JP3992429B2 - 小型船艇の燃料タンク固定構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、小型船艇、主として鞍乗り型小型船艇の燃料タンク固定構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、小型船艇の燃料タンク固定構造としては、例えば図8(a)に示すように、船体1の内壁底部2に一対のタンク支持部3,3を設け、このタンク支持部3,3上に燃料タンク(以下単にタンクともいう)4を搭載して上記一対のタンク支持部3,3でタンク4の下部を挟み込むようにしてタンク4の位置決めを行うとともに、船体一側からタンク上面を経て船体他側に掛けられるベルト5によってタンク4を船体に固定する構造が知られている(特開平4−201797号公報)。
また、例えば図9に示すように、タンク6を船体の内壁底部7に適合させた形状とし、タンク6を船体の対向する内壁側面8,8で挟み込むようにして位置決め固定する構造も知られている(特開平5−16882号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のタンク固定構造では、以下に説明するように、必ずしもタンクを安定した状態で位置決め固定することができないという問題があった。
すなわち、通常、燃料タンクはその寸法精度が必ずしも高くはない。特に、燃料タンクは合成樹脂のブロー成形によって作成されることが多いが、ブロー成形による場合には、その寸法精度は低くならざるを得ない。
このような状況下において、例えば図8に示したように、一対のタンク支持部3,3でタンク4を挟み込むようにしてタンク4の位置決めを行う構造であると、図8(b)に示すように、タンク4が所定寸法よりも小さな場合には、その小さなタンク4’と支持部3,3との間に隙間Cが生じてしまい、タンク4’を安定した状態で位置決め固定することができなくなってしまう。逆に図8(c)に示すように、タンク4が所定寸法よりも大きな場合には、その大きなタンク4”が支持部3,3で必要以上に強い力F、Fで圧せられてしまい、タンク4”に不要なストレスが生じてしまう。
このような問題は、図9に示した構造でも同様に生じ、タンク6が所定寸法よりも小さかった場合には、その小さなタンクと内壁側面8,8との間に隙間が生じてタンクを安定した状態で位置決め固定することができなくなってしまい、逆に、タンク6が所定寸法よりも大かった場合には、その大きなタンクが内壁側面で必要以上に強い力で圧せられて、タンクに不要なストレスが生じてしまう。
【0004】
本発明の目的は、以上のような問題を解決し、タンクを安定した状態で位置決めすることができるとともにタンクに不要なストレスも生じない小型船艇の燃料タンク固定構造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の小型船艇の燃料タンク固定構造は、船体の内壁底部に、テーパ付で単一の位置決め用の凸部または凹部が設けられているとともに、前記底部に搭載される燃料タンクの底部に、前記凸部または凹部と嵌合する、当該凸部または凹部と同方向のテーパ付で単一の位置決め用の凹部または凸部が設けられており、かつ、平面視で前記燃料タンクの周壁と船体の内壁との間に空間が形成されているとともに,前記船体の後方から見て,前記燃料タンクの底部の前記凹部または凸部の両側に位置する前記燃料タンクの底面の少なくとも一部が、船体底部内壁面の傾斜部と平行に傾斜している斜面となっており、この斜面が、前記船体底部内壁面に設けられた,前記位置決め用の凸部とは別の凸状の支持部によって、当該斜面に沿う方向に移動可能に支持されていることを特徴とする。
請求項2記載の小型船艇の燃料タンク固定構造は、請求項1記載の小型船艇の燃料タンク固定構造において,前記燃料タンクが、合成樹脂のブロー成型品であることを特徴とする。
請求項3記載の小型船艇の燃料タンク固定構造は、請求項1または2記載の小型船艇の燃料タンク固定構造において,前記燃料タンクは、船体一側から燃料タンク上面を経て船体他側に掛けられる弾性ベルトによって船体に固定される構造であるとともに、前記燃料タンクの上面には、燃料タンク内に連通する燃料ホースの支持部が設けられており、この支持部と前記弾性ベルトとによって燃料ホースが燃料タンク上に固定されることを特徴とする
【0006】
【作用効果】
