JP4342167B2 - 超音波照射装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体に向けて超音波を照射する超音波照射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、最小侵襲治療と呼ばれる治療法が注目を集めており、悪性腫瘍治療の分野においても最小侵襲治療への積極的な試みが行なわれている。特に、悪性腫瘍の場合、その治療の多くを外科的手術に頼っているが、従来の外科的手術による治療、即ち、広範囲の組織切除を行なう場合には、その臓器がもつ本来の機能や外見上の形態を大きく損なう場合が多く、たとえ生命を長らえたとしても患者に対して多大な負担を与えることになる。このような従来の外科的治療に対してQOL(quality-of-life)を考慮した最小侵襲治療装置の開発が強く望まれており、その1つの方法として、腫瘍組織に対して強力な超音波を集束させることによって加熱し、熱変性壊死(焼灼)させる超音波照射装置の開発が進められている。
【0003】
超音波照射装置を用いて、肝臓癌のように体内の比較的深部にある臓器に対する治療を行なう場合には、治療に十分な超音波エネルギーを確保するために大型の強力超音波発生部を用いる必要があり、このとき発生する強力超音波は直径1mm〜3mmの集束領域に集中して照射される。このような超音波照射法においては、直径が5mm〜10mmの腫瘍領域全体を一様なエネルギーで加熱することが要求される。
【0004】
即ち、腫瘍の大きさに比較して強力超音波の焦点は小さいために、腫瘍領域全体を強力超音波ビームで走査しながら一様に加温する方法が採られている。例えば、強力超音波の発生部を、4〜24個のアニュラアレイ型の電気音響変換素子(以下では変換素子と呼ぶ)で構成し、これらの変換素子を駆動する駆動信号に適当な遅延位相を与えることによって、強力超音波を所定の深さの照射部位に集束させて照射する方法がある。また、このアニュラアレイ型変換素子を更に細分割し、分割された夫々の変換素子に与える駆動信号の遅延位相を制御することによってその集束領域の位置や幅を制御する、所謂フェーズドアレイ技術を適用した方法がある。一方,上述の超音波照射装置においては、照射しようとする腫瘍に対して照射位置(即ち強力超音波の集束点の位置)が適当であるか否かをモニタリングするための超音波イメージング装置が併用されてきた。
【0005】
図14は従来の超音波照射装置を示したものであり、この超音波照射装置120は、超音波映像部90と強力超音波を照射する超音波照射部91とを備え、前記超音波映像部90は、腫瘍などの照射対象部位における超音波画像を得るためにイメージング用超音波の送受信を行なう超音波プローブ92と、この超音波プローブ92に対して送信信号を供給し、また、超音波プローブ92から得られる受信信号から超音波画像データを生成する超音波送受波部93を備えている。
【0006】
一方、超音波照射装置120の超音波照射部91は、強力超音波を照射する圧電振動子94を有したアプリケータ95と、このアプリケータ95の圧電振動子94を駆動する振動子駆動部96とを備えている。
【0007】
このような構成の超音波照射装置120では、イメージング用の超音波プローブ92により、被検体51の腫瘍52に対して超音波が送受信され、この腫瘍52の部位を含んだ超音波画像の表示が行われる。更に、この超音波プローブ92に一体化された強力超音波照射用の圧電振動子94によって形成される集束点53の位置がマーカとして前記超音波画像上に表示されるため、超音波画像上の腫瘍52の位置に前記マーカを一致させることによって確実な超音波照射が可能となる(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
一方、超音波を用いた遺伝子導入の研究も行われつつある。超音波による遺伝子導入法は癌腫瘍の治療などを目的として検討が進められており、細胞の核内に入ると新たなたんぱく質を形成する遺伝子を組み込んだプラスミドを腫瘍内に注入し、この腫瘍に超音波を照射することによって遺伝子の核内侵入を促進させる方法である。このとき、超音波の波動としての性質である集束特性を利用することによって標的領域への集中的な遺伝子導入が可能となる。(例えば、非特許文献1参照。)。
【0009】
【特許文献1】
特開平6−78930号公報(第3−4頁、第1−3図)
【0010】
【非特許文献1】
古幡博、馬目佳信“超音波遺伝子導入の展開”、BME、日本ME学会、平成14年7月10日、vol16、no7、p.3−7
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、乳癌のように体表近傍に位置する腫瘍の治療に前記特許文献1記載の技術を適用する場合、超音波プローブ92の近傍領域に強力超音波を照射することが困難となる。また、遺伝子導入の場合には操作性に優れたアプリケータ95が望ましく、また体表近傍領域においても画像化領域と照射領域とを一致させることができる超音波照射装置が望まれていた。
【0012】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、強力超音波を生体内に照射する際、照射部位を常に超音波画像上で観察しながら強力超音波による照射を行なうことにより、信頼性に優れた超音波照射が可能な超音波照射装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る本発明の超音波照射装置は、複数個の変換素子が2次元配列された変換素子群を有する超音波プローブと、前記変換素子群の中から離散的に選択した複数個のイメージング用変換素子に対してイメージング用超音波の送受信を行ない、得られた受信信号に基づいて画像データを生成する超音波イメージング手段と、前記画像データを表示する表示手段と、前記変換素子群の中から選択した前記イメージング用変換素子とは異なる複数個の照射用変換素子に対し強力超音波照射用の駆動信号を供給する変換素子駆動手段とを備え、前記複数個のイメージング用変換素子と前記複数個の照射用変換素子は混在して配列されることを特徴としている。
【0015】
従って、本発明によれば、超音波照射部位を画像化する際に、照射部位の位置によらずに画像化が可能となるため正確な照射が可能となり、しかも操作性に優れた超音波照射装置を提供できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態につき図1乃至図10を用いて説明する。
