以下に述べる本発明の実施例では、腫瘍等の治療対象部位を含む患者体内の3次元領域から収集した基準呼吸時相のボリュームデータに基づいて前記治療対象部位とその周囲のマージン領域からなる3次元的な焼灼部位を設定し、更に、基準呼吸時相に後続する複数の呼吸時相において時系列的に収集されるボリュームデータに基づき前記焼灼部位の呼吸性移動における移動領域を焼灼部位移動領域として設定する。次いで、基準呼吸時相において収集されたボリュームデータに基づく焼灼計画に従って前記焼灼部位の所定焼灼位置に対し強力超音波を照射する際、隣接した呼吸時相の各々において収集された2つのボリュームデータを焼灼部位移動領域の範囲内で演算処理することによって焼灼部位の移動情報を検出し、この検出結果に基づいて補正された焼灼位置に対して強力超音波を照射する。
尚、以下の実施例では、複数の振動素子が2次元配列された超音波プローブによって得られたBモードデータに基づくボリュームデータを収集し、このボリュームデータを用いて焼灼部位の呼吸性移動を検出する場合について述べるが、これに限定されるものではなく、例えば、カラードプラデータ、あるいはBモードデータとカラードプラデータに基づくボリュームデータであってもよく、これらBモードデータやカラードプラデータは造影剤が投与された当該患者から得られるものであっても構わない。
(装置の構成)
本発明の実施例につき図1乃至図9を用いて説明する。尚、図1は、本実施例における超音波治療装置の全体構成を示すブロック図であり、図2は、この超音波治療装置が備えるボリュームデータ収集部の具体的な構成を示すブロック図である。
図1において、超音波治療装置100は、患者体内に対する超音波の3次元走査によって3次元データ(ボリュームデータ)を収集するボリュームデータ収集部2と、凹面状の圧電振動子31を有し患者体内の焼灼部位(即ち、治療対象部位とその周囲のマージン領域)に対して強力超音波を照射する超音波照射部3と、この超音波照射部3に設けられた圧電振動子31に対して駆動信号を供給する振動子駆動部4と、ボリュームデータ収集部2から供給されるボリュームデータを処理して3次元画像データを生成する3次元画像データ生成部5と、前記ボリュームデータに設定されたMPR断面においてMPR画像データを生成するMPR画像データ生成部6を備えている。
又、超音波治療装置100は、ボリュームデータ収集部2から供給される時系列的なボリュームデータに基づいて焼灼部位の呼吸性移動における3次元的な移動領域を設定する焼灼部位移動領域設定部7と、隣接した呼吸時相の各々において収集された2つのボリュームデータに基づいて焼灼部位の移動情報(即ち、移動方向及び移動量)を検出する焼灼部位移動検出部8と、前記焼灼部位の移動情報に基づいて焼灼位置を補正する焼灼位置補正部9と、補正後の焼灼位置情報に基づいて移動制御信号を生成する移動機構制御部10と、前記移動制御信号に従って超音波照射部3を所定の方向に所定距離移動させる移動機構部11を備え、更に、MPR画像データ生成部6において生成されたMPR画像データや3次元画像データ生成部5において生成された3次元画像データに焼灼部位、焼灼位置あるいは焦点位置等の情報を重畳して表示する表示部12と、ボリュームデータ収集条件の設定、MPR断面の設定、シード点の設定、焼灼計画の設定、更には、各種コマンド信号の入力等を行なう入力部13と、当該患者の呼吸波形を検出し、得られた呼吸波形データに基づいて呼吸時相を設定する生体信号検出部14と、超音波治療装置が備えた上述の各ユニットを統括的に制御するシステム制御部15を備えている。
上記の各ユニットにつき更に詳しく説明する。図2に示すボリュームデータ収集部2は、治療対象部位を含む患者体内の3次元領域に対して超音波パルス(送信超音波)を送信し前記患者体内から得られた超音波反射波(受信超音波)を電気信号(受信信号)に変換する複数の振動素子を備えた超音波プローブ21と、前記3次元領域の所定方向に対して超音波パルスを送信するための駆動信号を超音波プローブ21の前記振動素子に供給しこれらの振動素子から得られた複数チャンネルの受信信号を整相加算する送受信部22と、整相加算後の受信信号を信号処理してBモードデータを生成する受信信号処理部23と、患者体内に対する3次元走査によって得られた上述のBモードデータを超音波の送受信方向に対応させて配列しボリュームデータを生成するボリュームデータ生成部24を備えている。
超音波プローブ21は、2次元配列された図示しないN個の振動素子をその先端部に有し、これら振動素子の各々は、Nチャンネルの多芯ケーブルを介して送受信部22の入出力端子に接続されている。振動素子は電気音響変換素子であり、送信時には電気パルス(駆動信号)を超音波パルス(送信超音波)に変換し、又、受信時には超音波反射波(受信超音波)を電気的な受信信号に変換する機能を有している。尚、超音波プローブ21には、セクタ走査対応、リニア走査対応、コンベックス走査対応等があり、操作者は診断部位に応じて任意に選択することが可能であるが、本実施例では、N個の振動素子が2次元配列されているセクタ走査用の超音波プローブを用いた場合について述べる。
