JPH0686778A - 放射線照射装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 患部が内臓にあり被検体の呼吸によって該患
部が動く場合でも、該患部の位置および大きさを正確に
推定でき、これにより該患部に正確に放射線照射を行な
う。 【構成】 呼吸の排気時に撮った複数のスキャノグラム
像からターゲット像を得る第１手段と、この第１手段に
よって得られた各ターゲット像に基づく補間演算によっ
て照射しようとする放射線照射方向におけるターゲット
像Ａを求める第２手段と、呼吸の吸気時に撮った複数の
スキャノグラム像からターゲット像を得る第３手段と、
この第３手段によって得られた各ターゲット像に基づく
補間演算によって照射しようとする放射線照射方向にお
けるターゲット像Ｂを求める第４手段と、前記ターゲッ
ト像Ａとターゲット像Ｂに基づく補間演算によって呼吸
の排気時から吸気時までの間のターゲット像の位置を推
定する第５手段と、この第５手段によって推定されたタ
ーゲット像の位置に放射線を照射する第６手段とを備え
た。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、放射線照射装置に係
り、特に、被検体の患部に放射線を照射する放射線照射
装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の放射線装置は、被検体の患部が
内臓等にある場合、該被検体を固定した状態でその内臓
の位置を推定し、その内臓にターゲットを合わせて放射
線の照射を行なっていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、放射線
照射のターゲットとなる患部である内臓の動きが少ない
場合には問題はないが、被検体の呼吸にともなって該内
臓の動きが大きい場合、その内臓の位置はいうまでもな
く、その大きさが変化する場合にはその大きさすらも推
定することができなかった。

【０００４】このため、このような患部の場合、放射線
照射はできなかったという問題点が残されていた。

【０００５】それ故、本発明はこのような事情に基づい
てなされたものであり、その目的とするところのもの
は、患部が内臓にあり被検体の呼吸によって該患部が動
く場合でも、該患部の位置および大きさを正確に推定で
き、これにより該患部に正確に放射線照射を行なうこと
のできる放射線照射装置を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明による放射線照射装置は、基本的に
は、呼吸の排気時に撮った複数のスキャノグラム像から
ターゲット像を得る第１手段と、この第１手段によって
得られた各ターゲット像に基づく補間演算によって照射
しようとする放射線照射方向におけるターゲット像Ａを
求める第２手段と、呼吸の吸気時に撮った複数のスキャ
ノグラム像からターゲット像を得る第３手段と、この第
３手段によって得られた各ターゲット像に基づく補間演
算によって照射しようとする放射線照射方向におけるタ
ーゲット像Ｂを求める第４手段と、前記ターゲット像Ａ
とターゲット像Ｂに基づく補間演算によって呼吸の排気
時から吸気時までの間のターゲット像の位置を推定する
第５手段と、この第５手段によって推定されたターゲッ
ト像の位置に放射線を照射する第６手段とを備えたこと
を特徴とするものである。

【０００７】

【作用】このように構成した放射線照射装置は、まず、
第１手段および第２手段によって、呼吸の排気時に撮っ
た複数のスキャノグラム像からターゲット像を得、これ
ら各ターゲット像に基づく補間演算によって照射しよう
とする放射線照射方向におけるターゲット像Ａを求め
る。

【０００８】そして、第３手段および第４手段によっ
て、呼吸の吸気時に撮った複数のスキャノグラム像から
ターゲット像を得、これら各ターゲット像に基づく補間
演算によって照射しようとする放射線照射方向における
ターゲット像Ｂを求める。

【０００９】さらに、第５手段によって、前記ターゲッ
ト像Ａとターゲット像Ｂに基づく補間演算によって呼吸
の排気時から吸気時までの間のターゲット像の位置を推
定し、第６手段によって、推定されたターゲット像の位
置に放射線を照射する。

【００１０】このようなことから、呼吸の排気時から吸
気時までの間のターゲット像の位置はもちろんのこと、
その大きさをも推定できることから、これにより患部に
正確に放射線照射を行なうことができるようになる。

【００１１】

【実施例】図２は、本発明による放射線照射装置の一実
施例を示す外観構成図である。

【００１２】同図において、被検体１があり、この被検
体１はベッド２上に横臥されている。被検体１の上方に
はガントリ３が配置され、このガントリ３の一部からは
放射線が該被検体１側に照射される照射口３Ａが設けら
れている。