【0017】
この実施の形態で述べる超音波照射装置は、腫瘍の焼灼や遺伝子導入を目的とした強力超音波の照射とイメージング用超音波の送受信を、同一の超音波プローブによって行なうことを目的として構成されており、その特徴は、前記超音波プローブが有する複数の電気音響変換素子(以下変換素子と呼ぶ)の中から、イメージング用の変換素子と照射用の変換素子を選択して用いることにある。
【0018】
なお、遺伝子導入に使用される超音波の強度はイメージング用超音波と比較して著しく大きいとは限らないが、以下では、イメージング用超音波と区別するために強力超音波と呼び、この強力超音波の照射に用いられる変換素子を照射用変換素子と呼ぶ。
【0019】
図1乃至図5を用いて本発明の実施の形態における超音波照射装置100の構成を説明する。図1は、超音波照射装置100の概略構成を示すブロック図であり、図2及び図3は、この超音波照射装置100の構成要素の1つである超音波プローブ22が備える2次元アレイの変換素子41を示す。なお、以下では、腫瘍の焼灼に本発明の超音波照射装置を適用した場合の実施の形態について述べるが、遺伝子導入を目的とした場合においても同様の装置構成、及び手順によって超音波照射を行うことが可能である。
【0020】
超音波照射装置100は、被検体1の腫瘍2に対して強力超音波を照射するとともに、この照射領域のモニタリングを目的とした超音波画像データを収集する超音波プローブ22と、この超音波プローブ22に2次元配列された変換素子41の中から選択された照射用の変換素子41に対して、強力超音波照射用の駆動信号を供給する変換素子駆動部13と、前記2次元配列された変換素子41の中から選択されたイメージング用の変換素子41に対して送受信信号を供給して、強力超音波が照射される腫瘍2の画像化を行う超音波イメージング装置14と、前記超音波プローブ22と一体化され、被検体1に対する超音波送受信の仲介を行うアプリケータ11とを備えている。
【0021】
更に、超音波照射装置100は、超音波イメージング装置14によって生成される画像データを表示する表示部16と、患者IDや照射条件、更には腫瘍2の形状や大きさなどの情報を入力する操作部17と、上記各ユニットを統括的に制御するシステム制御部19を備えている。
【0022】
超音波プローブ22は、被検体1の腫瘍2に対しての強力超音波の照射や、腫瘍2の超音波画像データの収集を行うための変換素子41を備え、その先端部は、アプリケータ11の上部に取り付けられている。
【0023】
一方、アプリケータ11の内部には、超音波プローブ22から被検体1に対し、強力超音波の照射やイメージング用超音波の送受信を効率良く行うためのカップリング液23を備え、このカップリング液23には脱気水が用いられている。また、アプリケータ11の被検体1との接触部は、被検体1やカップリング液23とほぼ等しい音響インピーダンスと可撓性を有した高分子材料で構成されるカップリング膜24が設けられている。即ち、超音波プローブ22から照射される強力超音波やイメージング用超音波は、被検体1とほぼ等しい音響特性を有するカップリング液23や、カップリング膜24を介し被検体1に対して送受信される。
【0024】
上述のような照射用超音波発生機能、及びイメージング用超音波送受信機能を有した超音波プローブ22には、図2に示すように2次元にNX個配列された変換素子41が設けられ、この変換素子41は、同一平面上においてX方向にPx個、またY方向にPy個が間隔dx、dyで配列されている。例えば、縦10mm、横10mmの範囲において、Px=Py=31の変換素子41を配列間隔dx=dy=0.32mmで配列し、これらの変換素子41の中からイメージング用変換素子41jとして、Ntr=9個の送受信兼用変換素子41aと、Nt1=112個の送信専用変換素子41bと、Nr1=112個の受信専用変換素子41cとが図2のように選択される。
【0025】
即ち、Nx=961個の変換素子41の中からNt=Ntr+Nt1=121個の変換素子41a及び41bが送信用の変換素子41として用いられ、同様にして、Nr=Ntr+Nr=121個の変換素子41a及び41cが受信用の変換素子41として用いられる。このように2次元に配列された変換素子41の中から1部の変換素子41を選択して送受信兼用変換素子41aや送信専用変換素子41b、あるいは受信専用変換素子41cとして使用する方法は、従来よりスパースアレイ法として知られている。
【0026】
本実施の形態では、上記のスパースアレー型の変換素子41を使用した場合に、イメージング用変換素子41jとして使用していない変換素子41の中から照射用変換素子41dを選択する。但し、通常は照射用超音波を集束させる場合の位相精度はイメージング用超音波の場合より低くてもよいため、近接した複数の照射用変換素子41dは共通接続して照射用変換素子群41eを形成する。照射用変換素子41dの共通接続によって、変換素子駆動部13の駆動チャンネル数を大幅に低減することができる。なお、前記照射用変換素子41dやイメージング用変換素子41jはいずれも共振周波数が3MHzの圧電体から構成されている。
【0027】
図3(b)は図2に示したスパースアレイ型変換素子41の破線枠内50a(図3(a))において、照射用変換素子41cが図4の電極42aによって共通接続されて形成される照射用変換素子群41eを示す。即ち、イメージング用変換素子41jとして使用されない変換素子41の全て、あるいは1部が選択されて形成される照射用変換素子41dは、電極42aによってN個の照射用変換素子群41eに纏められる。この場合の照射用変換素子群41eの面積は外側ほど小さくすることが望ましい。これは、照射用変換素子群41eに所定の遅延位相を有した駆動信号を供給して強力超音波を腫瘍2に集束させる際、特に外側の照射用変換素子群41eから照射される超音波波面の位相誤差を低減することによってサイドローブによる腫瘍2以外への照射を防止するためである。
【0028】
図4(b)は、図3に示した変換素子41の破線枠内50b(図4(a))のA−A断面における変換素子41と、その周辺の構造の断面図を示す。即ち、圧電セラミックスなどを用いた変換素子41の第1の面(上面)及び第2の面(下面)には駆動信号を供給するための電極42a、42bがそれぞれ装着され、電極42aは支持台43に固定されている。また他の電極42bには強力超音波の照射を効率良く行うための音響マッチング層44が設けられ、更にその表面は保護膜45によって覆われている。
