JP4531792B2 - 小型滑走艇 - Google Patents
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Description
このため、従来から種々の工夫がなされている。例えば、座席と艇のデッキの立ち上がり部との間に隙間を形成し、この隙間から空気をエンジンルーム内に取り込もうとするものがある(特許文献1)。また、艇の騎乗型シートの後端に延設されるハンドグリップ部を空洞にするとともに該空洞の後端を外気に臨ませて開口することによって、このハンドグリップを介して、エンジンルーム内に新鮮な空気を取り込もうとするものがある(特許文献2)。
シート後方にパッセンジャーが把持して自身の身体を保持し安定させるためのハンドグリップを設け、
このハンドグリップとデッキ部材の立ち上がり部分の外面との間に隙間を形成し、
前記隙間に続いてシート部分の底面の下方に底部のある空間を形成し、前記空間とエンジンルームとを連通させたことを特徴とする。
また、前記空間とエンジンルームとを通気路で連通し、該通気路を、上端から幅方向に斜め下方に向いてエンジンルーム下部まで延ばせておけば、艇が転倒に近い状態になったときにも、通気路を通って水が侵入することは少ない。
かかる場合、それぞれ別の機能を奏する前記リアカウリング、グリップを有効に利用して隙間を構成しているため、部品点数がこの空気吸入構造のために無用に増加することはなく、軽量化を図ることができる。
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態にかかる騎乗型の小型滑走艇のリアカウリングの構成を示す艇の前部を省略し一部切り欠いた部分斜視図、図15は本発明の実施形態にかかる小型滑走艇の全体側面図、図16は図15の平面図である。
この実施形態では、エンジンEは、多気筒(この実施例では4気筒)の4サイクル式のエンジンEで、図15に図示するように、エンジンEのクランクシャフト26が船体Aの長手方向に沿うような向きで搭載されており、このクランクシャフト26の出力端は、プロペラ軸27を介して、インペラ21が取着されているウォータージェットポンプPのポンプ軸21S側に、一体的に回転可能に連結されている。そして、このインペラ21は、その外周方が、ポンプケーシング21Cで覆われ、小型滑走艇の底面に設けられた吸水口17から取り入れた水を吸水通路を介して取り込んで、ウォータージェットポンプPで加圧・加速して、通水断面積が後方にゆくに従って小さくなったポンプノズル(噴出部)21Rを通って、後端の噴射口21Kから吐出して、推進力を得るよう構成されている。
そして、前記リアカウリング1の上部には、内部が収納空間となるボックス部分1Bが形成され、このボックス部分1Bの底面の下方には、該リアカウリング1と前記デッキDの立ち上がり部分Duの頂面Tfとの間に空間Seが形成されている。従って、前記頂面Tfは、この空間Seの底部を構成している。そして、上記頂面Tfには、上方の開口端が前記頂面Tfから上方に突設した開口Ohが左右に二つ形成され、この二つの各開口Ohの下方に突設した下方の開口端に、各通気パイプ2の上端がそれぞれ接続されている。この実施形態の場合には、前記通気パイプ2と開口Ohの上方の開口端に至る通気のための筒状の空間が、通気路を構成することになる。
しかし、通気パイプ2自体の上端を開口Ohから上方に突出した状態で配置することによって、通気路を形成してもよい。この場合には、前記開口Ohと通気パイプ2との接触部分には防水のためのシールが必要となる。なお、この実施形態の場合には前記通気路は必ずしも上方へ突出している必要はない。
そして、前記通気パイプ2は、下方にゆくにしたがって幅方向に斜め下方へ向けて、下端がエンジンルームとなる前記空間20の下部まで、この実施形態の場合には、該空間20の下端部まで延設されている。従って、前記2つの通気パイプ2は、図1あるいは図3に破線で図示するように、幅方向において互いにクロスするような状態(図2,図3に図示するような状態も含む)で配置される。
このような通気路である通気パイプ2(正確には、この実施形態では、通気路の一部となる通気パイプ)に代えて、図2に図示するような、2つの通気パイプ2が一体に成形されたサブアッセンブリ構造のものにしてもよい。かかる場合、2つの通気パイプ2はブロー成形によって樹脂で一体成形したものであってよい。かかる場合には、2つの通気パイプ2が一体になって相互の相対的な位置決めができているため、船体側への取りつけが容易となる。なお、この図2において、2uは通気パイプ2の上端の開口端(開口Ohの下方の開口端に接続される開口端)を、2bは空間20の下端部に位置する通気パイプ2の下端の開口端を示す。
