以下、図面を参照して本開示の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
本開示の第1の実施形態における超音波診断装置は、心電波形の周期が不均一な被検体の検査対象領域を含む3次元領域を分割することによって形成された複数の3次元サブ領域に対して心拍同期3次元走査を行なう機能を有し、先行する第1の心拍期間にて収集された第1の3次元サブ領域におけるサブボリュームデータのデータ数判定結果に基づいて第1の3次元サブ領域に対するサブボリュームデータの再収集又は新たな第2の3次元サブ領域に対するサブボリュームデータの収集を第1の心拍期間に後続する第2の心拍期間において行なう際、第1の3次元サブ領域に対する超音波送受信と並行して第1の3次元サブ領域及び第2の3次元サブ領域の最初の送受信方向に対応した送受信制御パラメータをパラメータ記憶部に予め取得する。そして、第1の心拍期間おけるサブボリュームデータのデータ数判定結果に基づいて選択された送受信制御パラメータを用いてデータ数判定直後における第1の3次元サブ領域あるいは第2の3次元サブ領域の最初の送受信方向に対する超音波送受信を行なう。
尚、以下に述べる第1の実施形態では、説明を簡単にするために4つの3次元サブ領域Sa乃至Sdに対する心拍同期3次元走査を4つの送受信チャンネル(送受信チャンネルCH1乃至CH4)を有した送受信部を用いて行なう場合について述べるが、3次元サブ領域のセグメント数や送受信チャンネルのチャンネル数は上述に限定されない。又、3次元サブ領域Sa乃至Sdから得られる受信信号を処理して超音波データとしてのBモードデータを生成し、このBモードデータに基づいて4つの心拍時相(τ1乃至τ4)におけるサブボリュームデータを生成する場合について述べるが、心拍時相数は4つに限定されるものではなく、又、カラードプラデータ等の他の超音波データに基づいて上述のサブボリュームデータを生成しても構わない。
(装置の構成と機能)
本開示の第1の実施形態における超音波診断装置の構成と機能につき図1乃至図10を用いて説明する。尚、図1は、超音波診断装置の全体構成を示すブロック図であり、図2は、この超音波診断装置が備える送受信部及び受信信号処理部の具体的な構成を示すブロック図である。又、図6は、当該超音波診断装置が備える画像データ生成部の具体的な構成を示すブロック図である。
図1に示す超音波診断装置100は、不整脈を有した被検体の検査対象領域を含む比較的広範囲な3次元領域を分割することによって形成された複数の3次元サブ領域に対して超音波パルス(送信超音波)を送信し、この送信によって得られた超音波反射波(受信超音波)を電気信号(受信信号)に変換する複数個の振動素子が2次元配列された超音波プローブ3と、被検体の所定方向に対して超音波パルスを送信するための駆動信号を上述の振動素子に供給し、これらの振動素子から得られた複数チャンネルの受信信号を整相加算する送受信部2と、整相加算後の受信信号を処理してBモードデータを生成する受信信号処理部4と、複数の3次元サブ領域に対する心拍同期3次元走査によって得られたボリュームデータに基づいて画像データ(以下、心拍同期3次元画像データと呼ぶ。)を生成する画像データ生成部5と、画像データ生成部5によって生成された心拍同期3次元画像データを表示する表示部6を備えている。
又、超音波診断装置100は、当該被検体の心電波形を計測する生体信号計測ユニット7と、計測された心電波形のR波等に基づいて心拍同期信号を生成する心拍同期信号生成部8と、心拍同期信号の1心拍期間にて画像データ生成部5が心拍時相単位で生成したサブボリュームデータのデータ数が所定数に到達したか否かを判定するデータ数判定部9と、送受信方向及び送受信チャンネルを単位として予め設定された各種の送受信制御パラメータが保管されているパラメータ保管部10と、パラメータ保管部10から送受信方向単位及び送受信チャンネル単位で読み出した第1の3次元サブ領域に対応する送受信制御パラメータあるいは第1の3次元サブ領域に後続して超音波送受信が行なわれる第2の3次元サブ領域に対応する送受信制御パラメータの何れかをデータ数判定部9の判定結果に基づいて送受信部2の送受信チャンネルへ並列供給することにより当該被検体に対する超音波送受信を制御する送受信制御部11と、被検体情報の入力、心拍時相数の設定、ボリュームデータ生成条件の設定、画像データ生成条件及び画像データ表示条件の設定、各種指示信号の入力等を行なう入力部12と、上述の各ユニットを統括的に制御するシステム制御部13を備えている。
次に、超音波診断装置100が備える上述のユニットにつき更に詳しく説明する。
超音波プローブ3は、2次元配列されたM個の図示しない振動素子をその先端部に有し、前記先端部を被検体の体表面に接触させて超音波送受信を行なう。振動素子は電気音響変換素子であり、送信時には電気パルス(駆動信号)を超音波パルス(送信超音波)に変換し、受信時には超音波反射波(受信超音波)を電気的な受信信号に変換する機能を有している。そして、これら振動素子の各々は、図示しないMチャンネルの多芯ケーブルを介して送受信部2に接続されている。尚、本実施形態では、M個の振動素子が2次元配列されたセクタ走査用の超音波プローブ3について述べるが、リニア走査やコンベックス走査等に対応した超音波プローブであっても構わない。
次に、図2に示す送受信部2は、被検体内の所定方向に対して送信超音波を放射するための駆動信号を超音波プローブ3の振動素子へ供給する送信部21と、これらの振動素子から得られた複数チャンネルの受信信号を整相加算(所定方向から得られる受信信号の位相を一致させて加算合成)する受信部22を備え、送信部21は、レートパルス発生器211、送信遅延回路212及び駆動回路213を備えている。
レートパルス発生器211は、送信超音波の繰り返し周期を決定するレートパルスを送受信制御部11から送受信制御パラメータとして供給されるフレームレートや最大視野深度(Depth)等の情報に基づいて生成し、得られたレートパルスを送信遅延回路212へ供給する。
送信遅延回路212は、送受信制御部11から送受信制御パラメータとして送受信方向単位及び送受信チャンネル単位で供給される送信遅延時間の情報に基づき、所定方向(θp、φq)に対して送信超音波を放射するための偏向用遅延時間と所定の深さに前記送信超音波を集束するための集束用遅延時間をレートパルス発生器211から供給された上述のレートパルスに与える。
駆動回路213は、送受信制御部11から送受信制御パラメータとして送受信方向単位及び送受信チャンネル単位で供給される送信強度の情報に基づいて超音波プローブ3に内蔵されているM個の振動素子の中から選択されたMt(Mt=4)個の送信用振動素子を駆動するための駆動信号を送信遅延回路212から供給された上述のレートパルスに基づいて生成する。そして、超音波プローブ3に配列されたMt個の送信用振動素子を上述の駆動信号を用いて駆動することにより被検体内に送信超音波を放射する。
一方、受信部22は、超音波プローブ3に内蔵されたM個の振動素子の中から選択されたMr(Mr=Mt=4)個の受信用振動素子に対応するMrチャンネルのプリアンプ221、A/D変換器222及び受信遅延回路223と加算器224を備えている。そして、プリアンプ221は、送受信制御部11から送受信制御パラメータとして送受信方向単位及び送受信チャンネル単位で供給される受信感度の情報に基づいてMr個の受信用振動素子から供給される受信信号を所定の大きさに増幅し、A/D変換器222は、プリアンプ221から出力される受信信号をアナログ/デジタル変換して受信遅延回路223へ供給する。
受信遅延回路223は、送受信制御部11から送受信制御パラメータとして送受信方向単位及び送受信チャンネル単位で供給される受信遅延時間の情報に基づき、所定の深さから反射した受信超音波を集束させるための集束用遅延時間と所定方向(θp、φq)に対して強い受信指向性を設定するための偏向用遅延時間をA/D変換器222から出力されたMrチャンネルの受信信号に与える。そして、加算器224は、受信遅延回路223から出力したMrチャンネルの受信信号を加算合成する。即ち、受信遅延回路223と加算器224により、所定方向からの受信超音波に対応する受信信号は整相加算される。
又、受信部22の受信遅延回路223及び加算器224は、その遅延時間の制御によって複数方向に対する受信指向性を同時に形成する、所謂、並列同時受信を可能とし、並列同時受信の適用により3次元走査に要する時間は大幅に短縮される。
図3は、超音波プローブ3の中心軸をz軸とした直交座標(x−y−z)における超音波の送受信方向(θp、φq)を示したものであり、例えば、M個の振動素子はx軸方向及びy軸方向に2次元配列され、θp及びφqは、x−z平面及びy−z平面に投影された送受信方向のz軸に対する角度を示している。そして、送受信制御部11から供給される各種の送受信制御パラメータに従って送受信部2の駆動回路213における送信強度及びプリアンプ221における受信感度と送信遅延回路212における送信遅延時間及び受信遅延回路223における受信遅延時間は制御され、被検体内の3次元サブ領域に対する超音波送受信が行なわれる。
次に、被検体内の3次元領域に対して設定される複数の3次元サブ領域と、これらの3次元サブ領域に対する心拍同期3次元走査の基本形につき図4及び図5を用いて説明する。
図4は、心拍同期3次元走査モードにおいて検査対象領域を含む被検体内の3次元領域S0に設定された複数の3次元サブ領域を示しており、例えば、3次元領域S0をy方向にHx(Hx=4)分割することにより3次元サブ領域Sa乃至Sdが形成される。そして、送受信制御部11から供給される送受信制御パラメータに基づいて送信部21の送信遅延回路212及び受信部22の受信遅延回路223における遅延時間を制御することにより3次元サブ領域Sa乃至Sdの各々に対する心拍同期3次元走査が行なわれる。
一方、図5は、上述の3次元サブ領域Sa乃至Sdに対する心拍同期3次元走査の基本形を示したものであり、図5(a)は、生体信号計測ユニット7によって計測された等間隔の心拍期間Toを有する心電波形、図5(b)は、心電波形のR波に基づいて心拍同期信号生成部8が生成した心拍同期信号、図5(c)は、上述の心拍同期信号に基づいた心拍同期3次元走査によって収集される3次元サブ領域Sa乃至Sdの心拍時相τ1乃至τ4におけるサブボリュームデータ、図5(d)は、画像データ生成部5が備える後述のサブボリュームデータ記憶部513に順次蓄積されるサブボリュームデータを示している。
この場合、送受信制御部11は、例えば、心拍同期信号生成部8からシステム制御部13を介して供給される心拍同期信号を受信し、その心拍期間Toにおいて心拍時相τ1乃至τ4のサブボリュームデータが収集される3次元サブ領域の領域サイズを算出する。そして、この領域サイズと3次元領域S0の領域サイズとに基づいて3次元サブ領域のセグメント数Hx(Hx=4)を設定する。但し、心拍時相τ1は、3次元サブ領域Saに対する心拍同期3次元走査が開始される時相であり、心拍時相τ2乃至τ4は、3次元サブ領域Sb乃至Sdの各々に対する心拍同期3次元走査が開始される時相を示している。
