JP4205543B2 - 小型船 - Google Patents
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Description
この小型船は艇体の左右側壁に前後に延びるスポンソンを備える。(例えば、特許文献1参照。)。
図9は従来の基本構成を説明する図である。
小型船100は、艇体101の艇尾102にジェット推進機103を備え、左右の側壁104,105の後部にそれぞれ左右のスポンソン106,107を備える。
左右の側壁にスポンソン106,107を取り付けることで、左右のスポンソン106,107をそれぞれの側壁104,105から外側に張り出す。
小型船100が直進状態で滑走する際に、左右のスポンソン106,107の上部108,109が水面111から浮き上がり、左右のスポンソン106,107のそれぞれの滑走部112,113が水面111に接触する。
これにより、小型船100が滑走しているときの艇体表面積を大きく確保する。
(a)において、小型船100が直進状態で滑走中に、乗員115が操作ハンドル116を矢印a1の如く操作することにより、艇尾102のステアリングノズル117を矢印b1の如くスイング移動させる。
これにより、艇体101の艇尾102を右方向に矢印d1の如く移動させて、小型船100が左旋回を開始する。
この際に、小型船100が左側に傾いて、左のスポンソン106が水中に沈む。
このため、左のスポンソン106に対する横方向への水の抵抗が大きくなり、艇尾102の右方向への移動量を小さく抑える。
艇尾102の矢印d1への移動量を小さく抑え、小型船100を旋回軌跡119のように大きな円弧を描いて大回りに旋回させる。
そこで、小型船を多種の用途に好適に適用させるために、従来の小型船と比べて小さな円弧の旋回軌跡を描く旋回に適した小型船の実用化が望まれていた。
このように、スポンソンの傾斜部から水を離すことで、スポンソンに対する横方向への水の抵抗を小さく抑え、いわゆるスポンソンの水に対するグリップを適度に抑える。
よって、小型船を旋回させる際に、艇体の艇尾を旋回方向と反対側に比較的大きく移動させて、小型船を小さな円弧の旋回軌跡を描く旋回、すなわち小回りさせることができる。
そこで、請求項2において、傾斜部を上辺から下辺に向けて下り勾配に傾斜し、突起部を傾斜部の上辺から下辺に向けて後方へ延びるように形成した。
傾斜部を上辺から下辺に向けて下り勾配に傾斜することで、傾斜部で水を外側に向けて案内する。よって、傾斜部に沿って円滑に流すことができる。
このように、傾斜部に沿って水を円滑に流し、かつ突起部で水の流れを遮らないようにすることで、スポンソンの傾斜部に沿って流れる水を突起部で案内し、傾斜部から水を確実に離すことができる。
よって、小型船を旋回させる際に、艇体の艇尾を旋回方向と反対側に比較的大きく移動させて、小型船を小さな円弧の旋回軌跡を描く旋回、すなわち小回りさせることができる。
よって、後方の突起部でスポンソンの傾斜部に沿って流れる水を良好に案内して、傾斜部から水を確実に離すことができる。
これにより、小型船を旋回させる際に、艇体の艇尾を旋回方向と反対側に比較的大きく移動させて、小型船を小さな円弧の旋回軌跡を描く旋回、すなわち小回りさせることができる。
請求項2に係る発明では、傾斜部を下り勾配に傾斜し、かつ突起部を後方へ延びるように形成して傾斜部から水を確実に離すことで、小型船を小さな円弧の旋回軌跡を描く旋回をさせて、用途に応じた好適な旋回特性を得ることができるという利点がある。
図1は本発明に係る小型船の側面図である。
小型船10は、艇体11の前部12に燃料タンク13を取り付け、この燃料タンク13の上方に操舵ハンドル14を備え、この操舵ハンドル14の後方に鞍乗り式のシート15を備え、このシート15の下方にエンジン16を設け、このエンジン16後方の艇尾22に推進機室23を設け、この推進機室23にジェット推進機24を備えた小型推進艇である。
艇体11は、ハル25で艇底26側を形成し、このハル25にデッキ27を重ねたものである
エンジン16でインペラ31を回転することにより、艇底26の吸込口28から水を吸い込み、吸い込んだ水をハウジング29を通してジェット水としてステアリングノズル33に導く。
