以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
第1の実施形態に係る超音波診断装置1を図1のブロック図を参照して説明する。
図1に示されるように、超音波診断装置1は、装置本体10、超音波プローブ30、モニタ51、プリンタ52、入力装置60、及び生体信号センサ70を備える。装置本体10は、ネットワーク500を介して外部装置40、及び病院情報システム(HIS:Hospital Information System)41等と接続される。また、装置本体10は、モニタ51、プリンタ52、及び入力装置60と接続される。
超音波プローブ30は、複数の圧電振動子、圧電振動子に設けられる整合層、及び圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。超音波プローブ30は、装置本体10と着脱自在に接続される。複数の圧電振動子は、装置本体10が有する超音波送信回路11から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ30には、オフセット処理や、超音波画像のフリーズなどの際に押下されるボタンが配置されてもよい。フリーズとは、例えば、超音波画像を収集していない状態を示す。
超音波プローブ30から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射される。体内組織で反射された超音波は、反射波(エコー)として超音波プローブ30が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波により発生する受信信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが移動している血流や心臓壁などの表面で反射された場合、反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して周波数偏移を受ける。超音波プローブ30は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号(受信信号)に変換する。これにより、受信信号が発生される。なお、受信信号は、反射波信号と換言してもよい。超音波プローブ30は、例えば、複数の圧電振動子が所定の方向に沿って配列された1Dアレイプローブ、複数の圧電振動子が二次元マトリックス状に配列された2Dアレイプローブ、又は圧電振動子列をその配列方向と直交する方向に機械的に煽りながら超音波走査を実行可能なメカニカル4Dプローブ等である。
生体信号センサ70は、超音波走査される被検体Pから生体信号を検出する。生体信号センサ70は、例えば、被検体PのECG(心電図波形:ElectroCardioGram)信号を電気信号として検出する。生体信号センサ70は、検出したECG信号にデジタル化処理を含む各種処理を施した上で、心拍データとして装置本体10の各回路に適宜送信する。なお、生体信号センサ70は、脳波、脈拍、及び呼吸等の被検体Pから発せられる周期性を有する他の生体信号を検出してもよい。
図1に示される装置本体10は、超音波プローブ30が受信した受信信号に基づいて超音波画像を生成する装置である。装置本体10は、図1に示すように、超音波送信回路11、超音波受信回路12、信号処理回路13、画像生成回路15、画像信号収集メモリ16、内部記憶回路17、画像メモリ18、画像データベース19、入力インタフェース20、通信インタフェース21、制御回路22、及び生体情報収集メモリ23を含む。
超音波送信回路11は、超音波プローブ30に駆動信号を供給するプロセッサである。超音波送信回路11は、例えば、トリガ発生回路、遅延回路、及びパルサ回路等により実現される。トリガ発生回路は、制御回路22の制御の下、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。遅延回路は、超音波プローブ30から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、トリガ発生回路が発生する各レートパルスに対し与える。パルサ回路は、制御回路22の制御の下、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ30に駆動信号(駆動パルス)を印加する。遅延回路により各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面からの送信方向が任意に調整可能となる。
超音波受信回路12は、超音波プローブ30が受信した受信信号に対して各種処理を施すプロセッサである。超音波受信回路12は、例えば、アンプ回路、A/D変換器、受信遅延回路、及び加算器等により実現される。アンプ回路は、超音波プローブ30が受信した受信信号をチャンネルごとに増幅してゲイン補正処理を行なう。A/D変換器は、ゲイン補正された受信信号をデジタル信号に変換する。受信遅延回路は、デジタル信号に受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与える。加算器は、遅延時間が与えられた複数のデジタル信号を加算する。加算器の加算処理により、受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調された受信信号が発生する。この受信信号には、例えば、組織間の音響インピーダンスの差を反映した振幅情報と、生体組織の動き、例えば運動又は移動速度等を反映した位相情報とが含まれる。
信号処理回路13は、超音波受信回路12から受け取った受信信号に対して各種の信号処理を行うプロセッサである。信号処理回路13は、超音波受信回路12から受け取った受信信号に対して包絡線検波処理、及び対数増幅処理等を施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。生成されたBモードデータは、2次元的な超音波走査線上のBモードRAWデータとして不図示のRAWデータメモリに記憶される。
また、信号処理回路13は、超音波受信回路12から受け取った受信信号に対して周波数解析を施して血流信号を抽出し、血流信号から平均速度、分散、及びパワー等の情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。生成されたドプラデータは、2次元的な超音波走査線上のドプラRAWデータとして不図示のRAWデータメモリに記憶される。
また、信号処理回路13は、超音波受信回路12から受け取った受信信号から血流信号を抽出し、抽出した血流信号からドプラ波形を示すドプラスペクトラム画像を表すドプラスペクトラム画像データを生成する。ドプラ波形は、例えば観察部位として設定された範囲における血流速度が時系列に沿ってプロットされた波形である。すなわち、ドプラ波形は、血流速度の時間的変化を表す。
画像生成回路15は、信号処理回路13により生成されたデータに基づき、各種超音波画像データを生成可能なプロセッサである。
