JP4319427B2 - 医用超音波照射装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、細胞に対して超音波を照射し、遺伝子導入を行う医用超音波照射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
悪性腫瘍に対する新しい治療法として、腫瘍の細胞内に遺伝子を抽入して治療を行なう、所謂、遺伝子治療法が注目されており、この遺伝子治療において腫瘍細胞内に遺伝子等の物質を導入する技術が研究されている。細胞内に遺伝子を導入するためには、一時的に細胞膜の透過性を上昇させる手法が必要であり、その手法として、ウィルスの感染力を利用する方法やリポソームなどの化学的手法、更には、マイクロインジェクション、遺伝子銃、エレクトロポレーション、超音波、レーザなどの物理的手法が検討されている。特に、超音波など物理的手法による腫瘍細胞内への遺伝子導入は、ターゲットとなる局所的な組織を限定できる大きな利点を有している。
【0003】
超音波を用いた遺伝子導入法では、まず、細胞の核内に入ると新たなたんぱく質を形成する遺伝子を組み込んだプラスミドを腫瘍組織内に注入し、この腫瘍組織に超音波を照射することによって遺伝子の核内侵入を促進させる。即ち、超音波発生器から照射した粗密波を細胞膜に照射することにより細胞膜に穿孔が生じ、この穿孔から遺伝子の導入が行なわれる。
【0004】
この方法によれば、超音波の波動としての性質を有効に利用し、超音波を腫瘍の所定領域に集束させて導入部位を選択することができる。また、超音波連続波を照射した場合に発生する定在波の腹部を利用して導入効果を向上させる方法も検討されている。更に、造影剤(マイクロバブル)が超音波によって照射されて消滅するとき、強力な損傷、破壊力が発生することが従来より知られており、このマイクロバブルを導入部位に抽入した状態で超音波照射を行なうことによって、低パワーの超音波エネルギーによる遺伝子導入が可能となり、超音波の正常組織に対する損傷を低減することができる(例えば、非特許文献1参照。)。
【0005】
一方、超音波を用いた遺伝子導入法は、従来の超音波診断装置との併用が容易であるため、遺伝子導入中のモニタリングや導入結果の評価を超音波画像によって行なうことができ、このような集束超音波の照射部位の超音波画像による表示技術は超音波治療装置において既に用いられている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−78930号公報(第3−4頁、第1−5図)
【0007】
【特許文献2】
特開平11−226046号公報(第3−4頁、第1−2図)
【0008】
【非特許文献1】
古幡博、馬目佳信“超音波遺伝子導入の展開”、BME、日本ME学会、平成14年7月10日、vol16、no7、p.3−7
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記非特許文献1に述べられている基礎検討は、摘出細胞あるいはマウスなどの小動物の腫瘍細胞に対して行なわれたものであり、実際の人間の生体組織のように広い領域に存在する細胞における遺伝子導入に対してそのまま適用することはできない。例えば、肝臓の腫瘍において遺伝子導入を行なう場合、腫瘍の大きさに比較して効率のよい遺伝子導入が可能な領域(例えば、超音波集束領域内に形成される定在波の腹部)は極めて狭い領域となるため、腫瘍全体に対して効率のよい遺伝子導入が困難となる。
【0010】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、生体あるいは摘出された組織などに超音波を照射して遺伝子導入あるいは治療を行なう際に、超音波照射領域の位置と、この照射領域内に形成される定在波の形状を制御することによって、遺伝子導入あるいは治療を効率よく行なうことが可能な医用超音波照射装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1に係る本発明は、細胞に対して超音波を照射し、遺伝子導入を行なう医用超音波治療装置において、所定周波数の電気的な駆動信号を超音波に変換して照射する電気音響変換手段と、この電気音響変換手段に対して前記駆動信号を供給する駆動信号供給手段を備え、前記駆動信号供給手段は、前記電気音響変換手段に供給する前記駆動信号の周波数を連続的あるいはステップ状に増減することを特徴としている。
【0012】
また、請求項2に係る本発明のは、細胞に対して超音波を照射し、遺伝子導入を行なう医用超音波治療装置において、被検体に対して超音波の照射位置を設定する照射位置設定手段と、所定周波数の電気的な駆動信号を超音波に変換して前記被検体に照射する電気音響変換手段と、この電気音響変換手段に対して前記駆動信号を供給する駆動信号供給手段とを備え、前記駆動信号供給手段は、前記電気音響変換手段に供給する前記駆動信号の周波数を連続的あるいはステップ状に増減することを特徴としている。
【0013】
更に、請求項3に係る本発明は、細胞に対して超音波を照射し、遺伝子導入を行なう医用超音波治療装置において、被検体に対して超音波の照射位置を設定する照射位置設定手段と、所定周波数の電気的な駆動信号を超音波に変換して前記被検体に照射する電気音響変換手段と、この電気音響変換手段に対して前記駆動信号を供給する駆動信号供給手段と、前記電気音響変換手段から照射された前記超音波に応じて前記被検体の超音波画像データを生成する超音波画像データ生成手段と、前記超音波画像データ生成手段からの超音波画像データを表示する表示手段とを備え、前記駆動信号供給手段は、前記電気音響変換手段に供給する前記駆動信号の周波数を連続的あるいはステップ状に増減することを特徴としている。
