JP5029243B2 - インキ組成物及びそれを用いた転写シート並びにそれを使用した情報記録媒体 - Google Patents

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Description

本発明は、通常の塗工機において、強靭性に優れる酢酸セルロース樹脂を保護層として使用可能とするためのアンカー層用のインキ組成物(アンカー剤)及びそれを用いた転写シート並びにそれを使用した情報記録媒体に関する。
従来、情報記録媒体であるクレジットカード、キャシュカードに代表されるカード型情報記録媒体は広く利用されている。これらは、一般的に白色の塩化ビニル樹脂をコア材として用い、この両面もしくは片面に、所定の磁気テープを所定位置に貼付した透明な塩化ビニル樹脂シートを重ねて加熱加圧プレスしたものを基材として用いたものである。
欧州や米国では白色のコア材に印刷を施し、後に透明シートをプレスする構成をとっている。しかし日本国内では、JIS−II規格特有の構成を有し、これら諸外国と同様の構成のカードの他に、透明シートをプレス接着した後に、表面にデザイン等の絵柄印刷を施す構成のカードも使用されている。これは、日本国内のみで通用するJIS規格の磁気テープがカードおもて面に付与されているためである。
すなわち、諸外国ではカードおもて面に磁気テープがないため、印刷はシートの内側でかまわないが、日本では前述のJIS−II規格特有の構成でカードおもて面に磁気テープを使用し、磁気情報の記録消去を行う必要があるため、この磁気テープが基材の最表層付近になければならず、結果として透明シートの外側に磁気テープを設けることになる。したがって、デザイン上でこの磁気テープを隠蔽するための印刷を透明シートの外側に施すことになるのである。 この透明シートの外側に印刷を施すカードをオーバープリントカード(以下、OPカード)と呼ぶことにする。
OPカードの作成手順は次の通りである。白色塩化ビニルコアの両面に、あらかじめ所定位置に磁気テープを貼付した透明塩化ビニルシートを重ね、加熱加圧プレスしてカード基材を得る。その後、磁気テープを隠すための隠蔽層、デザインのための印刷層、印刷面を保護するための保護層が設けられ、表面を平らにするためのプレスを再度行ってカード形状に打ち抜き、必要に応じて設けられるホログラムの箔転写、サインパネル転写及びエンボス工程を経て、OPカードとなる。
その際、磁気テープの磁気情報の読み取りの問題で磁気テープ上に設けられる樹脂層の厚みは、隠蔽層、印刷層、保護層を含め10μm程度であり、特に保護層は1〜4μm程度しか設けることができないという制限がある。
このように、印刷層が透明シートの内側にあって十分に保護されている諸外国のカードとは異なり、日本のOPカードの耐性は非常に薄い保護層のみによって保たれており、磁気情報の読み書き時における金属製の磁気ヘッドでの擦りに耐えうる必要がある。
この保護層を設ける方法としてはいくつか考えられ、従来はグラビア塗工系の方式とスクリーン印刷系の方式、さらにオフセット印刷系等の印刷方式であったが、近年では転写箔を用いて印刷層の上に保護層を設ける手法が提案されている。
従来は、アクリル樹脂を代表とする熱可塑性樹脂が用いられてきたが、十分な耐摩耗性が得られず、最近では紫外線あるいは放射線硬化樹脂やフッ素樹脂、シリコン樹脂を利用
した熱硬化型樹脂を用いた保護層転写フィルムが提案されるようになってきた。(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
しかしながら、これらの樹脂系では、後加工であるエンボス加工により、例えば店番号や口座番号等の識別情報が付与されるため、そのエンボス加工時の衝撃で隠蔽層、印刷層、保護層に亀裂が生じやすいという問題や、後加工にてクレジット会社固有のホログラムを転写接着させようとした際に、接着しにくいという問題が生じる。上述したような読み取り時における摩擦耐久性とエンボス加工時の耐衝撃性、ホログラム加工時における耐衝撃性や接着性を同時に満足し得るものが切望されている。
このような保護層としての性能を満たす樹脂として、酢酸セルロースがある。これは、セルロースをアセチル化してさまざまな溶剤への溶解性を高めたものであり、その塗膜は高い強靭性を持っている。また、天然由来の材料でもあることから環境負荷が小さい材料として注目されている。
しかしながら、一般に、酢酸セルロース樹脂は他の樹脂と積層する場合には、150℃程度以上の高温で焼き付けるなどして、感熱接着剤的な使用がなされている。例えば、基材層上に酢酸セルロース樹脂からなる保護層、アンカー層、接着層を順次積層した転写シートを作成しようとした場合には、アンカー層を塗工する際に、上記の温度をかけて保護層との密着性を向上させる方法がとられている。
