JP4685458B2 - 超音波診断装置 - Google Patents

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Description

本発明は、超音波診断装置に係り、特に、超音波造影剤を用いることによって生体内の血流情報を高精度で観測することを可能とする超音波診断装置に関する。
超音波診断装置は、超音波プローブに内蔵された超音波振動子から発生した超音波を被検体内に放射し、被検体組織の音響インピーダンスの差異によって生ずる反射波を前記超音波プローブによって受信してモニタ上に表示するものである。
超音波診断法は、超音波プローブを体表に接触させるだけの簡単な操作でリアルタイムの2次元画像が容易に観測できるため、心臓などの機能検査や各種臓器の形態診断に広く用いられている。又、X線診断装置やX線CT装置による診断法に見られるような被曝が無いため、心臓、腹部、乳腺、泌尿器に対する診断のみならず、産科領域の胎児診断においても繰り返し用いることができ、更に、装置が小型ゆえにベッドサイドでの使用が可能である等多くの利点を有している。
この超音波診断法において、近年、静脈から投与可能な超音波造影剤が開発され、この超音波造影剤は、動脈より注入されていた従来の造影剤より侵襲度が低く取り扱いも容易なため臨床の場で徐々に普及し始めている。
新たに開発された超音波造影剤は、例えば、空気や不活性ガスを糖質や脂質などで覆って形成した微小なマイクロバブルを有し、このマイクロバブルの音響インピーダンスは生体組織の音響インピーダンスに対して著しく異なるため、高感度の反射波を得ることができる。このため、静脈に注入された超音波造影剤が血液と共に肺や心臓左室を経由し観測部位の毛細血管や生体組織内に到達した時点で超音波を送受信することによって、超音波造影剤からの受信信号を高感度で得ることができる。そして、得られた受信信号に基づいて画像データを生成することにより臨床的に有効な血流情報を高精度で観測することが可能となる。
特に、この方法では、超音波造影剤からの反射波の大きさに基づいて画像データを生成しているため、従来、ドプラ信号の検出によって血流情報を画像化していたカラードプラ法では検出が困難であった流速の極めて遅い組織内還流血液(パフュージョン)や停滞した血液等の観測が容易となった。このような利点を有する超音波造影剤を用いた新しい診断法は、例えば、腫瘍の存在診断や鑑別診断、治療効果の判定、虚血性心疾患における冠状動脈狭窄のグレード診断、更には、心筋のバイアビリティ判定等に広く利用されている。
上述の超音波造影剤を用いた診断法は、現在2つの方法に分類することができる。第1の方法は、マイクロバブルを破砕しない程度の小さな音圧の超音波を送信(以下では、低音圧送信と呼ぶ。)し、この超音波のマイクロバブルへの照射による共振によって発生する超音波信号を受信して画像データを生成する方法である。
この方法では、先ず観測部位に対して大きな音圧の超音波を照射(以下では、高音圧照射と呼ぶ。)することにより、還流していたマイクロバブルを破砕して一旦消滅(リセット)させる。次いで、前記観測部位に血液と共に新たに流入(再還流)してくるマイクロバブルに対して低音圧送信を所定間隔で複数回繰り返して複数枚の画像データを生成する。このような方法によれば、マイクロバブル消滅後の観測部位において徐々に再還流される新たなマイクロバブルを連続的に観測することが可能となり、例えば、血管系の観測、末梢血管系に対する流入血流の観測、更には、組織内血流であるパフュージョンの観測を順次行なうことができる。尚、以下では、高音圧照射の超音波走査(以下では、走査と呼ぶ。)によってマイクロバブルが破砕されてから低音圧送信の走査によって再還流されたマイクロバブルの画像データが生成されるまでの時間を再還流経過時間と呼ぶ。
一方、第2の方法は、マイクロバブルを破砕する程度の強い超音波を送信(以下では、高音圧送信と呼ぶ。)し、破砕時に発生する強い超音波信号を受信して画像データを生成する方法である(例えば、特許文献1参照。)。この方法によれば、音響パワーの大きな超音波送受信によって画像データが生成されるため血流情報を高感度で得ることが可能となる。しかしながら、高音圧送信の度にマイクロバブルは破砕されるため、再還流の状態を連続して観測するには走査の時間間隔を順次変更しながら高音圧送信による走査を複数回繰り返し、これらの高音圧送信の走査によって得られたマイクロバブルの画像データを時系列に合成して表示する方法が行なわれている。尚、この場合も、高音圧送信の走査によってマイクロバブルが破砕されてから次の高音圧送信の走査によって再還流されたマイクロバブルの画像データが生成されるまでの時間を再還流経過時間と呼び、前記高音圧送信による走査は異なる再還流経過時間において複数回行なわれる。
そして、何れの方法においても、低音圧送信あるいは高音圧送信によりマイクロバブルから発生する非線型成分(高調波成分)をフィルタリング処理することによって生体組織からの反射波を排除しマイクロバブルからの反射波を効率よく受信する方法がとられている。
尚、上述の第1の方法における高音圧照射は、観測部位に新たに流入してくるマイクロバブルを選択的に観測するために既に同一部位に存在しているマイクロバブルを消滅させることを目的としており、第2の方法における高音圧送信は、マイクロバブルからの超音波信号を高感度で受信することを主なる目的としている。
特開平8−280674号公報
ところで、心臓のように拍動性の動きが著しい観測部位に対し上述の造影剤を用いた超音波診断を行なう場合には、被検体から得られる心拍情報に基づいて所望の心拍時相における画像データを心拍周期間隔で複数枚生成し、これらの画像データを時系列的に表示することによって生体組織における還流血液の観測が行なわれる。そして、前記心拍時相として、臓器の拍動性移動が最も少ない拡張末期あるいは収縮末期が選択される。
このような場合に上述の第1の方法を適用した場合、画像データを生成するための低音圧送信は心拍時相に同期させる必要があるため、1心拍周期に1枚の画像データが生成されることになり、比較的変化の速い血流情報を観測する場合には必ずしも十分な時間分解能を確保することができない。
一方、上述の第2の方法によれば、医師や検査技師(以下では、操作者と呼ぶ。)は、高音圧送信の走査による画像データの生成とマイクロバブルの破砕を所定時間間隔で複数回繰り返すことによって被検体に注入した超音波造影剤の再還流状態を超音波画像上で観測し、高音圧送信による走査の時間間隔、即ち再還流経過時間を調整する。但し、この場合の再還流経過時間は心拍周期の整数倍に設定される。
この場合、血管拡張や心筋収縮を亢進させるための薬剤を投与することによって心臓に薬物負荷をかけ、負荷前後あるいは負荷下において造影剤の染影輝度を観測する方法が行なわれるが、被検体に対する負担や侵襲度を考慮すれば造影剤による超音波診断は速やかに行なう必要がある。このため、操作者は、上述の再還流経過時間を連続的に増加あるいは減少させることは行なわず、表示部のモニタに表示される再還流状態を観測しながら再還流経過時間を臨機応変に設定あるいは更新する場合が多い。
このような手順によって収集された一連の画像データは、従来、収集された順番で時系列的に表示する方法がとられてきたため、実際に行なわれている再還流の様子を画像上で再現することが不可能となり、操作者は、時系列的に表示される画像データを脳裏で再構築する必要があった。このため、診断精度と診断効率が大幅に低下するとともに、操作者の豊富な経験が要求された。
