JP5030524B2 - レーザアニール方法及びレーザアニール装置 - Google Patents
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Description
先行出願1の発明では、矩形状ビームの短軸方向のエネルギープロファイルを均一化し、これによりエネルギープロファイルをガウシアン形状からフラットトップ形状に変形する。このようにエネルギープロファイルを変形することにより、従来と同様の投入パワーであっても結晶粒の増大に寄与する「有効エネルギー領域」を増大させることができるので、a−Si膜に照射される有効エネルギー範囲も広くなり、その分、基板の搬送速度を速めることができる。また、矩形状ビームの短軸方向のエネルギー分布が均一化されるため、結晶の一方向成長が起こらないので、等方的かつ均一な結晶粒を製作することができる。
(a)は比較的小さな結晶粒と大きな結晶粒が存在する組織を模式的に示している。(b)に示すように、この組織に、あるエネルギー密度のパルスレーザ光を照射すると、小さな結晶粒が溶融してなくなり、大きな結晶粒が溶け残る。そして(c)に示すように、パルスレーザ光の照射後には、溶融部分が固化し再結晶化することにより、結晶粒が成長する。以下、本明細書では、このような結晶粒の成長プロセスを「溶融・再結晶化プロセス」と定義する。
すなわち、本発明は、パルスレーザ光を非単結晶半導体膜の表面において矩形状ビームに集光し、該矩形状ビームを照射領域が部分的に重複するように非単結晶半導体膜に対して短軸方向に相対的に走査し、前記非単結晶半導体膜を改質するレーザアニール方法において、短軸方向に走査される矩形状ビームが重複して照射される各部分に対して、溶融及び再結晶化による粒径の増大が生じるエネルギー密度のレーザ光が照射されるように、前記矩形状ビームの短軸方向のエネルギープロファイルを調整する、ことを特徴とする。
また、本発明は、パルスレーザ光を出射するレーザ光源と、前記パルスレーザ光を整形して非単結晶半導体膜の表面において矩形状ビームに集光する光学系と、前記矩形状ビームをその照射領域が部分的に重複するように前記非単結晶半導体膜に対して短軸方向に相対的に走査する走査手段とを備え、前記非単結晶半導体膜を改質するレーザアニール装置において、前記光学系は、短軸方向に走査される矩形状ビームが重複して照射される各部分に対して、溶融及び再結晶化による粒径の増大が生じるエネルギー密度のレーザ光が照射されるように、前記矩形状ビームの短軸方向のエネルギープロファイルを調整する、ことを特徴とする。
なお、上記「矩形状ビーム」には、視覚的には線状のビームであっても、細長い矩形状ビームとして、これに含まれる。
また、エネルギー密度がビーム走査方向前方から後方に向って連続的又は段階的に増大するので、被照射面における特定の位置に着目したとき、レーザ光が照射されてその位置の結晶粒が増大するにつれて照射されるレーザ光のエネルギー密度も増大する。後述するように、平均結晶粒径が大きくなるにつれて溶融・再成長プロセスが可能なエネルギー範囲が高くなるので、本発明のエネルギープロファイルによって、溶融・再結晶化プロセスが結晶粒径に対して飽和することがなく、パルスレーザ光の照射回数に応じて所望の結晶粒径まで成長させることができる。
したがって、キャリア移動度の高い良質な薄膜トランジスタ(TFT)を製作することができる。
また、シリンドリカルレンズアレイに入射するパルスレーザ光の中心軸が、シリンドリカルレンズアレイ及び集光光学系の光軸から矩形状ビームの短軸方向に所定距離シフトしているので、矩形状ビームのエネルギープロファイルを、エネルギー密度がビーム走査方向前方から後方に向って増大するように調整することができる。
図1に示すように、ある結晶粒径に対して溶融・再結晶化プロセスを生じる閾値が決まっており、この閾値によって規定される溶融・再結晶化ラインよりも下側の領域では、レーザ光を照射しても結晶粒が全く溶融しないため、溶融・再結晶化プロセスが生じない。また、ある結晶粒径に対して全溶融する閾値が決まっており、この閾値によって規定される全溶融ラインよりも上側の領域では、レーザ光を照射すると相対的に大きな結晶粒も小さな結晶粒も全て溶融するため、溶融・再結晶化プロセスが生じない。
したがって、溶融・再結晶化ラインと全溶融ラインの間の領域で、結晶粒径が増大する溶融・再結晶化プロセスが生じる。以下、この領域を溶融・再結晶化領域と呼ぶ。
上述したように、レーザアニールでは、パルスレーザ光を非単結晶半導体膜の表面(被照射面)において矩形状ビームに集光し、矩形状ビームを照射領域が部分的に重複するように非単結晶半導体膜に対して短軸方向に相対的に走査する。本発明では、矩形状ビームの短軸方向のエネルギープロファイルを、図2に示すようなプロファイルに調整する。
したがって、本発明のエネルギープロファイルによって、溶融・再結晶化プロセスが結晶粒径に対して飽和することがなく、パルスレーザ光の照射回数に応じて所望の結晶粒径まで成長させることができる。
これに対し、図3に示すように、照射回数の増大に応じてエネルギー密度を上げていけば、結晶粒径の増大が飽和せず、パルスレーザ光の照射回数に応じて所望の結晶粒径まで成長させることができる。なお、図3において、白丸印は、レーザ照射を行なう各ポイントであり、各白丸印に付記された数字は何回目の照射回数であるかを示している。図4は、その照射回数と平均結晶粒径の関係を示している。
