドレンパン24に貯留したドレン水はドレンポンプ27により汲み上げられる。ドレンポンプ27により汲み上げられたドレン水は、ドレンホース接続口28に接続されドレンホース(図示略)を通じて、室内ユニット2の外部に排出される。また、切り欠き部20fには、室内熱交換器21から延びる連結配管(冷媒配管)34(図1)が通っている。
ドレンパン24には、化粧パネル30の吸込口31および吹出口32に対応する位置に吸込開口25及び吹出開口26が設けられている。吸込開口25は、図3に示すように、略矩形に形成されたドレンパン24の中央に平面視略円形に形成されている。また、吹出開口26はドレンパン24の四辺に沿ってそれぞれ形成されている。ドレンパン24の吹出開口26は、室内熱交換器21の平らな部分に対応する位置にあり、この吹出開口26から上述した吹出口32を通って、被調和室内に向けて空気が吹き出される。
次に、除菌装置150について説明する。図4は、除菌装置150を背面側から見た斜視図であり、図5は、除菌装置150を正面側から見た斜視図である。
除菌装置150は、図4及び図5に示すように、筐体20の開口部20d(図3)を閉鎖するベース板(板状部材)3を備え、このベース板3の筐体20の内側に臨む面3Aに空気除菌部4が配置され、このベース板3の筐体20の外側に臨む面3Bに電解水生成部5と、この電解水生成部5を制御する制御部6とが配置されている。本構成では、筐体20の外側から、開口部20dに空気除菌部4を差し込み、ベース板3と側板20aとを固定することで、開口部20dが閉鎖される。
空気除菌部4は、図4に示すように、保水性の高いエレメント(気液接触部材)41と、このエレメント41の上部に取り付けられる分散皿42と、エレメント41の下部に取り付けられる電解水トレー(水受皿)43とを備える。空気除菌部4は、図4に示すように、取付金具44により、ベース板3との間に所定の間隔を空けた位置で当該ベース板3に支持されており、このベース板3と空気除菌部4との間には、発泡スチロール製の断熱体45が設けられている。
空気除菌部4を開口部20dに差し込んで固定した状態では、図2に示すように、空気除菌部4が室内熱交換器21に隣り合うように位置する。この空気除菌部4は、室内熱交換器21の外側に位置するので、送風ファン22によって送風され、室内熱交換器21を通過した空気が空気除菌部4のエレメント41に吹き付けられる。この空気は、エレメント41を通ることにより除菌され、空気除菌部4とベース板3との間を下方に流れて、化粧パネル30に形成された吹出口32から、被調和室に吹き出される。また、ベース板3には、断熱体45が配設されており、エレメント41を通った空気は、断熱体45と空気除菌部4との間を下方に流れるので、除菌装置150における空気の温度変化は最小限に抑えられる。
エレメント41は、例えばアクリル繊維やポリエステル繊維等で作製された不織布で構成される。エレメント41の素材としては、電解水に対する反応性の少ない素材が好ましく、上記のアクリル繊維、ポリエステル繊維の他、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、フッ素系樹脂(PTFE、PFA、ETFE等)、セルロース系材料またはセラミックス系材料等を用いることができる。
本実施形態では、エレメント41に親水処理を施すことなどにより、電解水に対する親和性を高めている。これにより、エレメント41における保水性・湿潤性が保たれ、エレメント41に導入された空気が確実に電解水に接触する。
分散皿42は、図4に示すように、後述する電解ユニット51から電解水注入チューブ(供給管)52を介して供給される電解水を、エレメント41に滴下させるものである。この分散皿42の長手方向の一端部42Aには、電解水注入チューブ52が接続される接続口42Bが形成されている。
また、分散皿42の底面には、電解水をエレメント41に滴下し、エレメント41に分散・浸潤させるための孔(図示略)が、多数形成されている。この分散皿42からエレメント41に電解水を滴下することで、エレメント41全体に均一に電解水が供給される。電解水注入チューブ52は、電解ユニット51において生成された電解水を分散皿42に導く管である。