請求項1記載の小型船艇の燃料タンク固定構造によれば、船体の内壁底部に、テーパ付で単一の位置決め用の凸部または凹部が設けられているとともに、前記底部に搭載される燃料タンクの底部に、前記凸部または凹部と嵌合する、当該凸部または凹部と同方向のテーパ付で単一の位置決め用の凹部または凸部が設けられており、かつ、平面視で前記燃料タンクの周壁と船体の内壁との間に空間が形成されているので、燃料タンクを船体の内壁底部上に搭載すると、船体の内壁底部に設けられているテーパ付で単一の位置決め用の凸部または凹部に対して、燃料タンク底部に設けられている前記凸部または凹部と同方向のテーパ付で単一の位置決め用の凹部または凸部が嵌合することによって、燃料タンクが船体の内壁底部上に位置決めされる。
船体底部側の凸部または凹部と、燃料タンク側の凹部または凸部にはそれぞれ同方向のテーパが形成されており、かつ、平面視で燃料タンクの周壁と船体の内壁との間に空間が形成されているので、前記位置決め用の凹部と凸部(または凸部と凹部)とが嵌合する際には、そのテーパ面同士が当接するようにして嵌合することとなる。
したがって、燃料タンクの寸法精度が必ずしも高くなくても、燃料タンク側の凹部または凸部は、船体側の凸部または凹部に対してそのテーパ面同士がフィットするようにして安定した状態で嵌合して位置決めされることとなる。
すなわち、燃料タンクが所定寸法よりも多少小さかったり、あるいは多少大きかったりしても、上記位置決め部においてはガタが生じずまた燃料タンクに不要なストレスが生じてしまうということもない。また、平面視で燃料タンクの周壁と船体の内壁との間には空間が形成されているので、燃料タンクが所定寸法よりも多少大きい場合でも、燃料タンクに不要なストレスが生じてしまうということがない。
しかも、燃料タンクが船体に搭載され、その後燃料が入れられて燃料タンクが膨潤したとしても、上記テーパ付凹凸の嵌合によって安定した位置決め状態が維持されるとともに、燃料タンクに不要なストレスが生じてしまうということもない。
以上のように、この請求項1記載の小型船艇の燃料タンク固定構造によれば、燃料タンクを安定した状態で位置決めして固定することができ、燃料タンクに不要なストレスも生じなくなる。しかも、燃料タンクが船体に搭載され、その後燃料が入れられて燃料タンクが膨潤したとしても、安定した位置決め状態が維持されるとともに、燃料タンクに不要なストレスが生じてしまうということもない。
さらに,請求項記載の小型船艇の燃料タンク固定構造によれば、前記船体の後方から見て,前記燃料タンクの底面における前記凹部または凸部の両側の少なくとも一部が、船体底部内壁面の傾斜部と平行に傾斜している斜面となっており、この斜面が、前記船体底部内壁面に設けられた,前記位置決め用の凸部とは別の凸状の支持部によって、当該斜面に沿う方向に移動可能に支持されているので、燃料タンクが所定寸法よりも多少小さかったり、あるいは多少大きかったりしても、燃料タンクを一層安定した状態で位置決めして固定することができるようになるとともに、燃料タンクに不要なストレスが生じることを一層確実に防止することができるようになる。
しかも、燃料タンクが船体に搭載され、その後燃料が入れられて燃料タンクが膨潤したとしても、燃料タンクの底面における前記凹部または凸部の両側において船体底部内壁面の傾斜部と平行に形成された斜面が、船体底部内壁面に設けられた,前記位置決め用の凸部とは別の凸状の支持部によって支持されつつ当該斜面に沿う方向に移動することとなるので、燃料タンクに不要なストレスが生じることをより一層確実に防止することができるようになる。
請求項記載の小型船艇の燃料タンク固定構造によれば、請求項記載の小型船艇の燃料タンク固定構造において、前記燃料タンクが、合成樹脂のブロー成型品であるので、燃料タンクを容易に作成することができる。
前述したように、燃料タンクが合成樹脂のブロー成型品であると、その寸法精度は低くなるが、この燃料タンク固定構造によれば、上記請求項記載の構成となっているので、燃料タンクが合成樹脂のブロー成型品であっても、燃料タンクを安定した状態で位置決めして固定することができ、燃料タンクに不要なストレスを生じなくすることができ、しかも、燃料タンクが船体に搭載され、その後燃料が入れられて燃料タンクが膨潤したとしても、安定した位置決め状態を維持し、燃料タンクに不要なストレスが生じないようにすることができる。
すなわち、上記請求項の構成は、燃料タンクが合成樹脂のブロー成型品である場合に特に有効である。
請求項記載の小型船艇の燃料タンク固定構造によれば、請求項1または2記載の小型船艇の燃料タンク固定構造において、前記燃料タンクは、船体一側から燃料タンク上面を経て船体他側に掛けられる弾性ベルトによって船体に固定される構造であるので、燃料タンクが所定寸法よりも多少小さかったり、あるいは多少大きかったりしても、弾性ベルトのその弾性作用によって燃料タンクを一層安定した状態で位置決め固定することができるようになるとともに、燃料タンクに不要なストレスが生じることを一層確実に防止することができるようになる。