【0029】
イメージング用の変換素子41b、41c、そして図示されない41aのそれぞれに装着された電極42aは、信号線46によって超音波イメージング装置14の超音波送信部61、あるいは超音波受信部62に接続される。また、照射用変換素子41dに装着された電極42aは、図3(b)に示すように所定の領域内で共通接続して図示しないN個の照射用変換素子群41eを形成し、その各々は信号線47によって変換素子駆動部13に接続される。一方、電極42bは共通接続されて超音波照射装置100の接地端子に接続される。
【0030】
図1の変換素子駆動部13は、超音波プローブ22より腫瘍2に向けて強力超音波を照射するために、照射用変換素子群41eに駆動信号を供給する駆動部であり、照射用変換素子群41eの厚みによって決定される共振周波数に対応した周波数(3MHz)の連続波を発生するCW発生器33と、この連続波に所定の遅延位相を与える遅延回路34と、前記連続波を増幅するRFアンプ35と、RFアンプ35の出力信号を照射用変換素子群41eに効率良く供給するためにインピーダンスマッチングを行なうマッチング回路36と、前記CW発生器33の出力を制御するCW発生制御回路32を備えている。なお、超音波プローブ22の照射用変換素子群41eがN個の場合には、遅延回路34やRFアンプ35、更には、マッチング回路36はNチャンネル分設けられる。
【0031】
遅延回路34は、超音波プローブ22におけるN個の照射用変換素子群41eが照射する強力超音波を所定の照射位置に集束させるために、前記照射用変換素子41eの駆動信号に所定の遅延位相を設定する。尚、遅延位相の大きさは各々の照射用変換素子群41eの中心位置や焦点距離、あるいは照射方向によって一義的に決定される。
【0032】
次に、超音波イメージング装置14の構成につき図5を用いて説明する。
【0033】
超音波イメージング装置14は、被検体1に対して超音波を放射するために、超音波プローブ22のイメージング用変換素子41jの中の送受信兼用変換素子41a、あるいは送信専用変換素子41bに対して駆動信号を供給する超音波送信部61と、被検体1からの受信超音波を超音波プローブ22のイメージング用変換素子41jの中の送受信兼用変換素子41a、あるいは受信専用変換素子41cを介して受信する超音波受信部62と、この受信信号に基づいて超音波画像データを生成する画像データ生成部63と、この画像データを保存する画像データ記憶部64を備えている。
【0034】
超音波送信部61は、レートパルス発生器66と、送信遅延回路67と、パルサ68を備えている。レートパルス発生器66は、被検体1に放射する超音波パルスの繰り返し周期を決定するレートパルスを発生して送信遅延回路67に供給する。送信遅延回路67は、前記送信用の変換素子41(即ち、送受信兼用変換素子41aと送信専用変換素子41b)の合計数と同じNt=121チャンネルの独立な遅延回路67から構成され、所定の深さに超音波を集束するための遅延時間と、所定の方向に超音波を偏向するための遅延時間を前記レートパルスに与え、このレートパルスをパルサ68に供給する。パルサ68は、Ntチャンネルの独立な駆動回路を有しており、超音波プローブ22に内蔵された送受信兼用変換素子41a、及び送信専用変換素子41bを駆動するための高電圧駆動パルスを生成する。
【0035】
超音波受信部62は、プリアンプ69と、受信遅延回路70と、加算器71とを備えている。プリアンプ69は、Nr=121個の受信用の変換素子41(即ち、送受兼用変換素子41aと受信専用変換素子41b)と同数のチャンネル数を有し、前記受信用の変換素子41によって電気信号に変換された微小信号を増幅し、十分なS/Nを確保する。受信遅延回路70はNrチャンネルから構成され、所定の深さからの超音波を集束するための集束用遅延時間と、超音波ビームの受信指向性を制御して被検体1を走査するための偏向用遅延時間をNrチャンネルのプリアンプ69の出力に与えた後、加算器71に送り、加算器71はNrチャンネルの受信信号を加算して1つに纏める。
【0036】
画像データ生成部63は、フィルタ回路72、対数変換器73、包絡線検波器74、A/D変換器75とを備えている。フィルタ回路72は、例えばバンドパスフィルタから構成され、受信信号成分の中から画像データ生成に必要な帯域の信号成分のみを抽出することによって画像のS/N改善を行う。対数変換器73は、受信信号の振幅を対数変換し、弱い信号を相対的に強調する働きをしている。一般に被検体1からの受信信号は、80dB以上の広いダイナミックレンジをもった振幅を有しており、これを20dB程度のダイナミックレンジをもつ通常のテレビモニタに表示するためには、弱い信号を強調する振幅圧縮が必要となる。
【0037】
包絡線検波器74は、対数変換された受信信号に対して包絡線検波を行い、超音波周波数成分を除去して振幅のみを検出する。A/D変換器75は、この包絡線検波器74の出力信号をA/D変換して超音波画像データを生成する。
【0038】
画像データ記憶部64は、画像データ生成部63において生成される超音波画像データを一旦保存する記憶回路であり、超音波の送受信方向を変更しながら得られるデータは、この画像データ記憶部64において順次保存され、2次元あるいは3次元の画像データが生成される。
【0039】
図1の表示部16は、図示しない表示回路と液晶やCRTのモニタを備えており、超音波プローブ22のイメージング用変換素子41j、及び超音波イメージング装置14によって得られる超音波画像が表示される。更に、この超音波画像上には、操作者が操作部17のマウス、あるいはキーボードなどを用いて入力する腫瘍2の中心位置や輪郭線、更には、この輪郭線を回転楕円近似等によって変換した図形などの腫瘍情報が重畳して表示される。また、この腫瘍情報に基づいた照射計画において設定される照射位置についても超音波画像上に表示することが可能である。
【0040】
なお、前記表示回路は1枚分の超音波画像データ、あるいは、この超音波画像データの付帯情報である数字や各種文字などを一旦保存する記憶回路と、この超音波画像データや付帯情報をアナログ信号に変換するD/A変換器と、このアナログ信号をTVフォーマット変換して映像信号を生成するフォーマット変換回路などから構成される。