次に、送受信部22は、当該患者の体内に対して送信超音波を放射するための駆動信号を超音波プローブ21に設けられたN個の振動素子に供給する送信部221と、前記振動素子から得られたNチャンネルの受信信号に対して整相加算を行なう受信部222を備えている。
送信部221は、レートパルス発生器223、送信遅延回路224及び駆動回路225を備え、レートパルス発生器223は、システム制御部15から供給される基準信号を分周することにより送信超音波の繰り返し周期を決定するレートパルスを生成する。送信遅延回路224は、Nチャンネルの独立な遅延回路から構成され、送信において細いビーム幅を得るために所定の深さに送信超音波を集束するための遅延時間(集束用遅延時間)と所定の送受信方向(θpx、φqy)に送信超音波を放射するための遅延時間(偏向用遅延時間)を前記レートパルスに与える。そして、Nチャンネルの独立な駆動回路225は、超音波プローブ21に内蔵されたN個の振動素子を駆動するための駆動パルスを前記レートパルスに基づいて生成する。
一方、受信部222は、Nチャンネルから構成されるプリアンプ226、A/D変換器227及び受信遅延回路228と、加算器229を備えている。プリアンプ226は、上述の振動素子によって電気信号に変換された微小な受信信号を増幅して十分なS/Nを確保し、このプリアンプ226において増幅されたNチャンネルの受信信号はA/D変換器227にてデジタル信号に変換される。受信遅延回路228は、所定の深さからの超音波反射波を集束するための集束用遅延時間と所定の送受信方向(θpx、φqy)に対して強い受信指向性を設定するための偏向用遅延時間を、A/D変換器227から出力されるNチャンネルの受信信号の各々に与え、加算器229は、これら受信遅延回路228から供給される受信信号を加算合成する。即ち、受信遅延回路228と加算器229により、所定方向から得られた受信信号は整相加算(位相合わせして加算)される。
図3は、超音波プローブ21の中心軸をZo軸とした直交座標(Xo−Yo−Zo)に対する超音波の送受信方向(θpx、φqy)の関係を示す。例えば、N個の振動素子はXo軸方向及びYo軸方向に2次元配列され、θpx及びφqyは、Xo−Zo平面及びYo−Zo平面に投影された送受信方向を示している。
次に、図2に示した受信信号処理部23は、受信部222の加算器229から供給された整相加算後の受信信号を包絡線検波する包絡線検波器231と、包絡線検波後の受信信号を対数変換してBモードデータを生成する対数変換器232を備えている。但し、包絡線検波器231と対数変換器232は順序を入れ替えて構成してもよい。
ボリュームデータ生成部24は、図2に示すように超音波データ記憶部241、補間処理部242及びボリュームデータ記憶部243を備え、超音波データ記憶部241には、当該患者に対する3次元走査によって得られた受信信号に基づいて受信信号処理部23が生成したBモードデータが、システム制御部15から供給される超音波送受信方向の情報やシステム制御部15を介して生体信号検出部14から供給される呼吸時相の情報を付帯情報として順次保存される。
一方、補間処理部242は、超音波データ記憶部241から読み出した所定呼吸時相における複数のBモードデータを超音波送受信方向に対応させて配列することにより3次元超音波データを形成し、更に、この3次元超音波データを構成する不等間隔のボクセルを補間処理することによって等方的なボクセルで構成されるボリュームデータを生成する。そして、得られたボリュームデータは、呼吸時相の情報を付帯情報としてボリュームデータ記憶部243に一旦保存される。
図1に戻って、超音波照射部3は、例えば、脱気水からなるカップリング液32によって充満されその上部には強力超音波を放射する圧電振動子31を有している。そして、圧電振動子31の略中央部に設けられた孔部には超音波プローブ21の先端部が揺動可能に装着されている。
一方、超音波照射部3の患者体表面との接触部には、カップリング液32と略等しい音響インピーダンスを有した高分子材料からなるカップリング膜33が設けられ、圧電振動子31から放射される治療用の強力超音波や超音波プローブ21によって送受信されるイメージング用の超音波は、患者組織と略等しい音響特性を有するカップリング膜33及びカップリング液32を介し患者体内に対して効率良く送受信される。
尚、圧電振動子31として、1つあるいは複数個からなる凹面状のピエゾ素子が用いられ、第1の面(凸面)及び第2の面(凹面)には前記ピエゾ素子に駆動信号を供給するための電極がそれぞれ装着されている。そして、凸面側の電極は支持台(バッキング材)に固定され、凹面側の電極は患者に対して強力超音波の照射を効率良く行なうための音響マッチング層と保護膜(何れも図示せず)によって覆われている。