そして、前記燃料タンクの上面には、燃料タンク内に連通する燃料ホースの支持部が設けられており、この支持部と前記弾性ベルトとによって燃料ホースが燃料タンク上に固定される構成となっているので、燃料ホースを燃料タンクとともに、安定した状態で位置決め固定することができるようになる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る燃料タンク固定構造の一実施の形態を用いた小型船艇の一例を示す部分省略側面図、図2は同じく平面図である。図3は図1における部分省略III−III断面図、図4は図1における部分省略IV−IV断面図、図5は船体の内壁底部における燃料タンクが搭載される部位の概略斜視図、図6は燃料タンクの底面図である。
【0008】
これらの図(主として図1)に示すように、この実施の形態の小型船艇10は、鞍乗り型小型船艇であり、船体11上のシート12に乗員が座り、スロットルレバー13a(図2参照)付きの操舵ハンドル13を握って操行可能である。
船体11は、ロアハルパネル14とアッパーハルパネル15とを接合して内部に空間16を形成した浮体構造となっている。空間16内において、ロアハルパネル14上には、エンジン20が搭載され、このエンジン20で駆動される推進手段としてのジェットポンプ30がロアハルパネル14後部に設けられている。
【0009】
ジェットポンプ30は、船底に開口した取水口17から船体後端に開口した噴出ノズル31に至る流路32と、この流路32内に配置された図示しないインペラとを有しており、インペラのシャフト33がエンジン20の出力軸21に連結されている。したがって、エンジン20によりインペラが回転駆動されると、取水口17から取り入れられた水がノズル31から噴出され、これによって船体11が推進される。エンジン20の駆動回転数、すなわちジェットポンプ30による推進力は、前記操作ハンドル13のスロットルレバー13a(図2参照)の回動操作によって操作される。ノズル31は、図示しない操作ワイヤーで操作ハンドル13と連係されていて、ハンドル13の操作で回動操作され、これによって進路を変更することができる。
【0010】
エンジン20に燃料を供給するための燃料タンク40は、エンジン20の前方において、船体11の内壁底部上に搭載されている。
ロアハルパネル14は、図3、図4に明示するように、少なくとも燃料タンク40が搭載される部位においては、アウターハル14aとインナーハル14bとからなる二重構造となっており、インナーハル14b、すなわち船体の内壁底部の上に燃料タンク40が搭載される。なお、アウターハル14aとインナーハル14bとの間の空間には発泡体14cが充填されて浮き体を構成している。
【0011】
図3〜図5に示すように、インナーハル14bには、単一の位置決め用の凸部18と、4つの凸状の支持部19とが設けられている。
凸部18は、インナーハル14bに一体に形成された基部18aとこの基部18a上を被覆するように固着された弾性体(例えばゴム等)からなるキャップ18bとで構成されている。同様に、支持部19もインナーハル14bに一体に形成された基部19aとこの基部19a上を被覆するように固着された弾性体(例えばゴム等)からなるキャップ19bとで構成されている。
位置決め用の凸部18の外周面は、テーパ面(截頭円錐面)18cとなっている。
【0012】
一方、図3および図6に示すように、燃料タンク40の底部には、前記船体側の位置決め用の凸部18と嵌合する、単一の位置決め用の凹部41が形成されている。
凹部41の内周面は、上記船体側の位置決め用の凸部18のテーパ面18cと同方向のテーパ面(截頭円錐面)41cとなっている。
燃料タンク40は、合成樹脂(例えばポリエチレン等)のブロー成型品であり、その底面における前記位置決め用の凹部41の両側の一部42,42が、船体底部内壁面の傾斜部(この実施の形態では上記支持部19のキャップ19bの上面19c)と略平行に傾斜している斜面(42)となっており、この斜面42,42が、船体底部内壁面に設けられた凸状の前記4つの支持部19によって、当該斜面42に沿う方向(図7における矢印a方向)に移動可能に支持されるようになっている。
【0013】
以上のような燃料タンク40は、主として図3および図4に示すように、その位置決め用の凹部41を、船体側の位置決め用の凸部18に嵌め合わせるようにして船体底部に搭載され、搭載された状態では、その位置決め用の凹部41が船体側の位置決め用の凸部18に嵌まり合って位置決めされるとともに、両側の斜面42,42が船体側の前記4つの支持部19によって支持されることとなる。