【0015】
従って、本発明によれば、超音波を照射して遺伝子導入を行なう際に、超音波ビームの照射領域内に形成される定在波の形状を制御することによって、遺伝子導入を効率よく行なうことが可能な医用超音波照射装置を提供できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
(装置の構成)
本発明の実施の形態の特徴は、生体の腫瘍細胞に対して遺伝子導入あるいは治療を行なう際、照射計画に基づいて、腫瘍内の所定領域に遺伝子導入用超音波あるいは導入用超音波(以下では、両者を纏めて導入用超音波と呼ぶ)の集束領域の位置と大きさを設定すると共に、この集束領域内に生ずる定在波の形状を、前記導入用超音波の周波数を変更することによって制御することにある。
【0017】
本発明の第1の実施の形態について、図1乃至図7を用いて説明する。尚、図1は、本実施の形態における医用超音波照射装置の全体構成図であり、図3は、この医用超音波照射装置を構成する超音波映像部の送受信部を示すブロック図である。
【0018】
図1において、医用超音波照射装置100は、導入部位に対して超音波連続波を照射するための超音波照射部12と、導入部位における超音波画像データを生成する超音波映像部11を備え、更に、超音波映像部11によって生成された画像データを表示する表示部14と、操作者が患者情報の入力や種々の照射条件あるいは腫瘍情報などの設定を行なう操作部15と、上記各ユニットを統括的に制御するシステム制御部13とを備えている。
【0019】
そして、医用超音波照射装置100の超音波照射部12は、導入用超音波(第2の超音波)を導入部位に照射する圧電振動子23を有したアプリケータ18と、この圧電振動子23を駆動する照射用駆動部16とを有している。
【0020】
この超音波照射部12のアプリケータ18は、脱気水からなるカップリング液25によって充満されており、その上部には導入用超音波を放射する凹面状あるいは平面状の圧電振動子23が取り付けられ、そのほぼ中央部に開口した孔部26には後述する超音波映像部11の超音波プローブ19が回動自在に装着されている。
【0021】
一方、アプリケータ18の被検体51との接触部には、高分子材料からなり、前記カップリング液25とほぼ等しい音響インピーダンスのカップリング膜24が設けられている。そして、圧電振動子23から照射される導入用超音波や超音波プローブ19によって送受信されるイメージング用超音波(第1の超音波)は、被検体51とほぼ等しい音響特性を有するカップリング膜24及びカップリング液25を介し、被検体51に対して効率良く送受信される。
【0022】
次に、圧電振動子23の構成を図2に示す。圧電振動子23は、図2(a)に示すように圧電セラミクスからなるN個の振動素子41−1乃至41−Nを凹面状、あるいはこの図のように平面状に2次元配列して構成される。図2(b)は図2(a)のA−A断面における圧電振動子23の断面図を示しており、振動素子41−1乃至41−Nの第1の面(上面)及び第2の面(下面)には、照射用駆動部16から駆動信号を供給するための電極42a−1乃至42a−N、及び42b−1乃至42b−Nがそれぞれ装着され、電極42a−1乃至42a−Nは支持台43に固定されている。一方、電極42b−1乃至42b−Nには被検体51に対して導入用超音波の照射を効率良く行うための音響マッチング層44−1乃至44−Nが設けられ、更にその外表面は保護膜45によって覆われている。
【0023】
再び図1の説明に戻り、照射用駆動部16は、導入用超音波を照射するために上記振動素子41−1乃至41−Nに対して駆動信号を供給する機能を有し、振動素子41−1乃至41−Nの共振周波数帯域内で複数周波数の連続波を発生するCW発生器31と、このCW発生器31からの連続波に所定の遅延位相を与える遅延回路32と、この遅延された連続波を所定の大きさに増幅するパワーアンプ33と、パワーアンプ33の出力を振動子41−1乃至41−Nに効率良く供給するためにインピーダンスマッチングを行なうマッチング回路34を備え、遅延回路32、パワーアンプ33、マッチング回路34は圧電振動子23の振動素子数Nに対応して夫々Nチャンネルで構成されている。
【0024】
前記CW発生器31は、例えばVCO(電圧制御発生器)とD/A変換器が備えられており、システム制御部13のCPU36から供給される周波数情報をD/A変換器によって電圧値に変換し、更に、この電圧値に対応してVCOの出力周波数を決定する。即ち、CW発生器31から出力される連続波の周波数は、システム制御部13からの制御信号によって任意に制御され、本実施の形態では、システム制御部13において設定される周波数範囲において連続的に、あるいはステップ状に変化する。
【0025】
遅延回路32は、アプリケータ18の圧電振動子23が照射する導入用超音波を所望の領域に照射させるために、CW発生器31から出力されたNチャンネルの連続波出力に対して所定の遅延位相を与える。尚、この遅延位相は、導入用超音波を所定の方向に偏向するための遅延位相と、所定の距離(焦点距離)に集束するための遅延位相とから構成されている。そして、この遅延位相は、圧電振動子23の振動素子41−1乃至41−Nの各々の配列位置と、導入用超音波の照射位置との距離によって一義的に決定される。
【0026】