【0041】
操作部17は、操作パネル上にキーボード、トラックボール、マウス等を備え、患者情報、腫瘍2の位置や輪郭などの腫瘍情報、同一部位における照射時間などの照射情報、更には、種々のコマンド信号を操作者が入力するために用いられる。
【0042】
システム制御部19は、図示しないCPUと記憶回路を備え、操作部17からのコマンド信号に従って各ユニットの制御やシステム全体の制御を統括して行う。特に、内部のCPUには、操作部17を介して操作者から送られてくる種々のコマンド信号や装置条件等が保存される。
【0043】
また、このシステム制御部19は、操作部17から入力される腫瘍2の位置や大きさの情報を読み取り、その外形を、例えば回転楕円近似法等により求めて表示部16のモニタ上に表示する。次いで、上記方法によって求めた腫瘍2の形状に基づいて、照射位置の軌跡や照射間隔などの照射計画を設定する。また、前記照射位置に強力超音波の集束点を設定するために、変換素子駆動部13の遅延回路34における遅延位相を設定し、更に、前記照射位置の超音波画像を得るために、超音波イメージング装置14の送信遅延回路67、及び受信遅延回路70における遅延時間を設定する。
【0044】
次に、本実施の形態における超音波照射の手順を図1〜図10を用いて説明する。但し、図6は照射手順のフローチャートを示す。
【0045】
操作者は、まず操作部17において強力超音波の照射強度や、1つの照射位置における照射時間などの照射条件を設定し、これらの情報をシステム制御部19の記憶回路に保存する(図6のステップS1)。次いで、操作者は、被検体1の体表面上において、腫瘍2の観察に最適と思われる位置にアプリケータ11を設定する。この場合、超音波イメージング装置14を予め動作状態にしておき、イメージング用変換素子41jによって得られる超音波画像を観測しながらアプリケータ11の最適な位置の設定を行う(図6のステップS2)。
【0046】
次に、超音波イメージング装置14による画像生成手順につき図5を用いて説明する。被検体1へのイメージング用超音波の送信に際して、超音波送信部61のレートパルス発生器66はシステム制御部19からの制御信号に従い、被検体1に放射する超音波パルスの繰り返し周期を決定するレートパルスを送信遅延回路67に供給する。
【0047】
送信遅延回路67は、イメージング用の送信超音波を所定の深さに集束するための遅延時間と、所定の方向(例えば、超音波プローブ22の中心軸(Z軸)に対してφ1度、X軸に対してη1度の方向)に超音波を送信するための遅延時間をレートパルスに与え、このレートパルスをパルサ68に供給する。パルサ68は超音波プローブ22の送受信兼用変換素子41a、及び送信専用変換素子41bに対して駆動信号を供給し、被検体1の[φ1、η1]方向に超音波パルス(送信超音波)を放射する。このとき前記パルサ68においては、3MHzの共振周波数を有する送受兼用変換素子41a、及び送信専用変換素子41bを駆動するための駆動信号が形成される。
【0048】
被検体1に放射された中心周波数3MHzの送信超音波の一部は、音響インピーダンスの異なる被検体1の臓器境界面あるいは組織内にて反射し、超音波プローブ22の送受信兼用変換素子41a、及び受信専用変換素子41cによって受信されて電気信号に変換される。この受信信号はプリアンプ69にて増幅され、受信遅延回路70に送られる。
【0049】
受信遅延回路70は、所定の深さからの超音波を集束して受信するための遅延時間と、所定の方向[φ1、η1]に強い受信指向性をもたせて受信するための遅延時間を受信信号に与えた後、加算器71へ送る。加算器71はプリアンプ69、受信遅延回路70を介して入力される複数の受信信号を加算合成し、1つの受信信号に纏めた後、画像データ生成部63へ供給する。
【0050】
加算器71の出力は画像データ生成部63のフィルタ回路72において受信信号成分の中から画像データの生成に必要な周波数成分を抽出し、フィルタ回路72の出力は対数変換器73、包絡線検波器74、A/D変換器75において、対数変換、包絡線検波、A/D変換がなされ、画像データ記憶部64に一旦保存される。
【0051】
次に、超音波の送受信方向をZ軸方向に対してΔφずつ、あるいはX軸方向にΔηずつ順次更新させながら[φ1、η1]の場合と同様な手順で超音波の送受信を行なう。即ち、システム制御部19は、送信遅延回路67及び受信遅延回路70の遅延時間を前記超音波送受信方向に対応させて順次切り替えながら、3次元走査を行ない3次元画像データを収集する。
【0052】
次いで、システム制御部19は、上記手順によって得られた3次元画像データを画像データ記憶部64において順次保存し、所定の範囲の走査が終了した時点で所定の断面についての2次元画像データ、あるいは3次元画像データを表示部16において表示する。
【0053】
図7は、図3に示した9個の送受信兼用変換素子41aと、112個の送信専用変換素子41bと、121個の受信専用変換素子41cを用いた場合、距離50mmの集束点における得られる音場特性の計算機シミュレーション結果を示したものであり、この音場特性は、イメージング用変換素子41jによって得られる超音波画像の空間分解能に対応している。
【0054】
図7のスパースアレイ型の変換素子41によれば、矢印で示した所定部位においてイメージング用超音波を集束させて送受信した場合、所望の空間分解能ΔX=3mmを得ることができ、しかもサイドローブを−40dB以下に抑えることが可能である。即ち、図3に示したスパースアレイ型の変換素子41では、全素子数Nx=961の中から送信用及び受信用の変換素子41をそれぞれ11個づつ用いることによって、イメージングにおける空間分解能を損なうことなく送信チャンネル数、及び受信チャンネル数を約1/8に低減して3次元走査を行なうことが可能である。
【0055】
上記の性能を有したスパースアレイ型のイメージング用変換素子41jによって得られる3次元画像データを表示する方法として、3次元画像表示や複数枚の2次元画像表示などの方法があるが、以下では互いに直交する2枚の2次元画像を用いた照射位置の設定方法について述べる。
【0056】
図8は、上記のステップS2において、表示部16のモニタ上に表示される超音波画像を示したものである。システム制御部19は、超音波プローブ22のイメージング用変換素子41jによって得られた3次元画像データの中から、例えばX方向の断面(X−Z平面)と、Y方向の断面(Y−Z平面)における2枚の2次元画像データを選択し、表示部16にて表示する。