そして、送受信制御部11は、上述の設定情報と後述する自己のパラメータ記憶部111から読み出した各種の送受信制御パラメータに基づいて送受信部2の送受信チャンネルを構成する送信部21のレートパルス発生器211、送信遅延回路212及び駆動回路213と受信部22のプリアンプ221及び受信遅延回路223を制御することにより、図5(c)の期間[t1−t2]に3次元サブ領域Saに対する心拍同期3次元走査を行なって心拍時相τ1乃至τ4のサブボリュームデータDa(τ1)乃至Da(τ4)を収集し、更に、同様の手順により、期間[t1−t2]に後続する期間[t2−t3]、期間[t3−t4]、期間[t4−t5]の各々にて3次元サブ領域Sb乃至Sdに対する心拍同期3次元走査を行ない心拍時相τ1乃至τ4のサブボリュームデータDb(τ1)乃至Db(τ4)、Dc(τ1)乃至Dc(τ4)、Dd(τ1)乃至Dd(τ4)を収集する。
一方、図5(d)に示すように、期間[t1−t2]における画像データ生成部5のサブボリュームデータ記憶部513には、上述の期間において収集された3次元サブ領域SaのサブボリュームデータDa(τ1)乃至Da(τ4)が保存され、期間[t2−t3]乃至期間[t4−t5]では、これらの期間において収集されたサブボリュームデータDb(τ1)乃至Db(τ4)、Dc(τ1)乃至Dc(τ4)及びDd(τ1)乃至Dd(τ4)が上述のサブボリュームデータDa(τ1)乃至Da(τ4)に対して累積保存される。
尚、不整脈を有する被検体から収集された心電波形における心拍期間(R−R間隔)の短縮等により予め設定された心拍時相数分のサブボリュームデータが3次元サブ領域Sa乃至Scの何れかにおいて収集不可能となった場合、その3次元サブ領域のサブボリュームデータを再収集しなくてはならないが、その制御方法の詳細については後述する。
図2へ戻って、受信信号処理部4は、Bモードデータを生成する機能を有し、増幅回路41、包絡線検波器42及び対数変換器43を備えている。増幅回路41は、受信部22の加算器224から供給される整相加算後の受信信号を増幅あるいは減衰させることにより画像データのゲインを調整し、包絡線検波器42は、増幅回路41から出力された受信信号を包絡線検波する。一方、対数変換器43は、包絡線検波された受信信号の振幅を対数変換し、更に、対数変換された受信信号の振幅範囲(ダイナミックレンジ)を調整してBモードデータを生成する。尚、包絡線検波器42と対数変換器43は順序を入れ替えて構成してもよく、ゲインやダイナミックレンジを含む画質条件の調整は、他のユニットあるいは他の方法によって行なっても構わない。
次に、図1に示した画像データ生成部5の具体的な構成につき図6を用いて説明する。画像データ生成部5は、例えば、図6に示すようにサブボリュームデータ生成部51、ボリュームデータ生成部52及びボリュームデータ処理部53を備えている。
サブボリュームデータ生成部51は、超音波データ記憶部511、補間処理部512及びサブボリュームデータ記憶部513を備え、超音波データ記憶部511には、3次元サブ領域Sa乃至Sdに対する心拍同期3次元走査によって得られた受信信号を用いて受信信号処理部4が生成したBモードデータが超音波の送受信方向(θp、φq)、3次元サブ領域情報及び心拍時相情報を付帯情報として順次保存される。
補間処理部512は、超音波データ記憶部511から3次元サブ領域単位で読み出した複数のBモードデータを送受信方向(θp、φq)に対応させて配列することにより3次元Bモードデータを形成し、更に、この3次元Bモードデータを構成する不等間隔のボクセルを補間処理してx方向、y方向及びz方向に対して等方的なボクセルで構成されたサブボリュームデータを生成する。そして、得られた3次元サブ領域Sa乃至Sdにおける心拍時相τ1乃至τ4のサブボリュームデータDa乃至Ddは、上述の3次元サブ領域情報や心拍時相情報を付帯情報としてサブボリュームデータ記憶部513に保存される。
一方、ボリュームデータ生成部52は、データ合成部521とボリュームデータ記憶部522を備えている。そして、3次元サブ領域Sa乃至Sdに対する心拍同期3次元走査が行なわれた場合、データ合成部521は、サブボリュームデータ生成部51のサブボリュームデータ記憶部513に保存されているサブボリュームデータDa乃至Ddとその付帯情報である心拍時相情報及び3次元サブ領域情報を読み出し、これらのサブボリュームデータを上述の付帯情報に基づいて合成することにより3次元領域S0における心拍時相τ1乃至τ4のボリュームデータを生成する。そして、得られたボリュームデータは、ボリュームデータ記憶部522に保存される。
次に、ボリュームデータ処理部53は、例えば、ボリュームデータ生成部52のボリュームデータ記憶部522から読み出した3次元領域S0のボリュームデータをレンダリング処理してボリュームレンダリング画像データやサーフェスレンダリング画像データ等の心拍同期3次元画像データを生成する機能を有し、不透明度・色調設定部531、レンダリング処理部532及びプログラム保管部533を備えている。不透明度・色調設定部531は、ボリュームデータ生成部52から供給されたボリュームデータのボクセル値に基づいて各ボクセルの不透明度や色調(輝度)を設定し、レンダリング処理部532は、不透明度・色調設定部531によって設定された不透明度及び色調(輝度)の情報を有するボリュームデータをプログラム保管部533から読み出した所定の処理プログラムを用いてレンダリング処理することにより時系列的な心拍同期3次元画像データを生成する。
図1へ戻って、表示部6は、図示しない表示データ生成部、データ変換部及びモニタを備え、表示データ生成部は、画像データ生成部5が生成した心拍同期3次元画像データを所定の表示フォーマットに変換した後、生体信号計測ユニット7から供給される心電波形や入力部12において入力された被検体情報等の付帯情報を付加して表示データを生成する。そして、データ変換部は、表示データ生成部によって生成された表示データに対してD/A変換やTVフォーマット変換等の変換処理を行なってモニタに表示する。
一方、心電波形を生体信号として計測する生体信号計測ユニット7は、例えば、心電波形の計測を目的として当該被検体の体表面に装着されたECG電極と、このECG電極によって計測された心電波形の振幅を所定の大きさに増幅する増幅部と、増幅された心電波形をデジタル信号に変換するA/D変換器(何れも図示せず)を備えている。
心拍同期信号生成部8は、心電波形の振幅と所定の閾値とを比較することにより心電波形のR波を検出し、このR波に基づいて心拍同期信号(図5(b)参照)を生成する。尚、心拍同期信号の生成は、通常、R波の発生と同一のタイミングにて行なわれるが、R波より所定時間遅れたタイミングにおいて生成してもよい。
一方、データ数判定部9は、心拍同期信号生成部8から供給される心拍同期信号や画像データ生成部5のサブボリュームデータ生成部51から供給されるサブボリュームデータ、更には、送受信制御部11からシステム制御部13を介して供給される心拍時相数Nxを受信する。そして、これらの情報に基づいて心電波形のR−R間隔において収集されたサブボリュームデータのデータ数が心拍時相数Nxに到達しているか否かを判定し、その判定結果を送受信制御部11へ供給する。
次に、パラメータ保管部10は、送受信方向及び送受信チャンネルを単位として予め設定された各種の送受信制御パラメータを保管する機能を有している。
図7は、パラメータ保管部10に保管されている送受信制御パラメータの具体例を示したものであり、これらの送受信制御パラメータは、通常、上述の送受信方向及び送受信チャンネルを付帯情報としてパラメータ保管部10の図示しない記憶回路に保管されている。
以下では、説明を簡単にするために、超音波プローブ3が備えるM(M=4)個の振動素子を送信用振動素子及び受信用振動素子として用い、例えば、図3の送受信方向(θ11、φ11)に対応した3次元サブ領域Saの第1の送受信方向Ca(1)、送受信方向(θ12、φ11)に対応した3次元サブ領域Saの第2の送受信方向Ca(2)、・・・・送受信方向(θ11、φ21)に対応した3次元サブ領域Sbの第1の送受信方向Cb(1)、送受信方向(θ12、φ21)に対応した3次元サブ領域Sbの第2の送受信方向Cb(2)・・・・に対して超音波送受信を行なう際に必要な各種の送受信制御パラメータ、即ち、図7に示すように、上述の振動素子に接続された送受信部2の送受信チャンネルCH1乃至CH4に対して供給される送信強度(送信用振動素子を駆動する駆動信号の振幅)、送信遅延時間(超音波送信において設定される集束用遅延時間及び偏向用遅延時間)、受信感度(受信用振動素子から得られた受信信号に対する増幅度)、受信遅延時間(超音波受信において設定される集束用遅延時間及び偏向用遅延時間)等の送受信制御パラメータが送受信方向及び送受信チャンネルを付帯情報としてパラメータ保管部10に予め保管されている場合について述べるが、送受信チャンネルの数や送受信制御パラメータの種類は上述に限定されない。
この場合、例えば、図7に示すように、3次元サブ領域Saの第1の送受信方向Ca(1)に対応する送受信制御パラメータPa(1)は、送受信チャンネルCH1乃至CH4に対応する送受信制御パラメータPa1(1)乃至Pa4(1)によって構成され、送受信制御パラメータPa1(1)乃至Pa4(1)には、送信強度Aa1(1)乃至Aa4(1)、送信遅延時間Ba1(1)乃至Ba4(1)、受信感度Ea1(1)乃至Ea4(1)、受信遅延時間Fa1(1)乃至Fa4(1)が含まれている。
同様にして、3次元サブ領域Saの第2の送受信方向Ca(2)乃至第Nの送受信方向Ca(N)に対応する送受信制御パラメータPa(2)乃至Pa(N)や3次元サブ領域Sb乃至Sdの第1の送受信方向Cb(1)乃至第Nの送受信方向Cd(N)に対応する送受信制御パラメータPb(1)乃至Pd(N)も送受信チャンネル単位で予め設定された送信強度、送信遅延時間、受信感度及び受信遅延時間等によって構成されている。
尚、既に述べたように、送受信チャンネルCH1乃至CH4は、M個の振動素子の各々に接続された送信部21のレートパルス発生器211、送信遅延回路212及び駆動回路213と、受信部22のプリアンプ221、A/D変換器222及び受信遅延回路223によって構成されている。
次に、図1の送受信制御部11は、パラメータ記憶部111とパラメータR/W制御部112を備えている。
パラメータ記憶部111は、3つのバッファーメモリ(即ち、バッファーメモリ113a乃至113c)を有し、パラメータR/W制御部112から供給される第1の読み出し制御信号に従ってパラメータ保管部10から送受信方向単位及び送受信チャンネル単位で順次読み出された送受信制御パラメータは上述のバッファーメモリに一旦保存される。
そして、パラメータ記憶部111に保存された上述の送受信制御パラメータは、パラメータR/W制御部112から供給される第2の読み出し制御信号に従って読み出され、送受信部2の送受信チャンネルCH1乃至CH4へ並列供給される。
この場合、パラメータ記憶部111から読み出された「送信強度」の情報は、送信部21の駆動回路213へ供給され、「送信遅延時間」の情報は、送信部21の送信遅延回路212へ供給される。又、「受信感度」の情報は、受信部22のプリアンプ221へ供給され、「受信遅延時間」の情報は、受信部22の受信遅延回路223へ供給される。
一方、パラメータR/W制御部112は、パラメータ記憶部111に対する送受信制御パラメータの保存(取得)と送受信部2の送受信チャンネルCH1乃至CH4に対する前記送受信制御パラメータの並列供給を制御する機能を有している。