次に、表示部14は、図示しない表示回路とCRTあるいは液晶からなるモニタを備えており、超音波映像部11の送受信部20によって生成される超音波画像データの表示を行なう。このモニタ上に表示される超音波画像には、アプリケータ18の圧電振動子23や照射用駆動部16によって形成される導入用超音波の照射位置52や、操作者が操作部15から指定する腫瘍情報などを重畳して表示することが可能である。尚、表示部14は、1枚分の超音波画像データ、あるいは、超音波画像データの付帯情報である数字や各種文字などを一旦保存する表示用画像データ記憶回路と、表示用画像データをアナログ信号に変換するD/A変換器と、このアナログ信号をTVフォーマット変換して映像信号を生成するフォーマット変換回路などを備えている。
【0027】
操作部15は、操作パネル上に液晶パネル、キーボード、トラックボール、マウス、各種選択ボタン等を備え、操作者によって患者情報の入力、対象臓器の選択、アプリケータ18の選択、各種照射条件や腫瘍情報の入力、更には、各種コマンド信号の入力などを行うことができる。更に、照射用駆動部16のCW発生器31において出力される連続波の周波数範囲の設定や、使用する造影剤の選択などについても行なわれる。
【0028】
システム制御部13は、CPU(中央演算処理装置)36と記憶回路37を備え、操作部15から入力されるコマンド信号に従って各ユニットの制御やシステム全体の制御を統括して行う。
【0029】
システム制御部13の記憶回路37には、臓器別、アプリケータ別、造影剤別に設定された最適な導入用超音波パワーや照射時間などが予め保存されており、更に、操作部15を介して操作者から送られてくる種々のコマンド信号もこの記憶回路37に一旦保存される。また、この記憶回路37には、後述する超音波プローブ19のM個の微小振動素子に対応する遅延時間情報がルックアップテーブルとして予め保存されている。
【0030】
一方、システム制御部13のCPU36は、後述する超音波映像部11において得られる超音波画像データから、被検体51の腫瘍55の領域を確定し、この領域における導入用超音波の照射位置、照射順序、照射時間などの照射計画を策定する。更に、この照射位置の深さ、集束領域53の大きさ、圧電振動子23の口径や周波数、更には使用する造影剤の種類などから導入用超音波の最適な周波数範囲や照射パワーなどについても設定する。
【0031】
医用超音波照射装置100の超音波映像部11は、被検体51の腫瘍55における超音波画像データを得るために、イメージング用超音波の送受信を行なう超音波プローブ19と、この超音波プローブ19を中心軸(図1のZ軸)の周りに回動する回動機構部17と、超音波プローブ19に対して送信信号を供給すると共に、超音波プローブ19から得られる受信信号から超音波画像データを生成する送受信部20を備えている。この超音波映像部11によって得られる超音波画像データから、腫瘍55に対する照射計画の策定や導入用超音波の照射状況、更には導入効果のモニタリングなどが可能となる。
【0032】
また、上記腫瘍55の所定部位に導入用超音波を照射する場合には、操作部15の入力デバイスを用いて超音波画像上に照射位置を指定することによって、この照射位置に導入用超音波の集束領域53を設定することも可能である。即ち、アプリケータ18に回動自在に取り付けられた超音波プローブ19を用い、超音波画像観測下で腫瘍55の所定の位置に導入用超音波の集束領域53を設定することができる。
【0033】
超音波プローブ19は、通常の超音波診断装置において用いられているものと同様のものが使用されるが、特に圧電振動子23による導入用超音波の照射の妨げにならないように、小さな超音波送受信面で広い範囲の画像化が可能なセクタ走査用の超音波プローブ19が好適である。本実施の形態では、超音波ビームの送受信方向を電子的に制御して扇状の画像領域を得るセクタ電子走査型の超音波プローブ19を用いる。図1あるいは図2に示した超音波プローブ19の先端部は、X方向に1次元配列された図示しないM個の微小振動素子を有し、この微小振動素子によって、送信時には電気パルスを超音波パルス(送信超音波)に変換して被検体51に送信し、また受信時には被検体51からの超音波エコー(受信超音波)を電気信号に変換する。
【0034】
送受信部20は、図3に示すように超音波プローブ19から被検体51に対して超音波パルスを放射するための駆動信号を生成する送信部61と、被検体51からの超音波エコーを超音波プローブ19を介して受信する受信部62と、受信信号に基づいて超音波画像データを生成する画像データ生成部63と、画像データを保存する画像データ記憶部64とを備えている。
【0035】
送信部61は、レートパルス発生器66と、送信遅延回路67と、パルサ68を備えている。レートパルス発生器66は、被検体51に送信する送信超音波の繰り返し周期を決定するレートパルスを発生して送信遅延回路67に供給する。送信遅延回路67は、Mチャンネルの独立した遅延回路から構成され、超音波プローブ19において細い送信超音波ビームを得るために所定の深さに超音波を集束するための遅延時間と、所定方向に超音波を送信して被検体51を走査するための遅延時間をレートパルスに与えてパルサ68に供給する。パルサ68は、Mチャンネルの独立した駆動回路を有しており、超音波プローブ19の先端部に内蔵されたM個の微小振動素子を駆動して、被検体51に送信超音波を送信するための駆動信号を生成する。
【0036】