しかしながら、この方法はどのような塗工機でも可能なわけではなく、高温をかけることができる上で、特殊なテンション制御が可能な塗工機以外では不可能である。紙面上で60℃前後から100℃程度までしかかけられない通常の塗工機でも使用可能なアンカー層を形成するためのインキ組成物(アンカー剤)の登場が期待されている。
以下に先行技術文献を示す。
特開平4−4200号公報 特開2005−319701号公報
本発明は、このような従来技術の問題点を解決しようとするものであり、通常の塗工機において酢酸セルロース樹脂を保護層として使用可能とするためのインキ組成物(アンカー剤)及びそれを用いた転写シート並びにそれを使用した情報記録媒体を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、本発明の請求項1に係る発明は、水酸基価が0.5mgKOH/g以上のアクリル変性されたウレタン樹脂及びヘキサメチレンジイソシアネートを固形分重量比率として42:25乃至42:35で混合してなることを特徴とするインキ組成物である。
本発明の請求項2に係る発明は、基材(2)上に、重合度140以上170未満かつ酢化度53以上60以下の酢酸セルロース樹脂を主体とする剥離性を有する保護層(3)、請求項1記載のインキ組成物からなるアンカー層(4)、非転写物との密着性を保持するための接着層(5)を順次設けてなる転写層(16)を有することを特徴とする転写シートである。
本発明の請求項3に係る発明は、少なくとも基材(12)片面の少なくとも一部に設け
られた情報記録層(13)上に、隠蔽層(14)、絵柄印刷層(15)を順次積層し、さらに請求項2記載の転写シートの転写層(16)を転写してなることを特徴とする情報記録媒体である。
本発明に係るインキ組成物は、水酸基価が0.5mgKOH/g以上のアクリル変性されたウレタン樹脂及びヘキサメチレンジイソシアネートを固形分重量比率として42:25乃至42:35で混合してなることにより、通常の塗工機において酢酸セルロース樹脂を保護層として使用可能となる。また、電離放射線硬化型の樹脂を用いなくとも、酢酸セルロース系樹脂を十分に密着させることができ、優れた強靭性、耐摩耗性を有する転写シート(フィルム)を得ることが可能となる。さらに、この転写シート(フィルム)を用いることにより、リーダー・ライターでの読み取り時における摩擦耐久性の向上による長期間の使用と識別情報等のエンボス加工時の耐衝撃性の向上、さらにセキュリティ確保のためのホログラム加工時における耐衝撃性や接着性を同時に満足し得る本発明の情報記録媒体を容易に作製可能になる。
本発明の実施の形態を図1〜図2に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係る転写シートの層構成の1実施例を示す側断面図であり、図2は本発明に係る情報記録媒体の層構成の1実施例を示す側断面図である。
本発明に係る転写シートは、図1に示すように、基材(2)上に、重合度140以上170未満かつ酢化度53以上60以下の酢酸セルロース樹脂を主体とする剥離性を有する強靭な保護層(3)、該保護層(3)と接着層(5)との密着性を向上させるためのインキ組成物からなるアンカー層(4)、非転写物との密着性を保持するための接着層(5)が順次設けられてなる転写層(16)を有している。
前記保護層(3)は、リーダー・ライターの読み取り時における摩擦耐久性、エンボス加工時の耐衝撃性、ホログラム加工時における耐衝撃性や接着性を同時に満足し得る性能を有している。また、図2に示すような、情報記録媒体において、基材(12)片面の少なくとも一部に設けられた情報記録層(13)上に、隠蔽層(14)、絵柄印刷層(15)を順次積層し、さらに前記転写シートの転写層(16)を容易に転写することができるように剥離層の機能も兼ね備えている。
本発明に係るインキ組成物は、前記アンカー層(4)として用いられるものであり、水酸基価が0.5mgKOH/g以上のアクリル変性されたウレタン樹脂及びヘキサメチレンジイソシアネートを固形分重量比率42:25乃至42:35で混合して構成されている。
前記酢酸セルロースには、ウレタン系樹脂が密着しやすく、実際に発明者の実験においてもガラス転移点−40℃前後のポリエステルポリオール樹脂であれば密着する場合が多い。しかし、これはいわゆる粘着剤との密着であり、この層の弱さによって酢酸セルロースの強さが生かされないため、無意味である。酢酸セルロースの強靭さを生かすためには、アンカー層(4)にも強度が必要である。
