JP4267887B2 - 小型滑走艇 - Google Patents
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- F02B61/045—Adaptations of engines for driving vehicles or for driving propellers; Combinations of engines with gearing for driving propellers for outboard marine engines
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、艇体の中央に前後方向に延びる跨座式の座席を備え、この座席の前方に操作ハンドルを備え、艇底の中央に弧状のキールを設けた小型滑走艇に関する。
【0002】
【従来の技術】
小型滑走艇として、艇体の後部にウォータージェット推進機を取付け、このウォータージェット推進機をエンジンで駆動することにより艇底から水を吸込み、吸込んだ水を後方に噴射して推進するジェット推進艇が知られている。
この小型滑走艇は艇底の中央に前後に延びるキール(船首から船尾まで延びた竜骨)を備える。
【0003】
図8は従来の小型滑走艇の断面図を示す。小型滑走艇100は、キール101を下方に突条に形成することにより、キール101を艇底102の中央から下方に比較的大きく突出させるように構成したものである。
キール101を下方に比較的大きく突出させることにより、艇小型滑走艇100を推進させる際の直進性を好適に保つことができる。
【0004】
しかし、キール101を下方に比較的大きく突出させると、例えば小型滑走艇100の滑走中において、小型滑走艇100が横波を受けた場合には、キール101が横波の影響を受け易い。このように、キール101が横波の影響を受けることで、小型滑走艇100が左右に取られてしまう。
【0005】
横波の影響を受けない小型滑走艇として、例えば特公平6−96397号公報「小型ジェット推進艇」が知られている。以下、この公報に示す第1図及び第4(A)を次図に再掲(但し、符号は振り直す。)して小型滑走艇について詳しく説明する。
【0006】
図9は従来の小型滑走艇のもう一つの例を示す断面図である。小型滑走艇110は、キール111を平坦に形成することにより、キール111を艇底112から下方に突出させないように構成したものである。
この小型滑走艇110によれば、小型滑走艇110の滑走中に横波を受けた場合でも、キール111は横波の影響を受けることは少ない。このため、小型滑走艇110が左右に取られることはない。
【0007】
図10は従来の小型滑走艇のもう一つの例を示す平面図である。小型滑走艇110の乗員115が操作ハンドル116を矢印bの如く操作することにより、艇体後部117のステアリングノズル(図示しない)をスイング移動させる。
これにより、ステアリングノズルから噴射している水ジェット118が矢印cの如く斜めに向いて小型滑走艇110を矢印の如く旋回させることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、横波の影響を受けないようにキール111を平坦に形成すると、小型滑走艇110を旋回させる際に、艇体は、横方向から水に押され内側に傾斜しようとするが、艇底が平坦に形成されていると艇体の傾き始めに平坦面が抵抗になり傾きにくくなってしまう。
このため、旋回の際の傾き始めに傾きやすくして、例えば自動二輪車のように自然な感覚で直進状態から旋回状態に移行させることができる小型滑走艇110の実用化が望まれていた。
【0009】