また、図3〜図5に示すように、船体11の一側11aから燃料タンク40の上面40aを経て船体11の他側11bに掛けられる弾性ベルト(50,50’)によって船体11に固定される。図3では、この弾性ベルトを2本とし、符号50,50’で示してあるが、ベルトの本数は適宜選択することができる。1本とすることもできるし3本以上とすることもできる。
図4に示すように、燃料タンク40の上面40aには、燃料タンク40内に連通する燃料供給ホース43と、燃料戻しホース44とを支持する支持部45が一体的に形成されており、この支持部45と弾性ベルト50とによって燃料供給ホース43および燃料戻しホース44が燃料タンク40上に固定されるようになっている。
【0014】
以上のようにして搭載された燃料タンク40の周壁46と船体11の内壁11cとの間には平面視で空間Sが形成される(図3および図4参照)。
【0015】
以上のような燃料タンク固定構造によれば次のような作用効果が得られる。
(a)船体11の内壁底部に、テーパ18c付で単一の位置決め用の凸部18が設けられているとともに、前記底部に搭載される燃料タンク40の底部に、前記凸部18と嵌合する、当該凸部18と同方向のテーパ41c付で単一の位置決め用の凹部41が設けられており、かつ、平面視で燃料タンク40の周壁46と船体の内壁11cとの間に空間Sが形成されているので、燃料タンク40を船体11の内壁底部上に搭載すると、船体11の内壁底部に設けられているテーパ付で単一の位置決め用の凸部18に対して、燃料タンク40底部に設けられている前記凸部18と同方向のテーパ付で単一の位置決め用の凹部41が嵌合することによって、燃料タンク40が船体11の内壁底部上に位置決めされる。
船体底部側の凸部18と、燃料タンク40側の凹部41にはそれぞれ同方向のテーパ18c、41cが形成されており、かつ、平面視で燃料タンク40の周壁46と船体11の内壁11cとの間に空間Sが形成されているので、位置決め用の凸部18と凹部41とが嵌合する際には、そのテーパ面18c、41c同士が当接するようにして嵌合することとなる。
したがって、燃料タンク40の寸法精度が必ずしも高くなくても、燃料タンク40側の凹部41は、船体11側の凸部18に対してそのテーパ面41c、18c同士がフィットするようにして安定した状態で嵌合して位置決めされることとなる。
すなわち、図7(a)に一点鎖線40’で示すように燃料タンク40が所定寸法(所定寸法の場合を実線40で示す)よりも多少小さかったり、あるいは図7(b)に二点鎖線40”で示すように多少大きかったりしても、上記位置決め部においてはガタが生じず、また、燃料タンク40に不要なストレスが生じてしまうということがなくなる。また、平面視で燃料タンク40の周壁46と船体11の内壁11cとの間には空間Sが形成されているので、図7(b)に二点鎖線40”で示すように燃料タンク40が所定寸法よりも多少大きい場合でも、上記空間Sおよび上方に燃料タンク40の外周壁が逃げることができるので、燃料タンク40に不要なストレスが生じてしまうということがない。
しかも、燃料タンク40が船体11に搭載され、その後燃料が入れられて燃料タンク40が膨潤したとしても、上記テーパ付凹凸18,41の嵌合によって安定した位置決め状態が維持されるとともに、燃料タンク40に不要なストレスが生じてしまうということもない。
以上のように、この実施の形態の小型船艇の燃料タンク固定構造によれば、燃料タンク40を安定した状態で位置決め固定することができ、燃料タンク40に不要なストレスも生じなくなる。しかも、燃料タンク40が船体11に搭載され、その後燃料が入れられて燃料タンク40が膨潤したとしても、安定した位置決め固定状態が維持されるとともに、燃料タンク40に不要なストレスが生じてしまうということもない。
(b)燃料タンク40の底面における凹部41の両側の少なくとも一部(42)が、船体底部内壁面の傾斜部19cと略平行に傾斜している斜面42,42となっており、この斜面42,42が、船体底部内壁面に設けられた凸状の支持部19によって、当該斜面42に沿う方向(図7における矢印a方向)に移動可能に支持されているので、図7(a)(b)に示すように燃料タンクが所定寸法よりも多少小さかったり、あるいは多少大きかったりしても、上記支持部19に斜面42,42がフィットし、燃料タンク40を一層安定した状態で位置決め固定することができるようになるとともに、燃料タンク40に不要なストレスが生じることを一層確実に防止することができるようになる。
しかも、燃料タンク40が船体11に搭載され、その後燃料が入れられて燃料タンク40が膨潤したとしても、燃料タンク40の底面における凹部41の両側において船体底部内壁面の傾斜部19cと略平行に形成された斜面42,42が、船体底部内壁面に設けられた凸状の支持部19によって支持されつつ当該斜面42に沿う方向(図7における矢印a方向)に移動することとなるので、燃料タンク40に不要なストレスが生じることをより一層確実に防止することができるようになる。
