JP5030827B2 - 鞍乗り型小型艇における工具収納構造 - Google Patents

Description

本発明は，鞍乗り型小型艇における工具収納構造に関するものである。

従来，鞍乗り型小型艇における工具収納構造として，艇体上の開口（４６）の周縁にリヤトレイ（４７）の周縁を載せ、リヤトレイ（４７）に跨座式シート（２７）の後シート（２９）の底面（２９ａ）を載せ，これにより、リヤトレイ（４７）を静止状態に保って，該リヤトレイ（４７）に，工具を収納する収納ボックス（４８ａ）を設けた構造が知られている（例えば特許文献１の００２０段落参照）。
特開２００３−０７２６７６号公報

上述した従来の鞍乗り型小型艇における工具収納構造では，工具を収納するための部品としては本来必ずしも必要ではないリヤトレイ（４７）が必要なために部品点数が増大するという難点がある。また，リヤトレイ（４７）を後シート（２９）の底面（２９ａ）で押さえてリヤトレイ（４７）を静止状態に保つ構造であるため，後シート（２９）による押さえが良好でない場合には，リヤトレイ（４７）が振動して騒音の発生原因になるおそれもあった。
本発明の目的は，上記課題を解決し，部品点数が削減できて騒音も発生し難い鞍乗り型小型艇における工具収納構造を提供することにある。

上記目的を達成するために本発明の鞍乗り型小型艇における工具収納構造は，艇体上に設けたシートに乗員が跨って座って走行する鞍乗り型小型艇において，
前記シートを前シートと後シートとで構成し，後シートのフレームに，前シートの後部下方に挿入する挿入部を設けるとともに，この挿入部に一体に，工具を収納するための工具収納部を設けたことを特徴とする。

本発明の鞍乗り型小型艇における工具収納構造によれば，後シートのフレームに，前シートの後部下方に挿入する挿入部を設けてあるので，この挿入部を艇体に対する固定部あるいは前シートに対する後シートの位置決め部ないし固定部として利用することができる。
そして，この挿入部に一体に，工具を収納するための工具収納部を設けてあるので，工具を収納するための部品を別途設ける必要がなくなり，部品点数を削減できる。
また，工具収納部は前記挿入部に一体に設けてあるので，騒音も発生し難くなる。
すなわち，この発明の鞍乗り型小型艇における工具収納構造によれば，部品点数が削減できて騒音も発生し難くなる。

以下，本発明に係る鞍乗り型小型艇における工具収納構造の実施の形態について図面を参照して説明する。
図１は本発明に係る鞍乗り型小型艇における工具収納構造の一実施の形態を用いた小型艇の一例を示す概略側面図，図２は概略平面図である。

図１，図２に示すように，この小型艇１０は，鞍乗り型小型艇であり，艇体１１上のシート１２に乗員が座り，スロットルレバー１３ａ付きの操舵ハンドル１３を握って操行可能である。
艇体１１は，ハル１４とデッキ１５とを接合して内部に艇内空間１６を形成した浮体構造となっている。艇内空間１６内において，ハル１４上には，エンジン２０が搭載され，このエンジン２０で駆動される推進手段としてのジェットポンプ（ジェット推進ポンプ）３０がハル１４後部に設けられている。
ハル１４後部には，船底に開口した取水口１７からポンプ室１８（図２参照）に至る流路１９が設けられており，ポンプ室１８内に，流路１９に連通させたジェットポンプ３０が設けられている。

ジェットポンプ３０は，前記流路１９に連通する開口３１と，艇体後方へ向けて水を噴出する噴流口３２およびノズル３３と，開口３１から噴流口３２に至る流路内に配置されたインペラ３４とを有しており，インペラ３４のシャフト３５がエンジン２０の出力軸２０ａに連結されている。したがって，エンジン２０によりインペラ３４が回転駆動されると，取水口１７から取り入れられた水が噴流口３２からノズル３３を経て噴出され，これによって艇体１１が推進される。エンジン２０の駆動回転数，すなわちジェットポンプ３０による推進力は，スロットルレバー１３ａの回動操作によって操作される。ノズル３３は，図示しないワイヤーで操舵ハンドル１３と連係されていて，操舵ハンドル１３の操作で回動操作され，これによって艇体の進路を変更することができる。