次に、振動子駆動部4は強力超音波を患者体内へ放射するために圧電振動子31に対して駆動信号を供給する機能を有し、圧電振動子31の共振周波数と略等しい中心周波数を有したバースト波を発生するバースト波発生器41と、このバースト波を所定の振幅に増幅するパワーアンプ42と、パワーアンプ42から出力されたバースト波を圧電振動子31に効率良く供給するためにインピーダンスマッチングを行なうマッチング回路43を備えている。
一方、3次元画像データ生成部5は、図示しない不透明度・色調設定部と、レンダリング処理部を備えている。前記不透明度・色調設定部は、ボリュームデータ収集部2のボリュームデータ生成部24におけるボリュームデータ記憶部243に一旦保存された当該患者の所定呼吸時相におけるボリュームデータを読み出し、これらのボリュームデータのボクセル値に基づいて不透明度や色調を設定する。一方、前記レンダリング処理部は、前記不透明度・色調設定部が設定した不透明度や色調の情報に基づいて上述のボリュームデータを処理し、ボリュームレンダリング画像データ等の3次元画像データを生成する。
MPR画像データ生成部6は、後述する焼灼部位移動領域の設定に際し、ボリュームデータ生成部24のボリュームデータ記憶部243に保存された基準呼吸時相のボリュームデータを読み出し、入力部13から供給されるMPR断面の設定情報に基づいてシード点の設定に使用するMPR画像データを生成する。
更に、焼灼前の焼灼位置に対する焦点位置の確認、焼灼中における焼灼部位のモニタリング、更には、焼灼後の焼灼部位における焼灼効果の確認に際してボリュームデータ生成部24から逐次供給されるボリュームデータを受信し、予め設定されたMPR断面に対応する前記ボリュームデータのボクセルを抽出して時系列的なMPR画像データを生成する。
一方、焼灼部位移動領域設定部7は、表示部12に表示された基準呼吸時相におけるMPR画像データの治療対象部位に対して入力部13が設定するシード点の設定情報に基づいて焼灼部位を設定し、更に、この焼灼部位の呼吸性移動における移動範囲を焼灼部位移動領域として設定する。尚、シード点の設定を目的としたMPR画像データが生成される基準呼吸時相として、通常、患者体内の呼吸性移動が比較的少ない呼気時相が選択されるが、呼気時相や吸気時相を含む呼吸時相の詳細については後述する。
次に、上述のMPR画像データ生成部6、焼灼部位移動領域設定部7及び入力部13による焼灼部位移動領域の設定方法につき図4を用いて説明する。図4に示す治療対象部位51a及び治療対象部位51bは、呼気時相及び吸気時相のボリュームデータにおける治療対象部位であり、治療対象部位51aの位置に存在した呼気時相(基準呼吸時相)の治療対象部位は、患者体内の呼吸性移動に伴なって吸気時相における治療対象部位51bの位置に向って逐次移動した後、呼気時相における治療対象部位51aの位置に戻る場合を模式的に示している。
焼灼部位移動領域の設定に際し、MPR画像データ生成部6は、当該患者の治療対象部位を含んだ基準呼吸時相のボリュームデータに対し入力部13のMPR断面設定部131が設定したMPR断面に基づいてMPR画像データを生成し、入力部13のシード点設定部132は、表示部12に表示された前記MPR画像データにおける治療対象部位の中心部近傍にシード点を設定する。
次に、焼灼部位移動領域設定部7の図示しない演算部は、設定されたシード点を起点とする領域拡張法(region growing)を基準呼吸時相(第1の呼吸時相)にて収集されたボリュームデータに適用して治療対象部位51aの輪郭を抽出し、更に、抽出された輪郭に対し所定量のマージンを付加して基準呼吸時相における焼灼部位52aを設定する。
次いで、前記演算部は、焼灼部位52aの重心を算出し、得られた重心を新たなシード点とする領域拡張法を基準呼吸時相に後続する第2の呼吸時相にて収集されたボリュームデータに適用する。そして、このボリュームデータにおける治療対象部位の輪郭を抽出し、更に、抽出された輪郭に対し所定量のマージンを付加して第2の呼吸時相における焼灼部位を設定する。
基準呼吸時相とこの基準呼吸時相に後続する複数の呼吸時相(第2の呼吸時相、第3の呼吸時相、第4の呼吸時相、・・・の各々にて収集されたボリュームデータに対するシード点の設定方法につき図5を用いて説明する。既に述べたように焼灼部位移動領域設定部7の演算部は、基準呼吸時相におけるMPR画像データの治療対象部位に対し入力部13のシード点設定部132が設定したシード点S1を起点とする領域拡張法により基準呼吸時相のボリュームデータにおける焼灼部位521(図4の焼灼部位52a)を設定し、更に、焼灼部位521の重心W1を算出する。
次いで、重心W1をシード点S2とする領域拡張法により第2の呼吸時相のボリュームデータにおける焼灼部位522を設定し、更に、焼灼部位522の重心W2を算出する。以下同様の手順により、第3の呼吸時相、第4の呼吸時相、・・・のボリュームデータにおける焼灼部位523、524、・・・の設定と重心W3、W4、・・・の算出を行なう。