【0057】
操作者は、2枚の超音波画像に表示されている腫瘍2に対し、操作部17のマウスを用いて腫瘍像の輪郭を描く(図6のステップS3)。次いで、システム制御部19のCPUは、入力された腫瘍輪郭情報に対して回転楕円近似等を行って輪郭線3を表示するとともに、この2つの輪郭線3で近似した腫瘍2の位置や大きさ等の情報をシステム制御部19の記憶回路に保存する。
【0058】
次に、システム制御部19は、回転楕円体で近似された腫瘍2の領域を均一に照射するため、超音波プローブ22の照射用変換素子41dから照射される強力超音波の焦点の3次元的な移動範囲とその移動軌跡を設定する(図6のステップS4)。
【0059】
このような手順により、照射用変換素子群41eによる腫瘍2の照射計画、即ち、強力超音波の焦点の移動範囲と移動軌跡の設定が完了したならば、システム制御部19は、照射計画設定完了の表示を表示部16のモニタ上、あるいは操作部17の操作パネル上に表示する。そして操作者は、この設定完了を確認した後、操作部17より強力超音波照射開始のコマンド信号を入力する(図6のステップS5)。
【0060】
前記コマンド信号を読み取ったシステム制御部19は、照射計画にて設定された最初の照射位置g1(r1、φb1,ηb1)を含む断面において超音波走査を行なうために必要な遅延時間をイメージング用変換素子41jの各々に対応して算出する。なお、上記照射位置g1の座標は図9に示すように、超音波プローブ22の超音波送受信面の中心を原点g0とし、超音波プローブ22の中心軸をZ軸とした極座標によって設定されており、r1は原点g0から照射位置g1までの距離、φb1及びηb1は原点と前記照射位置を結ぶ線分がZ軸及びX軸となす角度を表している。
【0061】
次に、超音波イメージング装置14の超音波送信部61を構成する送信遅延回路67に対して送信用の遅延時間を、また、超音波受信部62を構成する受信遅延回路70に対して受信用の遅延時間を設定する。そして、超音波送信部61のレートパルス発生器66のレートパルスは、送信遅延回路67においてイメージング用の送信超音波を所定の距離r1に集束するための遅延時間と、照射位置g1を含む断面内で2次元の超音波走査を行うための遅延時間が与えられ、パルサ68に供給される。次いでパルサ68は、超音波プローブ22の送受信兼用変換素子41aと送信専用変換素子41bに対して所定の遅延時間を有した駆動信号を順次供給し、中心周波数3MHzの送信超音波を放射して前記断面内での走査を行う。
【0062】
被検体1に放射された超音波パルス(送信超音波)の一部は、音響インピーダンスの異なる被検体1の内部にて反射し、超音波プローブ22の前記送受信兼用変換素子41a、及び受信専用変換素子41cによって受信されて電気信号に変換される。この受信信号はプリアンプ69にて増幅され、受信遅延回路70に送られる。
【0063】
受信遅延回路70は、送信遅延回路67に対応して、前記断面を走査するための受信遅延時間を超音波プローブ22の送受信兼用変換素子41a、あるいは受信専用変換素子41cから得られる受信信号に与える。この受信遅延回路70の出力は加算器71にて合成された後、画像データ生成部63に送られて画像データが生成され、この画像データは画像データ記憶部64において一旦保存された後、表示部16において表示される(図6のステップS6)。なお、照射位置g1を含む断面の設定については特に限定されないが、画像データを短時間で収集するためには、前記照射位置g1と原点g0を含む断面における超音波走査が好適である。
【0064】
次いで、システム制御部19は、前記照射位置g1(r1、φb1,ηb1)に3MHzの強力超音波を照射するために、N個の照射用変換素子群41eに与える駆動信号の遅延位相を算出し、その結果を変換素子駆動部13の遅延回路34に供給する。
【0065】
遅延回路34は、前記システム制御部19から与えられる遅延位相情報に基づいて、CW発生器33より供給される3MHzの駆動信号に対してN種類の遅延時間を設定する。次いで、これらNチャンネルの駆動信号は、RFアンプ35やマッチング回路36を介してN個の照射用変換素子群41eに供給され、この照射用変換素子41eは前記駆動信号によって駆動されて最初の照射位置g1(r1、φb1,ηb1)に対して3MHzの強力超音波を照射する(図6のステップS7)。
【0066】
このようにして、腫瘍2における第1の照射位置g1は照射用変換素子群41eから照射される強力超音波によって照射が行われ、この照射中の腫瘍2の状況は超音波画像によって観察される(図6のステップS8)。
【0067】
腫瘍2の第1の照射位置g1(r1、φb1,ηb1)に対する照射が所定時間行われたならば、システム制御部19は、照射計画にて予め設定された第2の照射位置g2(r2、φb2,ηb2)を含む断面の2次元画像データを収集するために、超音波イメージング装置14の超音波送信部61を構成する送信遅延回路67に所定の送信遅延時間を設定する。そして、超音波送信部61のパルサ68の出力は、前記送信遅延回路67において所定の送信遅延時間が与えられ、送受信兼用変換素子41a、あるいは送信専用変換素子41bに供給されて送信超音波を放射する。
【0068】
同様にして、超音波イメージング装置14の超音波受信部62は、前記断面を走査するための受信遅延時間を超音波プローブ22の送受信兼用変換素子41a、あるいは受信専用変換素子41cから得られる受信信号に与える。この受信遅延回路70の出力は加算器71にて合成された後、画像データ生成部63に送られて画像データが生成され、この画像データは画像データ記憶部64において一旦保存された後、表示部16において表示される。
【0069】
一方、システム制御部19は、前記第2の照射位置g2(r2、φb2,ηb2)に対して強力超音波を照射するための遅延位相を算出し、その結果を変換素子駆動部13の遅延回路34に供給する。この遅延回路34は、前記システム制御部19からの遅延位相情報に基づいて、CW発生器33の駆動信号に遅延位相を与え、これらの駆動信号は、RFアンプ35やマッチング回路36を介して、照射用変換素子群41eに供給されて、前記第2の照射位置g2(r2、φb2,ηb2)に対しても3MHzの強力超音波を照射する。
【0070】
