JP5030826B2 - 小型艇における燃料タンク用ツーウェイバルブの取付構造 - Google Patents

Description

本発明は，小型艇における燃料タンク用ツーウェイバルブの取付構造に関するものである。

従来，ハルとデッキとで艇内空間を形成し，この空間内に，エンジンと，このエンジンのための燃料タンクと，該空間内と外部とを通気させるダクト（１０５）とを備え，ダクト（１０５）の一端を前記デッキの壁面に対して取付部材（１０４）で取り付けた小型艇が知られている（例えば特許文献１の図８）。
また，従来，燃料タンクのブリーザホース（６４）を給油口部材（６２）に接続し，給油キャップ（６５）に設けたブリーズ孔（７２ｂ）を通じて大気に開放させた小型艇が知られている（例えば特許文献２の図４，図５）。
また，特許文献３には，燃料タンク（Ｔ）とキャニスタ（Ｃ）の間のベント通路（７）に，２個の逆止弁を組み合わせたツーウエイバルブ（１３）を設ける技術が開示されている。
特開２００４−０９８９４６号公報 特開２００３−１３７１６９号公報 特開平５−３３８４４９号公報

上記特許文献２の小型艇では，燃料タンクのブリーザホース（６４）がブリーズ孔（７２ｂ）を通じて常時大気に開放されているので，燃料タンク内に生じた燃料蒸気の大気への放出量が多くなるおそれがあり，望ましくない。
そこで，従来の小型艇では，燃料タンクのブリーザホースにツーウェイバルブを設け，このツーウェイバルブをデッキの壁面にブラケットを用いて取り付け，かつ，ツーウェイバルブをデッキ外に開口させるためのチューブの取付管をデッキの壁面に直接設けるということが行われていた。
しかしながら，このような小型艇では，デッキにブラケット取付用の穴や上記取付管用の穴を加工する手間が必要でツーウェイバルブの取付性が低下するばかりでなく，これらの穴を設けることでデッキの強度を不要に低下させるという課題が生じていた。
本発明の目的は，上記課題を解決し，ツーウェイバルブの取付性を向上させることができると同時に，デッキの強度も確保できる，小型艇における燃料タンク用ツーウェイバルブの取付構造を提供することにある。

上記目的を達成するために本発明の小型艇における燃料タンク用ツーウェイバルブの取付構造は，ハルとデッキとで艇内空間を形成し，この空間内に，エンジンと，このエンジンのための燃料タンクと，該空間内と外部とを通気させるダクトとを備え，ダクトの一端を前記デッキの壁面に対して取付部材で取り付けた小型艇において，
前記燃料タンクのブリーザホースにツーウェイバルブを接続し，このツーウェイバルブを，前記ダクトの一端の取付部材に対して，艇内空間側から取り付けたことを特徴とする。
望ましくは，前記取付部材には，ツーウェイバルブをデッキ外に開口させるためのチューブの取付管を一体に設け，この取付管をデッキ外に開口させる。

本発明の小型艇における燃料タンク用ツーウェイバルブの取付構造によれば，燃料タンクのブリーザホースにツーウェイバルブが接続されているので，燃料タンク内に生じた燃料蒸気の大気への放出量を著しく低減させることができる。
そして，ツーウェイバルブは，デッキの壁面に取り付けられるダクトの一端の取付部材に対して，艇内空間側から取り付けたので，ダクトの取付と同時にツーウェイバルブを取り付けることができる。
したがって，従来に比べ，ツーウェイバルブの取付性を著しく向上させることができる。
また，デッキには，ツーウェイバルブ取付用の穴を設ける必要がなくなるので，デッキの強度を確保することができる。
すなわち，この発明によれば，ツーウェイバルブの取付性を向上させることができると同時に，デッキの強度も確保できる，という効果が得られる。
また，前記取付部材に，ツーウェイバルブをデッキ外に開口させるためのチューブの取付管を一体に設け，この取付管をデッキ外に開口させることにより，上記取付管用の穴を加工する手間も不要となって取付性が一層向上すると同時に，上記取付管用の穴をデッキに設ける必要がなくなるので，デッキの強度をより向上させることができる。

以下，本発明に係る小型艇における燃料タンク用ツーウェイバルブの取付構造の実施の形態について図面を参照して説明する。
図１は本発明に係る小型艇における燃料タンク用ツーウェイバルブの取付構造の一実施の形態を用いた小型艇の一例を示す概略側面図，図２は概略平面図である。