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、超音波造影剤を注入した被検体に対して心拍同期法による血流情報の収集を行なう際、所定心拍時相において時系列的に得られる画像データを再還流経過時間に基づいて再配列して表示することにより、正確な血流情報の表示を可能とする超音波診断装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に係る本発明の超音波診断装置は、超音波造影剤を投与した被検体に対し超音波の送受信を行なう超音波振動子を有した超音波プローブと、前記超音波振動子を駆動し前記超音波造影剤を破砕する程度の音圧を有する第1の超音波の送信と前記超音波造影剤を実質的に破砕しない程度の音圧を有する第2の超音波の送信を行なう送信手段と、前記第2の超音波の送信によって得られた前記被検体からの反射信号を受信する受信手段と、前記第1の超音波及び前記第2の超音波の送受信方向を制御し前記被検体の撮影対象部位を走査する走査手段と、前記送受信方向を変更しながら前記受信手段によって得られた前記第2の超音波の受信信号に基づいて画像データを生成する画像データ生成手段と、前記撮影対象部位に対し前記第1の超音波による走査とこの第1の超音波による走査に後続する複数回の前記第2の超音波による走査を繰り返す制御手段と、前記第2の超音波の走査によって得られた画像データを前記第1の超音波による走査から前記第2の超音波による走査までの時間情報と関連付けて保存する画像データ記憶手段と、この画像データ記憶手段に保存された複数枚の前記画像データを前記時間情報に基づいて表示する表示手段を備え、前記制御手段は、繰り返し行なわれる前記第1の超音波による走査の各々に後続する前記第2の超音波による走査のタイミングを前記被検体の所定心拍時相に対応させて設定し、前記第1の超音波による走査のタイミングを前記所定心拍時相に対して夫々異なるように設定することを特徴としている。
本発明によれば、超音波造影剤を注入した被検体に対して心拍同期法による血流情報の収集を行なう際、所定心拍時相において時系列的に得られる画像データを再還流経過時間に基づいて表示することができるため、血流情報の正確な表示が可能となる。
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
以下に示す本発明の第1の実施例の特徴は、観測部位に残存している超音波造影剤を高音圧照射の走査によって破砕した後、ECG信号の拡張末期における画像データを低音圧送信の走査によって生成する上述の第1の方法において、前記高音圧照射の走査をECG信号の異なる複数の時相において行ない、各々の高音圧照射の走査に後続した心拍周期間隔の低音圧送信の走査によって得られた複数枚の画像データを、高音圧照射の走査から低音圧送信の走査までの時間差、即ち、再還流経過時間に基づいて再配列して表示することにある。
(装置の構成)
本実施例における超音波診断装置の構成につき図1乃至図3を用いて説明する。尚、図1は、超音波診断装置の全体構成を示すブロック図である。
図1に示した本実施例の超音波診断装置100は、被検体に対して照射用あるいは送信用の超音波パルスを照射/送信すると共に、超音波反射波(受信超音波)を電気信号(受信信号)に変換する超音波プローブ1と、被検体の所定方向に対して超音波パルスを照射/送信するための駆動信号を超音波プローブ1に供給する送信部2と、超音波プローブ1から得られた複数チャンネルの受信信号を整相加算する受信部3と、整相加算後の受信信号から高調波成分を抽出してBモードデータを生成する信号処理部4と、走査方向単位で得られるBモードデータを順次保存して画像データを生成すると共に、得られた画像データに対し必要に応じて所望の画像処理を行なう画像データ記憶・処理部5を備えている。
又、超音波診断装置100は、画像データ記憶・処理部5において生成された所定心拍時相(拡張末期)における複数枚の画像データを後述する再還流経過時間情報に基づいて再配列する画像データ再配列部6と、高音圧照射及び低音圧送信において送信部2から超音波プローブ1に供給される駆動信号の駆動電圧を制御する音響出力制御部7と、再還流経過時間を計測する再還流経過時間計測部8と、前記画像データ再配列部6によって再配列された画像データの各々に対し走査変換やテレビフォーマット変換を行ない時系列的に表示する表示部9を備え、更に、被検体情報の入力、画像データ生成条件の初期設定及び更新、更には、各種コマンド信号の入力等を行なう入力部11と、被検体の心拍情報(ECG信号)を収集するための心拍情報収集部12と、上述の各ユニットを統括的に制御するシステム制御部13を備えている。
超音波プローブ1は、図示しない1次元あるいは2次元に配列された複数個(M個)の超音波振動子を先端部分に有し、この先端部分を被検体に接触させて超音波の送受信を行なう。又、超音波プローブ1の超音波振動子の各々は、図示しないMチャンネルの多芯ケーブルを介して送信部2及び受信部3に接続されている。超音波振動子は電気音響変換素子であり、送信時には電気パルス(駆動信号)を超音波パルスに変換し、又受信時には超音波反射波(受信超音波)を電気的な受信信号に変換する機能を有している。
この超音波プローブ1には、セクタ走査対応、リニア走査対応、コンベックス走査対応等があり、操作者は診断部位に応じて任意に選択することが可能であるが、本実施例では、M本の超音波振動子が1次元配列されているセクタ走査用の超音波プローブを用いた場合について述べる。
次に、送信部2は、レートパルス発生器21と、送信遅延回路22と、駆動回路23を備えている。レートパルス発生器21は、高音圧照射の繰り返し周期あるいは低音圧送信の繰り返し周期を決定するレートパルスを生成して送信遅延回路22に供給する。
次に、送信遅延回路22は、送信に使用される超音波振動子と同数のMチャンネルの独立な遅延回路から構成され、超音波パルスを所定の深さに集束するための集束用遅延時間と、超音波パルスを所定の方向に送信するための偏向用遅延時間を上記レートパルスに与え、このレートパルスを駆動回路23に供給する。
一方、駆動回路23は、送信遅延回路22と同数のMチャンネルの独立な駆動回路を有しており、超音波プローブ1に内蔵された超音波振動子を駆動し、被検体内に高音圧照射用の超音波パルスと低音圧送信用の超音波パルスを放射する。このMチャンネルの駆動回路23の各々は、後述する音響出力制御部7によって設定された高音圧照射時の駆動電圧VRと低音圧送信時の駆動電圧VLに基づいて駆動信号を生成し超音波プローブ1の超音波振動子に供給する。
次に、受信部3は、Mチャンネルのプリアンプ31及び受信遅延回路32と、加算器33を備えている。プリアンプ31は、超音波振動子によって電気信号(受信信号)に変換された微小信号を増幅し十分なS/Nを確保する。又、受信遅延回路32は、細い受信ビーム幅を得るために所定の深さからの受信超音波を収束するための遅延時間と、所定方向からの受信超音波に対して強い受信指向性を設定するための遅延時間をプリアンプ31の出力に与え、次いで、所定の遅延時間が与えられた受信遅延回路32のMチャンネル出力は加算器33に供給されて整相加算(前記所定方向からの受信信号に対し位相合わせして加算)される。
次に、信号処理部4は、フィルタ回路41と包絡線検波器42と、対数変換器43と、A/D変換器44を備えている。
図2は、受信部3から信号処理部4に供給される受信信号の周波数スペクトラムを示したものであり、図2(a)は、低音圧送信における中心周波数foの超音波パルスの周波数スペクトラム151を、又、図2(b)は、上述の超音波パルスが生体組織に照射された場合の受信信号に含まれる中心周波数foの基本波成分152及び中心周波数2foの2倍高調波成分153とマイクロバブルに照射された場合の受信信号に含まれる周波数成分154を示している。
図2(b)に示すように、マイクロバブルからの受信信号は広帯域な成分を有しており、従って、マイクロバブルの信号成分のみを得るためには生体組織の信号成分が比較的少ない1.5倍高調波成分をフィルタ処理によって抽出することが望ましい。このとき用いられる中心周波数1.5f0の帯域通過フィルタ特性を太実線155によって示す。
