JP2005145206A - ウォータージェット推進型の小型滑走艇用のリバースバケット及びリバース機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ウォータージェットポンプから噴射された水が反射時に拡散するのを抑制することにより、後進時における推力を十分に得ることができるとともに、後進しつつ効率よく旋回することができるウォータージェット推進型の小型滑走艇用のリバースバケット、及びリバース機構の提供。
【解決手段】 リバースバケット22は、略ボウル形状を成す本体部30と、該本体部30の内壁面に内方へ突出して略前後方向に沿って延設されたサイドフィン33及びセンターフィン34とを備える。
【選択図】 図7
【解決手段】 リバースバケット22は、略ボウル形状を成す本体部30と、該本体部30の内壁面に内方へ突出して略前後方向に沿って延設されたサイドフィン33及びセンターフィン34とを備える。
【選択図】 図7
Description
本発明は、ウォータージェット推進型の小型滑走艇が後進時に使用するリバースバケット、及び該小型滑走艇用のリバース機構に関する。
ウォータージェット推進型の小型滑走艇は、レジャー用,スポーツ用、或いはレスキュー用として近年多用されている。該小型滑走艇は、ハル及びデッキにより構成された艇内にエンジンを備えており、一般にハル後部の底面に設けられた吸水口から吸い込んだ水を、前記エンジンにより駆動されるウォータージェットポンプで加圧・加速して後方へ噴射することによって船体の推進力を得ている。
また、ウォータージェットポンプは、その後部に、左右へ揺動自在のステアリングノズルを備え、該ステアリングノズルはハンドルバーとの間でケーブルにより接続されている。従って、ハンドルバーを操作することにより、ステアリングノズルを左右へ揺動させることができ、ウォータージェットポンプからの水の噴射方向を変更することができる。
更に、前記ウォータージェットポンプの後方には、ステアリングノズルを覆うようにしてリバースバケットが設けられている(例えば、特許文献1,2参照)。このリバースバケットは上下へ揺動自在であり、下方に位置させた場合には、ステアリングノズルからの噴流を前記リバースバケットの内壁面にて反射させて略前方へ向かわせる。従って、このときに艇を後進させることができる。
特許第2756434号公報
特許第3358718号公報
ところで、上述したリバースバケットの場合、その内壁面にて反射した噴流は、左右へ拡散するなどして比較的広角な範囲の方向へ向かう。従って、スロットルを操作してステアリングノズルからの噴流を増量しなければ、エンジンがアイドリング状態では後進時の推力が十分に得られない場合がある。このような推力不足は、後進しながら左右へ旋回する場合においても同様に生じ得るものであり、この場合には更に、反射した噴流の拡散がハンドルバーの操作に対する旋回動作のレスポンスの向上を妨げる要因になる場合もある。
また、従来のリバースバケットにあっては、左右それぞれの側壁に孔を設け、後進しつつ旋回する際にはこの孔から吐出される少量の噴流によって旋回推力を得ることにより、旋回動作時に優れたレスポンスを得られるものもある。しかしながら、この場合はハンドルバーの操作方向と旋回方向とが異なるため、これを一致させつつ後進旋回時のレスポンスを確保したいという要望もある。
そこで本発明は、ウォータージェット推進型の小型滑走艇において、リバースバケットにて反射される噴射水の拡散を抑制することにより、後進時における推力を十分に得ることができるとともに、後進しつつ効率よく旋回することができるリバースバケット、及びリバース機構を提供することを目的とする。
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、本発明に係るウォータージェット推進型の小型滑走艇用のリバースバケットは、略ボウル形状を成す本体部と、該本体部の内壁面にて内方へ突出して略前後方向に沿って延設されたフィンとを備える。
この場合、リバースバケットの内壁面にて反射される水を整流してこの水の拡散を抑制するため、後進時における推力の向上を図ることができる。また、上述した構成では、旋回時においてもリバースバケットの内壁面にて反射された水の噴流によって旋回推力を得るため、ハンドルバーの操作方向と旋回方向とは一致する。
また、前記フィンは、前記本体部の内壁面における左右それぞれの所定位置に配設されたサイドフィンを有していてもよい。この場合、リバースバケットにて反射した水が左右へ拡散するのを抑制することができ、後進時の推力向上を図ることができる。特に、旋回時に噴流を受ける箇所の外側近傍にサイドフィンを設けた場合には、後進しつつ旋回するときに、反射する水の左右への拡散を効果的に抑制することができる。