【００１３】なお、前記ベッド２およびガントリ３は、
それぞれ、前記被検体１の所定の箇所に放射線を照射で
きるように、回転を主とした駆動がなされるようになっ
ている。

【００１４】次に、このような放射線照射装置に組み込
まれる制御装置（ＣＰＵ）の動作フローを図１に基づい
て説明する。この動作フローは、ステップ１．ないしス
テップ８．で構成されている。

【００１５】ステップ１．排気時のスキャノグラム像を
得る。このスキャノグラム像はたとえば次のようにして
得る。

【００１６】図３（ａ）および（ｂ）は、前記被検体１
がＸ線ＣＴ装置１０のベッド１２上に横臥している状態
を示す図である。図中１３はＸ線管が内包されているガ
ントリ１３を示している。このガントリ１３は、（ａ）
に示すように、垂直方向にＴｇのように傾斜でき、また
ベッド１２は、（ｂ）に示すように、Ｔ’ｇのように角
度移動ができるようになっている。

【００１７】このようなＸ線ＣＴ装置１０を用いて、被
検体１に対してＸ線管の位置を、図４に示すように異な
らしめて、スキャノグラム像を得る。図４において、Ｐ
１はＸ線管が真上にあるとき、Ｐ３はＸ線管が側面にあ
るときを示している。また、ガントリ１３を図３（ａ）
のように傾斜すると、Ｘ線管をＰ４の箇所に、ベッド１
２を図３（ｂ）のように角度移動させると、Ｘ線管をＰ
６の箇所に位置づけることができる。

【００１８】このようにＸ線管の各位置におけるＸ線照
射によって、複数のスキャノグラム像を得る。

【００１９】ステップ２．輪郭像を抽出する。ステップ
１．によって得られた各スキャノグラム像をＣＲＴ等に
映像させ、そのターゲット部（放射線を照射しようとす
る患部）を、たとえばマウス等でなぞることにより抽出
する。

【００２０】このようにして、それぞれのスキャノグラ
ム像から得たターゲット部の輪郭像は、その視点をも考
慮すると、図５に示す関係で輪郭像５１ないし５４が得
られるようになる。

【００２１】ステップ３．任意角度の輪郭像を補間演算
により求める。この場合の任意角度とは、後に放射線を
照射しようとする場合の該放射線照射角度をいい、予め
設定されているものである。

【００２２】図５に示す輪郭像５１ないし５４を基にし
て、該任意角度を視点とした輪郭像５６を補間演算によ
り求める。

【００２３】この補間演算の手順としては、図６（ａ）
ないし（ｃ）に示すように、まず（ａ）のように輪郭像
５１と５３とで輪郭像を形成し、次に、（ｂ）のように
輪郭像５２と５４とで輪郭像を形成し、（ｃ）に示すよ
うに、（ａ）で求めた輪郭像と（ｂ）で求めた輪郭像と
で輪郭像５６を求める。

【００２４】この補間演算としては、たとえば、前記の
抽出点を曲座標（ｒ，θ）に変換し、同じθのものどお
しでｒを補間演算するようにすればよい。補間係数は、
図５に示すψ１、ψ２、φ１、φ２により求めるように
する。

【００２５】ステップ４．吸気時のスキャノグラム像を
得る。上述したステップ１．と同様の方法を用いて得
る。

【００２６】ステップ５．輪郭像を抽出する。上述した
ステップ２．と同様の方法を用いて得る。

【００２７】ステップ６．任意角度の輪郭像を補間演算
により求める。上述したステップ３．と同様の方法を用
いて得る。

【００２８】ステップ７．ステップ３．にて求めた輪郭
像とステップ６．にて求めた輪郭像とから補間演算によ
り呼吸の任意タイミングにおける輪郭像を求める。

【００２９】図７（ａ）は、被検体１を背景として排気
時のターゲット像２８Ａと吸気時のターゲット像２８Ｂ
との関係を示したものである。

【００３０】この画像の座標表示を曲座標（ｒ，θ）に
変換して、同じθものどうしで補完する。吸気時にｒ＝
Ｒ’、排気時にｒ＝Ｒであったとすると、任意のタイミ
ングにおいて、たとえば、