即ち、受信部3の加算器33から出力された受信信号は、信号処理部4のフィルタ回路41において、例えば1.5倍高調波成分が抽出され、抽出された受信信号の高調波成分は、包絡線検波器42にて包絡線検波された後対数変換器43において信号振幅が対数変換されて弱い信号が相対的に強調される。そして、A/D変換器44は、対数変換器43の出力信号をデジタル信号に変換してBモードデータを生成する。
次に、画像データ記憶・処理部5は、図示しない演算回路と記憶回路を備え、被検体の複数方向に対して超音波送受信(走査)を行なう。そして、このとき得られる受信信号に基づいて信号処理部4が生成した走査方向単位のBモードデータは前記記憶回路に順次保存されて画像データが生成される。このような画像データは、被検体の拡張末期における低音圧送信の走査によって時系列的に生成され、このとき得られた画像データの各々には再還流経過時間計測部8から供給される再還流経過時間が付帯情報として付加される。又、前記演算回路は、生成された画像データに対し必要に応じて輪郭強調や階調補正、更にはフレーム相関等の画像処理を行ない、処理後の画像データを前記記憶回路に再度保存する。
一方、画像データ再配列部6も図示しない演算回路と記憶回路を備え、前記演算回路は、画像データ記憶・処理部5の記憶回路に保存された一連の画像データを読み出し、これらの画像データをその付帯情報である再還流経過時間の情報に基づいて再配列する。そして、再配列した画像データを前記記憶回路に保存する。
次に、音響出力制御部7は、心拍情報収集部12から供給されるECG信号に基づいてシステム制御部13が設定する高音圧照射用トリガ信号と低音圧送信用トリガ信号を受信し、送信部2の駆動回路23における高音圧照射用駆動電圧VRと低音圧送信用駆動電圧VLを設定する。尚、上記の高音圧照射用トリガ信号及び低音圧送信用トリガ信号は高音圧照射による走査及び低音圧送信による走査を開始するためトリガ信号を意味している。
又、再還流経過時間計測部8は、システム制御部13から供給される高音圧照射用トリガ信号と低音圧送信用トリガ信号に基づいて、再還流経過時間を計測する。具体的には、観測部位に残留したマイクロバブルを消滅するための高音圧照射用トリガ信号と、画像データの生成を目的として高音圧照射に後続して供給される複数の低音圧送信用トリガ信号との時間間隔を再還流経過時間として計測する。
図3を用いて高音圧照射用トリガ信号及び低音圧送信用トリガ信号と再還流経過時間の関係を説明する。図3(a)は、ECG信号のR波、図3(b)は、高音圧照射用トリガ信号P0と低音圧送信用トリガ信号A01、A02、A03・・・・であり、低音圧送信用の各トリガ信号はECG信号の拡張末期に対応し、高音圧照射用トリガ信号は低音圧送信用の最初のトリガ信号A1より時間τ01だけ先行する場合について示している。一方、図3(c)は、再還流経過時間を、図3(d)は、再還流によって観測部位に蓄積された造影剤の濃度を示している。即ち、再還流経過時間計測部8は、システム制御部13から供給される高音圧照射用トリガ信号と低音圧送信用トリガ信号(図3(b))に基づいて再還流経過時間τ01、τ02、τ03、・・・・を計測する(図3(c))。
図1に戻って、超音波診断装置100の表示部9は、表示用画像データ生成回路91と、変換回路92と、モニタ93を備え、表示用画像データ生成回路91は、画像データ再配列部6において再配列された画像データに対し所定の表示形態に対応した走査変換等の処理を行なって表示用画像データを生成し、変換回路92は、前記表示用画像データに対してD/A変換とテレビフォーマット変換を行なってモニタ93に表示する。尚、表示用画像データ生成回路91は、システム制御部13を介して入力部11から供給されるループ表示範囲の情報に基づいて再配列された前記画像データの中から所望範囲の画像データを選択し、モニタ93に繰り返し表示(ループ表示)する機能を有している。
一方、入力部11は、操作パネル上に液晶表示パネルやキーボード、トラックボール、マウス等の入力デバイスを備え、操作者は、入力部11より被検体情報の入力、画像表示モードの選択、画像データを生成する心拍時相の設定、高音圧照射用トリガ信号P0と低音圧送信用トリガ信号A01との時間差τ01の設定、高音圧照射による走査の間隔(P−P)における低音圧送信の走査回数(H)の設定、再配列後の画像データ群に対するループ表示範囲の設定、ループ表示に要する高音圧照射の走査回数(J)、高音圧照射用駆動電圧VR及び低音圧送信用駆動電圧VLの設定、更には、画像データを生成するための画像データ生成開始コマンドの入力等を行なう。
一方、心拍情報収集部12は、ECG(心電波形)計測ユニットを備え、被検体に装着された図示しないECG電極によって検出されるECG信号を図示しないA/D変換器によってデジタル信号に変換した後システム制御部13に供給する。
システム制御部13は、図示しないCPUと記憶回路を備え、入力部11から入力された種々の情報は前記記憶回路に保存される。次いで、前記CPUは、これらの情報に基づいて超音波診断装置100の上記各ユニットの制御やシステム全体の制御を行なう。例えば、システム制御部13は、送信部2の送信遅延回路22及び受信部3の受信遅延回路32の遅延時間を制御して超音波の送受信方向(走査方向)を順次更新する。又、心拍情報収集部12から供給されるECG信号、入力部11にて設定された画像データ生成時の心拍時相や高音圧照射用トリガ信号P0と低音圧送信用トリガ信号A01との時間差τ01に関する情報に基づき、高音圧照射用トリガ信号P0及び低音圧送信用トリガ信号A01、A02、A03、・・・を生成して送信部2、音響出力制御部7及び再還流経過時間計測部8に供給する。
(画像データの生成手順)
次に、本実施例における画像データの生成手順につき図1乃至図8を用いて説明する。尚、図4は、画像データの生成手順を示すフローチャートである。
(初期設定)
画像データの生成に先立って超音波診断装置100の操作者は、入力部11において被検体情報を入力すると共に画像表示モードとしてセクタ走査による「造影剤再還流画像データ」の表示モードを選択し、更に、高音圧照射用駆動電圧VR及び低音圧送信用駆動電圧VLや高音圧照射用トリガ信号間(P−P)の低音圧送信用トリガ信号数Hを設定する。次いで、操作者は、心拍情報収集部12におけるECG計測ユニットの電極を被検体に装着して得られたECG信号から心拍周期T0を計測すると共に、ECG信号のR波からTx後の「拡張末期」を画像データ生成時の心拍時相として設定する。
図5(a)は、左心室の容積変化曲線、図5(b)は、ECG信号を示したものであり、ECG信号のR波からT波までが収縮期、このT波から次のR波までが拡張期である。そして、拡張末期T1あるいは収縮末期T2においてその左室容積の変化が最小になる。即ち、心臓の動きが最小となる拡張末期T1あるいは収縮末期T2において動きの影響を抑えた良質な画像データを生成することが可能となる。以下では、拡張末期T1において画像データを生成する場合について述べるが、収縮末期T2であっても構わない。又、動きの影響が顕著でない場合には他の時相であってもよい。
次いで、操作者は、ループ表示に要する高音圧照射の走査回数Jを設定し、更に、高音圧照射用トリガ信号P0と低音圧送信用トリガ信号A01との時間差τ01を設定する。ここでは、説明を容易にするためにJ=3に設定し、3つの高音圧照射用トリガ信号P1乃至P3とこれらのトリガ信号に後続する低音圧送信用トリガ信号A11乃至A31との時間差をτ11乃至τ31に設定する。このとき、上述の高音圧照射用トリガ信号P1乃至P3と低音圧送信用トリガ信号A12、A21、A31の時間差は夫々、τ12=T0、τ21=T0/3、τ31=2T0/3となり、高音圧照射用トリガ信号と低音圧送信用トリガ信号の時間差は高音圧照射による走査の度にT0/3ずつ更新されるが、これらについての詳細は後述する。そして、初期設定された上述の入力情報、選択情報及び設定情報は、システム制御部13の記憶回路に保存される(図4のステップS1)。