そこで、本発明の目的は、小型滑走艇の直進性を好適に確保つとともに、横波の影響を受けないようにし、さらに旋回時において艇体の傾き始めに傾きやすい小型滑走艇を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の請求項1は、艇体のデッキ中央に前後方向に延びる跨座式の座席を備え、この座席の前方に操作ハンドルを備え、前記座席の両側にフートデッキを形成し、前記艇体の船底中央に船首から船尾まで延びるキールを備え、このキールを円弧状に形成した小型滑走艇において、直進でスピードを上げると滑走状態となり、前記艇体の中心から後方の部位のみが水面と接し、前記艇体の中心から前方の部位は前記水面から離れた状態になる小型滑走艇であって、横波の影響を及び難くし、かつ前記艇体を旋回中心側にスムーズに傾けるために、前記艇体の中心から後方の部位において、前記艇体の前後方向に延びるキールの円弧中心を艇体の重心位置の高さに略合致させ、直進滑走時に大きな波の波切り性を高めるために、前記艇体の中心から前方の部位において、前記キールの円弧半径を前方に向けて漸次小さくしたことを特徴とする。
【0011】
艇体の中心から後方の部位においては、キールの円弧中心を艇体の重心位置の高さに略合致させることで、キールの円弧半径を大きく設定することができる。キールの円弧半径を大きくすることにより、キールが艇底から下方へ大きく突出しないようにできる。このように、キールの突出量を抑えることで、キールに横波の影響が及び難いようにして、横波の影響で艇体が左右に振られることを防ぐことができる。
【0012】
また、キールの円弧中心を艇体の重心位置の高さに略合致させることで、乗員が操舵操作をした際に、艇体が直進方向から旋回方向に向きを変え横方向から水に押され、艇体が旋回中心側に傾斜し始めるとき、艇体を重心位置の高さを中心に傾斜させることができるので、艇体は傾きやすい。
これにより、艇体を自然な動作でスムーズに旋回中心側に傾けることができるので、自動二輪車の操作感覚と同じ感覚で小型滑走艇を直進時の直立姿勢から旋回時の傾斜姿勢に移行させることができる。
【0013】
さらに、艇体の中心から前方の部位において、キールの円弧半径を前方に向けて漸次小さくした。
【0014】
艇体の中心から前方の部位においてキールの円弧半径を前方に向けて漸次小さくすることで、艇体の中心から前方の部位のキールを艇底から比較的大きく突出させることができる。
これにより、小型滑走艇を直進する際に、キールによる波切り性を向上させることができるので、小型滑走艇が滑走中に比較的大きな波を受けたとき、艇体が受ける衝撃を小さく抑えて乗り心地の向上を図ることができる。
特に、小型滑走艇は、直進でスピードを上げると滑走状態となり、艇体の中心から後方の部位のみが水面と接し、艇体の中心から前方の部位は水面から離れた状態になる。
この状態において、水面に小さな波がたっているときは、艇体の中心から後方の部位のみしか波に当たらないが、水面に大きな波が立つと艇体の中心から前方の部位にも波が当たるようになる。
艇体の中心から前方の部位はキールが艇底から比較的大きく突出しているので、大きな波が当たるほど波切り性がよく、大きな波から受ける衝撃を小さくでき乗り心地が向上する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。ここで、「前」、「後」、「左」、「右」は運転者から見た方向に従う。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る小型滑走艇の側面図である。
小型滑走艇10は、艇体11のデッキ中央12aに前後方向に延びる跨座式の座席14を備え、この座席14の前方に操作ハンドル15を備え、座席14の両側に左右のフートデッキ13,13(図4参照)を形成し、艇体11の内部に燃料タンク17を取付け、この燃料タンク17の後方にエンジン18を設け、このエンジン18の後方にジェット推進機室19を設け、このジェット推進機室19にウォータージェット推進機20を備え、このウォータージェット推進機20の後方にステアリングノズル21を備え、このステアリングノズル21の向きを操作ハンドル15で制御するように構成したウォータージェット推進艇である。
【0016】
この小型滑走艇10によれば、乗員が座席14に跨がり、左右の足をそれぞれ左右のフートデッキ13,13に載せ、左右の手で操作ハンドル15を握ることにより小型滑走艇を操縦する。
【0017】
乗員が操作ハンドル15を握った状態で、小型滑走艇10のエンジン18を駆動することにより、エンジン18の回転をドライブシャフト22を介してインペラ23に伝えることにより、インペラ23を回転することができる。