一方、受信部62は、前記超音波プローブ19の微小振動素子によって電気信号に変換された受信信号を増幅し十分なS/Nを確保するプリアンプ69と、受信遅延回路70と、加算器71とを備えている。受信遅延回路70は、細い受信ビームを得るために所定の深さからの超音波を整相するための遅延時間と、超音波ビームの受信指向性を制御し被検体51を走査するための遅延時間とをプリアンプ69の出力信号に与えた後、加算器71に送る。加算器71は、Mチャンネルの受信信号の加算合成を行なう。
【0037】
画像データ生成部63は、対数変換器72と、包絡線検波器73と、A/D変換器74とを備えている。対数変換器72は、受信信号の振幅を対数変換して弱い信号を相対的に強調する働きをしている。また、包絡線検波器73は、対数変換された受信信号に対して包絡線検波を行なって振幅の大きさのみを検出し、A/D変換器74は、この包絡線検波器73の出力信号をA/D変換して超音波画像データを生成する。
【0038】
次に、画像データ記憶部64は、画像データ生成部63において生成された超音波画像データを保存する記憶回路であり、超音波の送受信方向を変更しながら得られる画像データは、この画像データ記憶部64に順次記憶され、2次元の画像データが生成される。
【0039】
一方、図1の超音波映像部11の回動機構部17は、送受信部20によって生成される超音波画像データにおいて、圧電振動子23による導入用超音波の照射位置の画像データが含まれるように超音波プローブ19のプローブ軸(Z軸)を回動軸として回動する。
【0040】
(導入用超音波の照射手順)
次に、本実施の形態における導入用超音波の照射手順について述べる。但し、以下の実施の形態では、生体の肝臓癌に対し医用超音波照射装置100を用いて超音波治療を行う場合について説明する。
【0041】
操作者は、対象臓器(肝臓)に対する遺伝子導入に最適な照射パワー範囲、口径、共振周波数帯域を有したアプリケータ18を選択し、超音波プローブ19と一体化して医用超音波照射装置100に取り付ける。
【0042】
次いで、被検体51の体表において、腫瘍55の観察に好適と思われる位置にアプリケータ18を設置する。この場合、超音波映像部11を予め動作状態にしておき、この超音波映像部11と超音波プローブ19によって収集され、表示部14のモニタに表示された超音波画像を観測しながらアプリケータ18の位置設定を行ない、被検体51の近傍に置かれた図示しない保持具を用いて、アプリケータ18を設定位置に固定する。
【0043】
ここで、上述した超音波映像部11による超音波画像データの生成と表示について図3を用いて説明する。被検体51に対するイメージング用超音波の送信に際して、送信部61のレートパルス発生器66はシステム制御部13からの制御信号に従い、被検体51に放射する超音波パルスの繰り返し周期を決定するレートパルスを送信遅延回路67に供給する。
【0044】
送信遅延回路67は、イメージング用の送信超音波を所定の深さに集束するための遅延時間と、所定の方向(例えば、超音波プローブ19の中心軸(Z軸)に対してθ1度)に超音波を送信するための遅延時間をレートパルスに与え、このレートパルスをパルサ68に供給する。パルサ68は、超音波プローブ19の微小振動素子に対して駆動信号を供給し、被検体51のθ1方向に超音波パルス(送信超音波)を照射する。このときパルサ68においては、超音波プローブ19の微小振動素子の共振周波数に対応した駆動信号が形成される。
【0045】
被検体51に照射された送信超音波の一部は、音響インピーダンスの異なる被検体51の臓器境界面あるいは組織内にて反射し、超音波プローブ19の微小振動素子によって受信されて電気信号に変換される。そして、この受信信号は受信部62のプリアンプ69にて増幅され、受信遅延回路70に送られる。
【0046】
受信遅延回路70は、所定の深さからの超音波を集束して受信するための遅延時間と、所定の方向θ1に強い受信指向性をもたせて受信するための遅延時間を前記受信信号に与えた後、加算器71へ送る。加算器71は、複数チャンネルの受信信号を加算合成して画像データ生成部63へ供給する。
【0047】
加算器71の出力は、画像データ生成部63の対数変換器72、包絡線検波器73、A/D変換器74において、対数変換、包絡線検波、A/D変換が行われて画像データが生成され、この画像データは画像データ記憶部64に一旦保存される。
【0048】
次いで、超音波の送受信方向θ1に対してΔθずつ順次更新させながらθ1方向の場合と同様な手順で超音波の送受信を行なう。即ち、システム制御部13は、送信遅延回路67及び受信遅延回路70の遅延時間を超音波送受信方向に対応させて順次切り替えながら2次元の走査を行ない、腫瘍55における超音波画像データを収集する。
【0049】
次いで、システム制御部13は、上記手順によって得られた超音波画像データを画像データ記憶部64において順次保存し、所定の範囲(図3のθ1乃至θx)の走査が終了したならば、保存された1枚分の超音波画像データを表示部14において表示する。
【0050】
次に、操作者は、表示部14のモニタに表示されているX−Z平面(第1の走査断面)の超音波画像の腫瘍55に対し、操作部15のマウスを用いて腫瘍像の輪郭を設定する。これにより得られた輪郭データは、システム制御部13の記憶回路37に保存される。
【0051】
次いで、操作部15よりプローブ回動の指示信号をシステム制御部13を介して回動機構部17に供給して、超音波プローブ19をプローブ軸を中心に90度回動させた状態で、上述した手順によって超音波画像データを得る。そして、上記第1の走査断面に直交するY−Z平面(第2の走査断面)で収集される画像データに対しても、上記と同様に腫瘍55の輪郭を設定する。そして、同様に輪郭データはシステム制御部13の記憶回路37に保存される。