電解水トレー43は、分散皿42からエレメント41に供給された電解水がエレメント41から流下した場合に、この電解水を受けるためのトレーである。電解水トレー43は、エレメント41よりも長手方向に長く形成され、この電解水トレー43の両端部43A、43Bはそれぞれエレメント41の両端よりも突出している。一方の端部43Aには排水口46が形成され、電解水トレー43で受けた電解水は、この排水口46を通じてドレンパン24上に排出される。
また、他方の端部43Bは、分散皿42に形成された接続口42Bの下方に位置しており、この他方の端部43B上には、上記接続口42Bに接続された電解水注入チューブ52が延在している。これによれば、接続口42Bにおいて、電解水注入チューブ52から電解水が漏れた場合であっても、この漏れた電解水は電解水トレー43の他方の端部43Bで受けられるため水漏れが防止される。なお、電解水注入チューブ52は、他方の端部43Bのベース板3に対向する面43B1、及び、ベース板3を貫通し、このベース板3の表面(すなわち、筐体20の外側に臨む面)3B側に延出している。
制御部6は、図5に示すように、電装基板61を備え、この電装基板61は電装ボックス62に収容される。この電装ボックス62は、前面が開口したボックス本体62Aと、この前面を覆う蓋体62Bとを備え、ボックス本体62Aは、取付金具63により、ベース板3との間に所定の間隔を空けた位置で当該ベース板3に支持されている。これによれば、電装ボックス62をベース板3に直に取り付ける場合に比べて、伝熱面積が拡大され、その分電装基板61の冷却効率を向上できる。
電装基板61は、図示しないCPUと、CPUにより実行される制御プログラム、及び、この制御プログラムに係る制御用データ等を格納したROMと、CPUにより処理されるプログラムや各種データを一時的に記憶するRAMとを備える。CPUは、ROM内の制御プログラムに従って、後述する電解ユニット51内の電極53a、53bに対する通電制御、水道水制御弁55の開閉制御等の各種制御を行う。例えば、CPUは、電解ユニット51において所定の濃度の電解水を生成させるため、この濃度に対応する電流密度で電極53a、53bに電流を流す。また、例えば、CPUは、電解ユニット51に対して水を供給するため、水道水制御弁55を開閉する。
さらに、電装基板61のCPUは制御装置8のCPUに通信回線等(図示略)を介して接続されており、制御装置8から入力される指示、例えば上記リモコン装置において入力された指示に従って、上記制御を実行する。これにより、例えば、室外ユニット1の冷房・暖房運転に連動して、或いは独立して空気除菌部4に電解水を供給させることが可能となる。
また、電解水生成部5は、電解ユニット51と、この電解ユニット51の上流側に配置される減圧弁54及び水道水制御弁55とを備える。これら電解ユニット51、減圧弁54及び水道水制御弁55は、ベース板3に取り付けられた支持板56上に載置され、この支持板56には、上方から略箱状のカバー体57が被せられる。これにより、電解ユニット51、減圧弁54及び水道水制御弁55は、支持板56とカバー体57とで形成されるボックス58内に収容される。
減圧弁54は、電解ユニット51に供給される水(例えば、水道水)の圧力変動を抑制し、供給される水量を略一定に保つものであり、この減圧弁54の上流側には、外部の給水源に接続される給水口54Aが形成されている。ここで、給水口54Aに接続されて、電解ユニット51に水を供給する給水源は、市水(水道水)或いは給水槽等に貯留された水等のいずれであってもよい。この給水槽等に貯留される水とは、水道水等のように塩化物イオン等のイオン種が予め含有されている水であってもよいし、井戸水等のイオン種濃度の希薄な水であってもよい。本実施形態では、これらを総称して水という。