画像生成回路15は、RAWデータメモリに記憶されたBモードRAWデータに基づいてBモード画像データを生成する。Bモード画像データに基づくBモード画像は、例えば被検体P内の対象物の形態を表す。Bモード画像データは、超音波の集束などの超音波プローブの特性や超音波ビーム(例えば、送受信ビーム)の音場特性などが反映された画素値(輝度値)を有する。例えば、Bモード画像データにおいて、被走査領域において超音波のフォーカス付近では、非フォーカス部分よりも相対的に高輝度となる。画像生成回路15は、生成したBモード画像データを、生体信号センサ70から出力される心拍データに対応付けて、例えば画像信号収集メモリ16に記憶する。
画像生成回路15は、RAWデータメモリに記憶されたドプラRAWデータに基づいて、移動体情報を表すドプラ画像データを生成する。ドプラ画像データは、速度画像データ、分散画像データ、パワー画像データ、又は、これらを組み合わせた画像データである。画像生成回路15は、生成したドプラ画像データを、生体信号センサ70から出力される心拍データに対応付けて、例えば画像信号収集メモリ16に記憶する。
ここで、画像生成回路15は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。具体的には、画像生成回路15は、超音波プローブ30による超音波の走査形態に応じて座標変換を行うことで、表示用の超音波画像データを生成する。画像生成回路15は、生成した超音波画像データを、生体信号センサ70から出力される心拍データに対応付けて、例えば画像信号収集メモリ16に記憶する。表示用の超音波画像データに基づく超音波画像は、例えば、モニタ51に表示される。モニタ51としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。また、表示用の超音波画像データに基づく超音波画像は、予め設定されたフォーマットに従ってプリンタ52により印刷される。
また、画像生成回路15は、生成した各種超音波画像データに対し、ダイナミックレンジ、輝度(ブライトネス)、コントラスト、γカーブ補正、及びRGB変換などの各種処理を実行してもよい。また、画像生成回路15は、生成した各種超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディマーク等の付帯情報を付加してもよい。
なお、画像生成回路15は、操作者(例えば、検査技師、術者等)が入力インタフェース20により各種指示を入力するためのユーザインタフェース(GUI:Graphical User Interface)を生成し、GUIをモニタ51に表示させてもよい。
画像信号収集メモリ16は、例えば、磁気的若しくは光学的記録媒体、又は半導体メモリ等のプロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を有する。画像信号収集メモリ16は、画像生成回路15が生成した各種超音波画像データを記憶する。画像信号収集メモリ16は、入力インタフェース20を介して入力されるフリーズ操作直前の複数フレームに対応する画像データを記憶する。
また、画像信号収集メモリ16は、心拍データに対応付けられた複数心拍分の超音波画像データを記憶している。画像信号収集メモリ16に記憶されている画像データは、被検体Pの心拍データと1心拍(1つの心周期)単位で対応付けられている。具体的には、例えば画像信号収集メモリ16に記憶されている各画像データは、1心拍に対応する心拍データに対応付けられている。なお、画像信号収集メモリ16は、1心拍分の超音波画像データを1つの画像データとして記憶してもよいし、複数心拍分の超音波画像データを1つの画像データにまとめて記憶してもよい。
画像信号収集メモリ16に記憶されている画像データは、例えば、連続表示(シネ表示)される。画像信号収集メモリ16に記憶されている画像データは、例えば、実際にモニタ51に表示される画像を表す画像データである。当該画像には、超音波スキャンにより取得された超音波画像データに基づく画像、並びに、CT画像データ、MR画像データ、X線画像データ、及びPET画像データ等の他の医用画像診断装置により取得された医用画像データに基づく画像が含まれる場合がある。
また、画像信号収集メモリ16は、信号処理回路13が生成したデータを記憶することも可能である。画像信号収集メモリ16が記憶するBモードデータ、又はドプラデータは、例えば、検査の後に操作者が呼び出すことが可能となっており、画像生成回路15を経由して表示用の超音波画像データとなる。
内部記憶回路17は、例えば、磁気的若しくは光学的記録媒体、又は半導体メモリ等のプロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を有する。内部記憶回路17は、超音波送受信を実現するための制御プログラム、画像処理を行うための制御プログラム、及び表示処理を行なうための制御プログラム等を記憶している。また、内部記憶回路17は、本実施形態に係る各種機能を実現するための制御プログラムを記憶している。また、内部記憶回路17は、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)、診断プロトコル、ボディマーク生成プログラム、及び映像化に用いるカラーデータの範囲を診断部位ごとに予め設定する変換テーブルなどのデータ群を記憶している。また、内部記憶回路17は、生体内の臓器の構造に関する解剖学図譜、例えば、アトラスを記憶してもよい。
また、内部記憶回路17は、入力インタフェース20を介して入力される記憶操作に従い、画像生成回路15で生成された各種超音波画像データを記憶する。なお、内部記憶回路17は、入力インタフェース20を介して入力される記憶操作に従い、画像生成回路15で生成された各種超音波画像データを、操作順番及び操作時間を含めて記憶してもよい。内部記憶回路17は、記憶しているデータを、通信インタフェース21を介して外部装置へ転送することも可能である。
画像メモリ18は、例えば、磁気的若しくは光学的記録媒体、又は半導体メモリ等のプロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を有する。画像メモリ18は、画像信号収集メモリ16に記憶されている複数心拍分の超音波画像データのうち、収集された心拍データに対応する少なくとも1心拍分の超音波画像データを記憶している。
画像データベース19は、外部装置40から転送される画像データを記憶する。例えば、画像データベース19は、過去の診察において取得された同一患者に関する過去画像データを、外部装置40から取得して記憶する。過去画像データには、超音波画像データ、CT(Computed Tomography)画像データ、MR(Magnetic Resonance)画像データ、PET(Positron Emission Tomography)-CT画像データ、PET-MR画像データ及びX線画像データが含まれる。また、過去画像データは、例えばボリュームデータ、及びレンダリング画像データとして記憶されている。
なお、画像データベース19は、MO、CD-R、DVDなどの記録媒体(メディア)に記録された画像データを読み込むことで、所望の画像データを格納してもよい。