即ち、パラメータR/W制御部112は、後述の超音波送受信期間においてパラメータ保管部10から読み出した送受信チャンネルCH1乃至CH4の送受信制御パラメータをパラメータ記憶部111のバッファーメモリ113a乃至113cに保存するための制御を行ない、更に、データ数判定部9から供給されるサブボリュームデータ数の判定結果に基づき、後述のパラメータ供給期間においてパラメータ記憶部111のバッファーメモリ113a乃至113cから読み出したチャンネルCH1乃至CH4の送受信制御パラメータを送受信部2の送受信チャンネルCH1乃至CH4へ並列供給するための制御を行なう。
図8は、送受信制御部11の制御下で3次元サブ領域Sa乃至Sdに対して行なわれる本実施形態の心拍同期3次元走査を示したものである。但し、既に図5に示した心拍同期3次元走査の基本形では、等しい心拍期間(R−R間隔)Toの心電波形に基づいたNormal trigger状態の心拍同期信号により、全ての心拍期間において心拍時相数Nx(Nx=4)のサブボリュームデータが得られる場合について述べたが、図8では、不整脈を有する当該被検体の心電波形に基づいたEarly Trigger 状態の心拍同期信号により、何れかのR−R間隔において心拍時相数Nxのサブボリュームデータが得られない場合について述べる。
即ち、図8(a)は、生体信号計測ユニット7によって計測された期間[t2−t3]に狭小なR−R間隔Tx(Tx<To)を有する当該被検体の心電波形、図8(b)は、この心電波形のR波に基づいて心拍同期信号生成部8が生成した心拍同期信号、図8(c)は、上述の心拍同期信号に基づいた心拍同期3次元走査によって収集される3次元サブ領域Sa乃至Sdの心拍時相τ1乃至τ4におけるサブボリュームデータ、図8(d)は、画像データ生成部5のサブボリュームデータ記憶部513に順次蓄積されるサブボリュームデータを夫々示している。
そして、送受信制御部11は、図5の場合と同様の手順により、パラメータ保管部10から読み出し自己のパラメータ記憶部111に一旦保存した送受信制御パラメータを、送受信部2の送受信チャンネルCH1乃至CH4が備えるユニット(即ち、送信部21のレートパルス発生器211、送信遅延回路212及び駆動回路213と受信部22のプリアンプ221及び受信遅延回路223)へ並列供給することにより、被検体の3次元サブ領域Sa乃至Sdに対する超音波送受信を制御する。
例えば、図8に示すように心電波形の期間[t2−t3]における心拍期間(R−R間隔)Txが通常の心拍期間Toより狭くなることにより3次元サブ領域Sbの心拍時相τ4におけるサブボリュームデータDb(τ4)が収集不可能となった場合、データ数判定部9からシステム制御部13を介してその判定結果を受信した送受信制御部11は、3次元サブ領域Sbに対する心拍同期3次元走査を期間[t3−t4]において繰り返すことによりボリュームデータDb(τ1)乃至Db(τ4)を収集する。そして、このときデータ数判定部9から供給されるデータ数の判定結果により期間[t3−t4]において収集されたサブボリュームデータのデータ数が所定の心拍時相数Nxに到達していることを確認したならば、期間[t4−t5]における3次元サブ領域Scの心拍同期3次元走査へ移行する。
このとき、期間[t2−t3]において収集され画像データ生成部5のサブボリュームデータ記憶部513に一旦保存された3次元サブ領域SbのサブボリュームデータDb(τ1)乃至Db(τ3)は、期間[t3−t4]において新たに収集されたサブボリュームデータDb(τ1)乃至Db(τ4)によって更新される。
そして、画像データ生成部5のボリュームデータ生成部52は、期間[t5−t6]においてサブボリュームデータ記憶部513に蓄積された3次元サブ領域SaのサブボリュームデータDa(τ1)乃至Da(τ4)、3次元サブ領域SbのサブボリュームデータDb(τ1)乃至Db(τ4)、3次元サブ領域ScのサブボリュームデータDc(τ1)乃至Dc(τ4)及び3次元サブ領域SdのサブボリュームデータDd(τ1)乃至Dd(τ4)を合成することにより3次元領域S0の心拍時相τ1乃至τ4におけるボリュームデータを生成する。
尚、送受信制御部11によって行なわれる送受信制御パラメータの取得と、送受信部2の送受信チャンネルCH1乃至CH4に対する前記送受信制御パラメータの供給についての詳細は後述する。
次に、図1の入力部12は、操作パネル上にキーボード、トラックボール、マウス、選択ボタン、入力ボタン等の入力デバイスや表示パネルを備え、被検体情報の入力、心拍同期3次元走査モードの選択、心拍時相数Nxの設定、ボリュームデータ生成条件の設定、画像データ生成条件及び画像データ表示条件の設定、各種指示信号の入力等を行なう。
システム制御部13は、図示しないCPUと入力情報記憶部を備え、入力部12において入力/設定/選択された上述の各種情報は入力情報記憶部に保存される。そして、CPUは、上述の各種情報に基づいて超音波診断装置100の各ユニットを統括的に制御することにより当該被検体の心拍同期3次元走査モードにおけるボリュームデータの収集と、このボリュームデータに基づいた心拍同期3次元画像データの生成/表示を実行させる。
次に、先行する心拍期間において収集されたサブボリュームデータのデータ数判定結果に基づいて後続の心拍期間における心拍同期3次元走査の3次元サブ領域が決定される本実施形態における送受信制御パラメータの取得方法と送受信部2の送受信チャンネルCH1乃至CH4に対する前記送受信制御パラメータの供給方法につき図9及び図10を用いて更に詳しく説明する。
図9(a)は、生体信号計測ユニット7によって計測された期間[t2−t3]に狭小なR−R間隔を有する当該被検体の心電波形、図9(b)は、入力部12において任意のタイミングで入力される心拍同期3次元走査モードの走査開始指示信号、図9(c)は、パラメータ保管部10から読み出され送受信制御部11のパラメータ記憶部111に保存(取得)された送受信制御パラメータ、図9(d)は、画像データ生成部5のサブボリュームデータ生成部51において心拍時相単位で生成されるサブボリュームデータ、図9(e)は、データ数判定部9において行なわれるサブボリュームデータ数の判定タイミングを夫々示している。
但し、図9(c−1)は、パラメータ記憶部111のバッファーメモリ113aに保存される送受信制御パラメータを示しており、図9(c−2)及び図9(c−3)は、パラメータ記憶部111のバッファーメモリ113b及びバッファーメモリ113cに保存される送受信制御パラメータを示している。
例えば、3次元サブ領域Sa,Sb,Sc、Sdの順に各々の領域における心拍時相τ1乃至τ4のサブボリュームデータを収集する場合、送受信制御部11は、図9(b)の時刻t0に示した心拍同期3次元走査モードの走査開始指示信号に呼応してパラメータ保管部10から読み出した3次元サブ領域Saの第1の送受信方向Ca(1)に対応する送受信制御パラメータPa(1)及び後述する期間[t1−t2]の超音波送受信期間においてパラメータ保管部10から読み出した3次元サブ領域Saの第2の送受信方向Ca(2)乃至第Nの送受信方向Ca(N)に対応する送受信制御パラメータPa(2)乃至Pa(N)を、例えば、バッファーメモリ113aに一旦保存した後、後述する期間[t1−t2]のパラメータ供給期間において送受信部2の送受信チャンネルCH1乃至CH4へ並列供給することにより、図9(d)に示すような心拍時相τ1のサブボリュームデータDa(τ1)が生成される。
更に、同様の手順により、期間[t1−t2]の超音波送受信期間における送受信制御パラメータPa(1)乃至Pa(N)の取得とパラメータ供給期間における送受信制御パラメータの並列供給を繰り返すことにより心拍時相τ2乃至τ4のサブボリュームデータDa(τ2)乃至Da(τ4)が生成される。
このとき、パラメータ記憶部111のバッファーメモリ113bには、期間[t1−t2]の超音波送受信期間においてパラメータ保管部10から読み出した3次元サブ領域Saの第1の送受信方向Ca(1)に対応する送受信制御パラメータPa(1)が保存され、バッファーメモリ113cには、上述の超音波送受信期間においてパラメータ保管部10から読み出した3次元サブ領域Sbの第1の送受信方向Cb(1)に対応する送受信制御パラメータPb(1)が保存される。
そして、図9(e)に示すサブボリュームデータ数の判定において期間[t1−t2]にて収集されたサブボリュームデータのデータ数が所定の心拍時相数Nx(Nx=4)に到達していると判定された場合、期間[t2−t3]では、期間[t1−t2]においてバッファーメモリ113cに保存した3次元サブ領域Sbの第1の送受信方向Cb(1)に対応する送受信制御パラメータPb(1)及び期間[t2−t3]の超音波送受信期間においてパラメータ保管部10から新たに読み出しバッファーメモリ113cに保存した3次元サブ領域Sbの第2の送受信方向Cb(2)乃至第Nの送受信方向Cb(N)に対応する送受信制御パラメータPb(2)乃至Pb(N)を送受信部2の送受信チャンネルCH1乃至CH4へ並列供給することにより心拍時相τ1のサブボリュームデータDb(τ1)の生成が行なわれる。
更に、同様の手順により、期間[t2−t3]においてパラメータ保管部10から読み出した上述の送受信制御パラメータPb(1)乃至Pb(N)を送受信部2の送受信チャンネルCH1乃至CH4へ並列供給することにより心拍時相τ2乃至τ4におけるサブボリュームデータDb(τ2)乃至Db(τ4)が生成される。
このとき、パラメータ記憶部111のバッファーメモリ113aには、期間[t2−t3]の超音波送受信期間においてパラメータ保管部10から読み出した3次元サブ領域Sbの第1の送受信方向Cb(1)に対応する送受信制御パラメータPb(1)が保存され、バッファーメモリ113bには、上述の超音波送受信期間においてパラメータ保管部10から読み出した3次元サブ領域Scの第1の送受信方向Cc(1)に対応する送受信制御パラメータPc(1)が保存される。
次いで、データ数判定部9により期間[t2−t3]において収集されたサブボリュームデータのデータ数が心拍時相数Nxに到達していないと判定された場合、期間[t3−t4]では、期間[t2−t3]においてバッファーメモリ113aに保存した3次元サブ領域Sbの第1の送受信方向Cb(1)に対応する送受信制御パラメータPb(1)及び期間[t3−t4]の超音波送受信期間においてパラメータ保管部10から再度読み出しバッファーメモリ113aに保存した3次元サブ領域Sbの第2の送受信方向Cb(2)乃至第Nの送受信方向Cb(N)に対応する送受信制御パラメータPb(2)乃至Pb(N)を送受信部2の送受信チャンネルCH1乃至CH4へ並列供給することにより心拍時相τ1のサブボリュームデータDb(τ1)が再度生成される。
更に、同様の手順により、期間[t3−t4]の超音波送受信期間においてパラメータ保管部10から読み出した上述の送受信制御パラメータPb(1)乃至Pb(N)を送受信部2の送受信チャンネルCH1乃至CH4へ繰り返し供給することにより心拍時相τ2乃至τ4のサブボリュームデータDb(τ2)乃至Db(τ4)が生成される。