(モニタリング画像データの生成と表示)
上述の初期設定が終了したならば、操作者は入力部11にてモニタリング画像データの生成開始コマンドを入力し(図4のステップS2)、入力されたコマンド信号がシステム制御部13に供給されることにより、モニタリング画像データの生成と表示が行なわれる。尚、後述する診断用画像データの生成が開始されるまでのモニタリング画像データの生成は、上述の低音圧送信用駆動信号や高音圧照射と同等の音響パワーを有した高音圧送信用駆動信号、更には、これらとは異なる音響パワーを有した駆動信号によって行なうことが可能であるが、ここでは、低音圧送信用駆動信号を用いた場合について説明する。
モニタリング画像データの生成に際して、レートパルス発生器21は、システム制御部13からの制御信号に従って被検体内に放射する超音波パルスの繰り返し周期(レート周期)を決定するレートパルスを送信遅延回路22に供給する。そして、送信遅延回路22は、送信において細いビーム幅を得るために所定の深さに超音波を集束するための遅延時間と、最初の走査方向θ1に超音波を送信するための遅延時間をレートパルスに与え、このレートパルスを駆動回路23に供給する。
一方、音響出力制御部7は、モニタリング画像データの生成開始コマンド信号が入力された時点でシステム制御部13から供給される指示信号に従って送信部2における駆動回路23の駆動電圧を低音圧送信用駆動電圧VLに設定し、駆動回路23は、送信遅延回路22から供給されたレートパルスに基づいて駆動電圧VLの駆動信号を生成する。そして、この駆動信号によって超音波プローブ1の超音波振動子を駆動し、被検体内に中心周波数foの超音波パルスを放射する。
被検体内に放射された超音波パルスの一部は、音響インピーダンスの異なる被検体の臓器境界面や組織にて反射する。この場合、反射された超音波は被検体組織の非線型特性により、例えば、中心周波数が2foの超音波反射波が新たに発生する。即ち、被検体内部にて反射して超音波プローブ1に戻る超音波反射波は、送信時と同じ中心周波数foの基本波成分と、中心周波数が2foの高調波成分が混在したものとなる(図2(b)のスペクトラム152及び153参照。)。
被検体内にて反射された超音波は、送信時と同じ超音波プローブ1によって受信されてMチャンネルの電気的な受信信号に変換される。次いで、この受信信号は、受信部3のプリアンプ31にて所定の大きさに増幅された後、Mチャンネルの受信遅延回路32において所定の深さからの受信超音波を収束するための遅延時間と所定方向からの受信超音波に対し強い受信指向性を設定するための遅延時間が与えられ、加算器33にて整相加算される。
そして、整相加算後の受信信号が供給された信号処理部4のフィルタ回路41は、この受信信号に含まれる中心周波数f0の基本波成分あるいは中心周波数2f0の2倍高調波成分の何れかをフィルタ処理して抽出する。更に、信号処理部4の包絡線検波器42、対数変換器43及びA/D変換器44は、フィルタ回路41の出力信号に対して包絡線検波、対数変換、更にはA/D変換してBモードデータを生成し画像データ記憶・処理部5の記憶回路に保存する。
上述の手順にて、走査方向θ1におけるBモードデータの生成と保存が終了したならば、超音波の送受信方向をΔθずつ順次更新させながらθp=θ1+(p−1)Δθ(p=2〜P)に変更し、同様の手順で超音波の送受信を行なう。このとき、システム制御部13は、その制御信号によって送信遅延回路22及び受信遅延回路32の遅延時間を超音波送受信方向に対応させて順次切り替える。
このようにして、走査方向θ1乃至θPに対して超音波による走査が行なわれ、得られた走査方向単位のBモードデータが画像データ記憶・処理部5の記憶回路に順次保存されてモニタリング画像データが生成される。次いで、表示部9の表示用画像データ生成回路91は、画像データ記憶・処理部5の記憶回路に保存されたモニタリング画像データを読み出し、走査変換等の処理を行なって表示用画像データを生成する。そして、変換回路92は、この表示用画像データに対しD/A変換とテレビフォーマット変換を行なって映像信号を生成しモニタ93に表示する(図4のステップS3)。
そして、θ1乃至θPの走査方向に対する超音波送受信を繰り返すことにより、表示部9のモニタ93には、モニタリング画像データがリアルタイム表示され、操作者は、このモニタリング画像データを観測することによって装置動作の確認、観測部位の設定、更には、装置ゲインやダイナミックレンジ等の設定や更新を行なう(図4のステップS4)。
(画像データの生成と表示)
モニタリング画像データの生成と表示に引き続き造影剤を用いて行なわれる診断用画像データ(以下では、画像データと呼ぶ。)の生成方法につき図6のタイムチャートを用いて説明する。尚、図6(a)は、画像データの生成開始コマンド信号、図6(b)は、ECG信号のR波、図6(c)は、このR波から時間Tx後の拡張末期に設定された低音圧送信用トリガ信号A12乃至A1H、A21乃至A2H,A31乃至A3H(一部図示せず)と、高音圧照射用トリガ信号P1乃至P3を示している。但し、高音圧照射用トリガ信号P1は低音圧送信用トリガ信号A12に対しτ12=T0、高音圧照射用トリガ信号P2は低音圧送信用トリガ信号A21に対しτ21=T0/3、又、高音圧照射用トリガ信号P3は低音圧送信用トリガ信号A31に対しτ31=2T0/3だけ先行して設定される。
一方、図6(d)は、再還流経過時間計測部8が計測する再還流経過時間τ12乃至τ1H、τ21乃至τ2H、τ31乃至τ3Hであり、図(e)は、音響出力制御部7によって設定される高音圧照射用駆動電圧VRと低音圧送信用駆動電圧VLである。又、図6(f)は、観測部位における造影剤濃度の変化曲線を示しており、高音圧照射によって急速に減少した造影剤濃度は再還流経過時間の増加に伴って徐々に増加する。
上述のステップS4において、モニタリング画像データによる装置動作の確認や観測部位の設定が終了したならば、操作者は被検体に対して造影剤を注入し(図4のステップS5)、この造影剤が観測部位に到達した時点で図5(a)に示した画像データ生成開始コマンドを入力部11より入力する(図4のステップS6)。このコマンド信号を受信したシステム制御部13は、信号処理部4のフィルタ回路41における帯域通過フィルタの中心周波数を3f0/2に設定し、更に、心拍情報収集部12から供給される被検体のECG信号のR波からTx経過した拡張末期において第1の高音圧照射用トリガ信号P1を音響出力制御部7、再還流経過時間計測部8及び送信部2のレートパルス発生器21に供給する。そして音響出力制御部7は、この高音圧照射用トリガ信号P1によって送信部2の駆動回路23における駆動電圧をVRに設定し(図6(e))、再還流経過時間計測部8は、再還流経過時間の計測を開始する。
一方。レートパルス発生器21は、前記高音圧照射用トリガ信号P1に基づいてレートパルスを生成し、このレートパルスは送信遅延回路22を介して駆動回路23に供給される。次いで、このレートパルスに基づいて駆動回路23が生成した駆動電圧VRの駆動信号は、超音波プローブ1の超音波振動子に与えられて高音圧照射用の超音波パルスが被検体の所定走査方向に照射される。
そして、観測部位の前記走査方向に既に蓄積されていた造影剤のマイクロバブルはこの超音波パルスによって破砕され、その濃度は図6(f)に示すように急速に減少する。このような高音圧照射を走査方向θ1乃至θPに対して行なうことによって観測部位に蓄積されたマイクロバブルを一旦消滅させる(図4のステップS7)。
次いで、システム制御部13は、高音圧照射用トリガ信号の場合と同様にして心拍情報収集部12から供給されるECG信号の収縮末期において低音圧送信用トリガ信号A12を生成し、音響出力制御部7、再還流経過時間計測部8及びレートパルス発生器21に供給する。そして、音響出力制御部7は、低音圧送信用トリガ信号A12によって送信部2の駆動回路23における駆動電圧をVLに設定し、再還流経過時間計測部8は、高音圧照射用トリガ信号P1からの経過時間(即ち、再還流経過時間)τ12を計測する(図5(d))(図4のステップS8)。