そこで鋭意実験を重ねた結果、アクリル変性されたウレタン樹脂を用い、イソシアネート硬化剤を併用して熱硬化型のアンカーとすることで、適度な硬さを有した上で、焼付けを行わなくても酢酸セルロースとの良好な密着を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
ウレタン樹脂のアクリル変性度は、樹脂の重量分として20〜80%程度が効果的である。また、イソシアネート硬化剤と反応する水酸基は、水酸基価として0.5mgKOH/g以上を有するものが必要である。これ未満では、イソシアネートとの反応性が低すぎ、塗膜としての強度及びイソシアネートが橋かけとなって構成される、酢酸セルロースとアンカー層(4)との間の結合がほとんどなく、結果として必要な密着性が得られない。
イソシアネート硬化剤としては、反応が遅いヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。キシリレンジイソシアネートやトリレンジイソシアネートのような反応性が高い硬化剤では必要な密着性は得られなかった。これは、反応性が高すぎるために内部で反応が進んでしまい、酢酸セルロースとの反応が行われにくいためではないかと考えられる。
アクリル変性ポリウレタン樹脂とイソシアネート硬化剤の割合は、重量比で42:25〜42:35が好ましい。これを超えてもこれ未満でも密着性は低下する傾向がある。
上記のように構成されたインキ組成物を適切な溶剤でインキ化し、コーティング用インキもしくは印刷インキとして使用することができる。溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族類等が適宜使用可能である。
次に、かかるインキ組成物を使用して構成した転写シートについて説明する。先述の図1がこの側断面図である。
基材(2)としては、従来公知の材料が使用可能である。中でも、厚みが安定しており、かつ耐熱性の高いポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用いるのが一般的であるが、これに限るものではない。その他の材料としては、ポリエチレンナフタレート樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム等が耐熱性の高いフィルムとして知られており、同様の目的で使用することが可能である。また、他のフィルム、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、耐熱塩化ビニル等の材料でも、塗液の塗工条件、さらに言えば乾燥条件が許せば使用可能である。
また、転写条件等により保護層(3)の剥離が困難である場合には、支持体側に別途従来既知の離形層を設けても良く、剥離が軽すぎる場合には同様に従来既知の易接着処理を行って剥離を調整しても良い。また、転写層への影響が無い限りは、帯電防止処理やマット加工、エンボス処理等の加工も何ら問題は無い。
保護層(3)は酢酸セルロースを主体とする層である。使用する酢酸セルロースは、重合度140以上170未満かつ酢化度53以上60以下の酢酸セルロース樹脂である。酢化度が53以上60以下のいわゆるジアセテートを使用する。また、重合度が140未満では樹脂の強靭性が劣るためメリットが少なく、また170以上であると本発明のインキ組成物を使用しても良好な密着は得られない。
保護層(3)には酢酸セルロース以外にも、耐性向上のための添加剤を入れることができる。例えば、滑り性向上のためにワックス類を添加しても一向に差し支えない。
保護層(3)を形成するにあたっては、適切な溶剤で溶解し、インキとして使用する。使用可能な溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類、蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル等のエステル類、ニトロメタン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の含窒素化合物、メチルグリコールアセテート等のグリコール類、テト
ラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル類、塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロルエタン等のハロゲン化炭化水素類がある。