【0052】
腫瘍55の輪郭情報の入力と保存が終了したならば、システム制御部13のCPU36は、得られた輪郭情報に対して回転楕円近似等を行って3次元的な腫瘍境界面の設定を行う。また、CPU36は、選択したアプリケータ18の圧電振動子23の大きさや共振周波数、腫瘍55と圧電振動子23との距離などに基づいて、圧電振動子23による導入用超音波の集束領域53の大きさ(幅と長さ)を算出し、この集束領域53の大きさに基づいて導入用超音波による照射位置(照射間隔)や、これらの照射位置に対する照射順序などの照射計画の策定を行なう。更に、操作者によって、操作部15より入力される造影剤情報から、これらの各照射位置おける照射時間や照射パワーについても設定される。
【0053】
図4は、圧電振動子23から照射される導入用超音波の集束領域53を示しており、焦点距離L1は、圧電振動子23を構成する振動素子41−1乃至41−Nの駆動信号が有する遅延位相と、圧電振動子23の凹面曲率半径によって決定される。また、集束領域53の幅ΔWや長さΔWzは、上記遅延位相や凹面曲率半径の他に、導入用超音波の周波数や圧電振動子23の口径D1、更には上記焦点距離L1によって一義的に決定される。
【0054】
即ち、システム制御部13のCPU36は、選択したアプリケータ18の圧電振動子23における導入用超音波の周波数や口径、更には曲率半径の値と、振動素子41−1乃至41−Nに対する駆動信号の遅延位相とから、腫瘍55における集束領域53の幅ΔWや長さΔWzを算出し、この算出結果に基づいて導入用超音波の照射位置(照射間隔)を設定する。例えば、図4(b)に示すように、回転楕円近似した腫瘍55の領域において、X方向及びY方向に0.8Wx間隔、またZ方向に0.8Wz間隔の3次元格子を設定し、この格子の交点を導入用超音波の照射位置(g1、g2、・・・・)に設定する。
【0055】
次いで、システム制御部13のCPU36は、上記の手順によって設定された複数の照射位置に対して照射順位、照射パワー、照射時間などを設定することによって照射計画の策定を完了し、策定完了の表示を表示部14のモニタ、あるいは操作部15の表示パネル等に表示する。
【0056】
一方、操作者は、上記照射計画の策定が完了したことを確認したならば、被検体51の静脈を介して、あるいは直接腫瘍55の近傍に造影剤と遺伝子を組み込んだプラスミドを注入し、所定時間経過後に導入用超音波の照射開始コマンドを操作部15において入力する。
【0057】
前記コマンド信号を受信したシステム制御部13のCPU36は、超音波映像部11の回動機構部17に対して制御信号を供給し、上記の照射計画において設定された最初の照射位置g1の超音波画像データが収集可能な位置まで超音波プローブ19を回動させる。そして、この位置にてイメージング用超音波の送受信を行ない、照射位置g1における超音波画像データの収集と表示を既に述べた手順と同様の手順によって行なう。
【0058】
次いで、システム制御部13のCPU36は、前記照射位置g1に導入用超音波を照射するために、N個の振動素子41−1乃至41−Nに供給する駆動信号の遅延位相を算出し、その算出結果を照射用駆動部16の遅延回路32に供給する。
【0059】
遅延回路32は、システム制御部13のCPU36から与えられる遅延位相情報に基づいて、CW発生器31より供給される連続波に対してN種類の遅延時間を設定してNチャンネルの連続波を形成する。そして、Nチャンネルの連続波は、パワーアンプ33やマッチング回路34を介して圧電振動子23の振動素子41−1乃至41−Nに駆動信号として供給され、この駆動信号によって振動素子41−1乃至41−Nは駆動されて、最初の照射位置g1に対して導入用超音波を照射する。
【0060】
ところで、音響インピーダンスの異なる臓器の境界面に連続波を照射させた場合、この境界面に対する入射波と反射波とが干渉して定在波が発生することが一般に知られている。本実施の形態においても導入用超音波は連続波を使用しているため、この連続波が、例えば肝臓の表面などのように反射が生じやすい部位に照射された場合には、その近傍で定在波が発生する。
【0061】
図5は、腫瘍55に対して導入用超音波を照射した場合に発生する定在波を模式的に示したものであり、図5(a)において、腫瘍55の所定の照射位置に集束して照射された導入用超音波は、この集束領域53を通過し、腫瘍55の後方に位置する境界面(例えば肝臓表面)56において反射する。従って、腫瘍55の集束領域53において、圧電振動子23から直接照射される第1の導入用超音波と、境界面56において反射して第1の導入用超音波に対して逆方向に伝搬する第2の導入用超音波は干渉し、図5(b)に示すように定在波が発生する。即ち、集束領域53には、Z方向に対して導入用超音波の波長(λ)の1/2の間隔で腹部と節部が繰り返される定在波が形成され、腫瘍55に造影剤が注入された場合には、この定在波の腹部57にある造影剤(マイクロバブル)59は導入用超音波の照射によって破砕され強力な損傷、破壊力を発生する。
【0062】
上記の理由により、導入用超音波の周波数を1つに固定した場合には、腫瘍55における集束領域53において定在波が発生し、集束領域53の全体において一様な遺伝子導入効率を得ることが困難となる。このため、本実施の形態においては、CW発生器31から出力される連続波の周波数をシステム制御部13のCPU36からの制御信号に従って連続的、あるいはステップ状に変更することによって、上記定在波の腹部57の位置を順次Z方向に移動し、集束領域53の全体において均一な遺伝子導入効率を確保する。