一方、レートパルス発生器21は、低音圧照射用トリガ信号A12に基づいてレートパルスを生成し、このレートパルスは送信遅延回路22を介して駆動回路23に供給される。次いで、このレートパルスに基づいて駆動回路23が生成した駆動電圧VLの駆動信号は、超音波プローブ1の超音波振動子に与えられて低音圧照射用の超音波パルスが被検体内の所定走査方向に送信される。
そして、被検体内に送信された超音波パルスは、生体組織や再還流によって新たに蓄積された造影剤のマイクロバブルに照射され、超音波が発生する。このとき発生する超音波は、既に図2(b)に示したように生体組織やマイクロバブルの非線型特性により基本波成分と高調波成分が混在した周波数成分を有している。
前記超音波は、超音波プローブ1によって受信されてMチャンネルの電気的な受信信号に変換され、受信部3において整相加算処理されて信号処理部4に供給される。一方、中心周波数が3fo/2の帯域通過特性が設定された信号処理部4のフィルタ回路41は、前記受信信号に含まれる生体組織からの信号成分を除去し、マイクロバブルからの信号成分を選択的に抽出する。
次いで、包絡線検波器42、対数変換器43及びA/D変換器44は、フィルタ回路41からの出力信号に対して包絡線検波、対数変換、A/D変換を行なってBモードデータを生成し画像データ記憶・処理部5の記憶回路に保存する。このような低音圧送信を走査方向θ1乃至θPに対して行なうことによって画像データ記憶・処理部5の記憶回路には再還流経過時間τ12における画像データが生成され(図4のステップS9)、この画像データには上記再還流経過時間τ12が付帯情報として付加される(図4のステップS10)。
次いで、システム制御部13は、心拍情報収集部12から時系列的に得られるECG信号の収縮末期において低音圧送信用トリガ信号A13乃至A1Hを生成し、上述と同様の手順によって画像データを生成する。一方、システム制御部13から上記低音圧送信用トリガ信号A13乃至A1Hを受信した再還流経過時間計測部8は、高音圧照射用トリガ信号P1から低音圧送信用トリガ信号A13乃至A1Hまでの再還流経過時間τ13乃至τ1Hを計測する。そして、得られた画像データは再還流経過時間の情報と共に画像データ記憶・処理部5の記憶回路に保存される(図4のステップS8乃至S10)。
低音圧送信用トリガ信号A12乃至A1Hに基づく画像データの生成と保存が終了したならば、同様の手順によって第2の高音圧照射用トリガ信号P2と低音圧送信用トリガ信号A21乃至A2H、第3の高音圧照射用トリガ信号P3と低音圧送信用トリガ信号A31乃至A3Hに基づいてマイクロバブルの消滅と画像データの生成が行なわれる。但し、この場合の第2の高音圧照射用トリガ信号P2は既に述べたように低音圧送信用トリガ信号A21よりT0/3先行し、第3の高音圧照射用トリガ信号P3は低音圧送信用トリガ信号A31より2T0/3先行している。又、低音圧送信用トリガ信号A21乃至A2H及びA31乃至A3Hの時刻はいずれもECG信号の拡張末期に対応している。
一方、再還流経過時間計測部8は、第2の高音圧照射用トリガ信号P2から低音圧送信用トリガ信号A21乃至A2Hまでの再還流経過時間t21乃至t2H及び第3の高音圧照射用トリガ信号P3から低音圧送信用トリガ信号A31乃至A3Hまでの再還流経過時間t31乃至t3Hを上述の画像データの生成と並行して計測する。そして、生成された画像データは再還流経過時間の情報と共に画像データ記憶・処理部5の記憶回路に保存される(図4のステップS7乃至S10)。
以上述べたように、高音圧照射による走査とこの高音圧照射の走査に後続したH回の拡張末期における低音圧送信の走査を3回繰り返すことによって約3H枚の画像データが生成され、得られたこれらの画像データは再還流経過時間情報と共に画像データ記憶・処理部5に保存される。尚、本実施例における第1の高音圧照射用トリガ信号P1は図示しない低音圧送信用トリガ信号A11と一致するため、低音圧送信用トリガ信号A11に基づく画像データの生成を行なっていないが、このタイミングで画像データを生成してもよい。
次に、図1の画像データ再配列部6は、画像データ記憶・処理部5の記憶回路に保存された上述の画像データを読み出し、その付帯情報である再還流経過時間に基づいて再配列する。そして、再配列後の画像データを自己の記憶回路に保存する(図4のステップS11)。
図7は、画像データ再配列部6が行なう画像データの再配列を模式的に示したものであり、図7(a)は、再還流経過時間計測部8によって計測された再還流経過時間を示している。又、図7(b)は、再還流経過時間τ12乃至τ1H、τ21乃至τ2H、τ31乃至τ3Hにおいて生成される再配列前の画像データP12乃至P1H、P21乃至P2H、P31乃至P3Hの位置(時刻)を観測部位における造影剤濃度の変化曲線に重畳して示している。
一方、図7(c)は、例えば、再還流経過時間の順に再配列された画像データP21,P31,P12、P22,・・・の位置(時刻)を造影剤濃度の変化曲線に重畳して示している。即ち、心拍周期T0で収集した拡張末期の画像データに対して上述の再配列処理を施すことにより、T0/3の時間間隔で収集した場合と等価な時間分解能を有する画像データを得ることが可能となる。尚、図7では再還流経過時間の小さい順に画像データを再配列する場合について示したが、これに限定されるものではなく、例えば再還流経過時間の大きい順に再配列してもよい。
次に、表示部9の表示用画像データ生成回路91は、画像データ再配列部6の記憶回路から再配列後の画像データを順次読み出し、所定の表示フォーマットに基づいて走査変換等の処理を行なって表示用画像データを生成する。そして、変換回路92は、この表示用画像データに対してD/A変換とテレビフォーマット変換を行ないモニタ93にループ表示する(図4のステップS12)。
図8は、表示部9のモニタ93にループ表示される画像データの表示例であり、モニタ93の中央部には画像データがループ表示される画像データ表示領域161が設けられ、右下端部には、再配列された複数枚の画像データに対する表示中の画像データの位置関係を示す画像位置インジケータ162が表示される。
そして、画像位置インジケータ162の左端部163−1は、例えば最小の再還流経過時間で生成された画像データに対応し、右端部163−2は最大の再還流経過時間で生成された画像データに対応している。又、この画像位置インジケータの上部に設けられた2つのマーカ「▽」164−1及び164−2はループ表示される最初の画像データと最後の画像データの位置を示しており、これらのマーカ164は入力部11の入力デバイスによって任意に設定することが可能である。そして、表示中の画像データの位置はスライドバー165によって表示される。
更に、このスライドバー165を入力デバイスを用いて所望位置に設定することにより、この位置に対応した再還流経過時間にて生成された画像データを静止した状態で画像データ表示領域161に表示することも可能である。そして、上述の画像データは超音波診断装置100の内部あるいは外部に設けられた図示しないハードディスク等の記憶媒体に保存される。
以上述べた本発明の第1の実施例によれば、観測部位に残存している超音波造影剤を高音圧照射による走査によって一旦消滅させた後、前記観測部位に再還流する超音波造影剤の画像データを所定心拍時相における低音圧送信の走査によって時系列的に生成する際、前記高音圧照射による走査をECG信号の異なる複数の時相において複数回行ない、各々の高音圧照射の走査に後続して行なわれる低音圧送信の走査によって得られた前記画像データを再還流経過時間に基づいて再配列して表示することにより、画像データの時間分解能を改善することが可能となる。