このように、強力超音波の照射位置は照射計画に基づいて更新され、それぞれの照射位置の超音波画像が表示部16において順次表示されるとともに、この照射位置に対して強力超音波が照射される。複数の照射位置に対してこのような手順が繰り返され、全ての照射位置において照射が行われたならば腫瘍2に対する照射を終了する(図6のステップS9)。
【0071】
なお、強力超音波を照射しながらイメージング用超音波による前記照射部位の画像化を行う場合、超音波画像は強力超音波の影響を受け、その画質は著しく低下する。このため、一般には図10に示すように強力超音波の照射と画像データの収集を時分割的に行う。例えば、最初のT1期間において第1の照射位置g1を含む超音波画像データの収集と、この画像のリアルタイム表示を行なう。
【0072】
次いでT2期間において強力超音波の照射を行ない、このときシステム制御部19は、T1期間において最後に収集した画像データを超音波イメージング装置14の画像データ記憶部64から読み出し、表示部16のモニタ上に静止画像として表示する。また、T2期間における強力超音波の照射開始と照射終了のタイミングは、システム制御部19より変換素子駆動部13のCW発生制御回路32に送られる制御信号によって決定される。なお、図10に示した方法は、特に、本実施の形態のように照射用の超音波周波数とイメージング用の超音波中心周波数が等しい場合には特に有効である。
【0073】
以上述べた本実施の形態によれば、照射用変換素子41dやイメージング用変換素子41jはいずれも2次元アレイの変換素子41であるため、超音波プローブ22やアプリケータ11を機械的に移動させることなく任意の照射位置の設定と、この照射位置を含む断面の画像化が可能となる。このため、照射中の状態がほぼリアルタイムで観察することができ、腫瘍2などに対して正確な照射が可能となる。
【0074】
また、前記照射用変換素子41dやイメージング用の変換素子41a乃至41cは、同じ2次元アレイ型の変換素子41の中から構成されているため、画像化領域と照射領域とを一致させることができる。即ち、従来の超音波照射において照射が困難であった超音波プローブ22直下の領域に対しても超音波照射が容易となるため、特に、体表面近傍に位置する腫瘍2に対する強力超音波の照射と画像化に好適である。
【0075】
なお、本実施の形態の説明における照射用の超音波周波数、及びイメージング用の超音波中心周波数は3MHzとしたが、この値に限定されるものではない。
【0076】
(第2の実施の形態)
上述の第1の実施の形態において、イメージング用超音波の中心周波数は照射用超音波の周波数とほぼ等しくなるように設定したが、超音波画像の空間分解能はイメージング用超音波の周波数に依存し、一方、強力超音波による焼灼能は照射用超音波の周波数に依存する。そして一般に、照射用超音波の周波数はイメージング用超音波より低く設定される方が望ましい場合がある。このような場合に対して好適な方法である第2の実施の形態につき図5及び図11を用いて説明する。
【0077】
この第2の実施の形態の特徴は、イメージング用の受信超音波に含まれる高調波成分を用いて超音波画像データを生成する、所謂組織ハーモニックイメージングを適用することにある。
【0078】
本実施の形態における装置の構成は第1の実施の形態とほぼ同様であるが、変換素子41の共振周波数(f0)を例えば1.5MHzとなるように厚みを設定し、照射用超音波の周波数を第1の実施の形態の1/2にすることによって強力超音波による焼灼能を向上させる。
【0079】
一方、超音波イメージング装置14の画像データ生成部63を構成するフィルタ回路72として、前記共振周波数の2倍高調波成分(2f0)を抽出するバンドパスフィルタ、あるいはハイパスフィルタが備えられる。このような構成の超音波照射装置100における、強力超音波よる照射手順は第1の実施の形態と同様であるため、その説明は省略し、超音波画像データの生成手順について以下に述べる。
【0080】
図5において、超音波イメージング装置14の超音波送信部61を構成するレートパルス発生器66は、レートパルスを送信遅延回路67に供給し、送信遅延回路67は、イメージング用の送信超音波を所定の深さに集束するための遅延時間と、所定の方向(例えば、超音波プローブ22の中心軸(Z軸)に対してφ1度、X軸に対してη1度の方向)に超音波を送信するための遅延時間をレートパルスに与え、このレートパルスをパルサ68に供給する。
【0081】
パルサ68は超音波プローブ22の送受信兼用変換素子41a、及び送信専用変換素子41bに対して駆動信号を供給し、被検体1の[φ1、η1]方向に送信超音波を放射する。このとき前記パルサ68においては、1.5MHz(f0)の共振周波数を有する送受兼用変換素子41a、及び送信専用変換素子41bを駆動するための駆動信号が形成される。
【0082】
被検体1に放射された中心周波数1.5MHzの送信超音波の一部は、音響インピーダンスの異なる被検体1の臓器境界面、あるいは組織内にて反射するとともに、被検体1の組織における非線型特性により、中心周波数が3MHz(2f0)の超音波パルスが新たに発生する。従って、被検体1にて反射してイメージング用超音波プローブ22の送受兼用変換素子41a、及び受信専用変換素子41cにて受信される受信超音波は、送信超音波と同じ中心周波数1.5MHzの基本波成分と、中心周波数が3MHzの高調波成分が混在したものとなる。
【0083】
図11にこのとき受信される受信超音波の周波数スペクトラムを示す。図11(a)は、被検体1に放射される送信超音波の周波数スペクトラムであり、f0を中心に分布している。これに対して、図11(b)に示した被検体1からの反射信号の周波数スペクトラムは、f0を中心に分布する基本波成分と、2f0を中心に分布する高調波成分とで構成される。
【0084】
因みに、この高調波の発生は、被検体1の組織内における超音波伝播速度が超音波の音圧に依存することに起因しており、この性質のために受信信号に波形歪が生じ、高調波成分が新たに発生する。この高調波成分を用いて超音波画像データを生成する組織ハーモニックイメージングでは、アーチファクトの少ない良質な画像が得られることが知られている。
【0085】
超音波プローブ22の送受信兼用変換素子41a、及び受信専用変換素子41cによって受信されて電気的な受信信号に変換される前記受信超音波の基本波成分(f0)、及び高調波成分(2f0)はプリアンプ69にて増幅され、受信遅延回路70に送られる。
【0086】