図３はシートの斜視図である。
図４は後シートを示す図で，（ａ）は概略側面図，（ｂ）は図（ａ）の概略底面図（半分のみ示した図）である。
図１〜図３に示すように，この鞍乗り型小型艇における工具収納構造は，前記シート１２を前シート４０と後シート５０とで構成し，後シート５０のフレーム５１に，前シート４０の後部下方に挿入する挿入部５２を設けるとともに，この挿入部５２に一体に，工具６０を収納するための工具収納部５３を設けてある。

前シート４０は，図２，図３に示すように，そのフレーム４１の前部に差し込み突部４５が設けられているとともに，フレーム４１の後部とデッキ１５との間にはロック手段４６が設けられている。
差し込み突部４５はデッキ１５に設けられた受け部（差し込み突部４５との嵌合部）１５ａ（図２参照）に差し込まれる。
ロック手段４６は公知のロック手段で構成でき，例えば，上記特許文献１の００１９段落に記載されたラッチ（４５ｂ）とロック部材（４４ｂ）とで構成できる。
前シート４０は，その前部の差し込み突部４５をデッキ１５に設けられた受け部１５ａに差し込み，後部をロック手段４６でロックすることでデッキ１５に着脱可能に取り付けられる。
デッキ１５には，前シート４０で塞がれる開口１５ｂが設けられており，前シート４０を取り外すことで，開口１５ｂを通じて上記エンジン２０等のメンテナンスを行うことができる。

後シート５０のフレーム５１における，前シート４０の後部下方への挿入部５２には，前方に向かって突出した一対の突部５４，５４が設けられている。
一方，前シート４０のフレーム４１の後部またはデッキ１５には，上記突部５４と嵌り合う凹部４２が設けられている。
また，後シート５０のフレーム５１の後部５５とデッキ１５との間には，ロック手段５６（図２参照）が設けられている。
ロック手段５６は公知のロック手段で構成でき，例えば，上記特許文献１の００１９段落に記載されたラッチ（４５ｂ）とロック部材（４４ｂ）とで構成できる。
したがって，後シート５０は，挿入部５２の突部５４，５４を上記凹部４２，４２に挿入し，フレーム５１の後部５５をロック手段５６でロックすることで，デッキ１５に対して着脱可能に取り付けられる。
図３において，４３はデッキ１５の開口１５ｂと前シート４０との間に介装されたシール部材，５７はデッキ１５の開口と後シート５０との間に介装されたシール部材である。

工具収納部５３は，上部が開口したボックス形状であり，上記挿入部５２において，上記挿入部５２が前シート４０の後部下方へ挿入された際に，前シート４０の後部４４で覆われる位置に設けられている。
この実施の形態の工具６０は，バッグ状（または袋状または箱状）の工具ケース６１に入れられた状態で工具収納部５３に収納される。
工具収納部５３に収納された工具６０は，前シート４０および後シート５０が上述したように装着された状態では，前シート４０の後部４４によって上部が塞がれるため，工具収納部５３から飛び出すことはない。

以上のような鞍乗り型小型艇における工具収納構造によれば次のような作用効果が得られる。
すなわち，後シート５０のフレーム５１に，前シート４０の後部下方に挿入する挿入部５２を設けてあるので，この挿入部５２を艇体１１に対する固定部，あるいは前シートに対する後シートの位置決め部ないし固定部として利用することができる。
そして，この挿入部５２に一体に，工具６０を収納するための工具収納部５３を設けてあるので，工具６０を収納するための部品を別途設ける必要がなくなり，部品点数を削減できる。
また，工具収納部５３は前記挿入部５２に一体に設けてあるので，騒音も発生し難くなる。
以上のように，この鞍乗り型小型艇における工具収納構造によれば，部品点数が削減できて騒音も発生し難くなる。

以上，本発明の実施の形態について説明したが，本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく，本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。

本発明に係る鞍乗り型小型艇における工具収納構造の一実施の形態を用いた小型艇の一例を示す概略側面図。 同じく概略平面図。 シートの斜視図。 後シートを示す図で，（ａ）は概略側面図，（ｂ）は図（ａ）の概略底面図（半分のみ示した図）。

符号の説明

１０ 鞍乗り型小型艇
１１ 艇体
１２ シート
４０ 前シート
５０ 後シート
５１ フレーム
５２ 挿入部
５３ 工具収納部
６０ 工具

Claims (1)

1. 艇体上に設けたシートに乗員が跨って座って走行する鞍乗り型小型艇において，
   前記シートを前シートと後シートとで構成し，後シートのフレームに，前シートの後部下方に挿入する挿入部を設けるとともに，この挿入部に一体に，工具を収納するための工具収納部を設けたことを特徴とする鞍乗り型小型艇における工具収納構造。

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