特に、上述の実施例では、ループ表示される画像データを生成するためにJ回(J=3)の高音圧照射による走査を行ない、夫々の高音圧照射による走査とこの高音圧照射の走査に後続する低音圧送信による走査との時間間隔を心拍周期の1/Jずつ異なるように設定することによって等間隔の再還流経過時間で得られた複数枚の画像データを得ることができる。従って、これらの画像データをループ表示することによって連続性に優れた動画像を観測することが可能となり、診断精度が向上する。
更に、本実施例では、表示部にループ表示される画像データの位置情報が画像データと共にモニタに表示されるため、画像データとこの画像データ位置(即ち、画像データの再還流経過時間)を観測することによって観測部位における還流状態の全体像を把握することが容易となる。又、表示中の画像データ位置は操作者によって任意に選択されるため、所望の再還流経過時間における画像データを短時間で検索することが可能となる。
尚、上述の実施例では、高音圧照射による走査をECG信号の異なる3つの時相において行なったが2つ以上の時相であれば特に限定されない。又、ループ表示される画像データを生成するために3回の高音圧照射による走査を行ない、高音圧照射による走査と後続する低音圧送信による走査の間隔が心拍周期の1/3ずつ異なるように設定することにより等間隔の再還流経過時間で複数枚の画像データを生成する場合について示したが、上記の高音圧照射による走査の回数は複数回であればよく、3回に限定されない。
更に、高音圧照射の走査と後続する低音圧送信による走査の間隔は任意に設定してもよい。特に、ループ表示に用いられる画像データを生成する際に高音圧照射による走査を多数回繰り返す場合には、高音圧照射による走査と低音圧送信による走査の間隔を任意に設定して得られた画像データを再還流経過時間に基づいて再配列することにより連続したループ表示を行なうことが可能となる。
次に、本発明の第2の実施例につき図9乃至図11と図1を用いて説明する。以下に示す本発明の第2の実施例の特徴は、ECG信号の拡張末期における高音圧送信の走査を複数回繰り返し、この高音圧送信の走査によって画像データを生成すると共に観測部位の超音波造影剤を破砕する上述の第2の方法において、ECG周期の整数倍に設定された高音圧送信の走査の時間間隔を任意に更新して得られた複数枚の画像データを高音圧送信の走査間隔、即ち、再還流経過時間に基づいて再配列して表示することにある。
(装置の構成)
本実施例における超音波診断装置の構成は図1に示した第1の実施例の場合と略同様であるため詳細な説明は省略する。但し、送信部2のレートパルス発生器21は、心拍情報収集部12から供給されるECG信号の心拍周期と入力部11にて設定される高音圧送信走査間の心拍周期数によって高音圧送信による走査の繰り返し周期を設定し、駆動回路23は、音響出力制御部7によって設定された高音圧送信用駆動電圧VHの駆動信号を上記繰り返し周期で超音波プローブ1の超音波振動子に供給する。
又、信号処理部4は、高音圧送信によって得られた受信信号の中から1.5倍高調波成分を抽出した後、包絡線検波、対数変換、A/D変換によってBモードデータを生成し、再還流経過時間計測部8は、システム制御部13から供給される高音圧送信用トリガ信号の繰り返し周期に基づいて再還流経過時間を計測する。
一方、入力部11は、第1の実施例と同様にして被検体情報の入力、画像表示モードの選択、画像データを生成する心拍時相の設定、再配列後の画像データ群に対するループ表示範囲の設定、画像データ生成開始コマンドの入力等を行ない、更に、高音圧送信用駆動電圧VHの設定、高音圧送信走査間の心拍周期数の設定等を行なう。
又、システム制御部13は、送信部2の送信遅延回路22及び受信部3の受信遅延回路32の遅延時間を制御して超音波の送受信方向(走査方向)を順次更新する。特に本実施例では、心拍情報収集部12から供給されるECG信号、入力部11にて設定される画像データ生成時の心拍時相及び高音圧送信間の心拍周期数に基づき、高音圧送信用トリガ信号を生成して送信部2、音響出力制御部7及び再還流経過時間計測部8に供給する。
(画像データの生成手順)
次に、本実施例における画像データの生成手順につき図9乃至図11を用いて説明する。尚、図9は、画像データの生成手順を示すフローチャートである。
(初期設定)
画像データの生成に先立って超音波診断装置100の操作者は、入力部11において被検体情報を入力すると共に画像表示モードとしてセクタ走査による「造影剤再還流画像データ」の表示モードを選択し、更に、高音圧送信用駆動電圧VHを設定する。次いで、操作者は、心拍情報収集部12におけるECG計測ユニットの電極を被検体に装着して得られたECG信号から心拍周期T0を計測すると共に、ECG信号のR波からTx後の「拡張末期」を画像データ生成時の心拍時相として設定する。そして、初期設定された上述の入力情報、選択情報及び設定情報は、システム制御部13の記憶回路に保存される(図9のステップS21)。
(モニタリング画像データの生成と表示)
上述の初期条件設定が終了したならば、操作者は、入力部11にてモニタリング画像データの生成開始コマンドを入力する(図9のステップS22)。そして、入力されたコマンド信号がシステム制御部13に供給されることにより、モニタリング画像データの生成と表示が行なわれる(図9のステップS23)。但し、このモニタリング画像データの生成とその表示は上述の第1の実施例の場合と同様であるため説明を省略する。次いで、操作者は、表示部9のモニタ93にリアルタイム表示されるモニタリング画像データを観測することによって装置動作の確認、観測部位の設定、更には、装置ゲインやダイナミックレンジ等の設定や更新を行なう(図9のステップS24)。
(画像データの生成と表示)
モニタリング画像データの生成と表示に引き続き造影剤を用いて行なわれる画像データの生成方法につき図10のタイムチャートを用いて説明する。尚、図10(a)は、高音圧送信の走査間の心拍周期数を更新するためのコマンド信号C1、C2、C3,・・・、図10(b)は、ECG信号の拡張末期を示す信号B1,B2,B3,・・・、図10(c)は、この拡張末期信号と入力部11から入力される高音圧送信走査間の心拍周期数に基づいて設定された高音圧送信用トリガ信号Q1、Q2、Q3、・・・を示している。
但し、説明を簡単にするために第1の心拍周期数更新コマンド信号C1に対する高音圧送信走査間の心拍周期数KをK=1、又、第2の心拍周期数更新コマンド信号C2及び第3の心拍周期数更新コマンド信号C3に対する高音圧送信走査間の心拍周期数Kを夫々K=4及びK=2としているが、後述するように、これらの値は画像データ観測下の操作者によって任意に更新される。
一方、図10(d)は、再還流経過時間計測部8が計測する再還流経過時間τ1、τ2、τ3、・・・であり、心拍周期T0に対しτ1=T0、τ2=4T0、τ3=2T0、・・・に設定された場合を示している。又、図10(e)は、観測部位における造影剤濃度の変化曲線を示しており、高音圧送信によって急速に減少した造影剤濃度は再還流経過時間の増加に伴って徐々に増加する。
図9のステップS24において、モニタリング画像データによる装置動作の確認や観測部位の設定が終了したならば、操作者は被検体に対し造影剤を注入する(図9のステップS25)。そして、この造影剤が観測部位に到達した時点で図9(a)に示した画像データの生成開始コマンド信号C1を入力部11より入力し、更に、高音圧送信走査間の心拍周期数Kを、例えば、K=1に設定する(図9のステップS26)。このコマンド信号を受信したシステム制御部13は、信号処理部4のフィルタ回路41における帯域通過フィルタの中心周波数を3f0/2に設定する。