水道水制御弁55は、制御部6の制御により開閉される電磁弁である。また、電解ユニット51に接続された電解水注入チューブ52は、上記電装ボックス62の下方を通過した後に、ベース板3を貫通し、このベース板3の裏面(すなわち、筐体20の内側に望む面)3Aに延出する。これによれば、空気除菌部4側に延在する電解水注入チューブ52の長さを最小限に抑えることができるため、エレメント41の通風抵抗の低減を図ることができる。また、本実施形態では、電解ユニット51はベース板3の一面に配置され、ベース板3の反対側の面に配置されたエレメント41に近接しているので、電解水注入チューブ52を介して活性酸素種を含む電解水をただちにエレメント41に供給することができる。
電解ユニット51は、図6に示すように、水道水等の水が供給される電解ユニット本体51Aを有する。この電解ユニット本体51Aの内部には、少なくとも一対の電極53a、53bが配設され、これら電極53a、53b間に電圧を印加することにより、水を電気分解して活性酸素種を含む電解水を生成させる。
ここで、活性酸素種とは、通常の酸素よりも高い酸化活性を持つ酸素分子と、その関連物質のことであり、スーパーオキシドアニオン、一重項酸素、ヒドロキシルラジカル、或いは過酸化水素といった、いわゆる狭義の活性酸素に、オゾン、次亜ハロゲン酸等といった、いわゆる広義の活性酸素を含めたものとする。
電極53a、53bは、例えば、ベースがチタン(Ti)で皮膜層がイリジウム(Ir)、白金(Pt)から構成された2枚の電極板である。
上記電極53a、53b間に電圧を印加すると、カソード電極では、水中の水素イオン(H+)と水酸化物イオン(OH-)とが下記式(1)に示すように反応する。
4H++4e-+(4OH-)→2H2+(4OH-) ・・・(1)
一方、アノード電極(陽極)では、下記式(2)に示すように水が電気分解される。
2H2O→4H++O2+4e- ・・・(2)
とともに、アノード電極においては、水に含まれる塩素イオン(塩化物イオン:Cl-)が下記式(3)に示すように反応し、塩素(Cl2)が発生する。
2Cl-→Cl2+2e- ・・・(3)
さらに、この塩素は下記式(4)に示すように水と反応し、次亜塩素酸(HClO)と塩化水素(HCl)が発生する。
Cl2+H2O→HClO+HCl ・・・(4)
この構成では、電極53a、53b間に通電することで、殺菌力の大きい次亜塩素酸(HClO)等の活性酸素種が発生し、この活性酸素種を含んだ電解水がエレメント41に供給される。この状態で、エレメント41に空気を通過させることにより、当該エレメント41を通過する空気中に浮遊するウィルス等を不活化させて、空気を除菌することができ、さらにエレメント41自体における雑菌の繁殖を防止できる。
また、空気中の臭気等の原因物質であるガス状物質も、エレメント41を通過する際に、電解水に溶解したり、電解水に含まれる次亜塩素酸等の活性酸素種と反応したりして、空気中から除去されるので、エレメント41によって脱臭が可能である。
さらに、電極53a、53b間に所定の電流密度の電流(例えば、20mA/cm2等)を通電すると、水の電気分解によって所定の濃度の活性酸素種(例えば、遊離残留塩素濃度1mg/l等)を含む電解水を生成することができる。また、この電流値を変更することにより、電解水中の活性酸素種の濃度を変化させることが可能であり、具体的な例としては、電流値を小さくした場合には電解水の次亜塩素酸の濃度を低くすることができ、電流値を大きくした場合には電解水の次亜塩素酸の濃度を高くすることができる。
このように、本実施形態によれば、室内熱交換器21及び送風ファン22を備える天井埋込型の空気調和装置100の室内ユニット2において、電解水に浸潤されるエレメント41を、室内熱交換器21を通過した空気が通るので、冷房または暖房により温度調整された空気に含まれるウィルス等を不活化し、或いは除去することができる。これにより、空気調和装置100に空気の除菌機能を持たせることができ、被調和室内の床面における設置スペースの制約を受けずに、空気の清浄化を実現できる。