入力インタフェース20は、入力装置60を介して、操作者からの各種指示を受け付ける。入力装置60には、例えば、マウス、キーボード、パネルスイッチ、スライダースイッチ、ダイヤルスイッチ、トラックボール、ロータリーエンコーダ、操作パネル及びタッチコマンドスクリーン(TCS)等が含まれる。また、入力装置60には、超音波の送受信方式、及び受信信号の処理方式等を含む各種撮像モードを切り替えるためのスイッチ群が含まれる。スイッチ群は、ダイヤルスイッチ、及び/又はトラックボール等の機械的なデバイスのみならず、TCS上に表示される操作パネル画像、又は、外部装置40におけるセカンドコンソール上に表示される操作パネル画像等のいずれであってもよい。
入力インタフェース20は、例えばバスを介して制御回路22に接続され、操作者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御回路22へ出力する。なお、本明細書において入力インタフェース20は、マウス及びキーボード等の物理的な操作部品と接続する構成に限られない。例えば、超音波診断装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力される操作指示に対応する電気信号を無線信号として受け取り、この電気信号を制御回路22へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース20の例に含まれる。
通信インタフェース21は、ネットワーク500等を介して外部装置40と接続され、外部装置40との間でデータ通信を行う。外部装置40は、例えば、各種の医用画像のデータを管理するシステムであるPACS(Picture Archiving and Communication System)のデータベース等である。また、外部装置40は、例えば、X線CT装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、核医学診断装置、及びX線診断装置等、本実施形態に係る超音波診断装置1以外の各種医用画像診断装置である。なお、外部装置40との通信の規格は、如何なる規格であっても良いが、例えば、DICOMが挙げられる。
また、通信インタフェース21は、ネットワーク500等を介してHIS41と接続され、HIS41との間でデータ通信を行う。HIS41は、検査を依頼するための検査オーダ情報を発行する検査オーダ発行システム、及び、医用画像が添付された電子カルテを管理する電子カルテシステム等を含む。通信インタフェース21は、HIS41から検査オーダ情報を受信する。なお、HIS41との通信の規格は、如何なる規格であっても良いが、例えば、HL7(Health Level 7)が挙げられる。
制御回路22は、例えば、超音波診断装置1の中枢として機能するプロセッサである。制御回路22は、内部記憶回路17に記憶されている動作プログラムを実行することで、この動作プログラムに対応する機能を実現する。具体的には、制御回路22は、生体情報収集機能221、支援情報生成機能223、選択機能225、画像処理機能227、出力制御機能229、及びシステム制御機能231を有する。
生体情報収集機能221は、生体信号センサ70から出力された生体情報を収集する機能である。生体情報収集機能221が実行されると、制御回路22は、例えば、生体信号センサ70から出力された心拍データを収集し、画像生成回路15により生成された各種超音波画像データと対応付けて、生体情報収集メモリ23に記憶する。または、制御回路22は、生体情報収集機能221により、超音波画像を取得した期間における、被検体の複数の心拍に関する心拍データを取得する。尚、生体情報収集機能221は、特許請求の範囲に記載の心拍データ収集部の一例である。
支援情報生成機能223は、所定の心拍の選択を支援するための支援情報を生成する機能である。所定の心拍とは、例えば、入力インタフェース20を介して指定された心拍、及び、超音波診断装置1により選択された心拍等である。支援情報生成機能223が実行されると、制御回路22は、例えば、複数心拍に対応する心拍データを用いて、1心拍の長さと、1心拍の長さ毎に集計された心拍の数との関係を表す心拍に関するヒストグラムを表すヒストグラムデータを生成する。心拍に関するヒストグラムの横軸は、1心拍の長さを表す。心拍に関するヒストグラムの縦軸は、所定の計測期間に対応する心拍データに含まれる複数の心拍のうち所定の長さである心拍の数(度数)を表す。具体的には、制御回路22は、生体情報収集メモリ23に記憶されている所定の計測期間に対応する心拍データに含まれる複数の心拍の長さをそれぞれ算出する。制御回路22は、算出された心拍の長さ毎に心拍の数を集計し、心拍に関するヒストグラムデータを生成する。このとき、集計対象となる心拍の長さは、基準となる長さに対してある程度幅を有する。基準となる長さがX(msec)(X>0)の場合、1つの集計対象となる心拍は、例えば、X(msec)からX+Y(msec)(Y>0)までの長さの心拍である。
なお、支援情報は、上記のヒストグラムに限らない。支援情報は、例えば、特定の心拍をハイライト表示させた心電図波形でもよい。具体的には、支援情報には、「連続する心拍の長さの比が略1となる心拍をハイライト表示させた心電図波形」「過去の超音波検査時に計測された心拍数に基づく心拍の長さと略等しい長さの心拍をハイライト表示させた心電図波形」「他の医用画像診断装置を用いた検査測定時に計測された心拍数に基づく心拍の長さと略等しい長さの心拍をハイライト表示させた心電図波形」および「指定された心拍の長さと略等しい長さの心拍をハイライト表示させた心電図波形」のうちの少なくとも一つが含まれる。
また、制御回路22は、支援情報生成機能223により、モニタ51に表示される所定の心拍を強調表示するための強調画像を表す強調画像データを生成する。強調画像は、例えば、モニタ51に表示される所定の心拍をハイライトする画像である。換言すると、制御回路22は、選択された心拍に関する範囲を強調する強調画像を生成する。尚、支援情報生成機能223は、特許請求の範囲に記載の生成部の一例である。
選択機能225は、支援情報を用いて、超音波画像の計測、及び解析に用いる心拍を選択する機能である。選択機能225が実行されると、制御回路22は、例えば、心拍に関するヒストグラムにおいて、同じ心拍の長さ毎に集計された回数に基づいて、心拍を選択する。具体的には、制御回路22は、例えば、集計された回数が最も多い所定の長さの心拍を選択する。尚、選択機能225は、特許請求の範囲に記載の選択部の一例である。
画像処理機能227は、選択された心拍に対応する超音波画像データを抽出する機能である。画像処理機能227が実行されると、制御回路22は、選択された心拍に対応する超音波画像データを、画像信号収集メモリ16に記憶されている複数心拍分の超音波画像データから抽出し、画像メモリ18に記憶する。なお、制御回路22は、1つの画像データに基づく画像に複数心拍分の超音波画像が含まれている場合、当該画像から選択された心拍に対応する超音波画像を切り出し、切り出した超音波画像を表す超音波画像データを、新たな超音波画像データとして画像メモリ18に記憶してもよい。