このとき、パラメータ記憶部111のバッファーメモリ113bには、期間[t3−t4]においてパラメータ保管部10から読み出した3次元サブ領域Scの第1の送受信方向Cc(1)に対応する送受信制御パラメータPc(1)が保存され、バッファーメモリ113cには、期間[t3−t4]においてパラメータ保管部10から読み出した3次元サブ領域Sbの第1の送受信方向Cb(1)に対応する送受信制御パラメータPb(1)が保存される。
以下、期間[t4−t5]以降の期間においても、心電波形の心拍期間において収集されたサブボリュームデータのデータ数が所定の心拍時相数Nxに到達していないと判定された場合には、期間[t3−t4]に示したような送受信チャンネルCH1乃至CH4に対する送受信制御パラメータの並列供給とこの送受信制御パラメータに基づいたサブボリュームデータの生成が再度行なわれる。
尚、期間[t2−t3]において心拍時相数Nxを満たすボリュームデータDb(τ1)乃至Db(τ4)が収集された場合、期間[t3−t4]では、期間[t2−t3]においてバッファーメモリ113bに保存した3次元サブ領域Scの第1の送受信方向Cc(1)に対応する送受信制御パラメータPc(1)及び期間[t3−t4]の超音波送受信期間においてパラメータ保管部10から新たに読み出しバッファーメモリ113bに保存した3次元サブ領域Scの第2の送受信方向Cc(2)乃至第Nの送受信方向Cc(N)に対応する送受信制御パラメータPc(2)乃至Pc(N)を送受信部2の送受信チャンネルCH1乃至CH4へ供給することにより心拍時相τ1のサブボリュームデータDc(τ1)が生成され、同様の手順により、期間[t3−t4]の超音波送受信期間においてパラメータ保管部10から読み出した送受信制御パラメータPc(1)乃至Pc(N)を送受信チャンネルCH1乃至CH4へ繰り返し供給することにより心拍時相τ2乃至τ4のサブボリュームデータDc(τ2)乃至Dc(τ4)が生成されるが、このような場合における送受信制御パラメータの取得方法と送受信部2の送受信チャンネルCH1乃至CH4に対する前記送受信制御パラメータの供給方法は期間[t1−t2]の場合と同様であるため詳細な説明は省略する。
次に、図10は、心電波形の期間[t2−t3]において狭小なR−R間隔が発生した場合、上述の心拍期間及びその前後の心拍期間における送受信制御パラメータの取得と送受信部2の送受信チャンネルCH1乃至CH4に対する前記送受信制御パラメータの並列供給を更に詳しく説明するための図である。
即ち、図10(a)は、生体信号計測ユニット7によって計測された期間[t2−t3]に狭小な心拍期間(R−R間隔)を有する当該被検体の心電波形を示しており、図10(b)は、パラメータ保管部10から読み出されパラメータ記憶部111のバッファーメモリ113cに順次保存された3次元サブ領域Sbの第1の送受信方向Cb(1)乃至第Nの送受信方向Cb(N)に対応する送受信チャンネルCH1乃至CH4の送受信制御パラメータ(図9(c−3)参照)を示している。
又、図10(c)は、3次元サブ領域Sbの第1の送受信方向Cb(1)乃至第Nの送受信方向Cb(N)に対して超音波送受信を順次行なう際、送受信部2の送受信チャンネルCH1乃至CH4に対して並列供給される送受信制御パラメータの供給期間とこれらの送受信制御パラメータに基づいて行なわれる超音波送受信の期間を示しており、図10(d)は、上述の超音波送受信によって収集された心拍時相τ1乃至τ3のサブボリュームデータDb(τ1)乃至Db(τ3)を示している。
即ち、パラメータ保管部10に予め保管された3次元サブ領域Sbの第1の送受信方向Cb(1)に対応する送受信チャンネルCH1乃至CH4の送受信制御パラメータPb(1)(図7のPb1(1)乃至Pb4(1))は、図10(b)に示すように、期間[t2−t3]に先行する期間[t1−t2]のパラメータ読み出し期間Tαにおいて読み出されパラメータ記憶部111のバッファーメモリ113cに保存される。
次いで、バッファーメモリ113cに保存された送受信制御パラメータPb(1)は、期間[t2−t3]の第1のパラメータ供給期間Tβ1において対応する送受信部2の送受信チャンネルCH1乃至CH4へ並列供給され、送受信部2は、期間[t2−t3]の第1の超音波送受信期間Tγ1においてこれらの送受信制御パラメータに基づいた超音波送受信を3次元サブ領域Sbの第1の送受信方向Cb(1)に対して行なう。
一方、パラメータ保管部10に保管された3次元サブ領域Sbの第2の送受信方向Cb(2)に対応する送受信チャンネルCH1乃至CH4の送受信制御パラメータPb(2)(図7のPb1(2)乃至Pb4(2))は、第1の超音波送受信期間Tγ1の期間内に設定されたパラメータ読み出し期間Tα1において読み出されパラメータ記憶部111のバッファーメモリ113cに保存される。
このような手順を繰り返すことにより、先行する超音波送受信の送受信期間においてパラメータ保管部10から読み出した後続の超音波送受信に対応する送受信制御パラメータをこの超音波送受信の直前に設定されたパラメータ供給期間において送受信部2の送受信チャンネルへ並列供給することにより、3次元サブ領域Sbの第1の送受信方向Cb(1)乃至第Nの送受信方向Cb(N)に対する超音波送受信が行なわれ、このとき得られた受信信号に基づいて心拍時相τ1のサブボリュームデータDb(τ1)が生成される。更に、上述の送受信制御パラメータを用いた3次元サブ領域Sbに対する超音波送受信を期間[t2−t3]において繰り返すことにより心拍時相τ2のサブボリュームデータDb(τ2)及び心拍時相τ3のサブボリュームデータDb(τ3)が生成される。
尚、図10では、狭小なR−R間隔が発生した心電波形の期間[t2−t3]及びその前後の心拍期間における送受信制御パラメータの取得と送受信部2の送受信チャンネルCH1乃至CH4に対する前記送受信制御パラメータの並列供給について示したが、正常なR−R間隔を有する他の心拍期間においても同様の手順によって送受信制御パラメータの取得と送受信チャンネルCH1乃至CH4に対する前記送受信制御パラメータの並列供給が行なわれる。
(心拍同期3次元走査による画像データの生成手順)
次に、本実施形態の心拍同期3次元走査による画像データの生成手順を図8乃至図10に示したタイムチャートと図11のフローチャートを用いて説明する。尚、ここでは説明を容易にするために、被検体内の検査対象領域を含む3次元領域S0を複数の3次元サブ領域Sh(h=1乃至4)に分割し、これらの3次元サブ領域Shに対する心拍同期3次元走査モードの超音波送受信によって収集されたサブボリュームデータDhに基づいて3次元領域S0のボリュームデータを生成する場合について述べる。即ち、以下に示す3次元サブ領域S1乃至S4は、図4の3次元サブ領域Sa乃至Sdに対応している。
ボリュームデータの生成に先立ち、超音波診断装置100を操作する医療従事者(以下、操作者と呼ぶ。)は、生体信号計測ユニット7のECG電極を被検体の体表面に装着した後、入力部12において被検体情報の入力、心拍同期3次元走査モードの選択、心拍時相数Nxの設定、ボリュームデータ生成条件の設定、画像データ生成条件及び画像データ表示条件の設定等を行なう。そして、これらの入力/選択/設定情報は、システム制御部13の入力情報記憶部に保存される(図11のステップS1)。
上述の初期設定が終了したならば、操作者は、生体信号計測ユニット7を動作状態にして当該被検体の心電波形計測を開始した後、入力部12において走査開始指示信号を入力する。そして、この指示信号がシステム制御部13へ供給されることにより心拍同期3次元走査モードにおけるボリュームデータの生成が開始される(図11のステップS2)。
被検体に対する心拍同期3次元走査モードの超音波走査に際し、時刻t0において入力部12からシステム制御部13を介して供給された上述の走査開始指示信号を受信した送受信制御部11のパラメータR/W制御部112は、パラメータ保管部10に予め保管されている3次元サブ領域S1の第1の送受信方向C1(1)に対応する送受信チャンネルCH1乃至CH4の送受信制御パラメータP1(1)(P11(1)乃至P14(1))を期間[t0−t1]のパラメータ読み出し期間Tαにおいて読み出し、パラメータ記憶部111のバッファーメモリ113aに保存する(図11のステップS3)。
次いで、パラメータR/W制御部112は、心拍同期信号生成部8からシステム制御部13を介して供給される時刻t1の心拍同期信号を受信し(図11のステップS4)、期間[t1−t2]に設定された第1のパラメータ供給期間Tβ1にバッファーメモリ113aから読み出した上述の送受信制御パラメータP1(1)を送受信部2の送受信チャンネルCH1乃至CH4へ並列供給する。そして、送受信チャンネルCH1乃至CH4の各々は、第1のパラメータ供給期間Tβ1に後続する第1の超音波送受信期間Tγ1において、送受信制御パラメータP1(1)に基づいた超音波送受信を3次元サブ領域S1の第1の送受信方向C1(1)に対して行なう。
一方、送受信制御部11のパラメータR/W制御部112は、パラメータ保管部10に予め保管されている3次元サブ領域S1の第2の送受信方向C1(2)に対応する送受信チャンネルCH1乃至CH4の送受信制御パラメータP1(2)を第1の超音波送受信期間Tγ1の期間内に設定されたパラメータ読み出し期間Tα1において読み出し、パラメータ記憶部111のバッファーメモリ113aに保存する(図11のステップS5)。
次いで、パラメータR/W制御部112は、ステップS5の手順を繰り返すことにより期間[t1−t2]の第2のパラメータ読み出し期間Tα2乃至第Nのパラメータ読み出し期間TαNにおける送受信制御パラメータの取得、第2のパラメータ供給期間Tβ2乃至第Nのパラメータ供給期間TβNにおける前記送受信制御パラメータの送受信部2に対する並列供給、更には、前記送受信制御パラメータに基づいた3次元サブ領域S1に対する超音波送受信を行ない、このとき得られた受信信号に基づいて3次元サブ領域S1における心拍時相τ1のサブボリュームデータD1(τ1)が生成される(図11のステップS6)。
更に、上述のステップS5及びステップS6を時刻t2の心拍同期信号が受信されるまで繰り返すことにより3次元サブ領域S1における心拍時相τ2のボリュームデータD1(τ2)、心拍時相τ3のボリュームデータD1(τ3)・・・が順次生成される(図11のステップS5及びステップS6)。
一方、パラメータR/W制御部112は、期間[t1−t2]のパラメータ読み出し期間Tαにてパラメータ保管部10から読み出した3次元サブ領域S1の第1の送受信方向C1(1)に対応する送受信制御パラメータP1(1)をパラメータ記憶部111のバッファーメモリ113bに保存し、同様にして読み出した3次元サブ領域S2の第1の送受信方向C2(1)に対応する送受信制御パラメータP2(1)をバッファーメモリ113cに保存する(図11のステップS7)。
上述の手順によって期間[t1−t2]におけるサブボリュームデータの収集と送受信制御パラメータP1(1)及びP2(1)の取得が終了したならば、データ数判定部9は、期間[t1−t2]において画像データ生成部5のサブボリュームデータ生成部51が生成したサブボリュームデータのデータ数nxを算出し、このデータ数nxが所定の心拍時相数Nxに到達しているか否かを判定する(図11のステップS8)。