そして、呼気時相(基準呼吸時相)から吸気時相を経て再び呼気時相に至るまでの各呼吸時相にて収集されたボリュームデータに対する焼灼部位の設定が終了したならば、これらの呼吸時相にて設定された焼灼部位を合成する(即ち、焼灼部位の論理和をとる)ことにより図4に示した焼灼部位移動領域53を設定する。
次に、図1の焼灼部位移動検出部8は、図示しない演算回路を有し、焼灼部位移動領域に対する3次元走査によって新たに収集される時系列的なボリュームデータの中の隣接した呼吸時相における2つのボリュームデータを比較することにより焼灼部位の移動情報(移動方向及び移動量)を検出する。尚、画像データの移動検出を目的とした各種方法が既に提案されており、ここでは、隣接した呼吸時相における2つのボリュームデータを3次元の各方向に順次シフトさせながらボクセル間の差分値を求め、この差分値の絶対値和あるいは2乗和が最小となるシフト方向及びシフト量に基づいてボリュームデータにおける焼灼部位の移動情報を検出する。
上述の方法(以下では、最小差分和法と呼ぶ。)ここではした焼灼部位移動情報の検出につき図6を用いて更に詳しく説明する。図6において、第mの呼吸時相のボリュームデータにおけるボクセル(p、q、r)の信号強度(輝度)をA(p、q、r)、第mの呼吸時相に後続(隣接)した第m+1の呼吸時相のボリュームデータにおけるボクセル(p、q、r)の信号強度をB(p、q、r)とすれば、焼灼部位の移動情報を検出するための評価関数β
AB(j、k、s)は、次式(1)によって求めることができる。
そして、第m+1の呼吸時相のボリュームデータを第mの呼吸時相のボリュームデータに対し、p方向、q方向及びr方向に逐次移動させながら上式(1)の評価関数βAB(j、k、s)を算出した結果j=jx、k=kx及びs=sxにおいてβAB(j、k、s)が最小値をもつ場合、第m+1の呼吸時相のボリュームデータにおける焼灼部位は第mの呼吸時相のボリュームデータにおける焼灼部位に対してp方向にjxボクセル分、q方向にkxボクセル分、r方向にsxボクセル分だけ移動したものとして検出される。尚、上式(1)におけるNaは、評価関数βAB(j、k、s)の算出に用いたp方向のボクセル数P、q方向のボクセル数Q及びr方向のボクセル数Rの積である。
再び図1に戻って、焼灼位置補正部9は、焼灼計画にて予め設定された焼灼部位の焼灼位置を焼灼部位移動検出部8によって検出された焼灼部位の移動情報に基づいて補正し、移動機構制御部10は、焼灼位置補正部9からシステム制御部15を介して供給される補正後の焼灼位置情報に基づいて超音波照射部3における強力超音波の焦点位置を補正するための移動制御信号を生成する。そして、移動機構部11は、移動機構制御部10から供給される移動制御信号に従って超音波照射部3の焦点位置を補正し、患者体内の呼吸性移動に伴って移動した焼灼部位の前記焼灼位置に対して強力超音波を照射する。
一方、表示部12は、焼灼部位移動領域設定部7によって設定された焼灼部位及び焼灼部位移動領域、超音波照射部3による強力超音波の焦点位置、焼灼中あるいは焼灼済みの焼灼部位に関する情報等をMPR画像データ生成部6にて生成されたMPR画像データあるいは3次元画像データ生成部5にて生成された3次元画像データに重畳して表示する機能を有し、図示しない表示データ生成回路と変換回路とモニタを備えている。前記表示データ生成回路は、MPR画像データあるいは3次元画像データに上述の各種情報や患者情報等を重畳して表示データを生成し、前記変換回路は、前記表示データに対しD/A変換とテレビフォーマット変換を行なって前記モニタに表示する。
入力部13は、操作パネル上にタッチコマンドスクリーン等の表示パネルやキーボード、スイッチ、選択ボタン、マウス等の入力デバイスを備えたインターラクティブなインターフェースであり、当該患者に対する3次元走査によって収集されたボリュームデータに対し1つあるいは複数のMPR断面を設定するMPR断面設定部131と、これらのMPR断面にて生成されたMPR画像データにおける治療対象部位に対してシード点を設定するシード点設定部132と、基準呼吸時相にて収集されたボリュームデータの焼灼部位に対して焼灼計画を設定する焼灼計画設定部133を備えている。更に、ボリュームデータ収集条件の設定、MPR画像データ及び3次元画像データに対する表示条件の設定、各種コマンド信号の入力等が入力部13に設けられた上述の入力デバイスと表示パネルを用いて行なわれる。