受信遅延回路70は、所定の深さからの超音波を集束して受信するための遅延時間と、所定の方向[φ1、η1]に強い受信指向性をもたせて受信するための遅延時間を受信信号に与えた後、加算器71へ送る。加算器71はプリアンプ69、受信遅延回路70を介して入力される複数の受信信号を加算合成し、1つの受信信号に纏めた後、画像データ生成部63へ供給する。
【0087】
加算器71の出力は、画像データ生成部63のフィルタ回路72に入力され、このフィルタ回路72において受信信号の基本波成分は排除される。そして、フィルタ回路72によって抽出された高調波成分は対数変換器73、包絡線検波器74、A/D変換器75において、対数変換、包絡線検波、A/D変換がなされ、画像データ記憶部64に一旦保存される。
【0088】
次に、超音波の送受信方向をZ軸方向に対してΔφずつ、あるいはX軸方向にΔηずつ順次更新させながら[φ1、η1]の場合と同様な手順で超音波の送受信を行ない、高調波成分から画像データを生成する。即ち、システム制御部19は、送信遅延回路67及び受信遅延回路70の遅延時間を前記超音波送受信方向に対応させて順次切り替えながら、3MHzの3次元画像データを収集する。
【0089】
一方、システム制御部19は、前記手順によって得られる3次元画像データを画像データ記憶部64に保存し、所定の範囲の走査が終了した時点で所定の断面についての2次元画像データ、あるいは3次元画像データを表示部16において表示する。
【0090】
以上述べた第2の実施の形態によれば比較的低い周波数の照射用超音波を用いることができるため、被検体1における減衰を抑えることができる。従って、照射用変換素子群41eの総面積が小さい場合などにおいて照射能を改善することが可能となる。
【0091】
(第2の実施の形態の変形例)
ところで、上述の第2の実施の形態では、1.5MHz用の送受信兼用変換素子41a、及び受信専用変換素子41cを使用して受信超音波の3MHz成分の検出を行なっているため、十分な感度が得られない場合がある。このような問題点に対して、本変形例では1.5MHzの基本波成分と、3MHzの高調波成分のいずれをも感度よく送受信可能な2周波数変換素子につき図12を用いて述べる。
【0092】
図12(a)は、本実施の形態の変形例において用いられる2周波数変換素子41’の構成例を示したものであり、この2周波数変換素子41’は、厚さが異なる2枚の圧電体を分極方向が互いに反対方向になるように貼り合わせて形成されている。2周波数変換素子41の’第1の面(上面)及び第2の面(下面)には駆動信号を供給するための電極42a、42bがそれぞれ装着され、電極42aは図示しない支持台43に固定されている。また他の電極42bには強力超音波の照射を効率良く行うための音響マッチング層44が設けられ、更にその表面は保護膜45によって覆われている。
【0093】
図12(b)の実線は、前記圧電体の厚みが半波長に相当する周波数とその2倍の周波数の共振を同時に発生するように構成された2周波数変換素子41’によって得られる超音波の周波数スペクトルを示しており、例えば1.5MHz(f0)の基本波成分と、3MHz(2f0)の高調波成分にそれぞれピークを有する双峰性のスペクトルが形成される。従って、2f0の成分については、第1の実施の形態において用いた従来の変換素子によるスペクトル(破線)に対して双方向矢印で示した感度差の分だけ改善が可能となる。
【0094】
上記の変形例において示した変換素子41’を、イメージング用の変換素子41jや照射用変換素子41dに用い、第1の実施の形態、あるいは第2の実施の形態と同様な手順によって超音波の送受信を行なうことにより、基本波成分のみならず、高調波成分に対しても送受信効率を向上させることが可能となる。なお、本実施の形態の説明における照射用の超音波周波数、及びイメージング用の超音波中心周波数は1.5MHzとしたが、この値に限定されない。
【0095】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態につき図13を用いて説明する。この実施の形態の特徴は、第1の実施の形態、あるいは第2の実施の形態に用いた超音波プローブ22のイメージング用変換素子41j、あるいは照射用変換素子群41eの周囲に第2の照射用変換素子群(照射用補助変換素子群)41e’を設けることにある。
【0096】
即ち、図13に示すように超音波プローブ22に設けられた照射用変換素子群41eの周囲に、この照射用変換素子群41eと同じ共振周波数を有する照射用補助変換素子群41e’が設けられている。この場合、超音波プローブ22の照射用変換素子群41eの素子数がN、周囲の照射用補助変換素子群41e’の素子数がN’ならば、変換素子駆動部13のチャンネル数もN+N’だけ設ける必要があり、この変換素子駆動部13によって照射用変換素子群41e、及び照射用補助変換素子群41e’の各々は所定の遅延位相を有したN+N’チャンネルの変換素子駆動信号によって駆動され、予め設定された照射位置に対して強力超音波を照射する。
【0097】
本実施の形態によれば、照射用変換素子群41e及び照射用補助変換素子群41e’の素子数が大幅に増加するため照射能を改善することが可能となる。即ち、超音波プローブ22の照射用変換素子群41eのみでは十分な焼灼能が得られない場合に、上記の照射用補助変換素子群41e’を併用することによって焼灼能を改善することができる。
【0098】
更に、本実施の形態の超音波プローブ22においても照射用変換素子群41eを備えており、超音波プローブ22直下の領域に対しての超音波照射が容易となる。このため、特に体表面近傍に位置する腫瘍2に対する強力超音波の照射と画像化に好適である。
【0099】
なお、本実施の形態において、超音波プローブ22の周囲に設けられた照射用補助変換素子群41e’の共振周波数は超音波プローブ22の照射用変換素子群41eの共振周波数より低く設定してもよい。例えば、照射用補助変換素子群41e’の共振周波数は1.5MHz、照射用変換素子群41eは3MHzに設定することが可能である。
【0100】
また、本実施の形態によれば、体表近傍の強力超音波照射については照射用変換素子群41eのみを用い、一方、比較的深部の強力超音波照射については照射用補助変換素子群41e’のみ、あるいは照射用補助変換素子群41e’と照射用変換素子群41eを併用して照射することもできる。この場合照射用変換素子群41eと照射用補助変換素子群41e’の共振周波数は同じであってもよいが、上述のように異なるように設定してもよい。