【0063】
この場合、CW発生器31の図示しないD/A変換器は、システム制御部13のCPU36から供給される導入用超音波周波数に対応したデジタル信号を電圧値に変換し、CW発生器31の図示しないVCO(電圧制御発生器)は、この電圧値に基づいた周波数の連続波を発生する。即ち、CPU36からの信号によって、CW発生器31から出力される連続波の周波数を任意に制御することが可能となる。
【0064】
以下では図6を用いて、肝臓の境界面(後壁)56に対して20mm離れた位置にある直径20mmの腫瘍55に対して、周波数1.5MHz(λ=1mm)の導入用超音波を照射した場合の定在波の発生と、周波数変化に伴う定在波の移動について更に詳しく説明する。尚、肝臓の境界面56の音響インピーダンスが肝臓の内部組織の音響インピーダンスより大きい場合には、定在波の第1の腹部57−1は境界面56に発生し、この境界面56を起点として圧電振動子23の方向にλ/2(0.5mm)間隔で定在波の腹部57が繰り返し発生する。従って、腫瘍55の下端部には21番目の腹部57−21が、また腫瘍55の上端部には61番目の腹部57−61が発生する。
【0065】
このようにして発生した定在波の腹部57に対して、導入用超音波の周波数を変更(低減)させることによって、例えば21番目の腹部57−21を22番目の腹部57−22の方向に順次移動させるためには導入用超音波の周波数を1.5MHzから1.43MHzに、また60番目の腹部57−60を61番目の腹部57−61の方向に順次移動させるためには導入用超音波の周波数を1.5MHzから1.48MHzに連続的あるいはステップ的に変化させればよい。
【0066】
但し、実際の定在波の移動は、腫瘍55に設定された集束領域53において行なえばよく、この照射位置が腫瘍下端部の近傍にある場合は約5%の範囲で、また上端部の近傍にある場合は約2%の範囲でCW発信器31の連続波周波数を順次更新すればよい。
【0067】
この場合、操作者は既に述べた照射計画策定において、表示部14のモニタに表示される超音波画像上の肝臓境界面56の位置を操作部15の入力デバイスを用いて指定する必要があり、システム制御部13のCPU36は、入力された境界面56の位置を読み取り、この境界面位置情報と導入超音波の照射位置とから上記の周波数変動幅を概算することが可能となる。但し、導入用超音波の周波数を変更しながら、同一の照射位置を異なる周波数の定在波の腹部57によって順次照射しても構わないため、周波数の変化幅を圧電振動子23の共振周波数帯域内で広めに(例えば±10%乃至±20%)設定することによって上記のような面倒な設定を省略してもよい。
【0068】
次に、集束領域53の幅Wの設定方法について述べる。図5の圧電振動子23の振動素子41−1乃至41−Nから放射される導入用超音波の位相を照射位置において一致させた場合、集束領域53の幅ΔWは狭くなりすぎ、圧電振動子23の口径D1が大きいほど、また導入用超音波の周波数が高いほど顕著となる。このような導入用超音波を用い、腫瘍55の全領域で均一な照射を行なうためには多くの照射位置を設定する必要があり、照射に要する時間が増大する。このような問題点を解決するために、図1の照射用駆動部16の遅延回路32は、CW発生器31から出力される連続波に対して所定の誤差位相を加味した遅延位相を与えることによって、集束領域53の幅ΔWを拡大させる。尚、この技術は特許文献1において既に記載されているため詳細な説明は省略する。
【0069】
以上述べた手法により、定在波の移動と集束領域53の拡大が行なわれた導入用超音波によって、腫瘍55における第1の照射位置g1の照射が行われ、照射中の腫瘍55の状況は表示部14のモニタに表示される超音波画像によって観察される。
【0070】
腫瘍55の第1の照射位置g1に対する照射が所定時間行われたならば、システム制御部13は、照射計画において予め設定された第2の照射位置g2を含む断面の超音波画像データを収集するために、超音波映像部11の回動機構部17に制御信号を供給し、回動機構部17は、超音波プローブ19を回動して第2の照射位置における超音波画像データの収集と表示を行なう。
【0071】
次いで、システム制御部13は、前記照射位置g2に導入用超音波を照射するために、N個の振動素子41−1乃至41−Nに供給される駆動信号の遅延位相情報を遅延回路32に供給する。そして、CW発生器31から出力される連続波は、この遅延位相情報に基づいて所定の遅延位相が与えられ、パワーアンプ33やマッチング回路34を介して振動素子41−1乃至41−Nに供給されて、第2の照射位置g2に導入用超音波が照射される。
【0072】
上記の手順により、導入用超音波の照射位置は照射計画に基づいて順次更新され、夫々の照射位置の超音波画像が表示部14において表示されるとともに、この照射位置に対して導入用超音波が照射される。そして、全ての照射位置に対して照射が行われたならば、腫瘍55に対する導入用超音波の照射を完了する。
【0073】
なお、導入用超音波を照射しながらイメージング用超音波による照射位置の超音波画像データの収集を行う場合、イメージング用超音波は導入用超音波の影響を受け、その画質は著しく低下する。このため、図7に示すように導入用超音波の照射と画像データの収集を時分割的に行うようにする。例えば、第1の照射位置g1に対する超音波画像データの収集と導入用超音波の照射において、最初の期間T1において、第1の照射位置g1を含む超音波画像データの収集と、この画像のリアルタイム表示を行なう。