出力制御機能229は、生体情報、支援情報、及び超音波画像データ等を出力する機能である。出力制御機能229が実行されると、制御回路22は、モニタ51を制御し、心拍に関するヒストグラムを表示する。また、制御回路22は、モニタ51を制御し、選択された心拍を強調表示する。また、制御回路22は、モニタ51を制御し、心拍を示す心電図波形を表示する。概括すると、制御回路22は、支援情報と、心拍データに基づく心電図波形と、心電図波形に対応する超音波画像とを表示する。または、制御回路22は、選択された心拍を示す心電図波形と、心電図波形に対応する超音波画像と、選択された心拍に関する範囲を強調する強調画像とを表示する。なお、制御回路22は、プリンタ52を制御し、心拍に関するヒストグラム、及び、選択された心拍が強調表示された心電図等を印刷してもよい。尚、出力制御機能229は、特許請求の範囲に記載の表示制御部の一例である。
システム制御機能231は、超音波診断装置1の入出力、及び超音波送受信等の基本動作を制御する機能である。システム制御機能231が実行されると、制御回路22は、例えば入力インタフェース20を介し、超音波スキャンに関する撮像モードの指定を受け付ける。制御回路22は、指定された撮像モードに基づいて、超音波送信回路11、及び超音波受信回路12等を制御し、超音波スキャンを実行する。また、制御回路22は、選択された心拍に対応する各種超音波画像を用いて、当該超音波画像の計測、及び解析を実行する。
生体情報収集機能221、支援情報生成機能223、選択機能225、画像処理機能227、出力制御機能229、及びシステム制御機能231は、制御プログラムとして組み込まれていてもよいし、制御回路22自体または装置本体10に制御回路22が参照可能な回路として、各機能を実行可能な専用のハードウェア回路が組み込まれていてもよい。
生体情報収集メモリ23は、例えば、磁気的若しくは光学的記録媒体、又は半導体メモリ等のプロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を有する。生体情報収集メモリ23は、生体信号センサ70から出力された生体情報、例えば心拍データを記憶する。生体情報収集メモリ23に記憶されている心拍データは、画像信号収集メモリ16に記憶されている画像データと1心拍単位で対応付けられている。
次に、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の動作について、図を参照して説明する。図2は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1が所定の心拍を選択する際の制御回路22の動作を示すフローチャートである。以下の説明では、超音波診断装置1は、HIS41から検査オーダ情報を受信し、受信した検査オーダ情報に基づいて超音波スキャンを実行するものとする。なお、検査オーダ情報は、入力インタフェース20を介し、超音波診断装置1に直接入力されてもよい。また、制御回路22は、超音波スキャンに合わせて、生体信号センサ70から出力される心拍データを収集するものとする。このとき、制御回路22は、心拍データを、画像生成回路15により生成された各種超音波画像データと1心拍単位で対応付けて、生体情報収集メモリ23に逐次記憶する。また、制御回路22は、ヒストグラムデータ生成時に集計される所定の長さの心拍のうち集計された回数が多いものから上位2つの心拍を、超音波画像の計測、及び解析に用いる心拍として選択するものとする。
また、超音波スキャン実行時の撮像モードは、連続波を送受信し、1走査線上のドプラスペクトラム画像データを生成するCW(Continuous Wave)モードであるものとする。なお、撮像モードは、Bモード、カラードプラモード、PW(Pulsed Wave)モード、又はMモード等の他の撮像モードであってもよい。Bモードは、Bモードスキャンにより、Bモード画像データを生成する撮像モードである。カラードプラモードは、カラードプラモードスキャンにより、例えばパルス波を用いて収集された血流情報に色が割り当てられたカラードプラ画像データを生成する撮像モードである。カラードプラモードスキャンには、Bモードスキャンが含まれる。PWモードは、走査線に対してパルス波を送受信し、特定の計測部位に関するドプラスペクトラム画像データを生成する撮像モードである。Mモードは、Mモードスキャンにより、ある走査線に注目し、当該走査線からのエコーデータから生成された直線上の輝度画像を時系列に並べたMモード画像データを生成する撮像モードである。
図2に示されるように、制御回路22は、例えば、HIS41から検査オーダ情報を受信した後、入力インタフェース20を介して超音波スキャンを開始する開始指示が入力されると、超音波送信回路11、及び超音波受信回路12等を制御し、超音波スキャンを開始する(ステップSA1)。
次に、制御回路22は、例えば、生体情報収集メモリ23に記憶された所定の計測期間における心拍データを用いて、心拍に関するヒストグラムデータを生成する(ステップSA2)。
制御回路22は、生成した心拍に関するヒストグラムデータに基づくヒストグラムをモニタ51に表示する(ステップSA3)。図3は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1がモニタ51に表示するヒストグラムの例を表す図である。図3に示されるヒストグラムは、心拍の長さ別に心拍を集計したグラフである。図3に示されるヒストグラムの横軸は、各心拍の長さ(msec)を表す。図3に示されるヒストグラムの横軸に沿って示される数字は、心拍の長さの基準値を表す。例えば、図3に示される数字X(X=300、400、500、600、700、800、1000、1100、1200、1300、及び1400)は、例えば、1心拍の長さがX(msec)からX+99(msec)までであることをそれぞれ表す。図3に示されるヒストグラムの縦軸は、各心拍の長さの基準値毎に集計された心拍の数を表す。なお、図3に示される数字Xを、例えば、1心拍の長さがX-49(msec)からX+50(msec)までであるとしてもよい。
制御回路22は、フリーズ操作が入力されたか否か判定する(ステップSA4)。制御回路22は、フリーズ操作が入力されていないと判定した場合(ステップSA4のNo)、収集した心拍データについて、ヒストグラムデータを生成する対象期間を変更し、再びステップSA2、及びステップSA3の処理を実行する。これにより、制御回路22は、フリーズ操作が入力されるまで、所定の時間間隔でモニタ51に表示されるヒストグラムを更新する。図4は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1が心拍に関するヒストグラムデータを生成する生成方法の例を説明するための図である。図4には、所定の計測期間に対応する心拍データが表す心電図波形が示されている。図4では、制御回路22は、例えば、ヒストグラムデータを生成するために心拍を集計する対象期間を、T41、T42、及びT43と移動させながら移動平均を用いてヒストグラムデータを生成する。このとき、T41、T42、及びT43の対象期間の長さは等しい。これにより、常に最新の心拍データに基づいたヒストグラムデータを生成することが可能となる。