(c)燃料タンク40が、合成樹脂のブロー成型品であるので、燃料タンク40を容易に作成することができる。
燃料タンクが合成樹脂のブロー成型品であると、その寸法精度は低くなるが、この燃料タンク固定構造によれば、上記の構成となっているので、燃料タンク40が合成樹脂のブロー成型品であっても、燃料タンク40を安定した状態で位置決め固定することができ、燃料タンク40に不要なストレスを生じなくすることができ、しかも、燃料タンク40が船体11に搭載され、その後燃料が入れられて燃料タンク40が膨潤したとしても、安定した位置決め固定状態を維持し、燃料タンク40に不要なストレスが生じないようにすることができる。
すなわち、この実施の形態のような燃料タンク固定構造は、燃料タンク40が合成樹脂のブロー成型品である場合に特に有効である。
(d)燃料タンク40は、船体の一側11aから燃料タンク40の上面40aを経て船体の他側11bに掛けられる弾性ベルト50、50’によって船体11に固定される構造であるので、燃料タンク40が所定寸法よりも多少小さかったり、あるいは多少大きかったりしても、上記(a)または(b)の作用効果と、弾性ベルトのその弾性作用とによって燃料タンク40を一層安定した状態で位置決め固定することができるようになるとともに、燃料タンク40に不要なストレスが生じることを一層確実に防止することができるようになる。
そして、燃料タンク40の上面には、燃料タンク40内に連通する燃料供給ホース43および燃料戻しホース44の支持部45が設けられており、この支持部45と弾性ベルト50とによって燃料供給ホース43および燃料戻しホース44が燃料タンク40上に固定される構成となっているので、燃料供給ホース43および燃料戻しホース44を燃料タンク40とともに、安定した状態で位置決め固定することができるようになる。
【0016】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。
例えば、上記実施の形態では、船体の内壁底部に位置決め用の凸部を設け、燃料タンクの底部に位置決め用の凹部を設けたが、船体の内壁底部に位置決め用の凹部を設け、燃料タンクの底部に位置決め用の凸部を設けてもよい。
【0017】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る燃料タンク固定構造の一実施の形態を用いた小型船艇の一例を示す部分省略側面図。
【図2】同じく平面図。
【図3】図1における部分省略III−III断面図。
【図4】図1における部分省略IV−IV断面図。
【図5】船体の内壁底部における燃料タンクが搭載される部位の概略斜視図。
【図6】燃料タンクの底面図。
【図7】(a)(b)は作用説明図であり、それぞれ図3の拡大図。
【図8】(a)(b)(c)は従来技術の説明図。
【図9】他の従来技術の説明図。
【符号の説明】
10 小型船艇
11 船体
11c 船体の内壁
18 位置決め用の凸部
19 支持部
19c 傾斜部
40 燃料タンク
40a 上面
41 位置決め用の凹部
42 斜面
43 燃料供給ホース
45 支持部
46 周壁
50 弾性ベルト
S 空間

Claims (3)

  1. 船体の内壁底部に、テーパ付で単一の位置決め用の凸部または凹部が設けられているとともに、前記底部に搭載される燃料タンクの底部に、前記凸部または凹部と嵌合する、当該凸部または凹部と同方向のテーパ付で単一の位置決め用の凹部または凸部が設けられており、かつ、平面視で前記燃料タンクの周壁と船体の内壁との間に空間が形成されているとともに,前記船体の後方から見て,前記燃料タンクの底部の前記凹部または凸部の両側に位置する前記燃料タンクの底面の少なくとも一部が、船体底部内壁面の傾斜部と平行に傾斜している斜面となっており、この斜面が、前記船体底部内壁面に設けられた,前記位置決め用の凸部とは別の凸状の支持部によって、当該斜面に沿う方向に移動可能に支持されていることを特徴とする小型船艇の燃料タンク固定構造。
  2. 記燃料タンクが、合成樹脂のブロー成型品であることを特徴とする請求項1記載の小型船艇の燃料タンク固定構造。
  3. 記燃料タンクは、船体一側から燃料タンク上面を経て船体他側に掛けられる弾性ベルトによって船体に固定される構造であるとともに、前記燃料タンクの上面には、燃料タンク内に連通する燃料ホースの支持部が設けられており、この支持部と前記弾性ベルトとによって燃料ホースが燃料タンク上に固定されることを特徴とする請求項1または2記載の小型船艇の燃料タンク固定構造
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