【0074】
次いで、期間T2において照射位置g1に対する導入用超音波の照射を行ない、このときシステム制御部13のCPU36は、期間T1において最後に収集した超音波画像データを図3の送受信部20の画像データ記憶部64から読み出し、表示部14のモニタ上に静止画像として表示する。また、期間T2における導入用超音波の照射開始と照射終了のタイミングは、システム制御部13のCPU36より照射用駆動部16のCW発生器31に送られる制御信号によって決定される。
【0075】
尚、腫瘍55の全領域に対する導入用超音波の照射が完了した被検体51に対して行なわれる遺伝子導入の効果の確認は、医用超音波照射装置100の超音波映像部11によって容易に行なうことが可能であるが、molecular−imagingに有効なPET(陽電子放出コンピュータ断層撮影法)やMRIによって行なうことも可能である。
【0076】
以上述べた本実施の形態によれば、腫瘍55などの所定の領域に対して遺伝子導入用超音波を集束して照射する際、遺伝子導入用超音波の集束領域53の大きさと、この集束領域53に生ずる定在波の形状を任意に制御することが可能となるため、広い領域における遺伝子導入を効率よく行なうことができる。
【0077】
また、造影剤に含まれるマイクロバブル59の成長と破砕に対して高い検出感度を有する超音波画像データの収集と表示を併用しているため、導入用超音波による遺伝子導入効果を超音波画像から推定することが容易となる。
【0078】
(変形例)
次に、本発明の実施の形態の変形例について図8を用いて説明する。この変形例では、生体から摘出された組織、あるいはマウスなどの小動物を用いて遺伝子導入を行なう場合に有効な医用超音波照射装置について述べる。
【0079】
この変形例における医用超音波照射装置200は、図8に示すように試料151に対して導入用超音波を照射する照射部150と、この照射部150を駆動する照射用駆動部116と、照射条件の設定や各種のコマンド信号を入力する操作部115と、操作部115からの入力信号に基づいて照射用駆動部116を制御するシステム制御部113を備えている。
【0080】
医用超音波照射装置200の照射部150は、摘出された組織あるいは細胞と遺伝子を組み込んだプラスミドとが混入した試料151が容器152に納められ、容器152の側面には、試料151に対して導入用超音波を照射するための凹面状の圧電振動子123が取り付けられている。また、容器152の他の側面には圧電振動子123と対向して金属板などからなる凹面状の音響反射板121が備えられている。そして、圧電振動子123と音響反射板121は、夫々の曲率の中心(即ち集束点)がほぼ一致するように配置され、この集束点近傍に前記試料151が設置される。
【0081】
一方、照射用駆動部116は、CW発生器131、遅延回路132、パワーアンプ133、マッチング回路134を備え、CW発生器131から出力された連続波は遅延回路132、パワーアンプ133、及びマッチング回路134を介して照射部150の圧電振動子123に供給され、試料151に対して導入用超音波が照射される。そして、照射された導入用超音波は音響反射板121において反射されるため、試料151が置かれている領域において、圧電振動子123から直接照射される第1の導入用超音波と、音響反射板121において反射して第1の導入用超音波に対して逆方向に伝搬する第2の導入用超音波は干渉して定在波を発生する。
【0082】
次いで、システム制御部113は、この定在波の位置を移動し、試料151に対して導入用超音波を均一に照射させるために照射用駆動部116のCW発生器131に対して制御信号を与え、所定の周波数範囲において導入用超音波周波数を連続的あるいはステップ状に更新する。
【0083】
以上述べた本実施の形態の変形例によれば、摘出された組織等においても導入用超音波の定在波を移動させることによって均一な照射を行なうことが可能となるため、遺伝子導入の効率を向上させることが可能となる。
【0084】
以上、本発明の実施の形態について述べたが、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々変形して実施することが可能である。例えば、本実施の形態において、導入用超音波の照射位置の設定は2次元配列した振動素子に供給される駆動信号の位相制御によって行なったが、この方法に限定されるものではなく、例えば、特許文献2に記載の技術によって凹面状の単一圧電振動子、あるいはアニュラアレイ(同心円配列)の圧電振動子を機械的に移動させる方法を用いてもよい。但し、アニュラアレイの圧電振動子を用いた方法では、深さ方向(Z方向)の照射位置の設定は位相制御によって行なう必要があるため、多チャンネルの照射用駆動部が必要となる。尚、位相制御により照射位置の設定を行なう場合、凹面の圧電振動子を用いることが望ましいが、平面状の圧電振動子であっても構わない。
【0085】
また、上記の説明では、対象部位が肝臓の場合について説明したが、他の臓器であってもよく、また腫瘍に対する遺伝子導入に限定されるものではない。例えば、腫瘍に対する抗がん剤、あるいは血管内血栓に対する血栓溶解剤等、各種薬剤を投与した状態で超音波を照射する場合においても本発明は有効である。
【0086】