【００３１】

【数１】 ｒ＝（δｒ／ｒ’）＊Ｒ’＋（（ｒｌ−δ）／ｒｌ）＊Ｒ ……（１） となる。

【００３２】ここで、δｒは呼吸時の変位、ｒｌは排気
時と吸気時の変位差である。

【００３３】ステップ８．放射線の照射時にガントリ角
度、呼吸信号に対応する輪郭像の位置と形状を推定す
る。

【００３４】ステップ７．にて呼吸時の変位δｒ、およ
び排気時と吸気時の変位差ｒｌを時間に対応させること
によって、吸気時から開始した時間で、放射線を照射し
ようとする患部であるターゲット像の位置と大きさとを
推定することができる。

【００３５】このような実施例によれば、まず、呼吸の
排気時に撮った複数のスキャノグラム像からターゲット
像（輪郭像）を得、これら各ターゲット像に基づく補間
演算によって照射しようとする放射線照射方向における
ターゲット像Ａを求めるようになっている。

【００３６】そして、呼吸の吸気時に撮った複数のスキ
ャノグラム像からターゲット像（輪郭像）を得、これら
各ターゲット像に基づく補間演算によって照射しようと
する放射線照射方向におけるターゲット像Ｂを求めるよ
うになっている。

【００３７】さらに、前記ターゲット像Ａとターゲット
像Ｂに基づく補間演算によって呼吸の排気時から吸気時
までの間のターゲット像の位置を推定し、推定されたタ
ーゲット像の位置に放射線を照射するようになってい
る。

【００３８】このようなことから、呼吸の排気時から吸
気時までの間のターゲット像の位置はもちろんのこと、
その大きさをも推定できることから、これにより患部に
正確に放射線照射を行なうことができるようになる。

【００３９】上述した実施例では、患部の大きさの変化
をも推定できるようになっているが、たとえば照射ター
ゲットが球に近いような場合には、その大きさはほとん
ど変化せず、重心が移動するにすぎない。このような場
合には、正面像と側面像のみを用いて重心の位置（ｘ，
ｙ，ｚ）のみを補間演算によって求めるようにしてもよ
い。

【００４０】

【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
本発明による放射線照射装置によれば、患部が内臓にあ
り被検体の呼吸によって該患部が動く場合でも、該患部
の位置および大きさを正確に推定でき、これにより該患
部に正確に放射線照射を行なうことができるようにな
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による放射線照射装置に組み込まれる制
御装置（ＣＰＵ）の動作フロー図である。

【図２】本発明による放射線照射装置の一実施例を示す
外観構成図である。

【図３】（ａ）および（ｂ）は、本発明による放射線装
置の一実施例を示すために必要なスキャノグラム像を得
るためのＸ線ＣＴ装置を示した図である。

【図４】図３に示すＸ線ＣＴ装置によってスキャノグラ
ム像を得る視点について説明する図である。

【図５】視点の位置関係を背景にスキャノグラム像から
ターゲット像を得る説明図である。

【図６】ターゲット像を得るための補間演算の手順を示
した説明図である。

【図７】排気時のターゲット像と吸気時のターゲット像
とから補間演算によってその過程のターゲット像の位置
と大きさを推定する説明図である。

【符号の説明】

１ 被検体 ５１〜５４ 輪郭像 ５６ ターゲット像

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 呼吸の排気時に撮った複数のスキャノグ
   ラム像からターゲット像を得る第１手段と、この第１手
   段によって得られた各ターゲット像に基づく補間演算に
   よって照射しようとする放射線照射方向におけるターゲ
   ット像Ａを求める第２手段と、呼吸の吸気時に撮った複
   数のスキャノグラム像からターゲット像を得る第３手段
   と、この第３手段によって得られた各ターゲット像に基
   づく補間演算によって照射しようとする放射線照射方向
   におけるターゲット像Ｂを求める第４手段と、前記ター
   ゲット像Ａとターゲット像Ｂに基づく補間演算によって
   呼吸の排気時から吸気時までの間のターゲット像の位置
   を推定する第５手段と、この第５手段によって推定され
   たターゲット像の位置に放射線を照射する第６手段とを
   備えたことを特徴とする放射線照射装置。