ステアリングノズル33に導いたジェット水を、ステアリングノズル33の後端部から噴射することにより小型船10を推進させる。
艇体11の艇底26側をハル25で形成し、ハル25を構成する左右の側壁35,36(右の側壁36は図7(a)参照)に、前後方向に延びる左右のスポンソン40,41(スポンソン)をそれぞれ取り付ける。右のスポンソン41は図6(b)、図7(a)に示す。
左右の側壁35,36にそれぞれ左右のスポンソン40,41を取り付けることで、左右のスポンソン40,41をそれぞれの側壁35,36から外側に張り出す。
また、図7(a)に示す右のスポンソン41は、左のスポンソン40と同様に、右の側壁36の後部36aのうちの、艇底26近傍の部位に、3本のボルト42…(図示せず)で取り付けた翼形の部材である。
このように、左右のスポンソン40,41の滑走部45,46を水面に接触させることにより、小型船10が滑走しているときの艇体表面積を大きく確保する。
なお、左右のスポンソン40,41は左右対称の部材なので、以下、左のスポンソン40について説明して右のスポンソン41の説明は省略する。
スポンソン40は、艇体11の前方から後方に延びるように形成し、かつ前端部43を先細状に形成した翼形の部材である。
このスポンソン40は、ハル25の左の側壁(側壁)35に当接する取付部47と、この取付部47の下辺48から略水平に張り出した滑走部45と、この滑走部45の側辺51から下方に膨出した膨出部52と、この膨出部52および取付部47の上辺49をつなぐ傾斜部53と、この傾斜部53の上辺54から下辺55まで突条に延ばした3本の突起部57…とを備え、傾斜部53に沿って流れる水を、それぞれの突起部57…で案内して傾斜部53から離すものである。
取付孔62…にボルト42…を差し込み、差し込んだボルト42…を左の側壁35の取付孔63…に差し込み、ハル25の裏側に突出したボルト42…にナット64…(図5も参照)を締め付けることにより、左の側壁35にスポンソン40を取り付ける。
ボルト42…およびナット64…は、スポンソン40を、ハル25の左の側壁35に取り付ける取付部材を構成する。
このように、スポンソン40を取り付けるボルト42…(取付部材)を避けて突起部57…を設けることで、突起部57…を設ける部位を、新たに設けることなく容易に確保できる。
この傾斜部53に、傾斜部53の上辺54から下辺55まで延ばした3本の突起部57…を備える。
突起部57…は、傾斜部53の表面56から所定高さH(図5も参照)で突出させた細い筋状の部位である。
突起部57の高さH、長さL、傾斜角θは、小型船10の旋回状態に合わせて適宜選択する。
よって、最前列の突起部57aの後方の突起部57,57でスポンソン40の傾斜部53に沿って流れる水を良好に案内して、傾斜部53から水を確実に離すことができる。
スポンソン40をボルト42でハル25の左の側壁35に取り付ける。小型船10が左旋回することにより、スポンソン40が水中に沈む。この際に、水が矢印aの如く流れ、水を突起部57…(最前列の突起部57aを含む)で案内して傾斜部53の表面56から浮き上がらせる。
よって、突起部57…の後方部位に、小さな渦流からなる剥離層65…ができ、剥離層65…において水を傾斜部53の表面56から離すことができる。
よって、小型船10を旋回させる際に、艇体11の艇尾22(図2参照)後部を旋回側と反対側に比較的大きく移動させて、小型船10を小さな円弧の旋回軌跡を描く旋回、すなわち小回りさせることができる。
そこで、傾斜部53を上辺54から下辺55に向けて下り勾配に傾斜し、突起部57…(最前列の突起部57aを含む)を傾斜部53の上辺54から下辺55に向けて後方へ延びるように形成した。
傾斜部53を上辺54から下辺55に向けて下り勾配に傾斜することで、傾斜部53で水を外側に向けて案内する。よって、傾斜部53に沿って円滑に流すことができる。
このように、傾斜部53に沿って水を円滑に流し、かつ突起部57…で水の流れを遮らないようにすることで、スポンソン40の傾斜部53に沿って流れる水を突起部57…で案内し、傾斜部53から水を確実に離すことができる。