そして、上述のステップS8において、期間[t1−t2]に収集されたサブボリュームデータのデータ数nxが心拍時相数Nxに到達していると判定された場合、パラメータR/W制御部112は、期間[t1−t2]において取得しパラメータ保管部10のバッファーメモリ113cに保存した送受信制御パラメータP2(1)を期間[t2−t3]の第1のパラメータ供給期間Tβ1にて送受信部2の送受信チャンネルCH1乃至CH4へ並列供給することにより3次元サブ領域S2の第1の方向C2(1)に対する超音波送受信を行なう。
次いで、期間[t2−t3]の第2のパラメータ読み出し期間Tα2乃至第Nのパラメータ読み出し期間TαNにてパラメータ保管部10から取得した送受信制御パラメータP2(2)乃至P2(N)を送受信部2へ供給して3次元サブ領域S2の第2の送受信方向C2(2)乃至第Nの送受信方向C2(N)nに対する超音波送受信を行なうことにより心拍時相τ1のサブボリュームデータD2(τ1)が生成され、更に、同様の手順により、パラメータ保管部10から取得した送受信制御パラメータP2(1)乃至P2(N)の送受信部2への並列供給を繰り返すことにより3次元サブ領域S2における心拍時相τ1乃至τ4のサブボリュームデータD2(τ1)乃至D2(τ4)が生成される。
一方、上述のステップS8において、期間[t1−t2]にて収集されたサブボリュームデータのデータ数nxが心拍時相数Nxに到達していないと判定された場合、パラメータR/W制御部112は、期間[t1−t2]において取得しパラメータ保管部10のバッファーメモリ113bに保存した送受信制御パラメータP1(1)を期間[t2−t3]の第1のパラメータ供給期間Tβ1において送受信部2の送受信チャンネルCH1乃至CH4へ供給することにより3次元サブ領域S1の第1の方向C1(1)に対する超音波送受信を行なった後、上述のステップS5及びステップS6を期間[t2−t3]にて繰り返すことにより複数の心拍時相におけるサブボリュームデータを生成する。
即ち、本実施形態における送受信制御部11のパラメータR/W制御部112は、3次元サブ領域Shにおけるサブボリュームデータの収集に後続して3次元サブ領域Sh+1におけるサブボリュームデータを収集する際、3次元サブ領域Shの第1の送受信方向Ch(1)乃至第Nの送受信方向Ch(N)に対する超音波送受信と並行して3次元サブ領域Shの第1の送受信方向Ch(1)に対応する送受信制御パラメータPh(1)と3次元サブ領域Sh+1の第1の送受信方向Ch+1(1)に対応する送受信制御パラメータPh+1(1)をパラメータ保管部10から取得し、3次元サブ領域Shにおいて収集されたサブボリュームデータのデータ数nxと心拍時相数Nxとの比較結果に基づいて上述の送受信制御パラメータPh(1)と後続の送受信制御パラメータPh(2)乃至Ph(N)を送受信部2へ供給することにより3次元サブ領域Shに対する心拍同期3次元走査を再度行なう方法、あるいは、送受信制御パラメータPh+1(1)と後続の送受信制御パラメータPh+1(2)乃至Ph+1(N)を送受信部2へ供給することにより3次元サブ領域Sh+1に対する心拍同期3次元走査を新たに行なう方法の何れかを短時間で切り替える機能を有している。
そして、心拍時相数Nxを有する3次元サブ領域S1乃至S4のサブボリュームデータDh(τ1)乃至Dh(τ4)の収集が終了したならば、画像データ生成部5のボリュームデータ生成部52は、得られた上述のサブボリュームデータを合成することにより3次元領域S0のボリュームデータを生成し(図11のステップS9)、ボリュームデータ処理部53は、得られたボリュームデータを処理して所望の心拍同期3次元画像データを生成する(図11のステップS10)。
更に、上述のステップS3乃至ステップS10を繰り返すことにより、時系列的な心拍同期3次元画像データが生成され、得られたこれらの画像データは動画像として表示部6のモニタに表示される(図11のステップS3乃至S10)。
以上述べた本開示の第1の実施形態によれば、心電波形等の生体信号に基づいた心拍同期3次元走査を適用して複数の3次元サブ領域におけるサブボリュームデータを収集し、これらのサブボリュームデータを合成して得られたボリュームデータに基づいて画像データを生成する際、何れかの心拍期間において所定の心拍時相数に対応したサブボリュームデータのデータ数が得られないために超音波送受信の方向や順序を急遽更新しなくてはならないような場合においても、予め取得した送受信制御パラメータを対応する超音波送受信の担当ユニットに対し短時間で供給することにより、変更直後の超音波送受信を容易かつ正確に行なうことが可能となり、心拍期間の各時相における画像データを過不足なく収集することができる。
特に、先行する第1の心拍期間にて収集された第1の3次元サブ領域におけるサブボリュームデータのデータ数判定結果に基づいて第1の3次元サブ領域に対するサブボリュームデータの再収集、又は、新たな第2の3次元サブ領域に対するサブボリュームデータの収集を第1の心拍期間に後続する第2の心拍期間において行なう際、第1の3次元サブ領域に対する超音波送受信と並行して第1の3次元サブ領域及び第2の3次元サブ領域の最初の送受信方向に対応する送受信制御パラメータを予め取得し、第1の心拍期間において収集されたサブボリュームデータのデータ数判定結果に基づいて上述した2種類の送受信制御パラメータの中から選択した送受信制御パラメータを用いてデータ数判定直後における第1の3次元サブ領域あるいは第2の3次元サブ領域の最初の送受信方向に対する超音波送受信を行なうことにより、データ数の判定から最初の送受信方向に対する超音波送受信までの遅延を大幅に短縮することができる。
又、被検体の3次元サブ領域に対し心拍同期3次元走査を行なって異なる複数の心拍時相におけるサブボリュームデータを収集し、これらのサブボリュームデータを合成して得られたボリュームデータに基づいて時系列的な画像データを生成する際、超音波の送受信方向単位及び送受信チャンネル単位で予め取得した各種の送受信制御パラメータを超音波送受信の担当ユニットへ効率よく供給することにより時間分解能に優れた画像データを得ることができる。
即ち、先行する超音波送受信と並行して後続の超音波送受信に必要な送受信制御パラメータを予め取得し、後続する超音波送受信の直前に設定されたパラメータ供給期間において上述の送受信制御パラメータを超音波送受信の担当ユニットへ並列供給することにより、画像データの時間分解能を改善することが可能となる。
(第2の実施形態)
次に、本開示の第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態における超音波診断装置は、生体組織における血液の還流状態等を観測するために、超音波造影剤が投与された被検体内の検査対象領域に残存しているマイクロバブルを高音圧の超音波パルスを用いたフラッシュモードの超音波走査によって破砕した後、上述の検査対象領域においてマイクロバブルと共に新たに流入する血液の状態を低音圧の超音波パルスを用いたモニタリングモードの超音波走査によって観測する際、検査対象領域に対するモニタリングモードの超音波走査と並行してフラッシュモードの最初の送信方向に対応する送受信制御パラメータをパラメータ記憶部に一旦取得する。そして、当該被検体の心電波形に基づいて生成された心拍同期信号を受信したならば、モニタリングモードの超音波走査を停止し、パラメータ記憶部から読み出した上述の送受信制御パラメータを用いてフラッシュモードの最初の送信方向に対する超音波送信を行なう。
又、上述の検査対象領域に対するフラッシュモードの超音波走査と並行してモニタリングモードの最初の送受信方向に対応する送受信制御パラメータをパラメータ記憶部に一旦取得し、所定のフラッシュモード時間が経過したならば、フラッシュモードの超音波走査を停止すると共にパラメータ記憶部から読み出した上述の送受信制御パラメータを用いてモニタリングモードの最初の送受信方向に対する超音波送受信を行なう。
(装置の構成と機能)
本開示の第2の実施形態における超音波診断装置の構成と機能につき図12乃至図16を用いて説明する。尚、図12は、当該超音波診断装置の全体構成を示すブロック図である。
図12に示す超音波診断装置200は、マイクロバブルを有する超音波造影剤が注入された被検体の検査対象領域に対してフラッシュモード及びモニタリングモードの超音波パルス(送信超音波)を送信し、モニタリングモードの超音波パルスによって得られた超音波反射波(受信超音波)を電気信号(受信信号)に変換する複数個の振動素子が配列された超音波プローブ3と、当該被検体の所定方向に対して上述の超音波パルスを送信するための駆動信号を超音波プローブ3の振動素子へ供給し、モニタリングモードの超音波送受信により上述の振動素子から得られた複数チャンネルの受信信号を整相加算する送受信部2gと、整相加算後の受信信号を処理してBモードデータを生成する受信信号処理部4gと、走査方向単位で得られるBモードデータを順次保存して2次元あるいは3次元の時系列的な画像データを生成する画像データ生成部5gと、得られたこれらの画像データに対して走査変換やテレビフォーマット変換等の変換処理を行ないモニタに表示する表示部6gを備えている。
又、超音波診断装置200は、当該被検体の心電波形を計測する生体信号計測ユニット7と、検出された心電波形に基づいて心拍同期信号を生成する心拍同期信号生成部8と、送受信方向及び送受信チャンネルを単位として予め設定された各種の送受信制御パラメータが保管されているパラメータ保管部10gと、送受信部2gが備える複数の送受信チャンネルへ並列供給されるモニタリングモードの送受信制御パラメータ及びフラッシュモードの送受信制御パラメータを心拍同期信号生成部8から供給される心拍同期信号等に基づいて短時間で切り替えることにより連続したフラッシュモードの超音波送信及びモニタリングモードの超音波送受信を制御する送受信制御部11gと、被検体情報の入力、画像データ生成条件及び画像データ表示条件の設定、各種指示信号の入力等を行なう入力部12gと、上述の各ユニットを統括的に制御するシステム制御部13gを備えている。
次に、超音波診断装置200が備える上述のユニットにつき更に詳しく説明する。
送受信部2gは、送信部21gと受信部22gを備え、送信部21gは、図示しないレートパルス発生器、送信遅延回路及び駆動回路を備えている。そして、レートパルス発生器は、被検体内に放射する送信超音波の繰り返し周期を決定するレートパルスを送受信制御部11gから送受信制御パラメータとして供給されるフレームレートや最大視野深度(Depth)等の情報に基づいて生成し、得られたレートパルスを送信遅延回路へ供給する。
一方、送信遅延回路は、送受信制御部11gから送受信制御パラメータとして送受信方向単位で供給される送信遅延時間の情報に基づき、所定方向に対して送信超音波を放射するための偏向用遅延時間と所定の深さに前記送信超音波を集束するための集束用遅延時間をレートパルス発生器から供給された上述のレートパルスに与える。
駆動回路は、超音波プローブ3に内蔵されたMt個の送信用振動素子を駆動することにより高音圧を有したフラッシュモードの超音波パルスと低音圧を有したモニタリングモードの超音波パルスを被検体内の所定方向へ放射する。このMtチャンネルの駆動回路は、送受信制御部11gから送受信制御パラメータとして送受信方向単位及び送受信チャンネル単位で供給されるフラッシュモード及びモニタリングモードの送信強度よって制御され、各々のモードに好適な音圧を有した超音波パルスを被検体内へ送信するための駆動信号を生成して超音波プローブ3が備えるMt個の送信用振動素子へ供給する。