また、前記フィンは、左右の前記サイドフィンの間に配設されたセンターフィンを有していてもよい。この場合、上述したような効率のよい旋回を確保しつつ、反射する水の整流作用の向上によって更なる推力の向上を図ることができる。
また、前記サイドフィンは、前記センターフィンよりも大きく突出していてもよい。この場合、反射する水の左右への拡散を、より効果的に抑制することができる。
本発明に係るウォータージェット推進型の小型滑走艇用のリバース機構は、艇の推進機構を成すウォータージェットポンプと、該ウォータージェットポンプの後方に配置されて上下へ揺動自在であり前記ウォータージェットポンプからの噴流を内壁面にて受けるリバースバケットとを備え、該リバースバケットは、略ボウル形状を成す本体部と、該本体部の内壁面にて内方へ突出して略前後方向に沿って延設されたフィンとを有する。
この場合、ウォータージェットポンプから噴射された水は、リバースバケットの本体部の内壁面で反射されるときに整流され、拡散が抑制されて略前方へ向かって排出される。従って、艇が後進するときの推力の向上を図ることができる。
また、前記ウォータージェットポンプは、左右へ揺動自在のステアリングノズルを後部に有し、前記リバースバケットは、前記本体部が前記ステアリングノズルを覆って設けられ、前記フィンは、前記本体部の内壁面において、最も左側に向けられた前記ステアリングノズルの対向箇所の近傍左側、及び、最も右側に向けられた前記ステアリングノズルの対向箇所の近傍右側にそれぞれ配設されたサイドフィンを有していてもよい。
この場合、艇を後進させつつ旋回すべくステアリングノズルを左右へ向けたときに、ステアリングノズルからの噴流がリバースバケットでの反射時に左右へ拡散するのを効果的に抑制することができ、後進しつつ旋回するときの推力向上とレスポンスの向上とを図ることができる。
本発明に係るウォータージェット推進型の小型滑走艇用のリバースバケット及びリバース機構によれば、ウォータージェットポンプから噴射され、リバースバケットにて反射される水の拡散を抑制することにより、後進時における推力を得ることができるとともに、後進しつつ効率よく旋回することができる。
以下、本発明の実施の形態にかかるウォータージェット推進型の小型滑走艇用のリバースバケット及びリバース機構について、図面を参照しながら具体的に説明する。図1に示す滑走艇は、ライダーがシート7上に跨って乗る騎乗型の滑走艇であり、その船体1は、ハル2と該ハル2の上部を覆うデッキ3とから構成されている。船体1の全周に渡るハル2とデッキ3との接続ラインはガンネルライン4と称する。このガンネルライン4は、艇が停泊しているときには喫水線5よりも上方に位置している。なお、以下の説明で用いる向きの概念は、シート7上に跨ったライダーから見た方向の概念と一致するものとする。
図2に示すように、船体1の上部におけるデッキ3の長手方向の略中央位置であって左右の中央には、平面視にて略長方形状のデッキ開口部6が、船体1の前後方向に長辺を沿うようにして設けられている。該デッキ開口部6の上方には、ライダーが跨って座る騎乗型のシート7が着脱可能にして取り付けられている。
デッキ開口部6の下方にてハル2及びデッキ3により囲まれた空間はエンジンルーム8を成しており、該エンジンルーム8内には、滑走艇を駆動させるエンジンEが搭載されている。また、前記エンジンルーム8は、横断面が凸状を成しており、下部に比して上部が狭くなるような形状を成しており、その内部にてエンジンEは、図1に示すようにクランクシャフト9が船体1の前後方向に沿うようにして収納されている。
クランクシャフト9の出力端部は、ドライブシャフト10を介し、船体1の後部に配置されたウォータージェットポンプPのポンプ軸11に接続されている。従って、クランクシャフト9の回転に連動してポンプ軸11は回転する。ポンプ軸11にはインペラ12が取り付けられており、該インペラ12の後方には静翼13が配置されている。インペラ12の外周方には、該インペラ12を覆うようにポンプケーシング14が設けられている。
船体1の底部には吸水口15が設けられている。該吸水口15と前記ポンプケーシング14との間は吸水通路により接続され、該ポンプケーシング14は更に、船体1の後部に設けられたポンプノズル16に接続されている。該ポンプノズル16は、後方へいくに従ってノズル径が小さくなるように構成されており、後端には図3にも示すように噴射口17が形成されている。