次に、入力部13の焼灼計画設定部133が設定する焼灼計画の具体例につき図7を用いて説明する。但し、図7では、説明を判り易くするために、基準呼吸時相のMPR画像データに基づいて設定される焼灼部位やこの焼灼部位に対して設定される複数の焼灼位置を2次元的に示すが、実際の設定は3次元的に行なわれる。図7(a)は、ボリュームデータ収集部2の超音波プローブ21を用いた3次元セクタ走査によって得られるボリュームデータに基づいて3次元画像データ生成部5が生成した3次元画像データ71を示しており、この3次元画像データ71の焼灼部位72を囲むように3次元的な関心領域73が入力部13の焼灼計画設定部133によって設定される。そして、設定された関心領域73の位置情報は、図示しない自己の記憶回路に保存される。
次いで、焼灼計画設定部133は、関心領域73を強力超音波の集束ビーム幅に相当する微小な立方体領域に分割し、更に、これら立方体領域の中心座標を算出して焼灼位置を設定する。例えば、図7(b)は、焼灼計画設定部133によって設定された焼灼位置C1乃至C6、C7乃至C13、・・・を示している。通常、焼灼部位72は強力超音波の集束ビーム幅より大きいため、焼灼計画において焼灼部位内に予め設定された複数の焼灼位置に強力超音波の焦点を順次移動することによって焼灼部位72の全領域に対する焼灼が行なわれる。
この場合、強力超音波の焦点は、図7(c)に示すように、深部の焼灼位置C1を始点として矢印で示す方向に移動させる方法が好適であるが、この方法に限定されるものではなく、離散的に行なっても構わない。但し、一旦焼灼されて熱変性壊死を起こした領域は超音波の透過性が著しく劣化するため、浅部領域の焼灼より深部領域の焼灼を優先させることが望ましい。尚、図7(c)に示した関心領域73における立方体領域の各々は図7(b)と対応しており、これらの領域に対する焼灼位置C1、C2、・・・等の符号は省略している。
次に、焼灼計画に基づいて焼灼部位に対する焼灼治療が行なわれる際に表示部12に表示されるMPR画像データの具体例を図8に示す。図8は、焼灼部位Tmを含むボリュームデータVbに対して予め設定される3つのMPR断面Pm1乃至Pm3とこれらMPR断面Pm1乃至Pm3の各々において生成されるMPR画像データMp1乃至Mp3を示したものであり、通常、MPR断面Pm1乃至Pm3の各々は互いに直交し、その交点が焼灼部位Tmの中心と略一致するように設定される。例えば、図3に示した超音波プローブ21の中心軸Zoを含みXo−Zo平面に平行なMPR断面Pm1及びYo−Zo平面に平行なMPR断面Pm2において生成されたMPR画像データMP1及びMPR画像データMp2と前記中心軸Zoに垂直なMPR断面Pm3において生成されたMPR画像データMp3が表示部12のモニタに表示される。
この場合、焼灼部位の下方には焼灼済みの組織が高い輝度を有して表示されるため、焼灼漏れの有無や焼灼状態等を容易に把握することができる。又、焼灼された領域と焼灼されていない領域を異なる輝度や色を用いてグラフィック表示してもよい。この表示方法によれば、焼灼予定領域や焼灼済み領域を明確に区別して表示することができるため焼灼治療の進捗状況を容易に把握することが可能となる。
図1へ戻って、生体信号検出部14は、当該患者の呼吸波形を検出する呼吸センサとこの呼吸センサによって検出された呼吸波形に基づいて呼吸時相を設定する呼吸時相設定部(何れも図示せず)を備えている。
図9は、当該患者から検出される4周期分の呼吸波形81とこの呼吸波形81に基づいて設定される呼吸時相を示している。ここでは、便宜上、図9(a)に示すように呼吸波形91が最小となる時相t1x、t2x、t3x、・・・から最大となる時相t1y、t2y、t3y、・・・までの期間を吸気期間Te、時相t1y、t2y、t3y、・・・から時相t2x、t3x、t4x、・・・までの期間を呼気期間Tbとし、時相t1y、t2y、t3y、・・・を吸気時相、呼吸波形81の変化が比較的少ない呼気期間Tbの末期あるいはその近傍を呼気時相とする。そして、既に述べたように、焼灼計画の設定に使用される3次元画像データや焼灼部位の設定に使用されるMPR画像データは上述の呼気時相を基準呼吸時相として収集されたボリュームデータに基づいて生成される。
そして、上述の生体信号検出部14が備えた前記呼吸時相設定部は、例えば、呼吸波形81を微分処理することにより図9(b)に示すようなトリガパルスを時相t1x、t2x、t3x、・・・において生成し、これらのトリガパルスから所定時間τ0だけ経過した呼気時相t11、t21、t31、・・・を基準呼吸時相に設定する。更に、前記呼吸時相設定部は、これら基準呼吸時相t11を基準とした所定時間間隔(例えば、50msec)の時相t12乃至t1M、基準呼吸時相t21を基準とした所定時間間隔の時相t22乃t2M、基準呼吸時相t31を基準とした所定時間間隔の時相t32乃至t3M・・・を焼灼部位の移動情報を検出する時相として設定する。
次に、システム制御部15は、図示しないCPUと記憶回路を備え、前記記憶回路には入力部13の各ユニットにて入力あるいは設定された上述の各種情報が保存される。そして、前記CPUは、上述の入力情報及び設定情報に基づいて超音波治療装置100の各ユニットを制御し、患者体内の呼吸性移動等に伴なって移動する焼灼部位の移動検出とこの検出結果に基づく強力超音波の焦点位置補正を行なう。