一方、送受信部2gの受信部22gは、超音波プローブ3に内蔵されたM個の振動素子の中から選択されたMr個の受信用振動素子に対応するMrチャンネルの図示しないプリアンプ、A/D変換器及び受信遅延回路と加算器を備え、プリアンプは、送受信制御部11gから送受信制御パラメータとして送受信方向単位及び送受信チャンネル単位で供給される受信感度の情報に基づき、Mr個の受信用振動素子から供給されるモニタリングモードの受信信号を所定の大きさに増幅する。そして、A/D変換器は、プリアンプから出力される上述の受信信号をアナログ/デジタル変換して受信遅延回路へ供給する。
受信遅延回路は、送受信制御部11gから送受信制御パラメータとして送受信方向単位及び送受信チャンネル単位で供給される受信遅延時間の情報に基づき、所定の深さにて反射した受信超音波を集束させるための集束用遅延時間と所定方向に対して強い受信指向性を設定するための偏向用遅延時間を上述のA/D変換器から出力されたMrチャンネルの受信信号に与え、加算器は、受信遅延回路から出力されたMrチャンネルの受信信号を整相加算する。
受信信号処理部4gは、受信信号の高調波成分を抽出することによってBモードデータを生成する機能を有し、図示しない増幅回路、フィルタ回路、包絡線検波器及び対数変換器を備えている。増幅回路は、受信部22gの加算器から供給される整相加算後の受信信号を所定の大きさへ増幅し、フィルタ回路は、増幅後の受信信号に含まれている高調波成分を抽出する。一方、包絡線検波器は、抽出された受信信号の高調波成分を包絡線検波し、対数変換器は、包絡線検波された高調波成分の振幅を対数変換することによりBモードデータを生成する。
図13は、受信信号処理部4gが備えるフィルタ回路の機能を説明するための図であり、図13(a)は、低音圧を有し中心周波数がfoのモニタリングモード用超音波パルスの周波数スペクトラム151を示しており、又、図13(b)は、上述の超音波パルスが生体組織に照射された場合の超音波反射波(受信信号)に含まれる中心周波数foの基本波成分152及び中心周波数2foの2倍高調波成分153と被検体内のマイクロバブルにて反射した受信信号の周波数成分154を示している。
図13(b)に示すように、マイクロバブルにて反射した受信信号は広帯域な周波数成分を有しているため、マイクロバブルからの信号成分を選択して得るためには生体組織に起因した信号成分の混入が比較的少ない1.5倍高調波成分をフィルタ処理によって抽出することが望ましい。このとき適用されるフィルタ回路の好適な帯域通過フィルタ特性を太実線155によって示す。
即ち、受信部22gの加算器から出力された受信信号の1.5倍高調波成分は、受信信号処理部4gのフィルタ回路によって抽出された後、包絡線検波器による包絡線検波と対数変換器による対数変換が行なわれてBモードデータが生成される。
図12へ戻って、画像データ生成部5gは、図示しないBモードデータ記憶部を備え、受信信号処理部4gから送受信方向単位で供給されるモニタリングモードのBモードデータを上述のBモードデータ記憶部に順次保存することにより時系列的な画像データ(Bモード画像データ)を生成し、得られたこれらの画像データは表示部6gが備えるモニタに表示される。尚、画像データ生成部5gは、更に、図示しない画像処理部を備え、上述のBモードデータ記憶部から読み出した画像データに対して輪郭強調、階調補正、フレーム相関等を必要に応じて行なってもよい。
一方、心電波形を生体信号として計測する生体信号計測ユニット7は、例えば、図1の生体信号計測ユニット7と同一の構成及び機能を有する図示しないECG電極、増幅部及びA/D変換器を備え、心拍同期信号生成部8は、生体信号計測ユニット7によって計測された心電波形の振幅と所定の閾値とを比較することにより心拍同期信号を生成する。
次に、パラメータ保管部10gには、送受信方向及び送受信チャンネルを単位として予め設定されたフラッシュモード及びモニタリングモードに対応する各種の送受信制御パラメータが保管されている。
図14は、パラメータ保管部10gに保管されているフラッシュモード及びモニタリングモードに対応した送受信制御パラメータの具体例を示したものであり、これらの送受信制御パラメータは、通常、上述の送受信方向及び送受信チャンネルを付帯情報としてパラメータ保管部10gの図示しない記憶回路に保管されている。
以下では、説明を簡単にするために、超音波プローブ3が備えるM(M=4)個の振動素子を送信用振動素子及び受信用振動素子として用い、例えば、フラッシュモードの第1の送信方向Cf(1)乃至第Nfの送信方向Cf(Nf)に対して高音圧の超音波パルスを送信する際に必要な送受信制御パラメータPf(1)乃至Pf(Nf)やモニタリングモードの第1の送受信方向Cm(1)乃至第Nmの送受信方向Cm(Nm)に対して低音圧の超音波送受信を行なう際に必要な送受信制御パラメータPm(1)乃至Pm(Nm)が送受信方向及び送受信チャンネルを付帯情報としてパラメータ保管部10gの記憶回路に予め保管されている場合について述べるが、送受信チャンネルのチャンネル数Mや送受信制御パラメータの種類は上述に限定されない。
又、送受信チャンネルCH1乃至CH4の各々は、送信部21gのレートパルス発生器、送信遅延回路及び駆動回路と、受信部22gのプリアンプ、A/D変換器及び受信遅延回路によって構成される場合について示すが、これらに限定されるものではない。
尚、図14に示すように、例えば、フラッシュモードのnf番目(nf=1乃至Nf)の送信方向Cf(nf)に対応する送受信制御パラメータPf(nf)は、送受信チャンネルCH1乃至CH4の各々に対応する送受信制御パラメータPf1(1)乃至Pf4(nf)によって構成され、送受信制御パラメータPf1(nf)乃至Pf4(nf)には、送信強度Af1(nf)乃至Af4(nf)及び送信遅延時間Bf1(nf)乃至Bf4(nf)等が含まれている。
同様にして、モニタリングモードのnm番目(nm=1乃至Nm)の送受信方向Cm(nm)に対応する送受信制御パラメータPm(nm)は、送受信チャンネルCH1乃至CH4の各々に対応する送受信制御パラメータPm1(nm)乃至Pm4(nm)によって構成され、送受信制御パラメータPm1(nm)乃至Pm4(nm)には、送信強度Am1(nm)乃至Am4(nm)、送信遅延時間Bm1(nm)乃至Bm4(nm)、受信感度Em1(nm)乃至Em4(nm)及び受信遅延時間Fm1(nm)乃至Fm4(nm)等が含まれている。
再び図12へ戻って、送受信制御部11gは、送受信部2gの送受信チャンネルへ並列供給する送受信制御パラメータのモード切り替えを短時間で行なう機能を有し、パラメータ記憶部111gとパラメータR/W制御部112gを備えている。
パラメータ記憶部111gは、2つのバッファーメモリ(即ち、バッファーメモリ114a及びバッファーメモリ114b)を有し、パラメータR/W制御部112gから供給される第1の読み出し制御信号に基づいてパラメータ保管部10gから送受信方向単位及び送受信チャンネル単位で順次読み出されたフラッシュモードの送受信制御パラメータPf(1)乃至Pf(Nf)及びモニタリングモードの送受信制御パラメータPm(1)乃至Pm(Nm)は上述のバッファーメモリに一旦保存される。
そして、パラメータ記憶部111gに保存された上述の送受信制御パラメータは、パラメータR/W制御部112gから供給される第2の読み出し制御信号に従って読み出され、送受信部2gの送受信チャンネルCH1乃至CH4へ並列供給される。
この場合、パラメータ記憶部111gから読み出されたフラッシュモード及びモニタリングモードの「送信強度」の情報は、送信部21gの駆動回路へ供給され、「送信遅延時間」の情報は、送信部21gの送信遅延回路へ供給される。又、モニタリングモードの「受信感度」の情報は、受信部22gのプリアンプへ供給され、「受信遅延時間」の情報は、受信部22gの受信遅延回路へ供給される。
一方、パラメータR/W制御部112gは、パラメータ記憶部111gに対する送受信制御パラメータの保存(取得)と送受信部2gの送受信チャンネルCH1乃至CH4に対する前記送受信制御パラメータの供給を制御する機能を有している。
即ち、パラメータR/W制御部112gは、後述するフラッシュモードの超音波送信期間Tγfあるいはモニタリングモードの超音波送受信期間Tγmにおいてパラメータ保管部10gから取得した送受信チャンネルCH1乃至CH4の送受信制御パラメータをパラメータ記憶部111gのバッファーメモリ114a及び114bに保存(取得)するための制御を行なう。
更に、パラメータR/W制御部112gは、後述するフラッシュモードのパラメータ供給期間あるいはモニタリングモードのパラメータ供給期間においてパラメータ記憶部111gのバッファーメモリ114a及び114bから読み出したチャンネルCH1乃至CH4の送受信制御パラメータを送受信部2gの送受信チャンネルCH1乃至CH4へ並列供給するための制御を行なう。
次に、図12に示した入力部12gは、操作パネル上にキーボード、トラックボール、マウス、選択ボタン、入力ボタン等の入力デバイスや表示パネルを備え、被検体情報の入力、モニタリングモード及びフラッシュモードの選択、画像データ生成条件及び画像データ表示条件の設定、各種指示信号の入力等を行なう。
そして、システム制御部13gは、図示しないCPUと入力情報記憶部を備え、入力部12gおいて入力/選択/設定された上述の各種情報は入力情報記憶部に保存される。そして、CPUは、上述の各種情報に基づいて超音波診断装置200の各ユニットを統括的に制御することにより高音圧の超音波パルスによるフラッシュモードの超音波送信と低音圧の超音波パルスによるモニタリングモードの超音波送受信との高速切り替えを実行させる。
次に、当該被検体の心拍同期信号等に基づいたモニタリングモードの超音波送受信からフラッシュモードの超音波送信への切り替え、あるいは、フラッシュモードの超音波送信からモニタリングモードの超音波送受信への切り替えを短時間で行なうことが可能な本実施形態における送受信制御パラメータの取得方法と送受信部2gの送受信チャンネルCH1乃至CH4に対する前記送受信制御パラメータの供給方法につき図15及び図16を用いて更に詳しく説明する。
図15(a)は、生体信号計測ユニット7によって計測された当該被検体の心電波形、図15(b)は、入力部12gにおいて任意のタイミングで入力される走査開始指示信号、図15(c−1)及び図15(c−2)は、パラメータ保管部10gから読み出され送受信制御部11gのパラメータ記憶部111gが備えるバッファーメモリ114a及び114bに保存(取得)された送受信制御パラメータ、図15(d)は、モニタリングモードの超音波送受信によって得られた受信信号に基づいて画像データ生成部5gが生成した時系列的な画像データを夫々示している。