なお、制御回路22は、収集した心拍データについて、ヒストグラムデータを生成する対象期間を徐々に増やすようにしてもよい。図5は、第1の実施形態に係る超音波診断装置が心拍に関するヒストグラムデータを生成する生成方法の他の例を説明するための図である。図5には、所定の計測期間に対応する心拍データが表す心電図波形が示されている。図5では、制御回路22は、例えば、ヒストグラムデータを生成するために心拍を集計する対象期間を、T51、T52、及びT53と徐々に増やしながらヒストグラムデータを生成する。これにより、サンプル数が徐々に多くなるため、より信頼性の高いヒストグラムデータを生成することが可能となる。
制御回路22は、フリーズ操作が入力されたと判定した場合(ステップSA4のYes)、例えば、フリーズ操作が入力されたと判定する直前に生成したヒストグラムデータに基づいて、超音波画像の計測、及び解析に用いる心拍を選択する(ステップSA5)。具体的には、制御回路22は、例えば、図3に示されるヒストグラムで示される心拍のうち、最も度数が高い心拍、例えば図3に示される柱B1に対応する1000(msec)から1099(msec)までの長さである複数の心拍を選択する。
なお、制御回路22は、超音波画像の計測、及び解析に用いる心拍を、モニタ51に表示したヒストグラムから操作者等に指定させてもよい。このとき、操作者は、例えば、図3に示されるヒストグラムを視認し、入力インタフェース20を介して図3に示される柱B1に対応する心拍の数値を入力する。心拍の数値が入力されることによって、制御回路22は、入力された心拍がハイライトされた心電図波形を表示させる。そして、操作者は、表示された心電図波形から任意の心拍を選択することができる。
または、表示されたヒストグラムが心拍を選択するためのGUIに対応している場合、操作者は、例えば、入力インタフェース20を介して柱B1を選択する。ヒストグラムにおける柱B1が選択されることによって、制御回路22は、選択された柱B1に対応する心拍がハイライトされた心電図波形を表示させる。そして、操作者は、表示された心電図波形から任意の心拍を選択することができる。尚、制御回路22は、所定の心拍がハイライトされた心電図波形から、自動で任意の心拍を選択してもよい。
次に、制御回路22は、選択した複数の心拍を、例えば、当該心拍に対応する超音波画像と共に表示する。このとき、制御回路22は、選択した心拍をハイライト表示する(ステップSA6)。具体的には、制御回路22は、選択した心拍を強調表示するための強調画像を表す強調画像データを生成する。制御回路22は、モニタ51において、選択した心拍に対し、生成した強調画像データに基づく強調画像を重畳させて表示する。図6は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1がモニタ51に表示する心拍の例を表す図である。図6では、モニタ51には、ステップSA5において選択された2つの心拍に対応する心拍がハイライト表示されている。図6に示される心拍は、心電図波形の表示態様で表示されている。また、図6によれば、モニタ51には、Bモード画像領域R61、及びドプラ画像領域R62が表示されている。
図6に示されるように、Bモード画像領域R61は、例えばCWモードで超音波スキャンするスキャン位置を特定するためのBモード画像を含む。なお、Bモード画像領域R61には、Bモード画像に対して重畳表示されたカラードプラ画像等が含まれていてもよい。
また、図6に示されるように、ドプラ画像領域R62は、超音波スキャンにより取得されたドプラスペクトラム画像G61を含む。また、ドプラ画像領域R62は、ドプラスペクトラム画像G61と時間軸で対応付けられた心拍データに基づく心電図波形G62を含む。さらに、ドプラスペクトラム画像G61、及び心電図波形G62のうち、選択された2つの心拍それぞれに対応する期間T61、及びT62に含まれる領域には、強調画像がそれぞれ重畳表示されている。換言すると、制御回路22は、選択された心拍に対応する心電図波形および当該心電図波形に対応するドプラスペクトラム画像に、選択された心拍に関する範囲を強調する強調画像を重畳して表示する。これにより、期間T61、及びT62に含まれる領域は、ハイライト表示されるため、操作者は、超音波画像の計測、及び解析に適した心拍を、より早く認識することが可能となる。
次に、制御回路22は、選択してモニタ51に表示した心拍のうち、例えば、入力インタフェース20を介し、操作者により指定された心拍に対応する超音波画像の計測、及び解析を実行する(ステップSA7)。例えば、制御回路22は、2DWMT、3DWMT、又はAutoEF等を実行する。このとき、制御回路22は、例えば、選択された心拍に対応する超音波画像データを、画像信号収集メモリ16に記憶されている複数心拍分の超音波画像データから抽出し、抽出データを画像メモリ18に記憶する。なお、制御回路22は、ステップSA5において選択した心拍のうち、最新の心拍に対応する超音波画像に対して計測、及び解析を自動的に実行してもよい。
制御回路22は、選択した心拍の他に超音波画像の計測、及び解析に用いるべき心拍があるか否か判定する(ステップSA8)。
制御回路22は、選択した心拍の他に超音波画像の計測、及び解析に用いるべき心拍があると判定した場合(ステップSA8のYes)、当該他の心拍について、ステップSA5からステップSA8までの処理を再び実行する。制御回路22は、ステップSA5において、例えば、図3に示されるヒストグラムで示される心拍のうち、2番目に度数が高い心拍、例えば図3に示される柱B2に対応する700(msec)から799(msec)までの長さの心拍を選択し、ステップSA6からステップSA8までの処理を実行する。
そして、制御回路22は、ステップSA8において、選択した心拍の他に超音波画像の計測、及び解析に用いるべき心拍がないと判定し(ステップSA8のNo)、超音波スキャンを続行するか否か判定する(ステップSA9)。
制御回路22は、例えば、超音波スキャンを終了する終了指示がなく、超音波スキャンを続行すると判定した場合(ステップSA9のYes)、ステップSA1からステップSA9までの処理を再び実行する。
制御回路22は、例えば、超音波スキャンを終了する終了指示を受け付けると、超音波スキャンを続行しないと判定し(ステップSA9のNo)、超音波スキャンを終了する。
第1の実施形態によれば、制御回路22は、超音波スキャンに合わせて、生体信号センサ70から出力される心拍データを収集する。制御回路22は、所定の計測期間において収集した心拍データを用いて、心拍に関するヒストグラムデータを生成する。制御回路22は、生成した心拍に関するヒストグラムデータに基づくヒストグラムをモニタ51に表示する。
これにより、例えば、操作者は、例えば、モニタ51に表示されるヒストグラムを視認して心拍を選択することができるため、対象とする心拍を選択するのに、操作者が試行錯誤する時間が短縮できる。
したがって、検査効率を向上させることが可能となる。
また、第1の実施形態によれば、制御回路22は、心拍に関するヒストグラムデータに基づいて、超音波画像の計測、及び解析に用いる心拍を選択する。制御回路22は、選択した心拍を強調表示するための強調画像を表す強調画像データを生成する。制御回路22は、モニタ51において、選択した心拍に対し、生成した強調画像データに基づく強調画像を重畳させて表示する。