保護層(3)を設けるための方法としては、グラビアコート法、リバースグラビアコート法、マイクログラビアコート法、ロールコート法等、従来公知の塗工方法をとることができる。設ける際の塗工厚は、乾燥厚みで0.05〜10μm、好ましくは0.1から2μmである。
アンカー層(4)を設ける方法としては、保護層(3)を設ける方法と同様の方法が使用可能である。塗工厚みとしては、0.05〜10μm、好ましくは0.1〜2μmである。
アンカー層(4)を設ける際の乾燥条件は、使用している溶剤が乾燥する条件で適宜選択することができる。例えば、60〜120℃程度の範囲で操作しやすい条件で設定して差し支えない。
アンカー層(4)を設けた後、転写工程の前までのいずれかでエージングが必要である。これは、アンカー層(4)中のアクリル変性ポリウレタン中の水酸基とイソシアネート硬化剤、さらには保護層(3)中の酢酸セルロース中の残存水酸基を反応させるためである。エージング条件としては、40〜60℃で1〜2週間程度が良い。可能であれば、さらに高い温度に設定することで、より短い時間に設定することができる。
接着層(5)はアンカー層(4)と被転写材を良好に密着させるためのもので、アンカー層(4)がそのまま被転写材と密着する場合には不要であるが、図1中にはいちおう示した。材料は両者を接着させる材料を適宜選択すればよく、塗工厚も適宜選択可能である。材料としては、例えばウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂等を単独、あるいは混合して用いることができる。
次に、上記のようにして得られた転写シート(1)を用いて作製された情報記録媒体について説明する。図2はその断面図である。
情報記録媒体(11)は、少なくとも基材(12)片面の少なくとも一部の表面上に情報記録層(13)が基材(12)表面と面一に埋め込まれている。その上に、隠蔽層(14)、絵柄印刷層(15)が順次形成され、さらにその上に図1の転写シートから転写された転写層(16)が形成されている。
基材(12)はクレジットカードやキャッシュカードを想定した場合には、ほとんど塩化ビニルもしくはPETGが用いられている。JIS規格によれば、その厚みは0.76mm前後と定められている。これ以外のカードに使用する場合には、これにこだわることなく従来公知の適切な材料と厚みで対応して差し支えない。
情報記録層(13)は、通常はJIS−II型の保磁力約52KA/mの磁気テープが使用される。隠蔽層(14)は、この情報記録層(13)を隠蔽するために設けられるもので、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、あるいはロールコート法等の印刷方式でアルミペーストを1〜10μm程度、好ましくは2〜6μmの厚みで形成される。
絵柄印刷層(15)は、情報記録媒体(11)のデザインそのものを表現する層であって、オフセット印刷法やスクリーン印刷法で設けることができる。この上に、図1の転写シート(1)の転写層(16)を熱的に転写して全体としての保護層を設ける。
転写については、転写シート(1)の転写面(転写層(16)の接着層(5)側)を情報記録媒体(11)の絵柄印刷層(15)に重ねて、平プレスやロールプレスの従来公知の加熱加圧方法を用いて転写シート(1)の接着層(5)を十分に軟化させるとともに圧着した後、転写シート(1)側の基材(2)を除去する方法がある。
本発明を、具体的な実施例をあげて詳細に説明する。尚、実施例中、「部」または「%」である場合は、特に断りのない限り質量基準である。
<実施例1>
図1に示すように、厚み25μmの透明ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムから成る基材(2)に以下の組成の保護層(3)をグラビア法にて0.5μm塗布し、次いで、アンカー層(4)を0.5μm、さらに接着層(5)を0.5μm設けた。次に、塗布品を60℃にて7日間エージングを行い、本発明の情報記録媒体を容易に製造する転写シート(フィルム)(1)を作製した。
〔保護層〕
酢酸セルロース樹脂L−20(ダイセル化学工業(株)製) 5重量部
メチルエチルケトン 76重量部
ジメチルアセトアミド 19重量部
ポリエチレンWAX 0.25重量部
〔アンカー層〕
アクリル変性ポリウレタン樹脂IB−582(三洋化成工業(株)製) 21重量部
(固形分42%)
イソシアネート硬化剤E402−90T(旭化成(株)製) 7重量部
(固形分90%)
メチルエチルケトン 14重量部
トルエン 14重量部
〔接着層〕
アクリル樹脂BR−116(三菱レイヨン(株)製) 20重量部
メチルエチルケトン 40重量部
トルエン 40重量部
<比較例1>