インペラ23が回転することにより、艇底30の吸込み口24から水を吸込み、吸込んだ水をステアリングノズル21から水ジェットとして後方に噴射する。ステアリングノズル21から水ジェットを後方に噴射することで、小型滑走艇10を推進することができる。
【0018】
図2は本発明に係る小型滑走艇の要部を示す要部拡大図である。
小型滑走艇10は、艇体11の船底(すなわち、艇底)30の幅方向の中央に船首31から船尾32まで延びるキール33を備えるとともにキール33を艇体の幅方向に円弧状に形成し、このキール33の左右側33a、33bから幅方向外側に延びる左右の傾斜面35,37と、左右の傾斜面35,37の外側35a,37aから略鉛直に延ばした左右の壁面41,43(右壁面43は図4に示す)とで構成したものである。
【0019】
キール33は艇尾32側に吸込み口24を備え、この吸込み口24に複数の格子部材25・・・(・・・は複数を示す)を設け、これらの格子部材25・・・の後方にライドプレート26を備える。
このライドプレート26で艇底30の開口30aを覆うことでジェット推進機室19の下方を塞ぐことができる。このジェット推進機室19にウォータージェット推進機20(図1に示す)を備え、ウォータージェット推進機20の(後端部)噴射ノズル20aにステアリングノズル21をスイング自在に取付ける。
【0020】
キール33の左右側33a,33bに備えた左右の傾斜面35,37は、これらの傾斜面35,37の内側(すなわち、キールの左右側)33a,33bにそれぞれ左右の内側チャイン(稜線)45,45を形成し、また左右の傾斜面35,37の中央にそれぞれ左右の中央チャイン46,46を形成し、さらに左右の傾斜面35,37の外側35a,37aにそれぞれ左右の外側チャイン47,47を形成する。
【0021】
左右の傾斜面35,37の外側35a,37aにはそれぞれ左右の壁面41,43を略鉛直に形成し、左右の壁面41,43後部にはそれぞれ左右のスポンソン42,44を備える。
左右のスポンソン42,44は、艇体1の旋回時に、艇体11が所定角度まで傾斜した際に抵抗となり、艇体11がそれ以上傾斜しようとするのを防ぐ働きをすると共に、旋回時の遠心力で艇体11が外側へスライドしようとするのを防ぐ働きをする。
【0022】
図3(a),(b)は本発明に係る小型滑走艇を構成するキールの形状について説明した図であり、(a)はキール33の円弧中心について説明した図である。また、(b)はキール33の円弧半径Rについて説明した図であり、縦軸をキールの円弧半径R、横軸を艇体の長さとし、キールの円弧半径Rをグラフg1で示す。なお、小型滑走艇10の重心位置Gは乗員を含んだ重心位置を示す。
【0023】
キール33は、船首31から船尾32まで帯状に延びるとともに、幅方向において円弧状に形成した部材である(図2も参照)。
このキール33は、艇体11の前後方向の中心Cから後方の部位(すなわち、艇体の後半部分)11aにおいて、キール33の円弧中心34を艇体11の重心位置Gの高さに略合致させ、艇体11の中心Cから前方の部位(すなわち、艇体の前半部分)11bにおいて、キール33の円弧半径R(以下、前半部分11b側のキールの円弧半径を「R2」として説明する)を前方に向けて漸次小さくした。
【0024】
艇体11の後半部分11aにおいて、キール33の円弧半径R(以下、後半部分11aのキールの円弧半径を「R1」として説明する)の中心34を、艇体11の重心位置Gの高さに略合致させた。これにより、キール22の円弧半径R1の中心を比較的高い位置に設定することができるので、円弧半径R1を大きくすることができる。
【0025】
後半部分11aのキール33の円弧半径R1を大きくすることにより、キール33が艇底30から下方へ大きく突出しないようにすることができる。キール33の突出量を抑えることで、キール33に横波の影響が及ばないようにして、艇体11が横波の影響で左右に振られてしまうことを防止できる。
【0026】