更に、システム制御部13は、心拍情報収集部12から供給される被検体のECG信号のR波からTx経過した拡張末期において生成した第1の高音圧送信用トリガ信号Q1(図10(c))を音響出力制御部7、再還流経過時間計測部8及び送信部2のレートパルス発生器21に供給する。そして音響出力制御部7は、この高音圧照射用トリガ信号Q1によって送信部2の駆動回路23における駆動電圧をVHに設定し、再還流経過時間計測部8は、再還流経過時間の計測を開始する。
一方。レートパルス発生器21は、高音圧送信用トリガ信号Q1に基づいてレートパルスを生成し、このレートパルスは送信遅延回路22を介して駆動回路23に供給される。次いで、このレートパルスに基づいて駆動回路23が生成した駆動電圧VHの駆動信号は超音波プローブ1の超音波振動子に与えられて高音圧送信用の超音波パルスが被検体の所定走査方向に照射される。
そして、観測部位の前記走査方向に既に蓄積されていた造影剤のマイクロバブルはこの超音波パルスによって破砕され、その濃度は急速に減少する。このような高音圧送信を走査方向θ1乃至θPに対して行ない、観測部位を走査することによって前記観測部位に蓄積されたマイクロバブルを一旦消滅させる(図9のステップS27)。
次いで、システム制御部13は、高音圧送信用トリガ信号Q1からτ1(τ1=KT0=T0)後の高音圧送信用トリガ信号Q2を生成し、この高音圧送信用トリガ信号Q2を音響出力制御部7、再還流経過時間計測部8及びレートパルス発生器21に供給する。そして、音響出力制御部7は、高音圧送信用トリガ信号Q2によって送信部2の駆動回路23における駆動電圧をVHに設定し、再還流経過時間計測部8は、高音圧送信用トリガ信号Q1から高音圧送信用トリガ信号Q2までの経過時間(即ち、再還流経過時間)τ1を計測する(図10(d))(図9のステップS28)。
一方。レートパルス発生器21は、高音圧送信用トリガ信号Q2に基づいてレートパルスを生成し、このレートパルスは送信遅延回路22を介して駆動回路23に供給される。このレートパルスに基づいて駆動回路23が生成した駆動電圧VHの駆動信号は超音波プローブ1の超音波振動子に与えられて高音圧送信用の超音波パルスが被検体内の所定走査方向に送信される。
そして、被検体内に送信された超音波パルスは、生体組織や再還流によって新たに蓄積された造影剤のマイクロバブルに照射されて新たな超音波が発生し、又、前記マイクロバブルはこの超音波パルスによって破砕される。このとき発生する超音波は、既に述べたように生体組織及びマイクロバブルの非線型特性により基本波成分と高調波成分が混在した周波数成分を有している。
前記超音波は、超音波プローブ1によって受信されてMチャンネルの電気的な受信信号に変換され、受信部3において整相加算処理されて信号処理部4に供給される。一方、中心周波数が3fo/2の帯域通過特性が設定された信号処理部4のフィルタ回路41は、前記受信信号に含まれる生体組織からの信号成分を除去し、マイクロバブルからの信号成分を選択的に抽出する。
次いで、包絡線検波器42、対数変換器43及びA/D変換器44は、フィルタ回路41からの出力信号に対して包絡線検波、対数変換、A/D変換を行なってBモードデータを生成し画像データ記憶・処理部5の記憶回路に保存する。このような高音圧送信を走査方向θ1乃至θPに対して行なうことによって画像データ記憶・処理部5の記憶回路には再還流経過時間τ1における画像データが生成され(図9のステップS29)、この画像データには上記再還流経過時間τ1が付帯情報として付加される(図9のステップS30)。
一方、表示部9の表示用画像データ生成回路91は、画像データ記憶・処理部5の記憶回路から上述の画像データを順次読み出し、所定の表示フォーマットに基づいて走査変換等の処理を行なって表示用画像データを生成する。そして、変換回路92は、この表示用画像データに対してD/A変換とテレビフォーマット変換を行ないモニタ93に表示する(図9のステップS31)。
上述の超音波による走査を複数回(図10では2回)繰り返し(図9のステップS28乃至31)、操作者は、このとき表示される再還流経過時間τ1の画像データを観測することによって、次の高音圧送信走査間の心拍周期数Kを、例えばK=4に更新するための心拍周期数更新コマンドを入力部11より入力する(図10(a))(図9のステップS32)。
この更新コマンド信号を受信したシステム制御部13は、高音圧送信用トリガ信号Q4(図10(c))を再還流経過時間計測部8に供給し、再還流経過時間計測部8は、再還流経過時間の計測を開始する。又、システム制御部13は、高音圧送信用トリガ信号Q4を送信部2に供給して高音圧送信用駆動信号を生成する。そして、この駆動信号に基づいて被検体に送信された超音波パルスにより観測部位に蓄積されているマイクロバブルは破砕される。
次に、システム制御部13は、高音圧送信用トリガ信号Q4から4T0後の高音圧送信用トリガ信号Q5を生成し、この高音圧送信用トリガ信号Q5を再還流経過時間計測部8に供給する。そして、再還流経過時間計測部8は、高音圧送信用トリガ信号Q4から高音圧送信用トリガ信号Q5までの経過時間(即ち、再還流経過時間)τ2を計測する(図10(d))。
更に、システム制御部13は、高音圧送信用トリガ信号Q5を送信部2に供給し上述と同様な手順によって画像データの生成、保存及び表示を行なう。尚、画像データ記憶・処理部5の記憶回路に保存される画像データには再還流経過時間計測部8によって計測された再還流経過時間が付帯情報として付加される。
このようにして、操作者は、表示部9のモニタ93に表示される画像データを観測しながら高音圧送信走査間の心拍周期数Kを任意の値に順次更新(例えば、第3の心拍周期数更新コマンドC3ではK=2T0に更新)し、このとき得られた画像データは再還流経過時間τ3(図10ではτ3=2T0)、τ4、τ5、・・・と共に画像データ記憶・処理部5に保存される(図9のステップS27乃至S32)。
図11は、このとき画像データ記憶・処理部5の記憶回路に保存される画像データを模式的に示したものであり、この記憶回路には、高音圧送信用トリガ信号Q2及びQ3によって生成された再還流経過時間τ1の画像データPct2及びPct3、高音圧送信用トリガ信号Q5及びQ6によって生成された再還流経過時間τ2の画像データPct5及びPct6、高音圧送信用トリガ信号Q8及びQ9によって生成された再還流経過時間τ3の画像データPct8及びPct9が再還流経過時間情報と共に保存されている。
次に、図1の画像データ再配列部6は、画像データ記憶・処理部5の記憶回路に保存された上述の画像データを読み出してその付帯情報である再還流経過時間に基づいて再配列し、再配列後の画像データを自己の記憶回路に保存する(図9のステップS33)。この場合、画像データ再配列部6は、所定の高音圧送信走査間の心拍周期数Kにおいて得られた複数の画像データの中から、例えば最後に得られた画像データ、即ち、高音圧送信用トリガ信号Q3、Q6、・・・に基づいて生成された画像データを抽出し、その再還流経過時間τ1、τ2、・・・に基づいて再配列して記憶回路に保存する。
次に、表示部9の表示用画像データ生成回路91は、画像データ再配列部6の記憶回路から再配列後の画像データを順次読み出し、所定の表示フォーマットに基づいて走査変換等の処理を行なって表示用画像データを生成する。そして、変換回路92は、この表示用画像データに対してD/A変換とテレビフォーマット変換を行ないモニタ93にループ表示する(図9のステップS34)。
尚、上述の画像データを表示する際、図8において示した第1の実施例と同様な表示方法を適用することが可能であり、従って、ループ表示される画像データの位置情報が画像データと共にモニタ93に表示される。このため、観測部位における還流状態の全体像の把握や、所望の再還流経過時間における画像データの検索が容易となる。