滑走艇は、前記吸水口15から吸入した水をウォータージェットポンプPにて加圧・加速し、また、静翼13にて整流して、前記ポンプノズル16を通じて前記噴射口17から後方へ吐出する。滑走艇は、噴射口17から吐き出された水の反動により、推進力を得る。
デッキ3の前部には操舵用のハンドルバー19が設けられ、該ハンドルバー19は、ポンプノズル16の後方に配置されたステアリングノズル20(図3も参照)との間にてケーブル(図示せず)を介して接続されている。ハンドルバー19を左右に操作することにより、ステアリングノズル20は左右に揺動される。従って、ウォータージェットポンプPが推力を発生させている間にハンドルバー19を操作することにより、ポンプノズル16を通じて外部へ吐き出される水の方向を変えることができ、滑走艇の前進方向を変えることができる。
図4は、ウォータージェットポンプPの後部拡大側面図である。図4に示すように、ステアリングノズル20の略上方には、ボウル形状を成すリバースバケット22が配置されている。また、ポンプケーシング14の下方には、これを覆うようにしてポンプカバー23が設けられ、該ポンプカバー23の後部には揺動軸24を介してリバースバケット22を枢支する枢支部25が立設されている。図3に示すように、この枢支部25は、ポンプカバー23の左右に配設されている。また、リバースバケット22は、揺動軸24から離れた位置にてケーブル26の一端が接続されており、このケーブル26の他端はリバースレバー27(図1参照)に接続されている。
従って、リバースレバー27を操作することにより、図4に示すようにリバースバケット22は、揺動軸24を軸として上下方向へ揺動することができる。そして、リバースバケット22を、揺動軸24を中心に下方へ揺動させてステアリングノズル20の後方に位置させた場合、ステアリングノズル20から後方へ吐き出される水はリバースバケット22の内壁面にて反射され、略前方へ向きを変えて噴射される。従ってこのとき、滑走艇を後進させることができる。なお、図4には、ステアリングノズル20から噴射される水の通流断面の中心線28を一点鎖線で示している。
図5はリバースバケット22の構成を示す図面であり、図5(a)はその背面図、図5(b)はその側面図である。図6はリバースバケット22の構成を示す断面図であり、図6(a)は図5(b)のVIa-VIa断面図、図6(b)は図5(a)のVIb-VIb断面図である。また、図7は、リバースバケット22の構成を示す裏面図である。
図5(a),(b)に示すように、リバースバケット22は、ボウル形状を成す本体部30の外壁面に、左右方向へ延びる多数のリブ31が設けられている。リバースバケット22は合成樹脂製であり、このリブ31によって剛性が確保されているが、十分な剛性を有する素材を用いてリバースバケット22を構成する場合には、このリブ31は必ずしも要しない。また、本体部30の後端部には、ツバ部32が設けられている。
図6(a),(b)及び図7に示すように、本体部30の内壁面には多数のフィンが形成されている。即ち、本体部30の内壁面の左右には比較的突出量の大きい(高さ寸法の大きい)サイドフィン33が設けられ、このサイドフィン33の間には、これより突出量の小さい(高さ寸法の小さい)センターフィン34が2つ設けられている。センターフィン34は、上下にリバースバケット22が揺動したときに、ステアリングノズル20の後端部が接触しない範囲で可及的に大きい寸法を得られるように形成されており、その設置数は整流作用を考慮して適宜変更してもよい。このサイドフィン33及びセンターフィン34はともに、本体部30の略前後方向に沿って延設されており、いずれも前部に比べて後部の方が突出量が小さくなるように形成されている。
また、サイドフィン33は、本体部30の内壁面の左右において、所定の位置に設けられている。詳説すると、図6(a)に示すように、ステアリングノズル20は、リバースバケット22の内方にて所定の角度範囲内で左右へ揺動する。そして、左側のサイドフィン33は、ステアリングノズル20が最も左側へ向けられたときの該ステアリングノズル20の対向箇所の近傍左側に突設されている。右側のサイドフィン33は、ステアリングノズル20が最も右側へ向けられたときの該ステアリングノズル20の対向箇所の近傍右側に突設されている。
サイドフィン33及びセンターフィン34は、リバースバケット22の剛性を確保するためのリブの役割も果たしている。また、本体部30の外壁面のリブ31と、サイドフィン33及びセンターフィン34とは、延設方向が互いに交差している。従って、リバースバケット22は、多方向からの外力に対して十分な剛性が確保されている。