また、キール33を艇底30から下方へ大きく突出しないようにするとともに、キール33の円弧中心34を小型滑走艇10の重心位置Gの高さに略合致させた。よって、乗員50(図5参照)が操作ハンドル15を操舵操作をした際に、艇体11が直進方向から旋回方向に向きを変え横方向から水に押され、艇体11が旋回中心側に傾斜し始めるとき、艇体11を重心位置の高さを中心に傾斜させることができるので、艇体11は傾きやすい。
【0027】
これにより、小型滑走艇10を自然な動作でスムーズに旋回中心側に傾けることができるので、自動二輪車の操作感覚と同じ感覚で小型滑走艇10を直進時の直立姿勢から旋回時の傾斜姿勢に移行させることができる。
【0028】
艇体11の中心Cから前方の部位(すなわち、艇体の前半部分)11bにおいて、キール33の円弧半径R2を前方に向うに従って漸次小さくなるように設定した。これにより、前半部分11bのキール33を艇底30から比較的大きく突出させることができるので、小型滑走艇10を直進する際に、キール33による波切り性を向上させることができる。
【0029】
図4(a),(b)は本発明に係る図3の断面図であり、(a)はa−a線断面図、(b)はb−b線断面図である。
(a)は、艇体11の後半部分11aを示す。この艇体11は、下半部分をハル28で構成し、上半部分をデッキ12で構成したものである。
ハル28は、艇底30の中央をキール33で形成し、このキール33の裏面に浮体(発泡材)49を設け、キール33の左右側33a,33bから連続して艇体11の外側に向けて連続的にそれぞれ左右の傾斜面35,37を上り勾配に延ばし、それぞれの傾斜面35,37の裏面に浮体(発泡材)49・・・を設け、左右の傾斜面35,37の外側35a,37aからそれぞれ左右の壁面41,43を略鉛直に延ばし、それぞれの壁面41,43の裏面に浮体(発泡材)49,49を設けたものである。
【0030】
艇体の中央部から後半部分11aにおいて、キール33の円弧半径R1の中心34を、艇体11の重心位置Gの高さに略合致させた。これにより、キール33の円弧半径R1の中心34を比較的高い位置にすることができるので、円弧半径R1を大きく設定することができる。
キール33の円弧半径R1を大きくすることにより、キール33が艇底11から下方へ突出する突出量を、円弧半径の小さいキール55(想像線で示す)と比較して小さく抑えることができる。
【0031】
また、キール33の円弧中心34を艇体11の重心位置Gの高さに略合致させた。これにより、乗員50(図5参照)が操作ハンドル15を操舵操作をした際に、艇体11が直進方向から旋回方向に向きを変え横方向から水に押され、艇体11が旋回中心側に傾斜し始めるとき、艇体11を重心位置の高さを中心に傾斜させることで艇体11を旋回中心に向けて傾きやすくできる。
【0032】
(b)は、艇体11の前半部分11bにおいて、艇体11の中心C(図3に示す)から前方に向って漸次小さくなるように設定したキール33の円弧半径R2を示す。キール33の円弧半径R2を前方に向うに従って漸次小さくなるように設定することで、前半部分11bのキール33を艇底30から比較的大きく突出させることができる。これにより、小型滑走艇10を直進で滑走する際に、キール33による波切り性を向上させることができる。
【0033】
次に、小型滑走艇10の直進時の作用を図5に基づいて説明する。
図5(a),(b)は本発明に係る小型滑走艇を直進で滑走させる際の作用説明図である。以下、一例として二人乗りの小型滑走艇10を例に説明するが、本発明に係る小型滑走艇は二人乗りの艇に限るものではない。
(a)において、乗員50,50が座席14に跨がり、左右の足50a・・・をそれぞれ左右のフートデッキ13,13に載せ、左右の手50b・・・で操作ハンドル15を握って小型滑走艇10を操縦する。
【0034】
この状態で、操作ハンドル15を直進状態に保つことにより、ウォータージェット推進機20(図1に示す)の後端に取付けたステアリングノズル21から水ジェット51を矢印▲1▼の如く後方に向けて噴射する。この水ジェット51を噴射させることで小型滑走艇10を矢印の如く直進で滑走させる。
【0035】
(b)において、キール33の円弧半径R1を大きくしてキール33の突出量を抑えることで、キール33に横波の影響が及ばないようにすることができる。これにより、小型滑走艇10が横波の影響で左右に振られることを防止することができる。