実施例1において、アンカー層(4)の組成を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にして比較例1の転写シート(フィルム)(1)を作製した。
〔アンカー層〕
アクリル変性ポリウレタン樹脂IB−582(三洋化成工業(株)製) 21重量部
(固形分42%)
イソシアネート硬化剤E402−90T(旭化成(株)製) 9重量部
(固形分90%)
メチルエチルケトン 14重量部
トルエン 14重量部
<比較例2>
実施例1において、アンカー層(4)の組成を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にして比較例2の転写シート(フィルム)(1)を作製した。
〔アンカー層〕
アクリル変性ポリウレタン樹脂IB−582(三洋化成工業(株)製) 21重量部
(固形分42%)
イソシアネート硬化剤E402−90T(旭化成(株)製) 5重量部
(固形分90%)
メチルエチルケトン 14重量部
トルエン 14重量部
<比較例3>
実施例1において、アンカー層(4)の組成を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にして比較例3の転写シート(フィルム)(1)を作製した。
〔アンカー層〕
アクリル変性ポリウレタン樹脂IB−582(三洋化成工業(株)製) 21重量部
(固形分42%)
イソシアネート硬化剤MCX102ハードナー(TDI)(固形分100%)
(大日本インキ化学(株)製) 8重量部
メチルエチルケトン 14重量部
トルエン 14重量部
<比較例4>
実施例1において、アンカー層(4)の組成を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にして比較例4の転写シート(フィルム)(1)を作製した。
〔保護層〕
酢酸セルロース樹脂L−40(ダイセル化学工業(株)製) 5重量部
メチルエチルケトン 76重量部
ジメチルアセトアミド 19重量部
ポリエチレンWAX 0.25重量部
以上、実施例1及び比較例1〜4で得られた転写シート(1)を厚さ0.8mmの磁気テープを設けた塩化ビニル製カード(基材)に熱ロールを用いて圧着・接着させた後、基材(2)となるPETフィルムをはがして、情報記録媒体(11)を作製した。
これらのサンプルの保護層密着性をセロテープ(登録商標)剥離法にて確認した。密着良好:○、密着不良:×とした。さらに磁気読み取り機に搬送させ、搬送5000回時と10000回時の読み取りを複数回行い、その耐性を確認した。読み取り可能:○、読み取り不能:×とした。その結果を表1に記す。
Figure 0005029243
表1には、実施例1及び比較例1〜4の密着性、磁気読取性の評価結果を記した。
<評価結果>
以上のように、密着性は実施例1が合格し、比較例1〜4はいずれも不合格であった。磁気読取性は、搬送5000回では、実施例1、比較例1〜4のいずれも読み取り可能であった。搬送10000回では、実施例1は読み取り可能であったが、比較例1〜4はいずれも読み取り不能であった。読取試験後のカード表面を観察すると、比較例1〜4はいずれも磁気テープが露出しており、これが読取不能となったことがわかった。これは、保護層の密着性不良によって耐久性が低下しているものと判断された。
本発明に係る転写シートの層構成の1実施例を示す側断面図である。 本発明に係る情報記録媒体の層構成の1実施例を示す側断面図である。
符号の説明
1・・・転写シート
2・・・基材
3・・・保護層
4・・・アンカー層
5・・・接着層
11・・情報記録媒体
12・・基材
13・・情報記録層
14・・隠蔽層
15・・絵柄印刷層
16・・転写層

Claims (3)

  1. 水酸基価が0.5mgKOH/g以上のアクリル変性されたウレタン樹脂及びヘキサメチレンジイソシアネートを固形分重量比率として42:25乃至42:35で混合してなることを特徴とするインキ組成物。
  2. 基材上に、重合度140以上170未満かつ酢化度53以上60以下の酢酸セルロース樹脂を主体とする剥離性を有する保護層、請求項1記載のインキ組成物からなるアンカー層、非転写物との密着性を保持するための接着層を順次設けてなる転写層を有することを特徴とする転写シート。
  3. 少なくとも基材片面の少なくとも一部に設けられた情報記録層上に、隠蔽層、絵柄印刷層を順次積層し、さらに請求項2記載の転写シートの転写層を転写してなることを特徴とする情報記録媒体。
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