X方向干渉低減光学系18は、複数の透明ガラス板18aからなる。各透明ガラス板の幅(X方向寸法)はX方向シリンドリカルレンズアレイ20の個々のレンズ幅(X方向寸法)と同一であり、各透明ガラス板18aはレーザ光1のコヒーレント長よりも長い所定の長さだけ光軸方向の長さが異なるものがX方向に配列されている。このX方向干渉低減光学系18により、各透明ガラス板18aを通過したレーザ光1の光路はガラスの長さ分だけ長くなるため、それぞれのレーザ光1はコヒーレント長より長い距離の光路差が生じ、コヒーレント性の影響がなくなり、互いに干渉しなくなる。
この矩形状ビームは、上記のX方向シリンドリカルレンズアレイ20及びX方向集光レンズ22を通過することにより長軸方向のエネルギー分布が均一化される。
このようにシフトさせることで、矩形状ビームの短軸方向のエネルギープロファイルを、図2に示したように、エネルギー密度がビーム走査方向前方から後方に向って増大する領域を含むように調整することができる。
なお、図8に示すように、Y方向シリンドリカルレンズアレイ26に入射するパルスレーザ光1の中心軸からのシフト方向に対して、エネルギー密度の増大方向は矩形状ビームの短軸方向に対して逆方向に現われる。
また、矩形状ビームのエネルギープロファイルは、エネルギー密度がビーム走査方向前方から後方に向って増大する領域を含むので、溶融・再結晶化プロセスが結晶粒径に対して飽和すことがなく、パルスレーザ光の照射回数に応じて所望の結晶粒径まで成長させることができる。
また、X方向干渉低減光学系18及びY方向干渉低減光学系24は、本発明の実施に際し必須の構成ではないが、このような干渉低減光学系を用いることにより、コヒーレント性の高い固体レーザ光1を用いる場合でも干渉作用を低減して均一に照射することができる。また、X方向干渉低減光学系18及びY方向干渉低減光学系24は、他の公知の構成を採用してもよく、たとえば、特開2002−321081号公報に記載された構成や、特開2004−341299号公報の図4に記載された構成を採用してもよい。
また、他の非単結晶半導体膜(例えば、非晶質シリコンゲルマニウム膜などの非晶質構造を有する化合物半導体膜)を対象としてもよい。
3 基板
4 走査手段
5 基板ステージ
10 レーザアニール装置
12 レーザ光源
13 光学系
14 ビームエキスパンダ
15 凹球面レンズ
16 凸球面レンズ
18 X方向干渉低減光学系
20 X方向シリンドリカルレンズアレイ
22 X方向集光レンズ
24 Y方向干渉低減光学系
26 Y方向シリンドリカルレンズアレイ
28 Y方向集光レンズ(集光光学系)
Claims (5)
- パルスレーザ光を非単結晶半導体膜の表面において矩形状ビームに集光し、該矩形状ビームを照射領域が部分的に重複するように前記非単結晶半導体膜に対して短軸方向に相対的に走査し、前記非単結晶半導体膜を改質するレーザアニール方法であって、
短軸方向に走査される前記矩形状ビームが重複して照射される各部分に対して、溶融・再結晶化プロセスによる粒径の増大が生じるエネルギー密度のレーザ光が照射されるように、前記矩形状ビームの短軸方向のエネルギープロファイルをガウシアン形状と比較して短軸方向に均一化し、前記エネルギープロファイルの上面は、エネルギー密度がビーム走査方向前方から後方に向かってレーザ照射を受ける結晶粒の平均結晶粒径の変化に応じて溶融・再結晶化領域の範囲内となるように連続的に増大するように調整することを特徴とするレーザアニール方法。 - 前記非単結晶半導体膜はアモルファスシリコン膜又は多結晶シリコン膜であることを特徴とする請求項1記載のレーザアニール方法。
- パルスレーザ光を出射するレーザ光源と、前記パルスレーザ光を整形して非単結晶半導体膜の表面において矩形状ビームに集光する光学系と、前記矩形状ビームをその照射領域が部分的に重複するように前記非単結晶半導体膜に対して短軸方向に相対的に走査する走査手段とを備え、前記非単結晶半導体膜を改質するレーザアニール装置であって、
前記光学系は、短軸方向に走査される前記矩形状ビームが重複して照射される各部分に対して、溶融・再結晶化プロセスによる粒径の増大が生じるエネルギー密度のレーザ光が照射されるように、前記矩形状ビームの短軸方向のエネルギープロファイルをガウシアン形状と比較して短軸方向に均一化し、前記エネルギープロファイルの上面は、エネルギー密度がビーム走査方向前方から後方に向かってレーザ照射を受ける結晶粒の平均結晶粒径の変化に応じて溶融・再結晶化領域の範囲内となるように連続的に増大するように調整することを特徴とするレーザアニール装置。 - 前記光学系は、前記パルスレーザ光を前記矩形状ビームの短軸方向に複数に分割するシリンドリカルレンズアレイと、該シリンドリカルレンズアレイからの出射光を前記非単結晶半導体膜の表面において矩形状ビームの短軸方向に集光する集光光学系とを有し、
前記シリンドリカルレンズアレイに入射する前記パルスレーザ光の中心軸が、前記シリンドリカルレンズアレイ及び前記集光光学系の光軸から前記矩形状ビームの短軸方向に所定距離シフトしていることを特徴とする請求項3記載のレーザアニール装置。 - 前記レーザ光源は、Nd:YAGレーザ、Nd:YLFレーザ、Nd:YVO4レーザ、Nd:ガラスレーザ、Yb:YAGレーザ、Yb:YLFレーザ、Yb:YVO4レーザ、Yb:ガラスレーザのいずれかである、ことを特徴とする請求項3または4に記載のレーザアニール装置。
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