一方、本発明の実施の形態の変形例においても上記実施の形態と同様に、圧電振動子と照射用駆動部116を多チャンネルで構成することによって、導入用超音波の集束領域を移動してもよい。また、この方法における遺伝子導入のモニタリングとして、例えば、図8に示すように蛍光顕微鏡や共焦点顕微鏡などを更に備えることによって、顕微鏡観察下での遺伝子導入を行なうことができる。
【0087】
尚、本発明の導入用超音波は上記のように集束されたものに限定されない。
【0088】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、遺伝子導入のための超音波を照射する際、照射領域に生ずる定在波の形状を任意に制御することができるため、この照射領域において均一な照射が可能となり、効率のよい遺伝子導入が可能な医用超音波照射装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態における医用超音波照射装置全体の構成を示すブロック図。
【図2】 同実施の形態における圧電振動子の構成を示す図。
【図3】 同実施の形態における超音波映像部の送受信部のブロック図。
【図4】 同実施の形態における導入用超音波の集束領域を示す図。
【図5】 同実施の形態の集束領域に形成される定在波を模式的に示した図。
【図6】 同実施の形態において発生する定在波の具体例を示す図。
【図7】 同実施の形態におけるイメージング用超音波の送受信期間と導入用超音波の照射期間を示す図。
【図8】 同実施の形態の変形例における医用超音波照射装置の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
11…超音波映像部
12…超音波照射部
13…システム制御部
14…表示部
15…操作部
16…照射用駆動部
17…回動機構部
18…アプリケータ
19…超音波プローブ
20…送受信部
23…圧電振動子
24…カップリング膜
25…カップリング液
26…孔部
31…CW発生器
32…遅延回路
33…パワーアンプ
34…マッチング回路
36…CPU
37…記憶回路
41…振動素子
51…被検体
53…集束領域
55…腫瘍
56…境界面
57…定在波の腹部
59…マイクロバブル
100…医用超音波照射装置
Claims (10)
- 細胞に対して超音波を照射し、遺伝子導入を行なう医用超音波治療装置において、
所定周波数の電気的な駆動信号を超音波に変換して照射する電気音響変換手段と、
この電気音響変換手段に対して前記駆動信号を供給する駆動信号供給手段を備え、
前記駆動信号供給手段は、前記電気音響変換手段に供給する前記駆動信号の周波数を連続的あるいはステップ状に増減することを特徴とする医用超音波照射装置。 - 細胞に対して超音波を照射し、遺伝子導入を行なう医用超音波治療装置において、
被検体に対して超音波の照射位置を設定する照射位置設定手段と、
所定周波数の電気的な駆動信号を超音波に変換して前記被検体に照射する電気音響変換手段と、
この電気音響変換手段に対して前記駆動信号を供給する駆動信号供給手段とを備え、
前記駆動信号供給手段は、前記電気音響変換手段に供給する前記駆動信号の周波数を連続的あるいはステップ状に増減することを特徴とする医用超音波照射装置。 - 細胞に対して超音波を照射し、遺伝子導入を行なう医用超音波治療装置において、
被検体に対して超音波の照射位置を設定する照射位置設定手段と、
所定周波数の電気的な駆動信号を超音波に変換して前記被検体に照射する電気音響変換手段と、
この電気音響変換手段に対して前記駆動信号を供給する駆動信号供給手段と、
前記電気音響変換手段から照射された前記超音波に応じて前記被検体の超音波画像データを生成する超音波画像データ生成手段と、
前記超音波画像データ生成手段からの超音波画像データを表示する表示手段とを備え、
前記駆動信号供給手段は、前記電気音響変換手段に供給する前記駆動信号の周波数を連続的あるいはステップ状に増減することを特徴とする医用超音波照射装置。 - 前記電気音響変換手段は、複数の電気音響変換素子を配列して設けていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の医用超音波照射装置。
- 前記照射位置設定手段は、前記複数の電気音響変換素子の各々を駆動する駆動信号の位相を制御することによって所定部位に集束領域を形成することを特徴とする請求項4記載の医用超音波照射装置。
- 前記照射位置設定手段は、前記電気音響変換手段を機械的に移動することによって照射位置の更新を行なうことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の医用超音波照射装置。
- 前記駆動信号供給手段は、予め定められた期間において所定周波数の連続波を前記電気音響変換手段に供給することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の医用超音波照射装置。
- 前記駆動信号供給手段は、前記駆動信号の周波数を±20%の範囲内で増減することを特徴とする請求項7記載の医用超音波照射装置。
- 前記駆動信号供給手段は、操作部より指定される周波数範囲において前記駆動信号の周波数を増減することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいづれか1項に記載の医用超音波照射装置。
- 前記照射位置設定手段は、前記超音波画像データ生成手段によって得られた前記超音波画像データに基づいて設定されることを特徴とする請求項3記載の医用超音波照射装置。
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