以上述べた本発明の第2の実施例によれば、観測部位に残存している超音波造影剤を高音圧照射の走査によって一旦消滅した後、前記観測部位に再還流する超音波造影剤の画像データを所定心拍時相における高音圧送信の走査によって時系列的に生成する際、任意の順序で得られた異なる再還流経過時間における画像データを再還流経過時間の大きさに基づいて再配置して表示することにより、画像情報を連続的に表示することが可能となり、実際の再還流状態に即した観測ができる。このため、従来のような脳裏における画像再構築の必要がなくなり、操作者に対する負担が軽減する。
更に、高音圧送信用駆動信号によって行なわれるため高感度な画像データを生成することができる。
尚、上述の実施例では、同一の高音圧送信走査間隔において得られた複数枚の画像データの中から、最後に得られた画像データを抽出し、異なる高音圧送信走査間隔における複数枚の画像データを再還流経過時間に基づいて再配列する場合について述べたが、抽出される画像データの位置(時刻)は、限定されない。又、同一の高音圧送信走査間隔において得られた複数枚の画像データに対して加算平均等の合成処理を行ってもよい。
更に、高音圧送信走査間の心拍周期数が2以上の場合には、高音圧送信による走査が行なわれない拡張末期の時相においてマイクロバブルが破砕されない程度の低音圧送信による走査を行ない、モニタリング用の画像データを生成してもよい。この場合、表示部9のモニタ93には、高音圧送信の走査によって得られた画像データとモニタリング画像データが比較表示される。
以上、本発明の実施例について述べてきたが、本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく、変形して実施することが可能である。例えば、上述の実施例における心拍情報収集部12はECG計測ユニットを例に説明したが、心音計等の他の計測ユニットであってもよい。又、画像データが収集される心拍時相は、上述の実施例にて述べたように拡張末期あるいは収縮末期が望ましいが、拍動性の移動が比較的少ない臓器に対しては他の心拍時相であっても構わない。
一方、操作者は、画像データ再配列部6における再配列前の画像データあるいは再配列後の画像データを表示部9にて表示することによって良否の確認を行ない、良質の画像データのみを選択してループ表示することが望ましい。この場合、ループ表示に望ましくない画像データはマーキングが施され、このマーキングを有した画像データはループ表示の対象から外される。又、画像データ再配列部6は、入力部11からの指示信号に従って再配列後の画像データを元の配列順序に戻す機能を有することが望ましい。特に、ループ表示の範囲を再設定する際には上記機能が有効となる。
又、表示部9に表示される再配列後の画像データの表示方法はループ表示に限定されるものではなく、例えば、入力部11の入力デバイスを用いた所謂「頁めくり表示」や静止画像表示であってもよい。
更に、上述の実施例における再配列処理は、画像データ記憶・処理部5に保存された画像データに対して行なったが、表示部9の表示用画像データ生成回路91において走査変換された画像データ、更には、図示しない画像変換回路においてBMP、JPEG、AVI、MPEGなどの汎用フォーマットに変換された画像データに対して行なってもよい。
尚、本発明における超音波診断装置100の構成は、上述の実施例に限定されない。例えば、アナログ方式の受信部3はデジタル方式であってもよく、超音波振動子を1次元に配列した超音波プローブ1は2次元配列された超音波プローブであってもよい。又、カラードプラ画像データ等の他の画像データを生成するための信号処理部を備えていてもよい。
ところで、薬物負荷や運動負荷の前後における被検体に対して上述の実施例にて述べた造影剤再還流の画像データを収集することが可能である。この場合、所定心拍時相の所定再還流経過時間における負荷前後の静止画像データあるいはループ表示による動画像データが表示部9のモニタ93に高精度で比較表示される。
本発明の第1の実施例における超音波診断装置の全体構成を示すブロック図。 同実施例において被検体から得られる受信超音波の周波数スペクトラムを示す図。 同実施例における高音圧照射用トリガ信号及び低音圧送信用トリガ信号と再還流経過時間の関係を示す図。 同実施例における画像データの生成手順を示すフローチャート。 心拍周期における拡張末期及び収縮末期を説明するための図。 本発明の第1の実施例における画像データの生成方法を示すタイムチャート。 同実施例における画像データの再配列を模式的に示す図。 同実施例においてループ表示される画像データの表示例を示す図。 本発明の第2の実施例における画像データの生成手順を示すフローチャート。 同実施例における画像データの生成方法を示すタイムチャート。 同実施例の画像データ記憶・処理部に保存される画像データを模式的に示す図。
符号の説明
1…超音波プローブ
2…送信部
3…受信部
4…信号処理部
5…画像データ記憶・処理部
6…画像データ再配列部
7…音響出力制御部
8…再還流経過時間計測部
9…表示部
11…入力部
12…心拍情報収集部
13…システム制御部
21…レートパルス発生器
22…送信遅延回路
23…駆動回路
31…プリアンプ
32…受信遅延回路
33…加算器
41…フィルタ回路
42…包絡線検波器
43…対数変換器
44…A/D変換器
91…表示用画像データ生成回路
92…変換回路
93…モニタ
100…超音波診断装置

Claims (4)

  1. 超音波造影剤を投与した被検体に対し超音波の送受信を行なう超音波振動子を有した超
    音波プローブと、
    前記超音波振動子を駆動し前記超音波造影剤を破砕する程度の音圧を有する第1の超音波
    の送信と前記超音波造影剤を実質的に破砕しない程度の音圧を有する第2の超音波の送信
    を行なう送信手段と、
    前記第2の超音波の送信によって得られた前記被検体からの反射信号を受信する受信手段
    と、
    前記第1の超音波及び前記第2の超音波の送受信方向を制御し前記被検体の撮影対象部位
    を走査する走査手段と、
    前記送受信方向を変更しながら前記受信手段によって得られた前記第2の超音波の受信信
    号に基づいて画像データを生成する画像データ生成手段と、
    前記撮影対象部位に対し前記第1の超音波による走査とこの第1の超音波による走査に後
    続する複数回の前記第2の超音波による走査を繰り返す制御手段と、
    前記第2の超音波の走査によって得られた画像データを前記第1の超音波による走査から
    前記第2の超音波による走査までの時間情報と関連付けて保存する画像データ記憶手段と

    この画像データ記憶手段に保存された複数枚の前記画像データを前記時間情報に基づいて
    表示する表示手段を備え、
    前記制御手段は、繰り返し行なわれる前記第1の超音波による走査の各々に後続する前記
    第2の超音波による走査のタイミングを前記被検体の所定心拍時相に対応させて設定し、
    前記第1の超音波による走査のタイミングを前記所定心拍時相に対して夫々異なるように
    設定することを特徴とする超音波診断装置。
  2. 前記制御手段は、繰り返し行なわれる前記第1の超音波による走査のタイミングを前記
    所定心拍時相に対し心拍周期の整数分の1あるいはその整数倍だけ異なるように順次設定
    することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  3. 前記制御手段は、前記被検体の心拍周期における拡張末期あるいは収縮末期の何れかに
    おいて前記第2の超音波による走査を行なうことを特徴とする請求項1記載の超音波診断
    装置。
  4. 画像データ再配列手段を備え、前記画像データ再配列手段は、前記画像データ記憶手段
    において保存された前記画像データを前記時間情報に基づいて再配列し、前記表示手段は
    、再配列された前記画像データを時系列的に表示することを特徴とする請求項1記載の超
    音波診断装置。
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