(焼灼部位の焼灼手順)
次に、本実施例における焼灼部位の焼灼手順につき図10のフローチャートに沿って説明する。
当該患者に対する焼灼治療に先立ち、超音波治療装置100の操作者は入力部13において患者情報を入力した後、ボリュームデータ収集条件の設定、3次元画像データ生成条件の設定、更には、MPR画像データや3次元画像データに対する表示条件の設定等を行なう。そして、これらの入力情報や設定情報はシステム制御部15の記憶回路に保存される。
次いで、治療対象部位に対する強力超音波の照射に好適と思われる患者体表面に超音波照射部3を配置する。この場合、ボリュームデータ収集部2、3次元画像データ生成部5及び表示部12を予め動作状態にしておき、これらの各ユニットによって生成される3次元画像データの観測下にて超音波照射部3を好適な位置に配置する(図10のステップS1)。
上述の初期設定が終了したならば、操作者は、入力部13にて焼灼部位移動領域の設定を開始するためのコマンド信号を入力し、このコマンド信号がシステム制御部15に供給されることにより焼灼部位移動領域の設定が開始される(図10のステップS2)。
焼灼部位移動領域の設定に必要なボリュームデータの収集に際し、ボリュームデータ収集部2の送受信部22におけるレートパルス発生器223は、システム制御部15から供給される基準信号を分周してレートパルスを生成し送信遅延回路224に供給する。送信遅延回路224は、所定の深さに超音波を集束するための集束用遅延時間と、最初の送受信方向(θ1、φ1)に超音波を送信するための偏向用遅延時間を前記レートパルスに与え、このレートパルスをNチャンネルの駆動回路225に供給する。次いで、駆動回路225は、送信遅延回路224から供給されたレートパルスに基づいて駆動信号を生成し、この駆動信号を超音波プローブ21におけるN個の振動素子に供給して患者体内に超音波パルスを放射する。
放射された超音波パルスの一部は、音響インピーダンスの異なる臓器境界面や組織にて反射し、送信時と同じ振動素子によって受信されてNチャンネルの電気的な受信信号に変換される。次いで、これらの受信信号は、プリアンプ226にて増幅された後A/D変換器227においてデジタル信号に変換され、更に、受信遅延回路228にて所定の深さからの受信超音波を集束するための集束用遅延時間と送受信方向(θ1、φ1)からの受信超音波に対し強い受信指向性を設定するための偏向用遅延時間が与えられた後加算器229にて整相加算される。
そして、整相加算後の受信信号が供給された受信信号処理部23の包絡線検波器231及び対数変換器232は、この受信信号に対して包絡線検波と対数変換を行なってBモードデータを生成し、ボリュームデータ生成部24の超音波データ記憶部241に送受信方向を付帯情報として保存する。
送受信方向(θ1、φ1)におけるBモードデータの生成と保存が終了したならば、システム制御部15は、送受信部22の送信遅延回路224及び受信遅延回路228における遅延時間を制御してθpx方向にΔθ、φqy方向にΔφずつ順次更新された送受信方向(θpx、φqy)(θpx=θ1+(px−1)Δθ(px=2〜Px)、φqy=φ1+(qy−1)Δφ(qy=2〜Qy))の各々に対して同様の手順で超音波を送受信して3次元走査を行なう。そして、各々の送受信方向にて得られたBモードデータも送受信方向を付帯情報として超音波データ記憶部241に保存する。
一方、ボリュームデータ生成部24の補間処理部242は、超音波データ記憶部241から読み出した複数のBモードデータを超音波送受信方向に対応させて配列することにより3次元超音波データを形成し、更に、この3次元超音波データを構成する不等間隔のボクセルを補間処理することによって等方的なボクセルで構成されるボリュームデータを生成する。そして、得られたボリュームデータは呼吸時相の情報を付帯情報としてボリュームデータ記憶部243に一旦保存される(図10のステップS3)。このような手順を、基準呼吸時相及びこの基準呼吸時相に後続する複数の呼吸時相の各々に対して繰り返すことによりボリュームデータ記憶部243にはこれらの呼吸時相において収集された時系列的なボリュームデータが呼吸時相情報と共に保存される。
次に、MPR画像データ生成部6は、ボリュームデータ生成部24のボリュームデータ記憶部243に保存された基準呼吸時相(呼気時相)のボリュームデータを読み出す。そして、入力部13のMPR断面設定部131からシステム制御部15を介して供給されるMPR断面の設定情報に基づいてMPR画像データを生成し、得られたMPR画像データを表示部12のモニタに表示する。(図10のステップS4)。
次いで、操作者は、入力部13のシード点設定部132を用い、表示部12に表示されたMPR画像データにおける治療対象部位の中心部近傍にシード点を設定する(図10のステップS5)。そして、このシード点の設定情報は、システム制御部15を介して焼灼部位移動領域設定部7へ供給される。