さらに、図3と該図3のIV−IV矢視断面図である図4に図示するように、2枚の壁材W1,W2を張り合わせて、その間に、図3のような、つまり図2と同じ構成の2つの通気路2を形成した壁状の部材Wとしてもよく、かかる構成では、図4に図示する状態に、この壁状の部材WをデッキDのエンジンルームである空間20の内面に単に取りつけるだけで、2つの通気パイプ2の位置決めと取りつけが迅速且つ簡単におこなうことが可能となる。図4において、2uは通気路2の上方の開口、2bは下方の開口である。
(実施形態2)
次に、別の実施形態について図5〜図8に基づいて説明する。つまり、この実施形態の場合には、前記シートSの後端、つまりシートSのパッセンジャーシート部分Spの後方に、図5〜図8に図示するように、パッセンジャーが自己の身体を保持し安定させるためのグリップGpが配設されている。
そして、図6に図示するように、このグリップGpと該グリップGpが取着されているデッキDの外面との間に、隙間Rが形成されている。例えば、この隙間Rは、グリップGpの、デッキDとの当接面側を、少し切り欠くことによって、あるいは逆に、デッキD側の外面を反グリップGpへ凹ませるか又は少し削除することによって、形成することができる。
そして、前記隙間Rは、図7あるいは図8に図示するように、前記シートSのパッセンジャーシート部分Spの底面下方に形成されている底部のある空間Seに続いている。そして、前記空間Seの底部(底面)には、上方の開口端が底部から上方に突設した開口Ohが左右に二つ形成され、この二つの各開口Ohの下方に突設した下方の開口端に、各通気パイプ2の上端がそれぞれ接続されている。この実施形態の場合には、前記通気パイプ2と開口Ohの上方の開口端に至る通気のための筒状の空間が、通気路を構成することになる。しかし、通気パイプ2自体の上端を開口Ohから上方に突出した状態で配置することによって、通気路を形成してもよい。この場合には、前記開口Ohと通気パイプ2との接触部分には防水のためのシールが必要となる。
そして、前記通気パイプ2は、下方にゆくにしたがって幅方向に斜め下方へ向けて、具体的には、図7において、左側の開口Ohに接続されている通気パイプ2は下方にゆくにしたがって右側に傾斜するよう、また、右側の開口Ohに接続されている通気パイプ2は下方にゆくにしたがって左側に傾斜するように、該通気パイプ2の下端がエンジンルームとなる前記空間20の下部まで、即ち、この実施形態の場合には、エンジンルーム(空間20)の下端部まで延設されている。従って、前記2つの通気パイプ2は、図7に図示するように、幅方向において互いにクロスするような状態で配置される。
このような通気路である通気パイプ2に代えて、図2〜図4に図示する実施形態のような形態のものを使用してもよいことは、前述した実施形態の場合と同じである。そして、その場合には、前述の実施形態の場合と同じ作用効果を得る。
2……通気パイプ
20……エンジンルーム
D……デッキ
R……隙間
S……シート
Se……空間
Claims (5)
- エンジンによって推進するよう構成された騎乗型の小型滑走艇において、
シート後方にパッセンジャーが把持して自身の身体を保持し安定させるためのハンドグリップを設け、
このハンドグリップとデッキ部材の立ち上がり部分の外面との間に隙間を形成し、
前記隙間に続いてシート部分の底面の下方に底部のある空間を形成し、前記空間とエンジンルームとを通気路を介して連通させるとともに、
前記通気路を壁状の部材に一体に形成するとともに、この壁状の部材をデッキ内面に取着したことを特徴とする小型滑走艇。 - 前記通気路の上端が、前記空間の底部から上方に突出していることを特徴とする請求項1記載の小型滑走艇。
- 前記通気路の下端が、エンジンルーム内の下部まで達していることを特徴とする請求項1又は2記載の小型滑走艇。
- 前記空間とエンジンルームは2本の通気路を介して連結されており、該2本の通気路が左右にクロスするよう配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1の項に記載の小型滑走艇。
- 前記左右の通気路がそれらが一体となってその形状状態を維持できるよう構成され、該形状状態が維持された左右の通気路を、デッキ内面に取着したことを特徴とする請求項4記載の小型滑走艇。
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