また、本実施形態によれば、室内ユニット2の筐体20の開口部20dに取り付けられ、この筐体20の内部に吸い込んだ空気を除菌する除菌装置150であって、開口部20dを塞ぐベース板3を備え、このベース板3の一方の面3Bに、水を電気分解して電解水を生成する電解水生成部5を配置するとともに、ベース板3の他方の面3Aに、電解水生成部5から電解水注入チューブ52を通じて供給された電解水と上記筐体20内に吸い込んだ空気とを接触させる空気除菌部4を配置したため、ベース板3を介して除菌装置150をユニット化することができ、天井裏空間での除菌装置150のメンテナンス作業を容易に実施することができる。
例えば、空気除菌部4のエレメント41を交換する場合、ベース板3を筐体20の開口部20dから取り外すだけで、除菌装置150全体を室内ユニット2から取り外すことができるため、この取り外した除菌装置150を床上に降ろし、床上で上記エレメント41の交換を実施することができる。これによれば、天井裏空間での高所作業が低減し、除菌装置150のメンテナンス作業を容易に、かつ、安全に実施することができる。
また、電解水生成部5が筐体20の外側の面3Bに配置されているため、この電解水生成部5の存在により風の流路が狭くなることがないため、通風抵抗の増加等の不都合を招くことがなく、筐体20内のスペースを有効に利用できる。また、電解水生成部5の電解ユニット51のメンテナンスを容易に実施することもできる。
また、本実施形態によれば、空気除菌部4を開口部20dから筐体20の内部に入り込ませて、当該筐体20の外側から取り付け可能としているため、この空気除菌部4を室内ユニット2に容易に取り付けることができる。
また、空気除菌部4は、保水性の高いエレメント41と、このエレメント41に電解水を滴下させる分散皿42と、エレメント41から流下した電解水を受ける電解水トレー43とを備え、この電解水トレー43は、エレメント41よりも長手方向に突出した端部43B上に電解水注入チューブ52を延在させ、この電解水注入チューブ52を分散皿42に接続したため、接続口42Bにおいて、電解水注入チューブ52から電解水が漏れた場合であっても、この漏れた電解水は電解水トレー43の他方の端部43Bで受けられるため水漏れが防止される。
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。上記実施形態では、活性酸素種として次亜塩素酸を発生させる構成について説明したが、活性酸素種としてオゾン(O3)や過酸化水素(H22)を発生させる構成としても良い。この場合、電極53a、53bとして白金タンタル電極を用いると、イオン種が希薄な水からでも、電気分解により高効率に安定して活性酸素種を生成できる。
すなわち、電極53a、53b間に通電することにより、アノード電極では、下記式(5)〜(7)に示す反応が起こり、オゾンが生成される。
2H2O→4H++O2+4e- ・・・(5)
3H2O→O3+6H++6e- ・・・(6)
2H2O→O3+4H++4e- ・・・(7)
一方、カソード電極では、下記式(8)及び(9)に示す反応が起こり、電極反応により生成したO2 -と溶液中のH+とが結合して、過酸化水素(H22)が生成される。
4H++4e-+(4OH-)→2H2+(4OH-) ・・・(8)
2 -+e-+2H+→H22 ・・・(9)
この構成では、電極53a、53bに通電することにより、殺菌力の大きいオゾンや過酸化水素が発生し、これらオゾンや過酸化水素を含んだ電解水を作ることができる。そして、この電解水中におけるオゾンもしくは過酸化水素の濃度を、対象ウィルス等を不活化させる濃度に調整し、この濃度の電解水が供給されたエレメント41に空気を通過させることにより、空気中に浮遊する対象ウィルス等を不活化することができる。また、臭気等のガス状物質もエレメント41を通過する際に、電解水に溶解したり、電解水中のオゾンまたは過酸化水素と反応したりすることにより、空気中から除去されるため、脱臭することができる。