よって、小型船10を旋回させる際に、艇体11の艇尾22(図2参照)を旋回方向と反対側に比較的大きく移動させて、小型船10を小さな円弧の旋回軌跡を描く旋回、すなわち小回りさせることができる。
傾斜部53に凹部61…を備え、凹部61…の底部、すなわち取付部47に取付孔62…を備える。
取付孔62…にボルト42…を差し込み、差し込んだボルト42…を左の側壁35の取付孔63…に差し込み、左の側壁35の裏側に突出したボルト42…にナット64…を締め付けることにより、左の側壁35にスポンソン40を取り付ける。
これにより、スポンソン40の滑走部45および傾斜部53を左の側壁35から外側に張り出す。
左の側壁35から張り出した傾斜部53の上辺54から下辺55まで3本の突起部57…(図3、図4も参照)を延ばす。
図6(a),(b)は本発明に係る小型船を滑走した状態を説明する図である。
(a)において、小型船10のジェット推進機24をエンジン16(図1参照)で駆動して艇底26の吸込口28から水68を吸い込み、吸い込んだ水をステアリングノズル33から水ジェット69として矢印bの如く後方に噴射する。
水ジェット69の噴射で、小型船10が直進状態で滑走する。
このように、左右のスポンソン40,41の滑走部45,46を水面に接触させることにより、小型船10が滑走しているときの艇体表面積を大きく確保する。
(a)において、ステアリングノズル33をスイング移動して左側に向けることにより、ステアリングノズル33から水ジェット69を矢印eの如く左側後方に噴射する。
これにより、小型船10の艇尾22が矢印fの如く移動して左旋回を開始する。この際に、小型船は旋回する側、すなわち左側に傾き、左のスポンソン40が水中に沈む。
よって、突起部57…の後方部位に剥離層65…ができ、剥離層65…において水68を傾斜部53の表面56から離す。
このように、スポンソン40の傾斜部53から水を離すことで、スポンソン40に対する横方向への水68の抵抗を小さく抑え、いわゆるスポンソン40の水に対するグリップを適度に抑える。
(a)において、スポンソン40に対する横方向への水68の抵抗を小さく抑えることにより、水ジェット69の噴射力で、艇体11の艇尾22を旋回側と反対側に矢印hの如く比較的大きく移動させる。
艇体11の艇尾22を矢印hの如く移動させることで、艇体11の艇首38が矢印iの如く移動する。
よって、小型船10に小回りが要求される用途に好適に適用することができる。
このため、スポンソンに対する横方向への水の抵抗が大きくなり、いわゆるスポンソンの水に対するグリップが増加する。
よって、艇尾の移動量を小さく抑えて小型船を大きな円弧を描いて大回りに旋回させる。これにより、小型船に大回りが要求される用途に好適に適用することができる。
さらに、突起部57の形状は実施の形態の例に限定するものではなく、適宜の変更が可能である。要は、スポンソン40の傾斜部53から水を離すことが可能な形状であればよい。
Claims (4)
- 艇体を構成する左右の側壁に、前後方向に延びるスポンソンをそれぞれ取り付けた小型船において、
前記スポンソンは、前記側壁に当接する取付部と、
この取付部の下辺から略水平に張り出した滑走部と、
この滑走部の側辺および前記取付部の上辺をつなぐ傾斜部と、
この傾斜部から上方へ突出した突起部とを備え、
前記傾斜部に沿って流れる水を、前記突起部で案内して傾斜部から離すことを特徴とする小型船。 - 前記傾斜部を上辺から下辺に向けて下り勾配に傾斜し、前記突起部を傾斜部の上辺から下辺に向けて後方へ延びるよう突条に形成したことを特徴とする請求項1記載の小型船。
- 前記スポンソンをボルトなどの取付部材で前記側壁に取り付け、この取付部材を避けて前記突起部を設けたことを特徴とする請求項1記載の小型船。
- 前記突起部を前記スポンソンの前端部と後端部との間に複数個設け、これら複数の突起部のうち、最前列に配置し、かつスポンソンの前端部に設けた突起部を、その他の突起部より小さく形成したことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の小型船。
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