一方、焼灼部位移動領域設定部7は、入力部13のシード点設定部132によって設定されたシード点を起点とする領域拡張法を基準呼吸時相のボリュームデータに適用して治療対象部位の輪郭を抽出し、抽出された輪郭に所定量のマージンを付加して基準呼吸時相における焼灼部位を設定する。
更に、焼灼部位移動領域設定部7は、設定された焼灼部位の重心を算出し、得られた重心を新たなシード点とする領域拡張法を基準呼吸時相に後続する第2の呼吸時相のボリュームデータに適用してこの呼吸時相における焼灼部位を設定する。同様の手順を繰り返すことにより第3の呼吸時相、第4の呼吸時相、第5の呼吸時相、・・・のボリュームデータにおける焼灼部位を設定する(図10のステップS6)。そして、基準呼吸時相(呼気時相)から吸気時相を経て再び呼気時相に至るまでの各呼吸時相にて設定した複数の焼灼部位を合成することにより焼灼部位移動領域を設定する(図10のステップS7)。
一方、3次元画像データ生成部5は、ボリュームデータ記憶部243から読み出した当該患者の基準呼吸時相におけるボリュームデータを処理して3次元画像データを生成し、表示部12は、3次元画像データ生成部5から供給された基準呼吸時相の3次元画像データと焼灼部位移動領域設定部7から供給された基準呼吸時相の焼灼部位情報を合成して自己のモニタに表示する(図10のステップS8)。
表示部12に表示された3次元画像データを観察した操作者は、入力部13の焼灼計画設定部133を用い、この3次元画像データの焼灼部位に対し複数の焼灼位置とこれらの焼灼位置に対する焼灼順序を設定する(図10のステップS9)。
焼灼部位移動領域の設定と焼灼計画の設定が終了したならば、操作者は焼灼部位に対する焼灼を開始するためのコマンド信号を入力部13にて入力し、このコマンド信号がシステム制御部15に供給されることにより当該患者に対する焼灼治療が開始される(図10のステップS10)。
焼灼治療に際し、移動機構制御部10は、システム制御部15から供給される指示信号に基づいて移動制御部11を制御し、焼灼計画にて設定された基準呼吸時相(第1の呼吸時相)の最初の焼灼位置(第1の焼灼位置)に強力超音波の焦点が一致するように超音波照射部3を移動する。次いで、システム制御部15は、振動子駆動部4を制御し第1の焼灼位置に対して強力超音波を照射する。
次に、ボリュームデータ収集部2は、焼灼部位移動領域設定部7によって設定された焼灼部位移動領域に対し上述のステップS3と同様の手順による3次元走査を行なって基準呼吸時相におけるボリュームデータと第2の呼吸時相におけるボリュームデータを収集する(図10のステップS11)。
一方、焼灼部位移動検出部8は、ボリュームデータ収集部2から供給される基準呼吸時相のボリュームデータと第2の呼吸時相のボリュームデータを焼灼部位移動領域の範囲内で比較することによりこれらのボリュームデータにおける焼灼部位の移動情報を検出する(図10のステップS12)。
次に、焼灼位置補正部9は、焼灼部位移動検出部8によって検出された第2の呼吸時相における焼灼部位の移動情報に基づき、基準呼吸時相のボリュームデータを用いた焼灼計画にて予め設定された第1の焼灼位置を補正する(図10のステップS13)。そして、移動機構制御部10は、焼灼位置補正部9からシステム制御部15を介して供給された第2の呼吸時相における補正後の第1の焼灼位置に基づいて移動制御信号を生成し、移動機構部11は、移動機構制御部10から供給された移動制御信号に従って超音波照射部3の位置や方向を更新し第2の呼吸時相にて補正された第1の焼灼位置に対し強力超音波を照射する(図10のステップS14)。
一方、MPR画像データ生成部6は、焼灼中の焼灼部位に対する3次元走査によって収集されたボリュームデータをボリュームデータ生成部24から受信し、予め設定されたMPR断面に対応したボリュームデータのボクセルを抽出してMPR画像データを生成する。次いで、表示部12は、このMPR画像データに強力超音波の焦点位置や焼灼部位の情報を重畳して自己のモニタに表示し、操作者は、焦点位置等の情報が重畳表示されたMPR画像データにより、焼灼位置や焼灼効果等の確認を行なう(図10のステップS15)。
以上述べた手順により第2の呼吸時相にて補正された第1の焼灼位置に対して強力超音波の照射が所定時間行なわれたならば、第3の呼吸時相、第4の呼吸時相、・・・におけるボリュームデータの焼灼部位に対しても同様の手順によって移動情報を検出し、この検出結果に基づいて補正された第1の焼灼位置に対し強力超音波を照射する(図10のステップS11乃至S15)。そして、第1の焼灼位置に対する焼灼が終了したならば、移動機構制御部10は、システム制御部15からの指示信号に基づいて移動機構部11を制御し前記焼灼計画にて予め設定された基準呼吸時相の第2の焼灼位置に強力超音波を照射する。そして、第2の呼吸時相、第3の呼吸時相、・・・において補正された第2の焼灼位置に対し上述と同様の手順によって焼灼を行ない、更に、第3の焼灼位置、第4の焼灼位置、・・・に対しても同様の手順によって焼灼を行なうことにより、焼灼計画にて設定された焼灼部位の全ての領域に対して焼灼治療が行なわれる(図10のステップS16)。