送受信制御部11gは、例えば、時刻t0において入力された図15(b)の走査開始指示信号に後続してパラメータ保管部10gから順次読み出したモニタリングモードの送受信方向Cm(1)乃至Cm(Nm)に対応する送受信制御パラメータPm(1)乃至Pm(Nm)をバッファーメモリ114aに一旦保存した後(図15(c−1)参照)、送受信部2gの送受信チャンネルCH1乃至CH4へ並列供給することにより低音圧の超音波パルスを用いたモニタリングモードの超音波送受信を当該被検体に対して行なう。そして、送受信方向Cm(1)乃至Cm(Nm)に対する超音波送受信を次の心拍同期信号が供給される時刻t1まで繰り返すことにより、期間[t0−t1]において時系列的な画像データが生成される(図15(d)参照)。
一方、送受信制御部11gは、図示しない期間[t0−t1]の超音波送受信期間Tγmにおいてパラメータ保管部10gから読み出したフラッシュモードの第1の送信方向Cf(1)に対応する送受信制御パラメータPf(1)をパラメータ記憶部111gのバッファーメモリ114bに保存する(図15(c−2)参照)。
次いで、送受信制御部11gは、期間[t0−t1]においてバッファーメモリ114bに保存したフラッシュモードの第1の送信方向Cf(1)に対応する送受信制御パラメータPf(1)及びパラメータ保管部10gから新たに読み出しバッファーメモリ114bに保存したフラッシュモードの第2の送信方向Cf(2)乃至第Nfの送信方向Cf(Nf)に対応する送受信制御パラメータPf(2)乃至Pf(Nf)を送受信部2gの送受信チャンネルCH1乃至CH4へ並列供給し、更に、パラメータ保管部10gから読み出した送受信制御パラメータPf(1)乃至Pf(Nf)の送受信チャンネルCH1乃至CH4に対する並列供給を時刻t1から所定のフラッシュモード時間Tfだけ経過した時刻t2まで繰り返すことにより、期間[t1−t2]では、検査対象領域に対するフラッシュモードの超音波走査が行なわれる。
又、送受信制御部11gは、図示しない期間[t1−t2]の超音波送信期間Tγfにおいてパラメータ保管部10gから読み出したモニタリングモードの第1の送受信方向Cm(1)に対応する送受信制御パラメータPm(1)をパラメータ記憶部111gのバッファーメモリ114aに保存する。
次に、送受信制御部11gは、期間[t1−t2]においてバッファーメモリ114aに保存した上述の送受信制御パラメータPm(1)及びパラメータ保管部10gから新たに読み出しバッファーメモリ114aに一旦保存したモニタリングモードの第2の送信方向Cm(2)乃至第Nmの送信方向Cm(Nm)に対応する送受信制御パラメータPm(2)乃至Pm(Nf)を送受信部2gの送受信チャンネルCH1乃至CH4へ並列供給し、更に、パラメータ保管部10gから読み出した送受信制御パラメータPm(1)乃至Pm(Nm)の送受信チャンネルCH1乃至CH4に対する並列供給を次の心拍同期信号が供給される時刻t3まで繰り返すことにより、期間[t2−t3]では、検査対象領域に対するモニタリングモードの超音波走査が行なわれ、このとき得られる受信信号に基づいて時系列的な画像データが生成される。
以下、時刻t3以降においても、モニタリングモードの超音波送受信と並行してバッファーメモリ114bに取得されたフラッシュモードの第1の送信方向Cf(1)に対応する送受信制御パラメータPf(1)及びモニタリングモードの超音波送受信に後続するフラッシュモードの超音波送信においてパラメータ保管部10gから読み出されバッファーメモリ114bに一旦保存されたフラッシュモードの第2の送信方向Cf(2)乃至第Nfの送信方向Cf(Nf)に対応する送受信制御パラメータPf(2)乃至Pf(Nf)を送受信部2gの送受信チャンネルCH1乃至CH4へ並列供給することにより高音圧の超音波パルスを用いたフラッシュモードの超音波走査が行なわれ、フラッシュモードの超音波送信と並行してバッファーメモリ114aに保存されたモニタリングモードの第1の送受信方向Cm(1)に対応する送受信制御パラメータPm(1)及びフラッシュモードの超音波送信に後続するモニタリングモードの超音波送受信においてパラメータ保管部10gから読み出されバッファーメモリ114aに保存されたモニタリングモードの第2の送受信方向Cm(2)乃至第Nmの送受信方向Cm(Nm)に対応する送受信制御パラメータPm(2)乃至Pm(Nm)を送受信部2gの送受信チャンネルCH1乃至CH4へ供給することにより低音圧の超音波パルスを用いたモニタリングモードの超音波走査が行なわれる。
図16は、期間[t1−t3]及びその前後の期間における送受信制御パラメータの取得と送受信部2gの送受信チャンネルCH1乃至CH4に対する前記送受信制御パラメータの供給を更に詳しく説明するための図である。
即ち、図16(a)は、生体信号計測ユニット7によって計測された当該被検体の心電波形を示しており、図16(b)は、パラメータ保管部10gから読み出されパラメータ記憶部111gに保存されたモニタリングモード及びフラッシュモードの送受信制御パラメータ(図15(c)参照)を示している。
又、図16(c)は、フラッシュモードの第1の送信方向Cf(1)乃至第Nfの送信方向Cf(Nf)及びモニタリングモードの第1の送受信方向Cm(1)乃至第Nmの送受信方向Cm(Nm)に対して超音波送信あるいは超音波送受信を順次行なう際、送受信部2gの送受信チャンネルCH1乃至CH4に対して並列供給される送受信制御パラメータの供給期間とこれらの送受信制御パラメータに基づいて行なわれる超音波送信あるいは超音波送受信の期間を示しており、図16(d)は、モニタリングモードの超音波送受信による画像データの収集期間を示している。
即ち、パラメータ保管部10gに予め保管されたフラッシュモードの第1の送信方向Cf(1)に対応する送受信チャンネルCH1乃至CH4の送受信制御パラメータPf(1)(図14のPf1(1)乃至Pf4(1))は、図16(b−1)に示すように、期間[t1−t2]に先行する期間[t0−t1]のパラメータ読み出し期間Tαfにおいて読み出されパラメータ記憶部111gのバッファーメモリ114bに一旦保存される。
次いで、バッファーメモリ114bに保存された上述の送受信制御パラメータPf(1)は、期間[t1−t2]の第1のパラメータ供給期間Tβf1において送受信部2gの送受信チャンネルCH1乃至CH4へ並列供給され、送受信部2gは、期間[t1−t2]の第1の超音波送信期間Tγf1においてこれらの送受信制御パラメータに基づいたフラッシュモードの超音波送信を第1の送信方向Cf(1)に対して行なう。
一方、パラメータ保管部10gに保管されたフラッシュモードの第2の送信方向Cf(2)に対応する送受信チャンネルCH1乃至CH4の送受信制御パラメータPf(2)(Pf1(2)乃至Pf4(2))は、上述の超音波送信期間Tγf1の期間内に設定されたパラメータ読み出し期間Tαf1にて読み出されパラメータ記憶部111gのバッファーメモリ114bに保存される。
このように、先行する送信方向の超音波送信期間においてパラメータ保管部10gから読み出した後続の送信方向に対応する送受信制御パラメータを超音波送信期間の直前に設定されたパラメータ供給期間において送受信部2gの送受信チャンネルへ並列供給し、更に、期間[t1−t2]においてこのような手順を繰り返すことにより、高音圧の超音波パルスを用いたフラッシュモードの超音波走査が行なわれる。
そして、時刻t1から所定のフラッシュモード時間Tfだけ経過した時刻t2を基準に開始されるモニタリングモードの超音波送受信において、パラメータ保管部10gに予め保管されたモニタリングモードの第1の送受信方向Cm(1)に対応する送受信チャンネルCH1乃至CH4の送受信制御パラメータPm(1)(図14のPm1(1)乃至Pm4(1))は、図16(b−2)に示すように、期間[t1−t2]のパラメータ読み出し期間Tαmにおいて読み出されパラメータ記憶部111gのバッファーメモリ114aに保存される。
次いで、バッファーメモリ114aに保存された上述の送受信制御パラメータPm(1)は、期間[t2−t3]の第1のパラメータ供給期間Tβm1において送受信部2gの送受信チャンネルCH1乃至CH4へ並列供給され、送受信部2gは、期間[t2−t3]の第1の超音波送受信期間Tγm1においてこれらの送受信制御パラメータに基づいたモニタリングモードの超音波送受信を第1の送信方向Cm(1)に対して行なう。
一方、パラメータ保管部10gに保管されたモニタリングモードの第2の送受信方向Cm(2)に対応する送受信チャンネルCH1乃至CH4の送受信制御パラメータPm(2)(Pm1(2)乃至Pm4(2))は、期間[t2−t3]の第1の超音波送受信期間Tγm1の期間内に設定されたパラメータ読み出し期間Tαm1において読み出されパラメータ記憶部111gのバッファーメモリ114aに保存される。
このように、先行する送受信方向の超音波送受信期間においてパラメータ保管部10gから読み出した後続の送受信方向に対応する送受信制御パラメータを超音波送受信期間の直前に設定されたパラメータ供給期間において送受信部2gの送受信チャンネルへ並列供給することにより、モニタリングモードの第1の送受信方向Cm(1)乃至第Nmの送受信方向Cm(Nm)に対する超音波送受信が行なわれ、更に、期間[t2−t3]においてこのような超音波送受信を繰り返すことにより、時系列的な画像データが生成される。
(画像データの生成手順)
次に、高音圧の超音波パルスによるフラッシュモードの超音波送信を適用した本実施形態における画像データの生成手順を図15乃至図16に示したタイムチャートと図17のフローチャートを用いて説明する。
画像データの生成に先立ち、超音波診断装置200の操作者は、生体信号計測ユニット7に設けられたECG電極を被検体の体表面に装着した後、入力部12gにおいて被検体情報の入力、モニタリングモード及びフラッシュモードの選択、フラッシュモード時間Tfの設定、画像データ生成条件及び画像データ表示条件の設定等を行なう。そして、これらの入力/選択/設定情報は、システム制御部13gの入力情報記憶部に保存される(図17のステップS21)。
上述の初期設定が終了したならば、操作者は、被検体に超音波造影剤を投与し生体信号計測ユニット7を動作状態にして当該被検体に対する心電波形計測を開始した後、入力部12gにおいて走査開始指示信号を入力する(図17のステップS22)。そして、この指示信号がシステム制御部13gへ供給されることによりモニタリングモードの超音波送受信が開始される。
被検体に対するモニタリングモードの超音波送受信に際し、図15の時刻t0において入力部12gからシステム制御部13gを介して供給された上述の走査開始指示信号を受信した送受信制御部11gのパラメータR/W制御部112gは、パラメータ保管部10gに予め保管されているモニタリングモードの送受信制御パラメータPm(1)乃至Pm(Nm)をパラメータ記憶部11gの1114aに一旦保存した後、送受信部2gの送受信チャンネルへ供給することにより被検体に対する超音波送受信を行なう。そして、画像データ生成部5gは、このとき得られた受信信号に基づいて画像データを生成し表示部6gのモニタに表示する。
そして、パラメータR/W制御部112gは、心電波形のR波に基づいた心拍同期信号が心拍同期信号生成部8からシステム制御部13gを介して供給される時刻t1まで上述した送受信制御パラメータの取得と送受信部2gの送受信チャンネルに対する前記送受信制御パラメータの供給を繰り返し、このとき得られた時系列的な画像データは表示部6gに動画像として表示される。