【0036】
なお、小型滑走艇は直進でスピードを上げると滑走状態となり、艇体11の後半部分のみが水面と接し、艇体11の前半部分は水面から離れた状態になる。
水面に小さな波がたっているときは、艇体11の後半部分のみしか波に当たらないが、水面に大きな波が立つと艇体11の前部にも波が当たるようになる。艇体11の前半部分はキールの円弧半径を前方に向うに従って漸次小さくなるようにしたので、大きな波が当たる前半部分ほど波切り性がよく、大きな波から受ける衝撃を小さくでき乗り心地が向上する。
【0037】
次に、小型滑走艇10の旋回時の作用を図6〜図7に基づいて説明する。
図6(a),(b)は本発明に係る小型滑走艇を旋回させる際の第1作用説明図である。
(a)において、乗員50,50が座席14に跨がり、左右の足50a・・・をそれぞれ左右のフートデッキ13,13に載せ、左右の手50b,50bで操作ハンドル15を握って小型滑走艇10を操縦する。
この際に、乗員50が操作ハンドル15を矢印▲2▼の如く操作することにより、ステアリングノズル21をスイング移動させる。これにより、ステアリングノズル21から噴射している水ジェットの向きを矢印▲3▼の如く傾ける。
【0038】
(b)において、ステアリングノズル21から噴射している水ジェットの向きを矢印▲3▼((a)に示す)の如く傾けると同時に、乗員50(図5参照)が操作ハンドル15を旋回状態に操舵操作する。
ここで、キール33の円弧中心34を艇体11の重心位置Gの高さに略合致させているので、小型滑走艇10は重心位置Gを中心にして矢印▲4▼の如く傾く。
【0039】
図7(a),(b)は本発明に係る小型滑走艇を旋回させる際の第2作用説明図である。
(a)において、小型滑走艇10が重心位置Gを中心にして矢印▲4▼(図6(b)に示す)の如く傾き、小型滑走艇10を所定角θ1だけ傾斜させた状態に保つことにより、小型滑走艇10を好適に旋回させることができる。
【0040】
(b)は、小型滑走艇10を旋回する際に小型滑走艇10の傾斜時間を示すグラフである。このグラフg1から小型滑走艇10を傾斜開始時間(t1)から傾斜完了時間(t2)まである程度の時間Δtをかけて小型滑走艇10を傾斜させていることが判る。
【0041】
このことは、小型滑走艇10を旋回するために、乗員50が操舵し、艇体11が向きを変えて、艇体11の横方向から水で押され、艇体1が傾斜し始める動作が早く、その後キール33の左右側33a,33bから連続して艇体11の外側に向けて直線的に延びる左右の傾斜面35,37が抵抗になるので、小型滑走艇10をある程度の時間Δtをかけて傾斜させることができることを示している。
【0042】
これにより、乗員50の操舵状態に対応させて小型滑走艇10を傾斜させることができるので、小型滑走艇10を自然な動作でスムーズに旋回中心側に傾けることができる。
従って、自動二輪車の操作感覚と同じ感覚で小型滑走艇10を旋回させることが可能になり、小型滑走艇10を旋回する際の操作性を高めることができる。
【0043】
一方、艇底に図4(a)に想像線で示すキール55を形成した場合、キール55は艇底102の中央から下方に比較的大きく突出する。これにより、小型滑走艇10を旋回するために、乗員50が操作ハンドル15を操舵した際に、小型滑走艇10は艇体11が傾斜し始める動作が遅く、傾斜し始めると旋回中心側に急激に傾いてしまう。
【0044】
これにより、乗員50の操舵と艇体11の傾斜の動作にずれが生じるので、小型滑走艇10を自然な動作でスムーズに旋回中心側に傾けることはできない。
従って、自動二輪車の操作感覚と同じ感覚で小型滑走艇10を旋回させることは難しい。
【0045】
なお、前記実施形態では、二人乗りの小型滑走艇10について説明したが、これに限らないで、一人乗りや三人乗り等の小型滑走艇についても同様の効果を得ることができる。
また、前記実施形態では、小型滑走艇10としてウォータージェット推進機で推進するウォータージェット推進を例に説明したが、小型艇の推進手段はこれに限定するものではない。