これにより、操作者は、超音波画像の計測、及び解析の対象とする心拍データに基づく心拍をより早く見つけることができる。このため、対象とする心拍を選択するのに、操作者が試行錯誤する時間が短縮できる。また、客観的な選択条件に基づいているので、間違った心拍データが選択されることを回避できる。さらには、前回実施された検査との一貫性、及び操作者に依存しない一貫性を持つことができる。
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、心拍に関するヒストグラムデータに基づいて、超音波画像の計測、及び解析に用いる心拍が選択される場合について説明した。第2の実施形態では、連続する心拍の長さの比に基づいて、超音波画像の計測、及び解析に用いる心拍が選択される場合について説明する。
第2の実施形態に係る超音波診断装置1Aを図7のブロック図を参照して説明する。
図7に示されるように、超音波診断装置1Aは、装置本体10A、超音波プローブ30、モニタ51、プリンタ52、入力装置60、及び生体信号センサ70を備える。装置本体10Aは、ネットワーク500を介して外部装置40、及び病院情報システム(HIS:Hospital Information System)41等と接続される。また、装置本体10Aは、モニタ51、プリンタ52、及び入力装置60と接続される。
図7に示される装置本体10Aは、超音波プローブ30が受信した反射波信号に基づいて超音波画像を生成する装置である。装置本体10Aは、図7に示すように、超音波送信回路11、超音波受信回路12、信号処理回路13、画像生成回路15、画像信号収集メモリ16、内部記憶回路17、画像メモリ18、画像データベース19、入力インタフェース20、通信インタフェース21、制御回路22A、及び生体情報収集メモリ23を含む。
制御回路22Aは、例えば、超音波診断装置1Aの中枢として機能するプロセッサである。制御回路22Aは、内部記憶回路17に記憶されている動作プログラムを実行することで、この動作プログラムに対応する機能を実現する。具体的には、制御回路22Aは、生体情報収集機能221、支援情報生成機能223、選択機能225A、画像処理機能227、出力制御機能229、及びシステム制御機能231を有する。
選択機能225Aは、連続する心拍の長さの比に基づいて、超音波画像の計測、及び解析に用いる心拍を選択する機能である。選択機能225Aが実行されると、制御回路22Aは、例えば、連続する心拍の長さの比が略1となる心拍を選択する。例えば、制御回路22Aは、複数心拍における隣接するR波のピークの間隔(以下、RR間隔と称する)に基づいて、連続する心拍の長さの比が略1となる心拍を選択する。具体的には、制御回路22Aは、第1のRR間隔と第1のRR間隔の直前の第2のRR間隔との比、例えば第1のRR間隔を第2のRR間隔で除した値が略1となる心拍を選択する。略1とは、1にある程度幅を持たせた値であり、例えば0.99から1.01までの値である。尚、選択機能225Aは、特許請求の範囲に記載の選択部の一例である。
次に、第2の実施形態に係る超音波診断装置1Aの動作について、図を参照して説明する。図8は、第2の実施形態に係る超音波診断装置1Aが所定の心拍を選択する際の制御回路22Aの動作を示すフローチャートである。以下の説明では、超音波診断装置1Aは、HIS41から検査オーダ情報を受信し、受信した検査オーダ情報に基づいて超音波スキャンを実行するものとする。また、制御回路22Aは、超音波スキャンに合わせて、生体信号センサ70から出力される心拍データを収集するものとする。このとき、制御回路22Aは、心拍データを、画像生成回路15により生成された各種超音波画像データと1心拍単位で対応付けて、生体情報収集メモリ23に逐次記憶する。また、超音波スキャン実行時の撮像モードは、CWモードであるものとする。
また、制御回路22Aは、心拍を選択するためのRR間隔に関する条件を予め取得しているものとする。RR間隔に関する条件は、「所定の計測期間において収集された複数心拍に対応する心拍データに基づく心拍のうち、第1のRR間隔と第2のRR間隔との比が略1となる心拍であること」であるものとする。なお、制御回路22Aは、他のRR間隔に関する条件を取得してもよい。このとき、他のRR間隔に関する条件としては、「所定の計測期間において収集された複数心拍に対応する心拍データに基づく心拍に対して所定のRR間隔毎に心拍を集計した場合に、最も多く集計された心拍であること」等が挙げられる。
図8に示されるように、制御回路22Aは、例えば、HIS41から検査オーダ情報を受信した後、入力インタフェース20を介して超音波スキャンを開始する開始指示が入力されると、超音波送信回路11、及び超音波受信回路12等を制御し、超音波スキャンを開始する(ステップSB1)。
制御回路22Aは、フリーズ操作が入力されたか否か判定する(ステップSB2)。制御回路22Aは、フリーズ操作が入力されていないと判定した場合(ステップSB2のNo)、超音波スキャンを継続する。
制御回路22Aは、フリーズ操作が入力されたと判定した場合(ステップSB2のYes)、例えば、フリーズ操作が入力されたと判定するまでに収集された心拍データを用いて、超音波画像の計測、及び解析に用いる心拍を選択する(ステップSB3)。具体的には、制御回路22Aは、例えば、第1のRR間隔と第2のRR間隔との比が略1となる心拍を選択する。
次に、制御回路22Aは、選択した心拍を、例えば、当該心拍に対応する超音波画像と共に表示する。このとき、制御回路22Aは、選択した心拍をハイライト表示する(ステップSB4)。具体的には、制御回路22Aは、選択した心拍を強調表示するための強調画像を表す強調画像データを生成する。制御回路22Aは、モニタ51において、選択した心拍に対し、生成した強調画像データに基づく強調画像を重畳させて表示する。図9は、第2の実施形態に係る超音波診断装置1Aがモニタ51に表示する心拍の例を表す図である。図9に示される心拍は、心電図波形の表示態様で表示されている。図9によれば、モニタ51には、Bモード画像領域R91、及びドプラ画像領域R92が表示されている。
図9に示されるように、Bモード画像領域R91は、例えばCWモードで超音波スキャンするスキャン位置を特定するためのBモード画像を含む。なお、Bモード画像領域R91には、Bモード画像に対して重畳表示されたカラードプラ画像等が含まれていてもよい。
また、図9に示されるように、ドプラ画像領域R92は、超音波スキャンにより取得されたドプラスペクトラム画像G91を含む。また、ドプラ画像領域R92は、ドプラスペクトラム画像G91と時間軸で対応付けられた心拍データに基づく心電図波形G92を含む。さらに、ドプラスペクトラム画像G91、及び心電図波形G92のうち、選択した心拍に対応する連続する2つの期間T91、及びT92に含まれる領域には、強調画像がそれぞれ重畳表示されている。図9に示される期間T91と期間T92との比は略1である。これにより、期間T91、及びT92に含まれる領域は、ハイライト表示されるため、操作者は、超音波画像の計測及び解析に適した心拍を、より早く認識することが可能となる。