【0101】
以上、本発明の実施の形態について述べたが、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々変形して実施することが可能である。例えば、超音波プローブ22の照射用変換素子41dはイメージング用変換素子41jに用いられない変換素子41から選択する場合について述べたが、一部の変換素子41を照射用とイメージング用に兼用して用いてもよい。
【0102】
また、上述の実施の形態における変換素子41は2次元配列したものについて示したが、1次元配列の変換素子から照射用変換素子41d、あるいはイメージング用の変換素子41jを選択して用いてもよい。
【0103】
更に、照射用変換素子群41e、あるいは照射用補助変換素子群41e’の面積は位相誤差低減のために中心部ほど大きくする場合について述べたが、変換素子駆動部13のマッチング回路36の電気的負荷を一様にするために、ほぼ等しい面積に設定してもよい。
【0104】
また、上述の実施の形態では、超音波プローブ22と被検体1の間にアプリケータ11を介在させて超音波の送受信を行なったが、第1の実施の形態のように超音波プローブ22の外部に照射用補助変換素子41e’が設けられていない場合には、アプリケータ11は除去してもよい。
【0105】
なお、上述の実施の形態は強力超音波による腫瘍の焼灼を例に述べたが、遺伝子導入時の場合は強力超音波による照射計画の設定や、この計画に基づく照射位置の移動等は必ずしも必要としない。
【0106】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、超音波プローブ内に設けられた複数の電気音響変換素子から照射用変換素子、及びイメージング用変換素子を選択して配列することが可能なため、任意の照射位置の設定と、この照射位置を含む断面の画像化が容易な超音波照射装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態における超音波照射装置全体の概略構成を示すブロック図。
【図2】 本発明の第1の実施の形態における2次元アレイの変換素子を示す図。
【図3】 本発明の第1の実施の形態における照射用変換素子群を示す図。
【図4】 本発明の第1の実施の形態における変換素子、及びその周辺部の断面図。
【図5】 本発明の第1乃至第3の実施の形態における超音波イメージング装置の構成を示す図。
【図6】 本発明の第1の実施の形態における強力超音波による照射手順を示すフローチャート。
【図7】 本発明の第1の実施の形態のイメージング用変換素子による音場特性を示す図。
【図8】 本発明の第1の実施の形態においてモニタ上に表示される超音波画像を示す図。
【図9】 本発明の実施の形態における照射位置の座標系を示す図。
【図10】 本発明の実施の形態における画像データの表示方法について示す図。
【図11】 本発明の第2の実施の形態における送信および受信超音波の周波数スペクトラムを示す図。
【図12】 本発明の第2の実施の形態における2周波数変換素子を示す図。
【図13】 本発明の第3の実施の形態における変換素子の配列を示す図。
【図14】 従来の超音波照射装置を示す図。
【符号の説明】
11…アプリケータ
13…変換素子駆動部
14…超音波イメージング装置
16…表示部
17…操作部
19…システム制御部
22…超音波プローブ
23…カップリング液
24…カップリング膜
32…CW発生制御回路
33…CW発生器
34…遅延回路
35…RFアンプ
36…マッチング回路
41…変換素子
100…超音波照射装置

Claims (9)

  1. 複数個の変換素子が2次元配列された変換素子群を有する超音波プローブと、
    前記変換素子群の中から離散的に選択した複数個のイメージング用変換素子に対してイメージング用超音波の送受信を行ない、得られた受信信号に基づいて画像データを生成する超音波イメージング手段と、
    前記画像データを表示する表示手段と、
    前記変換素子群の中から選択した前記イメージング用変換素子とは異なる複数個の照射用変換素子に対し強力超音波照射用の駆動信号を供給する変換素子駆動手段とを備え
    前記複数個のイメージング用変換素子と前記複数個の照射用変換素子は混在して配列されることを特徴とする超音波照射装置。
  2. 前記変換素子駆動手段は、前記複数個の照射用変換素子を所定範囲で共通接続することによって形成された複数の照射用変換素子群に対し前記駆動信号を供給することを特徴とする請求項1記載超音波照射装置。
  3. 前記イメージング用変換素子は、送受信兼用変換素子、送信専用変換素子あるいは受信専用変換素子の何れかであることを特徴とする請求項1記載超音波照射装置。
  4. 前記変換素子駆動手段は、前記照射用変換素子に対する駆動信号の遅延位相を制御することにより所望位置に強力超音波の集束点を形成することを特徴とする請求項1記載超音波照射装置。
  5. 前記超音波イメージング手段は、前記イメージング用変換素子に対する送信信号及び受信信号の遅延時間を制御することにより前記集束点を含む断面を超音波走査し前記画像データを生成することを特徴とする請求項記載の超音波照射装置。
  6. 照射計画設定手段を備え、前記変換素子駆動手段は、前記照射計画設定手段によって予め設定される照射計画に基づいて、前記集束点を所定の位置に形成することを特徴とする請求項記載の超音波照射装置。
  7. 前記変換素子駆動手段は、超音波照射を間欠的に行ない、前記超音波イメージング手段は、前記超音波照射が行なわれない期間において前記イメージング用超音波の送受信と前記画像データの生成を行なうことを特徴とする請求項1記載超音波照射装置。
  8. 前記表示手段は、前記超音波イメージング手段が生成した前記画像データを前記超音波照射の期間中に静止画像として表示することを特徴とする請求項7記載超音波照射装置。
  9. 前記超音波イメージング手段は、前記イメージング用変換素子を駆動して第1の中心周波数を有する超音波パルスを送信し、前記第1の中心周波数に対して略整数倍の第2の中心周波数を有する受信信号成分を受信して前記画像データを生成することを特徴とする請求項1記載の超音波照射装置。
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