【0046】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、艇体の中心から後方の部位において、キールの円弧中心を艇体の重心位置の高さに略合致させることで、キールの円弧半径を大きく設定することができる。キールの円弧半径を大きくすることにより、キールが艇底から下方へ大きく突出しないようにできる。
このように、キールの突出量を抑えることで、キールに横波の影響が及ばないようにでき、横波の影響で艇体が左右に振られることを防ぐことができる。
【0047】
また、キールを艇底から下方へ大きく突出しないようにするとともに、キールの円弧中心を艇体の重心位置の高さに略合致させたので、旋回の際に乗員が操舵すると、この操舵状態に対応させて艇体を旋回中心側に傾けることができる。
これにより、艇体を自然な動作でスムーズに旋回中心側に傾けることができるので、自動二輪車の操作感覚と同じように自然な感覚で小型滑走艇を旋回させることができる。
【0048】
さらに、艇体の中心から前方の部位においてキールの円弧半径を前方に向けて漸次小さくすることで、艇体の中心から前方の部位のキールを艇底から比較的大きく突出させることができる。
これにより、小型滑走艇を直進する際にキールによる波切り性を向上させることができるので、小型滑走艇の滑走中に、艇体に比較的大きな波を受けたときに、艇体が受ける衝撃を小さく抑えて乗り心地の向上を図ることができる。
特に、小型滑走艇は、直進でスピードを上げると滑走状態となり、艇体の中心から後方の部位のみが水面と接し、艇体の中心から前方の部位は水面から離れた状態になる。
この状態において、水面に小さな波がたっているときは、艇体の中心から後方の部位のみしか波に当たらないが、水面に大きな波が立つと艇体の中心から前方の部位にも波が当たるようになる。
艇体の中心から前方の部位はキールが艇底から比較的大きく突出しているので、大きな波が当たるほど波切り性がよく、大きな波から受ける衝撃を小さくでき乗り心地が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る小型滑走艇の側面図
【図2】本発明に係る小型滑走艇の要部を示す要部拡大図
【図3】本発明に係る小型滑走艇を構成するキールの形状について説明した図
【図4】本発明に係る図3の断面図
【図5】本発明に係る小型滑走艇を直進で滑走させる際の作用説明図
【図6】本発明に係る小型滑走艇を旋回させる際の第1作用説明図
【図7】本発明に係る小型滑走艇を旋回させる際の第2作用説明図
【図8】従来の小型滑走艇の断面図
【図9】従来の小型滑走艇のもう一つの例を示す断面図
【図10】従来の小型滑走艇のもう一つの例を示す平面図
【符号の説明】
10…小型滑走艇、11…艇体、11a…艇体の中心から後方の部位(後半部分)、11b…艇体の中心から前方の部位(前半部分)、12…デッキ、12a…デッキ中央、13…フートデッキ、14…座席、15…操作ハンドル、30…艇底、31…船首、32…船尾、33…キール、34…キールの円弧中心、35…左傾斜面、37…右傾斜面、C…艇体の中心、G…重心位置、R1,R2…キールの円弧半径。
Claims (1)
- 艇体のデッキ中央に前後方向に延びる跨座式の座席を備え、この座席
の前方に操作ハンドルを備え、前記座席の両側にフートデッキを形成し、前記艇体の船底
中央に船首から船尾まで延びるキールを備え、このキールを円弧状に形成した小型滑走艇
において、
直進でスピードを上げると滑走状態となり、前記艇体の中心から後方の部位のみが水面
と接し、前記艇体の中心から前方の部位は前記水面から離れた状態になる小型滑走艇であ
って、
横波の影響を及び難くし、かつ前記艇体を旋回中心側にスムーズに傾けるために、前記
艇体の中心から後方の部位において、前記艇体の前後方向に延びるキールの円弧中心を艇
体の重心位置の高さに略合致させ、
直進滑走時に大きな波の波切り性を高めるために、前記艇体の中心から前方の部位にお
いて、前記キールの円弧半径を前方に向けて漸次小さくしたことを特徴とする小型滑走艇
。
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