図１，図２に示すように，この小型艇１０は，鞍乗り型小型艇であり，艇体１１上のシート１２に乗員が座り，スロットルレバー１３ａ付きの操舵ハンドル１３を握って操行可能である。
艇体１１は，ハル１４とデッキ１５とを接合して内部に艇内空間１６を形成した浮体構造となっている。艇内空間１６内において，ハル１４上には，エンジン２０が搭載され，このエンジン２０で駆動される推進手段としてのジェットポンプ（ジェット推進ポンプ）３０がハル１４後部に設けられている。
ハル１４後部には，船底に開口した取水口１７からポンプ室１８（図２参照）に至る流路１９が設けられており，ポンプ室１８内に，流路１９に連通させたジェットポンプ３０が設けられている。

ジェットポンプ３０は，前記流路１９に連通する開口３１と，艇体後方へ向けて水を噴出する噴流口３２およびノズル３３と，開口３１から噴流口３２に至る流路内に配置されたインペラ３４とを有しており，インペラ３４のシャフト３５がエンジン２０の出力軸２０ａに連結されている。したがって，エンジン２０によりインペラ３４が回転駆動されると，取水口１７から取り入れられた水が噴流口３２からノズル３３を経て噴出され，これによって艇体１１が推進される。エンジン２０の駆動回転数，すなわちジェットポンプ３０による推進力は，スロットルレバー１３ａの回動操作によって操作される。ノズル３３は，図示しないワイヤーで操舵ハンドル１３と連係されていて，操舵ハンドル１３の操作で回動操作され，これによって艇体の進路を変更することができる。

図３は要部の概略平面図，図４はツーウェイバルブを取り付けたダクトの取付部材の斜視図である。
図１〜図４に示すように，上記艇内空間１６内には，エンジン２０のための燃料タンク４０と，艇内空間１６内と外部（艇内空間１６の外部であり大気）とを通気させるダクト５０，６０とが設けられており，ダクト５０，６０の一端５１，６１は，デッキ１５の壁面１５ａに対して取付部材５２，６２で取り付けてある。ダクト５０，６０は，それぞれ，吸気ダクトとして用いることもできるし，排気ダクトとして用いることもできる。
燃料タンク４０にはブリーザホース４１が設けられており，このブリーザホース４１にはツーウェイバルブ７０を接続してある。
ツーウェイバルブ７０は，ダクト６０の一端６１の取付部材６２に対して，艇内空間１６側から取り付けてある。

図５は取付部材６２を示す図で，（ａ）は正面図，（ｂ）はｂ−ｂ断面図，（ｃ）はｃ−ｃ断面図，（ｄ）はｄ−ｄ断面図，（ｅ）はｅ−ｅ断面図，（ｆ）はｆ−ｆ断面図である。
図４，図５に示すように，取付部材６２は，リブ６３で補強された板状部６４と，この板状部６４の背面側（艇内空間１６側）に一体に形成された筒状のダクト取付部６５と，同じく背面側に一体に形成されたツーウェイバルブ７０の取付部６６と，板状部６４の背面側から表面側に貫通して一体的に設けられた，ツーウェイバルブ７０をデッキ１５外（すなわち大気）に開口させるためのチューブ４２の取付管６７と，この取付部材６２をデッキ１５の壁面１５ａ（図３参照）にネジで固定するためのネジ止め部６８とを有している。
この取付部材６２は，ダクト取付部６５にダクト６０の一端（例えば空気取り入れ口）６１が接続され，ツーウェイバルブ７０の取付部６６にツーウェイバルブ７０が取り付けられ，ツーウェイバルブ７０の一方の接続部７３（図６参照）にブリーザホース４１が接続され，ツーウェイバルブ７０の他方の接続部７４（図６参照）と取付管６７とがチューブ４２で接続された後，デッキ１５の壁面１５ａに対し，外側からネジ止め部６８をネジで固定することでデッキ１５に固定される。デッキ１５の壁面１５ａは１５のサイドカバー１５ｃ（図１，図２参照）を取り外すことにより露出する。
なお，ダクト５０の取付部材５２は，ツーウェイバルブ７０の取付部６６と取付管６７とを有しないだけであり，他の構成は取付部材６２と同様である。