次に、上述したような構成を成すリバースバケット22を備える小型滑走艇の後進時の状態について説明する。図8は、真っ直ぐに後進する場合にステアリングノズル20から吐き出される噴流の流れを示す、ウォータージェットポンプPの後部拡大平面図である。図8に示すように、ステアリングノズル20から後方へ吐き出された水は、リバースバケット22の内壁面にて反射される。反射された水は、サイドフィン33により流れの方向が規制されて左右方向への拡散が抑制され、略前方への指向性が高められる。また、内壁面にて反射される水は、反射される際にセンターフィン34によっても整流され、後方へ吐き出された水の向きを前方へと円滑に変更する。
従って、後進時においてステアリングノズル20から吐き出された水を、効率よく且つ指向性よく前方へ噴射することができるため、例えばエンジンEがアイドリング状態であっても十分な後進推力を得ることができる。
図9は、後進しつつ旋回(左旋回)する場合にステアリングノズル20から吐き出される噴流の流れを示す、ウォータージェットポンプPの後部拡大平面図である。ハンドルバー19を操作することより、図9に示すように左旋回時にはステアリングノズル20は左側へ向けられる。このステアリングノズル20から左後方へ吐き出された水は、リバースバケット22の左右のサイドフィン33の間であって主に左寄りの内壁面にて反射される。反射された水は、左側のサイドフィン33によって流れの方向が規制され、リバースバケット22の左側への拡散が抑制される一方、センターフィン34によって整流され、左後方へ吐き出された水の向きは右前方へと円滑に変更される。
従って、後進しつつ旋回する場合に、十分な推力と旋回力とを得ることができ、例えばエンジンEがアイドリング状態であっても効率よく後進旋回することができる。
本発明は、ウォータージェット推進型の小型滑走艇に適用することができ、特に、そのリバースバケット及びリバース機構に適用することができる。
1 船体
2 ハル
3 デッキ
14 ポンプケーシング
22 リバースバケット
23 ポンプカバー
24 揺動軸
25 枢支部
26 ケーブル
27 リバースレバー
30 本体部
31 リブ
32 ツバ部
33 サイドフィン
34 センターフィン
E エンジン
P ウォータージェットポンプ
2 ハル
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14 ポンプケーシング
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23 ポンプカバー
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30 本体部
31 リブ
32 ツバ部
33 サイドフィン
34 センターフィン
E エンジン
P ウォータージェットポンプ
Claims (6)
- 略ボウル形状を成す本体部と、該本体部の内壁面にて内方へ突出して略前後方向に沿って延設されたフィンとを備えることを特徴とするウォータージェット推進型の小型滑走艇用のリバースバケット。
- 前記フィンは、前記本体部の内壁面における左右それぞれの所定位置に配設されたサイドフィンを有することを特徴とする請求項1に記載のウォータージェット推進型の小型滑走艇用のリバースバケット。
- 前記フィンは、左右の前記サイドフィンの間に配設されたセンターフィンを有することを特徴とする請求項2に記載のウォータージェット推進型の小型滑走艇用のリバースバケット。
- 前記サイドフィンは、前記センターフィンよりも大きく突出していることを特徴とする請求項3に記載のウォータージェット推進型の小型滑走艇用のリバースバケット。
- 艇の推進機構を成すウォータージェットポンプと、該ウォータージェットポンプの後方に配置されて上下へ揺動自在であり前記ウォータージェットポンプからの噴流を内壁面にて受けるリバースバケットとを備え、
該リバースバケットは、略ボウル形状を成す本体部と、該本体部の内壁面にて内方へ突出して略前後方向に沿って延設されたフィンとを有することを特徴とするウォータージェット推進型の小型滑走艇用のリバース機構。 - 前記ウォータージェットポンプは、左右へ揺動自在のステアリングノズルを後部に有し、前記リバースバケットは、前記本体部が前記ステアリングノズルを覆って設けられ、
前記フィンは、前記本体部の内壁面において、最も左側に向けられた前記ステアリングノズルの対向箇所の近傍左側、及び、最も右側に向けられた前記ステアリングノズルの対向箇所の近傍右側にそれぞれ配設されたサイドフィンを有することを特徴とする請求項5に記載のウォータージェット推進型の小型滑走艇用のリバース機構。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20070206 |