以上述べた本発明の実施例によれば、患者体内の呼吸性移動等に伴なって移動する焼灼部位の移動情報を検出し、この検出結果に基づいて強力超音波の焦点位置を補正しながら焼灼部位に対する焼灼治療を行なう際、焼灼部位が呼吸周期内で移動する領域を焼灼部位移動領域として予め設定し、この焼灼部位移動領域におけるボリュームデータに基づいて焼灼部位の移動情報を検出しているため、短時間かつ正確な移動情報の検出が可能となる。このため、治療対象部位に対する焼灼精度と焼灼効率が改善され、更に、周囲の正常組織に対する安全性が確保される。
即ち、本実施例によれば、焼灼部位に対する効率的な焼灼により腫瘍細胞等を完全な壊死状態にすることができるため、再発の可能性を著しく低減させることができる。又、焼灼部位周辺の正常組織に対する照射障害を抑えることが可能となり、更に、焼灼治療に要する時間が短縮されるため患者や操作者の負担が軽減され治療におけるスループットが向上する。
又、上述の実施例によれば、呼吸性移動が比較的少ない呼気時相を基準呼吸時相に設定し、この基準呼吸時相において収集されたボリュームデータを基準として各時相における焼灼部位の移動情報を順次検出しているため、検出結果に発生する累積誤差を低減させることができ、従って、強力超音波の焦点位置を正確に補正することが可能となる。
更に、当該患者から収集したボリュームデータに基づいて各呼吸時相における焼灼部位の3次元的な移動情報を検出しているため、高い検出精度を得ることができる。
以上、本発明の実施例について述べてきたが、本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく、変形して実施することが可能である。例えば、上述の実施例では、当該患者に対する超音波の3次元走査によって収集したボリュームデータに基づいて焼灼部位の移動情報を検出する場合について述べたが、X線CT装置やMRI装置等の他の画像診断装置によって収集されたボリュームデータを用いて焼灼部位の移動情報を検出してもよい。
又、超音波の3次元走査によってボリュームデータを収集する場合、複数の振動素子が2次元配列された超音波プローブ21によって得られたBモードデータに基づいてボリュームデータを収集する場合について述べたが、これに限定されるものではなく、例えば、カラードプラデータ、あるいはBモードデータとカラードプラデータに基づくボリュームデータであってもよく、これらBモードデータやカラードプラデータは造影剤が投与された当該患者から得られるものであっても構わない。又、複数の振動素子が1次元配列された超音波プローブを機械的に移動させることによって上述のボリュームデータを収集してもよい。
一方、上述の実施例では、基準呼吸時相のボリュームデータに設定されたシード点を起点とする領域拡張法によって治療対象部位の輪郭を抽出し、この輪郭に基づいて焼灼部位を設定する場合について述べたが、このとき得られる治療対象部位の輪郭や焼灼部位の輪郭を球体あるいは回転楕円体等で近似し、これらの形状で形成された焼灼部位に基づいて焼灼部位移動領域を設定してもよい。
又、隣接した呼吸時相における2つのボリュームデータを3次元の各方向に対し順次シフトさせながらボクセル間の差分値を求め、この差分値の絶対値和あるいは2乗和が最小となるシフト方向及びシフト量に基づいてボリュームデータにおける焼灼部位の移動情報を検出する方法(最小差分和法)について述べたが、相互相関法やエントロピー法等の他の方法を用いて焼灼部位の移動情報を検出してもよい。
更に、上述の実施例では、図5に示すように、先行する呼吸時相における焼灼部位の重心を後続する呼吸時相のシード点に設定する場合について述べたが、焼灼部位の移動範囲が焼灼部位の大きさより小さい場合には、基準呼吸時相のボリュームデータに設定されたシード点あるいはその周辺部に新たに設定されたシード点を後続する呼吸時相の各々におけるシード点として用いても構わない。
又、上述の実施例では、MPR画像データ生成部6が生成したMPR画像データに強力超音波の焦点位置情報等を重畳して表示することにより焼灼位置や焼灼効果等の確認を行なう場合について述べたが、3次元画像データ生成部5が生成した3次元画像データに上述の情報を重畳して表示してもよい。
尚、上述の実施例では説明を簡単にするために、隣接した呼吸時相にて収集された2つのボリュームデータを用いて焼灼部位移動領域の設定や焼灼部位移動情報の検出を行なう場合について述べたが、これに限定されるものではなく、異なる呼吸時相において収集されたボリュームデータを用いることにより焼灼部位移動領域の設定や焼灼部位移動情報の検出を行なうことが可能である。