図６に示すように（また公知のように），ツーウェイバルブ７０は，２個の逆止弁７１，７２を組み合わせた内部構造を有しており，上記のように，一方の接続部７３にブリーザホース４１が接続され，他方の接続部７４にチューブ４２が接続される。チューブ４２の他端が上記取付部材６２の取付管６７に接続されることで，ツーウェイバルブ７０の他方の接続部７４はデッキ１５外（すなわち大気）に開放される。
したがって，燃料タンク４０内の圧力が所定圧（この圧はツーウェイバルブ７０の開弁圧の設定により適宜設定される）に達すると，一方の逆止弁７１を通じて逆止弁７１が開いている間だけ燃料タンク４０内の燃料蒸気が大気へ放出され，燃料タンク４０内の圧力が所定圧（この圧もツーウェイバルブ７０の開弁圧の設定により適宜設定される）以下になると，他方の逆止弁７２を通じて逆止弁７２が開いている間だけ大気が燃料タンク４０内へ流入する。
燃料タンク４０内の燃料蒸気は，逆止弁７１が開いている間だけ大気へ放出されるので，燃料蒸気の大気への放出量は著しく低減する。

なお，図４に示すように，ツーウェイバルブ７０は，取付用突片７５のネジ穴７６を利用して取付部材６２の取付部６６にネジで固定される。
図３において，４３は燃料タンク４０に設けられた燃料ポンプであり，この燃料ポンプ４３により燃料供給パイプ４４（図１参照）を通じてエンジン２０に燃料が供給される。４５は燃料タンク４０に燃料を入れるための燃料供給口，４６は給油パイプ，４７は給油時のエア抜きパイプである。

以上のような小型艇における燃料タンク用ツーウェイバルブの取付構造によれば，燃料タンク４０のブリーザホース４１にツーウェイバルブ７０が接続されているので，燃料タンク４０内に生じた燃料蒸気の大気への放出量を著しく低減させることができる。
また，この種の小型艇１０は，レジャーに利用されることが多いため，しばしば転覆することもあるが（ただしその転覆は通常速やかに乗員によって回復される），転覆時に燃料タンク４０からブリーザホース４１を通じて燃料が漏れることをツーウェイバルブ７０によって確実に防止することができる。
そして，ツーウェイバルブ７０は，デッキ１５の壁面１５ａに取り付けられるダクト６０の一端の取付部材６２に対して，艇内空間１６側から取り付けたので，ダクト６０の取付と同時にツーウェイバルブ７０を取り付けることができる。
したがって，従来に比べ，ツーウェイバルブ７０の取付性を著しく向上させることができる。
また，デッキ１５には，ツーウェイバルブ取付用の穴を設ける必要がなくなるので，デッキ１５の強度を確保することができる。
すなわち，この実施の形態によれば，ツーウェイバルブ７０の取付性を向上させることができると同時に，デッキ１５の強度も確保できる，という効果が得られる。
また，取付部材６２に，ツーウェイバルブ７０をデッキ外に開口させるためのチューブ４２の取付管６７を一体に設け，この取付管６７をデッキ外に開口させてあるので，上記取付管（６７）用の穴を加工する手間も不要となって取付性が一層向上すると同時に，上記取付管用の穴をデッキに設ける必要がなくなるので，デッキ１５の強度をより向上させることができる。

以上，本発明の実施の形態について説明したが，本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく，本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。

本発明に係る小型艇における燃料タンク用ツーウェイバルブの取付構造の一実施の形態を用いた小型艇の一例を示す概略側面図。 同じく概略平面図。 要部の概略平面図。 ツーウェイバルブを取り付けたダクトの取付部材の斜視図。 取付部材を示す図で，（ａ）は正面図，（ｂ）はｂ−ｂ断面図，（ｃ）はｃ−ｃ断面図，（ｄ）はｄ−ｄ断面図，（ｅ）はｅ−ｅ断面図，（ｆ）はｆ−ｆ断面図。 ツーウェイバルブの内部構造を示す図。

符号の説明

１０ 小型艇
１４ ハル
１５ デッキ
１５ａ 壁面
１６ 艇内空間
２０ エンジン
４０ 燃料タンク
４１ ブリーザホース
４２ チューブ
６０ ダクト
６１ 一端
６２ 取付部材
６７ チューブの取付管
７０ ツーウェイバルブ

Claims (2)

1. ハルとデッキとで艇内空間を形成し，この空間内に，エンジンと，このエンジンのための燃料タンクと，該空間内と外部とを通気させるダクトとを備え，ダクトの一端を前記デッキの壁面に対して取付部材で取り付けた小型艇において，
   前記燃料タンクのブリーザホースにツーウェイバルブを接続し，このツーウェイバルブを，前記ダクトの一端の取付部材に対して，艇内空間側から取り付けたことを特徴とする小型艇における燃料タンク用ツーウェイバルブの取付構造。
2. 前記取付部材には，ツーウェイバルブをデッキ外に開口させるためのチューブの取付管を一体に設け，この取付管をデッキ外に開口させたことを特徴とする請求項１記載の小型艇における燃料タンク用ツーウェイバルブの取付構造。

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