更に、パラメータR/W制御部112gは、期間[t0−t1]において、パラメータ保管部10gから読み出したフラッシュモードの第1の送信方向Cf(1)に対応する送受信制御パラメータPf(1)をパラメータ記憶部111gのバッファーメモリ114bに保存する(図17のステップS23)。
次いで、パラメータR/W制御部112gは、心拍同期信号生成部8からシステム制御部13gを介して供給される時刻t1の心拍同期信号を受信し(図17のステップS24)、期間[t1−t2]に設定された第1のパラメータ供給期間Tβf1においてバッファーメモリ114bから読み出した上述の送受信制御パラメータPf(1)を送受信部2gの送受信チャンネルCH1乃至CH4へ供給する。そして、送受信チャンネルCH1乃至CH4の各々は、パラメータ供給期間Tβf1に後続する超音波送受信期間Tγf1において上述の送受信制御パラメータPf(1)に基づいた超音波送信を第1の送信方向Cf(1)に対して行なう。
更に、パラメータR/W制御部112gは、パラメータ保管部10gに保管されているフラッシュモードの第2の送受信方向Cf(2)に対応する送受信チャンネルCH1乃至CH4の送受信制御パラメータPf(2)を第1の超音波送受信期間Tγf1の期間内に設定されたパラメータ読み出し期間Tαf1において読み出し、パラメータ記憶部111gのバッファーメモリ114bに保存する(図17のステップS25)。そして、時刻t1から所定のフラッシュモード時間Tfだけ経過した時刻t2までの期間[t1−t2]において上述のステップS25と同様の手順が繰り返し行なわれる。
又、パラメータR/W制御部112gは、期間[t1−t2]においてパラメータ保管部10gから読み出したモニタリングモードの第1の送受信方向Cm(1)に対応する送受信制御パラメータPm(1)をパラメータ記憶部111gのバッファーメモリ114aに保存する(図17のステップS26)。
期間[t1−t2]におけるフラッシュモードの超音波送信が終了したならば、パラメータR/W制御部112gは、期間[t2−t3]の第1のパラメータ供給期間Tβm1においてバッファーメモリ114aから読み出した上述の送受信制御パラメータPm(1)を送受信部2gの送受信チャンネルCH1乃至CH4へ供給する。そして、送受信チャンネルCH1乃至CH4の各々は、パラメータ供給期間Tβm1に後続する超音波送受信期間Tγm1において、上述の送受信制御パラメータPm(1)に基づいた超音波送受信をモニタリングモードの第1の送信方向Cm(1)に対して行なう。
更に、パラメータR/W制御部112gは、パラメータ保管部10gに保管されているモニタリングモードの第2の送受信方向Cm(2)に対応する送受信チャンネルCH1乃至CH4の送受信制御パラメータPf(2)を第1の超音波送受信期間Tγm1の期間内に設定されたパラメータ読み出し期間Tαm1において読み出し、パラメータ記憶部111gのバッファーメモリ114aに保存する(図17のステップS27)。そして、次の心拍同期信号が受信されるまでの期間[t2−t3]において上述のステップS27と同様の手順が繰り返し行なわれ、このとき得られる受信信号に基づいて生成された時系列的な画像データは表示部6gのモニタに表示される(図17のステップS28)。
一方、パラメータR/W制御部112gは、期間[t2−t3]においてパラメータ保管部10gから読み出したフラッシュモードの第1の送受信方向Cf(1)に対応する送受信制御パラメータPf(1)をパラメータ記憶部111gのバッファーメモリ114bに保存する(図17のステップS29)。
そして、心拍同期信号生成部8において生成された新たな心拍同期信号を受信する度に上述したステップS24乃至ステップS29の手順を繰り返すことにより高音圧の超音波パルスによるフラッシュモードの超音波走査(超音波送信)と低音圧の超音波パルスによるモニタリングモードの超音波走査(超音波送受信)を交互に行なう。
以上述べた本開示の第2の実施形態によれば、マイクロバブルを有する超音波造影剤が投与された被検体に対し2次元あるいは3次元の超音波走査を行なって体内の血流状態を観測するために、検査対象領域に残存しているマイクロバブルを高音圧の超音波パルスを用いたフラッシュモードの超音波走査によって破砕した後、低音圧の超音波パルスを用いたモニタリングモードの超音波走査によって上述の検査対象領域において新たに流入する血流の状態を観測する際、超音波走査に対して非同期で供給される心拍同期信号等に伴って超音波送受信の方向や順序を急遽変更しなくてはならないような場合においても、予め取得した送受信制御パラメータを対応する超音波送受信の担当ユニットに対して短時間で供給することができる。このため、モニタリングモードからフラッシュモードへの変更直後あるいはフラッシュモードからモニタリングモードへの変更直後における超音波送受信を容易かつ正確に行なうことが可能となり、心拍期間の各時相における画像データを過不足なく収集することができる。
特に、モニタリングモードの超音波走査と並行してフラッシュモードの最初の送信方向に対応する送受信制御パラメータを予め取得し、当該被検体の心電波形に基づいて生成された心拍同期信号を受信したならばモニタリングモードの超音波走査を停止すると共に上述の送受信制御パラメータを用いてフラッシュモードの最初の送信方向に対する超音波送信を行なうことにより、モニタリングモードからフラッシュモードへ変更された直後の超音波送信を確実に行なうことができる。
又、フラッシュモードの超音波走査と並行してモニタリングモードの最初の送受信方向に対応する送受信制御パラメータを予め取得し、所定のフラッシュモード時間が経過したならばフラッシュモードの超音波走査を停止すると共に上述の送受信制御パラメータを用いてモニタリングモードの最初の送受信方向に対する超音波送受信を行なうことにより、フラッシュモードからモニタリングモードへ変更された直後の超音波送受信を確実に行なうことができる。
又、上述の第2の実施形態によれば、被検体に対するモニタリングモードの超音波送受信を行なって時系列的な画像データを収集する際、超音波の送受信方向単位及び送受信チャンネル単位で予め取得した各種の送受信制御パラメータを超音波送受信の担当ユニットへ効率よく供給することにより時間分解能に優れた画像データを得ることができる。
即ち、先行する超音波送受信と並行して後続の超音波送受信に必要な送受信制御パラメータを予め取得し、後続する超音波送受信の直線に設定されたパラメータ供給期間において上述の送受信制御パラメータを超音波送受信の担当ユニットへ並列供給することにより、画像データの時間分解能を改善することが可能となる。
以上、本開示の実施形態について述べてきたが、本開示は、上述の実施形態に限定されるものではなく、変形して実施することが可能である。
例えば、上述の第1の実施形態及び第2の実施形態では、複数の振動素子を有したセクタ走査方式の超音波プローブ3について述べたが、コンベックス走査方式やリニア走査方式等の他の走査方式に対応した超音波プローブであってもよい。但し、コンベックス走査方式やリニア走査方式の超音波プローブを用いた場合には、送信用振動素子及び受信用振動素子の位置を決定する送信素子位置及び受信素子位置の情報を新たな送受信制御パラメータとして追加することが望ましい。
又、送信強度、送信遅延時間、受信感度及び受信遅延時間や上述の送信素子位置及び受信素子位置を送受信制御パラメータとする場合について述べたが、送受信制御パラメータは、これらに限定されるものではなく、例えば、送信開口や受信開口等の情報が含まれていてもよい。
更に、先行する超音波送受信あるいは超音波送信と並行して後続の超音波送受信あるいは超音波送信に必要な送受信制御パラメータを予め取得する場合について述べたが、送受信制御パラメータの取得は先行する超音波送受信(送信)の期間内に限定されない。特に、送受信制御パラメータの取得と送受信部2(2g)に対する並列供給を同時に行なうことが可能な場合には、後続の超音波送受信に必要な送受信制御パラメータの取得を先行する超音波送受信のパラメータ供給期間において行なってもよい。
又、パラメータ記憶部111(111g)を備えた送受信制御部11(11g)について述べたが、パラメータ記憶部111(111g)は他のユニットに備えられていてもよく、独立したユニットとして存在していてもよい。
更に、上述の第1の実施形態及び第2の実施形態では、Bモードデータに基づいて心拍同期3次元画像データあるいはモニタリングモードの画像データを生成する場合について述べたが、カラードプラデータやドプラスペクトラムデータ等の他の撮影モードにおいて収集された超音波データを用いて所望の画像データを生成しても構わない。
又、心電波形に基づいて心拍同期信号を生成する場合について述べたが、心音波形や脳波形等の他の生体信号に基づいて生成された心拍同期信号を用いてもよく、これらの信号を計測する生体信号計測ユニット7は超音波診断装置100(200)の外部に設けられていてもよい。
一方、上述の第1の実施形態では、3次元領域に対する心拍同期3次元走査によって収集されたボリュームデータに基づいて、ボリュームレンダリング画像データやサーフェスレンダリング画像データを生成する場合について述べたが、MPR(multi planar reconstruction)画像データやMIP(maximum intensity projection)画像データ等を心拍同期3次元画像データとして生成してもよい。
更に、3次元領域のサイズと3次元サブ領域のサイズに基づいて3次元サブ領域のセグメント数を設定する場合について述べたが、3次元領域のサイズと予め設定されたセグメント数に基づいて3次元サブ領域のサイズを設定しても構わない。
又、第2の実施形態では、低音圧の超音波送受信によって得られた受信信号をフィルタリング処理することによって生体組織からの反射波を排除し、超音波造影剤からの反射波成分を抽出する方法について述べたが、上述の受信信号をそのまま用いて画像データを生成しても構わない。
更に、心拍同期信号生成部8において生成された心拍同期信号に基づいてモニタリングモードの超音波送受信からフラッシュモードの超音波送信への切り替えを行なう場合について述べたが、入力部12(12g)等から任意の時刻において入力されるタイミング信号(マニュアル信号)に基づいて同期信号を生成する同期信号生成部を備え、この同期信号生成部において生成された同期信号を用いて上述の切り替えを行なってもよい。
尚、第1の実施形態の超音波診断装置100あるいは第2の実施形態の超音波診断装置200に含まれる各ユニットは、例えば、CPU、RAM、磁気記憶装置、入力装置、表示装置等で構成されるコンピュータをハードウェアとして用いることでも実現することができる。例えば、超音波診断装置100のシステム制御部13や超音波診断装置200のシステム制御部13gは、上記のコンピュータに搭載されたCPU等のプロセッサに所定の制御プログラムを実行させることにより各種機能を実現することができる。この場合、上述の制御プログラムをコンピュータに予めインストールしてもよく、又、コンピュータ読み取りが可能な記憶媒体への保存あるいはネットワークを介して配布された制御プログラムのコンピュータへのインストールであっても構わない。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これらの実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。