次に、制御回路22Aは、例えば、選択してモニタ51に表示した心拍のうち、例えば、入力インタフェース20を介し、操作者により指定された心拍に対応する超音波画像の計測、及び解析を実行する(ステップSB5)。制御回路22は、例えば、2DWMT、3DWMT、又はAutoEF等を実行する。なお、制御回路22Aは、ステップSB3において選択した心拍のうち、最新の心拍に対応する超音波画像に対して計測、及び解析を自動的に実行してもよい。
制御回路22Aは、他にRR間隔に関する条件があるか否か判定する(ステップSB6)。
制御回路22Aは、他にRR間隔に関する条件はないと判定した場合(ステップSB6のNo)、超音波スキャンを続行するか否か判定する(ステップSB7)。
なお、制御回路22Aは、他にRR間隔に関する条件があると判定した場合(ステップSB6のYes)、当該RR間隔に関する条件に基づいて、ステップSB3からステップSB6までの処理を実行する。
制御回路22Aは、ステップSB7において、例えば、超音波スキャンを終了する終了指示がなく、超音波スキャンを続行すると判定した場合(ステップSB7のYes)、ステップSB1からステップSB7までの処理を再び実行する。
制御回路22Aは、例えば、超音波スキャンを終了する終了指示を受け付けると、超音波スキャンを続行しないと判定し(ステップSB7のNo)、超音波スキャンを終了する。
第2の実施形態によれば、制御回路22Aは、超音波スキャンに合わせて、生体信号センサ70から出力される心拍データを収集する。制御回路22は、連続する心拍の長さの比に基づいて、超音波画像の計測、及び解析に用いる心拍を選択する。制御回路22Aは、選択した心拍を強調表示するための強調画像を表す強調画像データを生成する。制御回路22Aは、モニタ51において、選択した心拍に対し、生成した強調画像データに基づく強調画像を重畳させて表示する。
これにより、操作者は、超音波画像の計測、及び解析の対象とする心拍データに基づく心拍をより早く見つけることができる。このため、対象とする心拍を選択するのに、操作者が試行錯誤する時間が短縮できる。また、客観的な選択条件に基づいているので、間違った心拍データが選択されることを回避できる。さらには、前回実施された検査との一貫性、及び操作者に依存しない一貫性を持つことができる。
したがって、検査効率を向上させることが可能となる。
(変形例)
第2の実施形態では、連続する心拍の長さの比に基づいて、超音波画像の計測、及び解析に用いる心拍が選択される場合について説明した。しかしながらこれに限定されない。第2の実施形態の変形例では、連続する心拍の長さの比に基づく心拍の選択手法を含む種々の心拍の選択手法のうち少なくとも一つによって、超音波画像の計測、及び解析に用いる心拍が選択される場合について説明する。
変形例に係る超音波診断装置の構成は、図7に示される超音波診断装置1Aの構成と同様である。
次に、変形例に係る選択機能225Aが超音波画像の計測、及び解析に用いる心拍を選択する際の処理内容について説明する。選択機能225Aが実行されると、制御回路22Aは、指定された心拍の選択手法に基づいて、連続する心拍の長さの比に基づく心拍の選択手法を含む種々の心拍の選択手法のうち少なくともいずれかを用いて超音波画像の計測、及び解析に用いる心拍を選択する。換言すると、制御回路22は、選択機能225Aにより、所定の心拍を選択するための条件に基づいて、複数の心拍から少なくとも一つの心拍を選択する。尚、条件に適合する心拍が複数抽出された場合、制御回路22において、条件に適合する複数の心拍の中から自動で心拍が選択されてもよいし、操作者による入力インタフェース20を介した指示により心拍が選択されてもよい。
例えば、制御回路22Aは、同一患者について、過去の超音波検査時に計測された心拍数に基づく心拍の長さと略等しい長さの心拍を選択する。「略等しい長さの心拍」とは、例えば、計測された心拍数が60である場合、すなわち心拍数に基づく1心拍の長さが1000(msec)である場合、1000(msec)と所定の誤差の範囲内、例えば、1000(msec)±100(msec)の範囲内の長さの心拍を示す。
また、制御回路22Aは、同一患者について、超音波診断装置以外の他の医用画像診断装置を用いた検査測定時に計測された心拍数に基づく心拍の長さと略等しい長さの心拍を選択する。他の医用画像診断装置は、例えば、X線CT装置、及びMRI装置、核医学診断装置、及びX線診断装置等である。尚、他の医用画像診断装置を用いた検査測定時に計測された心拍数は、操作者による入力インタフェース20を介して数値が入力されてもよい。
また、制御回路22Aは、超音波スキャン中に、例えば移動平均で算出される心拍数に基づく心拍の長さと略等しい長さの心拍を選択する。移動平均で算出される心拍数は、例えば、超音波スキャン中にモニタ51に表示される表示画面のうち所定の位置に表示される。
また、制御回路22Aは、人工知能(AI:Artificial Intelligence)技術を利用して心拍を選択する。具体的には、制御回路22Aは、例えばHIS41内に実装された心拍を選択するための心拍選択プログラムを利用する。この心拍選択プログラムは、例えば、病院内において、年齢、性別、及び病歴等の患者情報と対応付けられて蓄積された心拍データを用いて、機械学習、例えば深層学習(ディープラーニング)が実施された結果生成される識別器を備えている。識別器は、例えば最適化されたニューラルネットを規定する関数、及び最適化されたパラメータ等で構成される。なお、心拍選択プログラムは、超音波診断装置1A内に実装されていてもよい。
また、制御回路22Aは、1心拍あたりの長さが所定の長さ以下、例えば300(msec)以下の心拍を選択対象から除外する。これにより、300(msec)以下の心拍が除外された結果、300(msec)より大きい長さの心拍が選択される。
以上より、所定の心拍を選択するための条件には、例えば、「連続する心拍の長さの比が略1となる心拍を選択すること」「過去の超音波検査時に計測された心拍数に基づく心拍の長さと略等しい長さの心拍を選択すること」「所定の機械学習が実施された結果生成される識別器を用いて、心拍を選択すること」「他の医用画像診断装置を用いた検査測定時に計測された心拍数に基づく心拍の長さと略等しい長さの心拍を選択すること」および「指定された心拍の長さと略等しい長さの心拍を選択すること」のうちの少なくとも一つが含まれる。また、所定の心拍を選択するための条件には、「1心拍あたりの長さが所定の長さ以下の心拍を選択対象から除外すること」が更に含まれてもよい。
なお、制御回路22は、選択機能225Aにより、所定の心拍を選択するための複数の条件から任意の条件を選択してもよい。この場合、操作者は、例えば、モニタ51に表示された複数の条件の中から、入力インタフェース20を介して任意の条件を選択する。そして、制御回路22は、操作者によって選択された任意の条件を受け付けることによって、所定の心拍を選択するための条件を決定する。