また、室内ユニット2では、イオン種が希薄な水(純水、精製水、井戸水、一部の水道水等を含む)を用いた場合も同様の反応を起こさせることが可能である。すなわち、イオン種が希薄な水にハロゲン化合物(食塩等)を添加すれば、上記式(3)及び(4)と同様の反応が起こり、活性酸素種を得ることができる。つまり、除菌装置150は、塩素化合物が十分に添加された水道水に限らず、他の水を用いた場合であっても、十分な空気清浄効果(ウィルス等の不活化、殺菌、脱臭等)を発揮できる。
この場合、電解ユニット51に導入される水に、薬剤(ハロゲン化合物等)が供給される構成とすればよい。例えば、上記薬剤を供給する薬剤供給装置を室内ユニット2に設けてもよく、この薬剤供給装置は、給水口54Aから電解ユニット51に至る経路上において薬剤を注入するものであってもよいし、電解ユニット51に直接薬剤を注入する構成としてもよい。
ここで、薬剤としては食塩または食塩水を用いることができる。例えば、電解ユニット51中の食塩水の濃度を2〜3%(重量パーセント)程度に調整すれば、電解ユニット51において食塩水を電気分解することにより次亜塩素酸もしくは過酸化水素を含んだ電解水(0.5〜1%)を生成できる。この構成によれば、電解ユニット51に導入される水中のイオン種が希薄な場合でも、食塩または食塩水を添加することにより、イオン種を増加させて、水の電気分解時に、高効率に安定して活性酸素種を生成できる。
また、上記実施形態において、ドレンパン24を構成する材料や室内熱交換器21の形状等の細部構成については、任意に変更可能であることは勿論である。
本発明の実施形態における空気調和装置の概略構成を示す図である。 室内ユニットの断面図である。 室内ユニットの分解斜視図である。 除菌装置を背面側から見た斜視図である。 除菌装置を正面側から見た斜視図である。 電解ユニットの構成図である。
符号の説明
1 室外ユニット
2 室内ユニット
3 ベース板(板状部材)
4 空気除菌部
5 電解水生成部
6 制御部
20 筐体
20a 側板
20c ノックアウトホール部
20d 開口部
20e 側板
21 室内熱交換器
22 送風ファン(送風機)
24 ドレンパン
27 ドレンポンプ
41 エレメント(気液接触部材)
42 分散皿
42A 一端部
42B 接続口
43 電解水トレー(水受皿)
43A 端部
43B 端部
46 排水口
51 電解ユニット
51A 電解ユニット本体
52 電解水注入チューブ
53a 電極
54 減圧弁
55 水道水制御弁
56 支持板
57 カバー体
58 ボックス
61 電装基板
62 電装ボックス
100 空気調和装置
150 除菌装置

Claims (3)

  1. 室内熱交換器及び送風機を備える空気調和装置の筐体の開口部に取り付けられ、この筐体の内部に吸い込んだ空気を除菌する除菌装置であって、
    前記開口部を塞ぐ板状部材を備え、この板状部材の前記筐体の内側に臨む面に、前記電解水生成部から供給管を通じて供給された電解水と前記空気とを接触させる空気除菌部を配置するとともに、前記板状部材の前記筐体の外側に臨む面に、水を電気分解して電解水を生成する電解水生成部と、この電解水生成部の動作を制御する制御部とを配置し、この制御部の電装ボックスが前記板状部材から所定の間隔をあけて当該板状部材に支持されていることを特徴とする除菌装置。
  2. 前記空気除菌部を前記開口部から前記筐体の内部に入り込ませて、当該筐体の外側から取り付け可能としたことを特徴とする請求項1に記載の除菌装置。
  3. 前記空気除菌部は、保水性の高い気液接触部材と、この気液接触部材に前記電解水を滴下させる分散皿と、前記気液接触部材から流下した電解水を受ける水受皿とを備え、この水受け皿は、前記気液接触部材よりも長手方向に突出した突出部を備え、この突出部上に前記供給管を延在させ、この供給管を前記分散皿に接続したことを特徴とする請求項1または2に記載の除菌装置。
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