次に、変形例に係る超音波診断装置1Aの動作について、図10を参照して説明する。図10は、第2の実施形態の変形例に係る超音波診断装置1Aが所定の心拍を選択する際の制御回路22Aの動作を示すフローチャートである。以下の説明では、超音波診断装置1Aは、HIS41から検査オーダ情報を受信し、受信した検査オーダ情報に基づいて超音波スキャンを実行するものとする。また、検査オーダ情報には、年齢、性別、及び症例等の患者情報が含まれているものとする。また、制御回路22Aは、超音波スキャンに合わせて、生体信号センサ70から出力される心拍データを収集するものとする。このとき、制御回路22Aは、心拍データを、画像生成回路15により生成された超音波画像データと1心拍単位で対応付けて、生体情報収集メモリ23に逐次記憶する。
図10に示されるステップSC1及びステップSC2の処理は、図8に示されるステップSB1及びステップSB2の処理と同様である。
制御回路22Aは、フリーズ操作が入力されたと判定した場合(ステップSC2のYes)、心拍を選択するための制御情報を取得する(ステップSC3)。制御回路22Aは、例えば、入力インタフェース20を介し、どの選択手法を用いて心拍を選択するかを示す心拍の選択手法に関する条件を含む制御情報を取得する。第2の実施形態に係る変形例では、心拍の選択手法に関する条件は、「患者情報の入力に基づいて、人工知能技術を利用して心拍を選択すること」であるものとする。なお、心拍の選択手法に関する条件は、制御情報に複数含まれていてもよい。このとき、他の心拍の選択手法に関する条件としては、「同一患者について、過去の超音波検査時に計測された心拍数に基づく心拍の長さと略等しい長さの心拍を選択すること」、「同一患者について、MRI装置を用いた検査測定時に計測された心拍数に基づく心拍の長さと略等しい長さの心拍を選択すること」、「300(msec)以下の心拍を選択対象から除外すること」、及び「所定の計測期間において収集された複数心拍に対応する心拍データに基づく心拍のうち、第1のRR間隔と第2のRR間隔との比が略1となる心拍を選択すること」等が挙げられる。また、制御回路22Aは、例えば、予め内部記憶回路17に記憶された制御情報を、内部記憶回路17から読み出すことで制御情報を取得してもよい。
制御回路22Aは、取得した制御情報に含まれる心拍の選択手法に関する条件に従い、例えば、フリーズ操作が入力されたと判定するまでに収集された心拍データを用いて、心拍を選択する(ステップSC4)。制御回路22Aは、心拍の選択手法に関する条件「患者情報を入力とし、人工知能技術を利用して心拍を選択すること」に基づいて心拍を選択する。具体的には、制御回路22Aは、通信インタフェース21を介し、HIS41内に実装された心拍選択プログラムに対し、年齢、性別、及び症例等の患者情報、例えば、60歳、女性、及び心筋梗塞等を入力する。
このとき、HIS41内に実装された心拍選択プログラムは、患者情報が入力されると、例えば、入力された患者情報を識別器に適用し、超音波画像の計測、及び解析に用いる心拍データを出力させる。心拍選択プログラムは、通信インタフェース21を介し、出力された心拍データを、超音波診断装置1Aの制御回路22Aに送信する。
制御回路22Aは、HIS41内に実装された心拍選択プログラムから送信された心拍データを受信し、受信した心拍データに基づいて超音波画像の計測、及び解析に用いる心拍を選択する。例えば、制御回路22Aは、受信した心拍データに基づく1心拍に対応する心拍の長さと略等しい長さの心拍を選択する。これにより、個々の患者の状態を考慮して超音波画像の計測、及び解析に用いる心拍を選択することが可能となる。なお、制御回路22Aは、受信した心拍データに基づく1心拍に対応する心拍が表す波形が類似する心拍を選択してもよい。
図10に示されるステップSC5及びステップSC6の処理は、図8に示されるステップSB4及びステップSB5の処理と同様である。
制御回路22Aは、ステップSC6を実行した後、他に心拍の選択手法に関する条件があるか否か判定する(ステップSC7)。
制御回路22Aは、他に心拍の選択手法に関する条件はないと判定し(ステップSC7のNo)、超音波スキャンを続行するか否か判定する(ステップSC8)。
なお、制御回路22Aは、他に心拍の選択手法に関する条件があると判定した場合(ステップSC7のYes)、当該心拍の選択手法に関する条件に基づいて、ステップSC4からステップSC7までの処理を実行する。
制御回路22Aは、ステップSC8において、例えば、超音波スキャンを終了する終了指示がなく、超音波スキャンを続行すると判定した場合(ステップSC8のYes)、ステップSC1からステップSC8までの処理を再び実行する。
制御回路22Aは、例えば、超音波スキャンを終了する終了指示を受け付けると、超音波スキャンを続行しないと判定し(ステップSC8のNo)、超音波スキャンを終了する。
第2の実施形態の変形例によれば、制御回路22Aは、指定された心拍選択手法の一つに従って心拍を選択する。これにより、超音波画像の計測、解析について、より適した心拍を選択することが可能となる。
[他の実施形態]
第1の実施形態では、超音波診断装置1は、選択した心拍をハイライト表示していたがこれに限定されない。例えば、超音波診断装置1が備える制御回路22は、複数心拍に対応する心拍データに基づく心電図波形をモニタ51に表示する。制御回路22は、入力インタフェース20を介し、表示した心電図波形について心拍の指定を受け付ける。制御回路22は、指定された1心拍分の心拍と略同じ長さの心拍をハイライト表示する。
図11は、他の実施形態に係る超音波診断装置1がモニタ51に表示する心拍の表示態様を説明するための図である。図11に示される心拍は、心電図波形の表示態様で表示されている。図11によれば、超音波診断装置1が備える制御回路22は、まず心電図WF1をモニタ51に表示する。心電図WF1のうち1心拍に対応する領域R1が指定されると、制御回路22は、領域R1に対応する心拍の長さと略等しい長さの心拍をハイライト表示した心電図WF2をモニタ51に表示する。図11に示される心電図WF2において、ハイライト表示される領域は、点ハッチングで示されている。具体的には、制御回路22は、領域R1に対応する心電図波形の長さと略同じ長さの心拍を強調表示するための強調画像を表す強調画像データを生成する。制御回路22は、強調画像データに基づく強調画像を心電図WF1に対し重畳し、心電図WF2として表示する。これにより、操作者は、所望の長さの心拍を選択することが可能となる。
また、第2の実施形態の変形例において、心拍選択プログラムが備える識別器は、年齢、性別、及び症例等の患者情報を入力とし、入力された患者情報に対応する心拍データを出力するように学習されていたがこれに限定されない。識別器は、例えば、年齢、性別、及び症例等の患者情報を入力とし、選択手法を出力とするように学習されていてもよい。このとき、制御回路22Aは、心拍の選択手法に関する条件として「患者情報を入力とし、人工知能技術を利用して心拍を選択すること」のみを採用する。これにより、例えば操作者が選択手法を試行錯誤して決定する時間が短縮される。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、検査効率を向上させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。